第1章 組織犯罪との闘い 

イ 第一線の警察官が感じている国際犯罪組織のイメージ

 において外国人犯罪の組織化が進んでいると回答した捜査官918人に対し,それぞれがイメージしている外国人犯罪組織(以下「その組織」という。)について,以下の質問を行った。
 まず,その組織が主としてどの国・地域の者により構成されているかについては,「中国」と回答した者がその大半である85.1%を占め,検挙件数等の統計数字が示す以上に中国人による組織犯罪の増加が,第一線の警察官に強い印象を与えている。
 その組織が主としてどのような犯罪(不当な行為)を敢行しているかについては,「強・窃盗及びそれらの盗品売買・輸出」と回答した者が約半数(45.5%)を占め,これに次いで「密入国(旅券偽造,偽装結婚,船舶利用密航の手引き等)」(26.9%),「薬物の不正取引」(13.5%),「クレジットカード詐欺及びそれらの盗品売買・輸出」(8.5%)が上位を占めた(図1-14)。

 
図1-14 その組織が主として敢行する犯罪

図1-14 その組織が主として敢行する犯罪
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 その組織が国籍別にどのような構成になっているかについては,「主たる国籍の者のほか,日本国籍の者が加わっている」と回答した者が過半数(66.0%)を占め,「同一国籍の者のみによって構成されている」(20.5%)を大きく上回った。
 このことは,国際犯罪組織が,日本人の社会に深く浸透し,日本人を仲間に引き入れて犯罪を敢行し始めていることをうかがわせる。
 次に,その組織の構造に関する質問に対しては,「恒常的な組織ではなく,犯罪の目的に応じメンバーが入れ替わる離合集散型」(40.1%)と「リーダーを頂点とするピラミッド型」(39.3%)がほぼ同数で,この合計が全体の約8割を占めた(図1-15)。

 
図1-15 その組織の構造形態

図1-15 その組織の構造形態
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 これは,国際犯罪組織が必ずしも我が国の暴力団のような定型的な組織形態を持たないことをうかがわせるものと考えられる。
 その組織が,主としてどのような地域で犯罪を敢行しているかについては,「複数県に及ぶ地域」(54.7%)と回答した者が最も多く,次に多かった「全国規模」(30.4%)と合わせると8割を超え,その犯罪組織が極めて広範囲にわたって犯罪を敢行していることをうかがわせた。
 また,その犯罪組織が,海外の犯罪組織と結びついているかとの質問に対しては,「はい」と回答した者が61.9%で過半数を占めている反面,「わからない」と回答した者も32.1%おり,組織の実態が必ずしも明らかとなっていない状況もうかがわれた。

 

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