第2章 犯罪被害者等のための具体的施策と進捗状況

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第5節 国民の理解の増進と配慮・協力の確保への取組

コラム15 犯罪被害者週間の実施

基本法第20条において,「国及び地方公共団体は,教育活動,広報活動等を通じて,犯罪被害者等が置かれている状況,犯罪被害者等の名誉又は生活の平穏への配慮の重要性等について国民の理解を深めるよう必要な施策を講ずるものとする」とされています。これを受け,第1次基本計画時から,内閣府においては,警察庁,総務省,法務省,文部科学省,厚生労働省及び国土交通省の協力を得て,犯罪被害者週間(11月25日から12月1日まで)における集中的な広報啓発事業を実施することとし,これは第2次基本計画でもそのまま引き継がれています。

9回目となる平成26年度は内閣府事業として,12月1日に東京で中央イベントを開催しました。また,地方行事として,熊本県(11月25日),埼玉県(11月29日)とそれぞれ共催で,イベントを開催しました。

○ 中央イベント

中央イベントでは,「基本法の制定によって何が変わったのか-被害者支援の歩みと,今後の課題-」をテーマとした基調講演や「声なき声。その支援を考える」と題したパネルディスカッション等を行いました。

基調講演では,公益社団法人被害者支援都民センター理事長・東京医科歯科大学名誉教授の山上皓氏に,基本法制定から10年という節目に際して,我が国の犯罪被害者支援の歩みを振り返るとともに,今後の課題について御講演いただきました。

また,パネルディスカッションでは,公益社団法人紀の国被害者支援センター訓練委員長・臨床心理士の上野和久氏をコーディネーターに,各パネリストの方々から,自ら被害を訴えることが困難な犯罪被害者等に,寄り添い,私たちができる支援等について語っていただきました。

主催者挨拶

○ 埼玉大会

埼玉大会では,基調講演「性犯罪被害にあうということ」及びパネルディスカッション「性暴力被害とその支援について」を実施するとともに,犯罪被害者関係団体を含む多数のパネル展示等を行いました。

基調講演では,「性犯罪被害にあうということ」著者小林美佳氏に,御自身の体験と,性犯罪被害者が求めている支援についてお話しいただきました。

パネルディスカッションでは,公益財団法人東京都医学総合研究所副所長(当時)飛鳥井望氏をコーディネーターに,弁護士で特定非営利活動法人レイプクライシスセンターTSUBOMI代表望月晶子氏,越谷市立病院名誉教授で公益社団法人埼玉犯罪被害者援助センター理事山本勉氏,埼玉県警察本部職員をパネリストとし,それぞれの立場から性犯罪被害者への支援について御意見をいただきました。

また,最後に県立松伏高等学校合唱部によるミニコンサートを行いました。

来場者からは「誰にも相談できずに悩んでいる人が全国にたくさんいることを知った。」,「被害者の気持ちを理解することが大切であることを知った。」,「被害体験を思い出してしまったが,高校生の合唱で癒された。」など多くの声をいただきました。

ミニコンサート

○ 熊本大会

熊本大会は,性暴力被害者のためのワンストップ支援センター設置に向けた検討が始まったことに伴い,広く県民に関心を持っていただくため「性暴力被害者の現状と支援」をテーマとして開催しました。

基調講演では,性暴力被害者であり,性暴力被害者支援看護師(SANE)として被害者への支援活動をしている山本潤氏に,御自身の体験を踏まえて被害者に現れる症状や支援の在り方について話していただきました。さらに,熊本県の現状について,スクールソーシャルワーカー,弁護士,くまもと被害者支援センター相談員,警察官といった支援に実際に携わっている方々に報告していただきました。

この大会に参加していただいた方には,被害者が抱える苦しみと,関係機関だけではなく周囲を取り巻く多くの方々の理解と支えが必要なことを認識していただけたものと思います。

今後も,関係機関と連携して性暴力被害者への更なる支援の充実と県民への周知に取り組んでいきたいと考えています。

事例報告

これら犯罪被害者週間行事の開催状況の詳細は,内閣府犯罪被害者等施策ホームページで公開しています(http://www8.cao.go.jp/hanzai/joho/week/week.html#tsudoi)。

また,平成19年度から,犯罪被害者等に関する標語を募集しています。26年度は,応募作品約2,700点の中から広島市在住の成松颯都(なりまつ はやと)さんの「傷ついた 心をささえる 僕らの手」が最優秀作品として選ばれ,中央イベントで表彰されました。この最優秀作品を用いた犯罪被害者週間のポスター等を全国の地方公共団体に送付して,広報啓発事業に利用していただくとともに,地下鉄や関係諸機関,大学等で掲示していただきました。

犯罪被害者週間ポスター
犯罪被害者週間ポスター

また,平成26年度も,各都道府県が独自に実施した広報啓発事業についての情報を集約し,内閣府犯罪被害者等施策ホームページやフェイスブックで広報しました。最終的には,全都道府県で講演会,パネル展示等様々な活動が展開されたところです。

内閣府では,今後も,11月25日から12月1日までの「犯罪被害者週間」の広報啓発が全国を挙げての取組として周知が図られるよう努めてまいりたいと考えています。

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