第1章 組織犯罪との闘い 

イ 凶悪犯の検挙状況~凶悪化の進展

 過去10年間の来日外国人凶悪犯検挙状況は,図1-3のとおりである。
 14年中の検挙件数・人員は,それぞれ323件(前年比15件(4.9%)増),353人(前年比50人(12.4%)減)であり,5年と比べてそれぞれ1.5倍,1.4倍となっている。
 罪種別に見ると,14年の強盗の検挙件数は,5年と比べて2.0倍に増加し,凶悪犯の検挙件数全体の大半(全件数のうち76.5%)を占めるに至っている。

 
図1-3 来日外国人凶悪犯検挙状況の推移(平成5~14年)

図1-3 来日外国人凶悪犯検挙状況の推移(平成5~14年)
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 また,強盗事件の検挙者の手口についてみると,侵入強盗が目立っており,14年は157件(前年比60件(61.9%)増)であり(図1-4),強盗の検挙件数全体に占める割合が,日本人と比べて著しく高くなっている(図1-5)。

 
図1-4 来日外国人に係る手口別強盗検挙件数の推移(平成5~14年)

図1-4 来日外国人に係る手口別強盗検挙件数の推移(平成5~14年)
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図1-5 日本人と来日外国人の手口別強盗検挙状況の比較(平成14年)

図1-5 日本人と来日外国人の手口別強盗検挙状況の比較(平成14年)
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 来日外国人による侵入強盗の特徴としては,中国人を始めとする来日外国人がグループで資産家とみられる個人の居宅やいわゆる風俗店等に押し入り,家人や従業員を緊縛して金品を強取する事件が頻発するなど,手荒い手口で敢行される犯罪が多くみられた。

事例1
 13年12月,大阪市内のホテルにおいて女性が刃物で殺害されキャッシュカードを強奪された事件につき,大阪府警察は,14年2月,中国人の少年1人を強盗殺人で逮捕した。さらに,14年1月,大分県速見郡内の会社役員宅において同役員が刺殺され,妻が重傷を負わされた事件につき,2月までに,大分県警察は,大阪府警察が逮捕した同少年を強盗殺人,同未遂で再逮捕したほか,韓国人の男1人及び中国人の男1人を同罪で逮捕した。
 なお,殺害された会社役員は,被疑者のうち1人の国内留学時の身元保証人であった。

事例2
 14年4月,さいたま市内の台湾エステ店において,女性従業員及び男性客がナイフを突きつけられ,ガムテープで緊縛されるなどして,現金13万円余を強奪された事件につき,8月までに,韓国人の男3人を強盗致傷で逮捕した。
 なお,被疑者らは,逃走時,警察官に刃物で抵抗しており,うち2人を現場において公務執行妨害等で逮捕した(埼玉)。

 14年中に検挙された来日外国人の凶悪犯のうち,全被疑者中で日本人に危害を加えた被疑者の占める割合は70.0%であり,5年と比べて1.2倍に増加した(図1-6)。

 
図1-6 来日外国人凶悪犯被疑者中「日本人に危害を加えた者」の占める割合の推移(平成5~14年)

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