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第2章 犯罪被害者等のための具体的施策と進捗状況

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第1節 損害回復・経済的支援等への取組

コラム2 振り込め詐欺救済法に基づく預保納付金事業の見直し

1.振り込め詐欺救済法とは

振り込め詐欺救済法においては、振り込め詐欺等の預貯金口座への振込みを利用した犯罪の被害者に対して、振り込んだ先の口座(犯罪利用口座)に一定の残高がある場合、これを金融機関から被害者に返金することによって被害の回復を図ることとされている。

他方、こうした救済に向けた努力にもかかわらず、被害者からの返金申請がなかった場合等、返金しきれずに残金が発生する場合がある。振り込め詐欺救済法上、金融機関は、この金銭を預金保険機構に納付することとされており(以下「預保納付金」という。)、預金保険機構は、この預保納付金を犯罪被害者等の支援の充実のために支出することとされている。

2.預保納付金事業とは

預保納付金の具体的な使途については、平成22年から23年にかけて開催された、内閣府大臣政務官(金融担当)、内閣府大臣政務官(犯罪被害者等施策担当)及び財務大臣政務官で構成されるプロジェクトチームにおいて議論がなされた。その結果、預保納付金は、<1>犯罪被害者等の子供に対する貸与制の奨学金事業と、<2>犯罪被害者等支援団体に対する助成事業に支出されることとされた。この預保納付金事業については、25年度より実施されている。

3.預保納付金事業の見直しについて

預保納付金事業については、第3次基本計画の策定に向けた議論等を通じて、その見直しを求める意見が寄せられていた。このような状況を踏まえ、平成27年11月に、内閣府大臣政務官(金融担当)、内閣府大臣政務官(犯罪被害者等施策担当)及び財務大臣政務官をメンバーとする振り込め詐欺救済法に定める預保納付金を巡る諸課題に関するプロジェクトチームが設置された。同プロジェクトチームでは、預保納付金の取扱い等について、これまでの運用状況等を検証し、犯罪被害者等の支援の充実に向けた方策が議論され、28年3月には報告書が取りまとめられた。

4.見直しの主な内容について

 見直しの主な内容は以下のとおり。

(1)奨学金事業

   奨学金事業を貸与制から給付制に移行する。

   ・給付水準

     ➢大学生について、国立大学の授業料を賄える水準

       大学生:月額5万円、大学院生:月額5万円

       高校生:月額2.5万円(私立)、1.7万円(国公立)

     ➢入学時に一時金を支給(大学生は30万円)

   ・受給資格: 犯罪被害者等の子供(高校生から大学院生)であって、学費の支弁が困難となった者

(2)団体助成事業

    団体助成事業において、従来、原則として人件費は助成対象とはしていなかったが、相談員の育成費(雇用経費)を助成対象に追加する。

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