6.第2次犯罪被害者等基本計画(平成23年3月25日閣議決定)
V 重点課題に係る具体的施策
第5 国民の理解の増進と配慮・協力の確保への取組
〔犯罪被害者団体・犯罪被害者支援団体からの要望〕
犯罪被害者団体・犯罪被害者支援団体からは
- 学校における犯罪被害者に関する教育の推進
- 交通犯罪犠牲者に対する慰霊祭の実施
- 性犯罪に対する国民の理解の増進
等に関する要望が寄せられている。
〔今後講じていく施策〕
1 国民の理解の増進(基本法第20条関係)
(1) 学校における生命のかけがえのなさ等に関する教育の推進
【施策番号214】
文部科学省において,道徳教育の充実を図った新しい学習指導要領(平成20年3月公示)に基づき,自他の生命を尊重する心などを重視した教育を一層推進する。また,児童・生徒等の犯罪被害者等への理解の増進を図るため,内閣府を中心に作成した犯罪被害者等に関する啓発教材の活用を促す。【内閣府】【文部科学省】
(2) 学校における犯罪被害者等の人権問題も含めた人権教育の推進
【施策番号215】
文部科学省において,人権教育及び人権啓発の推進に関する法律(平成12年法律第147号)に基づき,犯罪被害者等の人権問題も含め,学校教育及び社会教育における人権教育の一層の推進に努める。【文部科学省】
(3) 学校における犯罪抑止教育の充実
【施策番号216】
文部科学省において,非行防止教室の中で,警察などの関係機関と連携し,犯罪被害者等に関する学習の充実を図る。
また,文部科学省において,平成16年度に警察庁と共同で作成し,教育委員会等へ配付した,非行防止教室等プログラム事例集の活用を教育委員会へ促すなど,犯罪抑止教育の充実を図るほか,児童生徒のコミュニケーション能力を高める教育活動を推進する。【文部科学省】
(4) 子どもへの暴力抑止のための参加型学習への取組
【施策番号217】
文部科学省において,子どもがいじめ・虐待・暴力等から自らの身を守るための態度やスキル等を育成することを目的として,被害者となることを防止するための教育について,地域の実情に応じた取組がなされるよう教育委員会に促す。【文部科学省】
(5) 家庭における命の教育への支援の推進
【施策番号218】
文部科学省において,命の大切さを実感させる意義などを記述した家庭教育手帳を始めとした様々な家庭教育に関するデータをホームページを通じて提供するとともに,平成22年に各都道府県教育委員会等へ提供したデータが地域における家庭教育に関する学習機会等で積極的に活用されるよう促す。【文部科学省】
(6) 中学生・高校生を対象とした講演会の実施
【施策番号219】
警察において,教育委員会等関係機関と連携し,中学生や高校生を対象とした犯罪被害者等による講演会「命の大切さを学ぶ教室」の開催による犯罪被害者等への配慮・協力への意識のかん養等に努めるほか,あらゆる機会を利用して広く国民の参加を募った,犯罪被害者等による講演会を実施し,「社会全体で被害者を支え,被害者も加害者も出さない街づくり」に向けた気運の醸成に努める。【警察庁】
(7) 生命・身体・自由の尊重を自覚させる法教育の普及・啓発
【施策番号220】
法務省において,学校教育を中心として法教育の普及・啓発を促進し,法や司法によって自らを守り,他者を等しく尊重する理念を体得させることを通じ,他者の生命・身体・自由などを傷つけてはならないことを自覚させることにもつながるよう,文部科学省,最高裁判所,日本弁護士連合会等の協力を得て,平成17年5月に発足した法教育推進協議会を通じた取組に努める。【法務省】
(8) 「犯罪被害者週間」にあわせた集中的な啓発事業の実施
【施策番号221】
内閣府において,警察庁,総務省,法務省,文部科学省,厚生労働省及び国土交通省の協力を得て,「犯罪被害者週間(11月25日から12月1日まで)」を設定し,当該週間にあわせて,啓発事業を集中的に実施する。【内閣府】
(9) 犯罪被害者等施策の関係する特定期間における広報啓発事業の実施
【施策番号222】
ア 内閣府において,毎年11月に実施している「女性に対する暴力をなくす運動」において,性犯罪を含む女性に対する暴力を根絶するため,関係省庁,地方公共団体,女性団体その他の関係団体と連携・協力し,広報啓発活動を実施する。【内閣府】
【施策番号223】
イ 内閣府において,全国交通安全運動の期間を中心に,各種の啓発事業が交通事故被害者等の理解と協力も得ながら展開されるよう努める。【内閣府】
【施策番号224】
ウ 法務省において,人権週間を中心に,様々な広報媒体も通じつつ,犯罪被害者等の人権問題に対する配慮と保護を求めるため講演会・研修会等の啓発活動を実施する。【法務省】
【施策番号225】
エ 厚生労働省において,児童虐待の範囲,現状やその防止に向けての取組を広く国民に周知させるため,様々な媒体を活用した広報活動を行うとともに,11月の児童虐待防止推進月間に,ポスター等の作成及び全国フォーラムの開催など集中的な広報啓発活動を実施する。【厚生労働省】
(10) 犯罪被害者等の置かれた状況等について国民理解の増進を図るための啓発事業の実施
【施策番号226】
ア 内閣府において,犯罪被害者等の置かれた状況について国民が正しく理解し,国民の協力の下に関係施策が講じられていくよう,国民が犯罪等による被害について考える機会として,毎年,東京及び複数の地域で,犯罪被害者等や,犯罪等による被害についての識見を有する者,犯罪被害者等の援助等に携わる者等とその他の国民が一同に会し,犯罪被害者等に係る様々なテーマを議論する啓発事業を開催し,教誨師など加害者に関わる者も含め,広く国民の参加を求める。なお,事業についてはマスコミに公開するほか,事業の結果について,インターネット等で国民向けに情報提供を行う。【内閣府】
【施策番号227】
イ 内閣府において,地方公共団体に対し,犯罪被害者等の参加・協力を得て,犯罪被害者等への理解の増進を図るための啓発事業を実施するよう要請する。また,犯罪被害者団体・犯罪被害者支援団体が地方公共団体に対して連携を申し出やすいよう,地方公共団体における犯罪被害者等施策担当窓口部局をホームページに掲載する。【内閣府】
(11) 様々な広報媒体を通じた犯罪被害者等施策に関する広報の実施
【施策番号228】
ア 内閣府及び警察庁において,総務省,法務省,文部科学省,厚生労働省及び国土交通省の協力を得て,政府広報等とも連携し,様々な広報媒体を通じて,犯罪被害者等の置かれた状況やそれを踏まえた施策実施の重要性,犯罪被害者等の援助を行う団体の意義・活動等について広報する。【内閣府】【警察庁】(再掲:第4,3.(4))
【施策番号229】
イ 警察において,各都道府県警察が民間被害者支援団体等と連携し,マスコミ広報,街頭キャンペーン,各種討論会の開催,各種会合での講話等を実施することにより,犯罪被害者等が置かれている実態や警察,関係機関,民間被害者支援団体等が取り組んでいる犯罪被害者等支援についての広報啓発活動を一層促進する。【警察庁】
【施策番号230】
ウ 警察庁において,広報啓発用の冊子「警察による犯罪被害者支援」の作成,ウェブサイト上での警察の犯罪被害者等支援施策の掲載等により,犯罪被害者等支援に関する国民の理解増進に努める。【警察庁】
(12) 交通事故被害者等の声を反映した国民の理解増進
【施策番号231】
ア 警察において,交通事故の被害者等の手記を取りまとめた冊子やパンフレット等を作成し交通安全講習会で配付することや,交通安全の集い等における被害者等の講演を実施し,交通事故の被害者等の現状や交通事故の惨状等に関する国民の理解増進に努める。【警察庁】
【施策番号232】
イ 警察において,各都道府県警察での運転者に対する各種講習において,交通事故の被害者等の切実な訴えが反映されたビデオ,手記等の活用や,被害者等の講話等により被害者等の声を反映した講習を実施する。【警察庁】
(13) 国民の理解の増進を図るための情報提供の実施
【施策番号233】
内閣府において,犯罪被害者等や犯罪被害者等の援助に精通した有識者を招き,関係省庁の職員を対象とする「犯罪被害者等施策講演会」を開催するとともに,その概要をインターネット等で国民向けに情報提供する。【内閣府】
(14) 調査結果の公表等を通じた犯罪被害者等の置かれた状況についての国民の理解の増進
【施策番号234】
内閣府において,犯罪被害者等に関する調査研究を実施した場合には,当該調査の結果について,犯罪被害者等への理解を深めるための広報啓発に活用する。【内閣府】
(15) 学校における犯罪被害者等である児童生徒への的確な対応のための施策の促進
【施策番号235】
ア 文部科学省において,学校の教職員が犯罪被害者等である児童生徒の相談等に的確に対応できるよう,犯罪等の被害に関する研修等を通じ教職員の指導力の向上に努めるとともに,スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー等の配置など教育相談体制の充実等に取り組む。【文部科学省】(再掲:第4,1.(23)及び第4,2.(11))
【施策番号236】
イ 文部科学省において,犯罪被害者等である児童生徒に対する心のケアについても,大学の教職課程におけるカウンセリングに関する教育及び教員に対するカウンセリングに関する研修内容に含めるなどその内容の充実を図るよう促す。【文部科学省】(再掲:第2,1.(23)ウ)
【施策番号237】
ウ 文部科学省において,虐待を受けた子どもへの対応の問題を含め,養護教諭が行う健康相談の進め方等についてまとめた参考資料も活用しながら,養護教諭の資質の向上のための研修の充実を図る。【文部科学省】
(16) 犯罪被害者等に関する個人情報の保護
【施策番号238】
警察による被害者の実名発表,匿名発表については,犯罪被害者等の匿名発表を望む意見と,マスコミによる報道の自由,国民の知る権利を理由とする実名発表に対する要望を踏まえ,プライバシーの保護,発表することの公益性等の事情を総合的に勘案しつつ,個別具体的な案件ごとに適切な発表内容となるよう配慮する。【警察庁】(再掲:第2,2.(3)イ)
(17) 犯罪被害者等に関する個人情報の保護に配慮した地域における犯罪発生状況等の情報提供の実施
【施策番号239】
警察において,被害者が特定されないよう工夫した上で,ウェブサイト上等に性犯罪を含め身近な犯罪の発生状況を掲載するなどにより,都道府県警察が地域住民に対し,住民自らが積極的に防犯対策を講ずる契機になり得るような情報提供に努める。【警察庁】
(18) 交通事故の実態及びその悲惨さについての理解の増進に資するデータの公表
【施策番号240】
警察において,国民に対し,交通事故の実態やその悲惨さについての理解の増進が十分に図れるよう,事故類型や年齢層別等交通事故に関する様々なデータを公表し,その実態等について周知を図る。【警察庁】
(19) 交通事故被害者に関する統計の周知
【施策番号241】
内閣府において,犯罪被害者白書及び交通安全白書における交通被害者に関する統計について,掲載の充実を図る。【内閣府】