犯罪被害者等施策に関する基礎資料

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6.第3次犯罪被害者等基本計画(平成28年4月1日閣議決定)

V 重点課題に係る具体的施策

第1 損害回復・経済的支援等への取組

1 損害賠償の請求についての援助等(基本法第12条関係)
(1) 日本司法支援センターによる支援

【施策番号1】

ア 日本司法支援センターによる民事法律扶助制度の活用によって、弁護士費用及び損害賠償請求費用の負担軽減を図る。【法務省】

【施策番号2】

イ 日本司法支援センターにおいて、弁護士会等と連携して、犯罪被害者支援に精通している弁護士の増加に努め、犯罪被害者等の個別の状況に応じた必要なサービスが提供できるよう、弁護士の紹介態勢の整備に努めるとともに、利用者からの意見や犯罪被害者支援に関する法制度、弁護士会において行われる犯罪被害者支援に関する研修等について、弁護士会等の関係機関と情報交換や協議の場を設けるなどして、弁護士によるサービスの向上を目指す。【法務省】(再掲:第4,1(43)ア(202)

(2) 損害賠償請求制度等に関する情報提供の充実

【施策番号3】

損害賠償請求制度その他の犯罪被害者等の保護・支援のための制度の概要を紹介した冊子・パンフレット等について、警察庁及び法務省において連携し、一層の内容の充実を図るとともに、十分に周知させる。【警察庁、法務省】(再掲:第4,1(40)(198)

(3) 刑事和解等の制度の周知

【施策番号4】

法務省において、刑事和解、公判記録の閲覧・謄写、不起訴記録の弾力的開示等現行制度を周知徹底させる。【法務省】

(4) 保険金支払の適正化等

【施策番号5】

ア 一般財団法人自賠責保険・共済紛争処理機構における調停、国土交通省による保険会社に対する立入検査、国土交通大臣による適正な支払を行うことの指示等により、自賠責保険金の支払の適正化を図る。【国土交通省】

【施策番号6】

イ 金融庁において、被害者に直接保険金等が支払われる場合も含め、契約に基づく保険金等の支払が適切に行われるように、「保険会社向けの総合的な監督指針」(平成17年8月12日策定)等に基づき、各保険会社における保険金等支払管理態勢について検証し、保険会社側に問題があると認められる業務・運営については、適切な対応を行う。【金融庁】

【施策番号7】

ウ 公益財団法人日弁連交通事故相談センターにおける弁護士による自賠責保険に係る自動車事故の損害賠償の支払に関する無料の法律相談・示談斡旋等により、適切な損害賠償が受けられるよう支援を行う。【国土交通省】

【施策番号8】

エ 国土交通省において、ひき逃げや無保険車等の事故による被害者に対しては、政府保障事業において、本来の加害者に代わって、直接その損害をてん補することにより、適切な支援を行う。【国土交通省】

(5) 受刑者の作業報奨金を損害賠償に充当することが可能である旨の周知

【施策番号9】

法務省において、法令上受刑中の者が作業報奨金を犯罪被害者等に対する損害賠償に充当することが可能である旨を引き続き受刑者に対し周知する。【法務省】

(6) 暴力団犯罪による被害の回復の支援

【施策番号10】

暴力団犯罪の被害者については、警察において、都道府県暴力追放運動推進センターや各弁護士会の民事介入暴力対策委員会等とも連携しつつ、暴力団犯罪による被害の回復を支援する。【警察庁】

(7) 加害者の損害賠償責任の実現に向けた調査の実施

【施策番号11】

警察庁において、日本弁護士連合会等の協力を得て、債務名義を得ても犯罪被害者等が損害賠償を受けることができない状況について実態把握のための調査を行い、その結果に応じて、必要な検討を行う。【警察庁】

2 給付金の支給に係る制度の充実等(基本法第13条関係)
(1) 犯罪被害給付制度に関する検討

【施策番号12】

警察庁において、平成20年度以降拡充してきた犯罪被害給付制度の運用状況等を踏まえつつ、重傷病給付金の支給対象期間等の在り方について「犯罪被害給付制度の拡充及び新たな補償制度の創設に関する検討会」の取りまとめに従った取組を進めるとともに、犯罪被害者に負担の少ない支給の在り方や、若年者の給付金の在り方及び親族間犯罪被害に係る給付金の在り方について、実態調査や他の公的給付制度に関する調査を1年を目途に行い、これらを踏まえた検討を速やかに行って、必要な施策を実施する。【警察庁】

(2) 現行の犯罪被害給付制度の運用改善

【施策番号13】

警察庁において、仮給付制度の効果的な運用その他の犯罪被害給付制度の運用改善、関係職員への同制度の周知徹底、犯罪被害者等への同制度の教示等に関して都道府県警察を指導するとともに、早期の犯罪被害者等給付金の支給に努める。【警察庁】

(3) 性犯罪被害者の医療費の負担軽減

【施策番号14】

警察庁において、性犯罪被害者の緊急避妊、人工妊娠中絶、初診料、診断書料、性感染症等の経費費用等の公費負担に要する経費を都道府県警察に対し補助するほか、緊急避妊等の公費負担の運用ができる限り全国的に同水準で行われ、性犯罪被害者の負担軽減に効果的なものになるよう、また、性犯罪被害に伴う精神疾患についても犯罪被害給付制度の対象となることの周知も含めて各種支援施策の効果的な広報に努めるよう、都道府県警察を指導する。【警察庁】

(4) カウンセリング等心理療法の費用の負担軽減

【施策番号15】

「犯罪被害者の精神的被害の回復に資する施策に関する研究会」において取りまとめられた「犯罪被害者の精神的被害の回復に資する施策に関する報告書」を踏まえ、警察庁において、各都道府県警察に対し、臨床心理士資格等を有する警察部内カウンセラーの確実な配置に努めるよう指導する。また、同報告書を踏まえ、警察庁及び都道府県警察において、カウンセリング費用の公費負担制度の全国展開を図るとともに、同制度の周知に努める。【警察庁】

(5) 司法解剖後の遺体搬送費等に対する措置

【施策番号16】

犯罪被害給付制度とは別に、各都道府県警察において、司法解剖後の遺体搬送費及び遺体修復費を措置する制度を積極的に推進する。【警察庁】

(6) 地方公共団体による見舞金制度等の導入促進

【施策番号17】

警察庁において、地方公共団体に対し、犯罪被害者等に対する見舞金等の支給制度や生活資金等の貸付制度の導入について要請するとともに、これらの制度を導入している地方公共団体を犯罪被害者白書に記載する。【警察庁】

(7) 預保納付金の活用

【施策番号18】

金融庁及び財務省において、平成25年度から実施している預保納付金事業について、犯罪被害者等の子供への奨学金を貸与制から給付制に変更するとともに、犯罪被害者等支援団体への助成対象に相談員の育成に必要な費用を追加することとし、平成28年度中を目途にその募集等を開始する。【金融庁、財務省、警察庁】(再掲:第4,3(2)(226)

(8) 海外での犯罪被害者に対する経済的支援

【施策番号19】

海外での犯罪被害者に対する経済的支援について、「「犯罪被害給付制度の拡充及び新たな補償制度の創設に関する検討会」の取りまとめに従った施策の推進について」(平成26年3月26日犯罪被害者等施策推進会議)に沿った取組を推進し、必要な措置を講ずる。【警察庁、外務省】

3 居住の安定(基本法第16条関係)
(1) 公営住宅への優先入居等

【施策番号20】

ア 国土交通省において、地域の実情等を踏まえた地方公共団体による公営住宅への優先入居や目的外使用に係る手続の推進を図るための取組を実施する。【国土交通省】

【施策番号21】

イ 国土交通省において、公営住宅への入居に関して、都道府県営住宅における広域的な対応や市町村も含む地方公共団体相互間における緊密な連携を各地方公共団体へ要請していることについて、会議等の場を活用して周知する。【国土交通省】

【施策番号22】

ウ 公営住宅の管理主体から、独立行政法人都市再生機構の賃貸住宅の借上げ要請があった場合は、柔軟に対応する。【国土交通省】

【施策番号23】

エ 民間賃貸住宅への入居に関して、地方公共団体が関係団体と連携して、円滑な入居の促進を図るため、居住支援協議会を設置し、ホームページや住宅相談会等で必要な情報を提供する等、地域の実情に応じた取組を行っていることから、国土交通省において、このような地域の取組を支援する。【国土交通省】

【施策番号24】

オ 国土交通省において、公営住宅への入居に関する犯罪被害者等への情報提供を警察庁及び法務省と十分連携して行う。【国土交通省】

(2) 被害直後及び中期的な居住場所の確保

【施策番号25】

ア 厚生労働省において、児童相談所及び婦人相談所による一時保護や婦人保護施設及び民間シェルター等への一時保護委託の実施について適正な運用に努める。【厚生労働省】(再掲:第2,2(8)ア(85)

【施策番号26】

イ 厚生労働省において、「少子化社会対策大綱」(平成27年3月20日閣議決定)により、平成31年度末までに、個別対応できる児童相談所一時保護所の環境改善を実施する。【厚生労働省】(再掲:第2,2(8)イ(86)

【施策番号27】

ウ 厚生労働省において、婦人相談所における被害女性の安全の確保や心理的なカウンセリングが十分に行われるよう、婦人相談所の体制を整備し、緊急時(夜間・休日を含む。)についても、適正かつ効果的な一時保護を実施する。【厚生労働省】

【施策番号28】

エ 厚生労働省において、一時保護から地域における自立した生活へとつながるよう、婦人保護施設及び母子生活支援施設の機能強化を図ることなどにより、入所者に対する日常生活支援の充実に努める。【厚生労働省】

【施策番号29】

オ 警察庁において、自宅が犯罪行為の現場になり、自宅が破壊されるなど、居住が困難で、自ら居住する場所が確保できない場合等に利用できる緊急避難場所の確保に要する経費及び自宅が犯罪行為の現場となった場合におけるハウスクリーニングに要する経費を都道府県警察に補助するほか、これらの施策が犯罪被害者等の負担軽減に効果的なものとなるよう、都道府県警察を指導する。【警察庁】

【施策番号30】

カ 犯罪被害者等に身近な公的機関である地方公共団体において、居住場所の確保や被害直後からの生活支援策に対する取組がなされるよう、警察庁において、地方公共団体に対して啓発・情報提供を行う。【警察庁】

(3) 性犯罪被害者等に対する自立支援及び定着支援

【施策番号31】

厚生労働省において、性犯罪被害者を含む相談者に対する支援として、地方公共団体やDVシェルターを運営する特定非営利活動法人等が、相談者に対して、生活相談や行政機関への同行支援等の自立支援、家庭訪問や職場訪問等の定着支援を一体的に行い、その取組の効果を検証するモデル事業を実施する。【厚生労働省】

4 雇用の安定(基本法第17条関係)
(1) 事業主等の理解の増進

厚生労働省において、犯罪被害者等に対する十分な理解に基づき、以下の施策を実施する。

【施策番号32】

ア 母子家庭の母等及び父子家庭の父に対するトライアル雇用事業の適正な運用に努める。【厚生労働省】

【施策番号33】

イ 公共職業安定所における事業主に対する配置や労働条件等雇用管理全般に関するきめ細かな相談援助の適正な運用に努める。【厚生労働省】

【施策番号34】

ウ 公共職業安定所における求職者に対するきめ細かな就職支援の適正な実施に努める。【厚生労働省】

【施策番号35】

エ 公共職業安定所職員に対する研修において、犯罪被害者等への理解に資するテーマを取り上げる。【厚生労働省】

(2) 個別労働紛争解決制度の活用等

【施策番号36】

ア 厚生労働省において、犯罪被害者等に係る個別労働関係紛争の解決に当たって、個別労働紛争解決制度について周知を徹底させるとともに、その適正な運用に努める。【厚生労働省】

【施策番号37】

イ 厚生労働省において、犯罪被害者等が事業主との間で生じた労働問題に関し、情報の提供、相談等を行う公的相談窓口として、労働問題に関するあらゆる分野の相談に専門の相談員がワンストップで対応する総合労働相談コーナーについて周知徹底させるとともに、その積極的な活用を図る。【厚生労働省】

(3) 被害回復のための休暇制度の周知・啓発

【施策番号38】

被害回復のための休暇制度についていまだ十分な認知がなされていない状況にあることから、厚生労働省において、アンケートによる実態把握を行うとともに、リーフレットや厚生労働省ホームページ、セミナー等により、経済団体や労働団体を始め事業主や被雇用者等に対して、犯罪被害者等の置かれている状況や被害回復のための休暇制度等について周知・啓発を図る。【厚生労働省】

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