第2章 犯罪被害者等のための具体的施策と進捗状況

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2 精神的・身体的被害の回復・防止への取組

(1) 保健医療サービス及び福祉サービスの提供

○主な取組

  • 「PTSD対策に係る専門家の養成研修会」の内容の充実等(厚生労働省)

    厚生労働省においては,医師,看護師,保健師,精神保健福祉士等を対象としたPTSD(心的外傷後ストレス障害)専門家の養成研修等を行い,精神保健福祉センター,病院,保健所等でPTSD を抱える地域住民等に対する相談支援を実施するなど,各施設での活動の充実を図っている。

    「PTSD 対策専門研修会」では,犯罪被害者等の心のケアに関する研修も実施しており,平成26年度は226人が受講した。

  • 警察における性犯罪被害者に対するカウンセリングの充実(警察庁)

    現在,都道府県警察において,部外の精神科医,臨床心理士等に対し,犯罪被害者等へのカウンセリングや職員のカウンセリング技術向上を図るためのアドバイザー業務の委嘱を行っている。また,被害少年に対しては,少年補導職員等の専門職員が,部外専門家等から助言を得つつ,カウンセリングを実施している。

    また,警察庁では,平成24年度からカウンセリング指導係を設置し,犯罪被害者等へのカウンセリング経験が豊富で臨床心理士の資格を有する係員を配置して,全国警察に対するカウンセリングの指導を実施している。

    さらに,平成19年度から,臨床心理士の資格を有する職員やその他の警察職員に対し,カウンセリング技能の向上を図るための専門的な研修への参加の促進を図っている(カウンセリング専門職員に対する専門研修に要する経費(国庫補助金): 26年度10百万円,27年度13百万円)。

(2) 安全の確保

○主な取組

  • 判決確定,保護処分決定後の加害者に関する情報提供拡充の検討及び施策の実施(法務省)

    被害者等通知制度の更なる充実について検討した結果,平成26年4月1日から,加害者の受刑中の刑事施設における処遇状況に関する事項として,懲罰及び褒賞の状況を,加害者の少年院在院中における処遇状況に関する事項として,賞,懲戒及び問題行動指導の状況を新たに通知することとした。

    また,保護観察の開始に関する事項の一つとして,従来から保護観察の終了予定年月を通知してきたが,これを年月日まで通知するほか,保護観察の処遇状況に関する事項として,特別遵守事項に基づき実施する特定の犯罪的傾向を改善するための専門的処遇プログラムの実施状況を新たに通知するなどの充実を図った。

(3) 保護,捜査,公判等の過程における配慮等

○主な取組

  • ビデオリンク等の措置の適切な運用(法務省)

    犯罪被害者等の意見をより適切に裁判に反映させるための犯罪被害者等の意見陳述の制度や,証人の証言時の負担・不安を軽減するためのビデオリンク等の制度の適切な運用に努めている。

    平成26年1月から同年12月までの間に,証人尋問の際に付添いの措置が採られた証人の延べ数は112人,証人尋問の際に遮へいの措置が採られた証人の延べ数は1,661人,ビデオリンク方式による証人尋問が行われた証人の延べ数は299人であった。

    証人の保護等の状況
    年次 証人の保護等
    付添い 遮へい ビデオリンク
    平成22年 102 1,295 261
    平成23年 136 1,317 242
    平成24年 121 1,757 288
    平成25年 116 1,792 278
    平成26年 112 1,661 299
    (注)
    1 最高裁判所事務総局の資料(概数)による。
    2 いずれも高等裁判所,地方裁判所及び簡易裁判所における証人の数(延べ人員)である。
    提供:法務省

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