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第4章 支援等のための体制整備への取組

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1 相談及び情報の提供等(基本法第11条関係)

トピックス 地方公共団体における犯罪被害者等支援
~専任職員の配置によるきめ細やかな支援~

大阪市市民局ダイバーシティ推進室人権企画課

大阪市では、基本法及び国の犯罪被害者等基本計画に基づき、犯罪被害者等の支援に係る相談窓口の開設や啓発事業等を行ってきました。しかし、犯罪被害者等の抱える多岐にわたる問題の解決を図るためには、大阪市の犯罪被害者等支援に対する姿勢を明確に示した上で、犯罪被害者等の視点に立った施策をより一層推進する必要があることから、令和2年4月、大阪市犯罪被害者等の支援に関する条例(以下このトピックスにおいて単に「条例」といいます。)を施行しました。

条例に基づく主な支援事業(※)

▶被害発生初期段階におけるアウトリーチ支援

▶遺族見舞金、重傷病見舞金等の支給

▶掃除、洗濯等の日常的な家事支援や配食サービス

▶就学前の子供の一時保育費・精神医療費や転居費用の助成

▶犯罪被害に精通した弁護士による相談対応

※条例の施行後(令和2年4月以降)に発生した死亡や重傷病等の重大な犯罪等の被害が対象

犯罪被害者等に対して条例に基づく各種支援事業を行うに当たり、一人一人に寄り添った丁寧かつ福祉的な対応を行うことができるようにするとともに、「犯罪被害者等支援のための総合相談窓口」の充実を図るため、犯罪被害者等支援に専従する社会福祉主事任用資格を有する会計年度任用職員(以下「専任職員」といいます。)を2名配置しました。

条例の施行に伴い各種支援制度に関する周知広報等を行った結果、窓口における相談件数は、条例の施行前と比較して約4倍に増えました。大阪市では、専任職員の配置により、犯罪被害者等が置かれている状況や抱えている事情に応じ、条例の施行前よりもきめ細やかな対応ができるよう、また、犯罪被害者等の相談窓口としてより安心して相談いただけるよう努めています。

条例に基づく大阪市の施策の特色として、被害発生初期段階におけるアウトリーチ支援の取組があります。この取組は、関係機関から犯罪被害者等に関する情報提供があった場合に、犯罪被害者等からの支援要請を待つことなく犯罪被害者等に連絡し、必要な支援につなげるものです。

具体的な例を挙げると、あるケースでは、関係機関からの情報提供に基づき、犯罪被害により重傷を負い入院した方のもとへ専任職員が伺い、犯罪被害者等が置かれている状況や今後の心配事等をお聞きした上、提供できる支援の説明を行うとともに、退院後もすぐに支援を受けられるよう各種申請手続の補助等を行いました。また、退院後は、必要な支援を円滑に提供したほか、近況の確認を行いました。

このような取組においても、専任職員を配置したことで、迅速な初動対応を実施するとともに、犯罪被害者等の希望に応じて病院や最寄りの区役所等を訪問し、本人の様子をうかがいながら話を聴くことにより、犯罪被害者等が置かれている状況をタイムリーに理解し、一人一人のニーズを丁寧に把握して、各種支援施策や関係機関の紹介等の必要な支援につなげるといったきめ細やかな対応が可能となっています。

また、関係機関と支援に関する協議・調整を行う大阪府被害者支援調整会議や、犯罪被害の当事者による講演会、被害者支援団体等が主催するセミナー等へ参加するなど、犯罪被害者等支援に関する知識を蓄積し、よりよい支援につながるよう職員のスキルアップに努めています。

大阪市では、今後もこれらの取組を継続し、犯罪被害者等が一人で悩むことのないよう、その置かれた立場を十分に理解し、犯罪被害者等に寄り添った支援を行っていきます。

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