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犯罪被害者等施策に関する基礎資料

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3.第4次犯罪被害者等基本計画(令和3年3月30日閣議決定)

V 重点課題に係る具体的施策

第3 刑事手続への関与拡充への取組

1 刑事に関する手続への参加の機会を拡充するための制度の整備等(基本法第18条関係)
(1) 迅速・確実な被害の届出の受理

【施策番号125】

犯罪被害者等からの被害の届出に対しては、警察において、その内容が明白な虚偽又は著しく合理性を欠くものである場合を除き、迅速・確実に受理する。【警察庁】

(2) 告訴への適切な対応

【施策番号126】

犯罪の不成立が明白であるような告訴や根拠が必ずしも十分とは認められないような告訴については、告訴人に対してその旨を説明し、告訴状の補正や疎明資料の追加を促すなどの措置を執る場合もあり、直ちに告訴を受理することが必ずしも相当とは言い難い場合もあるが、警察庁及び法務省において、引き続き、告訴について可能な限り迅速な対応が行われるよう努める。【警察庁、法務省】

(3) 医療機関等における性犯罪被害者からの証拠資料の採取等の促進

【施策番号127】

ア 警察において、当初は警察への届出をちゅうちょした性犯罪被害者が、後日警察への届出意思を有するに至った場合に備え、医療機関等において性犯罪被害者の身体等から証拠資料を採取しておくため、協力を得られた医療機関等に性犯罪証拠採取キットを整備する取組を進める。また、証拠資料の保管に当たっては、性犯罪被害者のプライバシーの保護に配慮する。【警察庁】

【施策番号128】

イ 警察において、産婦人科医会等とのネットワークを活用するなどして、性犯罪被害者からの証拠資料の採取の方法を医師等に教示するとともに、捜査に支障のない範囲で、医療機関等で採取した証拠資料の鑑定状況に関する情報を提供する。【警察庁】

(4) 冒頭陳述等の内容を記載した書面交付の周知徹底及び適正な運用

【施策番号129】

法務省において、冒頭陳述等の内容を記載した書面を犯罪被害者等に交付することについて周知徹底を図り、一層適正に運用されるよう努める。【法務省】

(5) 公判記録の閲覧・謄写制度の周知及び閲覧請求への適切な対応

【施策番号130】

法務省において、犯罪被害者等から刑事事件の訴訟記録の閲覧・謄写の申出があり、相当と認められるときは、刑事事件の係属中であっても閲覧・謄写が可能である旨をパンフレット等により周知する。また、刑事確定記録の閲覧に際して、犯罪被害者等に対し、被告人や証人等の住所を開示するか否かについては、裁判の公正を担保する必要性と一般公開により生じるおそれのある弊害等を比較衡量してその許否を判断すべきものであるところ、犯罪被害者等保護の要請に配慮しつつ、適切な対応に努める。【法務省】

(6) 犯罪被害者等と検察官の意思疎通の充実

【施策番号131】

ア 法務省において、犯罪被害者等の意見等をより適切に把握し刑事裁判に適切に反映させるため、犯罪被害者等と検察官の意思疎通の一層の充実を図り、被害状況等の供述調書等による証拠化並びに犯罪被害者等の証人尋問及び意見陳述の活用等により、被害状況等の的確な立証に努める。【法務省】

【施策番号132】

イ 法務省において、犯罪被害者等の意向に応じ、適宜の時期に、検察官が刑事裁判の公判前整理手続等の経過及び結果について必要な説明を行うとともに、被害者参加人等が公判前整理手続の傍聴を特に希望する場合において、検察官が相当と認めるときは、当該希望の事実を裁判所に伝えるなどの必要な配慮を行うよう努める。また、犯罪被害者等が公判傍聴を希望する場合は、その機会が可能な限り得られるよう、公判期日の指定に当たっては、検察官が犯罪被害者等と十分なコミュニケーションを取り、必要に応じて犯罪被害者等の意向を裁判所に伝えるよう努める。【法務省】

(7) 国民に分かりやすい訴訟活動

【施策番号133】

法務省において、検察官による視覚的な工夫を取り入れた国民に分かりやすい訴訟活動を行うよう努める。【法務省】

(8) 保釈に関する犯罪被害者等に対する安全への配慮の充実

【施策番号134】

加害者の保釈申請がなされた場合には、法務省において、事案に応じ、改めて犯罪被害者等に連絡して事情聴取を行うなどして、裁判所に提出する検察官意見に犯罪被害者等の意見を適切に反映させるとともに、保釈申請の結果を犯罪被害者等に連絡するなど、犯罪被害者等の安全確保に一層配慮するよう努める。【法務省】(再掲:第2-2(80)))

(9) 上訴に関する犯罪被害者等からの意見聴取等

【施策番号135】

法務省において、検察官が、被害者のある犯罪について、判決に対する上訴の可否を検討する際、事案の内容等を勘案しつつ、犯罪被害者等から意見聴取等を行うなど、適切な対応に努める。【法務省】

(10) 少年保護事件に関する意見聴取等に関する各種制度の周知

【施策番号136】

法務省において、少年保護事件に関する意見聴取、記録の閲覧・謄写及び審判結果等の通知に関する各種制度について周知する。【法務省】

(11) 少年審判の傍聴制度の周知

【施策番号137】

法務省において、少年法の一部を改正する法律(平成20年法律第71号)により導入された、一定の重大事件の被害者等が少年審判を傍聴することができる制度等について、パンフレット等により周知する。【法務省】

(12) 日本司法支援センターにおける支援に関する情報提供の充実

【施策番号138】

日本司法支援センターにおいて、同センターが実施する犯罪被害者等支援の業務内容について、様々な広報媒体を連動させた広報活動に加え、SNS等のメディア媒体を活用した広報活動を実施する。【法務省】(再掲:第4-1(206)))

(13) 刑事に関する手続等に関する情報提供の充実

【施策番号139】

ア 警察庁及び法務省において連携し、犯罪被害者等の意見・要望を踏まえ、刑事に関する手続及び少年保護事件の手続並びに犯罪被害者等のための制度等について分かりやすく解説したパンフレット等の内容の充実を図り、パンフレットの配布方法等の工夫も含め、犯罪被害者等への早期提供に努める。【警察庁、法務省】(再掲:第4-1(221)))

【施策番号140】

イ 警察において、都道府県の実情に応じて作成・配布している外国語版の「被害者の手引」について、内容の充実及び見直しを図るとともに、その確実な配布やウェブサイトにおける紹介に努める。【警察庁】(再掲:第4-1(219)))

【施策番号141】

ウ 法務省において、犯罪被害者等に対し、その保護・支援のための制度を更に周知するため、外国語によるパンフレットやウェブサイトの作成等による情報提供を行う。【法務省】(再掲:第4-1(222)))

(14) 刑事に関する手続等に関する情報提供の充実及び司法解剖に関する遺族への適切な説明等

【施策番号142】

警察庁及び法務省において連携し、検視及び司法解剖に関し、パンフレットの配布等の工夫も含め、遺族の心情に配慮した適切な説明に努める。また、法務省において、警察庁、法医学関係機関等の協力を得て、司法解剖後の臓器等が司法解剖実施機関等で長期間保管される場合があることに関し、遺族の理解と協力を得るため、適切な説明等が行われるよう努める。さらに、警察庁及び法務省において、法医学関係機関等と調整の上、遺族に対する死者の臓器等の適切な返還手続等について検討を行う。【警察庁、法務省】

(15) 犯罪被害者等の意向を踏まえた証拠物件の適正な返却又は処分の推進

【施策番号143】

警察において、証拠物件が滅失、毀損、変質、変形、混合又は散逸することのないよう留意し、その証拠価値の保全に努めるとともに、検察庁と連携し、捜査上留置の必要がなくなった証拠物件については、当該物件の還付方法について犯罪被害者等と協議し、その意向を踏まえた上で返却又は処分するよう努める。【警察庁】

(16) 証拠品の適正な処分等

【施策番号144】

法務省において、被害者の遺族又は家族の心情を踏まえ、捜査・公判に及ぼす影響等にも配慮しつつ、証拠品の還付等を行うとともに、必要に応じ、還付の時期及び方法等について説明を行っているところであり、引き続きその適正な運用に努める。【法務省】

(17) 捜査に関する適切な情報提供等

【施策番号145】

ア 警察において、捜査への支障等を勘案しつつ、被害者連絡制度等の周知徹底・活用を図り、犯罪被害者等の要望に応じて捜査状況等の情報を提供するよう努める。また、必要に応じ、犯罪被害者等早期援助団体をはじめとする民間被害者支援団体等との連携を図る。【警察庁】

【施策番号146】

イ 法務省において、捜査への支障等を勘案しつつ、犯罪被害者等に対し、適時適切に捜査状況等の情報を提供するよう努める。【法務省】

(18) 適正かつ緻密な交通事故事件捜査の一層の推進等

【施策番号147】

警察において、重大・悪質な交通事故事件等については、捜査経験の豊富な交通事故事件捜査統括官及び交通事故の科学的解析に関する研修を積んだ交通事故鑑識官が事故現場に赴いて客観的証拠の収集等の捜査指揮を行うなど、適正かつ緻密な交通事故事件捜査を推進するとともに、捜査員に対する各種研修の充実に努めるなど、交通事故被害者等の心情に配慮した取組を一層推進する。【警察庁】

(19) 交通事件に関する講義の充実

【施策番号148】

法務省において、副検事に対する研修の中で、交通事件の留意点等を熟知した専門家等による講義を行うとともに、犯罪被害者等の立場等への理解を深めるための機会を設けるなど、交通事件に関する科目の内容の一層の充実を図る。【法務省】(再掲:第2-3(115)))

(20) 検察官に対する児童及び女性の犯罪被害者等への配慮に関する研修の充実

【施策番号149】

法務省において、検察官に対する研修の中で、児童や女性の犯罪被害者等と接する上での留意点等を熟知した専門家等による講義を行い、児童及び女性に対する配慮に関する科目の内容の一層の充実を図る。【法務省】(再掲:第2-3(114)第4-2(236)))

(21) 不起訴事案等に関する適切な情報提供

【施策番号150】

ア 法務省において、不起訴記録を保存する各検察庁に対し、不起訴記録の弾力的開示について引き続き周知徹底を図る。また、不起訴記録の開示対象の拡大についても、被害者保護の要請に配慮しつつ、引き続き適切な対応に努める。【法務省】

【施策番号151】

イ 法務省において、不起訴処分について、犯罪被害者等の要望に応じ、検察官が、捜査への支障等を勘案しつつ、事前又は事後に、処分の内容及び理由について十分な説明を行うよう努める。【法務省】

(22) 検察審査会の起訴議決に拘束力を認める制度の運用への協力

【施策番号152】

法務省において、刑事訴訟法等の一部を改正する法律(平成16年法律第62号)による改正後の検察審査会法(昭和23年法律第147号)で導入された、一定の場合に検察審査会の起訴議決に拘束力を認める制度について、公訴権の実行に関し民意を反映させてその適正を図るという趣旨の実現に向け、引き続き必要な協力を行う。【法務省】

(23) 受刑者と犯罪被害者等との面会・信書の発受の適切な運用

【施策番号153】

法務省において、受刑者と犯罪被害者等との面会・信書の発受が、犯罪被害者等の要望に応じ、法令に基づいて引き続き適切に運用されるよう努める。【法務省】

(24) 加害者処遇における犯罪被害者等への配慮の充実

【施策番号154】

ア 法務省において、矯正施設の被収容者を対象に実施している「被害者の視点を取り入れた教育」について、犯罪被害者等や犯罪被害者支援団体の意向等に配慮し、犯罪被害者等の心情等への理解を深めさせ、謝罪や被害弁償等の具体的な行動を促すための指導を含めた改善指導・矯正教育等の一層の充実に努めるとともに、指導効果の検証について、その在り方も含め検討を行う。また、家庭裁判所、検察庁等から矯正施設に送付される資料の中に犯罪被害者等の心情等が記載されている場合には、同資料を被収容者に対する指導に有効活用するよう努める。【法務省】(再掲:第2-2(101)))

【施策番号155】

イ 法務省において、保護処分の執行に資するため、少年の精神的・身体的状況、家庭環境、施設内での行動及び処遇の経過等に関する必要な記載がなされている少年簿について、関係機関と連携し、犯罪被害者等に関する事項について必要な情報を収集し、適切に記載するよう努める。【法務省】

【施策番号156】

ウ 法務省において、法制審議会からの諮問第103号に対する答申を踏まえ、刑の執行段階等における犯罪被害者等の心情等の聴取・伝達制度について検討を行い、必要な施策を実施する。実施に当たっては、刑事施設の長等と地方更生保護委員会及び保護観察所の長との連携が図られるよう努める。【法務省】

【施策番号157】

エ 法務省において、保護観察対象者の問題性に応じた専門的処遇プログラムの内容等の充実を図るとともに、当該プログラムの受講を保護観察における特別遵守事項として設定するなどして、当該プログラムを適切に実施する。また、保護観察対象者に対し、再び罪を犯さない決意を固めさせ、犯罪被害者等の意向等に配慮しながら誠実に対応するよう促すため、しょく罪指導を適切に実施する。【法務省】

【施策番号158】

オ 法務省において、「更生保護の犯罪被害者等施策の在り方を考える検討会」報告書を踏まえ、犯罪被害者等による心情等伝達制度へのアクセスの向上、しょく罪指導プログラムの充実化等について検討を行い、3年以内を目途に結論を出し、必要な施策を実施する。【法務省】

(25) 犯罪被害者等の視点に立った保護観察処遇の充実

法務省において、法制審議会からの諮問第103号に対する答申を踏まえ、更生保護における犯罪被害者等の思いに応えるための制度等として、次の事項について法整備その他の措置を講ずる。

【施策番号159】

ア 地方更生保護委員会及び保護観察所の長が保護観察等の措置を執るに当たっては、当該措置の内容に応じ、犯罪被害者等の被害に関する心情、犯罪被害者等が置かれている状況その他の事情を考慮するものとする。【法務省】

【施策番号160】

イ 犯罪被害者等の被害に関する心情、犯罪被害者等が置かれている状況その他の事情を理解し、その被害を回復すべき責任を自覚するための保護観察対象者に対する指導に関する事実について保護観察官又は保護司に申告し、又は当該事実に関する資料を提示することを、保護観察における遵守事項の類型に加える。【法務省】

【施策番号161】

ウ 仮釈放等の許否の判断に当たって、犯罪被害者等の申出により地方更生保護委員会が聴取を行う意見等の内容に、生活環境の調整及び仮釈放等の期間中の保護観察に関する意見が含まれることを明らかにする。【法務省】

【施策番号162】

エ 具体的な賠償計画を立て、犯罪被害者等に対して慰謝の措置を講ずることについて生活行動指針として設定し、これに即して行動するよう、保護観察対象者に対し指導を行う運用について検討を行い、当該指導の充実を図る。【法務省】

(26) 犯罪被害者等の意見を踏まえた仮釈放等審理の実施

【施策番号163】

地方更生保護委員会において、仮釈放等の許否の判断に当たって、犯罪被害者等の申出により聴取した意見等を考慮し、必要に応じて保護観察中の特別遵守事項に反映させているところ、仮釈放等の審理において、犯罪被害者等の意見が一層しんしゃくされるよう努める。【法務省】

(27) 更生保護官署職員に対する研修等の充実

【施策番号164】

法務省において、仮釈放等の許否を判断する地方更生保護委員会の委員を対象とした研修について、犯罪被害者等の意見を仮釈放等の審理に適切に反映させるための講義を実施しているところ、犯罪被害者等の心情や犯罪被害者等が置かれている状況に一層配慮した仮釈放等の審理がなされるよう、引き続き研修内容の充実に努める。【法務省】

(28) 矯正施設職員に対する研修等の充実

【施策番号165】

法務省において、矯正施設の新規採用職員や初級幹部要員を対象とする研修について、「犯罪被害者の視点」等のテーマによる講義を引き続き実施するとともに、上級幹部要員を対象とする研修について、犯罪被害者団体等の関係者を講師として招くなど、犯罪被害者等の心情、犯罪被害者等が置かれている状況等について理解を深められるよう、引き続き研修内容の充実に努める。【法務省】

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