第2章 精神的・身体的被害の回復・防止への取組

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3 保護、捜査、公判等の過程における配慮等(基本法第19条関係)

コラム7 児童福祉法等の改正

児童虐待について、発生予防から自立支援まで一連の対策の更なる強化等を図るため、平成28年5月、児童福祉法等改正法が成立した(28年6月3日公布、29年4月1日全面施行)。

児童福祉法等改正法では、「児童福祉法の理念の明確化等」、「児童虐待の発生予防」、「児童虐待発生時の迅速・的確な対応」、「被虐待児童への自立支援」を改正の柱とし、その担い手となる国、都道府県、市町村それぞれの役割と責任が示された。

このうち、「児童虐待発生時の迅速・的確な対応」では、子供の安全を確保するための初期対応等が迅速・的確に行われるよう、市町村や都道府県の体制強化が図られた。

市町村については、基礎的な地方公共団体として、身近な場所における支援業務を適切に行うこととされ、次の規定が設けられた。

  • 市町村は、子供等に対する必要な支援(実情の把握、情報の提供、相談、調査、指導、関係機関との連絡調整等)を行うための拠点の整備に努めるものとする。
  • 市町村が設置する要保護児童対策地域協議会の調整機関について、専門職の配置を義務付け、国が定める基準に適合する研修を受けなければならないものとする。
  • 病院、診療所、児童福祉施設、学校等において、要支援児童等と思われる者を把握した場合には、当該児童等の情報を現在地の市町村に提供するよう努めるものとする。

また、都道府県(児童相談所)については、市町村の業務が適正かつ円滑に行われるよう、市町村に対する必要な助言や適切な援助を行うとともに、専門的な知識・技術や広域的な対応が必要な業務を適切に行うこととされ、次の規定が設けられた。

  • 児童相談所に児童心理司、医師又は保健師、指導及び教育を行う児童福祉司(児童福祉司スーパーバイザー)を配置するものとし、児童福祉司(スーパーバイザーを含む。)は、国の基準に適合する研修を受けなければならないものとする。
  • 児童相談所設置自治体は、法律に関する専門的な知識・経験を必要とする業務を適切かつ円滑に行うため、児童相談所への弁護士の配置又はこれに準ずる措置を行うものする。
  • 政令で定める特別区は、児童相談所を設置するものとする。

なお、政府は児童福祉法等改正法の施行後5年を目途として、中核市・特別区が児童相談所を設置できるよう、その設置に係る支援等の必要な措置を講じることとされた。

児童福祉法等改正法を踏まえ、厚生労働省では、

  • 市区町村の支援業務のあり方に関する検討ワーキンググループにおいて、子供等に対する必要な支援を行うための拠点機能の在り方、市区町村が虐待対応の具体的な支援業務を適切に行うために必要な支援方策(ガイドライン)の策定、専門人材の養成及び確保方策等
  • 子ども家庭福祉人材の専門性確保ワーキンググループにおいて、児童福祉司、要保護児童対策地域協議会の調整機関に配置される専門職等が受講する研修、社会福祉主事を児童福祉司として任用する場合の任用前講習会のガイドライン策定、児童相談所の体制強化(専門職の配置基準、中核市・特別区における設置支援等)等

の検討を行っているほか、必要な予算を確保するなどし、児童虐待への取組を推進していくこととしている。

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