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日時: | 平成18年8月7日(月)13:00~15:00 | |
場所: | 合同庁舎4号館 共用第2特別会議室 | |
出席者: | ||
座長 | 長井 進 | 常磐大学大学院被害者学研究科教授 |
奥村 正雄 | 同志社大学大学院司法研究科教授 | |
高井 康行 | 弁護士 | |
本村 洋 | 全国犯罪被害者の会幹事 | |
山上 皓 | 東京医科歯科大学難治疾患研究所教授 | |
荒木 二郎 | 内閣府犯罪被害者等施策推進室長 | |
廣田 耕一 | 警察庁犯罪被害者対策室長 | |
井上 宏 | 法務省大臣官房司法法制部司法法制課長 | |
木岡 保雅 | 文部科学省初等中等教育局児童生徒課長 | |
依田 晶男 | 国土交通省住宅局住宅政策課長 | |
代理 | 荻野 剛 | 総務省自治行政局自治政策課理事官 |
代理 | 山口 高志 | 厚生労働省政策統括官付 社会保障担当参事官室室長補佐 |
説明者 | 和田 義広 | 杉並区区民生活部参事 |
照山美知子 | いばらき被害者支援センター事務局長 | |
川崎 政宏 | NPO法人おかやま犯罪被害者サポートファミリーズ理事長 | |
井上摩耶子 | ウィメンズカウンセリング京都代表 |
(議事次第)
1.開会
2.有識者からのヒアリング(連携を強化する「仕組み」について)
1)杉並区の取組状況について
2)連携を強化するための支援者の養成について
3)コーディネーター・専門的チームについて
4)アドヴォカシー制度について
3.連携調査の実施について
4.今後の検討の進め方について
5.閉会
(配布資料)
資料1 | 杉並区資料[PDF形式:32KB] |
資料2 | 照山氏資料[PDF形式:25KB] |
資料3 | 川崎氏資料[PDF形式:52KB] |
資料4 | 井上氏資料[PDF形式:21KB] |
資料5 | 連携調査関係資料[PDF形式:52KB] |
資料6 | 内閣府資料[PDF形式:14KB] |
(議事内容)
1.有識者からのヒアリング(連携を強化する「仕組み」について)
有識者から、地方自治体の取組、連携を強化するための支援者の養成やコーディネーター・専門的チーム、アドヴォカシー制度等についての説明がなされた。
(1)杉並区の取組状況について
○説明者 今回の検討の趣旨が、連携の「仕組み」ということであるが、杉並区の方はまだ始まったばかりであり、連携についてはこれからの課題なので、資料に基づき、なぜ杉並区が犯罪被害者支援を全国の自治体に先駆けて取り組むようになったかという経過と制度の概要を簡単に説明し、連携の仕組みについては、内部検討して来年度の予算の中で措置するものなどについて説明する。
(1)条例制定までの取組については、平成15年9月、第3回区議会定例会において、議員から、「区においても、犯罪被害者支援に取り組む必要があるのではないか。」と一般質問があった。「区が掲げている『やさしさを忘れず、共に生きるまち』をつくるためには、ご指摘のようなことがなされて初めて、誰もが安心して暮らせるまちになるのではないか。」と考えた。それを踏まえた具体的提案として、条例の制定、総合相談窓口の設置という意見が出され、区としてもそれを踏まえ、制度検討をして、できるだけ早い時期に制度を立ち上げるということで、専門家検討会の設置から始まり検討を進め、平成18年4月に条例を施行し、併せて平成17年10月に配置した担当係長に加え、OB職員である2人の非常勤の相談員を配置して、事業を開始したという経緯がある。
また、平成15年の議会以降、専門家検討会も含め、都民センターから多大な支援をいただき、職員の研修も行ったという経緯がある。
条例制定後の取組については、自治体が取り組む意味として、区が具体的に犯罪被害直後の心理的な部分も含めたいろいろな生活困難をどのように再建するかということがある。ヘルパーの派遣とか、応急小口資金という経済的支援、犯罪が当該者の住宅で行われた場合にどのような形で住宅を確保するか、この3つの施策が一つの柱となり、更に総合相談窓口を設置し総合相談することに関する規定を整備してきた。具体的には、ヘルパーについては、2つの法人に委託契約をしたところである。また、関係機関との連携や関係部署との調整を進めてきた。一方、犯罪被害者支援が自治体行政の中でも比較的なじみの薄い分野でもあり、地域においても非常にセンシティブであると同時に、すぐに飛び込めるような状況にはなっていないので、まずは職員向けの講演会を行い、区役所内部における理解を深めるなどの基盤整備を行った。
(3)の事業周知については、「広報すぎなみ」での周知や報道機関への情報提供などを進めるとともに、ポスターやリーフレットの配付を行ってきた。
犯罪被害者等支援条例の概要等については、目的として犯罪被害者支援をどのように行うのかがあり、なぜ自治体が取り組むのかについては、犯罪被害者支援において、自治体は区民生活全般に関わっており、犯罪被害者が地域で普通の生活に戻ることを支える資源を十分に有していることからしっかり支援を行えるという理念を掲げ、併せて行政の考え方も示している。
現実的に、犯罪被害者の事情を踏まえ、人権も尊重しながら支援を途切れなく行うことについては、現在、試行錯誤中である。
資金貸付けについては、貸付制度にするか、貸与制度にするかについて、犯罪被害者の自立を支援するという意味からどちらが適切かという議論があり、区としては自立を促すということを重視し、貸付制度を構築している。
「実績」については、現在、38件の実績があり、財産的な被害に関する相談が多く、一方、相談を行う中で、まだこの制度が本当に必要なところまで届き切れていない、あるいは届いてはいるが、その人たちが区を信用して相談するというところまでは至っていない状況があると感じている。38件の内訳については、実質的に具体的なサービスに行ったのは小口資金の貸付けの1件だけで、どちらかといえば、犯罪被害者支援そのものとは少し異なる相談がかなり多かったというのが実態である。
連携の仕組みについては、専門家検討会の報告を受け、条例の第10条で「区は、区と協力して犯罪被害者等の支援を行う者を養成する等、地域における犯罪被害者等の支援体制を構築するために必要な措置を講ずるものとする」という義務規定をしており、「すぎなみ地域大学」における、地域での活動を支える人の育成のための講座の中に位置づけ、犯罪被害者支援に関して来年度以降活躍していただく人たちを育成しているところである。
また、人材の活用としての専門相談員制度について、地域にいる医師や弁護士という人たちを区の専門相談における助言者として活かしていくことも考えているが、当面は、地域のボランティアを人材として育成し、対応しようと考えており、「すぎなみ地域大学」の講座において、今回50名の入門コースの募集をしたところ、ちょうど50名の応募いただき、更に来年度からの地域での犯罪被害者支援員制度に結びつけるため、11月から実践編を行い、20名に絞り込むことを考えている。実際の要件等についてはこれから考えていくこととしているが、専門家検討会で出された、犯罪被害者早期援助団体に関する規則の中で定められている犯罪被害相談員の要件を想定するとともに、有償ボランティア制度についても検討している。例えば、話し相手をするとか、あるいは裁判所に付き添うとかいったものについて、当面は有償で立ち上げようと思っている。
更に、内部の関係部署との連携と、例えば地域の民生児童委員や保護司との連携については、9月ぐらいにかけて、どのような形で支援協力体制を構築するかについての内部検討を行い、それを踏まえた関係団体との調整を進めたいと思っている。
各関係機関との連携においては、どのように協力して支援を行うかという仕組みと併せて、本当に支援が必要な人を掘り起こす仕組みについて、検討する必要があると思っている。
組織・事業については、関係団体も含めた犯罪被害者等支援協議会を立ち上げ、そこで経常的に評価、検討することを考えており、条例については、3年後に見直しをする予定である。○構成員 日常生活支援のヘルパーに関して、2つの民間企業に委託をされているとのことだが、企業を選定するに当たって、何らかの基準があり、あるいは面接等を行ったのか。
次に、「職員体制」に関して、担当係長と相談員2名(委託職員)とのことだが、属性等について教示願う。
更に、都民センターにおいて研修を行ったとのことだが、なぜ都民センターの方の研修制度を選ばれたかについて教示願う。
○説明者 ヘルパーの選定基準については、特段の基準は設けていないが、保健福祉部とも相談し、犯罪被害者の心のケアの問題や守秘義務等についての理解があり、意欲がある団体を選んだものである。
職員の属性については、犯罪被害者担当係長は区の常勤職員であり、一般事務職員を派遣し、対応できる職員として育成している。相談員については、区職員のOBであるが、1人は福祉事務所の経験を十分積んだ方、もう1人の職員についても相談に耐えられる職員ということでお願いし、本人の了解をいただいて決めた経緯がある。
○構成員 OBということから、いろいろな意味での人生経験を踏まえた選定を行っているということと、シルバー人材の活用という意味でも、かなり有意義な制度と考えるが。
○説明者 区の中でも、犯罪被害者支援とは全く異なった分野の関係者がやれるわけではないので、犯罪被害者支援に耐えられる人材という観点から決めたものである。
研修については、犯罪被害者支援の職に携わる者について、やはりそれなりの専門性や最低限の知識の必要性というものがあり、それを修得するためには、現状では被害者支援都民センターといった民間のセンターしかないため、そこで受け入れていただいたものである。
○構成員 1点目は、行政の縦割り構造の中で、部署においては、なぜ犯罪被害者が優先されるのかということが意識の中にあったのではないか。更にそこから一歩進めて、行政が積極的に取り組もうとした理由について。
2点目は、地域における支援体制、ボランティアについて、有償ボランティアとされたが、なぜ有償なのかという点と、被害者支援都民センターとの違いについて。
○説明者 1点目については、杉並区が掲げている、誰もが安心して暮らせて、共に暮らせる街をつくっていく中には、やはり犯罪被害者支援といったものが必要だということが、議会サイドでもかなりの流れとして出てきたところである。それを踏まえ、区においても犯罪が結構発生していることから、犯罪被害者をどう支えていくかが喫緊の課題だという流れの中で、まず区としての大きな方針が決まったもので、どのようにしてその方針に沿った組織に、あるいは仕組みに変えていくかについては、相互協力の中でかなり進んだと考えている。
2点目については、まだ確定しておらず、これから財政当局とも詰める話であるが、従来から区には福祉型の制度があり、少なくとも直ちに地域の中で立ち上げられない場合には、有償ボランティア制度というのを区がつくって後押ししながら動いてきたという経緯がいろいろな施策にあるため、犯罪被害者支援についても同じ仕組みから入っていこうということで、今後このまま有償で行うかどうかについては、今後の課題である。
ボランティア制度については、「地域大学」の講座の中で、実践的にサポートできる人たちを養成するため、入門コースに引き続き、これからの実践編においては、実践的なスキルを身につけていただくことを考えており、付き添い的な部分や話し相手としてどう支えられるかということで、区の事業をサポートする形で立ち上げていこうと想定している。
○構成員 具体的には、区役所の中のどこかの部署に、相談窓口や相談室みたいなものを置いているのか。
○説明者 部署としては、総合相談窓口のところに置く形で、制度としては、登録制度をとろうと思っている。そして、必要なサービスがあったときに行うことを検討している。
都民センターとの関係については、「地域大学」における講座の設定の仕方も含め、都民センターが行っているような犯罪被害者の人たちの会をどう立ち上げるかといったところも検討しながら、都民センターの役割と区の役割とをどう整理していくかを考えていきたい。また、サービスについては、都民センターのように指定された団体と違い、警察から情報を直接いただけないが、都民センターとの関係を通じて、少なくとも杉並区に住んでいる犯罪被害者については、何かうまく連携していただき、サービスに乗せられる仕組みをつくれないかといったことも含め、考えているところである。
○構成員 早期援助団体になるかどうかを含めた、区としての将来の方向性を教示願う。
○説明者 早期援助団体になるかどうかという方向性について、議論もしていないし、今後どうなるかは分からない。一方、警察との関係については、犯罪被害者支援を行うためには、警察による犯罪の確認という問題があるが、警視庁と連携し、比較的安易に証明書が出せる仕組みになっている。また、今年4月に、区内にある3つの警察署の犯罪被害者支援担当のところに赴き、区の制度をよく周知してほしいということで制度の説明を行い、ポスター等を置いて、警察署から本人を通じて杉並区につながるようにお願いしている。
(2)連携を強化するための支援者の養成について
○説明者 いばらき被害者支援センターは、当初から総合的な被害者支援ができる支援員を養成することを目的にしてきた。ネットワークの多くの団体が、電話相談員、心のケアということを中心に行っているが、当センターにおいては、危機介入をにらんだ総合的な被害者支援を行うという目標を当初から持っていた。
したがって、1期生は最初、電話相談ということだったが、総合的な支援をする支援活動員の養成というような名前で養成講座を行ってきたところである。
当センターは、犯罪被害者等早期援助団体として公安委員会から指定を受けているため、現在の支援員の養成については、そことの絡みも出てくる。
支援員の要件について、早期援助団体の中には、犯罪被害相談員と犯罪被害者直接支援員、それから申請補助とか、何種類かの支援員の位置づけがある。このうち、ほとんどの支援に対応する者は、犯罪被害相談員と直接支援員ということになり、この者たちは申請補助もできる。どういう要件かについては、国家公安委員会規則に規定されている。
また、犯罪被害相談員については、まず支援員として養成し、その中からさらに犯罪被害相談員として選定するため、3年以上の経験とか、それも1日4時間、週3日以上、3年以上といった厳しい要件となる。専門家は犯罪被害相談員になれるが、ただ専門家だということだけではなれない。犯罪被害者支援にきちっとした識見をかなり有している者に限定される。犯罪被害相談員の要件が厳しいため、養成講座の中で支援員を育て、そこから更に相談員たるまで育成しなければならない。
求められる資質については、「温かい人間性」…とにかく温かい心だけれども、常に冷静で、臨機応変にきちっとした判断ができる者。それがないと、突然、予期せぬ出来事が起こったときに支援員が動揺していては困るので、やはりそのとき被害者にとってどうするのがいいのかということをきちっと考えられる、判断のできる人間でなければいけないということである。
守秘義務についてもきちっと守れる者、そういうことをちゃんと理解して支援に当たれる者というのが、非常に大事だと思っている。
「バランス感覚」のよさというのは、被害者により近づき過ぎてしまい、適当な関係を保てないということ、そういうことになってしまうとよい支援はできないので、通常の人間としてのコミュニケーションの取り方がまともというか、バランス感覚がよい人が、やはりよいのではないかなと思っている。
次に、当センターの支援活動員養成講座について、養成講座は、AコースとBコースに分かれており、Aコースは本当に被害者支援に入っていく人を養成するものである。したがって、受講の前に面接をしている。電話において、この方は支援に本当に入りたいなと思っている、頑張ろうと思っている方かなという場合には、面接をしている。随分細かくて厳しいと思われるかもしれないが、それぐらい被害者支援というのは、そう簡単にできることではないと思っている。Aコースは初級編・中級編・上級編と、2年間で学ぶことになる。
Bコースは、初級編・中級編までで、上級編には行かない。Aコース、Bコース、初級・中級は一緒に受講する。Bコースは、ご自分のためにということで学ばれる方もいるが、例えば産婦人科医とか学校の先生とか、いろいろな職種の方がいらっしゃるが、自分が性被害に遭った患者に対する対応の仕方が全く変わった、これを受講したことで本当によかったとおっしゃってくださったりもしているので、このBコースの意味も大きいと思っている。
上級編が終わり、最終的に試験・面接があるが、細かいペーパーテストで法律的なことがどこまでわかっているかということよりは、どちらかというとポイントを押さえ、本当に被害者支援に対してどのような考えを持っているかということを重視して選定している。最終的に、すべての課程を終えてクリアした者が、支援活動員として認定される。
ただ、上級編に行く際には、センターでの実地訓練がある。センターに入って実地訓練を行うが、実際の電話に出ることはない。センターの様子を見て、被害者支援の現場がどういうところなのかということを、ちゃんと身をもって体験していただくといった実地訓練を行うため、上級編に行くときには、誓約書を書いていただき、正会員として登録している。すべて終わり、支援活動員として認定をされて、証票をもらうことになるが、当センターの支援活動員が証票をもらうということは、国家公安委員会規則による犯罪被害者等早期援助団体における直接支援員の証票も持つことであり、支援活動員の任期は1年で、再任は妨げないということでやっている。
主に、継続研修において、カリキュラムの中で、他機関や団体との連携ということが出てくる。どちらかというと支援活動員になってからの継続研修は、臨機応変に、原則的には月に1回程度には行っているが、必要に応じて月2回になったり、緊急に研修会を開いたりということもある。継続研修というのは、当センターの支援員が被害者支援という大きな流れの中で、自分たちがどういう役割を担って、どういう動きをしなければいけないのかということを常に話し合って、共通理解を持っていくということである。そのため、タイムリーな世の中のいろいろな情報をきちっと吸収しなければならず、そういった研修も緊急にやったりすることがある。
支援活動員になってから、いろいろなことを細かく、支援員として学んでいくわけだが、まず「法廷付き添いマニュアル」を作成した。これも、直接支援でまず何ができるか、裁判所の付き添いかということから入った。それも、自分たちで2年間かけて、話し合ってQ&Aをつくり、全部自分たちで考えてつくり上げた。したがって、そういうものが頭に入っているので、実際の支援に行っても、すぐにそれが有効に生きてくる。
次に、「資源台帳」を作成した。関係機関・団体の連携先について、いかにきちっとした情報を持つか。支援員が電話の担当をしようが、実際の外に出る支援をしようが、自助グループを支援しようが、どんな支援においても、自分たちがどういうところと連携をして、きちっとそこの情報を持って、被害者にとって適切であろう情報を提供するためには、そういった情報を支援員が知らなければならないということで、「資源台帳」は自分たちでグループ分けして、いろいろなところを自分たちが実際に訪問したり、電話したり、いろいろなことをしながら情報を集めてつくり上げた。これは、電話相談の上でも、一番の要になっているものである。
更に、外部講師による研修、やはり外部のいろいろなところの方に来ていただいてお話を伺うというのは、より理解を深めることになっている。
実際の今までの連携先としては、茨城県被害者支援連絡協議会がある。センターの電話の設備のことで何かいろいろあると、そこのメンバーにすぐに連絡をとるなど、いろいろな方法で連携をとらせていただいている。
当センターにおける課題として、職員体制については、ある程度、有償でやっていかなければ絶対にできない部分もあり、わずかのお金であっても、モチベーションも違ってくるし、有給のスタッフをきちっと位置づけるべきだと思う。そうしなければ、支援センターは動かない。
次に、研修内容を統一してほしいと思う。これは、ネットワークの問題にもなるが、全国に今42の団体があるが、その養成の状況、いろいろ交流した中でわかってくるのは、ばらつきが非常にあるということである。そのため、やはりある程度、支援員はどういうふうにしていったらいいのか、そして最低これだけは研修内容に入れるべきだとか、そういったものを統一していくべきではないかなと思う。
更に、支援団体や支援員に関しても、ある程度の認定基準が必要だと思う。今のところは早期援助団体として、早期援助団体の認定基準に合わせて行っているが、全国にたくさんの支援団体があるから、こういう団体は支援団体として認定するとか、こういう段階の人は支援員として認定するというような認定基準のレベルを設けることが必要であると思う。
○構成員 守秘義務に関してアバウトな状況があるといった問題点についてと、有償ボランティアについて、例えば相談員で非常に能力を持っておられて、最初は研修から始めて相当なレベルまで達せられた方で、どうしてもこの方が必要だという方に対して手当を出されているという趣旨なのか、それともどういう線引きをされているのか、教示願う。
○説明者 守秘義務に関してアバウトな状況があるというのは、守秘義務の考え方がちょっとあいまいな方が全国的にかなりいるということで、また、各団体がいろいろな研修や事例などを出したりしているが、その際にも、その出し方について、これはどこまでいいのだろうか、本人の了解を得ているんだろうかとか、非常に心配になる。研修会でどんどん出てくるものに関しても、ちょっと心配になる。全国的な問題として時々感じる。
当センターは、非常にお金のない団体で、日本財団と県の予算が3年間限定でついており、平成18年度で終了する。平成19年度に、当センターが存在しているかどうかは、今ちょっと危うい状況である。管理も支援も一緒くたにやっており、経理から何から全部支援員が行っている。
したがって、お金が出せないから3人のほかに、犯罪被害相談員を養成するために、長い時間張りついてもらうために、期限つき職員を3名入れている。これで6名。この6名で、結構動けるとは思うが、一方で、週に2回ぐらいで月に3回以上入った場合に、3回目から交通費なしの時給660円とか、そういう段階の人もいる。大方は、ほとんど無償である。
○構成員 有償でなければという問題があったが、恐らくこれは被害者支援センターも、有給の職員が何人か中核にいれば、ボランティアは無償でもきちんと教育できる、あるいは活動できる、チーム構成ができるんだと思うが、実際のところ、今、日本の民間援助団体というのは、有償の職員、有給できちんとした職員というのが余りきちんと置けない状況があるから、それでボランティアだけではとても無理だという、そういう意味合いを含んでいるのかなと思う。それから、これだけ苦労して、これだけしっかりした体制をつくられてきたので、相当いろいろな苦労をされていると思うわけだが、一番苦労される点と、こういう点が改善されればというところがあれば教えてほしい。
○説明者 まず、有償というのは、有給である程度位置づけられた職員がいれば、そのほかに、無償のボランティアの人が数多くいても構わないと思うが、日常の支援は継続性が求められ、きちっとした連携のもとに、きちっと対応できなければいけないため、比較的常駐に近い職員を配置しなければならないと思う。一方で、職員のモチベーションが変わると感じる。生活に困ってというわけではないが、自分が頑張ってしたことに対して、たとえ500円でも1,000円でも交通費でも、対価として支払われるということで責任を持ってやらなくてはというモチベーションにもつながっていって、その後の採用した人たちの勉強ぶりとか、本当に時間があいているときには常に本を開いていろいろ調べて、そういう学ぶ姿勢が全く変わったなと思う。
もう1点、被害者支援は絶対に必要だ。被害者にとっていい支援になるために、本当に私たちはどのようにこれから頑張って、どういう課題をこなしていかなければならないかという路線は間違っていなかったと、これからもそれは頑張っていきたい。苦労というのは事務局としてお金がないという苦労である。支援に駆けつけたり、朝早く行って夜遅く帰ったり、被害者に接した支援は一向に苦にならないが、翌日に会社訪問してお金下さいとか、賛助会員になってくださいとか、ぺこぺこしている自分とのジレンマに苦しんでいる、それが一番の苦労かもしれない。ただ、センターの目的を一つにする支援の仲間がいるということが励みで頑張っている。
○構成員 犯罪被害者直接支援員の証票について、これはいばらき支援センターでつくっているカードか何か、あるいは国からのものか。
○説明者 これは国家公安委員会規則に則ってつくっており、茨城県公安委員会に申請して名簿ができて、つくっているものである。
○構成員 申請基準は、各センターに任されているのか。
○説明者 いいえ。生活が安定しているとか、公安委員会の要件を満たしていることが求められる。
○構成員 研修制度の内容についての審査はあるのか。
○説明者 細かく書いていない。そのため、全国的に統一した方がいいのではないかと思う。
○構成員 各センター独自の研修制度なり、いろいろな人の見方があって、それで各センターが推薦した人に対して証票をもらうということになっているのか。
○説明者 そうである。犯罪被害相談員はハードルが高いが、例えば専門家で警察職員だった人である程度担当していた人は、すぐに犯罪被害相談員になれる。また、弁護士とか臨床心理士とか精神科医とかも同様である。
○構成員 今後の課題として研修内容の統一を指摘されているが、本来であれば例えば認定制度をきっちりすることは研修制度なり、研修にかかる費用等を含めて、国なり地方公共団体できちっとその費用を担って、人材育成した後に各センターにこういう人がいますとかというものがいいとお考えか。
○説明者 ネットワークには加盟団体が42団体あり、当センターが加盟しているところでもあり、せめてそこだけでもまずは、研修内容は統一したらいいのではないか、もっと広げて支援団体というところは最低こういう研修はしておくべきだというのは必要だと思う。
○構成員 犯罪被害者等給付金支給法に関する法律の第23条で制定されている早期援助団体は早期援助団体とあって、それとは別に支援できる人は、国で一定基準を設けて認定すべきではないかと受け取ってもいいか。
○説明者 早期援助団体は確立している制度であるため、当センターもその指定を受け、警察から提供情報を受けて支援に入っており、この仕組みは非常に有効だと思っている。一方で、支援団体を幅広くもっと全体に見て、せめて最低の何か基準があるべきではないかと思う。
○構成員 団体としての認定についてか。
○説明者 団体としてもあるし、さらに今度は進めば人としても。
○構成員 個人としての認定ということもあり得るということか。
○説明者 はい。
○構成員 協議会のようなものをつくったときに、それを形ばかりのものにならないようにするためには、こういう工夫があった方がいいというご提案はないか。
○説明者 県の連絡協議会は回数が少ないが、警察署ごとに連絡協議会にはそこの地域のいろいろな方たちが構成員として入っており、わりと警察署ごとの連絡協議会を開く。県警と連携して、そこに県警の方と一緒に行ってお話しさせていただくなど、協議会をそういう意味でも利用している。
(3)コーディネーター・専門的チームについて
○説明者 被害者の現状については、当事者は地域社会の中で孤立しているというのが現状である。語る場所がないから、語らないというために忘れられ、長い孤独、孤立の状態が続いている。各関係機関についても、お互い顔が見えていないところで橋渡しをすることが非常に不安が大きく、また、それぞれの窓口で支援メニュー中心の支援のために、目の前の当事者を総合的に支援していくというのがなかなかしづらいということがある。
そういう状況で、一方の当事者はどのようにそれぞれつながっているかというと、当方の自助グループでも現在13名ぐらいの方で自助グループを行っているが、半分以上は全国犯罪被害者の会、あるいは全国交通事故遺族の会、そういった東京とか大阪に出向いて、そこで情報を得て、それから仲間を探してつながっているという現状がある。地域の中でつながる場所というのは、なかなかこれは難しいという状況がある。1年経ち、3年経ち、あるいは15年経って、やっとみんなと同じ場に集まれたという方がおられる。したがって、早い段階からいかにつながっていくかということと同時に、非常に地域の中で長く沈黙をされている方たちがどうつながっていけばいいのか、その2つが大きな課題かと思っている。
関係機関同士の連携についても、どうつながるかということで、今までは当事者が相談に行って、相談先からまた専門家につながる間に2段階あり、なかなか専門家までの道が遠いということがある。いかにしてつながりやすい場所をつくり、そこに専門家が集まって、そこで拠点ができていくかというのが大変な作業ではないかと思っている。
県の臨床心理士が県警と連携しながら行う、カウンセリングアドバイザー制度があり、これについては岡山でも非常に機能的に動いており、特に性被害の被害者の方たちが被害直後に警察の方で把握してカウンセリングを臨床心理士に早く橋渡しをするということで、臨床心理士がカウンセリングを重ねる中で、法的な問題が出てきたときに弁護士会の外郭団体であるリーガルエイド岡山の支援弁護士に応援を求めるという形で、共同支援をとっている。この共同支援のシステムは非常に有効に働いており、そこで一緒に共同作業をした臨床心理士、弁護士、こういうチームが一つできると、次の共同支援が非常にしやすくなる。お互いにどういう人柄であるかとか、お互いどういうことができるかということが非常に見えてくるので、顔の見える連携が警察も交えてできる。
それから、どのようにして支援のつながりをつくっていくかについて、まず被害当事者がいて、初めて支援が動くということがある。大阪とか東京に出向いていって、そこで仲間を見つけて情報を得ており、なかなか地域の中でつながるということが非常に難しい。民間支援センターの中でも、一部の非常に熱心に取り組みをされている支援センターのところには、当事者が集まって、自助グループなどもできているところがあるが、まだまだ相談から直接支援へつながっているケースは少ないのが実情かと思う。そのため、早い段階からつながるためには、早期援助指定団体の方向で警察からきちんと情報を得て、早く入っていく。カウンセリングアドバイザー制度についても、早い段階で警察からの情報を得て支援の体制を組んでいく。その支援の体制を組むところに専門家が結集していくということが一つのあり方ではないかと思っている。
もう一方で、長年支援の場につながっていかない、あるいは警察の援助を求めることができない、そういった当事者がどういう場に集まればいいのか、それが非常に大変な問題かと思っている。現在、東京とか大阪に毎月一回被害者団体に集まって活動されている方は我々のグループにも複数おられる。そういった被害者団体は皆さんお互いの傍聴支援とか、そういったことを熱心にされながら、実際は権利確立のための活動中心で、相互支援のところは実際やっておられながら、目に見える形でまだ整理ができていないと感じる。そこを今後どのようにやっていくのか、そこが課題かと思っている。東京、大阪以外の地方で孤立している被害者の孤立化防止をどのように図っていくか、そのあたりが大変かと思う。我々は岡山で当事者を支える支援者が集まって、当事者、支援者が共同でグループを立ち上げ、これから動いていくところである。自助グループ中心で行っているため、そこが一つの拠点になっていきつつある。そこに専門家、あるいは行政をどう巻き込んでいくか、それが今後の課題かと思う。
地域の中でいろいろなネットワークがたくさんあるが、まだまだ犯罪被害者支援が自分たちの役割なんだということを認識されているネットワークが非常に少なく、目の前を被害者が素通りしてしまうので、形だけの集まりであるとどうしても難しいと思う。
それから、特に長期的な支援を考えていく上では、当事者が地域の中で生活をしているので、時間軸を見据えた連携をしていくことが必要になってくる。いわゆる支援のメニューが尽きた後も人として関わっていく、そういった共に生きていく仲間としてどういう支援ができるか、そのあたりを今後考えていかなくてはいけないと思う。
支援に際して専門家が結集するためには、地域の中に拠点をつくっていくことがとても大切だと思う。
女性センターが立ち上がってすぐに法律相談担当の弁護士として関わったが、当初は相談を聞いて、課題ごとにどのようにするか、相談に答えるだけの相談員が非常に多かったと思うが、つないだ結果をフォローして、再度つながりを持つようになると、相談に来られた方が一回で終わるのではなく、2回、3回、そこの相談センターを訪ねるようになる。そして、どういう支援を支援先で受けたかのフォローを相談センターがきちんとするようになる。すると、その人が例えば家庭裁判所の調停に行って二次被害を受けたとか、弁護士事務所に行って二次被害を受けたとかいうことの悩みについてもさらに相談を受けて、さらに次のフォローをしていくということで、そこが拠点になっていく。その拠点の信頼感が高まっていくと、当事者の方がそこに集ってくるようになる。自助グループ的なものも発生するようになり、また専門の弁護士がそこに協力弁護士的な形で関わっていくようになる。
一番強力な拠点としては、DV被害者については民間のシェルターを拠点とした支援ということがある。シェルターについては生活支援に関して、目の前の被害者が生活をしていく上で何が困っているかということを目の当たりにして24時間一緒に動くので、その中で一つ一つ次に何をしなくてはいけないか、どういう情報をどういうふうにつなぎ合わせていけばいいか、それをコーディネートしていくように自然となっていく。目の前の当事者を支えていくためにどのようにすればいいかをコーディネートをするコーディネーターがいなくては、シェルターはとても運営していけない。
岡山の場合、昨年1月に民間のシェルターができた。1月から5月まではシェルター1室でほとんど活動ができなかったが、シェルター4室になった6月以降は利用者の数も大幅に増え、そしていわゆる直接支援的な活動が非常に件数的にも上がってきている。民間の被害者支援団体の直接支援件数に比べると、シェルターでの直接支援件数が桁違いになっている。自助グループも自然発生的にシェルター利用者がつくっている。
専門家チームは、目の前の当事者が抱えている、解決すべき法律的な問題、心理面での問題、そして健康面、生活面、いろいろな課題を混乱期に一度に解決する、あるいは次々に直面していく問題に1人ではとても対応し切れないということで、どう専門家が一つ一つの問題を縦割りで解決するのではなく、総合的に解決していく手助けをしていくか、支えていくか、そこだと思う。
カウンセリングアドバイザー制度のように、当事者に臨床心理士と弁護士とが合同で面接をして、その中で直面している心理的な問題と、例えば次の裁判までにこういう課題にぶつかっており、その課題を弁護士としてどのようにアドバイスしていくか、あるいは一緒に法廷傍聴に行くときに臨床心理士も一緒に行くと、そういったことで被害当事者本人が抱えている問題を専門家が当事者が来るのを待つのではなく、出向いていって一緒に解決していくと、そういう共同支援の形が専門家チームとして大切なのではないかと思う。当事者が来るのを待っていたのでは、来るまでが大変で、来てもその場で単独の対応しかできないということになるので、専門家が拠点に出向く、あるいは当事者たちが集う場所に出向いて相談をしていく、あるいは臨床心理士と弁護士が共同で面接した場面のように、当事者がいるところに一緒にそろって話を聞く、そういう形の支援が大事なのではないかと思う。
そして、実際そういう支援に当たれる専門家についても、臨床心理士であるから、あるいは精神科医であるから、また弁護士であるからといって、すぐに犯罪被害者支援について精通しているわけではないということが一つの問題である。研修と経験と問題意識がないと、なかなか心ある支援につながっていかない。
1つは弁護士会でこういう被害問題について対応しなくてはいけないということで、弁護士に公募をして名簿を登録してもらって、年に一回ぐらい当番が回ってくるというような名簿をつくって対応をした時期があった。たちまち相談機関からの法律相談のつながりは数年で全くなくなってしまうような状況になった。年に一回対応するだけで、中には十分な支援を必要としている方が目の前で、今これからどうしなくてはいけないか、例えば保護命令をすぐにでもとってもらいたいというときに、保護命令の申し立てがすぐに対応できないというようなことになると、窓口の信頼感がぐっと落ちてしまい、相談者が出向いてきて窓口で相談を受けるというところは少なくなってしまう。そのあたりが非常に難しいところで、どのように逆に拠点に専門家を結集していくか、そこらあたりが一番難しいところではないかと思う。何とか専門家同士が顔の見える連携の中で支援を重ねる中で、共同支援を重ねる中で築いていくものが大切であると思う。
拠点にその専門家が結集して、そこで共同支援ができ始めると、今度は地域の中でまだ声が上げられない方たちのもとに専門家が訪問していく、あるいは出向いていく、そういうつながりにくい状況の方につながりをつけていくということもできるようになってくるのではないかなと思う。地域でのチーム支援ということで、訪問型の支援についても考えられるのではないかと思う。
警察あるいは検察、それから医師、臨床心理士、弁護士それぞれが現状どうしても待っている支援になっており、出向いていく支援がなかなか難しい。例えば、検察庁の被害者支援員、捜査担当、公判担当の検事となかなか連絡が十分ついていなかったり、民間の支援センター、それから弁護士会を紹介するのがなかなか躊躇されるような現状がまだまだ多い。それから、それぞれ医師、臨床心理士についても、共同支援していかないとなかなか顔が見えていかない。その辺の問題点がある。
そういう中で、今後の可能性としては、拠点をつくって、そこからどう支援をつなぎ合わせていくか、拠点をつくるときに民間支援センターが当事者グループ、自助グループをきちんと連携していくというやり方が一つあろうかと思うし、またもう一つは被害者当事者団体が今東京とか大阪に集中しているため、地方でどのように支援を組み立てていくか、そのあたりも考えていく必要があろう。どうしても専門家支援になると、医師とか臨床心理士、弁護士が中心と考えがちだが、ある意味では被害当事者も被害に遭ったときの心理状況、それからその後どう支援をしていけばいいかということに関しては、体験という非常に大きな専門的な立場を持っておられる。ある意味では、被害当事者も専門家の一部に十分なり得るのではないかと考える。
コーディネーターについては、拠点をつくって専門家が結集するのが一つの理想だが、そこの支援の拠点になる個人のような方だとイメージしている。当事者と一緒に動きながら、必要な支援をコーディネートしていく。本来であれば行政窓口や裁判所、そういったところに出向けるはずだが、混乱期は何から手をつけていいかわからない状況、どのように資源を組み合わせていけばいいのか、そのあたりが非常につかみにくい状況に陥っているときに、その方を代弁し、それから有効な支援を組み立てていく、そういった意味ではコーディネーターの役割がとても大切であると思う。
また、コーディネーターについては、まず当事者の視点で話をきちんと聞ける方がとても大切だと思う。一緒に考えて、必要なことを明確化していく、そして一緒に行動できる。そして、全体を見渡しながら不備な箇所をチェックしていく、そういうことができる方が必要だと思う。特に資質等については、話をきちんとまず聞ける方、当事者がどういうニーズがあるのかということを明確化していく力を持っている方、そしてさらに的確な情報提供ができる方、当事者が行動をきちんと選択できるような情報を提供していく、そういうことの情報を持っている方が大事である。
そして、特に大事なのは一緒に行動をするということで、一緒に行動する中で、例えば弁護士事務所に一緒に行く、そこでコーディネーター、あるいはサポーターが一緒に付き添って面接を受けるだけで二次被害の防止にはかなり役立つ。また、窓口の認識も変えていくような働きかけがとても大切である。そして、どの段階、どの時点でも当事者からの相談をきちんと受けとめていく、そういう拠り所になるような人がコーディネーターではないか。
今、岡山ではコーディネーターと呼ぶにふさわしい方はまだいないが、DV被害者の関係ではお一人コーディネーターとしての動きをされている方がいる。弁護士として刑事裁判での意見陳述をどうしたらいいかということを支援をして、刑事裁判が終わり、支援メニュー、いわゆるメニューとしての支援は終わったが、執行猶予つきの判決で非常にショックを受けて、その後立ち上がれないような状況のところに何かできることはありませんかというところから話を丁寧に聞いていき、これまで受けてきた二次被害について県警や所轄署へ一緒に出向いて、窓口対応の改善を求めていくという、一緒に行動する中で信頼感を高めていった。そして、同じような被害に苦しむような人たちがなくなってほしいという当事者の声を受けとめて、社会的な活動を行っていったという、そういう方がおられる。
コーディネーターを考えるときに、連絡調整のためのワンストップサービス、それだけをもってコーディネーターということであれば、ある意味では簡単かもしれないが、当事者たちのよりどころになるような拠点、拠点となる人、そういう意味でのコーディネーター、積み重ね、実績の中から当事者たちが選んでいくのかと思う。もちろん研修、それから情報は最低限これは知っておかなくては支援すらできないし、行政と共同作業ができる方でないとこれもなかなか大変なのかなと思う。
私たちの新しい試みとして、地域の中から支援を組み立てていくということで、被害者支援具体化へワーキンググループ、特にこれは岡山県の中の県民局単位、3つの県民局があり、その県民局単位でNPOと行政の協働事業という形で被害者支援について基本計画を具体化していくために、教育現場あるいは福祉の現場で専門の方たちと一緒に話をしていこうという取り組みを行っている。この取り組みはプロセスを非常に大切にしながら、行政の担当者が被害者支援についての役割認識をきちんと持っていただくこと、そういった意味でただ窓口ができましたというだけではなく、その窓口ができていくまでのプロセスの中で、行政の担当者がきちんと役割を認識して、当事者たちの声をきちんと聞いていく、そういうプロセスを大切にした取り組みとして今後下半期頑張っていきたい。
○構成員 1点目は、専門家チームによる支援について、それはいわゆる今のような民間の団体のボランティアによる支援では限界があると思っておられるのか、あるいはまたそれは棲み分けで別のさらなる上位の段階の存在としての意味で棲み分けするんだという趣旨か。
2点目は、専門家による支援に係る費用の問題について、どうされているのか。
○説明者 1点目については、専門家支援が民間のボランティア支援を限界があるという意味で考えているわけではなく、むしろ民間のボランティアの支援の方がある意味では非常に身近な支援ということで、非常に温かい支援につながっていくという意味では、民間支援の限界があるから専門家という考え方には違和感がある。民間の支援者たちも支援の積み重ね、実績を非常に重ねている方たちの中には、資格だけがある専門家の方よりも専門性という意味ではかなりより優れた方たちが大勢おられ、それは資格だけで専門家であるかどうかということはまた違う問題かと思う。むしろ当事者も専門家たり得るというのと同時に、民間のボランティアも支援経験を積み重ねていく中で、専門家たり得ると思う。従って、棲み分けの問題よりも、むしろ同じ同列な問題ではないかと思う。
2点目については、例えばカウンセリングアドバイザー制度、岡山の場合、その場合は臨床心理士3名が県警で把握されているため、県警から費用が支弁されるという形になっている。また、弁護士会の外郭団体のリーガルエイド岡山の弁護士についても、リーガルエイド岡山が財団法人であり、支援弁護士制度、援助制度を持っているため、そちらから援助金が出るというシステムで、岡山に関しては支援の費用の手当てはできている。ただ、今後の広がりを考える中で、費用の問題は非常に一つ難しいところで、仮にカウンセリングにしても早期段階から入ってこられた方は県警の制度が使えるが、例えば自助グループにつながってこられた方でも、非常に波があって、カウンセリング的な対応がどうしても必要な方については、実際臨床心理士からの援助を受けようと思うと有償になるので、そのあたりのところをきちんと手当てしていく問題については、また別途考えなくてはいけない。
(4)アドヴォカシー制度について
○説明者 民間のカウンセリングルームで特に性暴力――強姦、セクハラ、ストーキング、児童への性的虐待、それとドメスティック・バイオレンスなどの被害者支援に当たってきた。開設11年目になるが、フェミニストカウンセラーを名乗り、ジェンダーの視点から被害当時者支援に当っている。
1995年に北京で第4回世界女性会議が開かれ、そこで女性に対する暴力の根絶などが重点課題とされた。その後、日本でも男女共同参画基本法、ストーカー規制法、その前に男女雇用均等法の改正があり、ドメスティック・バイオレンス防止法、改正のDV防止法といった法律が次々にできたことがフェミニストカウンセリングへの追い風にもなり、私たちはたくさんの性暴力、ドメスティック・バイオレンス被害者と出会い、支援をしてきた。
フェミニストカウンセラーとして、第一義的には個人カウンセリングを行うが、同時にアドヴォケイト(代弁、擁護)活動もしている。フェミニストカウンセラーの第一義的な目的は問題を抱えて困っている人の個人的な問題を解決するということだ。しかし、その人の抱える問題や困難の原因は社会的要因にあると考えている。例えば性暴力事件の根底には女性差別があると考えているので、性暴力を根絶するためには、被害者個人の支援にとどまらず、性暴力を容認する社会全体の女性差別的な意識などを変えていかなければならないと考えている。そのための一つの方法がアドヴォケイトである。
アドヴォケイトとは、被害当事者の代弁、擁護ということである。アドヴォケイト(代弁、擁護)の基盤となる考え方は、まず第一に当事者主義、あるいは当事者主権ということである。
何のためにアドヴォケイトするかだが、それは被害者当事者の権利擁護のためであり、当事者性を尊重するためである。また、何をアドヴォケイトするのかについては、当事者本人の個人的な状態――被害によって心理的・身体的にどのような影響を受け、どのような困難な状態になっているのかということ、生活上の困難、また、当事者本人が置かれている社会的な現実(差別的状態があるなど)である。そのようなことを当事者に代わって代弁、擁護するのがアドヴォケイトである。
どのようなスタンスでアドヴォケイトするのかについてだが、客観中立的にと言いたいが、それには落とし穴がある。私は主として性暴力・DV裁判で意見書を書き、専門家証言をするという形でアドヴォケイトをしてきた。裁判では、専門家証言の中立性が求められるが、法廷や社会一般の意識や解釈は男性加害者に甘く、性暴力被害者に厳しいという現実がある。このようにジェンダー・バイアスのある状況のなかで、アドヴォケイターが中立的位置をとることは、男性加害者よりになることであり、女性被害当事者を代弁擁護することにはならない。そういう意味で、客観中立と同時にジェンダー中立ということが配慮されなければならないと考えている。
第二に、アドヴォケイトにおける大切な理念は、被害は「被害当事者の個人的問題ではない」ということである。フェミニストカウンセリングの根本理念は「パーソナル・イズ・ポリティカル」(個人的な問題は政治的問題である)であるが、被害当事者の被害は、「個人が責任を負うべき個人的問題ではなく、社会が責任を負うべき社会的問題である」というポイントを外すことなくアドヴォケイトしなければならない。
具体的に性暴力・DV被害者救済のためのアドヴォカシーの必要性を述べる。社会の「支配的な物語」を覆して、女性や子供への性暴力は人権侵害としての犯罪であるという「もうひとつの物語」をつくることがアドヴォケイターの大きな役割である。たとえば、DVは「夫から妻へのしつけ、あるいは単なる夫婦喧嘩」(支配的物語)ではなく、「夫から妻へのDVという犯罪」(もうひとつの物語)なのである。
また、被害者に直接かかわる相談窓口などに影響を与える臨床心理学・精神医学理論自体にもジェンダー・バイアスがある。被害当事者者が窓口相談員や周りの人たちから二次受傷を受ける原因のひとつは、ここにあると実感している。
なぜアドヴォカシー活動が必要なのかということでは、相談窓口の周知徹底など、社会的な啓発システムの不備によって、DV当事者においてさえ「DVが夫から自分への犯罪だ」という認識を持つことが難しい現状がある。このような状況のなかで、被害当事者に代わって積極的に「DVとは何か」などについて、社会一般にもアドヴォケイトする必要もある。
被害者支援ネットワーキングのためのアドヴォカシーについてだが、アドヴォケイターの役割として何をアドヴォケイトするのかについては、性暴力、DVとはどんな犯罪なのか、被害者の心理や行動、後遺症はどんなものかということについてであり、それは社会一般に信じられている「強姦神話」によるものとは全く異なるものであることを明らかにしなければならない。
ネットワーキングにおけるアドヴォケイトを考えるとき、カウンセラーもただ相談室の中だけでカウンセリングをするのではなく、外に出てアドヴォケイト活動をする。多分、弁護士も警察官も教師も本来の仕事から一歩出てアドヴォケイトをする必要がある。この地域社会のなかで、専門家が社会貢献を果たす一つのやり方がアドヴォケイトなのだろうと思う。
おそらくアドヴォケイターは犯罪被害者支援ネットワーキングのコーディネーターになり得ると思う。逆に言えば、コーディネーターができる人は、犯罪被害当事者のアドヴォケイトができる人でなければならないだろう。そこでの仕事としては、ネットワーク会議の開催。そこで被害者心理・行動、どのような支援を望むかをアドヴォケイトする。また、被害者のアドヴォケイターとしてスーパーヴァイザー的役割を担う。それは二次加害のチェックであったり、有効なケース展開や支援体制が組めているのかどうかを検討することなどである。あるいはネットワーク・システム全体の不備に対して、ここがまずいというアドヴォケイトをする。このようにアドヴォケイターとコーディネーターとの役割は重なっているように思う。被害当事者にとって待ち望まれているワンストップ相談支援システムは現実にはなかなか難しい点も多いが、このようなアドヴォケイターの存在があれば、ワンストップ制度構築の可能性もあるのではないかと思う。
私はずっと裁判のためのアドヴォカシーを被害者と弁護士と法廷に対して行ってきた。被害者に対しては、「支配的な物語」(単なる夫婦喧嘩)に負けないで、被害者とともに「もうひとつの物語」(犯罪としてのドメスティック・バイオレンス)に書き替える共同作業をし、性暴力・DVを得意とする弁護士紹介をし、弁護団会議あるいは打ち合わせに出席してアドヴォケイトし、裁判において補佐人をしたり、傍聴支援を行う。
代理人に対しては、心理の専門家として、依頼人の被った被害とはどのような犯罪なのか、依頼人の心理や行動の意味や心理的後遺症についてのアドヴォケイトをする。まず「支配的物語」と「もうひとつの物語」としての戦いであるという観点から、裁判の争点を把握して構成する必要をアドヴォケイトする。弁護士にその主張は法的に無理と言われても、被害者の現実はこういうことなんだから、何とか法廷において法的に被害者をアドヴォケイトする道筋はないかと一緒に考えている。ここで、ジェンダー分析が鍵になる。
法廷に対しては、被害者の証言の安全性確保のために、遮へい措置の要請、カウンセラーが補佐人として横につくことをアドヴォケイトしている。現実にかなり認められてきている。また、意見書や専門家証言によって、主として被害者の「もうひとつの物語」理解を求めてアドヴォケイトを行っている。
性暴力・DV被害者支援のためのアドヴォケイトシステムについては、具体的にはアドヴォケイトI~IIIの役割を満たす人的資源を確保することによって構築できるのではないか。すぐに使える拠点としては、ジェンダーの視点あるいは男女共同参画の視点を持った女性センターなどをきちんと組み込んでほしい。更に、民間のフェミニストカウンセリング・ルームをその協力機関として位置づけてほしい。他の犯罪被害者に対するのとは違う解釈枠組みの適用や具体的支援における配慮や工夫が必要とされ、恐らく支援コーディネーター育成についても独自な養成カリキュラムが必要とされると思われる。
アドヴォケイター、あるいはコーディネーター・システムは、国選弁護人制度のようにすべての被害者がどこの地域でも公平に社会的資源として利用できるようにすべきである。DV被害者である妻が夫を殺したというケースにおいて、妻はもっぱら「夫殺害の犯罪者」という扱いで、「DVという犯罪被害者」として妻を扱い、支援するシステムは一切なかった。この辺が忘れられていくと思うので、何とかしたいなと思う。適正なアドヴォケイトが望まれる。
○構成員 例えば民事、刑事を起こすという考えはなくて、ご主人のDVに遭ってその後別れられて、自立して生活をしていきたいという女性に対しては、自立支援とか就職のお世話とか、そういった経済的な支援ということもやられているのかという点と、性犯罪に対するアドヴォケイトは、いわゆるコーディネーターになりうるが、性被害に対しては他の犯罪被害者に対するのとは違う解釈枠組みの適用とか、別の独自な養成が必要であるということに関して、いわゆる通常の犯罪とどういうところが違うのかというところを端的に教示願う。
○説明者 第1番目のDV被害者の人に対する自立支援とか、あるいはトラウマへのケアは、日常的な業務である。カウンセリングルームなので、まず心理的なケアをする。もちろん私たちも京都府のDVサポートのネットワークの一メンバーであるため、配偶者暴力相談支援センターとか、あるいはハローワークとかいろいろなところとのネットワークを使って、その人たちが早く新しい住居、それから仕事を得るようにといったサポートは日常的にしている。
2番目の点は、性暴力、DV被害者に対する視点あるいは意識の問題である。他の犯罪被害者と一番違う点は、被害者の方が責められるということだ。強盗の被害者が「あなたにもスキがあった」と責められることはまずないだろう。盗むことは悪いことだとみんなが知っているからである。それが強姦となると、被害者のほうに「スキがあったから」と思われてしまう。
○構成員 ジェンダー・バイアスというものについて社会的啓発とか啓蒙活動をしていくことも、性犯罪のいわゆるコーディネーターを担っているから、それについて新しい考え方をきちんと検証する場が必要だということでよろしいか。
○説明者 はい。
○構成員 ワンストップサービスの必要性についてもう少し説明いただきたい。
○説明者 性暴力、DV被害は人災で、特に信じていた人、親密な関係にあった人から被害を受けている。人に裏切られたことで、人に対して不信感や恐怖感が強い。相談のためであれ、いろいろな人のところに行くということ自体が困難なので、ワンストップで相談を受ける方に来てもらって、そこで相談を受けられるというシステムは必要である。それができたら被害者の心理的回復も随分早くなるだろうと思う。工夫してやっているところもあるので、一つのところに支援者が集まり、そこに行ったらすべて済むという仕組みをつくってほしいと思っている。
○構成員 自ら専門機関のところで相談をされる方が少ないというのが、やはりそういう相談をしたときの有効な対応ができるかどうか、それに対する信頼とかがない、あるいは不安がある。あるいは相談したところでかえって二次被害を受けるとか、再被害を受けるとか、そういうような問題を意識される方が少なくないのではと思う。そうすると、有効なアドヴォカシーという場合には、その後それを乗り越えて再起するだけの方策を用意しなければならないような感じがするが、その辺でどのようなものを用意しているか、あるいは現時点で足りなかったとすれば、どのようなものがさらに必要と考えているか。
○説明者 なぜ相談に行かないのかというところは、行っても仕方がないと思っている部分も多いが、その前に自分が犯罪被害者だということが認められないからだろう。DV夫に殴られているのだとわかったら結婚を解消し、専業主婦だったらパートに出るなり、生活保護を受けるなりしなければならない。そういうことを思うとなかなか自分が被害者だと自認することができない。「DVや性暴力は犯罪であり、自分はその被害者だ」ということを被害者自身もわかろうとしない。自分を「被害者化」しない否認のメカニズムが働く。そんなことを考えたら「人生はもう終わりなのではないか」と思えてくるからだ。そこで、「終わりではないですよ」というためには、やはり支援システムはこんなにありますよということが言えないといけないと思うが、継続的な支援や有効な支援が現実にはないから、「それだったら今の現状で我慢しよう」ということになってしまうのが現状だろう。
(ヒアリングを踏まえ、連携を強化する「仕組み」について自由に討議を行った。)
○構成員 専門家が介入的に支援する場合、費用の問題を将来的にはどう考えればいいのか教示願う。
○説明者 費用の点は一番難しい問題だと思う。本当はきちんとした専門の人が動くわけだから、何らかの財政的な手当てがどこかできちんとされるべきだと思うが、利用する方が利用の負担を負うというのであれば、本来的な意味からはかなりずれてしまうのではないかと思う。もしそういう介入的な支援をするのであれば、そこの費用的な部分は何らかの手当てが別途されるべきではないか。
一番難しいのは、押しつけ的な支援にならないためにどうすればいいかというところで、地域でそれぞれ問題を抱えた方が暮らしていく中で、いろいろ地域の中のネットワークがありながらそれが相互にまだリンクできていない状況があるため、問題を抱えた精神的な、心理的な状況で支援を必要としながらまだ届いていない方にどう早くそれに気がついて接していくかというところで、将来的には訪問的な支援ができれば一番いいのだが、どう情報をキャッチしてそっと入っていくかというシステムづくりについて、地域の中でこれから保健所、精神保健福祉士、社会福祉関係者と一緒に考えていきたいと思っており、やはり身近なところで日ごろ接していて、どのように早く気がついて、どのようなつながりを持つかというあたりをきちんとやっていきたいと思っている。
○構成員 支援員の役割について、早期援助団体の場合は犯救法で規定されているわけだが、行政による相談員がどのような資格で行うのかという問題がある。
それから、ボランティアの育成について、全国理想とするところは等質の、どこにいても同じような支援が受けることができるように、国ないし自治体両方の支援体制、財政的な補助金の支援体制をお願いしたいと感じた。専門家による支援については、費用の問題が発生してくるところが多々あるので、その段階でも財政的な援助ができるような仕組みが講じられていく必要がある。特に性犯罪被害者については、ある一定の施設で一つのところで検査もできるし、事情聴取も受けられるというようなワンストップサービスの確立というのが日本でも必要になってくると思う。そこに、民間団体のボランティアの人もかかわるとかいう形も含めて、このような点が課題であろうと感じた。
2.連携調査の実施について
8月~10月にかけて行う、犯罪被害者等支援に関係する機関・団体の現状把握調査(連携調査)に関して、事務局から、調査対象機関・団体及び調査項目の案を提示し、構成員意見を踏まえた形で事務局案のとおり実施することとなった。主な意見等は以下のとおり。
○構成員 件数について、もともと統計をとっているところからは、例えば平成18年度には何件あったというものはいただくと、統計をとっていないところについては、〇×で連携したか、しないかということだけの確認であるということでよろしいか。
○事務局 これは一律の調査票をまいて行う調査のため、基本的には調査項目を設けないのが最も好ましいと考えており、そういう対応をさせていただきたい。
統計があるようなものといったら基本的には省庁以外に多分ないと思うので、どうしても知りたいということであれば各省庁あてに検討会の場でこういう資料がほしいというような形でご要望を出されるのが好ましいのではないか。この調査に関しては、項目を設けるのは控えさせていただきたい。
○構成員 1点恐れていて、例えば1回しか連携をとっていないところも〇、1,000回やっているところも〇となったときに連携の強度を指し示す指標というものをどうするか。例えば恒常的にあるんだったら◎とか、年に何回かあるところは〇とか、何か連携の強度というかパイプの太さというものを何かとらえるようにしないと、間違った連携の絵を描いてしまうのではないかと危惧して、もしわかれば件数がわかればいいのかと思った次第である。
また、、事務局案には、犯罪被害者全般としか区分がなかったが、ここはやはり例えば、犯罪被害者当事者なのか、それともご家族なのか、もしくは殺人事件であればご遺族であるのかとか、そういったもう少しもう二、三個ぐらい区切った方が、例えば子どもの犯罪なのかとか、自分の親の犯罪なのか、何か被害者全般というのは広過ぎるのかなと思った。そこは回収率等を専門家と議論していただき、もし更に区切った方がいいという判断になれば、検討いただきたい。
更に、調査対象とすべき関係機関として、「放送と人権等権利に関する委員会機構」を入れたが、実は結構報道されたことで困っている方とかやめてもらいたいという被害者遺族の方が訴える先がなかなかない。そこに実際どのぐらい連携があるのか。今回は別でもいいと思うが、今後新たな連携という意味では是非とも入れていただきたいと思う。
○事務局 質問票の立て方によってはある程度対応が可能ではないかとも思うので、調査会社と鋭意検討したい。ただし、必ず入るかどうかまでは保証はできないが、特に1件か1,000件かとかいうレベルのものは質問項目の立て方で解決は大分可能だと思う。
それから、BRO/BRCに関しては、新たな連携を模索する中では入っている。ただ、現状把握という点では特に現時点では必要ないと考えた次第である。
○構成員 対象団体について、実は精神科医には精神科医師会というのがない、ほとんど現場では日本精神科病院協会とか、日本精神科診療所医師会とか、いろいろな形で入っているから、そこに届くだろうかと感じた。
○事務局 病院・診療所とか膨大な数のものをすべて調査するわけではないので、選抜する中でご意見を適切に踏まえたい。
○構成員 事前に事務的にいただいていた調査案には回答様式において対象団体の例として載っていたものがあったと思うが、今回は何かそれがもう対象になったような書き方をされている。それはどのような扱いだと考えるべきなのか。
○事務局 従前の案は、数が膨大になるので不可能であろうという前提で行っていたが、調査会社を選定する際に、ある程度有意性を保てるような数の調査が行えるのではないかという段階に来ており、現時点では実際の調査対象になるかもしれないということで記載している。そのあたりは調査会社との調整が済んでみないと実際に調査対象になるかどうかは確定的なことは言えないが、郵送調査等の調査対象にはなり得ると理解されたい。
○構成員 被害者の方の調査も行ってはいかがかということについて、消極のご回答をいただいておるが、ご意見を申し上げた一つの趣旨は、事務局案は現状把握ということであるが、それで本当に問題点が明らかになるのかという懸念があり、現状を聞いてそれで問題点を浮き彫りにできるのか、あるいは不十分な点についての適切な答えが返ってくるのかという疑問があったわけである。
それで、具体的にどういう場面でどういう支障、あるいは不都合、負担があったのかということを調査されてはどうか。もう少し具体的に幾つか事例をピックアップできれば、あるべき姿というか、どういう点で不十分ではないかということを前提に具体的な議論が、より構成員の中にイメージを持ってできるのかなと思ったわけである。
ただ、費用や期間という点から制約があるとのことですから、設問の仕方、あるいは設問を設けるかどうかということで、ある程度対応可能であり、これらの関係機関・団体に対する質問の中に対応した事案の中で具体的に問題があった、あるいは被害者の方がご不満を持ったといったような、そういうケースを自由記述でもいいと思うのですが、あれば記述してもらうとか、できるだけ被害者の生の声も上がってくるように工夫いただきたい。
○事務局 今の点は十分踏まえるべく質問項目の中にもそういう趣旨のことが入っており、自助グループ、支援団体の方も調査対象になっているので、そこからもかなり被害者の方々のご意見は吸い上げられると考えている。
○構成員 自助グループと書いているが、被害者団体によっては自助グループではなくて被害者団体という名前で言われる方たちもいるが、それは同じ同列ということか。
○事務局 限定している趣旨ではない。
3.今後の検討の進め方について
第6回会合(10月下旬に開催予定)以降の検討の進め方について、事務局案のとおり進めていくことが了承された。
4.その他
第6回会合(10月下旬に開催予定)においては、海外調査や連携調査といった関連調査の結果を報告し、連携の現状と問題点を把握するとともに、それらを踏まえ、連携の在り方について検討を行う予定である。