《基本計画策定以前からの施策で、基本計画策定後も引き続き実施するもの》
財団法人犯罪被害救援基金において、犯罪被害者遺児に対する奨学金の給与などを行っている。
法務省において、証人などが危害を加えられた場合などに、各種給付を行っている。
種類 | 療養給付 | 休業給付 | 遺族給付 | 葬祭給付 | ||||
年次 | 件数 | 金額(円) | 件数 | 金額(円) | 件数 | 金額(円) | 件数 | 金額(円) |
昭和36年 | 2 | 4,050 | 1 | 6,528 | - | - | - | - |
昭和39年 | - | - | - | - | 1 | 1,020,000 | 1 | 61,200 |
昭和44年 | 1 | 35,204 | 1 | 19,813 | - | - | - | - |
昭和58年 | 1 | 5,050 | - | - | - | - | - | - |
平成18年 | 1 | 37,610 | - | - | - | - | - | - |
《基本計画において、「速やかに実施する」とされたもの》
警察庁において、都道府県警察に対して、パンフレット、ポスター、インターネット上のホームページなどを活用して犯罪被害給付制度の周知徹底に努めるよう指導している。また、犯罪被害給付制度の事務担当者を対象とした会議を開催するなどして、迅速な裁定など運用面の改善に努めるよう指導している。
犯罪被害給付制度とは、通り魔殺人などの故意の犯罪行為により、不慮の死を遂げた被害者の遺族又は身体に障害を負わされた犯罪被害者等に対し、社会の連帯共助の精神に基づき、国が犯罪被害者等給付金を支給し、その精神的、経済的打撃の緩和を図ろうとするものである。
今後とも都道府県警察に対して、犯罪被害給付制度の周知徹底、迅速な裁定など運用面の改善に努めるよう指導していく。
区分 | 17年度 | 18年度 | 19年度 | 前年比 | |
申請に係る被害者数(人) | 465 | 491 | 448 | -43 | |
裁定に係る被害者数(人) | 412 | 458 | 445 | -13 | |
支給裁定に係る被害者数 | 394 | 435 | 407 | -28 | |
不支給裁定に係る被害者数 | 18 | 23 | 38 | +15 | |
仮給付決定に係る被害者数(人 | 30 | 20 | 15 | -5 | |
裁定金額(百万円) | 1,133 | 1,272 | 932 | -340 |
都道府県警察において、司法解剖後の遺体を遺族宅まで搬送する費用や解剖による切開痕などを目立たないよう修復するための費用を公費により支給し、遺族の経済的、精神的負担の軽減を図っている。
《基本計画において、「1~3年以内を目途に検討の結論を得て、施策を実施する」とされたもの(「1~2年以内を目途に実施する」とされたものを含む)》
(5) 犯罪被害給付制度における重傷病給付金の支給範囲等の拡大
警察庁において、平成18年4月、重傷病給付金の支給要件の緩和や支給対象期間の延長などを行うとともに、親族間の犯罪における支給制限を緩和した。
(6) 経済的支援を手厚くするための制度のあるべき姿及び財源に関する検討並びに施策の実施
内閣府において、推進会議の下に、「経済的支援に関する検討会」を設置し、社会保障・福祉制度全体の中における犯罪被害者等に対する経済的支援制度のあるべき姿やその財源などについて検討を行った。
同検討会においては、平成19年9月に犯罪被害者等に対する給付の抜本的な拡充やカウンセリングについての配慮などを内容とする最終取りまとめを行った。
警察庁において、3つの検討会の最終取りまとめを踏まえ、平成20年2月1日、「犯罪被害者等給付金の支給等に関する法律の一部を改正する法律案」を国会に提出した(同年4月11日成立、同月18日公布。平成20年法律第15号)。この改正により、休業による損害を考慮した額が重傷病給付金(又は遺族給付金)に加算されることとされたほか、改正法に基づく政令により重度後遺障害者(障害等級1~3級)に対する障害給付金や生計維持関係のある遺族に対する遺族給付金が引き上げられるなど、給付水準の拡充が図られている(同年7月1日施行)。
警察庁において、平成18年度から、性犯罪被害者に対し、緊急避妊などに要する経費(初診料、診断書料、検査費用、中絶費用などを含む。)を援助することにより、犯罪被害者等の精神的・経済的負担の軽減を図っている(性犯罪被害者に対する緊急避妊などに要する経費(国庫補助金):20年度 112百万円、21年度 112百万円)。
今後も、都道府県警察に対して、本制度の適切な運用を指導していく。
厚生労働省において、平成18年7月、地方社会保険事務局に対し、
・犯罪被害者等が医療機関の窓口において、保険診療の実施を拒まれることがあるかどうか、現状把握に努めること
・具体的にそのような事例があった場合には、本省への報告を行うとともに、当該医療機関に対して適切な指導を行うこと
を指示した。
現時点においては、このような事案に係る報告は受けていないが、仮に、そのような事例があれば、地方社会保険事務局(平成20年10月以降は地方厚生局)から当該医療機関に対して適切な指導を行うことにより、犯罪被害者等の医療保険利用の利便性を確保することとしている。
今後も、地方厚生局などと連携して、引き続き適切な対応をしていく。
《基本計画には盛り込まれていないが、基本法・基本計画を踏まえ、平成18年度以降新たに実施しているもの》
海上保安庁において、司法解剖後の遺体を遺族宅まで搬送する費用や解剖による切開痕などを目立たないよう修復するための費用を公費により一部負担している。
「オウム真理教犯罪被害者等を救済するための給付金の支給に関する法律」(議員立法)が、平成20年6月11日に可決、成立し、同月18日に公布された(同年12月18日施行。平成20年法律第80号)。
これにより、オウム真理教による一定の犯罪行為(松本サリン事件、地下鉄サリン事件など)によって死亡した被害者の遺族には2千万円、当該犯罪行為により障害が残った被害者にはその障害の程度に応じて最高3千万円、当該犯罪行為により傷病を負った被害者にはその傷病の程度に応じて最高100万円が支給されることとなった(コラム2「『オウム真理教犯罪被害者等を救済するための給付金の支給に関する法律』について」参照)。