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犯罪被害者等施策
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警察庁ホーム > 犯罪被害者等施策 > もっと詳しく知りたい:犯罪被害者等施策推進会議等 > 各検討会の開催状況 > 支援のための連携に関する検討会の開催状況 > 第2回議事要旨

支援のための連携に関する検討会(第2回)議事要旨


(開催要領)
日時: 平成18年6月2日(金) 15時~16時46分
場所: 中央合同庁舎第4号館4階共用第2特別会議室
出席者:
座長長井 進常磐大学大学院被害者学研究科教授
座長代理小西 聖子武蔵野大学人間関係学部教授
構成員高井 康行弁護士
本村 洋全国犯罪被害者の会幹事
山上 皓東京医科歯科大学難治疾患研究所教授
荒木 二郎内閣府犯罪被害者等施策推進室長
廣田 耕一警察庁犯罪被害者対策室長
井上 宏法務省大臣官房司法法制部司法法制課長
坪田 眞明文部科学省初等中等教育局児童生徒課長
依田 晶男国土交通省住宅局住宅政策課長
代理出席萩野 剛総務省自治行政局自治政策課理事官
矢田 真司厚生労働省政策統括官付参事官付政策企画官

※ なお、検討会構成員のいずれの発言についても、便宜上、「構成員」と表記した。


(議事次第)

1.開会

2.論点整理等

  • 事務局による論点及び検討順序の提示
  • 論点整理及び検討順序に関する意見交換

3.今後のスケジュールについて

  • 検討会において実施すべきヒアリングについて
  • 検討会において実施する海外調査及び連携調査の構想について

4.自由討議

5.閉会


(配布資料)

  資料1  支援のための連携に関する検討事項について(事務局案) [PDF形式:61KB]
  資料2  本検討会において検討すべき論点の整理表 [PDF形式:84KB]
  資料3  本検討会の当面の検討予定(案) [PDF形式:13KB]
  資料4  検討会において実施する調査について(案) [PDF形式:12KB]
  資料5  内閣府資料 [PDF形式:60KB]
  資料6  山上構成員意見 [PDF形式:12KB]
  資料7  本村構成員資料 [PDF形式:44KB]



(議事内容)

○論点整理等について

 基本計画検討会での議論において検討が必要な事項等に関して、事務局から、今後検討すべき論点として、基本計画に基づき、関係機関・団体のネットワークづくり、コーディネーター等の育成の在り方、民間団体等で活動する支援者の養成や研修等の在り方について検討を行うこと、本検討会に係る事項については、昨年の基本計画検討会において被害者の方からの多くの要望が検討され、既に多くの施策が基本計画に盛り込まれているところであり、そこでの議論の結果を活用しながら、焦点を絞った検討を行う必要があること、そこで、本検討会においては、まず昨年の基本計画検討会の議論を用いて、その中からまだ検討済みでない、あるいは施策が立っていない事項についての抽出をまず行い、その上で検討事項の大まかな順序について構成員の方に確認を行っていただく必要がある旨を説明し、詳細について、資料1、2の整理により、本検討会における検討のコアを、(1)各種「協議会」等既存の枠組みを活用したネットワークの構築、(2)起点となることが想定される機関・団体や連携の範囲に着目した、更なるネットワークの構築、(3)民間団体で支援を行う者の育成、カリキュラムに盛り込む内容や全国統一基準を確保する方策、(4)民間団体で支援を行う者の支援活動に係る費用の弁償、災害補償、信頼性の確保等支援活動を助長する仕組み、(5)ネットワークにおけるコーディネーター等の育成、(6)コーディネーターの各機関・団体への配置及びコーディネーターの制度化、(7)ワンストップサービス化、(8)既存の団体とは別の新たな法人格・認定制度の創設、について、この順序で検討していくことを提案し、特段の意見なく了承された。
 なお、(1)「『協議会』等既存団体の枠組みを活用したネットワークの構築」及び(2)「起点となることが想定される機関・団体や連携の範囲に着目した、更なるネットワークの構築」の関係では、ヒアリングの実施、ヒアリングの結果等を踏まえた海外の実情調査及び諸機関の連携の状況調査等の材料集めを行い、その上で、現状を踏まえ連携が十分でない部分について補完方策を考えていくという方向性、情報提供や支援等の「起点」となる機関・団体を核として更なる連携の在り方について考えていくことを説明。また、民間団体で支援を行う者についての検討に関しては、支援者の育成、カリキュラムに盛り込む内容、あるいは全国統一基準を確保する方策について、ネットワークの実効性を高める観点から各支援者に求められる役割を想定しながら考えていくとともに、支援活動に係る費用の弁償、災害補償、信頼性の確保など、支援活動を助長する仕組みについて検討していくこと、更にコーディネーターの検討に関しては、コーディネーター・専門的チームの育成の配置の在り方の検討や制度化を検討することとなる旨を説明。


○今後のスケジュール(ヒアリング及び調査の実施)について

 事務局から、有識者及び関係行政機関からのヒアリング並びに調査を実施し、今後の検討に必要な情報を集め、その後、それらをもとに更なる連携の在り方について議論することとしてはどうかとの提案を行い、その後の議論の概要は以下のとおり。

(構成員) 何点か今の段階でお分かりになる範囲でお教えいただければと思う。1点目は、大変ちょっと現実的な問題である。第4回会合で私どもからもヒアリングを行うということであるが、まだ早いが、準備があるので、おおむねどれくらいの時間を考えているのかということが1点。
 それから、第6回会合で「各種支援の実態について(各省庁構成員によるプレゼンテーション)」と書かれているが、これと行政からのヒアリングとどういうふうに違うのか。これはどういうことをお考えになっておられるのかということをご教示いただければと思う。
 それから、海外調査であるが、これはこれからどういうふうにやるかお考えになるということなのだろうが、これは実際に調査に赴く者をどういうふうに考えておられるのかという点が1つ。それから、地域における関係機関・団体の連携調査の方であるが、これは公的な機関というのも対象にしておられるようだが、これは例えば都道府県警察の警察署みたいなものも対象に考えておられるのか。調査の方法としては、これはいわゆる現地に赴いての調査ということなのか、書面による調査なのか。もし現地に赴いての調査だとすると誰が行かれるということを想定されているのか。

(事務局) 行政からのヒアリングということで、所要時間は、1回の会合2時間と考えているので、恐らく質疑応答を含めても20分から25分というのがせいぜいだろうというふうに思っている。当然時間は限られてくるので、事務局の方でどのようなことを発表願いたいかということを少し絞った形で後日ご依頼させていただきたいと考えている。
 次に、第6回のところの各省庁構成員によるプレゼンテーションというところは、確かに第4回の行政からのヒアリングとも重なってくる。どちらかというと第6回のところはこの下の2.の「連携のあるべき姿」を中心にやっていきたいと思うが、補足的に何かあるようであればということで考えている。特にここに具体的に何か今考えがあるかと問われれば、今のところ具体的に何かあるわけではないという状況である。ここについても必要に応じて、とりあえずこの「連携のあるべき姿について」とだけ書いておけばいいのではないかということであればそういったご議論もいただればと思う。
 次に、海外調査について、どういった者が行くのかということであるが、現在、体系的に詰めているので、第3回、6月30日の海外ヒアリングの後、なるべく早い段階で構成員の皆様方にご提示できればと考えている。
 最後、地域の連携調査について、公的か民間かということに関しては、実際に設計図をこの議論の中で描いてみて、そこに入ってくる機関について照会するものである。やり方については、調査会社を使うということも視野に入れてある。現場に赴く形で、それが不可能なところであれば書面というようなことになるかと思う。事務局の構想としては今そういうものである。


○自由討議

 事前に資料提出のあった構成員から、今後構築していくべき連携のイメージと課題、民間団体の役割、民間団体への援助に関する検討会との連携の必要性等について意見発表があった。
 その後、各構成員から連携のあるべき姿等について意見が出された。主な意見等は以下のとおり。

(構成員) 私が事前にお出しした資料は、資料7という番号がつけられているA3横の資料になっている。今回第2回検討会に当たり、事務局からかなり膨大な資料をいただきまとめてくださり、私なりにずっと読んいた。読ませていただいた資料をもとに、絵でわかりやすく自分の頭の中を皆さんにご披露しようと思い、資料をつくった。これからの議論をする上での何かたたき台になればなと思ってつくった資料である。
 1枚目のA3横の資料が全体像になりますが、全部で4つの絵を書いてある。左側から従来、現在、そして将来ビジョンという3つの枠組みになり、将来ビジョンは(3)、(4)と2つのものを置いているが、まず、縷々今まで述べてこられているけれども、従来何が問題だったかというのを私が犯罪被害に遭った当時の被害者を見たときのネットワークというものを絵にしている。
 まず、区分として、構造というところに木の枝のような図を書いているが、一番下に被害者というものがある。事件当時、被害者支援センター等がなかったので、すべての情報を自分で収集するというのが常であった。そのとき何が困ったかというと、裁判所に行っても各行政機関に行こうとも、まず自分が何者かということを説明しなきゃいけない。どうやって説明したかというと、新聞を切り抜いて持って行って、僕はこういう者なんだけれどもと言って、大体変な顔されたりする。弁護士の方にもご相談に行ったけれども、なかなか最初受け入れてもらえずに、私がその事件の当事者であることを聞いてもらうのにかなり苦労したということである。とにかく自分で情報を収集して、ここではこんなことがあるんだと思ってそこに行ってもなかなか被害者当人ということが認められづらいということ。各機関ともそういう被害者の方が来ても、法律ではいろいろな制度があったにもかかわらず、その中身を知らずに適切な支援やご指導いただけなかったことがあった。そういうのが、課題と書いているが、被害者の負担が非常に大きかったということ。
 2番目に、「被害者が孤立する」と書いているが、当然私が例えば裁判所に行っていろいろ聞いてもそんなものだめだと言われたときに、それを相談する相手がいない、もしくはそういった対応をしている各省庁を監督する、または管理するところもないということで、結局被害者自身が自分で問題を抱え込んで個人でクレーム出さなきゃいけないということで孤立してしまう、また相談相手がいないというところが問題であった。
 また、3番目として、これも縷々言われているが、各機関との縦割りで、例えば裁判所に行って我々こういう者だというと、じゃあ、それは検察庁に行ってくれと言われる。検察庁に行ったときにその情報が流されてないのでまた一から話してこうこうこうでということで、いわゆるたらい回し、そういったことがあった。
 現在においては、(2)に移行するけれども、この被害者と各関係省庁の間に今は被害者支援センターなるものがあるというふうに私は理解している。この間に多くのことが改善され、例えば法律関係でいうと犯罪被害者保護法の制定や刑事訴訟法の改正等、また全国犯罪被害者ネットワークも設立され、大きく被害者の支援体制は変わっているというふうに考えている。
 ただ、ここでもいろいろと問題があり、課題と書いているが、犯罪被害者支援センターの限定的な支援と書いているが、まず、支援センターそのものが残念ながらまだまだ社会的地位や法的地位が不明確であって、被害者もどこまでここのセンターに自分のことを話して信用していいかというのがわからないということがあった。また、支援センター自身も一生懸命活動しようとするが、NPO法人化してもなかなか社会的地位、法的地位がないので、資金源の調達が困り、それに枯渇する。むしろお金を集めることに精いっぱいになってなかなか支援ができないという実情があったと考えている。また、その知名度がない、法的地位がないということにより、各関係機関と、特に警察の方とはことに連携をとられているが、その他のところとはなかなか連携がとりにくかったと聞いている。
 結局これに関連して、支援センターごとに支援の内容が統一されない。あの県ではかなり支援が進んでいるけれども、この県はまだまだ産声をあげたばかりということで、被害者は一様に同じ支援が得られなかったということがあると思う。
 そういったことがあり、結局被害者自身がその支援センターをどこまで信頼していいかというのがわからずにいるという問題があったと思っている。課題としては、支援センターというのがせっかくあるから、この支援センターと各機関との連携を強化して、民間支援団体の支援の充実化というものを図って今後信頼性を上げていく必要があるというのが今の課題と考えている。
 また、2番目に、「犯罪被害者への介入的支援体制の遅れ」と書いている。ここでは「介入」という言葉を時々使っているが、介入の定義としては、被害者からの要請を受ける「応答」と対立するものと区別している。応答というものは被害者から求めがあったときに応える、介入というものは被害者の要望がなくてもこっちが介入していくという2つのものになっており、それで応答と介入という言葉を使い分けているが、その介入的な支援の遅れがあると考えている。
 つまり、支援センターとしても被害者から要望があればそれに何らかの形で対応できるが、被害者の居場所がわからないので、助けてあげたいと思っても、もしくは電話がかけれない、声をあげれないという被害者が埋もれていても、そこに積極的に介入することができなかった。これはやはり大きな問題だと思っていて、つまり、被害者の情報というものが全く共有化されていないというところが今のネットワークの問題だと考えている。
 3番に縷々書いていますが、「各機関の連携・ネットワークが構築されていない」と。今でもやはり各機関とも縦割りの情報網であり、やはり被害者がたらい回しされる傾向がある。被害者支援センターがあるといっても被害者支援センターの方と一緒に各省庁に行って説明に行ってるとか、頭を下げて何とか支援をお願いできないかというようなことをやっているということがあり、まだまだ被害者等の情報の共有化や管理の体制が確立されていないと今は考えている。
 また、絵の中に書いているが、被害者支援センターの横に警察庁と書いているが、今ここは犯罪被害者等給付金支給法の改正等あり、かなり強く連携があり、警察庁の後押しもあり被害者支援センターは連携を強化しているが、なかなか自助組織というところが支援センターとのネットワークであったり警察庁とのネットワークがあいまいな連携であったりしているので、今後の課題となっているが、こういった有益な団体をどうネットワークに組み込んでいくかということもこれから考えていかなきゃいけないと考えている。
 将来ビジョンというところに移るが、これから海外調査、国内調査、いろいろな有識者の方にアドバイスを受けるとしても、まず我々として、実はこういった連携を目指しているという1つのたたき台がなければ何も聞くこともできないというふうに考えているので、私自身が今思っているものを(3)、(4)と2つのケースを書かせてもらっている。
 事務局からいただいた資料にはネットワーキングの強化という言葉が出てくるが、具体的にネットワーキングの強化って何だろうということで自分なりに考えている。それがまず(3)である。今までの資料は被害者が一番下にいて上へ上へお願いするという形にしていたが、今はこういったサークルをつくって、その中に多分被害者がいるんだろうと。これが将来目指すべき姿ではないかと思っている。これがまさに事務局の言われているどこを起点としても同じ支援が受けられるという絵ではないかと思っている。
 例えばこの絵の中で医療機関というところがある。例えば女性の方で性被害を受けた方、なかなか最初に警察には行けないと思いますが、例えば最初に産婦人科医のところに行って検査を受けるとか、精神的なケアを受けに行く。そうしたときにその人が被害者とわかれば、それがすべからく何らかの形でいろいろな機関に情報が伝わって、これは医療機関では無理だけれども、これは弁護士の方にお願いしてほしいとか、これは警察庁に行った方がいいとか、いろいろなことができるネットワークというものがやはり必要ではないかなというふうに思っている。それで、被害者を中心に、一番上は犯罪被害者支援センターだが、それから警察庁、法務省、検察庁等々ぐるっと絵を書いている。
 この中で課題は、まず各府省庁を結んでいますサークルの線であるが、ネットワークの強化というのはそもそも何をもってネットワークをするのかというのがまず決めなきゃいけないということ。そして、2番目、課題(2)と左下の方に書いているが、今後被害者支援員であったりコーディネーターというものを置くということになっているが、彼らをそのネットワークの中においてどういった位置づけになるのかというところをちゃんと決めなければ、今後の育成制度等もできないと。また、彼らにどういったことを託すのかということも決めなきゃいけないと。
 更に、課題(3)と書いているが、民間の団体の役割の位置づけはということで、今、警察庁が認定する被害者支援センターというものと法人化できない自助組織とがあり、彼らにどうやってこの枠組みに入っていただくのかというところを検討しなきゃいけないのかなと考えている。
 この(3)というもので私が考えているものを述べる。まず、課題(1)、各機関のネットワークの強化の具体的な施策は何かと言われたときに、私自身の被害者としての思いであるが、基本思想としては、各機関が、全機関がどんな支援ができるかということを把握し、かつ被害者の情報が共有できるシステムを構築することでネットワークの強化を行うということだと思ってる。それに伴って被害者の支援の迅速化、被害者のたらい回しの抑制、被害者自身による各機関への重複説明などの可能な限り抑制する体制づくりを目指すということがネットワークを強化する上での最大の目的だと私は考えている。
 その中の(a)というところであるが、各機関の被害者支援内容を明確にし、各機関が他機関の支援内容を情報を共有化するということがまず第一だと思っている。そのためには、今後プレゼンテーションもあるというふうに事務局の方からスケジュールの紹介があったが、まず、各機関がどんな支援ができて、それがどうなったものかということをきちんとした手引書なるものを各機関がつくるべきではないかなというふうに思っている。特に私も犯罪遭った当初、警察庁から警察庁の犯罪被害者支援という冊子をいただき、大変役に立った。それはやはり警察庁だけの枠組みであり、全体の枠組みではない。だから、次にその各機関がつくった手引書をもとに、この国全体としてどんな総括的な犯罪被害者支援ができるかという手引書をつくっていただきたいというのが私のまず第一の要望である。
 次の(b)であるが、ここはかなり議論が分かれるところだが、犯罪被害者の情報を共有化し、及び介入的支援体制の構築をするということだと思っている。そのためには、ここはかなり難しい課題と思うが、犯罪被害者登録制度等の導入が必要ではないかというふうに考えている。これは何かと言うと、まず事件が発生した当初、例えばこれは警察の場合を想定しているが、まず警察の方がその被害者を認定した場合に、「あなたは今後国の支援を受ける意思があるかないか」ということを確認する。その確認を得た上で、その支援を受諾した被害者に対しては、まず被害者としての情報を電子データ化するなど、登録をしていいかどうかというものを得て、了解が得られればデータベースを構築していく。要は、どこにどんな被害者がいるかということをわかるようなデータベースをつくっておく。
 更に、そういった国による支援を受諾した被害者には、被害者情報をきちんと記載した被害者手帳もしくは証明書カードなどを配布して、この手帳をもらえば、母子手帳みたいに、どこのだれでどんな被害を受けてどんなことが困りそうかというようなことが、警察庁でもらったものを法務省に持って行こうが検察庁に持って行こうが裁判所に持って行こうが医療機関に持って行こうが、大体のことを一々説明せずにもわかるようなものを被害者がいいと言えばつくってあげて、配布することを僕はやってもらいたいと考えている。実際私が被害に遭ってそれがあれば多分それを欲しかったと思う。
 逆に、電子データの登録というのはかなり情報管理が難しくなるので、それら承諾しない人に限っても、とにかく被害者であることをきちんと国が認めてあげるような手帳というものをつくってあげることが必要ではないかなと今は考えている。
 では、この犯罪被害者手帳というものがあったとして、それはどこが発行するのかとか、どこまでの範囲の人が発行できるのかというものが今後の課題だと思っている。先ほど言ったように、最初に警察庁に来られた方はいいが、例えば最初に病院に行った方とかは、それは明らかに犯罪被害とわかっていたとはいえどうすればいいのかというのはあるので、ここは今後の、もしこれが導入できるのであれば議論になるかと思っている。もしくは諸外国等でこういった制度に似たものがあればぜひとも勉強したいなと考えている。
 次に、(2)と書いているが、その犯罪被害者のデータベースができた前提で犯罪被害者登録制度の活用ということで、各機関においてまずは犯罪被害者手帳等の提示により事件の概略、過去の支援、各機関からどんな支援を受けたかという履歴などを明確にするようなことをしておく。それによってたらい回しにできない。例えばこの人はもう3回も来ているとか、各機関でこれだけ回されているとかそういったことがわかるような履歴をちゃんと残してあげる。そして、各機関はこの被害者が今どれだけ苦労しているかということがわかるようなことができるようなものをつくるということが1つ。
 iiというところに、限定された機関において被害者の情報、これは難しいが、住居、被害者の状況、想定される必要な支援などを把握しておくようにしておくと。例えばあるところでこういった事件が起きた、その情報を把握しておいて、その後1年たっても2年たっても何ら被害者から支援の要請もないし何の動きもないときに、例えば、被害者支援センターが直接電話して、「その後何かないですか」というのか、封書を送るのか、もしくはそのときにコーディネーターや被害者支援員がいれば、彼らがちょっと連絡をとるのかというふうに、介入的にその後どうなっているかというものを垣間見るようなことができればいいのではないかなと思う。これも当然国からの介入する支援を受けるという意思を表明した者しかデータベースはないので、そこについて疎まれることはないかなと思っている。
 いずれにしろ、被害者の情報を何かしらデータであり紙であり残すということはプライバシーに係る問題なので、今後こういった情報の取扱い管理体制をどうするかということはあるが、まさにどこにどの被害者が何に困っているかということをまず各府省庁が共有することがネットワークの強化の第一歩ではないかなと私は考えている。
 課題(2)に移るが、被害者支援員もしくはコーディネーターというものにどういった役割で位置づけするのかということがあると思う。私はこれは非常によい提案だと思っているので、ぜひともものになればと思っている。まず、被害者として被害者支援員もしくはコーディネーターに望むこと(素案)と書いているが、とにかく各府省庁から独立したところはいいと思っているが、犯罪被害者の状況を冷静に把握して、この人にはどんな支援をすることがいいのかということを構築、もしくは提案できる人がいいと思う。この人はまず医療機関でこういうのを受けながら法務省でこういう支援を受けるとか、まず住宅を移して新しい住居を持った方がいいとか、いろいろなことをコーディネートできる人が欲しいと。更に、そういうコーディネートをした後に、被害者が十分な支援を受けているか、もしくは回復に向かっているかというのを随時確認、フォローできるような人。更に、不適切な支援を実施している機関等がないか監視できる。つまり、監視できるということはどこにも属していないというような方がいいのではないかなと思っている。要はaからcを独自で判断、遂行できる可能な人材というものが必要で、それをまさに育成するもしくは資格化することがコーディネーター制度の重要な課題ではないかなと考えている。
 そういったことができる被害者支援コーディネーターの位置づけとはどうかと言うと、2番に移るが、コーディネーターはやはり規定された研修プログラムを終了して、国が認定した個人とする、ここがポイントだと思っている。更にコーディネーターを独立した個人とする。コーディネーターは各機関から要請依頼を受けたときに初めて被害者支援に参画して、先ほど上の絵の中に入っていろいろな情報を得ることができることにすればどうかなと思っている。
 ただ、この際、各機関から要請と書いたので、とんでもない人はいないと思うが、コーディネーターの人にもやはりいろいろな人がいるので、例えば被害者の情報をもとに悪いことをするとかそういったこともあるので、じゃあ、どこがこの個人のコーディネーターの責任を持つのかということがあいまいになるので、ここは今後の議論かと思っている。
 あと、3番に、被害者支援コーディネーター制度の課題と書いているが、ここはコーディネーター制度をつくるといった上での今後の課題と思うので、詳細は割愛するが、私が想定する最大の問題は、3番の中の(d)に書いているが、有償とするか無償とするかというところだと思っている。これだけ大きな責任を課す方に、例えば今保護司という方がいるが、基本的にボランティアの方でやっている。大変いい方もいると思うけれども、言葉は慎まなきゃいけないが、無責任な方もいる。それから、保護司さんが請け負った加害者が更にまた再犯する、それを保護司が助長するような場合もあるので、そこに責任感というものを植えつけるためには有償ということも考える必要があるのではないかなと考えている。
 課題(3)と書いているが、今私はこのネットワーキングの中で被害者の情報を共有化することが何よりも重要ではないかと述べたが、では、そういったときに民間の支援団体というものをどうやってこのネットワーキングの中に取り込んでいくかということを慎重にしなければならないと考えている。
 基本的に1番の支援ネットワークの枠組みに組み込む民間団体の認定と書いているが、ベースはやはり、新犯給法と書いているが、犯罪被害者給付金支給法の改定されたものに基づく犯罪被害者等早期援助団体をネットワークに組み込む。要は、警察庁が認定したものを基本的には組み込むべきだと考えている。
 bと書いていますが、この新犯給法に基づく規定では法人化されていないものは早期支援団体に指定できないので、法人化されていない支援団体、自助組織についてはネットワークに組み込まないということになってしまう。ただし、認定された民間支援団体や警察庁がその活動を把握している場合は、被害者に対して「こういった民間の自助組織や支援団体がありますよ」という民間支援団体の情報は教えてもいいのではないかと思っている。ただ、その国が認定していない組織に被害者の情報を留保することはしないと。こういったところがありますよという情報を逆に被害者に提案してあげるということにしていると思っている。
 というのが大まかな将来ビジョンの(3)というところである。
 実はこの(3)と(4)、もう1個右側に書いているが、ここにちょっと差をつけているのは、私が勉強する限り、被害者の支援というのは基本的に1つ核となるものがあって、基本的には特にドイツかとアメリカはそうだけれども、民間の支援団体が核になっているところが多くある。では、(4)では民間の支援団体等を中心とした場合にどうなるのかというのを少し私なりに考察をしている。
 基本構造は先ほど(3)と同じなので、この(3)というものに追加していくようなイメージになるというふうに考えている。まず、4番目に移りますが、その絵を見ていただくとわかるが、今(3)では被害者が真ん中にいて同じ緑色の矢印が同じ長さで出ていろいろなところに要望を出していたが、例えば被害者支援センターというものを核とするならば、被害者とその支援センターは細やかな情報交換と書いているが、密な連携をとり、その支援センターからいろいろなところに情報を発信するような形になるのかなと思う。当然被害者個人はいろいろなところにいろいろな支援を個人で要請しても構わないと思うが、縷々そういったことを被害者支援センターと情報を共有化していくということ。
 更に右側に被害者支援コーディネーターと書いているが、これは基本的に、先ほどは各機関から要請されたものがコーディネーターとして被害者の支援に参加すると言いったが、民間団体を核とするならば、基本的には民間団体が依頼したコーディネーターが支援に入ってくると考えている。
 下の方の説明にいくが、課題(1)の各機関のネットワーク強化の具体的な施策はという中で、左側の(3)に追加として項目として、もし民間支援団体を中心とするならば、どの機関を起点としても犯罪被害者の情報は認定された民間支援団体へ情報が提供されるように整備することが必要であると。要は、この民間支援団体に、例えば最初に病院であろうが、最初に警察であろうが、最初に弁護士会であろうが、被害者が支援を受けたいという要望があれば、その情報はすべからく支援センターに情報が行くようにすべきではないかなと考えている。
 課題(2)ということで、被害者支援やコーディネーターの位置づけや役割について、ここは基本的に一緒だが、変わるところは2番の被害者支援コーディネーターの位置づけというところで、この中のcになる。コーディネーターというのは警察庁もしくは新犯給法に基づき認定された民間支援団体の要請で支援に参画できるということで、コーディネーターという独立した個人に被害者支援のコーディネートを要請するところが警察庁もしくは民間支援団体に特定されるので、ここでコーディネーターの身元とか責任元が明確になるのではないかなと考えている。
 それと、下の方にいって課題(3)の方に移るが、その中でも被害者支援ネットワークの枠組みへ組み込む民間団体の認定についてというところで、当然ここは先ほどと変わらないが、この下の方を見ていただきたい。コーディネーターの位置づけが重要なポイントと書いているが、これは(3)、(4)に共通することかもしれないが、ちょっとこれは正直な気持ちを書く。
 犯罪被害者の中には、大変申しわけないけれども、例えば警察庁に対して国家賠償等している人もいて、警察庁に対して不信感、不満を抱く方も多くいる。そういった意味で、警察庁と強く結びついている被害者支援団体等には余り支援を受けたくないという方もいる。また、住居を明かしたくないという団体がある。住居など開示することができない支援団体はNPO法人化に認定されない。そのため、警察庁の早期援助支援団体の指定を受けることができないので、こういった有力な支援団体というのもなかなかこの枠組みに入れないというところになってしまう。そこで、警察庁や民間支援団体から独立したコーディネーターが重要となると書いている。
 要は、早期援助団体として指定を受けることができない支援団体も個人でコーディネーターの資格をとれば、そして警察庁や被害者支援センターが認められればその支援のネットワークに入っていろいろな支援に参画できるということもできると思うので、そういった意味でこのコーディネーターとか被害者支援員というものをうまく活用するようなことが今後重要になってくるのではないかなと思っている。
 私は被害者の情報というのをいかに共有化してきちっと守って、またその情報をもとに素早く、おせっかいにならない程度に介入的にうまく支援し、被害者の方の負担を減らせるようなことができていけばなと思っていて、一旦事務局にいただいたものをベースに私の頭の中をまとめたまでである。

(構成員) 私は事務局案への意見というのを5月22日付で出している。これはこれまでの検討会の進め方でそれぞれ問題を少しでも感じたことは率直に意見を表明して、それを議論のベースに資するということを積極的にしてきたので、その流れでさせていただいた。それほど大きなこととは言えないかもしれないが、感じたことをそのまま書いたものである。
 1つ目に書いたのは、少年が学校で事件、事故に巻き込まれたときの学校側の対応で、学校の支援というところでは被害少年に対する配慮とかカウンセリングとかそういうふうに書かれているが、これは連携のテーマに直接関わることではないのかもしれないが、私が強く感じ、またこれまでの検討会でも指摘してきたのは、そういう学校での事件、事故のときに被害者の側に情報が隠されてしまって、加害者の側、例えば生徒による暴力沙汰で被害者が死亡したような場合には、被害者の家族の側に全く情報が閉ざされて、学校内で生き残っている加害者のお世話をということで学校側がその情報を隠す、あるいは教育委員会がそのような対応をされるということで被害者の方は非常に傷ついている方が多いので、単に被害少年の支援あるいはカウンセリングとかそういうことだけでなく、学校側がそういう被害に遭った事実をきちんと把握し、それを被害者の方あるいは家族の方にもきちんと伝えられるような姿勢とかそういうことも含めて考えておいていただきたいということで、そのところが欠けていたので書いたものである。ただ、これは連携の課題の中心になるものでは全くないので、気がついたところをそのまま書いたということである。
 それから、第2点は、「整理表」の中で「犯罪被害者等の支援を行う民間の団体を中心とした連携の枠組みづくりについて」というところで、論点に対する検討方針という事務局の結論的な方向として、「民間団体を中心とした連携の枠組みづくりの必要性については今後とも引き続き警察庁の所管する早期援助団体制度の積極的な適用により一層充実した情報提供が行われるよう支援がなされると考えられることから、その状況などを踏まえ、本検討会における全体の枠組みを検討することとしてはどうか」という、そういう方向づけがされていたわけである。
 私がこの文章で感じるのは、民間の援助団体の役割についてであり、民間援助団体が現在どうあってこれからどうあるべきなのかが今論議されているところであるから、やはり一番もとになるのは民間援助団体の在り方を検討し、それを踏まえながら、またそこは当然警察庁と、こういう早期援助団体とが深く関わっているので、これもつけ加えていただいていいのだが、やはり民間の援助団体の在り方がどうなるかというところがまだこれから大きく検討されて決定していくところでこういうふうに方向づけ、枠組みを与えられるとかえって自由度が制限されるような感じがあったので書いたものである。
 ただ、この問題を通じて感じたことであるが、この検討会とは別の部会で民間の援助団体に対する財政援助の取り組み方が今検討されているわけだが、それぞれの検討が独立していて、そちらでお互いに何が検討されるかわからない、そういう状況でいくと、やはり本当は民間の援助団体の在り方がはっきりしてくれば、この連携の在り方もはっきりしてくるという部分があるので、本当はそれを密に連絡をとるとか、あるいはそこの進み方を見て検討するとかそういう何かがいるんじゃないだろうか。そういう意味で今検討会3つに分かれてそれぞれお互いのところの情報があまり交換がない状況があるわけだが、それをぜひ交流できるような、そして全体としてこういういろいろなことを共有して論議が進めるといいなと感じた。

(構成員) 今、犯罪が発生して被害者の方が生まれて被害者の方の情報というのは持たれていると思うが、そういった情報というのは例えばほかの機関からこういうものが尋ねてきたけれども、その身元を調査したいとか、この事件の被害者の情報を欲しいとかといったときに、警察庁として例えば裁判になっていないものとか起訴されていないものとかいうものについての情報を相互交換することとかそういったことはあるのか。

(構成員) 例えば昨年国土交通省が公営住宅への犯罪被害者の方の優先入居という仕組みをつくられて運用されているが、これに当たっては、公営住宅の管理者というか、運営主体の方から警察の方に問い合わせがあって、もちろんそれは被害者の方の同意を得ていただいてだが、それに対して必要な範囲で、もちろん捜査への支障等も考慮しながら、必要な範囲で概要をお答えするというか、そういった公営住宅に優先入居していただくために必要な要件を判断するに足りる情報ということになるだろうが、それをお答えするということはあり得る。
 だから、基本的には何か被害者の方に特化したサービスを提供するところがあって、そこが警察の方に自分たちのところにそういう方が来られたので、この方は本当に犯罪被害に遭ったのかどうかとか、どういう犯罪被害なのかということを照会されるということであれば、それはその機関との間でお話し合いをさせていただいて、今回国土交通省とも大分そこは詰めたけれども、その上でどういう範囲で私どもがご協力できるか、お答えできるかということを相談させていただくということになろうかと思う。

(構成員) 今後はそういった意味ではいろいろな各府省庁で独自の被害者支援やっていく上で必ず警察庁に問い合わせがどんどん来てしまうようなケースもあるということは、かなり大変な作業になられるということである。だから、やはり独自で被害者の、各省庁が何かしらそういった手間をとらずに認定するようなものがなければ、早く支援もできないし、警察の方もそういった情報を提供するのに手間取ってしまうというようなことになるということが想定されるという理解でよろしいか。そういった意味ではないか。

(構成員) 必ずしも、私どもの考えとしては、犯罪被害者の方に何か特化したサービスを提供する行政機関が今後も出てきて、そこがそのサービスを提供するに当たって必要な情報があると。それを私どもの方に照会されてくるということであれば、それは当然可能な範囲で協力しなくちゃいけないというスタンスなので、もちろんそれによって事務負担というか事務は増加すると思うが、そこはある程度はやむを得ないのかなとは思っている。

(構成員) まだ全体を把握するのにしても、個別の、例えば先ほど構成員からのご発言があった点についてもいろいろ課題はたくさんあるなというふうな感じで、これから個別の検討をしていくことになるのだろうが、ちょっと具体的なところはまだない。

(構成員) 一応いただいた資料を自宅で読んできた限りの感想というふうに聞いていただければよいのだが、今、構成員もおっしゃっていたけれども、なかなか3番目の検討会とのすみ分けが結構難しいなと。ネットワークについてはこちらで扱い、民間団体の財政的支援に関してはあちらで扱うというふうに整理はされているが、実際にかなり連動しているのでその辺の情報がうまくいかないと難しいなということが1つ。
 恐らく去年の基本計画検討会の中で被害者の方の要望として出ていたことというのは、要するにコーディネーターというか実際上のいろいろな連携とか実際上の支援ということをいろいろなところに連携とりながらとってくれるような人が必要だ。例えばそれはケースワーカーという言葉で語られたこともあったと思うし、それから支援員という言葉で語られたこともあったように記憶しているが、じゃあ、そういう人をどこに所属してどういうふうに使っていくのかというところは、いろいろな可能性があり得るとちょっと思っていて、ちょっと個人的に提案は今のところできないけれども、そこが一番難しいところだろうなというふうには思っている。

(構成員) 先ほどの構成員の説明は非常にわかりやすくて参考になったと思う。特にやはり被害者の方でないとこういう発想はなかなか出てこないかなと思う部分も結構あって、例えばネットワークを考えるときに、最初にボタンを押すのは一体だれなんだと。でき上がったネットワークは基本的に最初に被害者の方がボタンを押さないと動いていかないネットワークではやはりだめなんだ。被害者の方がとても元気がなくて、もうボタンを押す元気もないと。例えば腹が減っても食事をつくる元気もないというような状態からそのネットワークは動いていかなくちゃいけないわけで、被害者がボタンを押さないからそのネットワークは動かないんだと、ネットワークに動いてほしかったらまず被害者が元気になってボタンを押しなさいよと言ってるようじゃだめなんだ。最も理想的なネットワークというのは、被害者が気がつかないうちに、気がついたら隣に援助者が立っていたという状態にならないといけない。
 そういう意味では、構成員が言われているように、各省庁に行って、私は被害者なんですよと、こんな目に遭ったんですよと、その都度その都度言って回らないとなかなか相手にしてもらえない。被害者が自分の被害を説明するということは追体験するということだから、同じ被害を3度も4度も5度も味わうということだから、そういうことを被害者の方に強いるという制度は、いくら形がネットワークとしてできていてもそれはだめだと思う。被害者が何も言わない、何も言わなくても、例えばここで言われているカードを持って行けばそれで自動的に一度立ち上がったネットワークは自動的に動いていく。被害者が再度被害状況を追体験する必要は全くないというようなネットワークにしなければいけないと思う。
 ですから、そういうネットワークにするためにはどうすればいいか。被害者がボタンを押さなくても動き出すネットワークというのはどういうものなのかということがやはりこの検討会の1つの中心的な課題でなければいけないと思う。

(構成員) ワンストップサービスについての位置づけだが、検討課題では3つに分かれていて、そのうちの最後のところに書いてあったと思う。これについて事務局で今どういうふうに整理されてどう思っているのかちょっと説明していただければと思う。

(事務局) 今回論点整理という形でこの資料自体まとめさせていただいた。この論点整理の基本的な考え方は、去年行われた基本計画検討会での議論を全部見てみて、その中で、去年基本計画検討会で議論された結果として、この検討会においてどのように扱うべきかという結論が出ているものについて分類をした。
 その結果として、そういった一元的に支援を行うような機関の必要性についても検討するということ、資料2の8ページの(1)というところに、「全国標準の支援を提供する新たな団体や制度の必要性についてということであれば、そういった既存の関係機関・団体等のほかどのような機能、法人格を持つ団体が必要かということについても本検討会において検討されるものと理解している」というようなことを去年の時点でそういった結論になっていたということである。
 それなので、事務局としては、これをどうするべきかとご質問をされれば、これについてしっかり念頭に置いた上でこの全体ネットワークづくりの議論を各構成員の間で進めていただきたいということになる。事務局として一元的な団体そのものについてどうするべきかということを今申し上げる段階にはなく、むしろそれは各構成員の間のご議論を踏まえて検討していくものと認識している。

(構成員) それはもちろんそうだと思うが、分類に関して、要するにこれまでに議論に乗っていて、かつここでは積極的に議論しなくてはいけないものと、それから、とりあえず既存である程度行われているからここでは書くにとどめるものとという形で幾つか分類されていた。ワンストップについてはその3番目に乗っていて、ここで議論という形だけで、そういうこれまでの議論を踏まえてどうかという位置づけが書いてなかったように思うが、その書いてない理由は何なのかということを伺いたい。

(事務局) そこについて説明すると、論点整理の段階でそこまで全部示すのか、あるいはこの議題になったときに過去の経緯、議論の経緯を紹介していくのかという差なのだろうと思っている。この論点整理の中では、結論として本検討会で扱うかどうか、あるいは基本計画に載っているか載っていないか、つまり客観的な事象だけで整理しているものになっていて、その結果「可否について検討する」ということになっているかと思っている。
 当然ながら、それぞれの検討のセッションになれば、そのときに過去の基本計画検討会における議論はどうだったかという紹介が恐らく必要になってくるのだろうと考えている。

(構成員) このような形で論点を整理していただき今後議論をさせていただくということで大変ありがたい。よく頭が整理できた。順番についても論点についても、議論していく過程でもって追加されたり、あるいは前の課題と関連してくるような場合もあろうと思うので、その点は柔軟にお願いしたい。

(構成員) 日本司法支援センター、法テラスと構成員の資料にも書いてあったが、これが4月10日に法人ができたばかりで10月2日開業に向けて今着々と準備を進めている段階であり、どのようなことをいつごろからできるようになるかの点についてもいずれご説明をさせていただく機会があるので、そのときに詳しく申し上げようと思っている。
 その他検察庁の関係、それから保護官署の関係等もあるので、私、直接所管していないところについては十分に情報収集した上でいろいろご説明等の対応ができるようにしたい。

(構成員) 私どもの方も学校、教育委員会を核としたネットワークということでここに書いてあるが、私どももできるだけこういう機会というか、犯罪被害者という観点だけでやっているわけではないわけだけれども、子どもの健全育成という観点からこういう学校、教育委員会いろいろな日ごろの活動をやっているので、そうした活動を少しでもこういう形に結びつけていくということでいろいろご参考になる点を聞かせていただければ、どういうふうに貢献できるかということを考えたい。

(構成員) 現時点で特別のコメントというのはないが、今後いろいろ検討していく中で課題も整理されていくだろうし、その中でいろいろ議論も新たな展開をしていく部分もあるだろうから、またそういう中で気づいた点を発言させていただければと思う。

(構成員) 私どもはここに参加している関係省庁と若干違う状況になるのかなと思っていて、ほかの省庁はそれぞれ被害の支援ネットワークについて多かれ少なれいろいろとそういった相談窓口なんかも含めて対応されていると思うが、私どもがやっていることは公営住宅について、受け皿としての住宅の確保について犯罪被害者の方に対する優先入居の取扱いとかといったことをやっている。そして、それはまた県営住宅であるとか、あるいは市営住宅ということでもってまさに地方自治体の現場がいろいろな住宅を提供する中でそういった方に対する配慮ということをどう実際に仕事の中に組み込んでいくのかということだと思っている。
 その上では、犯罪被害者の方がどういう被害を受けられたのか、どういう点で住居の確保が必要なのかということに関する情報を得るということが大事で、先ほどご紹介があったけれども、警察庁との間でもって連携させていただきながらそうした情報を得られるような仕組みというのをつくらせていただいた上で、優先入居ができるような仕組みにしているところである。
 そういう意味で、現場がまたそれぞれの自治体なので、自治体においては住宅部局が犯罪被害者の方に関しては幅広い情報を得るというよりも、むしろこの方に対して配慮が必要なんだというその1点がわかれば現場は動くわけであり、それ以上に情報の共有化をどこまでする必要があるのかということについては若干なかなか難しい、そこまで要るのかどうかというところがあるのかなと思っている。
 それからまた、住宅部局に来られた方に対して、ほかの支援サービスにこういうものがありますよということを説明するだけの能力も情報もなかなか難しいと思う。恐らくパンフレットなんかがあって問い合わせ先があるような形での情報のご紹介はできるだろうが、それ以上になかなか犯罪被害者の方に対するメニューにこういうものがありますよということを現場でなかなかどこまで提供できるかというのは難しい部分があるとは思っている。
 ただ、いずれにしても、ここでいろいろとご議論いただいたことの中でそれが現場で優先入居、住居の確保という点でうまくつながるようにまたしていきたいと思っているので、これからもまたいろいろとお話を伺わせていただきたい。

(事務局) 先ほど構成員の方から「民間団体への援助に関する検討会」との関係について発言があった。事務局としてもこの2つは大変密接に関連を有するものと認識をしており、また議論が詰まってきたら必要に応じて合同会などの開催についても検討させていただきたいと考えている。

(構成員) 今、私先ほどちょっと申し上げたときに課題が大変重いんだというふうに申し上げたのは、その1つは、今国土交通省の方からお話のあった公営住宅優先入居の問題。実は昨年、京都の方でまちづくり条例の関係で被害者問題にもちょっと関わって検討したが、なかなか社会的原資といいますか、公営住宅は犯罪被害者のためだけのものではないわけで、もともとは自治体レベルで公営住宅というのは社会的に生活の困難者というような人たちが優先的に入るというようなところを被害者の人たちを優先するということについての合理的な説明がなかなかつかないというような話も自治体レベルではされていた。今回こういう基本計画ができて国土交通省の指導というか、そういう形でだんだん広がっていくのだろうが、ほかにDV被害者の方のための婦人相談所の活用とかいっても、なかなか駆け込み寺の中身が貧弱でそういういろいろな社会的な現象を活用するという場合に、かなり今本来の対象者であった人たちのための施設とかそういう制度自体がまだまだ不十分なところがあるので、これを犯罪被害者の人たちの有効な活用ということになっていくと、そちらの本体の方をまずかなりいじらないといけないのではないかなと。そういう意味でもネットワークをつくるということは非常にいいことであり、当然必要なことであるが、課題がかなりあるなというのは、自治体レベルでそういう感じがした。

(構成員) まだ私もまとまりきれないところがあって話している中で、各省庁から大変頼もしいお言葉をいただき非常にうれしく思っているし、また私の資料の中でも1つ2つでも皆様の頭の中に残ることがあったみたいなので、その点は大変ありがたく思っている。
 あと、今、構成員が言われたように、私も常に思うことだけれども、なぜ犯罪被害者だけがと言われたときになかなか難しいことはあると思う。ただ、それぞれ社会的弱者というのは存在すると思うので、そこは当然それはそれの分野でまたどういうふうに支援するかということを考えなきゃいけないので、今はこの犯罪被害者支援をどうするかということに主眼を置いてやっていければなと思っている。
 それと、今の質問に対してはちょっと蛇足になるが、実は私もこういった自分が被害に遭ってここまで仕事もしてきちんとこういった場に席を置くに当たって、実はいろいろな弁護士の方に個人的にご支援をしていただいている。いわゆるここで言えば将来的には本当に被害者支援員という相談役とかそういったことになるのかなと思っているが、その方々は、ほとんどが実は本当は弁護士資格というちゃんと有償の資格を持っていながら、無償でやっていただいている。今も私の後ろにいろいろ知恵を出してくださる方がいらして、今後このネットワーキングの中に、法テラスの中でやるのか弁護士会かわからないけれども、民事訴訟を起こすとかそういったことでなくて、いわゆる法律相談として専門職としてやはり弁護士だと思うのだけれども、そういった方たちが民間支援団体で働く方にどう被害弁償するかということがあったけれども、その中にできれば弁護士という法のプロの方に被害者が相談するときにどうその被害弁償するのかということも入れていただきたい。
 ちょっと浅はかな勉強だけれども、ドイツの「白い輪」では支援センターというところが小切手、チケットというものを被害者に渡して、これをもって弁護士のところに相談に行きなさいというと、そのチケットを渡すとそのチケットで弁護士が自分でお金に換金できるようなシステムがあるということで、財源がどうかということは調べなきゃいけないが、そういった意味も込めて、基本的にネットワークの中で各省庁は公務員という役柄だが、弁護士だけがやはり独立、個人なので、その方たちの支援を今後仰ぐことになるが、そのときの被害弁償も民間の団体と同じようなレベルで、この中で考えていければなと思った。

(構成員) この連携の中で欧米の被害者支援の先進国というのはみんなボランティア、民間団体を中心としたしっかりとしたネットワークをつくっているわけで、民間の援助団体というレベルでいうとやはり日本は相当遅れています。それは今検討している国による財政的な援助が基本的になければ、まだ欧米レベルにはとてもいけないということがある。やはり私たちはできればそういうレベルに達したいと思って、そこを目指して全国の被害者支援ネットワークに属する民間団体は努力をしているわけである。
 ただ、先ほど構成員のご指摘されたように、現状ではとてもそれに耐えられない被害者のニーズに十分に応えているとはとても言えないようなところまだまだあるので、それを引き上げるために今努力しているところである。それができればこの被害者支援の連携のネットワークの中で非常に大きな役割を果たせるはずだと、そう私たち組織を運営している者たちは皆思っているので、そういう視点でいるということを理解していただきたいと思う。

 最後に事務局より、第3回の6月30日の合同ヒアリングについては、午後3時からおおよそ3時間の予定で、本日と同じ場所で予定していること、次々回の第4回の会合は、7月24日午後1時から2時間の予定で、本日と同じ場所で予定している旨を連絡。

(以上)


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