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日時: | 平成18年12月14日(木)13時01分~15時07分 | |
場所: | 合同庁舎4号館共用第2特別会議室 | |
出席者: | ||
議長 | 山上 皓 | 東京医科歯科大学難治疾患研究所教授 |
井上 正仁 | 東京大学大学院法学政治学研究科教授 | |
大久保 恵美子 | (社)被害者支援都民センター理事兼事務局長 | |
岡村 勲 | 全国犯罪被害者の会代表幹事 | |
久保 潔 | 元読売新聞東京本社論説副委員長 | |
小西 聖子 | 武蔵野大学人間関係学部教授 | |
瀬川 晃 | 同志社大学法学部教授 | |
中島 聡美 | 国立精神・神経センター精神保健研究所成人精神保健部犯罪被害者等支援研究室長 | |
山田 勝利 | 弁護士 | |
荒木 二郎 | 内閣府犯罪被害者等施策推進室長 | |
片桐 裕 | 警察庁長官官房総括審議官 | |
三浦 守 | 法務省大臣官房審議官 | |
代理 | 生嶋 文昭 | 総務省自治行政局自治政策課長 |
代理 | 門田 公秀 | 文部科学省大臣官房総務課企画官・副長 |
代理 | 中野 雅之 | 厚生労働省大臣官房政策評価審議官 |
代理 | 依田 晶男 | 国土交通省住宅局住宅政策課長 |
[経済的支援に関する検討会 座長] | ||
國松 孝次 | 財団法人犯罪被害救援基金常務理事 | |
[支援のための連携に関する検討会 座長] | ||
長井 進 | 常磐大学大学院被害者学研究科教授 | |
[民間団体への援助に関する検討会 座長] | ||
冨田 信穂 | 常磐大学大学院被害者学研究科教授 |
資料3 山田委員資料 [1][PDF形式:327KB] [2][PDF形式:351KB]
※ なお、専門委員等会議構成員、各検討会座長のいずれの発言についても、便宜上、「構成員」と表記した。
(議事内容)
○犯罪被害者等施策の進捗状況について
事務局より、資料1-1に基づき「犯罪被害者等基本計画」の進捗状況について説明があり、続いて、資料1-2~資料1-8に基づき、各府省庁より関連施策の進捗状況について説明がなされた。その後、構成員から質問がなされた。主な質問は以下のとおり。
(構成員) 性犯罪被害者等に新たに補助金という形で予算措置していただいたが、全都道府県警察で予算化がされているのか。
(構成員) 初診料は44都道府県で措置されており、残りの県も来年度予算で要求すると聞いている。診断書料は、全都道府県で措置済みである。また、検査費用は、32都道府県で措置済みで、残りの件もほとんどが来年度予算で要求すると聞いている。緊急避妊は、30都道府県で措置済みで、残りも来年度予算では要求すると聞いている。人工妊娠中絶であるが、措置済みは14都道府県である。残りは一部の県が要求すると聞いている。
(構成員) 居住の安定ということで、犯罪被害者の入居は優先的になされるという施策について、まだ施策ができ上がっていない都道府県がどれぐらいあるのか。そういうところに対してどのような指導を考えているのかということを教えていただきたい。
(構成員) 公営住宅の優先入居については、ガイドライン等で示しているけれども、実際にどういう優先の仕組みを講じるかといったことは、管理主体の判断によって行われている。ただ、こういった方々に対してはこういう要請から優先入居の取り扱いができるということは、示ししている。
それから、受け入れがどの程度できているかということは、実態を調べていきたいと思っている。
○3つの検討会の「検討会」の検討状況について
・まず、資料2-1に基づき、経済的支援に関する検討会の検討状況について、座長より概要以下のとおり説明があった。
「経済的支援に関する検討会は、これまで9回開催した。そのうち、第2回、第3回、第5回と3回にわたって、犯罪被害者の支援に関する制度及びその周辺にある社会保障・福祉制度等について、それぞれ担当省庁からブリーフィングをいただいた。
なお、その間、第4回の会議においては、ほかの検討会との合同でイギリス、アメリカ、ドイツ、フランスにつきます被害者保障制度について話を承った。
そうした我が国における制度の状況、あるいは海外主要国における制度の状況等を踏まえ、検討会の構成員から、今後の検討会の検討項目を提出いただいた。それを取りまとめたものが、経済的支援に関する検討会における検討事項である。9月の第6回の会議から現在まで4回にわたって、一わたりのご議論をいただいたところである。
内容は、6項目に整理している。1つ目が経済的支援の理念・目的、それから財源などに関するもので、以下、医療費、カウンセリング、補装具費、環境整備、その他、逸失利益であるとか休業補償であるとか、葬儀費であるとか慰謝料といったものへの支援の在り方等について議論したところである。
その他、経済的支援の手続、給付方法、管理・運営、それから法形式に関するもの、経済的支援の対象に関するものについて議論したところである。
テロ事件の被害者等に対して特例的に何か措置すべきものがあるのではないかということについても、議論をしたところである。
併せて検討することとされているものは、まだ議論していないが、その前の5つの項目の議論が終わった後、議論を進めるという順序でやっていこうと思っている。
今後は、検討会の答申というか提言というか、そういうものの内容として盛り込むべきこと、どういう形で盛り込むのかということについて、もう少し詰めた議論をしていきたいと思っている。そのために、これまでの議論を踏まえ、座長としてのたたたき台を作成し、構成員に配付する予定である。来年春までには、検討会の答申として盛り込むべき事項についての中間的な報告にまとめるべく、これから努力してまいりたいと考えている。
・続いて、資料2-2に基づき、支援のための連携に関する検討会の検討状況等について、座長より概要以下のとおり説明があった。
「開催状況については、資料のとおりである。基本計画にのっとり、まずは第2回目で論点整理を行い、今後のスケジュール案が事務局から提案され、了承された。大きな作業の1つとしては国内の実態調査として、ヒアリング及び調査票の取りまとめを行った。また、もう1つは、国外において実態を調査したところである。
まず、その論点整理及びスケジュールに基づき、第3回目に海外の実情について有識者からのヒアリング等を行い、また第4回目には、行政からのヒアリングを行った。また、第5回目では、有識者からのヒアリングとして、連携を強化する仕組みについて、いろいろ先進的な取組の内容を具体的に説明いただいた。
また、国内における連携の実態を調べるためのいわゆる連携調査の実施や、今後の検討の進め方等についても討議が行われた。9月、10月にかけて国外の調査及び国内における連携調査の実施等が行われ、第6回の会議を民間団体への援助に関する検討会と合同で開き、民間団体の現状と問題点、連携の現状と問題点等が討議された。
少しこの第6回について説明申し上げる。
国内における現状としては、定例会議の開催や、手引書、事例集を作成するなどして、構成機関・団体相互の連携の強化に努めているネットワークでは、相互の有機的な連携に基づく支援、いわゆる橋渡しがなされていた。また、構成機関・団体の間で意識や取組に差がある、構成機関・団体相互の役割や所掌について共通認識が図られていない、連携調整を担う人材の確保が困難であるなどの問題が指摘された。また、被害者の情報が共有されていないため、縦割りの情報網によって被害者がたらい回しになるというような指摘もあった。
一方で、海外調査の結果であるが、これは各国各様で、アメリカは全米規模のシンポジウムの開催によって、情報交換やネットワーキングする機会を設けているという実態もあるし、また、支援プログラム単位でのガイドラインの設定、補助金の交付等で、相互の連携が促されているという実態が明らかになった。また、被害者に関する情報については、警察と州の犯罪被害者委員会で情報交換ができるシステムが存在しているということがわかった。
英国においては、警察とヴィクティム・サポートが緊密に連携している実態が報告された。ただし、ヴィクティム・サポートと地方行政サービス、具体的には住宅の問題等を含む行政サービスとの連携は、組織化されていなかった。また、被害者の同意に基づいて、ヴィクティム・サポートから関連機関・団体への必要な情報提供を行っているということが報告された。英国においても、継ぎ目のない支援が実態としては存在せず、むしろ到達すべき課題となっているということが報告された。
フランスにおいては、INAVEMが中心となっているが、日本司法支援センターに似たイメージで、全国各地からの電話を集中的に受け付けて、身近な加盟機関、加盟機関以外の関係機関を紹介しているという実態が報告された。警察とINAVEMの間の情報提供のシステムは存在しないということだった。
ドイツにおいては、「白い輪」が中心になって、いろいろ連絡をとっているが、警察と「白い輪」の間では情報の交換がなされる仕組みは制度化されていないということが報告された。
そのような海外の実態が報告された。
国内における連携調査について言えば、連係調査には情報管理、他機関・団体から被害者等の紹介、提供される情報、今後提供を望む情報、他機関・団体への犯罪被害者等の紹介等々、いろいろな調査項目が含まれていた。基本的には非常に緩やかな連携で、さらなる連携が必要であるという実態が分かった。
第6回の会合の討議に基づき、連携の現状、問題点について、さらなるネットワークの構築のためには、支援を行う際の留意点、関係機関・団体の役割、支援内容、連携先等の関係機関・団体への周知や、関係機関・団体へ伝達すべき情報に関する指針の提示といった実務者レベルでの連携を促すための方策を検討する必要があるとの合意を得て、第7回で提言案が事務局から提示された。
提言の骨子としては、1つは「犯罪被害者支援ハンドブック(仮称)」の作成。これは基礎的自治体レベルにおけるもの、また都道府県レベルにおけるもの等に分かれている。2つ目に、関係機関・団体へ伝達すべき犯罪被害者等に関する情報のガイドラインの作成。次に、いわゆる犯罪被害者カードの作成。4つ目に、支援に携わる者の倫理綱領の作成等が提示された。3日前に行われた第7回の検討会では、事務局案に基づき、具体的で実現可能な方策を議論するということで自由討議が行われた。
提言案の前文の部分についてのコメント、また犯罪被害者支援ハンドブックの作成の重要性、国が詳細なモデル案を示すべきこと等、いろいろな意見が出された。また、検討事項の一つとして、被害者カードが含まれていたが、これについては積極論、慎重論が提示され、統一見解には至っていない。次回の検討会において、改訂された事務局案を再度提示し、構成員に自由討議をしていただきたいと考えている。
今後の予定としては、そのことを含め、来年1月の第8回では、支援者・コーディネーターの育成方策、また3月の第9回では、相談の一元的な受付・対応場所に関するいわゆるワンストップサービス化等が中心の議題になる。さらに5月開催予定の第10回では、中間報告案を示す予定になっている。
・最後に、資料2-3に基づき、民間団体への援助に関する検討会の検討状況等について、座長より概要以下のとおり説明があった。
当検討会では、他の検討会との合同会議を含め、これまで7回にわたり会合を開催した。初回の会合では、顔合わせを行い、第2回から第5回にかけ、民間団体の活動、財政運営状況や、民間団体への援助の実態、海外の実情を把握するため、検討会構成員からの発表とともに、実際に支援活動に携わっている方や有識者、関係省庁の職員へのヒアリングであるとか、各種調査を行った。
先月2日の第6回会合においては、このようなヒアリングや調査の結果をもとに、民間団体の現状と問題点につきまして論点整理を行った。さらに、先週の第7回会合においては、この論点整理に沿って、民間団体への支援の在り方、国による民間団体への援助の在り方について議論した。今後は、論点を一通り検討した後、来年夏ごろの中間報告取りまとめに向け、さらに議論を深めていく予定である。
民間団体の現状と問題点等についてという資料は、第5回会合までのヒアリングや調査結果をもとに、論点ごとに関連する現行制度や民間団体の現状、問題点、ヒアリング等の過程で出た各論点に対する意見等を整理したものである。これは、第6回会合において配付されている。
主なものは、まず冒頭の民間団体による犯罪被害者等支援の在り方というところであるけれども、ここでは国や地方公共団体と民間団体との役割分担であるとか、民間団体が行った方が効果的と考えられる活動などについて検討しているところである。基本的には、民間団体の援助活動の有効性については積極的な意見が中心である。
国による民間団体への援助の在り方というところでは被援助団体の範囲であるとか、対象となる事務の範囲、それから財政的援助に代替し得る人的・物的援助策の内容であるとか、援助の経路、それから財源の5つが主な論点になっている。被援助団体の範囲については、犯罪被害者等早期援助団体、早期援助団体以外の被害者支援団体、自助グループと呼ばれているものの3つに分けて議論を進めているところである。
対象となる事務の範囲については、地方公共団体が財政的援助を行っている事業は、相談であるとか面接、それから広報啓発、人材育成が中心となっているが、一部の地方公共団体では、付き添いであるとか情報提供、自助グループ支援、管理運営一般も支援の対象にしている。本検討会では、民間団体の現状を踏まえ、今後、具体的にどの活動から重点的に援助すべきであるのかということを、財源との関係も考えながら、議論を進めているところである。
それから、財政的支援に代替し得る人的・物的援助策についてはヒアリングの結果などを踏まえ、事務所等の提供、人材育成への協力、広報啓発への協力等に分けて議論を行う予定である。
援助の経路については、現在、地方公共団体が民間団体に対して直接的に財政的な援助を行い、国が援助に要した費用の一部を補助金や交付税措置として負担する方式になっているけれども、ヒアリングや昨年の基本計画検討会の場では、国も直接財政的援助を行うことがあり得るということを想定して、財政的援助を行うに当たって受け皿となる組織が必要なのではないかという議論などが出ている。こうした議論を踏まえ、これからも援助の経路について考えてまいりたいと思っている。
あわせて、民間団体の活動をどう評価するのか、あるいはその活動をチェックするにはどのような仕組み等をつくったらよいのかということも、あわせて検討する予定である。
財源については、現在、民間団体への援助は一般財源となっているが、これは他の検討会等でも出ているように、基金を設けて、そこからの民間団体への援助も考えていくことも必要なのではないかという議論が出ている。
(構成員) 経済的支援に関する検討会について、「仮給付」についての検討状況はどのようなものであるのか少し詳しく説明いただきたい。
それから、犯罪給付法の改正で行うのか、新規立法で行うのかということも議論していただいたようであるが、これは今どうなっているだろうか。
(構成員) まず、仮給付に関する討議状況であるが、このことについての当検討会としての結論はまだ出ていないし、方向というのもまだはっきりわからない。少なくとも、本給付を早くするという解決策というのもあるわけで、それがどの程度できるのかという議論とも絡んでくる。それから、仮給付がなかなか難しいのであれば、貸し付けという制度を設けてはいかがかという議論も出ている。ただ、貸し付けを公的な機関が行うということになると、いろいろな面で問題も出てくるので、基金ができれば可能になるのではないかという議論も出ているが、どういう方向で議論が煮詰まっていくのかということは、今の段階で申し上げられない。それから、犯給法の改正でいくのか、新規立法でいくのかということについては、まだほとんど議論していない。どういう経済的支援の内容になっていくのかということがある程度固まらないと、結論は出ない。今のところ、これについても確たる討論の結果、方向性もきちっと出ているわけではない。
(構成員) 過失犯の犯罪被害者等を対象に加えるべきかということとか、財産犯の犯罪被害者等を新たに対象に加えるべきかという点があるが、昨今報道されているような、交通事故等による大変大きな被害もあるし、財産犯についても、少なくとも高齢者が大きな財産を、振り込め詐欺等によって奪い取られるというようなこともある。その辺についての議論はどのようになされているだろうか。
(構成員) ここでまだ申し上げるような状況ではないかもしれない。あくまで座長としての一つの感想であるが、過失犯、財産犯を犯罪被害者に対する経済的支援の枠内に持っていこうということについては、どちらというと消極的な意見があった。過失犯の中の一番の大ごとになってくるのは、交通事故被害者であるから、それはその枠の方で検討いただければ、もっといい結論が出るのではないだろうか。特に、過失犯については、例えば自転車で被害があったという場合は、今の自賠責ではどうにもならないから、何とかそれをこちらで拾うという議論もあるが、それは交通事故被害の枠内で議論いただければいいのではないか。財産犯についても同じである。
(構成員) 1つは意見、1つは提言になるけれども、被害者支援のための法律は、被害者が権利として主張する、新しい形の保障法というものをつくっていただきたいと思っている。
それから、今後、戻って検討されるものに附帯私訴の場合の印紙を追加して議論いただきたい。昔の附帯私訴というのは、印紙は張らなかったし、それからフランス等においても、附帯私訴には印紙は張られていない。
(構成員) 国家補償の観点を入れるべきかどうか、全く同じ趣旨の発言が検討会の構成員から発言されているので、それをを踏まえて今後の議論が行われるものと思う。
(構成員) 損害賠償請求について、刑事の手続を利用した制度を新たに導入するということで、法制審議会で現在、議論していただいているところである。その制度を被害者の方が利用する場合の印紙がどうなるかについて、実際にその制度を法案としてまとめる場合には、どのぐらいの負担をしていただくのかを決めた上で、法整備をしなければならないと考えている。
(構成員) 確定記録についての開示は非常にばらつきが多くて、丁寧に確定記録を見せてくれるところもあれば、ほとんど見せないところもある。それから、確定記録一式というと、起訴状と判決は別のところへつづってあるといって出てこない。また申請しなければならないとか、そういうばらつきがあるので、確定記録について法務省に検討してもらいたいと思う。
(構成員) 確定記録についての閲覧は、刑事確定訴訟記録法があって、その法定の要件に従って閲覧していただく。基本的には原則公開のもので、一定の支障がある場合に、その閲覧を制限するという仕組みになっている。もちろん不服があれば、準抗告という形で不服申立てもできる仕組みになっている。本来的にはそれに従ってばらつきなく行われるべきものだろうと思う。不起訴記録、公判記録の問題と同様に、もちろん被害者の方にとっても、記録を見ていただく制度としても存在しているので、問題があるかどうか、あるとすればどういうふうに対応すべきかということについては、私どもの方で考える。
(構成員) 不適切な運用の例を今度持って参るので、検討していただきたい。
(構成員) 財源の問題は非常に大きい問題だと思うが、これについての検討状況はどうなっているのか。また、どこまでこの検討会で詰めて提言されるつもりなのか、見通しも含めてお伺いしたい。
(構成員) それをどこまで書けるのかというのが、検討会の一つのこれからの一番大きな課題になってくるだろうと思う。一段と充実した経済的支援を行うということでのコンセンサスはあるが、結局、どこからお金が出るのかという議論はどうしても避けて通れない。一般財源でやったらいいではないかというのが、一番話としてはあるが、そうも言っていられないという議論もある。
「罰金を財源に」という話が出るが、これを一つの特定財源にするというのは、まことに難しい問題だろうと思う。現在の国の大きな施策の方向が、特定財源というのはなるべく少なくしようという議論があるところであるから、逆に罰金のある一定部分を特定財源とするというような議論が、仮に被害者に対して使うという大義名分については理解できても、通るのかということになると、これは検討会では扱いかねるような大問題にもなる。そもそも、罰金の一部を特定財源にする、あるいは特定財源的に運用するといっても、罰金の額というのは決まってしまっているので、その一部を被害者のためにといった場合に、実は別のところは少なくなるわけである。
したがって、新しい財源というものがどこかにないだろうかというような議論もしなくてはならない。どこからなのかといったら、これはまだわからない。だから、結論めいたものはまだ出ていない。
ただ、その関連で1つ出ているのは、支援基金というようなものをつくって、そこで公的な給付では出しにくい給付が、犯罪被害者支援の場合はいろいろと出てくるが、そういうものはそちらでやったらどうだろうかという形で、ある程度の支援を行っていったらいいのではないかという方向もある。
ただ、問題は、その基金の財源はどうするのかということになってくるわけである。そういう基金をつくれば、ある意味では民間のいろいろな形での寄附金を期待もできるので、少し丸みのある支援も可能になってくるのではないか。
この問題は、我々のこれからの一番の難しい課題であるが、何とかしかるべき結論が出ないものかということで、これから努力してまいりたいと思っていると。
(構成員) 私が感じていることであるが、ほかの特定財源の場合とは少し違った意味合いが、罰金とこの被害者の問題というのはあるような気がする。実際に重大な事件を起こした犯罪者で、直接、被害者に賠償を払えるような人があまりおらず、刑務所の中で例えば作業の報償金とかが入ってくることもあるし、犯罪者が払ったものが被害者の支援につながっていくというのは、犯罪者の矯正あるいは更生保護の視点から見ても、本来の在り方に近づくのではないだろうか
○自由討議
概要以下のとおり、構成員から発言があった。
(構成員) 資料3を見ていただきたいけれども、これは日弁連の理事会で、経済的支援拡充に関する意見書という形で出されたものである。論点は、補償法を制定すべきであるということと、公費による弁護人制度を導入すべきであるということである。
この意見書の中で犯罪に遭われた方が一体どういう状況に置かれるのかということを、5ページから6ページにかけて時系列的に記載していて、被害者の方々が大変な状況に陥り、非常に狼狽されているときに、弁護士がついていて適切なアドバイスができるのであれば、相当の援助になるのではないかと思われるが、残念ながら今の状況では、弁護士に対する費用を払わなくてはならない。
それで、こういった重要性というものをぜひご一読いただき、今後、検討の場において、何とぞご配慮いただきたい。
(構成員) 構成員の提出された資料は、前回の11月の検討会のときに、当検討会の構成員からも提示があった。したがって、まだ配られたばかりであるので、これから当該構成員からいろいろな発言があるものと思う。
それから、公費による弁護士選任の問題については、あわせて検討する問題であるけれども、まだそこまで話が行っていないので、これから議論していきたい。
(構成員) 民間被害者団体や支援者側の財源については、まだ今のところどうするかという検討はなされていないようであるけれども、今後、そういった部分についても検討がなされるということはあるだろうか。
(構成員) 私どもの方で支援基金というようなものをつくったらどうかという意見も出ているので、具体的にどういう性格にするのかというのはまだ全然決まっていないが、そういうことを議論する過程で、当然、民間団体への援助の検討会とのす合同でいろいろ検討しながらやっていかなければならないと思っている。
(構成員) 3つの検討会が有機的に関連しているということが非常によくわかったように思う。ただ、経済的支援に関する検討会に全面的に全部を任せると言われても非常に困るところがあって、むしろ第2検討会あるいは第3検討会の方からの要望を踏まえて我々も議論すべきであるし、また、そうしなければできないところがあるので、ぜひいろいろな立場で、第1検討会に対していろいろなご要望をいただきたいと感じた。
(構成員) 合同で検討する機会を増やしていく方が、効率が上がりそうな時期に来ているかと思うが、どうだろうか。
(事務局) タイミングを見て、3つ合同にするか、援助関係だけ2つ合同にするか、いろいろ考えてまいりたいというふうに考えている。
(構成員) 第2検討会は支援の連携であるから、今後継続してある程度そういうことにお金を使っていかなくてはいけないこういうことに関しては、実は継続するためには非常に費用がかかる。長期継続していく場合の財源をどういうふうに考えていくかということについて、問題があるなと思う。
(構成員) 日本司法支援センターのことについて伺いたい。当初危惧されていたようにたらい回しとかが多少出ていると聞いているけれども、被害者は特にそういう意識が強いと思うので、その辺のことを教えていただければと思う。
(構成員) 実情に関して詳しく承知していないので、どういう状況があるのか伺った上で、ご説明したいと思う。
(構成員) 構成員から司法支援センターの話が出ましたので、あわせてお願いしたいが、犯罪被害者の相談電話を受けている相談員の皆さんの中には、犯罪被害者に関する研修を受けているとは言えない方たちもかなり入っていらっしゃるようである。被害者支援都民センターの方から推薦して電話相談に入っていただいた方たちからの苦情がたくさん入っているので、ぜひ司法支援センターにおいても、犯罪被害者に関する研修を積み重ねていただきたいと思っている。今 もう一つ、現場から見ると、せっかくの制度が使えない場合があるので、被害者のためになる形で使えるように、また評価等も視点に入れながら、各省庁の皆さんは関係機関への指導等もきちんと行っていっていただきたい。
(構成員) 第1回の犯罪被害者週間の様子を報告していただければと思う。
(事務局) 初日の11月25日でしたが、秋田県は、県で基本計画をつくっている県で、先進県である。関係機関の連絡先みたいなものを網羅したハンドブックみたいなものも、県レベルでつくられて、250人ぐらいの会場だったけれども満員で、大変盛り上がったシンポジウムが行われた。
それから、同じ日にあすの会、次の日が山上先生のネットワークということで、土日にやっていただき、月曜日が中央大会ということで、法務大臣や国家公安委員に出ていただいて、構成員に基調講演をいただいた。その中でも、先ほど構成員からあったように、被害者の方が病院に行ったら、病院のお医者さんから心ない発言があったという発言があって、なかなか第一線の医療、福祉、あるいは警察の中にもまだまだ理解のない人がいらっしゃるかもしれないけれども、そういう認識が今後どうやったら浸透していくのかというのが課題ではないかと思った次第である。
その翌々日の水曜日に神奈川県で、これには副大臣が出席して、弁護士の大澤先生に基調講演などをいただいた。神奈川県もかなり一生懸命取り組んでいる県である。
それから最後に、大阪大会では、12月1日の基本法が成立した記念日に、大臣も主席して、あすの会の方でやっておられる人形劇などもあった。犯罪被害者等基本法ができた、基本計画ができた、被害者の方はこういう立場にあるんだということが、やはり各国民一人一人までは、行政機関も含めて、あるいは地方自治体も含めて、まだまだこれからだという感じがしているので、そういう形でぜひ何とか被害者問題の重要性に対してもっと国民の理解と協力を得るというのが重要課題の一つにもなっているので、頑張ってまいりたい。
(構成員) 自治体が独自にやったという情報はないか。
(事務局) 例えば被害者相談所を設けたとか、そういった取組をされているところはあったように思う。
ただ、窓口がまだできたばかりで、何をやったらいいのかまだよくわからないというところが結構多くて、先進的な取組のご紹介などをしながら、何とかしてまいりたいというふうに考えている。