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第2章 第4次犯罪被害者等基本計画の概要

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2 重点課題に係る具体的施策

コラム 第4次犯罪被害者等基本計画の検討を終えて

飛鳥井 望
基本計画策定・推進専門委員等会議議長
(医療法人社団青山会青木病院院長

飛鳥井 望

第4次基本計画は、犯罪被害者等施策に係る事務が内閣府より国家公安委員会(警察庁)に移管されてから初めて策定する基本計画です。これまで、第1次基本計画及び第2次基本計画の下では、犯給制度の拡充、損害賠償命令制度の創設、被害者参加制度の創設・拡充等が図られました。そして第3次基本計画の下において、重傷病給付金の給付期間の延長等を内容とする犯給制度の一層の拡充が行われ、カウンセリング費用の公費負担制度も全国整備されました。またワンストップ支援センターが全ての都道府県に設置され、総合的対応窓口も全ての地方公共団体に設置されました。このように、第3次基本計画の下では施策の着実な推進が図られましたが、犯罪被害者等支援の更なる進展を目指して、専門委員等会議では、以下の手順で第4次基本計画案の策定に向けた検討を行いました。

まず、広く一般の方から意見・要望を募るとともに、犯罪被害者団体や犯罪被害者支援団体から意見・要望を聴取するヒアリングを行いました。専門委員等会議は令和2年1月から1年間かけて10回の会議を開催しました。コロナ禍の下、3回は書面会議、4回はウェブ主体の会議となりましたが、そのような中でも精力的に議論を重ね、3年1月に第4次基本計画案を取りまとめ、279項目の具体的施策を掲げました。主な論点として検討したのは、「地方公共団体における犯罪被害者支援の充実促進」「犯罪被害給付制度の運用状況」「被害が潜在化しやすい犯罪被害者等への支援」「被害者支援連絡協議会の活用」「無差別殺傷事件等被害者多数の事案発生時の犯罪被害者支援の在り方」「被害者等の視点を踏まえた加害者処遇の充実」「民間団体の活動促進」です。中でも、加害者処遇における被害者等への配慮の充実については、被害者等の心情等への理解を深めさせ、謝罪や被害弁償等の具体的行動を促すための改善指導・矯正教育等の更なる充実や、「更生保護の犯罪被害者等施策の在り方を考える検討会」報告書を踏まえた検討と必要な施策の実施を掲げています。ワンストップ支援センターの体制強化については、24 時間 365 日対応化や拠点病院の整備促進、地域連携体制の確立、人材育成や運営体制確保、相談につながりやすい体制整備を図ることを掲げています。各都道府県の被害者支援連絡協議会の活用については、死傷者が多数に及ぶ事案等を想定したシミュレーション訓練等により対応力の向上を図ることを掲げています。加えて、被害者等の個々の事情に一層配慮した支援や、官民の関係機関・団体等が緊密に連携・協力した取組の強化、また教育研修や普及啓発でのデジタル技術等の新たな手法等の活用も、個々の具体的施策において反映されています。

第4次基本計画が着実に推進されることで、犯罪被害者等支援がなお一層の進展を遂げることは間違いありません。最終的な取りまとめに至るまで熱心かつ真摯に取り組んでいただいた各構成員、関係府省庁の担当者並びに事務局各位のご協力に改めて深く感謝いたします。

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