第2章 犯罪被害者等のための具体的施策と進捗状況

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1 損害回復・経済的支援等への取組

(1) 損害賠償請求についての援助等

○主な取組

  • 日本司法支援センターによる支援(法務省)

    日本司法支援センター(通称:法テラス)では,犯罪被害者支援の経験や理解があるとして弁護士会から推薦を受けている弁護士を,個々の状況に応じて紹介しており,平成27年4月現在,2,985人の弁護士を紹介用名簿に登載している。26年4月1日から27年3月末日までの紹介件数は1,491件であった。

    また,損害賠償請求訴訟等の準備及び追行の過程で代理人である弁護士等がカウンセラー等を犯罪被害者等との打合せに同席させることに対して,同センターが支援を行うことについて検討を行い,平成26年4月から,支援を受ける要件を満たす場合に,同センターが実施する民事法律扶助制度による立替払の対象とすることとした。

(2) 給付金の支給に係る制度の充実等

○主な取組

  • 現行の犯罪被害給付制度の運用改善(警察庁)

    平成26年度における犯罪被害者等給付金の裁定金額は,約12億4,300万円となった。

    また,平成26年度の平均裁定期間(申請から裁定までに要した期間)は6.9月であった(第2次基本計画が策定された22年度は7.4月)。

    平成26年11月には,「犯罪被害給付制度の拡充及び新たな補償制度の創設に関する検討会」取りまとめの提言を受け,親族間犯罪に係る減額・不支給事由について見直しを行った(コラム6参照)。

    犯罪被害給付制度の運用状況
    犯罪被害給付制度の運用状況
  • カウンセリング等心理療法の費用の公費負担についての検討(内閣府,警察庁,法務省,厚生労働省,文部科学省)

    「犯罪被害者等に対する心理療法の費用の公費負担に関する検討会」は,平成25年1月,最終取りまとめにおいて,警察内部有資格者等によって提供されるカウンセリング等,既存の公的機関・制度において提供されている心理的支援について,これらを実施する人材の育成等が図られ,犯罪被害者がその地域を問わず一層充実した心理療法・カウンセリングが受けられるようになるための措置が執られるべきであるとの提言を行った。

    また,公費負担制度の対象として相当と認められる心理療法・カウンセリングの範囲を,心理療法・カウンセリングの必要性を判断する者,心理療法・カウンセリングの類型及び心理療法・カウンセリングの実施者等の観点から明らかにするための研究会が設置され,その研究に基づき,公費負担制度が導入されることを期待すると提言した。

    同提言内容については,同年3月に開催された犯罪被害者等施策推進会議において,これに従った施策の実施の推進が決定された。

    これを受けて, 警察庁では,「犯罪被害者の精神的被害の回復に資する施策に関する研究会」を開催した(コラム7参照)。

(3) 居住の安定

○主な取組

  • 被害直後及び中期的な居住場所の確保(厚生労働省,警察庁,内閣府)

    保護を要する女性については婦人相談所において一時保護(委託を含む。)を実施しており,配偶者からの暴力や人身取引被害者等を含めた一時保護件数は,平成25年度で1万1,623件(要保護女性本人6,125件,同伴家族5,498件)となっている。また,25年度の児童相談所の一時保護所内一時保護件数は2万1,281件,委託件数は1万2,016件となっている。

    警察庁においては,平成19年度から,自宅が犯罪行為の現場となり,破壊されるなど居住が困難で,自ら居住する場所が確保できない場合等に,一時的に避難するための宿泊場所を公費により提供し,犯罪被害者等の経済的,精神的負担の軽減を図っている(犯罪被害者等に対する一時避難場所等の借上げに要する経費(国庫補助金):26年度17百万円,27年度17百万円)。

(4) 雇用の安定

○主な取組

  • 被害回復のための休暇制度の周知・啓発(厚生労働省)

    厚生労働省においては,企業や労働者に対し,被害回復のための休暇制度についての周知・啓発を図るため,平成26年度にはリーフレット等を作成し,関係行政機関や,経済団体,労働団体等222団体に送付するとともに,セミナーを開催した。

    被害回復のための休暇制度
    被害回復のための休暇制度

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