日時: | 平成19年2月19日(月)15時00分~17時58分 |
場所: | 合同庁舎4号館共用第2特別会議室 |
出席者: |
座長 | 國松 孝次 | (財)犯罪被害救済基金常務理事 |
座長代理 | 瀬川 晃 | 同志社大学法学部教授 |
構成員 | 飛鳥井 望 | (財)東京都医学研究機構東京都精神医学総合研究所参事研究員 |
同 | 岩村 正彦 | 東京大学大学院法学政治学研究科教授 |
同 | 大久保 恵美子 | (社)被害者支援都民センター理事兼事務局長 |
同 | 白井 孝一 | 弁護士 |
同 | 高橋 シズヱ | 地下鉄サリン事件被害者の会代表世話人 |
同 | 平井 紀夫 | 元オムロン(株)特別顧問 |
同 | 荒木 二郎 | 内閣府犯罪被害者等施策推進室長 |
同 | 巽 高英 | 警察庁長官官房総括審議官 |
同 | 三浦 守 | 法務省大臣官房審議官 |
代理出席 | 振角 秀行 | 金融庁総務企画局参事官 |
同 | 中野 雅之 | 厚生労働省政策評価審議官 |
同 | 安井 正也 | 経済産業省商務情報政策局消費経済政策課長 |
(議事概要)
○経済的支援制度のあるべき姿の検討について
最初に、試算を提出した構成員と事務局において集約した論点に基づき議論が行われ、主に以下のような意見が出された。
(若年重度後遺障害者に対する給付について、被扶養遺族に対する給付について)
- 制度設計をする上で、負担の程度のみに着目し、年齢を全く考慮に入れないというのは難しいのではないか。
- 他の公的給付とも関連するので、この制度だけ年齢を全くファクターとして入れずに負担だけで考えるのは賛成できない。
- 年齢によって差を設けるのであれば、介護保険・公的年金の適用のある高齢者について若干低くするということも考えられるのではないか。
- 若年層を厚くするということは、他の公的給付全般で見られる逸失利益の補償という考え方から離れることになり、全体の制度設計上、どういう考え方で厚くするのか整理が必要なのではないか。
- 犯罪被害給付制度だけではなく、他の公的給付制度も、基本的には年齢階層別平均賃金を基礎にして給付額を算定するという考え方をとっている。
- 基本は、逸失利益を中心とした補償として考え、扶養等の生活保障の要素も考慮に入れるという整理ができるのではないか。
(被害後1年以上の医療費について)
- 医療保険制度は、一般的な制度であり、特別な事情により保護の必要がある方については、医療保険制度ではなく、関係する省庁が個別対策において行っている。
- 給付期間を延長したところなので、しばらくは運用の実態を見てはどうか。
- 無条件で1年以上とすると、過剰医療につながるおそれがあり、また自立支援という理念にそぐわないのではないか。
- 犯罪被害者等給付金だけでなく、他の省庁においても犯罪被害者のために可能な新たな施策を前向きに検討してほしい。
(被害者本人の休業損害について、入通院付添費(介護する家族の休業補償を含む)及び将来の介護費用について)
- 制度設計上、個別事情を考慮すると給付までに時間がかかってしまう。個別事情を考慮しないベーシックな部分とそれ以外は分けて考えるべきではないか。
- 一般的な入通院付添費や将来の介護費用などは、一時金の増額の中で考慮済みであり、制度自体は個別事情を考慮に入れない形にした方がよいのではないか。
続いて、経済的支援制度のあるべき姿について、國松構成員提出資料に基づき、議論が行われ、主に以下のような意見が出された。
(経済的支援制度の手続はいかにあるべきか)
- 請求時効については、不法行為の時効に合わせることはできないか。
- 賠償金については、当座に必要となるお金もあるので、一定額は併給調整の対象外とするべきではないか。
- 現行制度も賠償金ではない見舞金程度のものは調整対象外であり、それ以上は難しいのではないか。
(給付方法はいかにあるべきか)
- 一時金であっても、分割払いなど被害者が利するような払い方は考えられるのではないか。
- 早い時期に貸与又は仮給付が受けられ、加害者からの賠償に頼らずに済むようにすることは、被害回復にも役立つのではないか。
- 貸与制度は返済をどうやって確保するのかということが問題となるのではないか。
(経済的支援の対象となる者の範囲はどのようにあるべきか)
- 日本人が海外で被害にあった場合は、国内でも海外でも被害を受けたということは同じなのであるから、対象とするべきではないか。
- 海外で被害にあった場合は、事実関係などの認定が非常に困難という問題がある。
- 現在では、海外での被害は労災保険やそれほど多額の掛金を必要としない民間の保険でカバーされ得るという実態があるので、対象範囲を広げることには消極的である。
- 自己の意志で危険地域に赴く場合にも配意すべきである。
○その他
(以上)