コラム<3> 平成25年度 犯罪被害者週間中央イベント 議事録(抜粋)
公益社団法人ふくしま被害者支援センター支援員,少年犯罪被害当事者の会会員
渡邉佳子氏

私どもは,平成8年8月27日,当時16歳で高校2年生の長女,朗子を一時交際していた当時17歳で高校2年生の男子により殺害されました。
私どもの事件のあった当時,二女が中学3年の受験生,三女が中学1年生でした。
少年犯罪の被害者や被害者遺族は,加害者と同年代である場合が少なくありません。被害者に年齢の近い兄弟姉妹がいることが多いです。成人に満たないその兄弟姉妹がどのような大きなショックを受け傷つくか,配慮されるべきです。
当時の私は,子どもたちのケアに当たってくれる専門家がいるという認識はありませんでした。
子どもたちの通う中学校には,恐らく,スクールカウンセラーが配置されていなかったように思いますし,学校や警察,家裁,そのような機関からも,そのようなお話は一切ありませんでしたので,当然,緊急派遣もありませんでした。私たちは残念ながら,「当時,子どもたちのこういう対応に当たってくれたこういう人たちがおりました。」とは言えませんが,そういう方がいれば,どれほどの心の拠り所になったかと思います。
自分たちは加害者ではない。しかし,被害者であっても,他人の目は本当に怖いものでした。心無い報道や噂もあり,姉妹を亡くしたという悲しみ以外にも伸し掛かる現実は,子どもたちにたくさんあったと思います。残された親子までもが,毎日戦いのような日々を過ごし,ぶつかり合いながら過ごす日は,優に10年以上も続きましたが,スクールカウンセラー制度や,公的な支援があれば,出口がもう少し早く見付かっていたように思います。
今は,スクールカウンセラー制度として,被害者に温かい心を寄せる人を派遣してくれるものができているということで,とてもうれしく思います。
そして,もしそういう制度ができているならば,本当に被害者が学校や都道府県によって差が生じたり,カウンセラーさんの資質や経験に大きな差があったり,そういうことが弊害になって,被害者の人たちに二次被害を与えたりということが決してないように,そのためにも,スクールカウンセラーさんの身分の保障とかということもしっかりしてあげて,重要な仕事だということをみんなで認識するということが大切ではないかと思いました。
私どもの事件は,少年犯罪の場合ですから,死んでしまった被害者より,生きている加害少年の更生や立ち直りに力が注がれるでしょう。まさに,被害者遺族となった兄弟姉妹たちは,忘れられた存在です。事件から何年も過ぎているにもかかわらず,立ち直ることができず,未だに,社会復帰することができない兄弟姉妹たちも現実にいることを知って,忘れないでください。