3.第4次犯罪被害者等基本計画(令和3年3月30日閣議決定)
II 基本方針
第4次基本計画においても、第1次基本計画から第3次基本計画までと同様、基本法第3条の基本理念等を踏まえ、犯罪被害者等が直面している困難な状況を打開し、その権利利益の保護を図るという目的を達成するため、個々の施策の策定・実施に関し、次の4つの基本方針を定めることとする。
〔4つの基本方針〕
<1> 尊厳にふさわしい処遇を権利として保障すること。
基本法第3条第1項は、「すべて犯罪被害者等は、個人の尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい処遇を保障される権利を有する。」と規定している。
犯罪被害者等は我々の隣人である。また、社会に生きる誰もが犯罪等の被害に遭い、犯罪被害者等になり得る立場にある。したがって、犯罪被害者等のための施策は、例外的な存在としての犯罪被害者等に対する一方的な恩恵的措置ではなく、社会のかけがえのない一員として当然に保障されるべき犯罪被害者等の権利利益の保護を図るためのものであり、犯罪被害者等が、その尊厳が尊重され、その尊厳にふさわしい処遇を保障される権利を有していることを視点に据え実施されなければならない。
<2> 個々の事情に応じて適切に行われること。
基本法第3条第2項は、「犯罪被害者等のための施策は、被害の状況及び原因、犯罪被害者等が置かれている状況その他の事情に応じて適切に講ぜられるものとする。」と規定している。
犯罪被害者等のための施策は、犯罪被害者等が直面している困難な状況を打開し、その権利利益の保護を図るために実施されるものであることから、犯罪被害者等の具体的事情を正確に把握し、その変化にも十分留意しながら、個々の事情に応じて適切に実施されなければならない。
また、自ら被害を訴えることが困難なため被害が潜在化しやすい犯罪被害者等や、自己が直接の犯罪被害者ではないものの、兄弟姉妹が被害に遭ったこと等により心身に悪影響を受けるおそれがある子供等のニーズを正確に把握し、適切に実施されなければならない。
<3> 途切れることなく行われること。
基本法第3条第3項は、「犯罪被害者等のための施策は、犯罪被害者等が、被害を受けたときから再び平穏な生活を営むことができるようになるまでの間、必要な支援等を途切れることなく受けることができるよう、講ぜられるものとする。」と規定している。
犯罪被害者等のための施策は、犯罪被害者等が現に直面する困難な状況を打開することに加え、犯罪被害者等が再び平穏な生活を営むことができるようになることを見据えて実施されるべきであり、そのためには、犯罪被害者等支援を目的とした制度以外の制度や民間の取組等も十分活用し、犯罪被害者等の生活再建を支援するという中長期的な視点が必要である。その上で、犯罪被害者等のための施策は、全ての犯罪被害者等が必要な時に必要な場所で適切に支援を受けることができるよう、途切れることなく実施されなければならない。
<4> 国民の総意を形成しながら展開されること。
基本法第6条は、「国民は、犯罪被害者等の名誉又は生活の平穏を害することのないよう十分配慮するとともに、国及び地方公共団体が実施する犯罪被害者等のための施策に協力するよう努めなければならない。」と規定している。
犯罪被害者等のための施策は、犯罪被害者等が、その名誉又は生活の平穏を害されることなく共に地域で生きていくことができるようにするため、犯罪被害者等のための施策に協力するという国民の総意を形成する観点から、国民の信頼が損なわれることのないよう適切に実施されなければならない。