第1章 組織犯罪との闘い |
コラム1 「簡易書式例~捜査に用いられる書式の簡素合理化」
来日外国人犯罪の検挙件数の増加に伴い,第一線では,その限られた体制の下,最大限の努力でこれに対峙しているところであるが,(2)におけるアンケート結果にみるとおり,第一線の苦悩が垣間見られた。 そのなかに挙げられた,「簡易書式例の導入等による事件送致手続の簡素合理化等思い切った制度改正による事件処理の迅速化」にいう簡易書式例を紹介する。 簡易書式例とは,刑事訴訟法第193条第1項の規定による一般的指示として,検事総長からなされた司法警察職員捜査書類簡易書式例のことをいう。警察官は,被疑者を検挙した後,捜査を完結させ,検察庁に事件送致を行うまでに供述調書や実況見分調書を始めとして,様々な書類を作成するが,その様式は,同法を受け,基本書式例として定められている。従前は,すべての事件について,基本書式例が用いられていたが,基本書式例は,極めて緻密な捜査の記録を行うことができるよう,その様式は詳細な内容の記載を求めるものとなっており,事件の性質によっては,必ずしも基本書式例によらなくても立件・送致に耐えられるものもある。簡易書式例は,こうしたことを背景に,作成する書類の記載内容を必要最小限度にとどめることにより,書類作成上の負担を軽減することを目的として制定され,昭和38年から施行されているものである。 簡易書式例により定められた書式は,基本書式例に比べて記載欄が縮減され,定型的な記載が予定される欄にはチェック方式を採り入れるなど,すべての書式にわたり簡素合理化が図られており,書類作成に要する時間が短縮される結果,より迅速に的確な事件送致が可能となる。 簡易書式例の対象事件は「犯行の形態が単純であり,かつ,証拠が明らかである事件」のうち,その適用対象として指定されたあらかじめ定められた事件であり(ただし,適用対象事件であっても,現行犯逮捕以外の逮捕事件や否認事件等のように,より緻密な捜査が求められる事件は除かれる。),例えば,詐欺事件のうちいわゆる寸借詐欺や無銭飲食のようなものが簡易書式例の適用対象となっている。 |
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