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犯罪被害者等施策
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経済的支援に関する検討会(第5回)議事要旨


(開催要領)

日時:平成18年7月26日(水)15:01~18:21
場所:合同庁舎4号館共用第2特別会議室
出席者:
座長國松 孝次(財)犯罪被害救済基金理事長代行・常務理事
飛鳥井 望(財)東京都医学研究機構東京都精神医学総合研究所参事研究員
岩村 正彦東京大学大学院法学政治学研究科教授
大久保 恵美子(社)被害者支援都民センター理事兼事務局長
佐々木 知子弁護士(帝京大学法学部教授)
白井 孝一弁護士
瀬川 晃同志社大学法学部教授
高橋 シズヱ地下鉄サリン事件被害者の会代表世話人
平井 紀夫元オムロン(株)特別顧問
荒木 二郎内閣府犯罪被害者等施策推進室長
片桐 裕警察庁長官官房総括審議官
中江 公人金融庁総務企画局総括審議官
三浦 守法務省大臣官房審議官
代理出席村木 厚子厚生労働省政策評価審議官
代理出席谷 みどり経済産業省商務情報政策局消費経済部長



【説明者】岩村 正彦(上記構成員欄参照)
鎌田 聡警察庁長官官房給与厚生課長
石井 信芳厚生労働省健康局総務課長
森 浩太郎厚生労働省健康局総務課長医薬食品局総務課医薬品副作用被害対策室長
俵木 登美子環境省総合環境政策局環境保健部企画課保健業務室長

(議事次第)

1.開会

2.我が国の社会保障・福祉制度について
  岩村 正彦氏(東京大学大学院法学政治学研究科教授)

3.参考となる我が国の社会保障・福祉制度について

4.今後の検討の進め方について

5.海外調査について

6.自由討議

7.その他(第7回検討会の日程調整)

8.閉会


(配布資料)

資料1岩村構成員資料[PDF形式:18KB]
資料2内閣府資料[PDF形式:12KB]
資料3警察庁資料[PDF形式:174KB]
資料4法務省資料[PDF形式:27KB]
資料5厚生労働省資料 [1][PDF形式:104KB] [2][PDF形式:124KB]
資料6環境省資料[PDF形式:132KB]
資料7白井構成員資料[PDF形式:107KB]
資料8海外調査項目等関係資料[PDF形式56KB]



(議事内容)

○ 第5回検討会の議事の進め方について
 議事に先立ち、第5回検討会の議事の進め方について構成員から発言がなされ、構成員による議論が行われた。

(構成員) 議論の進め方について意見を述べたい。
今までの検討会のやり方を見ると、確かに制度の説明を受けること自体はいいのだが、制度の説明を聞いた後、実際に日本の被害者の方々が抱えている実情、問題と制度とがどういう関わりを持ち、どういうところに問題があるのかということも全然討議がなされていない。私は被害者の方々の期待を担って、こうして検討会の構成員とさせていただいているが、毎回、毎回の検討会について、本当に苦しい実情にある被害者の方々は、この検討会の進み具合をいつも、いつも期待をして見ているわけである。それにもかかわらず、私たちのことが少しも話されていないのではないかという厳しい批判が私どもに寄せられているわけである。  私自身も昨晩もずっといろいろ考えて、これは検討会に対する批判というよりも、私自身に対する厳しい批判ではないかと。あなたはそうして構成員になっているけれども、真剣に被害者の実情を検討会に反映させる気持ちはあるのかというおしかりを私自身が受けているのではないかというふうに感じている。
 それで、本日の持ち方についても、後で海外調査の問題という重大な問題が控えているわけなので、できればこの制度の説明というのは短時間で済ませていただいて、討議の時間を1時間半なり、できれば2時間近く、なるべく多くの時間をとって、そしてここの場で日本の被害者の実情も踏まえながら、どこからどんなことを調査してくるべきなのかということを具体的に構成員の先生方の討論をして、そして最終的にこの場で訪問先と調査事項というものをまとめていただくと、そういう進め方にしていただけないだろうか。
 例えば、この前ドイツの説明があったけれども、ドイツでは年金のことが非常に大きな問題なのだが、実際にこの「犯罪被害者の声が聞こえますか」という本の中には、ドイツで生涯型の年金を3年間かかってやっと「白い環輪」の尽力で取得したシュラムブさんという方の例が載っているが、この方の場合は21歳で暴漢にやられて、そしてほとんど働けなくなってしまったという方であるが、この方の場合には1カ月21万円の生涯型の年金を取得することができたと載っている。
 それを日本の21歳の大工さんが犯罪被害者給付金支給法では一体幾らもらえるかということを知りたいと思わないだろうか。このシュラムブさんの場合は生涯型、もし65歳まで21万円ずつもらうと1億円を超える。しかし、21歳のシュラムブさんが日本の国民であった場合には、現在犯罪被害者給付金支給法で4,200円から6,000円に対して1,340倍しか、つまり400万円から500万円ぐらいのお金しかもらえないという実情にある。
 そういう実情を知った上で、ドイツを調査する場合にはどこをどういうふうに調査すればいいのかということをここでみんなで話し合うべきだと私は思う。だから、できれば今日は討議の時間を十分とっていただき、ここで皆さんで討議した上で、調査事項と訪問先を決めていただきたいと、私はそのように思う。
(構成員) 一部議事の進め方に関する部分があるので、私からお答えをする。
 構成員のお気持ちはわからないわけではないが、今おっしゃったことをこれからここで討議をしようとしているのではないだろうか。つまりひとあたり皆さんの説明をまず聞いて、それに従ってなるべく早く議題に入っていくということであるので、その順番というのがあるわけで、とにかく話を聞いて、それで次回からはどんどん議題に入っていこうと。その論点をまず出すためにも、ご説明を聞いているのではないだろうか。
(構成員) それがやはり全部聞いてということは、日本の被害者の実情とあわせて検討しないと意味がないわけなので、本来は。
(構成員) まさに日本の被害者のことを考えるために、ほかのいろいろな公害の被害者であるとか、原爆の被害者であるとか、そういう人に対する処遇がどうなっているかということをまず聞こうではないか、ということで聞いているのではないだろうか。
(構成員) それを聞くこと自体は、今までやってきたけれども、しかしその上でもう既に海外調査の訪問国も、それから……。
(構成員) だから、海外調査のあり方というのはそこでご議論いただけばいいので、その前に今これから我々がやるのは、今日はわざわざそれぞれの担当の省庁が来ておられるわけだから、その話を今から聞こうではないかという話である。
(構成員) その話を聞かないというわけではないが、今日もし海外調査の調査事項とか訪問先の問題を討議するということが議題になっているので、その討議の時間を十分に確保していただきたい。だから、この議題どおり説明していただくのはいいのだが、やはりそれは簡単に済ませていただいて、討議の時間を1時間半なりそれ以上とっていただきたいということなのである。
(構成員) それは要するに、海外調査について重要な問題があるので前の説明を簡単にしろ、という議論は少し乱暴ではないだろうか。あくまで前の議論は前の議論、その後海外調査についてご議論があったらいいし、今日、時間がとれなければ、もう一回、今日海外調査について決めてしまわずに、構成員のいうことはそこでまたいろいろと詰めた方がよいのではないだろうか。
(構成員) ほかの検討会が既に7月に行われているが、そちらの検討会ではもう誰が調査員になるのか、またどこの国に行くのかも既に決まっているということが報告されているわけである。ところが、この検討会においては、そのようなことが一度も議論がされていないわけだが、しかしそれは決められているということを聞いている。だから、もし今日制度を聞いたとしても、この聞いた制度のことについて議論する時間すらないと。
 もしこの公害健康被害なり医薬品の問題について聞いても、そのこと自体を詳しく議論するという時間はないと思う。ただ聞きっぱなしで終わると思う。それだったら、短時間で済ませていただいて、後で十分な議論の時間をとっていただく、そういう方がいいんのではないかと思う。ほかの構成員の意見もお聞きいただきたいと思うが。
(構成員) ほかの方に言っていただいていいと思うが、例えば今日、岩村先生のお話をうかがう。そして、それについて若干質疑がある。なるほど、なるほど、議論はあまり詰まらないかもしれない。その次にその問題は論点整理をした上で、いろいろ議論していくことがもう一回出てくるわけである。そのときに、またご議論をいただければ十分ではないだろうか。
(構成員) 実際に今まで4回もやって、一度も日本の被害者の実情について、前の検討会に出席されている方はわかるが、そうでない先生方は実際にこの被害者の実情がどのようになっているのかということはわからないと思う。それで、ここで議論しろといっても出てこないと思う。そのことをやらない限り。
(構成員) 私ばかり言ってもあれなので、私は今の構成員のご趣旨がよくわからないのだが。私ばかり言ってもあれなので、ほかの方、ご議論をお願いする。説明していただく方のお話をうかがって、それについて今後被害者のご意見をここで大いに言っていただけばよいわけで、その議論をこれから始めようとしているわけである。今までの説明が被害者の声がいまひとつ届いていないといったって、実際に説明をされる皆さんはそれぞれご担当のことを話しているわけであるから、それについて被害者がどう思われるかはもう一回言っていただいて、それをこれから議論していくのではないだろうか。来月、再来月とまだ続くわけであるから、何が何でも今までにその都度、その都度全部わっとやっても話が進まないと思う。だから、一応聞いて、これからやっていくと。私はそれでごく普通の議論をしていると思っているのだけれども。
(構成員) 今ここでそのこと自体を長々とやるとまた時間が短くなるというふうにおっしゃるかもしれないが、ただ私としては今日の討論の時間を1時間半なり2時間なり、そういう時間をきちっと確保していたくような進行にしていただきたいと思う。
(構成員) それは物理的に無理なところがあると思う。だから、時間が足りなければもう一回次にやるとか、それで足りなかったら、どこかで皆さんの都合が合うのであれば、また来週にでもやると、そういう形ではないだろうか。今は1カ月に一遍のペースだから、もう少し綿密にというか、2回ぐらいやれといって皆さん合意されたら、それでやればいいのではないだろうか。
(構成員) でも、既に一般的な制度についての資料は配られているわけであるし、それで現実に日本の犯罪被害者の方とその制度がどう関係するのかということは、ほとんど説明がないわけで、それに関係する。
(構成員) それはこれからやっていただけばいいのではないか。
(構成員) でも、それは今までもやられてこなかったわけで。だから、今日……。
(構成員) 今までは説明をまず聞こうではないか、ということではないか。
(構成員) でも……。
(構成員) 今のご議論をうかがってであるが、まず第一に今この会で検討している犯罪被害者の方のための経済的支援ということについて、制度設計を具体的にどうするかということをこれからこの検討会で議論していかなければいけないわけである。そうすると確かに構成員のおっしゃるように、今までは各種既存の制度についての説明を、かなり時間をとってお話をうかがっているということは確かにそのとおりだが、他方で、では犯罪被害者の方の実情を聞いていって、制度設計をするのだということを考えるに当たっては、既存の制度の中で一体どこまでがカバーされていて、どこがカバーされていないのか、そしてカバーされていない部分について、ほかの制度などではどういう扱いになっているのかといったことについて、やはり一度全体を見渡した上で、そのいわば整理表なり論点表なりといったものを一度描いてみないと。犯罪被害者の方の実情をうかがって議論するといっても、基本的に焦点が定まらない。どこに的がある、どこに絞るのかということについての論点を整理できないだろうと思う。
 例えば、今、構成員がおっしゃったように、今日お話を短くするということ自体は、構わないが、しかし他方で、ではそれで犯罪被害者の方の実情等について、これから1時間半なり2時間とって議論しましょうとやっても、多分もちろん皆さんいろいろなご意見があるとは思うけれども、しかしどこに的を絞って議論をするかという筋があまり決まっていないと、その議論自体がそれほど残念ながら実を結ぶ形にならない可能性があるように思う。
 であるので、私自身としては今日例えば比較的保障制度の中で重要なものとして、原爆の被爆者に対する援護のというものが出てきているけれども、後でもお話ししようと思ったのだが、これは実はこの種の制度の中ではウエートの、いろいろな意味で重い意味を持っている制度なのである。そういったことについて、一度きちんとお話をうかがっておくということと、その上で今まで聞いた話を一度特に事務局の方でそこはお手数をかけることになるのであるが、一度整理をしてもらって、どこまでが社会保障なら社会保障で制度保障されていて、それ以外の分野でどこの部分をほかの制度では面倒を見ていくか、それと引きつけて考えたときに、犯罪被害者の方についてどこに焦点を絞って制度設計を考えていくのかという形で議論をしていくというのが一見すると遠回りのようではあるけれども、論点がそれだけ明確になるという意味では生産的な議論になるのではないかというふうに思う。
 海外調査についても同じであって、私自身も若干の経験はあるけれども、海外の調査というのはそう容易ではないので、ある程度そこは経験のある方を中心としながら、どこが勘どころかというのをある程度見当をつけていただいた上で聞いてくるということでないと、行ってみても場合によっては的外れなことを聞いてきてしまったり、本当に聞きたいことが聞けなかったりということが発生するので、その部分についても先ほど構成員もおっしゃったけれども、もしご意見があれば承った上で、また再度日程調整が可能であれば、夏休みに入るので、ある程度の日程調整をしようと思えばできると思うが、もう一度会合を持つということでもよろしいのではないか。あるいは事務局を中心として持ち回りで意見の集約を図るというやり方もあるのではないかと思う。
 だから、構成員がおっしゃるように、今までの議論ということに対してのご不満はあるのかもしれないが、逆にむしろ私はある程度きちっと周辺を固めた上で議論をするということの方が生産的な議論ができるのではないかなと個人的には思っている。
(構成員) 私自身は被害者の方に毎週、毎週生の形でお会いしているけれども、実はこれまでの議論の中で、私には大変参考になる部分は多かったと思う。関係する諸制度の事実というのをまず教えていただくことがとても役に立つと思う。それから、海外のお話をしていただいたりとか。
 何よりも知りたいのは、新しい制度をつくる以上、これまでの諸制度の事実の背景にある理念というものをまず説明していただいて、それぞれの制度がどういう理念に基づいて、何をカバーしようとしているのかということをうかがっておくのが今後の議論を進めていく上では重要だと思うので、その点は私としてはあまりはしょらないで、門外漢のところもあるので、説明していただけたらと思うのだけれども。
(構成員)  構成員がおっしゃることも、構成員がおっしゃることもそのとおりだと思うけれども、ただ海外調査に行くときには、構成員がおっしゃっているのは、多分あすの会で以前に海外調査を綿密な質問事項とかをまとめたりして、そして成功した例があるので、それに比べると今回の海外視察というのがあまりにも早急に決められているという印象があるからではないかと思う。
 それを私も少し感じていることだけれども、論点整理がなされてないというのは、この前私は推進室の方に意見として出したけれども、そういうような感じで、それとは別にこの前警察庁からの質問事項が出てメールで配信された。こういうものに皆さんがどういう意見を持っているのか、どういうことを聞いてほしいと思っているのかとかということを皆さんが出してないうちに、海外視察に行く、そうすると何を聞いてきていただけるのかという不安が多分あるのだと思う。少なくとも、警察庁のこの意見を私が読んだときに、例えば(共通)として申請を受理した日から裁定までの平均期間はどれぐらいなのかということがご質問に出ているわけで、私はそういう保障を受け取る側としては、実際に裁定から受け取るまでは幾ら、どれぐらいの期間がかかっているんだろうか、それであれば受け取りの日までの日数もついでに聞いてきてほしいと思ったわけである。
 だから、ある部署からこういう質問をしてほしい、こういうことを調べてきてほしいということをみなが出して、そしてその質問事項が妥当かどうか、あるいはもっとこういうことを聞いた方がいいのではないかということをみなでまとめるような、構成員も参加してまとめるような、そういうものができ上がる、そのために既存のそういう制度とか、現在の被害者の状況とかをあわせて論点を絞って、それからそこのところは海外ではどういう問題の解決の方法があるのかということで、海外視察に行こう、ここを聞いてこようという、そういう段取りだというふうに私は思っていたのだけれども、どうもそうではなくて、どんどん、どんどんお膳立てされていて、私たちがそこにくっついていっているというような印象があるので、多分こういう問題が出てきているのではないかというふうに思う。
(構成員) 構成員のお考えも一つだと思うが、私はこの被害者の経済的補償の問題については、あすの会で研究をする以前に日本弁護士連合会でも補償の問題の担当として、何年間か検討をしてきたわけだが、必ず一番最初にまずいろいろな種類の被害者の方とお会いをして、その方たちがどういう問題を抱えているのかということをまず教えていただいて、その上でそれに焦点を合わせて、労災補償とか、その他の日本の制度についてもいろいろ日本の社会福祉制度とか、いろいろなことも検討しながら、それでもなお不十分なところはどこなのかということをずっと検討していくわけである。だから、本当はやはりもしヒアリングをするのであれば、被害者の実際に困っている方にここへ来ていただいて、どんなふうに困っているのかということを我々が聞いた上でやるのが本当は一番いいのだけれども、それが今すぐには無理なので、とりあえず今日の議題としては海外調査なので、その点は時間を十分にとっていただきたいと思うわけである。
(構成員) ご議論を聞いていると、結局海外調査のやり方というか、調査事項なり調査の仕方についてのご意見がいろいろ出ていて、今日の議論に入れない状況だと思うが、とりあえず今日おうかがいする岩村先生ほか、担当官庁の方のお話というのは、それはそれなりにまず聞いてみないと議事が進まないのだけれども、海外調査のやり方については、今のいろいろなご議論を今日中に何が何でも全部やろうといってもなかなか無理だと思うので、だめであればまた日を改めてやっていくと。それはもちろん海外調査に行く前に。いろいろな議論をやるという形で進めて、とりあえず岩村先生をはじめ、各関係省庁の皆様からのご説明を聞くところに入っていきたいと思うが、いかがだろうか。その後海外調査についてのやり方なり、何なりについてはご議論をいただく、今日中に決着がつかなければもう一回やると、こういうことではないだろうか。
(構成員) 一応、時間的には聞いた上で、海外調査のことについて議論する時間は1時間ないし1時間半とか、そういう時間をとっていただけるだろうか。
(構成員) それなら、私はやらなくて結構である。
(事務局) 事務局の方からお願いというか、若干の話だけれども、今日お忙しい中、関係官庁の方も来ておられるので、まずそれを15分ということで、あと質疑5分ということでお願いしているので、とりあえずそれをやっていただいて、海外調査等については、また私の方からも説明したいこともあるので、そういうことでぜひよろしくお願いする。
(構成員) 私はそこまで言われるのだったら、今日はやらなくて結構である。
(構成員) そこまで言われるということは、私は別に説明をしないということではなくて……。
(構成員) でも、1時間半とってくれ、2時間とってくれということだね。そうしたら、もう今日は時間がない。だから、私は結構である。
(構成員) では、岩村先生の説明はまた別の機会にやるということにするのか。
(構成員) 今日は岩村先生やいろいろ来ていただいているので、まずそれは後の海外調査という問題と分けて、今言った大体のスケジュールというのがあるけれども、15分、5分と、とても説明するのは難しいと思うが、ご説明をまず聞いて、その後海外調査についてやっていただいたらいかがか。
(構成員) だから、それはその順序で結構である。海外調査の問題について討議する時間を十分とっていただきたいということである。
(構成員) それは今日は終わったときの段階であるけれども、恐らく5時近くまではこちらの説明はかかると思う。だから、その後何時までやるか、5時半までという予定であるが、多少延びてもその後のご予定のある方がいるので、もしどうしてもだめでご納得いかない。このまま海外調査に出てもらっては困ると、こんな状況では出てもらっては困るというご意見があるのであれば、もう一回何らかの形でこの皆さんがお集まりいただくなり、あるいはご関心のある方にお集まりいただくなり、何かもう一回やらないと。今日のところはとにかく一応そろって説明をする方々がスタンバイをしておられるのだから、その話はまず聞こうと、その時間は海外調査があるから短くやれとか、そういうわけにはいかないと思う。
(構成員) 一番最初のころの予定では、本当は7月26日はある程度論点整理的なものも出していただけるという、そういう予定の話もあった。でも、それは今言っても仕方がないことだけれども、たった30分しか時間をとらないということについては、私は一応反対するので、議事録にとどめておいていただけるか。
(構成員) それはもちろん今議事録に載っているからいいのだが、とにかくまず関係の皆様方のご説明を聞くように議事を進めたいので、ご協力をいただきたいと思う。

○ 我が国の社会保障・福祉制度について
 我が国の社会保障・福祉制度については、岩村構成員資料(資料1)に基づき、岩村構成員(東京大学大学院法学政治学研究科教授)から概略以下のとおり説明がなされ、その後質疑応答が行われた。

(岩村構成員) 短くせよということのようであるので、非常に簡単にお話しさせていただきたいと思う。
 お手元に一応資料をお配りしてあるので、それに沿いながらかいつまんでお話しをさせていただこうと思う。一応、パワーポイントも用意しているので、どちらをごらんいただいても結構である。
 日本の場合、社会保障制度とは何か、という話になるけれども、広く一般には憲法25条の理念というものに基づいて設置されるさまざまな制度の総体であるというふうに理解されていると言ってよろしいと思う。ただ、我が国の場合、何が社会保障制度なのかということについての法的な定義というのはないので、実は曖昧模糊とした部分がある。行政的には、かつて社会保障制度審議会というものがあって、その所管のところが大体日本の社会保障制度だというふうに考えられていただろうとは思う。
 ただ、これも社会保障制度審議会に何を案件としてかけるのかという観点から議論されていたという部分があるので、かなり広くとらえられている。例えば、上下水道の整備とか、そういったものも実は社会保障という形でとらえられていた。ただ、一般に私ども学者の中では社会保障制度というと、もう少し狭いものとして考えるのが一般的であろうと思う
 具体的には、ものすごく大ざっぱに申し上げると、現在の日本の社会保障制度というのは2つの柱からなっていると言ってよろしいかと思う。1つは、いわゆる広い意味での社会保険というものであり、もう一つは公的扶助、具体的には生活保護であるけれども、生活保護とか、それから各種の社会福祉の仕組みというものがそれに当たる。ただ、これはものすごく大ざっぱな話であって、きれいにこのように今の現行制度が二分できるというわけでは必ずしもない。いずれにしろ、この2つというのは沿革も違うし、制度の構造というのもかなり違っている。
 まず、簡単に社会保険について見ておくと、社会保険というのは基本的には次のような仕組みであるというふうに考えることができる。すなわち被保険者、それから被用者という労働者、サラリーマンの場合はそれに事業主も入るけれども、使用者も入るわけだが、被保険者から保険料を集めて、それを元手に被保険者と場合によってその家族という者に対して、一定の保険給付を行うという仕組みであると、非常に雑駁にいうとそういうふうに考えることができる。いずれも社会保険の場合は強制加入という形をとっているので、強制加入という保険という仕組みを通して、被保険者相互の扶助ないし連帯というものを法的に制度化したものだというふうにいうことができようかと思う。
 また、実は社会保険を構成する各制度の中でも、財政移転の仕組みがあって、例えばこれは基礎年金がそうであるが、そうした財政移転を通して異なる被保険者集団、今ここに(1)と(2)と出ているけれども、この(1)と(2)の間でも実は相互扶助ないし連帯というものを組織化していると、制度化していると、そういう見方もできる。
 大ざっぱにいうと、この社会保険も2つに分かれていて、これもまたそんなにきれいに分かれるかどうかということになるとそうでもないのだが、1つはいわゆる被用者保険、あるいは労働者保険と呼ばれるもので、被用者保険ないし労働者保険というのは、要するにサラリーマンを対象として、サラリーマンを被保険者、それから事業主を同じく保険料の拠出者というふうにして構成されているものであり、サラリーマンの人たち、あるいはその家族の病気やけが、それから障害、それから死亡、さらに出産、それから老齢、これは老齢年金とかそういったもの、そして失業、そういったサラリーマンの人たちの生活を揺るがすような事態が発生したというときに、医療などの現物給付や所得保障のための金銭給付を行うというような仕組みである。一般に被用者保険の場合は賃金をベースにして保険料をかけて、所得保障関係の給付は一般には賃金をベースとした所得比例の給付を行うというものになっている。  被用者以外、一般には自営業者とか、そういった人たちであるが、それについても社会保険の制度が存在する。ただ、カバーする範囲はサラリーマンのものに比べると限定的であって、基本的には傷病、病気やけが、ただし業務上のものは含まない、病気やけが、障害、ハンディキャップ、それから死亡と、死亡も非常に限定的であるし、それからあと老齢といった被保険者の方々の生活を揺るがすような事態が発生したときに給付を行うというものである。
 保険料の取り方がサラリーマンの場合とは違っていて、医療保険の場合は所得などに比例した保険料と医療の保険の給付を受けるベネフィットに応じた負担、保険料というものからなっているし、年金の方は所得比例ではなく、一定額の毎月幾らという形での保険料を取るということになっている。被用者以外の方は、一つは低所得者層が比較的多いということ、それから所得把握が非常に困難であるというようなことから、保険料で財源を賄うことが難しくて、かなり税金が投入されているというところが一つの特徴である。介護保険とか、それから今般成立した改正法によって、高齢者医療保険制度が今度できるが、これはどちらかというと(1)という部分もないわけではないが、(2)の方に入るものというふうに理解してよろしいだろうと思う。
 それから、もう一つの類型としては公的扶助や社会福祉というのがあるが、これは社会保険とはかなり淵源が異なっていして、ヨーロッパ的な言い方をすると、どちらかというと教会といった宗教組織が行っていた慈善前事業に源があるのであって、例えば高齢者とか障害者といったような要するに困窮者を対象としてつくられた仕組みである。基本的には、現在は国家がこれを担っているので、財源としては税金を使う。社会保険などとは違って、特定のニーズを持つ人たち、例えば子供がいて保育のニーズがあるとか、それから障害があってさまざまな援護を必要とするというような人たちといった、そういう特定のニーズを持つ人たちに対して、それぞれの個別のニーズに応じた給付やサービスを行うというものがこうした公的扶助や社会福祉であるというふうに言えようかと思う。
 税を財源とするので、どちらかというと社会生活を送る上で一定のさまざまな困難を持つ人たちに対して、個別にそれを支えていく。そうしたための国民全体の連帯だという意味があろうかと思う。
 生活保護の方はまさに最低所得なり最低生活の保護であるが、その他社会福祉の方はそれぞれのニーズを持つ人たちの類型ごとに法制が基本的には組み立てられている。だから、例えば児童福祉であるとか、それから障害者福祉、これは自立支援ということになるが、障害者福祉であるとか、母子福祉とかというような形でカテゴリーごとに分かれた、要するに持っている困難のカテゴリーごとに分かれた仕組みであるというようにみんな考えていただくとよろしいかと思う。
 ものすごく大ざっぱにまとめると、社会保障制度というのは所得の再配分の仕組みであって、社会保険にしても公的扶助や社会福祉にしても、一方では保険料、あるいは税という形で被保険者集団、あるいは国民全体からお金を集めて、そして社会保険のように定型化されたニーズがある人、あるいは生活保護や社会福祉のように個別的なニーズのある人に対して定型的な給付ないし個別的な給付、その他サービスを提供する、そういう仕組みであるというふうにとらえることがでる。社会保障というと、どうしても給付の方に着目しがちであるが、制度全体としては一方ではお金を集めるという面があり、他方で集めたお金をそれぞれの制度の論理に従って分配するという、そういう仕組みであるということができる。
 ものすごく大ざっぱに傾向をいうと、社会保障については萌芽期、発展期、成熟期というような勝手な分類が可能だと思うが、現在はどういう状況にあるかというと、調整なり再構築の時期にあるというふうにいうことができようかと思う。具体的には、なぜ調整ないし再構成なのかというと、それは現在の近年の日本の社会の非常に大きな変化に起因するわけであって、今日お配りした資料にもあるように、思いつくだけ挙げても、例えば高齢化であるとか少子化であるとか、それから経済活動の国際化であるとか、それと国の財政難という、そういった要因があって、今までつくられてきた社会保障制度全般について見直し、さらには再度の再設計ということがこの10年、15年のスパンで行われてきているということがいえる。
 こうした要因によって、どういう制度の見直しが行われているのか。これもものすごく大ざっぱにいうという話になるが、レジュメの次のページであるが、全部が全部こうだというわけではないが、第1に現在の状況のもとでは先ほど申し上げたような社会状況の中で、経済状況の中で、保険料率をどんどん引き上げていくということが実際上ほとんどできないということがある。したがって、保険料率を引き上げるという形で新たに財源を確保するということの見通しがあまり立たない。さらに、国の財政難ということもあって、この面でも実は新たな財源を確保する見通しがあまりないということが一つ大きな制約要因になっている。そのため、実際何が行われているかというと、全部が全部そうではないけれども、大きな傾向としては給付内容についての見直しが行われていて、給付水準の抑制であるとか引き下げということが現実に今行われてきている。さらに、議論としては社会保障をどれだけ見直すかということの関係で、公的にやるのではなくて、民間で任せられるものは民営化してしまえという、そういう議論すら出てくるわけである。
 そういったことから何が見られるかということであるが、次のページ以下であるけれども、いずれにしても制度設計、例えば給付であるとかサービスを誰が受けるかということ、それからサービス給付の内容をどうするかとか、その水準をどう設定するかということについては、一つは結局今の情勢のもとでは財源調達をどうするかということに非常に大きく左右される。とにかく財源が見つからないことには、給付水準の維持ということは難しいということになるし、新たに給付をつくるということも極めて困難であるという、そういう状況になる。
 それから、もう一つは同じ論点についていえば、社会保障制度の場合、どうしてもモラルハザードが発生しやすいということがある。簡単な例を挙げると、非常に寛容な給付をつくると、給付の過剰消費が生じて財源を圧迫するという、そういう事態になる。これは現実に幾つかの例を簡単に挙げることができるわけであって、例えば老人医療制度というのがあるが、かつてはこれは高齢者の方が病院に行くと自己負担がなかったわけである。その結果、何が起きたかというと、高齢者の方はどんどん病院に行くようになって、老人医療制度の財政が結局破綻しかねないという、そういう状況が生じたということがある。最近は介護保険がややそれに近い状況であって、比較的要介護度の低い方々のところで、例えば家事援助にも使えるというサービスをしたところ、比較的要介護度の低い方々のところの給付がものすごく伸びてしまって、結局財政を圧迫するという、そういう事態が起きたりする。
 いずれにしても、これは社会保険制度などは非常に制度自体がでかいので、モラルハザードが起きたときのインパクトはものすごく大きいのだが、他方で小さな制度だと、気をつけなければいけないのだけれども、考慮しなければいけない必要度というのはそれだけ下がるということになる。
 それから、もう一つは、これは長期的な存続可能性というのを考えなければいけないということがある。特に年金のような長期的な給付というのは、財政の硬直化を非常に招きやすく、高齢化の影響を非常に受けやすいという、そういう問題がある。したがって、年金などについては長期的な存続可能性ということを考えた慎重な制度設計というのが求められるということがいえようかと思う。
 このあと今日ご説明があるので、詳しくはお話ししないが、社会保障制度そのものではないが、それに関連する仕組みというのが、お手元の資料にもあるけれども、幾つかある。今日まさにご説明されるものばかりなのだが、被爆者の援護であるとか、それから医薬品の副作用の被害補償であるとか、その他公害健康補償とかというような幾つかの制度というのが周辺に存在する。
 ただ、これは社会保障制度とはかなり性格が違っていて、ある特定の原因によって生じたニーズというものに対して一定の給付やサービスを行うというものであって、どちらかというと原因の有無をあまり問わない社会保障制度とは趣を異にするものである。このほかにも最近では石綿、アスベストの補償の制度というのもつくられたばかりであるけれども、そういったものもあるし、もっと遠いものとしては、例えば自賠責なども若干これと似る部分というのを持っている。
 いずれにしても、原因に着目するので、財源の調達というのもその原因と結びついた形での財源の調達方法というのが採用されることが多いと思う。税が投入されるということもあるけれども、基本的には原因が起こる契機となった例えば事業活動を行っていた事業者であるとか、あるいは原因となったものから利益を受けていた事業者とか、そういった人から拠出を得るというような形で財源調達をするというのが比較的多いかと思う。被爆者の場合は税でやっているが、これはある意味国の戦争責任みたいな、そういったことのあらわれであると見ることもできようかと思う。であるので、財源調達の形がかなり先ほどご説明した社会保障制度とは異なっているということになろうかと思う。
 給付内容も制度によるが、医療などは社会保障制度と別建てになっている場合もあるけれども、多くの場合は社会保障の制度を前提にしながら、それに上乗せする給付であるとか、あるいは社会保障制度で面倒を見ていないようなところに手を伸ばす横出しの給付とか、そういったものを行っているということが多いように思う。
 あと最後これで終わりにするが、そういった以上のようなことを踏まえて、論点としてどういったものが考えられるか。特に犯罪被害者の方の経済的救済、支援ということを考えたときの論点、制度設計はどうするかということを考えたときに論点ということになるが、何といっても財源をどうするのかというのが一番の問題だろうと思う。特に例えばある省の所管として、その省でもって財源を調達しようという話になると、現在の硬直的な、しかも財源難の中では、どういうことになるかというと、新しい財源をつくるのではなくて、その省の中のどこかを削って回せという話になる。そうすると、政策と政策のぶつかり合いになってしまうので、なかなか財源調達というのが難しくなると。そうすると、新しい財源をどういう形で調達するのか、それはもちろんかなり政治的な判断であるということになるので、そこをどういう形でこの検討会でプッシュしていくのかということに論点としてはなるのだろうと思う。
 それから、給付については内容、水準をどうするかということであるが、いずれにしても財政との緊張関係というのが常にあるということと、それからどうしてもモラルハザードが発生しやすいということがあるので、制度設計する際にはそこをある程度見込まなくてはいけない。受給者がそれほど多くなければあまり問題にならないが、結構な数になるというとモラルハザードが起きると、制度そのものの存続が危うくなってしまうということがあるので、そこを考えなければいけないということと、長期的給付についてはかなり慎重な検討をしなければいけないということになろうかと思う。あとは給付の内容というのを一般の社会保障制度とは別建てで考えるのか、一般の社会保障制度を前提としつつ、それに上乗せないし横出しを考えるのかというのももう一つの方向性である。
 先ほどお話しをしようと思ったのは、実は上乗せ、横出しということを考えたときには、現行のさまざまな保障制度というのがさっきあるとお話しをしたし、社会保険制度の中にも例えば介護のための給付が労災保険で出たりとかしているが、実は一番それにインパクトを及ぼしているのは被爆者援護の制度である。被爆者援護の制度がベースになっていて、それとの横並びで給付水準なり内容が決まっているということがある。
 であるので、被爆者援護との関係というのが一つのポイント、関係というか、被爆者援護を横目で見ながらこちらをどう考えるかというのが実は一つのポイントになるのだろうと思う。純粋理論的には、さらに民間との役割分担をどうするかという話もあるが、犯罪被害の場合はなかなか民間を活用するといっても、あり得るとしてもかなり限定された範囲になるのかなと思う。
 あと管理運営をどうするかというのももう一つの話であって、ここで例えば民間に任せてしまうのかとか、そういう話もあるだろうが、いずれにしても財源の問題とも関係するが、できるだけ効率的な運営組織にしなければいけないということは、これまでの社会保障関係の議論からいっても、そういうことは言えるだろうと思う。
 非常に早口で雑駁で申しわけないが、以上である。
(構成員)  今、社会保障に関してご説明があったわけだが、犯罪被害者の給付に関しては今のご説明だと、犯罪被害者の給付に関しては社会保障制度の周辺に位置する関連諸制度として位置づけられているというように理解していいかどうかと、もう一つは犯罪被害者の場合を考えると、社会保障だけではなくて、例えば住宅とか教育とか労働、そういう範囲も考えていかなければならないと思うのだが、そのあたりはどのように考えていけばいいのかということのを少しお話しいただければと思う。
(岩村構成員) 社会保障制度と犯罪被害者の経済的支援との関係をどう考えるかということであるが、特に私自身は何か社会保障制度を周辺に位置づけろというあらかじめ先入観を持ってお話しししたつもりは全然ない。ただ、社会保障制度と別建てということになると、財政規模がものすごく大きくなる。どういう給付内容を持たせるかということによるが、社会保障制度と別建てにして、実は社会保障制度と同じような給付内容をしようということになると、財政規模がものすごく大きくなる。であるので、基本的には社会保障制度で例えば社会保険だと、理念的には国民皆保険で国民皆年金になっているので、少なくともその部分については犯罪被害者の方も社会保険なりでカバーされるはずである。カバーされない方はどうするかというのはまた別の問題であるが、そうだとすると、社会保険制度なり社会保障制度をベースにしながら、その上で具体的にどういうニーズがあるのかという形でもって制度設計を考えるという方が多分財源などとの関係や制度運営の規模といったことを考えたときには、現実的かなという感じは持っている。ただ、それはもちろんこの検討会で議論することであるので、私自身が何かそうでなければいけないとか、そういう先入観を持っているわけではない。
 それから、教育なり労働の問題というのは、おっしゃるとおりなのだろうと思うが、あるいは住宅の問題というのもあるが、ありていにいうと社会保険なり社会保障制度で面倒を見ている部分もないわけではないが、それぞれ司、司が日本の場合はあって、労働の問題なり何なりになれば、それは一応同じ厚生労働省でも別の所管になってしまうので、申しわけないが、今日の私の話の範囲からは外れてしまっているということになろうかと思う。
(構成員) 前段のご質問は、現在の犯罪被害者の給付金費、これがどこに先生がおっしゃるそこに位置づけられているかどうかということをお聞きしたかったのであるが。
(岩村構成員) それは周辺になっていると思う。
(構成員) 関連して一つ私からよろしいか。そうすると、今の裏のご質問になるわけだが、社会保障の一環として犯罪被害者に対する特に経済支援を考えるということ自体は、先生の頭の中ではそれでいいということか。
(岩村構成員) 少なくとも純粋理論的に考えたときには、犯罪被害者というものを社会保障制度の一般の中に取り込むのは、体系的にはちょっと難しいかなと思う。
(構成員) それは、社会保障の場合は保険料というのがまずあってということなのか。
(岩村構成員) 少なくとも社会保険に関しては、保険料がまずあってという話になるので、そういうことになってしまうと思う。社会福祉の場合は考えられなくはないが、実は社会福祉の場合はどちらかというと原因ではない。原因とあまり関係なく、今どういう状態にあるかというところに着目するので、こういう原因でこういう状況になったからというのを社会福祉制度の中に入れるというのは、少なくとも私の頭の中では体系的にはやや困難かなという印象を持っている
(構成員) その論点の中で、先生は財源だとか水準だとか、それぞれお話しくださったけれども、私見で結構なので、もう少し踏み込んで、どのようにあればよいとお考えになるのかということをお聞かせいただくと、大変参考になる。先ほど構成員からもいろいろなご意見等もあったが、多分そのもととなっていることの一つに実は一番はじめのときに単なる説明ではなくて、それでは今後どう考えていけばいいのかというあたりをもう少し突っ込んで、犯罪被害者の経済的支援の立場に立っての説明といったが、そこら辺が少なかったように思う。先生はこの論点という形で出してくださったが、だからこそもう少し深めたものをぜひお聞かせいただきたい。そうでないと、私たち自身が論点の整理ができないので。
(岩村構成員) そう言われると非常に難しいが、財源をどうするかという話になると、まず第一に税財源を使うのか、それとも税以外に何か財源を考えるのかというのが一つの大きな分かれ目になる。税を使うという話になると、今の財政難の中でどこから絞り出すかという話で、それは結局のところ根拠としては犯罪被害者の補償ということで説明はつくと思うけれども、どこからどういうふうにして絞り出すのか、増税を前提とせずに一体絞り出せるのかというのは、やや悲観的かなと。
 あと税以外ということになると、多分お話などもあったと思うけれども、例えば罰金とか、そういったものを使うのかどうかとか、さらに例えば抽象的に考えて、理念的なレベルで考えると、一種の分担金みたいな形で国民の皆様から月々100円ずつ拠出してもらうとかというようなことも理念的には考えられると思う。ただ、その場合、一体徴収をどうするかとか、現実的なことを考えると、非常に困難が大きいだろうというふうには思う。そうなると、選択肢はあまり実は新しい財源調達といっても、選択肢の幅といってもそれほど実は大きくないのかなと、とにかく既存の中から絞り出すか、増税を機会にどこかから見つけてもらうか、あとは罰金なり何なりを一つの手当として考えるかとか、何かそういったものぐらいしか現実的にはないのかなという気がする。
 それから、給付の内容、水準ということで考えると、社会保障制度をベースにしながら、その上積みないし横出しを考えると。ただ、これは各種の制度で起きるのだが、どうしてもちょっと冷たい言い方になるけれども、被害者のために手厚くしたいという意識が働くのだけれども、手厚くするとさっき言ったようにモラルハザードが発生してしまう部分があって、そうだとすると例えば上積みをするとか何とかといっても、定額方式にすると。つまり使った分だけ出すのではなくて、一月この限度だよというような、何かそういうような考え方をするのかとかというようなことがあるのかと思う。
 例えば、後でお話があると思うけれども、原爆とかその他のところでは医療手当とか医療管理手当とかというのがあるのだが、結局あれも月幾らにしている。それは要するに病院に通っただけ出すということになると、過剰消費が生じるので、一定のところでとどめるという、そういう配慮があるのではないかというふうに私は推測する。
 それ以上にあまり具体的なイメージは持ってないのだけれども、そういう感じである。
(構成員) 確かに、先生がおっしゃるように、基本的なベースとしては被爆者援護法のシステムをほかの制度でも使っていると。私も医薬品副作用被害の制度をつくるときに、訴訟の弁護団としてこれに加わっていた経過もあるので、同じように被爆者援護法を参考にしてということになっていたけれども、財源ということの場合に、ここの周辺諸制度というのはどちらかというと先生がおっしゃるように、社会保障というよりも損害補償というか、そういう性格的な側面が強いわけである。それで、財源といった場合に必ず税金でいくのか、あるいは罰金とか、そのほかのあれでいくのかということなのであるが、それにしても金額がどれくらいになるのかというのが非常に大きな問題になる。
 それで、私の方で以前警察の方から犯罪の統計資料などをいただいて、大体自賠責並みの給付をした場合に、犯罪被害者の方で年間どれくらいのお金がかかるんだろうかということを試算したこともある。試算の仕方によって、いろいろ変わってくるのだけれども、いろいろ加害者側からもらうお金もそういう示談が成立するケースもあるので、そういうものも除くと、うまくいけば100億ぐらいから150億ぐらい、一番多くなったとしても300億ぐらいではないかというふうな試算もしたことがある。これは先生にうかがいたいのだけれども、大体およそどれくらいというか、これだけ多いと少し難しいとかというような……。
(岩村構成員) 私はその辺になると全然知識がないので、具体的なお答えは全くできない。ただ、一つ気をつけなければいけないのは、制度がでると、その後の要するに周知効果というのがあって、当初見込んでいたより大体財政規模は膨らむ。当初は皆さん制度を知らないので、活用しない部分があるのだが、制度があるということになって、それによって要するに受給者が掘り起こされる効果というのがどうしてもある。介護保険を新しくつくった結果として、例えばそういう状況になったり、それから前に説明があった支援費という障害者の制度も全く同じことになった。新しい制度ができたことによって、今まで受けていなかった、そういうことを知らなかった人たちが掘り起こされて、受給者が増えてしまって財政規模が膨らんでしまう。特に支援費の場合、非常に危機的な状況になって、厚生労働省の予算がなくなってしまって大変な騒ぎになったという、そういう経験も実際にある。だから、ちょっと財政規模がどれくらいになるかということは私は全く数字を持ち合わせてないが、当初の見込みよりはつくれば必ず膨れるということは考える必要があると思うし、特に長期給付というのは財政の安定性を損なう可能性というのはかなり高いということも考えておく必要があると思う。

○ 参考となる我が国の社会保障・福祉制度について  公害健康被害の補償等については、環境省資料(資料6)「公害健康被害補償制度」に基づき、環境省から概略以下のとおり説明がなされ、その後質疑応答が行われた。

(環境省)
 先生方のお手元に資料をお配りいただいている中の資料の6である。その資料をごらんいただきながら、話を聞いていただければと思う。
 今、岩村先生からお話があったように、この公害健康被害の補償制度はいわゆる周辺諸制度といわれるものである。背景のところに書いてあるが、この法律のそもそもの性格をご理解いただければと思うが、思い返していただくと、戦争が終わり日本の復興が始まって、日本の大気汚染の状況としては戦後すぐから悪化が見られるようになって、昭和40年代をピークとして大気の汚染が非常にひどくなった。最も有名な四日市の公害裁判が昭和47年7月である。判決が出て、被告6社に対して共同責任で大気汚染による健康被害を原告に及ぼしたということで判決が行わた。
 その前に、大気汚染による健康被害ということで、昭和44年には医療費の自己負担分をこういう被害者の負担に任せるのはお気の毒であるということから、国と事業者がいわゆるこれは寄附というような形で、責任問題ではなくて出し合って、旧救済法と今では言われている法律が昭和44年にできていたけれども、47年7月に今申したように四日市の公害裁判の判決があって、それを受けて48年にこの公害健康被害補償法が制定されたということである。
 この背景のところにあるように、汚染原因者の負担を前提とした民事責任を踏まえた制度というのがこの制度の基本である。したがって、社会保障制度というものではなくて、いわゆる基本的には大気汚染の原因物質を排出した企業がその一人一人の健康被害者に対して加害者と被害者という関係から、損害賠償をするというのが基本であって、民民の訴訟でやっていただくべきものであるが、当時その被害者の数がかなり多いということと、それから加害者というか、原因者、原因物質を排出している企業がこの四日市裁判でも被告6社全部の共同責任とさたように、特定が非常に難しい、どの工場のガスがどの人の原因なのかということは、とても説明のしようもないということから、これを民事の裁判に任せていたのでは、一人一人の被害者がいつになったら救済されるかわからないということから、世界的に見ても非常に珍しいというか、ユニークな制度であるけれども、民事訴訟にかわる制度的な損害賠償の方法ということで打ち立てられた制度である。そういった性格をまずご理解をいただきたいと思う。
 次の補償の対象者であるが、今ご説明しましたようにこの法律自体は四日市の公害裁判に非常に強い影響を受けて成立した裁判であって、地域を第1種地域と第2種地域というふうに2つに分けて公害の類型をつくっている。第1種地域はまさに四日市に代表される著しい大気汚染のあった地域であって、当時順に指定されていき41地域が指定された。
 そのほかに第2種の地域ということで、原因物質が明確になっている水俣病であるとか、イタイイタイ病であるとか、特定の原因企業がいて、そこから出てくる特定の原因物質で環境が汚染され、それが健康被害を起こしているという類型については、第2種地域として補償が組まれる形になっている。いずれにしても、第1種地域、第2種地域、地域が指定されて、その地域に一定期間居住して暴露をしたという暴露の蓋然性を持っている方で、一定の範囲の疾病にかかった方を補償の対象としていて、どの方が補償の対象になるかは各自治体が認定をするという法律的な枠組みになっている。
 補償給付の内容であるけれども、7種の給付の中身があって、療養の給付、療養費、これはまさに医療であって、医療を現物支給している。公害手帳というものを医療機関、公害医療機関と呼ばれるが、基本的には健保の医療機関に受診したときに公害手帳を示せば、自己負担がなく、全額この制度が負担をして医療が現物で支給されるという制度である。そのほかに障害補償費、遺族補償費、遺族補償一時金、それから児童補償手当、療養手当、葬祭料というものがある。これはその次にまたご説明させていただく。
 補償給付の財源であるが、法律のそもそもの発端になった第1種地域、大気汚染の補償については、汚染原因者から負荷量賦課金というものと自動車重量税から引き当てたものが財源として使われていて、すべてが国の税金は入っていないという財源である。
 それから、第2種地域については、特定の原因者、特定の企業がわかっているので、その企業からの特定賦課金で財源を賄うということで、こちらにも税金は入っていない。ただ、この第2種地域については、括弧にあるように、水俣病及びイタイイタイ病については汚染原因企業と患者団体との間に個別に補償協定ができ上がっていて、企業から直接給付が患者に対して行われる。したがって、法に基づいて患者が水俣病またはイタイイタイ病ということで認定されれば、その後は企業とダイレクトに給付が行われているという形になっていて、法律的には原因者が直接給付する場合には、この制度による国を通したというか、制度を通した給付については免ぜられる形に構成されている。
 その次のページであるが、今の給付の関係で、特に大気汚染の関係について、旧第1種地域というふうに頭の一番上のところに書いているが、そこの財源についてフローでご説明させていただく。
 この図の右半分は公害健康被害予防事業とか、少し補償制度と違う事業であるので、左半分のフローを見ていただければと思う。
 一番下に汚染原因者が書かれているが、ばい煙発生施設の設置者、これが現在8,500施設全国にあるが、いわゆる煙を出す煙突を持って設置している事業者から、汚染負担料賦課金というものを徴収する。これは毎年、毎年、前年度排出したSOXの量に応じて割当金が決まり、それを徴収させていただいている。
 それから、自動車の排気ガスが大気汚染に対して寄与している分ということで、自動車が原因者と位置づけて、その負担をいただいているわけだけれども、これは自動車の所有者お一人、お一人から取る徴収の方法論として、なかなかないので、自動車重量税の中から引き当てをさせていただいている。国が自動車重量税の中から交付金としてお金を出している。  ここの真ん中にあるように、独立行政法人の環境再生保全機構というところがばい煙発生者から毎年、毎年お金を徴収し、また自動車重量税を国から交付金として受け、その財源で一番左の上のところにあるように補償給付、先ほどの7つの補償給付であるが、全額汚染原因者が負担して、年間で約600億弱が給付されているということである。
 現在の被認定者であるが、一番上にあるように5万人である。少し話をはしょってしまったけれども、この第1種地域、大気汚染の健康被害があった地域として指定された41地域があるけれども、これは昭和63年に指定が解除されており、現在では指定地域はない。そのために旧第1種地域というふうに旧となっているけれども、それはなぜかというと、昭和49年にこの法律が施行されて、認定者がどんどん、どんどん認定されていったわけだけれども、昭和40年代前半をピークとする日本の大気汚染の状況というのは、昭和40年代後半から50年代にかけて、急激にばい煙の排出のいろいろな抑制策というか、防止策がとられていったことで、急激に改善をしたが、被認定者、ぜんそくの発症者はどんどん、どんどん増えるような状況にあって、昭和63年に向けて約11万人の方が最終的には認定を受けた。
 ただ、大気汚染の状況等を勘案すると、大気汚染がぜんそくの主たる発生原因になっているとは考えられない、合理的に説明することが難しい状況にあるということで、昭和63年に指定地域という考え方が解除されて、それ以降新たな認定患者は発生していない。したがって、当時ピークとして11万人いらした被認定者の方が引き続き給付を受けているが、徐々に高齢化も進んで、お亡くなりになる方も中にはいらっしゃるし、また若い方では病気が完回して制度から離脱していく方もいらして、現在では5万人になっているということである。
 その次の3ページに給付の内容についてご説明が書いてあるけれども、先ほど7種類の補償給付を行っているということでご説明したとおり、7つについてどういう支給内容なのかを記載をしている。その後、4ページ、5ページのところに実際の給付額がどの程度であるのかということがごらんいただけるように、額がすこし見にくいかもしれないが、並べてある。
 1つ目の療養の給付、3ページ目の表の一番上であるが、療養の給付、療養費については、先ほどご説明したとおり、ぜんそくであるとか慢性気管支炎といった指定疾病に係る医療の部分については、全額を現物支給するものである。基本的には健康保険の診療報酬の算定方法に準じていて、行われた医療に対する医療費を負担するという形になっている。
 それから、2番目の障害補償費であるが、失われた労働能力に対する逸失利益相当分ということで、それにどのパーセントが慰謝料なのかというのは難しいのであるが、考え方としては慰謝料的要素を加味したものということで給付が行われていて、全労働者の平均賃金の80%相当に該当する額が月額として定められ、それが給付されている。
 4ページをごらんいただくと、一番上の表にあるが、例えば45歳から49歳の男性だと、35万2,800円というのが給付月額である。ただし、この下に米印で注があるように、障害補償費は障害の程度に応じて支給率を乗じており、特級のようなほとんど寝たきりの場合には、この全額100%が支給されるが、2級、3級ということで障害の程度が軽くなっていくと、それに応じて給付の額が変わっていく。現在の5万人の被認定者の多くは3級であって、この額の約3割が給付されている状況である。また、特級には注にあるように、介護加算ということで4万6,500円が給付される形である。
 それから、遺族補償費であるが、被認定者がお亡くなりになった場合に生計を維持していたご家族がお困りになるということで、生計を維持していた遺族に対して遺族補償費が支払われることになっていて、全労働者の平均賃金の70%レベルを給付水準としていて、被認定者の死亡後10年間毎月支払われる形になる。その額が4ページの先ほどの補償給付費の横であるが、年齢、性別に規定されている。これは毎年、毎年改定を行う形になっている。
 また、4番目の遺族補償一時金であるが、これは生計を維持していた遺族がいない場合に、一時金としてその他生計を維持していないけれども、子供であるとか孫であるとか、そういった一定の範囲の方が法律で規定されているが、その方に対して36カ月分の一時金が支給される。
 それから、児童補償手当については、法律制定当初設定されたが、現在では新たな認定患者さんの認定がないので、15歳未満の児童は既に存在しない制度になっていて、同手当の額は現在では定められていない。
 それから、6番目の療養手当であるが、これは入通院に要する交通費等の諸雑費ということで、額的には4ページにあるように、入院の日数、または通院の日数に応じて2万3,000円から3万5,900円が支給されている。これが月額である。
 それから、最後の葬祭料であるが、不幸にしてお亡くなりになった場合に葬祭を行う方に対して給付されていて、葬祭料は4ページにあるように66万4,000円である。
 他制度との併給の問題についてご説明をと言われているが、他の制度との併給については、基本的にはこれは損害賠償の制度であるので、基本的にこちら側が全額お出しするという形になっているので、例えば健康保険で支払われた分がもしあったとすれば、後から健保からの求償があってこちらからお支払いする。また、こちらが前もって全額10割をお支払いするという形で、基本的にはこちらが求償を受けて払うか、事前にお払いするかということで10割の負担になっている。
 それから、支給の実績であるが、6ページ、一番最後のページであるけれども、先ほど総額はご説明したように17年度で約600億弱であるが、それぞれ医療費、障害補償費、遺族補償費等々、このような額が給付されているということである。
 簡単であるが、以上である。
(構成員) 1点お伺いしたいが、障害補償費で特級と1級、2級、3級と区分されている。労災というか、その基準からいくと生活能力不能というのが労災の1級、2級だと思うので、そういう意味でいくと労災の1級、2級が特級、1級に該当するのではないかと思ったが、要するにこういう基準をお決めになった根拠というか。、どういう経緯で特級から4級までになさったのかという理由あたりを知りたい。
(環境省) 3級までの4分類にしたのはなぜかということだろうか。
(構成員) もっと言えば5級は対象に何故ならなかったのか。この2級、3級は労働がどれだけかは別にして労働が可能というなことになっている。だから、何かいわゆる労働不能というと、労災では1級、2級、ここで言うと特級と1級だと思うけれども、そのあたりそこではなくて、労働可能だけれども、労災でいう3級、4級まで該当していると思われるので、そのあたりどういう議論でこういう基準になったのかということのが知りたかった。
(環境省) 確認をしないと直ちにあれだけれども、4つに分けたのは当時の既存の制度等との並びも考えながら、恐らく4分類にしたのではないかということと、あとは大気汚染のぜんそくであるとかの症状の状態のレベルとしてどこまで細かく分類ができるかということで、4つ程度の分類にしたのではないかと思うけれども、なぜ4つで5つでないのかについては、ここで、申しわけないけれども、明確にお答えすることが難しい。もし必要であれば確認をするけれども。
(構成員) それは今ご質問の趣旨はおわかりであるか。要するに、分類の仕方がなぜ4分類なのかということなのだけれども、それは何かお調べになってお答えできるか。
(環境省) 帰って確認してみないと、なぜ4分類なのか、5分類とか……。
(構成員) 後ほどお調べいただいて、事務局が仲介をして構成員の方にやっていただけるか。
(構成員) こちらの障害補償標準給付基礎額を見てみると、あまりにも男性と女性との差が大きいわけである。働き手だったか、そうでないのかというのであれば年齢的なものではまだ納得はできなくてもそうかなと思うが、学生であってなおかつ男女差ができるというのは、今の時代からいくとあまり時代に即してはいないと思うが、そのことが問題になって、それを訂正しようというような動きはあるか。そういう動きがないと、これから先犯罪被害者の場合も男性だから、女性だからということで初めから差をつけられるということは、どう考えても理不尽だと思うのだが、いかがだろうか。
(環境省) 個々の男女差の問題については、先ほどご説明したように基本的に労働者の平均賃金の何割ということで、失われた労働に対する補てんということで制度ができ上がっているので、年齢、性別の労働者の労働賃金の実態を反映した形になっていて、徐々に労働者の賃金自体も男女差がなくなる傾向にはあるのだけれども、確かにごらんいただいたように、まだ歴然とした差があるというのは事実である。
 ただ、損害賠償の世界でも私が聞いている範囲では、男性と女性の損害額については徐々に歩み寄ってきているようにお聞きしているけれども、基本的にはその方が得られた利益に対して損害を賠償するという性格のために、労働者の平均賃金を準用するので、結果的にこういうふうになっているということだとご理解いただければと思う。
(構成員) 納得はできないだろうけれども。
(構成員) 全然納得はしていない。おかしいと思っている。でも、今はそうなっているということで。
(構成員) 私どもは犯罪被害者に対する補償というようなことはこれからここで制度設計の話をするわけであるが、そのときにはこういう男女差ができないような方向で制度設計をするということになって、だと思う。そもそも話の根源が違うので、そこのところは違うと思うけれども。
(構成員) ほかの制度も同じような歩みがなければ、例えば犯罪被害者だけなぜというようになると足を引っ張ることになるかと思って、確認させていただいただけで、これ以上論議する気持ちも全くないので。

○ 原子爆弾被爆者に対する援護については、厚生労働省資料(資料5)「原子爆弾被爆者に対する援護について」に基づき、厚生労働省から概略以下のとおり説明がなされ、その後質疑応答がなされた。

(厚生労働省) 資料5の後に厚生労働省の資料が2種類あるが、そのうちの一つが今、触れていただいた「原子爆弾被爆者に対する援護について」という横に長く置いていただく資料である。
 それでは、早速内容に触れさせていただく。まず、1ページでこれまでの沿革をご紹介をしている。原子爆弾被爆者の方々へのまず医療の法律が昭和32年に制定されている。白丸のところにあるように、法律に基づく給付としては、健康診断を実施をすると。それから、後ほど少し詳細に述べるが、医療を給付をするというのが主な内容である。その後、昭和34年に法律の名称としては、被爆者に対する特別措置に関する法律であるが、内容は被爆者の方々への個人給付、現金給付である。各種手当を支給するという法律が制定されている。
 その後、平成6年、この年は戦後50年の節目を迎えるということで、与党においても戦後50年問題に関するプロジェクトチームというのが設けられて、原爆被爆者のテーマ以外にもさまざまな戦後50年という節目を迎えるに当たっての検討が行われた年であるが、その一つの検討の結論として、原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律というものが制定されている。白丸のところにあるに、従来の2法、先ほどご紹介した昭和32年の医療の法律と昭和43年の手当の支給法、これらを事実上統合して、形の上では新法を制定をしたということになっている。したがって、一番下の行にあるように、この平成6年法の給付の内容は従来2法を引き継いだものになっておると、こういうことである。
 2ページである。今、ご紹介申し上げた平成6年法、これは現行法であるが、法律に前文がついている。ここにこの法律の趣旨というものがあらわされているので、ご報告申し上げるが、特にこの2ページ、下の方にアンダーラインを引いてある。「国の責任において」、述語がちょっと飛んで、2行下の「被爆者に対する保健、医療及び福祉にわたる総合的な援護対策を講じ」、国の責任において被爆者に対する保健、医療及び福祉にわたる総合的な援護対策を講じることを目的としてこの法律が制定されたという内容が書いてある。
 今、はしょったけれども、なぜ被爆者の方々へのこういう総合的な援護対策を講じるかという着眼点が「国の責任おいて」のすぐ後のフレーズであるけれども、「原子爆弾の投下の結果として生じた放射能に起因する健康被害が他の戦争被害とは異なる特殊の被害であることにかんがみ」と、若干補足をすると、放射能に起因する健康被害というのが被爆をした時点からかなりの年月を経た後に健康被害という形であらわれてくると、こういう特徴があるので、そういう特殊の被害であることに着目をして、保健、医療及び福祉にわたる総合的な援護対策を講じると、こういう考え方がここに明記をされておるわけである。
 それで、この現行法の概要である。
 まず、3ページであるけれども、法律上各都道府県知事がこの方は一定の要件に該当するという事実を確認した後に、被爆者健康手帳というものを交付することになっている。今、知事がと申し上げたけれども、被爆地である広島市と長崎市にお住まいの方々については、知事に代わって広島市長、長崎市長が事務を行うという仕組みであるが、いずれにしても知事または市長が一定の要件に該当する方に手帳を交付をすると。法律上はこの手帳の交付をお受けになった方が被爆者ということで定義をされていて、この後申し述べるいろいろな対策の対象になると、こういう仕組みである。
 今、一定の事実が確認された方と申し上げたが、その一定の事実がこの3ページの点線の中である。(1)が直爆と言ったりしているけれども、まさに昭和20年8月6日、または9日、原爆が投下されたときに当時の広島市、あるいは長崎市という一定の地域にいらした方、それから(2)が入市、市に入るという字を書いて「にゅうし」と読んだりしているが、原爆投下時にはおられなかったが、その後例えば肉親を探しに爆心地に入られた方々など、いろいろなご事情で原爆投下後2週間以内に爆心地またはその近隣の地域に入られた方、これが(2)である。
 それから、(3)「原爆が投下された際、又は、その後に、身体に放射能の影響を受けるような事情の下にあった方」ということで、いろいろなご事情が考えられるわけだが、被爆者の方々の救護のためにいろいろな関係者、医療関係者などが入られたといったようなことが代表例であるけれども、そういう方々、それから最後(4)がそれぞれ(1)から(3)に該当する方々の胎児でいらした方、お母さんのお腹にその時点でいらしたという方々、これが(4)である。
 こういう(1)から(4)のいずれかに該当するということを知事、あるいは広島市、長崎市の市長の方で該当した方に手帳を交付をして、4ページであるけれども、法律に基づく各種の施策を実施をすると、こういう仕組みである。
 4ページが施策の概要である。先ほど昭和32年の法律で健康診断ということを少し触れたが、現行法でもまず最初に出てくるのは健康診断である。先ほど触れたように、原爆、放射能に被爆なさった方、健康被害というものがいつ現れてくるかわからないという意味で、健康管理をしていただけるようにという趣旨であるが、年2回、各都道府県の方で被爆者の方々への健康診断を実施をしている。ご希望があればもう2回まで実施をするという仕組みにしている。
 それから、(2)が医療の給付、これには(1)認定疾病医療、(2)一般疾病医療と法律上2種類あるが、違いは(1)の方が括弧の中に「原爆症認定疾病について」と書いているが、これはある被爆者の方がいらして、例えば今癌を煩っておられるとすると、その方の癌が原爆投下による放射能に起因する、原爆投下による放射能が原因でその癌になられたということが診断がついた方の場合に、それは原爆症と呼んでおるわけであるが、そういう原爆との因果関係が認められる病気について医療給付をするというのが(1)である。これは全額国費で、10分の10国費で公費負担医療の(1)として実施をしている。
 それから、(2)の方は括弧書きの中に認定疾病以外、原爆症以外ということで書いている。これはある被爆者の方がいらして、幾つか病気を抱えておられる場合で、そのご病気が原爆放射能が原因だと認められなくても、被爆者の方がかかっておられる病気の治療費については無料にすると、こういうことであって、日本は国民皆保険であるから、普通は医療保険の方で7割給付というものがある。したがって、被爆者の方が自己負担をなさるのは普通3割であるから、そういう代表例で申し上げると、窓口で3割分、患者は医療機関に払って帰ってくるわけだが、その3割の部分を国費で肩がわりをする。これが(2)である。したがって、結論から言うと、被爆者の方々は原則医療は無料である。ごく例外的な遺伝性の精神疾患とか、20年8月の原爆とはおよそ関係があり得ないというものは別なのであるが、それ以外ほとんどすべての疾患は医療費の負担は被爆者の方々についてはない。
 それから、(3)である。これはまた詳細に次のページで出てくるが、手当の支給ということで(1)をごらんいただくと、一定の要件を満たす方々に幾つかの種類の手当てをお出ししている。代表例を書いているが、健康管理手当というものが実は受給者が一番多いわけである。月額3万3,800円、被爆者の方々は大体26万人から27万人いらっしゃるので、この健康管理手当を受けていらっしゃる方は被爆者のうち約86%、9割近い方々がこの手当を現に受けていらっしゃる。それから、(2)に書いてございますのが葬祭料である。
 (4)福祉事業ということで、被爆者の方々も高齢化していらっしゃるので、ご自宅なりで自立した生活をお送りになるのが難しい場合に、入所していただけるホームということで、広島、長崎の地に原爆養護ホームを6カ所つくっている。
 (5)であるが、追悼平和祈念館というようなものの運営をしておると、これが施策の概要である。
 先ほど手当が次のページに詳細にと申し上げたので、最後に5ページを申し上げたいと思う。
 上から4段目がさっき代表例、86%の被爆者の方々が受けていらっしゃると申し上げた健康管理手当である。支給要件、真ん中の欄であるが、循環器の機能障害、運動器の機能障害等々、非常に幅広い障害を掲げている。11種類挙げてあるが、大体考えられるものすべて挙げていて、そういう障害のどれかを伴うご病気にかかっていらっしゃる被爆者の方には月々3万3,800円をお支払いするということである。その結果として9割近い方が現在これを受けておられるということである。
 それから、先ほど原爆症ということで認定疾病医療、その被爆者の方のご病気が原爆放射能に原因があると明らかに認められる場合には、全額国費の医療をしておると申し上げたが、そういう方々には一番上なのであるが、医療特別手当ということで、一番高額な手当であるが、月額13万7,430円の手当をお出しをすると、これは支給要件を念のために繰り返すと、原子爆弾の放射線が原因で病気やけがの状態にあるということを厚生労働大臣が認定をする仕組みがあって、その認定をお受けになった方でまだ治っていない方である。
 それから、特別手当、上から2つ目はこのご病気が治った方、原因が原爆にあるということを認定を受けたのだけれども、幸いその病気が治った方にお出しするのが特別手当、それから原爆に起因する病気の中で、一つ小頭症というのがあるが、小頭症を患っていらっしゃる方にお出しするのが3つ目の手当である。
 一つ飛ばして保健手当、これは支給要件の欄に2キロ以内という文字をごらんいただけると思うが、比較的近距離で被爆なさった方にお出しをする手当である。基本額は1万6,950円であるが、身障手帳の3級程度以上の障害にある方などについては、高い額の保健手当という2段構成である。
 それから、介護手当、これは支給要件の欄にあるが、お金を払って身の回りの世話をする方を雇って介護を受けた場合にお出しをする手当である。家族介護手当はお金を出さないで、普通はご家族に頼む場合には費用を出さないので、身の回りの世話を受けている方の場合にお出しをする手当、葬祭料は被爆者がお亡くなりになったときの葬祭料ということである。
 他の制度との併給関係につきいては、今日ご説明申し上げたことからもご想像いただけると思うが、これら各種手当、特別の要因に基づくものであるので、特に他制度との併給の調整などはしていない。
 以上、説明である
(構成員) 国が医療の給付をして、それから都道府県は医療特別手当、特別手当を出すということで、医療は現物支給ということで、その上に現金が支給されるというふうにうかがうわけであるそれで、特別手当なのだけれども、現在はその病気やけがが治っているのになおかつ手当が払われるという、その理由というか、その根拠づけのようなものはどういうところにあるのだろうか。
(厚生労働省) 医療特別手当が原爆に原因があると認定された病気が治った方なのに手当をお支払いする趣旨ということであるが、これは一旦治ったという方であっても、再発というのが懸念をされないわけではないと、ここが微妙なのであるけれども、そういう不安があるということから、健康管理に留意をなさるであろうと、健康管理に留意なさる上では、いろいろ費用というか、出費も伴うであろうと、こんな考え方からお出しをしておるわけである
(構成員) その下の質問であるけれども、健康管理手当で直接放射能が原因と認定されないものについても手当、その他補償されているということで、これについてはどのようにお考えか。
(厚生労働省) これも実は特別手当と似ておるわけであるが、原子爆弾が投下されたときに一定の状態にあった方ということで、被爆者手帳をお受けの方については、日ごろから日常生活の上で十分健康上の注意を払っていただく必要があるだろうと、そういう健康上の配慮を日常生活の配慮を払う上で必要な出費に充てていただけるようにと、こういう趣旨での健康管理手当の支給となっている。
(構成員) こちらの方で延べ件数でさまざまな手当が乗せられているということは、1人で幾つも併給することが可能だということだと思うが、一番併給をしている方だと幾つぐらいの手当を受けていらっしゃるのか。また、それはその必要があれば幾つでも併給が可能ということか。
(厚生労働省) 5ページをごらんになっていただくと、先ほどは他制度との併給は特に調整していないと申し上げたわけだが、この5ページの中ではどうなっておるかということを申し上げたいと思う。
 保健手当までは原則いずれか一つである。だから、医療特別手当ももらいつつ健康管理手当をもらうということは、これはない。上から5つ目までをもらっていらっしゃる方が介護手当の要件を満たせば、例えば健康管理手当をもらっている方がお金を出して身の回りの世話をする方を雇って出費があったという場合には、健康管理手当以外に介護手当が支給されるということである。だから、上から5つ目までと介護手当または家族介護手当の組み合わせがあり得ると。葬祭料はお亡くなりになった方であるので、また別格と、こういう構図である。
 それから、一言補足をさせていただく先ほど上から5つ目までは原則併給がないと、どれか一つだと申し上げた原則の意味なのであるけれども、原子爆弾小頭症手当だけは医療特別手当との併給ができるというのが法律の規定になっている。
(構成員) 外国人の取り扱いと日本人で外国に住居を移された方はどういう取り扱いになっているのか。
(厚生労働省) まず、国籍が日本国籍でいらっしゃらない方についてのお尋ねがあった。この被爆者援護法自体は国籍要件がないので、日本国籍の方であれ、外国籍の方であれ、同じように適用される。したがって、8月6日に広島におられて、その事実が確認できたという方であれば、例えば韓国籍の方でもこの法律のいろいろな援護施策の対象になると、こういうことである。
 それから、2点目のお尋ねが日本国籍の方がお住まいを外国に移されると、こういう場合のお尋ねだと思う。お答えは大きく2つに分かれるわけであるけれども、まず1つ目は手当、現金給付である。これは実は平成15年の2月までは出国なさることによって、手当受給権は失権すると、権利を失うという取り扱いをしていたが、15年3月以降それを改めて、国内で受給権が発生した方が出国したからといって失権することはないと、引き続き要件を満たしていらっしゃる限りは支給を続けるという扱いにしている。

○ ○ 医療品副作用被害救済制度について、厚生労働省資料(資料5)「医薬品副作用被害救済制度について」に基づき、厚生労働省から概略以下のとおり説明がなされ、その後質疑応答がなされた。

(厚生労働省) 横長の資料である。めくっていただいて、医薬品副作用被害救済制度の概要である。
 ライフサイクルの中でさまざまなリスクがあるわけだが、本制度についてはいわゆる薬害というものに注目した制度で、まず医薬品であるけれども、これは医薬品は当然治療等に使うものであるが、諸刃の刃であって、そもそも人体に対する異物であるので、アナフィラキシー性ショックで亡くなってしまう、もしくは一般の医薬品であるが、SJSという形で失明してしまう場合もあるということで、有効性と副作用は不可分の関係にあるということである。他方、生命や健康を救うはずの医薬品でこれをにより健康を害したということは、これは被害者の方に関しては非常に悲痛なことである。ということで、医薬品の使用に伴い生ずる副作用被害について、民事責任と切り離して、医薬品の製造販売業者の社会的責任、まさに生命にかかわる物質を扱うという、そういう社会的責任に基づく共同事業として迅速かつ簡便な救済給付を行うものとして成り立っている制度である。
 そして、この制度であるが、後ほども申し上げるが、給付費はすべて医薬品メーカー、製造販売業者からの拠出金になっている。その拠出金によって、今後発生するかもしれない副作用被害を救済するための拠出金により給付を行っていく一種の保険システムのような形になっている。めくっていただいて、この制度ができた沿革、経緯について申し上げたいと思う。
 2ページであるが、これは我が国においてサリドマイド、スモンという悲惨な医薬品の副作用被害があった。このような医薬品の副作用による重大な健康被害の発生を教訓として、まさに共同事業を国が認可する認可法人という形で医薬品副作用被害救済基金ができて、特殊法人改革によって、今は独立行政法人で実施しているけれども、そのような制度が昭和55年5月1日以降に成立したところである。
 ちなみに、この制度をつくるときには西ドイツとかスウェーデンとかの制度を参照したが、現在でもこの制度については世界でもかなりユニークな制度だと考えている。
 さらには、平成16年4月1日より、これは生物由来製品、具体的に言うと輸血用血液製剤等であるが、このようなものを介した感染等についても、別途生物由来の製品に係るところの被害救済制度をつくったところである。
 その下の方に給付の種類がある。3つ四角があるが、医療の関係、障害の関係、死亡の関係ということであって、医療のところであるが、入院相当の治療に要するところの医療費もしくはその医療を受けている間の医療手当、障害の場合については、障害が残っている場合の障害年金、障害児養育年金、死亡のときには遺族年金、遺族一時金等であって、7ページの方にまた詳細は資料があるけれども、7種類の給付を行っておるところである。
 めくって、3ページの方で救済対象についてまとめている。これは一種つの保険制度であるので、昭和55年5月1日以降に適正な目的で適正に使用されたにもかかわらず発生した副作用被害を対象とするものであって、(1)から(5)までが主な支給要件である。
 まず、これは民事責任の追及が困難な場合を前提ということであって、明らかにこれは民事上の損害賠償の責任を有する者がいらっしゃる場合には、これは対象外だということである。
 その次には適正に使用された、つまり例えば添付文書の使用上の注意の記載にもかかわらず、複数の薬を飲み合わせしてしまったりとか、全く違うような目的又は用法でに使った場合においては、これはこの制度の対象とはならない。
 また、副作用被害に対する救済制度ということであって、感染等被害については、先ほど申し上げた生物由来製品感染等被害救済制度において、これは救われた救済対象とされたのであるけれども、医薬品の薬理作用によって生ずる有害反応である副作用が本制度では対象であると。
 あと社会的な責任に基づく制度であるので、入院相当の治療が必要な被害等重い副作用ということについて対象としている。
 また、我が国は医薬品の副作用被害については、かなり広いところでとっている範囲で救済対象としているわけであるが、受忍が適当でないであると考えられる副作用、例えばがんの場合等については、かなり用いる抗がん剤がについては、一般的に言うと骨髄抑制等、ひどい副作用があらかじめ前提とされているので、こういう受忍を求めることが適当でないあると考えられる副作用については、これは対象外としている。
 4ページであるが、財源である。これは給付に要する費用は当初申し上げたとおり、医薬品の製造販売業者からの拠出金である。まさに生命関連物質を取り扱う医薬品メーカーの共同事業ということであって、これは医薬品を出荷していただく方については、一定割合という形で一般拠出金を拠出していただく。ただ、実際に副作用被害の原因になった医薬品に関しては、特に給付現原価の4分の1を徴収して、ある意味メーカー間の均衡を保っておるということである。 国は何をやっているかというと、事務費の2分の1を補助している、逆に言いうと、事務費の2分の1、その他の部分はメーカーからの拠出金を財源としてで実施している。
 他の給付との併給関係であるが、原則として他の制度との給付の併給調整は行っていない。つまり公的年金で障害2級で受給されている場合、これは障害認定基準は同じなのだけれども、いわゆる薬害によるところの障害認定ということで障害年金が出たら、全くそのまま医薬品副作用被害救済制度からも年金が給付されるという形になっている。
 5ページ目が支給実績である。この制度については、縷々るる新聞もしくは政府広報、雑誌等で広報していて、その広報の成果ということもあって、近年請求件数、支給件数等上がっていて、平成17年度の実績であるけれども、支給件数ベースで836件、支給額でいうと15億円程度の事業となっている。だんだんと支給額は増加してきておるということである。
 この制度は申したように、メーカーからの拠出金で成り立っているということであって、では厚生労働省は何をやっているかというと、次の6ページであるが、医薬品副作用被害救済制度の仕組みというところである。
 まず、この被害を受けた方については、独立行政法人の医薬品医療機器総合機構に給付申請いただくのだが、この機構でいわゆる医学的、薬学的事項に妥当かどうかの判定はしない。むしろ厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴聞いて、いわば我が国の医学、薬学の最高権威としての立場から、まさに中立的な立場で医学的・薬学的知見についてて、意見を申し入れる。判定結果を機構に通知する。それに基づいて、判定支給決定を行って給付をするという形になって、厚生労働大臣はこの判定業務について、一種公正性を確保する立場ということで関与している。
 7ページにおいては、医薬品副作用被害救済制度の給付一覧である。
 医療費については、健康保険等による給付額を除いた自己負担額、医療手当については、医療費以外にも費用がかかるということで、通院と入院の場合、若干違うという点もあるが、3万5,800円程度、障害年金についても、これは国民年金等のと同じ障害認定基準でと同じであるから1級と2級について各々給付を行っているということである。
 駆け足であったが、私どもの制度の概略は以上である。
(構成員) これの不服申し立ての制度はどんなふうになっているのか。
(厚生労働省) 不服申し立ての制度であるけれども、この制度については、独立行政法人医薬品医療機器総合機構法の中で不服の申し立てができるような制度は書いてある。つまり一般の行政不服審査法ではないので、この機構法の中で別途不服審査が位置づけられている。
 先ほど申したように、そもそもこの判定に関しては、一度厚生労働大臣は医学的・薬学的知見の観点から判定を行い、その判定結果に基づいて機構が支給決定する意見を言うのだが、それに関してまた機構の方で決定に不服があれば、再度厚生労働大臣の方に不服申し立てができるような形になってて、それについて意見を言うという形になっている。
(構成員) 請求がなくても支給するという案件については、どういうような場合にそうなるのか。
(厚生労働省) 基本は申請主義であるので、請求に基づき支給決定を行っている。
(構成員) 平成17年が請求が760件であるけれども、836件の方に出していらっしゃるが、何か特別な理由があるとそういうことがあるのかということである。
(厚生労働省) 説明が足りなかった。これは年度で平成17年度に請求を請求件数が760件受け付けたものである。今、平均審査標準処理期間については8カ月としているところであるが、若干ずれがあって、支給件数については前年度のものも急いで処理しておるということで836件であって、制度自体については申請主義である。

○ ○ 警察官の職務に協力・援助した者の災害給付について、警察庁資料(資料3)「警察官の職務に協力援助した者の災害給付制度の概要」に基づき、警察庁から概略以下のとおり説明がなされ、その後質疑応答がなされた。

(警察庁) それでは、資料の3であるが、最初に3枚の簡単なペーパーがついている。これは本日の説明の概要である。その後に、参考資料として多少分厚い資料がついている。ちょっと横長と縦長が混在していて、恐縮であるけれども、この参考資料の方を主としてご覧らんをいただきたいと、こういうふうに思う。
 それでは、この警察官の職務に協力援助した者の災害給付の制度と、こういうことであるが、この制度は本当の概略をだけ申すと、警察官が現場で何かをやってほしいというふうに協力を要請して、それに応えて動いてもらった人が被災した。、あるいはみずからの判断で例えば人命救助等を行おうとして被災したと、こういう方に対する給付を国または都道府県が行うと、こういう制度である。
 最初のページをお開きいただきたいと思う。まず、沿革からであるけれども、この制度は非常に古くから類似したものがあって、明治15年に太政官達があって、そこから始まっている。ただ、これが戦後に失効して、戦後しばらくの間はカバーする法律等がなかったということであるけれども、警察内部でも検討が行われ、また世論も盛り上がって、これは議員立法の形で昭和27年に制度化をされている。最初は現場で警察官から協力を要請されて、それに応えたときだけをカバーしていたと、こういう形である。
 その後、この右側の方に丸い同心円があるけれども、今申し上げたのが(1)だが、その後(2)にいって、実際に現行犯逮捕を1人でやろうとして被災したというような事案を受けて、昭和34年にそういったケースもカバーするように改正をされた。さらに、その直後に単独で人命救助をしようとして亡くなった、こういうケースがあって、地元からの強い要望もあって、そういう人命救助についても対象になったと、こういうことである。要するに、いろいろな事例の積み重ねの中で国民からのいろいろな声を受けて、これはすべて議員立法でここまで拡大したということである。
 その後は(4)のところに書いてあるけれども、この制度は基本的に国家公務員の災害補償の制度を基盤につくられておるので、そちらの公務災害の制度が拡大されるたびに、この協力援助者の制度も拡大をしてきたと、こういう概略である。
 次に進みたいと思う。それでは、どういう方がこの制度の適用を受けるかということである。先ほども申したように、大きく3つの類型に分かれる。
 まず、最初は警察官からの協力要請があった場合ということで、この協力要請というのは例えば一般的に防犯活動をお願いするということで、地域の防犯活動をしていて被災するというような場合は含まない。あくまで具体的な要請があった場合と、こういうことである。
 それから、2番目の類型としては、現行犯人の逮捕または被害者の救助ということで、非常に明らかなような形態の現行犯の逮捕をしようとして被災した場合と、これは警察官がいない場合の話である。そういう場合に適用になる。これは例えばスーパーの店員の方が万引きをつかまえるとか、そういった業務として行われる場合には適用にならない。そういった場合には、通常は労災の方が適用になるということであろうかと思う。
 それから、3番目の大きな類型は人命救助である。これは非常に切迫しているような場面での人命救助ということであるが、これについても業務で救助を行う、あるいは消防法などで救助義務が課される場合があるけれども、そういう場合については適用にならない。それぞれの法律でまた補償が行われると、こういうことになろうかと思う。
 それから、下の方に少し書いてあるが、非常に細かい字で恐縮であるけれども、例えば現行犯をつかまえようという場合に、被害者本人、あるいは現行犯人、あるいはその家族等が逮捕すると、あるいは被害者を救助するということをやっても、これは対象にはならない。それから、人命救助の場合に救助される人の近い親族、直系血族等々、配偶者等々、こういった方が救助をする場合には適用にならない。もちろんいろいろと責めを負うべき立場にある人も適用にならないと、こういうようなことである。
 次にお進みいただきたいと思う。次のページはこの制度の概要をお示ししている。上の段であるけれども、左側に該当要件、今述べました該当要件が書いてあって、こういう場合に適用になるわけだが、実際に運用するのはこれは都道府県である。都道府県が支給を行い、その事務は都道府県警察の本部で行っているという状況にある。国が支給するのも、これは理屈としてはあり得るわけだけれども、現実にはこれはほぼ起こり得ないと、これは基本的には都道府県警察の方で運用されていると、こういうことである。
 給付の内容については右側に書いてあるとおりだが、これは基本的には国家公務員災害補償法と同じような中身になっているということである。
 下の欄、これは細かい内容で恐縮だけれども、基本的に国家公務員災害補償法と同じような内容なのだが、この制度自体が警察官に成り代わって同じようなことをしたという前提に立っているので、例えば給付の基礎になる額を決めるような際には、例えば最低額、最高額、それから扶養加算額などは、これは警察官の給与に大体準じた形で決められていると、こういった点が若干特殊な点であろうかと思う。
 次のページは、今申し上げたことと関連があるけれども、この制度が大体どんなふうになっているかということなのだが、真ん中のところが国家公務員災害補償法であって、これを受けて右側のこの法律ができていくということなのだけれども、さらにこの国家公務員災害補償法は大もとが労災保険法で、これは第2回のこの検討会でもご説明があったとおりである。それと国家公務員災害補償法は基本的にほぼ同じにつくられている。支給水準も同じである。それがこの協力援助法に持ち込まれているわけだけれども、ただ大きく違う点は、第2回の検討会のときにもお話があったけれども、労災については保険給付と福祉事業の部分に分かれているわけだが、その福祉事業の部分は、この協力援助者に対する給付には適用がない。要するに保険給付、あるいは公務災害でいう補償の部分、これが適用になっていると、こういうことである。
 制度の趣旨について、それぞれちょっと簡単には付記しているけれども、例えば国家公務員災害補償法であれば、災害に対する迅速かつ公正な補償というふうに書いているが、これは使用者としての立場に基づく法的な義務、補償の部分は法的な義務だというふうに説明されている。これについては、無過失責任であるという説明が行われているようである。
 それに対して、この協力援助法の方については、使用者とか被用者という立場がない。しかし、警察官と同じような働きをしたという前提に立っているので、警察官が被災した場合とほぼ同じような給付が行われると、こういう形になっている。
 定型的な給付で損失を補てんというふうに説明しているが、この説明の仕方は、国家公務員災害補償法ともほぼ同じ説明である。ただ、福祉事業の適用がないというふうに申し上げたけれども、ただそれでは給付がやはり足らないという考え方はあって、いろいろな形でプラスアルファの支給が行われる仕組みがある。これは都道府県の方でいろいろと制度化しているものもあれば、警察の関係する財団法人等で事業企業化しているものもあると、こういうことである。具体的内容については、次以降でまたご説明する。
 それから、次のページから2枚は、給付の内容であるが、これは労災のところと全く同じであるので、極めて簡単な説明にとどめさせていただきたいと思う。療養給付については、これは医療費の現物給付または現金での給付、それから傷病給付については、これは非常に障害が重い場合に、症状が固定する前においても年金の形で支払う。次の障害給付については症状が固定した後、年金あるいは一時金で支払われると、こういうものである。次の介護給付については、傷病給付あるいは障害給付が行われるような場合に、実際に介護が行われているようなケースで支給が行われる。次のページの遺族給付については、これは遺族の状況、例えば年齢だとか生計維持関係等々によって年金になったり一時金になったりと、両方のケースがある。葬祭給付については、亡くなった場合に数十万円が支給される。最後の休業給付については、これは特に必要な場合に仕事ができなくなったような場合に給付が行われると、こういうものでごある。
 次のページにいって、それでは実際にどのぐらいの額が支払われるかと、こういうことである。ちょっと煩雑な表で大変恐縮ですけれども、このケースでは、子どもが2人と奥さんがいると、こういう4人家族であった場合のケースで算定している。上側が死亡した場合、下側が8級の障害が残った場合ということである。上側の死亡について、左側がこの協力援助者の制度であるけれども、トータルして年金が286万円余、それから一時金が76万円余ということである。これに対して、公務災害の場合が右側であるが、基本になる部分は同じなのだが、福祉事業が加わってくるので、年金は343万円余、一時金は2,236万円余と、こういうことになる。ただ、先ほど申したように、若干それ以外の制度で協力援助者の場合は上積みをしているが、それを少し書き込んでいるけれども、確実に払われるのは、警察協会という団体からの弔慰金の100万円であって、それ以外については、これはない場合もある。ただし、この死亡見舞金というのは、これは都道府県ごとに制度化されていて、制度があるのが15県にとどまっているが、ただし非常に高いところもあって、例えば東京都では3,000万円の支給が行われる。こういう非常に高い支給が行われた場合には、公務災害の場合に遜色のない内容になると、こういうことになろうかと思う。
 下側は障害の場合であるけれども、協力援助者の場合には一時金として645万円余、公務災害の場合には1,100万円余と、こういうことになる。ただ、これについても、例えば東京都を始め手厚い見舞金が行われるところでは、上乗せの給付があるので、公務災害に遜色のない給付が行われるケースもあると、こういうことである。
 それから、次のページ以降は説明は省略したいと思うが、今簡単にご説明した上乗せの給付について、それぞれ簡単な説明資料をつけている。最初が特別報償金ということであるが、これは事件捜査に協力した場合だけなので、実際には適用ケースは多くないと思う。
 それから、次のページが、これは先ほど申した県ごとの見舞金の制度で、実際には3,000万円出るところもあれば、100万円程度というところもあるし、多くの県件ではこの制度がないということである。
 それから、次のページは警察育英会という団体からの給付であって、これは学校に通っている子どもがいる場合の、遺族がいる場合の給付である。ここに書いてある程度の給付が行われるということである。
 それから、その次のページ、警察協会という団体から一時金が支給になるが、大変恐縮なのだが、資料の間違いがあって、真ん中のあたりの4(1)の弔慰金の贈呈基準というところで数字が書いてあるが、これは全部桁が1つ違っている。ゼロが1個足りない。30万から120万、例えばそういう形になってくる。大変申しわけない。
 それから、次に進んで、ほかの給付との調整の関係であるけれども、これについては同一の事由で給付が行われた場合には調整されると、こういう仕組みになっている。実際によく起こり得るパターンとしては、学校の管理下で発生した場合の日本スポーツ振興センター法に基づく給付などがこれに該当しようかと思う。
 それから、一番下の方に少し細かく書いてあるけれども、公的な年金である。厚生年金、あるいは国民年金等との関係だが、これは併給される。実は公務災害について、併給はされるが若干調整を受けるわけだけれども、この協力援助者に関しては完全に併給をされる。それから、このペーパーには載せていないが、損害賠償との間では、これは調整が行われる。ただし、公務災害等と同じだが、災害から3年以内の給付に限って調整が行われると、こういう形になる。
 次に進んで、給付認定の状況であるけれども、最初の棒グラフについては、これは亡くなった場合の統計である。毎年10件、あるいは年によってはかなり多い件数が発生しているときもある。最近は少し少なめになっている。大半は人命救助である。
 それから、その次のページは、これは傷病の場合も含めた数字での統計であるけれども、右下あたりをご覧らんいただきたいと思うが、平成17年でいくと、死亡が合計で5人、それから傷病が49人、この程度の数字になっている。
 それから、次にいって、次は遺族給付年金であるが、これの受給者の推移であるけれども、平成18年度で申すと、179人の方が年金を受け取っておられて、総額で4億円弱と、このぐらいの額になっている。
 それから、その次が、これは給付の基礎額の最低・最高というふうに書いているが、この範囲内で基礎額が決まって、その何倍という形で算定していくのだが、この基礎額というのは、最初に申したように、警察官の給与と連動している。このグラフを見ておわかりのように、かなり法律の制定当時から見れば、大幅にこの制度は拡充をしてきていると、こういう形で増えてきているということである。なお、最近ちょっと減っている状況にあるけれども、これは公務員の給与が下がっていることと連動しているということである。
 一番最後の資料も、今ご説明したものと基本的に同じである。
 私からのご説明は以上である。
(構成員) 1点だけ。基本的に労災、そして国家公務員災害補償の並びで来ているという話でご説明いただいたが、1点だけ確認だけれども、協力援助法の方はとにかく福祉事業関係はないということで理解したが、途中の表でやや気になったのは、労災保険と国家公務員の災害補償は完全には横並びではなくて、特別援護金というのが途中でどこかで入っていたけれども、災害給付とそれから災害補償との比較の表が途中であったけれども、そこで遺族特別援護金とか障害特別援護金というのが国家公務員の災害補償にあるが、これは労災にはない。福祉事業の方で、遺族特別支給金というのは労災にあるが、遺族特別援護金というのは国家公務員災害補償制度のところで出ているけれども、これは労災にはない、国家公務員独特のものだと思う。
(警察庁) そうか。
(構成員) だから完全に横並びではないと思う。
(警察庁) 細かいところは多少違っている部分は、これはある。

○ 今後の検討の進め方について
 今後の検討の進め方について、國松座長から概略以下のとおり提案がなされ、議論が行われた後、了承された。

(構成員) 今後、どういう形でこれから討論を進めていくかということについて、座長として私から1つ提案があるわけであるが、今後は今までのヒアリングの結果と犯罪被害者の方々の実情、あるいはご要望を踏まえて、具体的な検討を行っていくことになるわけである。その場合、検討をできるだけ迅速に、かつ論点を掘り下げた形で充実して行うということが重要となってくる。
 そこで、これは有識者構成員の皆様にお願いなのであるが、有識者構成員の各位は、これまでのヒアリングを通じて、あるいは被害者の実情等も既に触れておられるわけであるから、現行制度の問題点というものについては、ある程度というか、相当程度把握をしておられるわけである。どのような点について検討すべきかということについては、それぞれのお立場で整理がある程度ついているのだろうと思う。
 そこで、有識者構成員各位にはそれぞれのお立場で論点として整理したところを次回の検討の前に、事前に事務局の方に提示をしていただき、その上で、それらをもとに検討を進めていってはいかがかと考える。論点整理は、もちろん何人かの有識者構成員が共同で行っても結構だろうと思う。また、犯罪被害者団体や支援団体といろいろと意見を交換してご相談をした上で提出をしていただいても結構だろうと思う。有識者構成員各位から提示していただいた論点を事務局で取りまとめ、次回検討会の前に全構成員に配布して、その上で、次回検討会からは直ちに具体的な討論に入ってまいりたいというように考えている。そうした今後の進行について、構成員の皆様からご意見があればお聞かせいただきたいと思う。
(構成員) これから論点に入っていただけるということであるが、やはり一番最初に申し上げたけれども、制度だけ聞いたけれども、実際にどういうふうになっているのかというのはなかなかわかりにくいことである。例えば……
(構成員) どうなっているとは、何がか。
(構成員) 被害者の方の現実。例えば、生活保護の問題についても、熊谷で起きた事件では、お孫さんの両親が殺されて、おじいちゃん、おばあちゃんがそのお孫さんを育てなければならないとなったときに、生活保護を受けながらしなければいけないということで、生活保護を申請したと。ところが、その後1年以上経ってから、犯罪被害者給付金の支給が決定されたと。そうしたら、途端に、今まで払った生活保護費を全部、所得を得たのだから全部返せということをそのおじいちゃんが請求されてしまうと。それで、今後はその保護を打ち切ると。そういう問題が起きて、それは新聞社が取り上げたために、日弁連の方でそれを取り上げるかどうか検討したが、それを市の方で察知して、払ったものを返せということは、ではやめる、というようなことが起きた。
 それから検討会の中で岡村先生がご紹介した、頭からガソリンをかぶせられて、現在まで30回近い皮膚移植の手術をしておられる九州の被害者の例は、皮膚移植をしているので、夏になると汗が出ないわけである。それで、1日に3回も4回もシャワーを浴びなければ生活できないような状態なのに、生活保護を受けている人はクーラーをつけてはいけないと。また、病院に通ったりするのに自動車に乗ってはいけないということで、さんざん苦労して、弁護士まで入ってようやく、では特別にクーラーだけは何とかしましょう、ということになった。これ、もし本人1人だけであったらそのまま苦しんでいなければならないと。そういうことが起きた。
 また、静岡でも、この検討会が始まってから私のところに相談に来た方は、國松座長のお膝元でもあるが、浜松の方で、ブラジル人にご主人を殺されてしまったと。それで犯人はブラジルに帰ってしまったと。しかし、レストランを経営していたために、そのレストランがもう閉鎖のやむなきに至っているのだが、そこに住んでいなければならないわけである。そうすると、不動産を持っているわけである。それで、事件はデッドロックに乗り上げたまま犯人も逮捕されないという状態のまま、犯給法も出ない。すぐには出ない。それで、浜松市役所の方に生活保護を申請したら、あなたは不動産を持っているではないかと。生活保護も出してもらえないということで、どうしたらいいかというところで、この検討会が始まってから私のところに相談に見えられたというような、そういうような実情があった。
 また、この間テレビで放映されたのは、栃木県の方で、隣近所の方が猟銃を許可されて持っていて、その猟銃で奥さんが撃たれてしまって、脊髄から頭にかけて100発の散弾がまだ入っていると。それで、ご主人は働きながら奥さんの看病をしているのだけれども、介護保険を受けようとしても受けられなかったと。しかも、医者はもう必ず、ご主人、散弾が入っているのでいつ何時どんなことが起きるかわからないような状態にあるので、いつもご主人が飛んでこられるような状態にいて介護していてくださいというので、今まで勤めていた会社を、自宅の近くに別のところに移らなければならない。そうすると、収入がまるっきりダウンしてしまうというような、そういう方もいて、自分がもし病気なんかになったときに妻はどうなるのかと。
 ですから、本当に安心して暮らせるようにするためには、一時金でポッと出してもらうのもいいけれども、やはりきちっとした月々支払ってもらえるような、そういう補償制度にしてもらいたいというような、そういう現実の生々しい話をいつも聞いているわけである。
 それで、座長には本当に楯突くようなことを言って申しわけないけれども、そういうのを聞いていると、やはりぜひ1度この検討会でも、先生方に実情を聞いてもらいたいと。やはり1人でも2人でもいいので、1度そういう苦しい実情にある方のヒアリングをぜひともしていただけないだろうかと。論点の整理をする場合に、確かに制度的にいろいろなことを考えなければいけないので、理論上整理していくということは確かに大切なことだとは思うが、やはりそうした現実の困っている、本当に困っている人である。被害者だからだれでも手厚くということでは、それは財源の限度もあるので、無理な話だと思う。だけれども、本当に困っている人には、その困っている人が何とかもとの平穏な生活を取り戻せるような状態にするにはどうしたらいいかということをやはり考えてもらいたいと。そのためには、やはり論点を考えながらも、そういう実情をぜひ聞いてもらいたいということである。
(構成員) 私からお答えするのが適当かどうかわからないが、まさに今構成員がおっしゃったような実情を踏まえながら、ここでこれから議論することになるのではないだろうか。我々がこれからやる仕事というのは、あくまでやはり制度設計である。どのような制度を設計したら被害者の方々の経済的支援の万全が期し得るかと。そういう意味では、ここでの議論というのはあくまで制度設計の問題だろうと思う。
 ただ、その制度設計をしていく上で、やっぱり現場の話というか、被害者の実情を踏まえてやっていかなければならないのは当然であるから、そういう被害者の声を我々の議論に反映していくというのは当然のことであるし、私もそのように心がけて進行していかなければならない。それはわかる。
 ただ、私が恐らく構成員と、少し物事の順序が違うと思うが、私のこれからの、実際にこれからの議論を仕切っていかなければならない立場からすると、まずいろいろ論点を実際出していただいて、制度設計上どういう問題点があるということをまず出して、それについて、現場の実情はどうなっているんだと。それは生の声を聞いてもいいし、あるいは構成員を通じて、今まさにおっしゃったようなことを我々知らないわけであるから、それは言っていただく。構成員では意を尽くさないところは、実際に来ていただくということもあるだろう。だから、そういうようにして、とにかく1回ここでどういうことを議論したらいいのかという、それはあくまで議論の仕方というのは、制度設計をするために、経済的支援するについてのよりよい制度をどうやってつくるかということを議論していく、その論点が出たところについて、それについて被害者の声を聞くということであろうと思う。
 したがって、被害者の声をワーッとたくさんヒアリングで聞くというのは、構成員とは少し違うが、それは我々の使命ではない。あくまで我々は制度設計である。ただ、制度設計が被害者の実情あるいはご要望と全然沿わないようなものになっては、これはいけない。だから、それはどんどん被害者の実情というのは、ここでおっしゃっていただく。それは構成員が言っていただいてもいいし、ほかの皆さんが言っていただいてもいい。どうしても、やはり直接聞いてくれという話になって、この構成員の方々のご了解が得られれば、それからその被害者の方に来ていただけるのであれば、ここでご説明を聞くというか、声をお聞かせいただくということもあっていいだろう。ただ、やはり我々としては、あくまで制度設計をどうしていくかという議論がまず先行して、論点が絞られたところで被害者の声を聞くと。非常にピンポイントで聞いていかないと、広く聞いていってもなかなか難しい。
 今ご説明があった中でも、まさに制度設計上の問題点というのもあるし、実は運用だけの問題もあるわけである。先ほど一番最初に言った、何か併給はだめだから、支払ったものを返せといったような話は、それは恐らく担当者がわかっていないだけの話であって、だからそれは制度の問題ではないのだろうと思う。だから、それはまた逆に言うと、そういう現場の運用者が変な運用をしないようにするための制度をどうしたらいいのか。いろいろなコーディネーターのようなものをつくるとか、そういう制度をつくれば、そういう現場で妙なことができなくなるということもあろうと思うので、そういう運用のまずさというのも直接お話しいただいても構わないと思うが、ただここはあくまで制度設計のお話が先行するのではないか。私からあまり言うのもおかしいのかもしれないが、私としてはこれからの議論はなるべく迅速にそういった点に絞りながら議論を進めてまいりたいというように考えているところである。ほかの皆様のご意見を承りたいと思う。
(構成員) 今ほど、構成員が論点を整理して提示するようにというお話があったが、まさにそのようにする必要があるかとは思うけれども、今まで受けた省庁のお話、学者の皆様のお話を総合しますと、あまりにも膨大なものになるわけである。だから、よりよい構成員が論点をきちんと整理して出せるようになるときには、内閣府として今までの資料をある程度まとめて、何か事前に提示をしていただけると、なおこちらとしても提案をしやすいという状況になるかと思うが、その点お願いすることはできるだろうか。 (事務局) 今までのいろいろな基本計画をつくるときに、被害者の方から1,066の要望をお聞きして、その上で今厚くするという方向で基本計画ができて、それでこの検討会が開かれているわけであるから、先ほど構成員からもあったけれども、そういう被害者の要望、問題点、我々としてまだ抽象的かもしれないけれども、そういったものと現状の制度なり何なりというものを、それをお示しすることは可能だと思うけれども、事務局としては、あくまでこれは検討会ですから、やっぱり有識者の構成員の方々にぜひ、それを参考に配ることはやぶさかではないので、次の検討会までにできればそういう論点整理をそれぞれやっていただければという思いでいる。
(構成員) 今回、この検討会で話し合われたものと、この出された資料、説明を受けた分、その点についての、ある程度の論点整理を客観的データとして、何か一覧表でわかるような形で何か出していただければと思う。
(事務局) まさに今言われたように、ちょっと我々も、あまり詳細なものは今の時点ではできないけれども、現状の制度はこうなっているというようなことについては、ある程度まとめてお示しはできるというふうには考えている。
(構成員) 私の方で、この検討会が始まるときに、一応論点整理の形で出したものがあるのだけれども。これである。
(構成員) 私も拝見した。
(構成員) それで、これは実は前の検討会のときの第2回検討会で、岡村構成員が犯罪被害者補償制度として提出した、こういうことで新しい補償制度をつくってほしいという、それに基づいたもので論点整理をしていて、そうした我々が考える補償制度は、実はこれまで4回にわたる検討会の中で、各省庁の方々がいろいろな日本の保険制度から社会保障制度からいろいろな説明をいただいたけれども、ある程度日本のそうしたベースになるような制度とか、そういうものも検討した上で、被害者の方々が現実に日常使っている保険とか、そういうものも踏まえた上で、なお足りないものとしてこういうことをやっている。
 だから、ある程度現状を踏まえた上での論点整理をしているもので、また先生方、いろいろそれぞれのお立場から論点整理をしてくださるとは思うけれども、できればこれ、この場で、メールで事前にやり取りさせていただいて、前の検討会もそうだったが、内閣府の方からいただいて、それに対して意見を述べて、また内閣府の方でそれに対してコメントを加えていただいて、その上で検討会を持ってここで議論すると。ここで議論したら、それでこの場である程度室長なり座長なりにまとめていただいて、では大体この場はこういうことでいこうということをこの場でできる限り全員の同意で決めていただくというような形が一番いいのではないかと。  そういうことで、論点整理に基づくここでの議論を実質的な議論としてぜひともやっていただきたいということである。
 それと、ついでと言っては申しわけないけれども、今日お配りした資料をご紹介させていただきたいのだが。簡単にやる。
 今日、このヨーロッパ調査報告書というものを配布させていただいたので、これにイギリスとドイツのことが詳しく載っている。イギリスについては、この前奥村先生が報告してくださった、奥村先生の研究成果と先生のご教授をいただいて調査したものである。それから、ドイツについては、この中にお配りしたが、法務総合研究というのを法務省の方から資料をいただいて、その法務総合研究がかなりベースになっていて、さらにそれに常磐大学のキルヒホッフ先生、ドイツ人の先生であるけれども、その先生のご教授などもいただいて、実際には現場で教えていただいた、向こうの調査で教えていただいたことが、非常に詳しく掲げてあるすので、ぜひこれをまたご参考にしていただきたいというふうに思う。
(構成員) 今、構成員からお話のあったとおり、これから具体的に検討していって、この検討会をやる前に、ある程度お互いのメール、メールができる人と私みたいに少し苦手な者もいるので、その辺のところがあるが、事前にある程度こなしておいて、この会の議論で詰めていってできれば。これはなかなか難しいかもしれない。できればここでの皆さんの総意という形で、この論点については大体こういう見解であるというのがこの検討会でできれば大変ありがたいと思うし、ぜひ私もそういう形で1つ1つ具体的に成果を得ながら議論をしていったらこれは一番いいだろうなと。なかなか難しいかもしれないけれども、そういう方向で議事を進めてまいりたいと思うので、むしろご協力をひとつよろしくお願いしたいと思う。
 ほかに何か。今後の議論の進め方について、私から提示したことでご意見等があればお願いする。
 それでは、大体今申しましたような方法で今後進めていきたいと思う。ただその具体的な過程で少し軌道修正した方がいい、こういう方法の方がいいのではないかということがあれば、その都度ご遠慮なく言っていただければ、それを斟酌して議論を進めてまいりたいと思うので、よろしくお願いする。
 そういうことで、ちょっと事前にいろいろと論点の整理を各人でやっていただくということ、今構成員から出た点は留保するけれども、そういうことであるけれども、事務局としてはいつごろまでに構成員から出してもらえばいいのか。
(事務局) 私どもで、先ほどから構成員の話があったように、実はこれは構成員の意見書なども踏まえて、ある程度そういう被害者のニーズみたいなことやつと、現状の制度はこうなっているというような資料をできるだけ早くお配りするので、できれば、8月25日が次回なので、その1週間ぐらい前ということで、17日ぐらいまでにそれを踏まえて、また各構成員の方から論点整理をしていただいて、それをまた踏まえてこっちの方でもう1回改訂版つくるので、先ほど構成員が言われたように、実はここが問題だとかそういう話もあろうかと思うので、その辺も整理して、改めて改訂版を次回のこの検討会に提出させていただくということでお願いしたい。
 まことにお盆も挟んで恐縮ですけれども、8月17日までに私どものところにお出しいただければというふうに考えている。
(構成員) いかがだろうか。それでよろしいか。それぞれ論点としてお考えのところをまとめていただいて、構成員から出ているわけであるけれども、それを事務局の方でまとめてもらうということにしたいと思う。
 なお、その出してもらう場合には、若干様式がのあるか。
(事務局) 事務局の方で、ごく簡単な様式だけれども、論点と、それに対する問題点というか、あるいはもしご意見があればご意見をというような形の簡単な様式をお示しさせていただくので、それに合わせてご提出いただければというふうに思っている。
(構成員) 後で、様式と申すか、大体こういうパターンで出してくれというようなものを、事務局案にあるようなので、それにしたがって、8月17日までにそれぞれの論点をお示しいただいて、それをまとめて、次回は直ちに議論に入ってまいりたいと思うので、よろしくお願いする。

○ ○ 海外調査について、事務局から概略以下のとおり説明がなされ、議論が行われた後、了承された。

(構成員) 海外調査に関する討議に移る。この点について、事務局からまずご説明をお願いする。
(事務局) 資料8をごらんいただきたいと思う。海外調査における主な聴取項目についてということで、6月30日の合同ヒアリングのときに質問も幾つか出た。そういうご議論を踏まえて、海外調査の聴取項目等について、既にメール等でお示しをしまして、それについて白井構成員と警察庁の方からご意見が出てきたので、それを加味した形でこの資料8の一番最初のところに追加をしてお示しをさせていただいている。
 聴取項目は、最初の方のところは、特にヒアリングでもう既に分かっていることもあるので、確認ということで、下線を引いた部分が特に各共通、あるいは各国で聴取する予定の事項というふうになっている。なお、既にメール等でもお知らせしているけれども、一部構成員の方から時期と人選について再考ありたいというようなお話もあったけれども、どうしてもやはりこの秋の議論が本格化する前に海外ヒアリングと併せて海外状況の調査を行う必要があると考えていて、まことに申しわけないけれども、アメリカについては冨田座長、それからイギリス、フランス、ドイツ、ヨーロッパについては、本検討会の平井構成員と、それから支援のための連携に関する検討会の奥村構成員お願いいたしているところである。先ほど来ご議論があるように、ぜひ充実した調査にしたいというふうに考えているので、ご意見を賜りたいと思うし、またここであまり議論が尽くせないようであれば、また追加のご意見等もあれば承わって、次回の8月25日の検討会にご報告させていただければというふうに、事務局としては考えている。
(構成員) 資料7で、私はドイツの補償制度についての補足説明を出させていただいて、連邦援護法と先ほどの法務省の資料もつけさせていただいたが、実は安部先生の説明の中にも、ドイツの犯罪被害者補償に関する年金の制度についてはあまり詳しい説明がなされていなくて、一番肝心な、私どもは所得調整年金というふうに訳してしまったのだけれども、実はこれ年金という性格のものとちょっと違って、そこに2ページに記載したように、実際には損害補てんという、法務省の方では職業損害補てんというふうに訳していて、ドイツ語そのものも年金という言葉は入っていない、いわば国家補償に基づく補償金の支払いを年払いで生涯型で行っているという制度で、先ほど我が国の制度の中で、公害健康被害だったか、医薬品、損害賠償型の、岩村先生から言うと、周辺型の制度の中に年金、年払いで支給すると。慰謝料、逸失利益も含めたものを年金型で支給するという制度が日本にもあるけれども、それに近いような、要するに国家補償の支払いを年金型で年払い型で支給していくという、そういう制度で、それが所得調整年金というふうにやっている、そういう制度があって、先ほどの私が冒頭紹介しました方も、そういう生涯型の年金を得ているということなのである。もしこのドイツの調査をしていただく場合に、ぜひとも実情を詳しく調べていただきたいと。あくまでほかの保険の上積みという形にもなっていると思うので、そういうどこまでどういうふうにやられているのかということを、そのための調査先なのだけれども、私どもの方で調査したときに、非常に制度のことについても、実際の支給のことについても、詳しく説明していただいたところがあって、これはそれをやっている援護庁なのだけれども、デュッセルドルフの援護庁、それからノルトライン・ヴェストファーレン州の健康・社会・女性・家族省というところ、これが非常に詳しく説明してもらえるところで、もしそういうところに調査をしていただけるのであれば説明していただけるのではないかと。そのとき、法務省の向こうの大使館の1等書記官の方にも大変そういうコーディネートでお世話になったのであるけれども、非常に役に立った。それから、ケルン援護庁とケルン警察、それとケルン大学でのケルンモデルという連携もあるので、できればそのあたりをぜひともお調べいただきたいというふうに思う。
(事務局) 今ご指摘いただいたご意見を踏まえて、この改訂版の資料にも、我々年金給付局しか念頭になかったのだけれども、言われたような女性、福祉部局、そういう関連の部局にも行くことにしている。
 ただ、州の具体的な名前とか、あるいは今ケルンとおっしゃったけれども、ケルンも大変いいモデルだと私も思うけれども、日程的な都合とか、遠かったりすることから、どこかの州のということで、もちろん1つの候補としては考えているけれども、そういうことでご理解願えればと。ご指摘の趣旨はよくわかったので、それを踏まえて、平井構成員の方にもぜひお願いしながら、あと奥村構成員、それから事務局もまいるので、そんなことでよろしくお願いしたいと思う。
(構成員) よりよい制度設計に向けて、みんなで力を合わせてやっていくときには、1つお願いがあって、やはり内閣府からの連絡体制である。例えば今回のこの海外研修についても、どなたが行くことになったとかいうあたりも、ほかの会から聞くというような形になるので、全員共通認識を持つべきものは、やはりその都度連絡をしていただけると、その後風通しもよく、基本法でうたわれている透明性の確保もできるのではないかと思うので、またよろしくお願いする。
(事務局) 大変申しわけなかった。そのとおりであるので、漏れがないようにしたいというふうに思っている。
(構成員) 調査項目の関係で1点だけ少し細かい話であるが、また若干時期が遅くなって申しわけないのであるが、1点だけ追加をさせていただければというお願いである。
 いただいたこの内閣府資料の調査項目の1ページ目を見ると、各国共通ということで、○が2つ、上の方と下の方にあって、一応被害者に対してのみ適用される支援制度と、それから被害者にも適用される社会保障・福祉制度ということで、2つ掲げてあるわけだが、この2つの○の両方に共通する1つの論点として、民事の損害賠償請求との関係について、もし調べていただければというふうに思う。具体的には、こういう支援、どちらでも共通なのかもしれないが、こういう支援が実施された場合に、その原因者というのか、犯罪者に対する求償の有無がどうかとか、あるいは相互の調整がどうなっているかとか、そういった民事の損害賠償請求権との関係について、もし調べられるようでしたらお願いできればという点である。
(事務局) 了解した。
(構成員) 1点なのだが、改訂版のところで、各国共通のところで財源というふうになっているけれども、この点はアメリカなんかで、特に具体的に調べていただきたいが、例えばさっきの話にもあったように、罰金刑を財源にする場合とか、あるいは有罪判決を受けた者からお金を徴収するとかという制度があるけれども、この制度がどの程度広がりがあって、どの程度制度として成り立って、どれぐらいの財源としての意味合いを持っているのか、この点ちょっと具体的に知りたいというか、そういう制度があるとかということはわかっているけれども、どの程度の制度として立ち上げがうまくいっているのかということを調べていただきたいと思う。
 それから、イギリスについては、この間奥村構成員が報告されたように、同種の制度がそれぞれ動きつつあるように思うので、この点も動いている状況をぜひ教えていただきたいと思う。
(構成員) この有罪判決を得ている者から徴収した、これはアメリカだけか。
(構成員) アメリカは少し前からやっていると思う。イギリスは、この間奥村構成員が、刑罰賦課金か何か、そんな感じで言われたかと思うが。
(事務局) 了解した。
(構成員) この改訂版で、私の方の意見を入れていただいているが、3ページの、やはり現物支給しているものと、それからお金で払っているものとあるけれども、それぞれ保険の収入から支給されているのか、それとも一般財源から支給されているのか、その給付内容によっても若干違うようなので、国家補償的な部分については一般財源から支給されているはずであるので、財源を調査する場合にもそれを区別して、できれば調査していただきたい。
3ページの文章のとおりで結構であるが、そういう趣旨である。
(事務局) 了解した。
(構成員) イギリスについて追加していただいたのは、死亡の場合の5,500ポンドの場合の問題で、奥村先生への質問は、確かに寡婦のことを質問したのだけれども、ご調査いただく場合には、寡婦と限らずに、定額の5,500ポンドなり1万1,000ポンドと合わせて、これは標準額の支給ということのようであるが、それと合わせて逸失利益の所得補償も、死亡の場合にも支給されるという仕組みになっている。奥村先生の資料によればそうなっている。だから、そのあたりをぜひ具体的な事例で、それもぜひお調べいただくのと、同時に、1億円近い高額な所得補償で、イギリスの場合のタリフスキームと併せて、逸失利益の補償で50万ポンドまで補償された例があるというふうに奥村先生も言っていらしたので、それの具体的な、我々が行っても教えてもらえないけれども、政府が行けば教えてもらえるのではないか。どういう例でどういうふうにやられているのかを調べていただきたいと思う。
(事務局) ご趣旨よくわかったので、政府で少なくともトライしてまいりたい。よろしくお願いする。
(構成員) それと同時に、個別の被害者にかける制度のほかに、例えばその国、地方公共団体、公的なところでどれくらいの税金というか、そういうものをかけているのかというあたりもあわせて聞いてきていただければ、日本でこれからそれぞれの立場での被害者支援のときに、そういう公的なお金をどれくらいかけていけばいいのか、かけるべきなのかというあたりも、多少はいい材料になるのではないかと思う。
(事務局) 被害者、要するに経済的支援としてどれくらい税金が使われているかということでよろしいか。
(構成員) そう。公共なところで。
(事務局) 了解した。
(構成員) これ政府から視察に行くとなると、各国では、やはりこんなふうによくやっているというふうなことが出されるような気がする。実際に私たちが聞きたいのは、日本でやる場合に、こういうふうにしたいけれどもどういうところに問題があるのか。今まで各国のヒアリングを行ってきたけれども、やっぱりいろいろな変遷をたどってきている。まだ問題点があるというところもあるので、その問題点についてが一番知りたいところだと思う。それは制度としてということと、あと実際にその制度の恩恵を受ける被害者にとってどういう問題点があるかという、その両方を調べてきていただきたいと思う。
(事務局) 既に1ページにも現行制度の問題点ということで書かせていただいているけれども、今言われたように、それはもちろん被害者にとっての問題点ということであろうから、その辺を十分に踏まえた上での調査にしたいというふうに思っている。
(構成員) 1点だけ。調査対象として、犯罪被害者の経済的支援を検討する会なので、調査の対象として、先ほど損害賠償のお話が出たけれども、住居の問題であるとか福祉サービスの問題であるとか、そういったことは全く対象としてはお考えになっていないと思う。給付金というか、そこだけが対象になっていて。ただし、この検討会ここでは給付金だけでなく、住居や福祉サービスなど全体が討議の対象になっているもので、少し疑問に思った。
(事務局) 今我々の念頭にあったのは、おっしゃったように、やっぱり現実に今の犯罪被害給付金みたいなことだけを念頭に置いていたので、しかしおっしゃるように住居とか、そういうものも関連してくると思うので、その辺についても調べられる限り調べることが必要かというふうに考えている。
(構成員) それは、調査先は同じでいいのか。全然別のところへ行くのか。国によって違うか。
(事務局) それはそこに聞いてみるしかない。
(構成員) それも踏まえてやっていかなければならないだろう。
(構成員) 少し論点が膨大になりすぎているというか、広がりすぎていて、本当にこの日程でできるのかなという感想を持たざるを得ない。
 ただ、今また、構成員のおっしゃったことと関係すると、今回の調査も犯罪被害者に対してのフォーカスはあるけれども、それも社会保障というか、ほかの社会保障制度の中で犯罪被害者がどう扱われるか見ておかないと、ここは単なる単純なお金の比較とか、そういう金銭の比較だけで、ここは貧しい、ここは豊かだとか、そういう評価は望ましくない。できないので、ほかの社会保障制度の中でどういう関連で犯罪被害者が置かれているのかを見ないと、恐らくそれは事前に学習されていくかもわからないけれども、何か単純な論点が非常に膨大になりすぎているということと、それで第1にだが、この日程上で十分なのかどうかということと、それから被害者に焦点を当てることはそれでいいのだけれども、社会保障制度との関係で見ないと、本当は真の問題点というのは出てこないのではないかという感想を持ちった。以上である。
(構成員) 具体的には、例えばドイツはどこへどんな日程で行かれるのか。まだ決まっていないのか。
(事務局) まだ決まっていないけれども、ここに書いてあるように、最低、実は経済的支援だけではないので、ほかの支援連携、あるいは民間団体との絡みもあるので、構成員のおっしゃるように大変膨大である。だから、もう既にヒアリングでわかっているようなこととか確認のことは、これはまたいろいろな文書等で資料をいただくような形にして、本当に今先生方から出ているような、そういうことに絞ってやらないと、とても時間が足りないと思うので、そういう意味でも今日のご指摘をありがたいというふうに思っている。
 だから、援護庁はこの経済支援の1のところでは出てこないけれども、援護庁は当然行くようになっていて、この参考資料で掲げているけれども、支援連携の方の3ページに、いずれかの州の援護庁にもぜひ行きたいということで考えている。
(構成員) ちょっと口幅ったいけれども、実際に援護庁にうちの何人かの弁護士が行ってやっているので、またご参考に、ぜひいろいろ参考にしていただきたいと思う。
(構成員) 私も構成員と全く同じ考えというか、である。当然のことながら、膨大な調査であるので、これは文書ベースというか、あるいはもう既に現在時点でもわかっているという内容も当然入っているわけであるので、やはり何故そのような仕組みが作られたのか、なぜなのか、あるいはどうしてそういう考えに至っているのかということを基本的には、我々枠組み考えます論点も、その詳細の部分は、これは議論にどこまでなるかという点もあるので、私はまずそこを基本的に調査すると調査すべきではないかと考えている。その上で、いろいろここで出ている詳細についても併せて調査するという考えでやるべきではないかと思う。
(構成員) 私たちがやったときも、できる限り日本の被害者の方の典型的な例を相手の向こうの国の方に直接お話をして、こういうケースが日本にあるけれども、お国ではこのような場合にどういう形で補償されていくかというような形で、なるべく日本の幾つかの典型的な例を持ち出して、そしてそれにバンと直接回答してもらえるように私どもはやったけれども。
(構成員) 調査項目や訪問先が今膨大な話になってきているし、全体的な日程の制約や先方の都合というものがあるので、とにかく最大限、これまでのご意見を踏まえて、所要の調整をしていただいた上で、事務局で確定して行っていただくようにお願いしたいと思う。

○ 今後の検討スケジュールについて、事務局から概略以下のとおり説明がなされ、議論の後基本的に了承された。

(事務局) 資料2である。内閣府資料、今後の検討スケジュールということで、既にメールでごらんをいただいているものと同じものである。先ほどご了解をいただいたように、論点整理を次回議論していただいて、できれば迅速に検討に入らせていただきたいというふうに考えている。
 これが一番本体の、経済的支援のあるべき姿という、一番肝のところなので、それについて第9回の検討会まで一応ご検討いただいて、その結果を取りまとめて、10回と11回の検討会で、一応その経済的支援のあるべき姿、大体こうではないかということで取りまとめをまずお願いできればと考えている。
 その後、法務省の方でいろいろ損害賠償に関して刑事手続の成果を利用する制度、あるいは公的弁護人をつけるかどうかというようなことについて検討いただいているので、そういった状況も踏まえて、公費による弁護士選任や、あるいは国による損害賠償費用の補償等の是非について検討していただいて、その経済的支援のあるべき姿と、今申し上げた検討を合わせて、できれば来年の春ごろには中間報告の取りまとめをお願いできればというのがこの検討スケジュールの案である。よろしくご議論をお願いする。
(構成員) やってみないとわからないところがある。今のような大体のスケジュールということで、中身はそれに続けていろいろかと。よろしいか。大体の今後の進め方というのは。
(構成員) 海外視察はいつからいつ行かれるのか。その間は検討会ないのか。スケジュールを教えていただければ。
(事務局) 一応、9月の上旬ということで、まだ何日から何日というのは今検討中である。だから、少なくとも15日ぐらいまではないと。とにかく、9月上旬に行きたいというふうに考えている。何日から何日まではまだお示しできないけれども。
(構成員) 第7回の私どもの検討会の日取りにもそれは関係してくるけれども、後でそれはまたする。
(構成員) この日程でいくと、8月25日に論点整理をして、それで具体的にそれぞれの項目について議論するということになると、次の9月、10月からということになるが、8回が9月、10月で、11月はもう損害賠償による立て替えの問題とか、後遺障害に対する福祉サービスのあり方ということで、この経済的支援のあるべき姿ということについての議論が、そうすると2回しかないわけである。論点整理を1回やって、例えば一番大問題である財源の問題とか、それから保障制度全体の仕組みの問題と給付内容等について、給付内容というのはお金のかかる話だものだから、かなり議論するときも時間がかかると思う。そうすると、海外調査のお話も簡単にパッとやって、これは聞きっぱなしというわけにもいかないと思う。そうすると、もう少しこの回数でこれでできるのか。
(構成員) それはとにかくやってみないとわからないところがあるので、とにかく十分なご議論をいただくということでやっていって、例えばここに書いてあるように、第9回目で損害賠償の問題ができなければ後に繰り延べるしかないのではないか。一応スケジュールとしてはこういう立て方でやっていこうというだけであるので、第9回で経済的支援のあるべき姿についての検討というのが全然まだ進んでいないとか重大問題が残っているのであれば、我々はそれが一番メインであるから、損害賠償とか後遺症というのは後に延びてくる。これはあくまで1つの予定であるが、それはもうその都度、この経済的支援制度のあるべき姿についての十分なご検討をいただくと、こういうことだろうと思う。ただ、それを大体割り振ったらこんなものといっているところであるから、議論が詰まらなければ、それはもう後ろ延ばしにせざるを得ない。あまりご心配になることはないと思う。
(構成員) 私が思うには、とてもこの11月までにこういう形の予定ではちょっと無理ではないかと。いっそのこと、今のうちから損害賠償と後遺症の問題は経済的支援制度を取りまとめた後に持っていったらどうだろうか。
(構成員) それは、その段階で判断したらいかがか。とにかく我々は経済的支援制度のあるべき姿について十分検討すると。していくということでいかがか。つまり、それをどこに入れるかといっても、それは議論してみないとわからないところが随分あるのではないだろうか。だから、それは私も座長として十分な議論が行われるように、打ち切って損害賠償に行くというようなことはしないということでよろしいのではないだろうか。それはご信頼いただかないと。
(構成員) 信頼しないわけではない。では、少なくとも次回の論点の討議のところで、もう少し時間がかかりそうだという見通しであればまた組みかえるとか、そういう柔軟性を持った形というふうに理解させていただけないか。
(構成員) そのとおりである。論点整理というのは、もうここではあらかじめやっているということである。もう席に着いたときには論点は整理されていると私は思っている。

※次回の検討会は、平成18年8月25日に開催する予定。


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