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(議事次第) 1.開会 2.我が国の社会保障・福祉制度について 3.参考となる我が国の社会保障・福祉制度について
4.今後の検討の進め方について 5.海外調査について 6.自由討議 7.その他(第7回検討会の日程調整) 8.閉会 (配布資料)
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(議事内容)
○内閣府犯罪被害者等支援推進室長 お待たせをいたしました。
定刻になりましたので、ただいまから第5回経済的支援に関する検討会を開催をさせていただきます。司会の方を国松座長にお願いを申し上げます。
○國松座長 それでは、司会を務めさせていただきます。
本日の議事につきまして、事務局からご説明をお願いします。
○内閣府犯罪被害者等支援推進室長 お手元の議事次第にございますように、本日はまず岩村構成員より、我が国の社会保障・福祉制度の全体につきましてご説明をいただいた上で、参考となると思われる我が国の社会保障・福祉制度につきまして、各省庁よりご説明をいただくこととなっております。これで一応の既存の制度の説明が大体終わりますので、今後のこの検討会の検討の進め方、それから9月に予定しております海外調査の調査事項等につきまして、ご議論をいただきたいというふうに考えております。
以上でございます。
○國松座長 それでは、ただいまから事務局の説明がありましたように議事を進めてまいります。
○白井構成員 ちょっと議論の進め方について意見を述べたい。
○國松座長 どうぞ。
○白井構成員 白井ですけれども、今までの検討会のやり方を見ますと、確かに制度の説明を受けること自体はいいんですけれども、制度の説明を聞いた後、実際に日本の被害者の方々が抱えている実情、問題と制度とがどういうかかわりを持ち、どういうところに問題があるのかということも全然討議がなされていないと。私は被害者の方々の期待を担って、こうして検討会の構成員とさせていただいているんですけれども、毎回、毎回の検討会につきましては、本当に苦しい実情にある被害者の方々は、この検討会の進み具合をいつも、いつも期待をして見ているわけなんですね。それにもかかわらず、私たちのことがちっとも話されていないのではないかという厳しい批判が私どもに寄せられているわけなんです。
私自身も昨晩もずっといろいろ考えまして、これは検討会に対する批判というよりも、私自身に対する厳しい批判ではないかと。あなたはそうして構成員になっているけれども、真剣に被害者の実情を検討会に反映させる気持ちはあるのかというおしかりを私自身が受けているのではないかというふうに感じております。
それで、本日の持ち方につきましても、後で海外調査の問題という重大な問題が控えているわけですので、できればこの制度の説明というのは短時間で済ませていただいて、討議の時間を1時間半なり、できれば2時間近く、なるべく多くの時間をとって、そしてここの場で日本の被害者の実情も踏まえながら、どこからどんなことを調査してくるべきなのかということを具体的に構成員の先生方の討論をして、そうして最終的にこの場で訪問先と調査事項というものをまとめていただくと、そういう進め方にしていただけないだろうかと。
例えば、この前ドイツの説明がありましたけれども、ドイツでは年金のことが非常に大きな問題なんですが、実際にこの犯罪被害者の声が聞こえますかという本の中には、ドイツで生涯型の年金を3年間かかってやっと「白い環」の尽力で取得したシュラムさんという方の例が載っていますが、この方の場合は21歳で暴漢にやられて、そしてほとんど働けなくなってしまったという方なんですが、この方の場合には1カ月21万円の生涯型の年金を取得することができたと載っています。
それを日本の21歳の大工さんが犯罪被害者給付金支給法でもらった場合は一体幾らもらえるだろうかということを知りたいと思いませんか。ドイツの調査に行くのに、このシュラブさんの場合は生涯型、もし65歳まで21万円ずつもらうと1億円を超えます。しかし、21歳のもしシュラブさんが日本の国民であった場合には、現在犯罪被害者給付金支給法で4,200円から6,000円に対して1,340倍しか、つまり400万円から500万円ぐらいのお金しかもらえないという実情にあります。
そういう実情を知った上で、ドイツを調査する場合にはどこをどういうふうに調査すればいいのかということをここでみんなで話し合うべきだというふうに私は思います。ですから、できれば今日は討議の時間を十分とっていただいて、ここで皆さんで討議した上で、調査事項と訪問先というものを決めていただきたいと、私はそういうふうに思います。
○國松座長 一部議事の進め方に関する部分がありますので、私からお答えをいたします。
白井構成員のお気持ちはわからないわけではないですが、あなたが今おっしゃったようなことをこれからここで討議をしようとしているのではありませんか。つまりひとあたり皆さんの説明をまず聞いて、それに従ってなるべく早く議題に入っていくということでありますから、その順番というのがあるわけでありまして、とにかく話を聞いて、それで次回からはどんどん議題に入っていこうと、その論点をまず出すためにも、ご説明を聞いているんじゃないでしょうか。
○白井構成員 それがやはり全部聞いてということは、日本の被害者の実情とあわせて検討しないと意味がないわけなんですね、本来は。
○國松座長 まさに日本の被害者のことを考えるために、ほかのいろいろな公害の被害者であるとか、原爆の被害者であるとか、そういう人に対する処遇がどうなっているかということをまず聞こうではないのということで聞いているのではないでしょうか。
○白井構成員 それを聞くこと自体は、今までやってきましたけれども、しかしその上でもう既に海外調査の訪問国も、それから……。
○國松座長 ですから、海外調査のあり方というのがそこでご議論いただければいいので、その前に今これから我々がやるのは、今日はわざわざそれぞれの担当の省庁が来ておられるわけですから、その話を今から聞こうではないかという話です。
○白井構成員 その話を聞かないというわけではないんですが、今日もし海外調査の調査事項とか訪問先の問題を討議するということが議題になっているので、その討議の時間を十分に確保していただきたいと。ですから、この議題どおり説明していただくのはいいんですが、やはりそれは簡単に済ませていただいて、討議の時間を1時間半なりそれ以上とっていただきたいということなんです。
○國松座長 海外調査について重要な問題があるから、前の説明を簡単にしろという議論はちょっと乱暴じゃないですか。あくまで前の議論は前の議論、その後海外調査についてご議論があったらいいし、今日の時間がとれなければ、もう一回今日海外調査について決めてしまわないで、白井構成員のおっしゃることはそこでまたいろいろと詰めた方がよろしいんじゃないですか。
○白井構成員 でも、ほかの検討会が既に7月に行われていますが、そちらの検討会ではもうだれが調査員になるのか、またどこの国に行くのかも既に決まっているということが報告されているわけですね。ところが、この検討会においては、そのようなことが一度も議論もまだされていないわけですが、しかしそれは決められているということを聞いています。ですから、もし今日制度を聞いたとしても、この聞いた制度のことについて議論する時間すらないと。
じゃ、もしこの公害健康被害なり医薬品の問題について聞いても、そのこと自体を詳しく議論するという時間はないと思うんですよ。ただ聞きっぱなしで終わると思うんです。それだったら、短時間で済ませていただいて、後で十分な議論の時間をとっていただくと、そういう方がいいんじゃないかと思うんです。もしあれでしたら、ほかの構成員の先生方の意見もお聞きいただきたいと思うんですが。
○國松座長 どうぞ、ほかの方に言っていただいていいと思いますが、例えば今日の岩村先生のお話を伺う。そして、それについて若干質疑がある。なるほど、議論はあまり詰まらないかもしれません。その問題は論点整理をした上で、いろいろ議論していくことがもう一回出てくるわけですよ。そのときに、またご議論をいただければ十分じゃないでしょうか。
○白井構成員 でも、実際に今まで4回もやって、一度も日本の被害者の実情について、前の検討会に出席されている方はわかりますが、そうじゃない先生方は実際にこの被害者の実情がどういうふうになっているのかということはわからないと思うんですよ。それで、ここで議論しろといっても出てこないと思うんです、そのことをやらない限り。
○國松座長 私はちょっと今の白井構成員のご趣旨がよくわかりません。どうぞ、私ばかり言ってもあれなので、ほかの方、あるようでしたらご議論をお願いいたします。私は説明をしていただく方のお話をうかがって、それについて今後被害者のご意見をここで大いに言っていただければよいわけで、その議論をこれから始めようとしているわけであります。被害者の声がいまいち届いていないといったって、説明をされる皆さんはそれぞれご担当のことを話しているわけですから、それについて被害者がどう思われるかはこれから議論していくんじゃないんですか、それは来月、再来月とまだ続くわけですから、何が何でも今までにその都度、その都度全部わっとやっても話が進まないと思うんです。ですから、一応聞いて、これからやっていくと。私はそれでごく普通の議論をしていると私は思っているんですけれどもね。
○白井構成員 それを今ここでそのこと自体を長々とやるとまた時間が短くなるというふうにおっしゃられるかもしれないんですが、ただ私としては今日の討論の時間を1時間半なり2時間なり、そういう時間をきちっと確保していただけるような進行にしていただきたいと思うんです。
○國松座長 それは物理的に無理なところがあると思いますね。ですから、時間が足りなければもう一回次にやるとか、それで足らなかったら、どこかで皆さんの都合が合うのであれば、また来週にでもあると、そういう形じゃないんですか。今は1カ月に一遍のペースですから、もうちょっと綿密にというか、2回ぐらいやれといって皆さん合意なさったら、それでやればいいじゃないですか。
○白井構成員 でも、既に資料は配られて、一般的な制度についての資料は配られているわけですし、それで現実に日本の犯罪被害者の方とその制度がどう関係するのかということは、ほとんど説明がないわけですよ、それに関係する。
○國松座長 それはこれからやっていただければいいんじゃないですか。
○白井構成員 でも、それは今までもやられてこなかったわけじゃないですか。ですから、今日ね……。
○國松座長 今までは説明をまずとにかく聞こうではないかということなんじゃないでしょうかね。
○白井構成員 でも……。
○岩村構成員 ちょっとよろしゅうございしまょぅか。
○國松座長 どうぞ。
○岩村構成員 今のご議論をうかがってであるが、まず第一に今この会で検討している犯罪被害者の方のための経済的支援ということについて、制度設計を具体的にどうするかということをこれからこの検討会で議論していかなければいけないわけですが、そうしますと確かに白井構成員のおっしゃるように、今までは各種既存の制度についての説明ということについて、かなり時間をとってお話をうかがっているということは確かにそのとおりなんですが、他方で、じゃ犯罪被害者の方の実情を聞いていって、制度設計をつくっていくんだということを考えるに当たっては、既存の制度の中で一体どこまでがカバーされていて、どこがカバーされていないのか、そしてカバーされていない部分について、ほかの制度などではどういう扱いになっているのかといったことについて、やはり一度全体を見渡した上で、そのいわば整理表なり論点表なりといったものを一度描いてみないと、犯罪被害者の方の実情をうかがって議論するといっても、基本的に焦点が定まらない。どこに的がある、どこに絞るのかというようなことについての論点を整理できないだろうと思うんですね。
例えば、今、白井構成員がおっしゃったように、今日お話を短くするということ自体は、要するに私は構わないんですが、しかし他方で、じゃそれで犯罪被害者の方の実情等について、これから1時間半なり2時間とって議論しましょうといったことをやっても、多分もちろん皆さんいろいろなご意見があるとは思いますけれども、しかしどこに的を絞って議論をするかという筋があまり決まっていないと、その議論自体がそれほど残念ながら実を結んだ形にならない可能性というのがあるように思います。
ですので、私自身としては今日例えば比較的保障制度の中で重要なものとして、原爆の被爆者に対する援護のというものが出てきていますけれども、後でもお話ししようと思ったんですが、かなりこれは実はこの種の制度の中ではウエートのいろいろな意味で重い意味を持っている制度なんですね。そういったことについて、一度きちんとお話をうかがっておくということと、その上で今まで聞いた話を一度特に事務局の方でそこはお手数をおかけするということになるんですが、一度整理をしてもらって、どこまでが社会保障なら社会保障で制度保障されていて、それ以外の分野でどこの部分をほかの制度では面倒を見ていくか、それと引きつけて考えたときに、犯罪被害者の方についてどこに焦点を絞って制度設計を考えていくのかという形で議論をしていくというのが一見すると遠回りのようではありますけれども、論点がそれだけ明確になるという意味では生産的な議論になるのではないかなというふうに思います。
海外調査についても同じでありまして、私自身も若干の経験はありますけれども、海外の調査というのはそう容易ではないので、ある程度そこは経験のある方を中心としながら、どこが勘どころかというのをある程度見当をつけていただいた上で聞いてくるということでないと、行ってみても場合によっては的外れなことを聞いてきてしまったり、本当に聞きたいことが聞けなかったりということが発生しますので、その部分についても先ほど座長もおっしゃいましたけれども、もしご意見があれば承った上で、また再度日程調整が可能であれば、夏休みに入りますので、ある程度の日程調整をしようと思えばできると思うんですが、もう一度会合を持つということでもよろしいのではないか。あるいは事務局を中心として持ち回りで意見の集約を図るというやり方もあるのではないかというふうに思いますね。
ですから、白井構成員のおっしゃるように、今までの議論ということに対してのご不満はあるのかもしれませんが、逆にむしろ私はある程度きちっと周辺を固めた上で議論をするということの方が生産的な議論ができるのではないかなと個人的には思っております。
○飛鳥井構成員 よろしいでしょうか。
○國松座長 どうぞ。
○飛鳥井構成員 私自身は被害者の方に毎週、毎週生の形でお会いしていますけれども、実はこれまでの議論の中で、私には大変参考になる部分は多かったと思います。関係する諸制度の事実というのをまず教えていただくことがとても役に立と思います。それから、海外のお話をしていただいたりとかですね。
それから、何よりも知りたいのは、新しい制度をつくる以上、これまでの諸制度の事実の背景にある理念というものをまず説明していただいて、それぞれの制度がどういう理念に基づいて、何をカバーしようとしているのかということをうかがっておくのが我々は今後の議論を進めていく上では重要だと思いますので、その点は私としてはあまりはしょらないで、門外漢のところもありますので、説明していただけたらと思うんですけれども。
○國松座長 どうぞ。
○高橋構成員 高橋です。
岩村先生がおっしゃることも、飛鳥井先生がおっしゃることもそのとおりだと思うんですけれども、ただ海外調査に行くときには、白井先生がおっしゃっているのは、多分あすの会で以前に海外調査を綿密な質問事項とかをまとめたりしてやって、そして成功した例があるので、それに比べると今回の海外視察というのがあまりにも早急に決められているという印象があるからではないかと思うんです。
それを私もちょっと感じていることなんですけれども、この前警察庁さんからの質問事項が出ましたね。皆さんがどういう意見を持っているのか、どういうことを聞いてほしいと思っているのかとかということを皆さんが出してないうちに、海外視察に行きますといって、そうすると何を聞いてきていただけるのかなという不安が多分あるんだと思うんですね。少なくとも、警察庁のこの意見を私が読んだときに、例えば(共通)として申請を受理した日から裁定までの平均期間はどれぐらいなのかということがご質問に出ているわけで、そういう保障を受け取る側としては、実際に裁定から受け取るまではどれぐらいの期間がかかっているんだろうか、それだったら受け取りの日までの日数もついでに聞いてきてほしいなとかと思ったわけです。
ですから、こういう質問をしてほしい、こういうことを調べてきてほしいということを出して、そしてその質問事項が妥当かどうか、あるいはもっとこういうことを聞いた方がいいんじゃないかとかということをみんなでまとめるような、そういうものができ上がる、そのために既存のそういう制度とか、現在の被害者の状況とかをあわせて論点を絞って、それからそこのところは海外ではどういう問題の解決の方法があるのかということで、海外視察に行きましょう、ここを聞いてきましょうという段取りだというふうに私は思っていたんですけれども、どうもそうじゃなくて、どんどんお膳立てそれていて、私たちがそこにくっついていっているというような印象があるので、多分こういう問題が出てきているのではないかな思います。
○國松座長 簡単にお願いします。
○白井構成員 岩村先生のお考えも一つだと思うんですが、私はこの被害者の経済的補償の問題につきましては、あすの会で研究をする以前に日本弁護士連合会の方でも補償の問題の担当として、何年間か検討をしてきたわけなんですが、必ず一番最初にまずいろいろな種類の被害者の方とお会いをして、その方たちがどういう問題を抱えているのかということをまず教えていただいて、その上でそれに焦点を合わせて、労災補償とか、その他の日本の制度についてもいろいろ日本の社会福祉制度とか、いろいろなことも検討しながら、それでもなお不十分なところはどこなのかということをずっと検討していくわけです。ですから、本当はやはりもしヒアリングをするんだったら、被害者の実際に困っている方にここへ来ていただいて、どんなふうに困っているのかということを我々が聞いた上でやるのが本当は一番いいんですけれども、それが今すぐには無理ですので、とりあえず今日の議題としては海外調査なので、その点は時間を十分にとっていただきたいというふうに思うわけです。
○國松座長 ご議論を聞いていると、結局海外調査のやり方といいますか、調査事項なり調査の仕方についてのご意見がいろいろ出ていて、今日の議論に入れない状況だと思いますが、とりあえず今日おうかがいする岩村先生ほか、担当官庁の方のお話というのは、それはそれなりにまず聞いてみないと議事が進まないんですけれども、海外調査のやり方については、今のいろいろなご議論を今日中に何が何でも全部やろうといったってなかなか無理だと思いますので、だめであればまた日を改めてやっていくと、それはもちろん海外調査に行く前にですよ。いろいろな議論をやるという形で進めて、とりあえずこの岩村先生をはじめ、各関係省庁の皆様からのご説明を聞くところに入っていきたいと思うんですが、いかがでしょうか。その後海外調査についてのやり方なり、何なりについてはご議論をいただく。今日中に決着がつかなければもう一回やると、こういうことじゃないんでしょうかね。
○白井構成員 一応、時間的には聞いた上で、海外調査のことについて議論する時間的には1時間ないし1時間半とか、そういう時間をとっていただけますでしょうか。
○岩村構成員 それでしたら、私はやらなくて結構です。
○内閣府犯罪被害者等支援推進室長 よろしいですか。
事務局の方からちょっとお願いというか、若干の話ですけれども、今日お忙しい中、関係官庁の方も来ておられますので、まずそれを15分ということで、あと質疑5分ということでお願いしておりますので、とりあえずそれをやっていただきまして、海外調査等につきましては、また私の方からも説明したいこともございますので、そういうことでぜひよろしくお願いいたします。
○岩村構成員 私はそこまで言われるのだったら、今日はやらなくて結構です。
○白井構成員 そこまで言われるということは、私は別に説明をしないということじゃなくて……。
○岩村構成員 でも、1時間半とってくれ、2時間とってくれということですよね。そうしたら、もう今日は時間ないですよ。ですから、私は結構です。
○白井構成員 じゃ、岩村先生の説明はまた別の機会にやるということにするんですか。
○國松座長 それは今日は岩村先生の方からいろいろ来ていただいておりますので、まずそれは後の海外調査という問題と分けて、今言った大体のスケジュールというのがありますけれども、15分、5分と、とても説明するのは難しいと思いますが、ご説明をまず聞いて、その後海外調査についてやっていただいたらいかがですかと。
○白井構成員 だから、それはその順序で結構ですと、だから海外調査の問題について討議する時間を十分とっていただきたいということです。
○國松座長 それは今日は終わったときの段階でありますけれども、恐らく5時近くまではこちらの説明はかかると思います。ですから、その後何時までやりますかね。5時半までという予定ですが、多少延びてもその後のご予定がある方がありますから、だからそれはもしどうしてもだめでご納得いかない。このまま海外調査に出てもらっては困ると、こんな状況では出てもらっては困るというご意見があるんだったら、もう一回何らかの形でこの皆さんがお集まりいただくなり、あるいはご関心のある方がお集まりいただくなり、何かもう一回やらないと、今日のところはとにかく一応そろって説明をする方々がスタンバイをしておられるんですから、その話はまず聞きましょうと、その時間は海外調査があるから短くやれとか、そういうわけにはちょっといかんのじゃないかと思うんですよね。
○白井構成員 一番最初のころの予定では、本当は7月26日はある程度論点整理的なものも出していただけるという、そういう予定の話もありましたよね。でも、それは今言っても仕方がないことなんですけれども、たった30分しか時間をとらないということについては、私は一応反対しますので、議事録にとどめておいていただけますか。
○國松座長 それはもちろん今議事録に載っておりますからいいんですが、とにかくまず関係の皆様方のご説明を聞くように議事を進めたいと思いますので、ご協力をいただきたいと思います。よろしゅうございますか。
それでは、もとの議題に戻りまして、海外調査の件は全く別にいたしまして、我が国の社会保障・福祉制度につきまして、岩村構成員からご説明をお願いいたします。
○岩村構成員 短くせよということのようでございますので、非常に簡単にお話しさせていただきたいと思います。
お手元に一応資料の方はお配りしてございますので、それに沿いながらかいつまんでお話しをさせていただこうと思います。一応、パワーポイントも用意しておりますので、どちらをごらんいただいても結構でございます。
日本の場合、社会保障制度とは何かという話になりますけれども、広く一般には憲法25条の理念というものに基づいて設置されますさまざまな制度の総体であるというふうに理解されていると言ってよろしいと思います。ただ、我が国の場合、何が社会保障制度なのかということについての法的な定義というのはありませんので、実は曖昧模糊とした部分があります。行政的には、かつて社会保障制度審議会というものがございまして、その所管のところが大体日本の社会保障制度だというふうに考えられていただろうとは思います。
ただ、これも社会保障制度審議会に何を案件としてかけるのかという観点から議論されていたという部分がありますので、かなり広くとらえられております。例えば、上下水道の整備とか、そういったものも実は社会保障という形でとらえられていた。ただ、一般に私ども学者の中では社会保障制度というと、もう少し狭いものとして考えるのが一般的であろうというふうに思います
具体的には、ものすごく大ざっぱに申し上げますと、現在の日本の社会保障制度というのは2つの柱からなっていると言ってよろしいかと思います。1つは、いわゆる広い意味での社会保険というものであり、もう一つは公的扶助、具体的には生活保護でありますけれども、生活保護とか、それから各種の社会福祉の仕組みというものがそれに当たります。ただ、これはものすごく大ざっぱな話でございまして、きれいにこのように今の現行制度が二分できるというわけでは必ずしもありません。いずれにしろ、この2つというのは沿革も違いますし、制度の構造というのもかなり違っております。
まず、簡単に社会保険について見ておきますと、社会保険というのは基本的には次のような仕組みであるというふうに考えることができます。すなわち被保険者、それから被用者という労働者、サラリーマンの場合はそれに事業主も入りますけれども、使用者も入るわけですが、被保険者から保険料を集めて、それを元手に被保険者と場合によってその家族という者に対しまして、一定の保険給付を行うという仕組みであると、非常に雑駁に言うとそういうふうに考えることができます。いずれも社会保険の場合は強制加入という形をとっておりますので、強制加入という保険という仕組みを通して、被保険者相互の扶助ないし連帯というものを法的に制度化したものだというふうに言うことができようかと思います。
また、実は社会保険を構成する各制度の中でも、財政移転の仕組みがありまして、例えばこれは基礎年金がそうなんですが、そうした財政移転を通して異なる被保険者集団、今ここに(1)と(2)と出ておりますけれども、この(1)と(2)の間でも実は相互扶助ないし連帯というものを組織化していると、制度化していると、そういう見方もできます。
大ざっぱに言うと、この社会保険も2つに分かれていまして、これもまたそんなにきれいに分かれるかどうかということになるとそうでもないんですが、1つはいわゆる被用者保険、あるいは労働者保険と呼ばれるもので、被用者保険ないし労働者保険というのは、要するにサラリーマンを対象として、サラリーマンを被保険者、それから事業主を同じく保険料の拠出者というふうにして構成されているものであり、サラリーマンの人たち、あるいはその家族の病気やけが、それから障害、それから死亡、さらに出産、それから老齢、これは老齢年金とかそういったもの、そして失業、そういったサラリーマンの人たちの生活を揺るがすような事態が発生したというときに、医療などの現物給付や所得保障のための金銭給付を行うというような仕組みであります。一般に被用者保険の場合は賃金をベースにして保険料をかけまして、所得保障関係の給付は一般には賃金をベースとした所得比例の給付を行うというものになっております。
被用者以外、一般には自営業者とか、そういった人たちでありますが、それについても社会保険の制度が存在いたします。ただ、カバーする範囲はサラリーマンのものに比べると限定的でありまして、基本的には傷病、病気やけが、ただし業務上のものは含みません。病気やけが、それから障害、ハンディキャップ、それから死亡と、死亡も非常に限定的でありますし、それからあと老齢といった被保険者の方々の生活を揺るがすような事態が発生したときに給付を行うというものであります。
保険料の取り方がサラリーマンの場合とは違っていまして、医療保険の場合は所得などに比例した保険料と医療の保険の給付を受けるベネフィットに応じた負担、保険料というものからなっていますし、年金の方は所得比例ではございませんで、一定額の毎月幾らという形での保険料を取るということになっております。被用者以外の方は、一つは低所得者層が比較的多いということ、それから所得把握が非常に困難であるというようなことから、保険料で財源を賄うことが難しくて、かなり税金が投入されているというところが一つの特徴であります。介護保険とか、それから今般成立した改正法によって、高齢者医療保険制度が今度できますが、これはどちらかというと(1)という部分もないわけではないですが、(2)の方に入るものというふうに理解してよろしいだろうと思います。
それから、もう一つの類型としては公的扶助や社会福祉というのがありますが、これは社会保険とはかなり淵源が異なっておりまして、ヨーロッパ的な言い方をしますと、どちらかというと教会といった宗教組織が行っていた慈善前事業に源はあるのでありまして、例えば高齢者とか障害者といったような要するに困窮者を対象としてつくられた仕組みであります。基本的には、現在は国家がこれを担っておりますので、財源としては税金を使います。社会保険などとは違いまして、特定のニーズを持つ人たち、例えば子供がいて保育のニーズがあるとか、それから障害があってさまざまな援護を必要とするというような人たちといった、そういう特定のニーズを持つ人たちに対して、それぞれの個別のニーズに応じた給付やサービスを行うというものがこうした公的扶助や社会福祉であるというふうに言えようかと思います。
税を財源としますので、どちらかというと社会生活を送る上で一定のさまざまな困難を持つ人たちに対して、個別にそれを支えていく。そうしたための国民全体の連帯だという意味があろうかと思います。
生活保護の方はまさに最低所得なり最低生活の保護でありますが、その他社会福祉の方はそれぞれのニーズを持つ人たちの類型ごとに法制が基本的には組み立てられていると。ですから、例えば児童福祉であるとか、それから障害者福祉、これは自立支援ということになりますが、障害者福祉であるとか、母子福祉とかというような形でカテゴリーごとに分かれた、要するに持っている困難のカテゴリーごとに分かれた仕組みであるというようにみんな考えていただくとよろしいかと思います。
ものすごく大ざっぱにまとめますと、社会保障制度というのは所得の再配分の仕組みでありまして、社会保険にしても公的扶助や社会福祉にしても、一方では保険料、あるいは税という形で被保険者集団、あるいは国民全体からお金を集めて、そして社会保険のように定型化されたニーズがある人、あるいは生活保護や社会福祉のように個別的なニーズのある人に対して定型的な給付ないし個別的な給付、その他サービスを提供する、そういう仕組みであるというふうにとらえることができます。社会保障というと、どうしても給付の方に着目しがちなんですが、制度全体としては一方ではお金を集めるという面があり、他方で集めたお金をそれぞれの制度の論理に従って分配するという、そういう仕組みであるということができます。
ものすごく大ざっぱに傾向を言いますと、社会保障については萌芽期、発展期、成熟期というような勝手な分類が可能だと思いますが、現在はどういう状況にあるかというと、調整なり再構築の時期にあるというふうに言うことができようかと思います。具体的には、なぜ調整ないし再構成なのかといいますと、それは現在の近年の日本の社会の非常に大きな変化に起因するわけでありまして、今日お配りした資料にもありますように、思いつくだけ挙げても、例えば高齢化であるとか少子化であるとか、それから経済活動の国際化であるとか、それと国の財政難という、そういった要因があって、今までつくられてきた社会保障制度全般について見直し、さらには再度の再設計ということがこの10年、15年のスパンで行われてきているということが言えます。
こうした要因によって、どういう制度の見直しが行われているのか。これもものすごく大ざっぱに言いますとという話になるんですが、レジュメの次のページでありますが、全部が全部こうだというわけではないですが、ものすごく大ざっぱに言うと、第1に現在の状況のもとでは先ほど申し上げたような社会状況の中で、経済状況の中で、保険料率をどんどん引き上げていくということが実際上ほとんどできないというのがあります。したがって、保険料率を引き上げるという形で新たに財源を確保するということの見通しがあまり立たないと。さらに、国の財政難ということもあって、この面でも実は新たな財源を確保する見通しがあまりないということが一つ大きな制約要因になっています。そのため、実際何が行われているかというと、全部が全部そうではありませんけれども、大きな傾向としては給付内容についての見直しが行われておりまして、給付水準の抑制であるとか引き下げということが現実に今行われてきております。さらに、議論としては社会保障をどれだけ見直すかということの関係で、公的にやるのではなくて、民間で任せられるものは民営化してしまえという、そういう議論すら出てくるわけであります。
そういったことから何が見られるかということでありますが、次のページ以下でありますけれども、いずれにしても制度設計、例えば給付であるとかサービスを誰が受けるかということ、それからサービス給付の内容をどうするかとか、その水準をどう設定するかということについては、一つは結局今の情勢のもとでは財源調達をどうするかということに非常に大きく左右されます。とにかく財源が見つからないことには、給付水準の維持ということは難しいということになりますし、新たに給付をつくるということも極めて困難であるという、そういう状況になります。
それから、もう一つは同じ論点について言えば、社会保障制度の場合、どうしてもモラルハザードが発生しやすいということがあります。簡単な例を挙げますと、非常に寛容な給付をつくりますと、給付の過剰消費が生じまして財源を圧迫するという、そういう事態になります。これは現実に幾つかの例を簡単に挙げることができるわけでありまして、例えば老人医療制度というのがありますが、かつてはこれは高齢者の方が病院に行きますと自己負担がなかったわけですね。その結果、何が起きたかというと、高齢者の方はどんどん病院に行くようになって、老人医療制度の財政が結局破綻しかねないという、そういう状況が生じたということがあります。最近は介護保険がややそれに近い状況でありまして、比較的要介護度の低い方々のところで、例えば家事援助にも使えるというサービスをしたところ、比較的要介護度の低い方々のところの給付がものすごく伸びてしまって、結局財政を圧迫するという、そういう事態が起きたりいたします。
いずれにしても、これは社会保険制度などは非常に制度自体がでかいので、モラルハザードが起きたときのインパクトはものすごく大きいんですが、他方で小さな制度ですと、気をつけなければいけませんけれども、考慮しなければいけない必要度というのはそれだけ下がるということになります。
それから、もう一つは、これは長期的な存続可能性というのを考えなければいけないということがもう一つあります。特に年金のような長期的な給付というのは、財政の硬直化を非常に招きやすく、高齢化の影響を非常に受けやすいという、そういう問題があります。したがって、年金などについては長期的な存続可能性ということを考えた慎重な制度設計というのが求められるということが言えようかと思います。
この後今日ご説明があるので、詳しくはお話ししませんが、社会保障制度そのものではないんですが、それに関連する仕組みというのがお手元の資料にもありますけれども、幾つかございます。今日まさにご説明されるものばかりなんですが、被爆者の援護であるとか、それから医薬品の副作用の被害補償であるとか、その他公害健康補償とかというような幾つかの制度というのが周辺に存在いたします。
ただ、これは社会保障制度とはかなり性格が違っておりまして、ある特定の原因によって生じたニーズというものに対して一定の給付やサービスを行うというものでして、どちらかというと原因の有無をあまり問わない社会保障制度とは趣を異にするものであります。このほかにも最近では石綿、アスベストの補償の制度というのもつくられたばかりでありますけれども、そういったものもありますし、もっと遠いものとしては、例えば自賠責なども若干これと似る部分というのを持っております。
いずれにしても、原因に着目しますので、財源の調達というのもその原因と結びついた形での財源の調達方法というのが採用されることが多いというふうに思います。税が投入されるということもありますけれども、基本的には原因が起こる契機となった例えば事業活動を行っていた事業者であるとか、あるいは原因となったものから利益を受けていた事業者とか、そういった人から拠出を得るというような形で財源調達をするというのが比較的多いかと思います。被爆者の場合は税でやっているんですが、これはある意味国の戦争責任みたいな、そういったことのあらわれであるというふうに見ることもできようかと思います。ですので、財源調達の形がかなり先ほどご説明した社会保障制度とは異なっているということになろうかと思います。
給付内容も制度によるんですが、医療などは社会保障制度と別建てになっている場合もありますけれども、多くの場合は社会保障の制度を前提にしながら、それに上乗せする給付であるとか、あるいは社会保障制度で面倒を見ていないようなところに手を伸ばす横出しの給付とか、そういったものを行っているということが多いように思います。
あと最後これで終わりにしますが、そういった以上のようなことを踏まえて、論点としてどういったものが考えられるか。特に犯罪被害者の方の経済的救済、支援ということを考えたときの論点、制度設計はどうするかということを考えたときに論点ということになりますが、何といっても財源をどうするのかというのが一番の問題だろうというふうに思います。特に例えばある省の所管として、その省でもって財源を調達しようという話になると、現在の硬直的な、しかも財源難の中では、どういうことになるかというと、新しい財源をつくるのではなくて、その省の中のどこかを削って回せという話になるんですね。そうすると、政策と政策のぶつかり合いになってしまいますので、なかなか財源調達というのが難しくなると。そうすると、新しい財源をどういう形で調達するのか、それはもちろんかなり政治的な判断であるということになるので、そこをどういう形でこの検討会でプッシュしていくのかということに論点としてはなるのだろうと思います。
それから、給付については内容、水準をどうするかということでありますが、いずれにしても財政との緊張関係というのが常にあるということと、それからどうしてもモラルハザードが発生しやすいということがあるので、制度設計する際にはそこをある程度見込まなくてはいけないと。受給者がそれほど多くなければあまり問題にならないですが、結構な数になるというとモラルハザードが起きると、制度そのものの存続が危うくなってしまうということがあるので、そこを考えなきゃいけないということと、長期的給付についてはかなり慎重な検討をしなければいけないということになろうかと思います。あとは給付の内容というのを一般の社会保障制度とは別建てで考えるのか、一般の社会保障制度を前提としつつ、それに上乗せないし横出しを考えるのかというのももう一つの方向性であります。
先ほどお話しをしようと思ったのは、実は上乗せ、横出しということを考えたときには、現行のさまざまな保障制度というのがさっきあるとお話しをしましたし、社会保険制度の中にも例えば介護のための給付が労災保険で出たりとかしているんですが、実は一番それにインパクトを及ぼしているのは被爆者援護の制度ですね。被爆者援護の制度がベースになっていまして、それとの横並びで給付水準なり内容が決まっているということがあります。
ですので、被爆者援護との関係というのが一つのポイント、関係というか、被爆者援護を横目で見ながらこちらをどう考えるかというのが実は一つのポイントになるんだろうというふうに思います。純粋理論的には、さらに民間との役割分担をどうするかという話もあるんですが、犯罪被害の場合はなかなか民間を活用するといっても、あり得るとしてもかなり限定された範囲になるのかなというふうに思います。
あと管理運営をどうするかというのももう一つの話でありまして、ここで例えば民間に任せちゃうのかとか、そういう話もあるでしょうが、いずれにしても財源の問題とも関係しますが、できるだけ効率的な運営組織にしなければいけないということは、これまでの社会保障関係の議論からいっても、そういうことは言えるだろうというふうに思います。
非常に早口で雑駁で申しわけありませんが、以上でございます。
○國松座長 どうもありがとうございました。
ご質問があればお願いをいたします。
どうぞ、平井構成員。
○平井構成員 平井でございます。どうもありがとうございました。
今、社会保障に関してご説明があったわけでございますが、今のご説明ですと、犯罪被害者の給付に関しては社会保障制度の周辺に位置する関連諸制度として位置づけられているというように理解していいかどうかということと、もう一つは犯罪被害者の場合を考えますと、社会保障だけではなくて、例えば住宅とか教育とか労働、そういう範囲も考えていかなければならないと思うんですが、そのあたりはどのように考えていけばいいのかということを少しお話しいただければと思うんですが。
○岩村構成員 社会保障制度と犯罪被害者の経済的支援との関係をどう考えるかということですが、特に私自身は何か社会保障制度を周辺に位置づけろというあらかじめの先入観を持ってお話しししたつもりは全然ないですね。ただ、社会保障制度と別建てということになると、財政規模がものすごく大きくなる。どういう給付内容を持たせるかということによりますが、社会保障制度と別建てにして、実は社会保障制度と同じような給付内容をしようということになると、財政規模が物すごく大きくなります。ですので、基本的には社会保障制度で例えば社会保険ですと、理念的には国民皆保険で国民皆年金になっていますから、少なくともその部分については犯罪被害者の方も社会保険なりでカバーされるはずなんですね。カバーされない方はどうするかというのはまた別の問題ですが、そうだとすると、社会保険制度なり社会保障制度をベースにしながら、その上で具体的にどういうニーズがあるのかという形でもって制度設計を考えるという方が多分財源などとの関係や制度運営の規模といったことを考えたときには、現実的かなという感じは持っております。ただ、それはもちろんこの検討会で議論することでありますので、私自身が何かそうでなければいけないとか、そういう先入観を持っているわけではありません。
それから、教育なり労働の問題というのは、おっしゃるとおりなんだろうと思いますが、あるいは住宅の問題というのもあるのですが、ありていに言うと社会保険なり社会保障制度で面倒を見ている部分もないわけではないんですが、それぞれ司、司が日本の場合はございまして、労働の問題なり何なりになれば、それは一応同じ厚生労働省でも別の所管になるだろうとかということになってしまいますので、申しわけないんですが、今日の私の話の範囲からは外れてしまっているということになろうかと思います。
○平井構成員 すみません。前段のご質問は、現在の犯罪被害者の給付金がどこに位置づけられているかどうかということをお聞きしたかったんです。
○岩村構成員 それは周辺になっていると思います。
○平井構成員 ありがとうございました。
○國松座長 関連して一つ私からよろしいですか。
そうすると、今の裏のご質問になるわけですが、社会保障の一環として犯罪被害者に対する特に経済支援を考えるということ自体は、先生の頭の中ではそれでいいということですか。
○岩村構成員 少なくとも純粋理論的に考えたときには、犯罪被害者というものを社会保障制度の一般の中に取り込むのは、体系的にはちょっと難しいかなというふうに思います。
○國松座長 それは、社会保障の場合は保険料というのがまずあってということなんでしょぅか。
○岩村構成員 少なくとも社会保険に関しては、保険料がまずあってという話になりますので、そういうことになっちゃうと思うんですね。社会福祉の場合は考えられなくはないんですが、実は社会福祉の場合はどちらかというと原因じゃないんですよね。原因とあまり関係なく、今どういう状態にあるかというところに着目しますので、ちょっとこういう原因でこういう状況になったからというのを社会福祉制度の中に入れるというのは、少なくとも私の頭の中では体系的にはやや困難かなという印象を持っております。
○國松座長 どうぞ。
○大久保構成員 今説明をありがとうございました。
その論点の中で、先生は財源ですとか水準ですとか、それぞれお話しくださいましたけれども、私見で結構ですので、もう少し踏み込んで、どのようにあればよいとお考えになるのかということをお聞かせいただきますと、大変参考になります。先ほど白井構成員の方からもいろいろなご意見等もありましたが、多分そのもととなっていることの一つに実は一番はじめのときに単なる説明ではなくて、それでは今後どう考えていけばいいのかというあたりをもう少し突っ込んで、犯罪被害者の経済的支援の立場に立っての説明と言いましたが、そこら辺が少なかったように思うんですね。先生はこの論点という形で出してくださいましたが、だからこそもう少し深めたものをぜひお聞かせください。そうでないと、私たち自身が論点の整理ができませんので。
○岩村構成員 そう言われると非常に難しいんですが、財源をどうするかという話になると、まず第一に税財源を使うのか、それとも税以外に何か財源を考えるのかというのが一つの大きな分かれ目になります。税を使うという話になると、今の財政難の中でどこから絞り出すかという話で、それは結局のところ根拠としては犯罪被害者の補償ということで説明はつくと思うんですけれども、どこからどういうふうにして絞り出すのか、増税を前提とせずに一体絞り出せるのかというのは、やや悲観的かなと。
あと税以外ということになると、多分お話などもあったと思いますけれども、例えば罰金とか、そういったものを使うのかどうかとか、さらに例えば抽象的に考えて、理念的なレベルで考えると、一種の分担金みたいな形で国民の皆様から月々100円ずつ拠出してもらうとかというようなことも理念的には考えられると思います。ただ、その場合、一体徴収をどうするかとか、現実的なことを考えると、非常に困難が大きいだろうというふうには思います。そうなると、選択肢はあまり実は新しい財源調達といっても、選択肢の幅といってもそれほど実は大きくないのかなと、とにかく既存の中から絞り出すか、増税を機会にどこかから見つけてもらうか、あとは罰金なり何なりを一つの手当として考えるかとか、何かそういったものぐらいしか現実的にはないのかなという気がします。
それから、給付の内容、水準ということで考えると、社会保障制度をベースにしながら、その上積みないし横出しを考えると。ただ、これは各種の制度で起きるんですが、どうしてもちょっと冷たい言い方になりますけれども、被害者のために手厚くしたいという意識が働くんですけれども、手厚くするとさっき言ったようにモラルハザードが発生してしまう部分があって、そうだとすると例えば上積みをするとか何とかといっても、定額方式にすると。つまり使った分だけ出すのではなくて、一月この限度ですよというような、何かそういうような考え方をするのかとかというようなことがあるのかと思います。
例えば、後でお話があると思いますけれども、原爆とかその他のところでは医療手当とか医療管理手当とかというのがあるんですが、結局あれも月幾らにしているんですね。それは要するに病院に通っただけ出すということになると、過剰消費が生じるので、一定のところでとどめるという、そういう配慮があるのではないかというふうに私は推測します。
ちょっとそれ以上にあまり具体的なイメージは持ってないんですけれども、そういう感じです。
○國松座長 どうぞ。
○白井構成員 確かに、先生おっしゃるように、基本的なベースとしては被爆者援護法のシステムをほかの制度でも使っていると。私も医薬品副作用被害の制度をつくるときに、訴訟の弁護団としてこれに加わっていた経過もあるものですから、同じように被爆者援護法を参考にしてということになっていたんですけれども、財源ということの場合に、ここの周辺諸制度というのはどっちかというと先生がおっしゃりますように、社会保障というよりも損害補償といいますか、そういう性格的な側面が強いわけですよね。
それで、財源といった場合に必ず税金でいくのか、あるいは罰金とか、そのほかのあれでいくのかということなんですが、それにしても金額がどれくらいになるのかというのが非常に大きな問題になりますよね。
それで、私の方で以前警察の方から犯罪の統計資料などをいただいて、大体自賠責並みの給付をした場合に、犯罪被害者の方で年間どれくらいのお金がかかるんだろうかということを試算したこともあるんですね。試算の仕方によって、いろいろ変わってくるんですけれども、いろいろ加害者側からもらうお金もそういう示談が成立するケースもあるものですから、そういうものも除きますと、うまくいけば100億ぐらいから150億ぐらい、一番多くなったとしても300億ぐらいじゃないかというふうな試算もしたことがあるんですけれども、これは先生にうかがいたいんですけれども、大体およそどれくらいといいますか、これだけ多いとちょっと難しいとかというような……。
○岩村構成員 すみません。私はちょっとその辺になると全然知識がないので、具体的なお答えは全くできません。ただ、一つ気をつけなければいけないのは、制度ができますと、その後の要するに周知効果というのがあって、当初見込んでいたより大体財政規模は膨らむんですね。当初は皆さん制度を知らないので、活用しない部分があるんですが、制度があるということになって、それによって要するに受給者が掘り起こされる効果というのがどうしてもある。介護保険を新しくつくった結果として、例えばそういう状況になったり、それから前に説明があった支援費という障害者の制度も全く同じことになったんですね。新しい制度ができたことによって、今まで受けていなかった、そういうことを知らなかった人たちが掘り起こされて、受給者が増えちゃって財政規模が膨らんでしまう。特に支援費の場合、非常に危機的な状況になって、厚生労働省の予算がなくなっちゃって大変な騒ぎになったという、そういう経験も実際にあります。ですから、ちょっと財政規模がどれくらいになるかということは私は全く数字を持ち合わせてないんですが、当初の見込みよりはつくれば必ず膨れるということは考える必要があると思いますし、特に長期給付というのは財政の安定性を損なう可能性というのはかなり高いということも考えておく必要があると思います。
○國松座長 ほかによろしゅうございましょうか。
それでは、また岩村先生には今日お話しいただきましたことを我々の議論の過程でまたいろいろとご意見としてお伺いをしてまいりたいと思います。
本日はどうもありがとうございました。
それでは、次に岩村先生の整理によれば周辺に位置する関連諸制度ということになるわけでありますが、参考となる我が国の社会保障・福祉制度についてのご説明をいただきたいと思います。
まず、公害健康被害の補償等につきまして、環境省総合環境政策局環境保健部企画課の俵木保健業務室長にご説明をお願いいたします。
○環境省総合環境政策局環境保健部企画課保健業務室長 環境省の環境保健部の俵木と申します。よろしくお願いいたします。座ってご説明させていただきます。
本日は先生方のお手元に資料をお配りいただいている中の資料の6でございます。その資料をごらんいただきながら、話を聞いていただければと思います。
今、岩村先生からお話がございましたように、この公害健康被害の補償制度はいわゆる周辺諸制度と言われるものでございます。背景のところに書いてございますが、この法律のそもそもの性格をご理解いただければと思いますが、思い返していただきますと、戦争が終わりまして日本の復興が始まって、日本の大気汚染の状況としては戦後すぐから悪化が見られるようになって、昭和40年代をピークといたしまして大気の汚染が非常にひどくなりました。最も有名な四日市の公害裁判が昭和47年7月でございます。判決が出まして、被告6社に対しまして共同責任で大気汚染による健康被害を原告に及ぼしたということで判決が行われました。
その前に、大気汚染による健康被害ということで、昭和44年には医療費の自己負担分をこういう被害者の負担に任せるのはお気の毒であるということから、国と事業者がいわゆるこれは寄附というような形で、責任問題ではなくて出し合って、旧救済法と今では言われております法律が昭和44年にできておりましたけれども、47年7月に今申しましたように四日市の公害裁判の判決がございまして、それを受けて48年にこの公害健康被害補償法が制定されたということでございます。
この背景のところにございますように、汚染原因者の負担を前提とした民事責任を踏まえた制度というのがこの制度の基本でございます。したがって、社会保障制度というものではなくて、いわゆる基本的には大気汚染の原因物質を排出した企業がその一人一人の健康被害者に対して加害者と被害者という関係から、損害賠償をするというのが基本でございまして、民民の訴訟でやっていただくべきものでございますが、当時その被害者の数がかなり多いということと、それから加害者といいますか、原因者、原因物質を排出している企業がこの四日市裁判でも被告6社全部の共同責任とされましたように、特定が非常に難しい。どの工場のガスがどの人の原因なのかということは、とても説明のしようもないということから、これを民事の裁判に任せていたのでは、一人一人の被害者がいつになったら救済されるかわからないということから、世界的に見ても非常に珍しいといいますか、ユニークな制度でございますけれども、民事訴訟にかわる制度的な損害賠償の方法ということで打ち立てられた制度でございます。そういった性格をまずご理解をいただきたいと思います。
次の補償の対象者でございますが、今ご説明しましたようにこの法律自体は四日市の公害裁判に非常に強い影響を受けて成立した裁判でございまして、地域を第1種地域と第2種地域というふうに2つに分けて公害の類型をつくっております。第1種地域はまさに四日市に代表されます著しい大気汚染のあった地域でございまして、当時順に指定されていきまして41地域が指定されました。
そのほかに第2種の地域ということで、原因物質が明確になっている水俣病であるとか、イタイイタイ病であるとか、特定の原因企業がおりまして、そこから出てくる特定の原因物質で環境が汚染され、それが健康被害を起こしているという類型については、第2種地域として補償が組まれる形になっています。いずれにいたしましても、第1種地域、第2種地域、地域が指定されまして、その地域に一定期間居住して暴露をしたという暴露の蓋然性を持っている方で、一定の範囲の疾病にかかった方を補償の対象としておりまして、どの方が補償の対象になるかは各自治体が認定をするという法律的な枠組みになっております。
補償給付の内容でございますけれども、7種の給付の中身がございまして、療養の給付、療養費、これはまさに医療でございまして、医療を現物支給しております。公害手帳というものを医療機関、公害医療機関と呼ばれますが、基本的には健保の医療機関に受診したときに公害手帳を示せば、自己負担がなく、全額この制度が負担をして医療が現物で支給されるという制度でございます。そのほかに障害補償費、遺族補償費、遺族補償一時金、それから児童補償手当、療養手当、葬祭料というものがございます。これはその次にまたご説明させていただきます。
補償給付の財源でございますが、法律のそもそもの発端になりました第1種地域、大気汚染の補償につきましては、汚染原因者から負荷量賦課金というものと自動車重量税から引き当てたものが財源として使われておりまして、すべてが国の税金は入っていないという財源でございます。
それから、第2種地域につきましては、特定の原因者、特定の企業がわかっておりますので、その企業からの特定賦課金で財源を賄うということで、こちらにも税金は入っておりません。ただ、この第2種地域につきましては、括弧にございますように、水俣病及びイタイイタイ病については汚染原因企業と患者団体との間に個別に補償協定ができ上がっておりまして、企業から直接給付が患者さんに対して行われております。したがって、法に基づいて患者さんが水俣病またはイタイイタイ病ということで認定されれば、その後は企業とダイレクトに給付が行われているという形になっておりまして、法律的には原因者が直接給付する場合には、この制度による国を通したといいますか、制度を通した給付については免ぜられる形に構成されております。
その次のページでございますが、今の給付の関係で、特に大気汚染の関係について、旧第1種地域というふうに頭の一番上のところに書いてございますが、そこの財源についてちょっとフローでご説明させていただきます。
この図の右半分は公害健康被害予防事業とか、ちょっと補償制度と違う事業でございますので、左半分のフローを見ていただければと思います。
一番下に汚染原因者が書かれておりますが、ばい煙発生施設の設置者、これが現在8,500施設全国にございますが、いわゆる煙を出す煙突を持って設置している事業者から、汚染負担料賦課金というものを徴収いたします。これは毎年、毎年、前年度排出したSOXの量に応じまして割当金が決まりまして、それを徴収させていただいております。
それから、自動車の排気ガスがが大気汚染に対して寄与している分ということで、自動車が原因者と位置づけて、その負担をいただいているわけですけれども、これは自動車の所有者お一人、お一人から取る徴収の方法論といたしまして、なかなかないので、自動車重量税の中から引き当てをさせていただいております。国が自動車重量税の中から交付金としてお金を出しております。
ここの真ん中にございますように、独立行政法人の環境再生保全機構というところがばい煙発生者から毎年、毎年お金を徴収し、また自動車重量税を国から交付金として受け、その財源で一番左の上のところにございますように補償給付、先ほどの7つの補償給付でございますが、全額汚染原因者が負担して、年間で約600億弱が給付されているということでございます。
現在の被認定者でございますが、一番上にありますように5万人でございます。ちょっと話をはしょってしまいましたけれども、この第1種地域、大気汚染の健康被害があった地域として指定された41地域がございますけれども、これは昭和63年に指定が解除されておりまして、現在では指定地域はございません。そのために旧第1種地域というふうに旧となっていますけれども、それはなぜかといいますと、昭和49年にこの法律が施行されて、認定者がどんどん、どんどん認定されていったわけですけれども、昭和40年代前半をピークとする日本の大気汚染の状況というのは、昭和40年代後半から50年代にかけて、急激にばい煙の排出のいろいろな抑制策といいますか、防止策がとられていったことで、急激に改善をいたしましたが、被認定者、ぜんそくの発症者はどんどん、どんどん増えるような状況にありまして、昭和63年に向けて約11万人の方が最終的には認定を受けました。
ただ、大気汚染の状況等を勘案すると、大気汚染がぜんそくの主たる発生原因になっているとは考えられない。合理的に説明することが難しい状況にあるということで、昭和63年に指定地域という考え方が解除されまして、それ以降新たな認定患者は発生しておりません。したがって、当時ピークとして11万人いらっしゃいました被認定者の方が引き続き給付を受けておりますが、徐々に高齢化も進んで、お亡くなりになる方も中にはいらっしゃいますし、また若い方では病気が完回して制度から離脱していく方もいらっしゃいまして、現在では5万人になっているということでございます。
その次の3ページに給付の内容についてご説明が書いておりますけれども、先ほど7種類の補償給付を行っているということでご説明しましたとおり、7つにつきましてどういう支給内容なのかを記載をしております。その後、4ページ、5ページのところに実際の給付額がどの程度であるのかということがごらんいただけるように額がちょっと見にくいかもしれませんが、並べてございます。
1つ目の療養の給付、3ページ目の表の一番上でございますが、療養の給付、療養費につきましては、先ほどご説明しましたとおり、ぜんそくであるとか慢性気管支炎といった指定疾病に係る医療の部分については、全額を現物支給するものでございます。基本的には健康保険の診療報酬の算定方法に準じておりまして、行われた医療に対する医療費を負担するという形になっております。
それから、2番目の障害補償費でございますが、失われた労働能力に対する逸失利益相当分ということで、それにどのパーセントが慰謝料なのかというのは難しいのでございますが、考え方としては慰謝料的要素を加味したものということで給付が行われておりまして、全労働者の平均賃金の80%相当に該当する額が月額として定められ、それが給付されております。
4ページをごらんいただきますと、一番上の表にございますが、例えば45歳から49歳の男性でございますと、35万2,800円というのが給付月額でございます。ただし、この下に米印で注がありますように、障害補償費は障害の程度に応じまして支給率を乗じておりまして、特級のようなほとんど寝たきりの場合には、この全額100%が支給されますが、2級、3級ということで障害の程度が軽くなっていきますと、それに応じて給付の額が変わってまいります。現在の5万人の被認定者の多くは3級でございまして、この額の約3割が給付されている状況でございます。また、特級には注にございますように、介護加算ということで4万6,500円が給付される形でございます。
それから、遺族補償費でございますが、被認定者がお亡くなりになった場合に生計を維持していたご家族がお困りになるということで、生計を維持していた遺族に対して遺族補償費が支払われることになっておりまして、全労働者の平均賃金の70%レベルを給付水準としておりまして、被認定者の死亡後10年間毎月支払われる形になります。その額が4ページの先ほどの補償給付費の横でございますが、年齢、性別に規定されております。これは毎年、毎年改定を行う形になっております。
また、4番目の遺族補償一時金でございますが、これは生計を維持していた遺族がいない場合に、一時金としてその他生計を維持していないけれども、子供であるとか孫であるとか、そういった一定の範囲の方が法律で規定されておりますが、その方に対して36カ月分の一時金が支給されます。
それから、児童補償手当につきましては、法律制定当初設定されましたが、現在では新たな認定患者さんの認定がございませんので、15歳未満の児童は既に存在しない制度になっておりまして、同手当の額は現在では定められておりません。
それから、6番目の療養手当でございますが、これは入通院に要する交通費等の諸雑費ということで、額的には4ページにございますように、入院の日数、または通院の日数に応じまして2万3,000円から3万5,900円が支給されております。これが月額でございます。
それから、最後の葬祭料でございますが、不幸にしてお亡くなりになった場合に葬祭を行う方に対して給付されておりまして、葬祭料は4ページにありますように66万4,000円でございます。
他制度との併給の問題についてご説明をというふうに言われておりますが、他の制度との併給については、基本的にはこれは損害賠償の制度でございますので、基本的にこちら側が全額お出しするという形になっておりますので、例えば健康保険で支払われた分がもしあったとすれば、後から健保からの求償があってこちらからお支払いする。また、こちらが前もって全額10割をお支払いするという形で、基本的にはこちらが求償を受けて払うか、事前にお払いするかということで10割の負担になっております。
それから、支給の実績でございますが、6ページ、一番最後のページでございますけれども、先ほど総額はご説明しましたように17年度で約600億弱でございますが、それぞれ医療費、障害補償費、遺族補償費等々、このような額が給付されているということでございます。
簡単でございますが、以上でございます。
○國松座長 どうもありがとうございました。
ご質問がありましたらお願いをいたします。
どうぞ。
○平井構成員 1点お伺いしたいんですが。障害補償費で特級と1級、2級、3級と区分されておりますね。労災の基準からいきますと生活能力不能というのが労災の1級、2級だと思いますので、労災の1級、2級が特級、1級に該当するのではないかと思ったんですが。要するにこういう基準をお決めになった根拠といいますか。どういう経緯で特級から4級までになさったのかという理由を知りたかったんですが。
○環境省総合環境政策局環境保健部企画課保健業務室長 3級までの4分類にしたのはなぜかということでしょうか。
○平井構成員 もっと言えば5級は対象に何故ならなかったのか。この2級、3級はどれだけかは別にして労働が可能ということになっておりますね。ですから、労働不能といいますと、労災では1級、2級、ここで言うと特級と1級だと思うんですけれども、労災で言う3級、4級まで該当していると思われますので、そのあたりどういう議論でこういう基準になったのかということが知りたかったんです。
○環境省総合環境政策局環境保健部企画課保健業務室長 ちょっと確認をしないと直ちにあれですけれども、4つに分けたのは当時の既存の制度等との並びも考えながら、恐らく4分類にしたのではないかということと、あとは大気汚染のぜんそくであるとかの症状の状態のレベルとしてどこまで細かく分類ができるかということで、4つ程度の分類にしたのではないかと思いますけれども、なぜ4つで5つでないのかについては、ちょっとここで申しわけございませんけれども、明確にお答えすることが難しいんですけれども、もし必要であれば確認をいたしますけれども。
○國松座長 それは今ご質問の趣旨はおわかりでございますね。要するに、分類の仕方がなぜ4分類なのかということなんですけれども、それは何かお調べになってお答えできますか。
○環境省総合環境政策局環境保健部企画課保健業務室長 ちょっと帰って確認してみないと、なぜ4分類なのかという、5分類とか……。
○國松座長 後ほどお調べいただいて、事務局が仲介をして構成員の方にやっていただけますか。
大久保構成員。
○大久保構成員 こちらの障害補償標準給付基礎額を見てみますと、あまりにも男性と女性との差が大きいわけなんですね。働き手だったか、そうでないのかというのであれば年齢的なものではまだ納得はできなくてもそうかなと思いますが、学生であってなおかつ男女差ができるというのは、今の時代からいくとあまり時代に即してはいないと思いますが、そのことが問題になって、それを訂正しようというような動きはあるのでしょうか。そういう動きがないと、これから先犯罪被害者の場合も男性だから、女性だからということで初めから差をつけられるということは、どう考えても理不尽だと思うのですが、いかがでしょう。
○環境省総合環境政策局環境保健部企画課保健業務室長 個々の男女差の問題につきましては、先ほどご説明しましたように基本的に労働者の平均賃金の何割ということで、失われた労働に対する補てんということで制度ができ上がっているので、年齢、性別の労働者の労働賃金の実態を反映した形になっておりまして、徐々に労働者の賃金自体も男女差がなくなる傾向にはあるんですけれども、確かにごらんいただいたように、まだ歴然とした差があるというのは事実でございます。
ただ、損害賠償の世界でも私が聞いている範囲では、男性と女性の損害額については徐々に歩み寄ってきているようにお聞きしておりますけれども、基本的にはその方が得られた利益に対して損害を賠償するという性格のために、労働者の平均賃金を準用するので、結果的にこういうふうになっているということだというふうにご理解いただければと思います。
○國松座長 大久保さん、納得はできないでしょうけれども。
○大久保構成員 全然納得はしていません。おかしいと思っています。でも、今はそうなっているということで。
○國松座長 私どもは犯罪被害者に対する補償というようなことはこれからここで制度設計の話をするわけでありますが、そのときにはこういう男女差ができないような方向で制度設計をするということだと思います。そもそも話の根源が違いますので、そこのところは違うと思いますけれども、よろしゅうございますか。
○大久保構成員 ほかの制度も同じような歩みがなければ、例えば犯罪被害者だけなぜというようになると足を引っ張ることになるかと思いまして、ちょっと確認させていただいただけでして、これ以上全然論議する気持ちも全くありませんので。
○國松座長 ほかによろしゅうございますか。
それでは、どうもありがとうございました。
それでは、引き続きまして原子爆弾被爆者に対する援護につきまして、厚生労働省健康局、石井総務課長にご説明をお願いいたします。
○厚生労働省健康局総務課長 厚生労働省健康局総務課長の石井でございます。どうかよろしくお願い申し上げます。
資料5の後に厚生労働省の資料が2種類ございますが、そのうちの一つが今、座長から触れていただきました「原子爆弾被爆者に対する援護について」という横に長く置いていただく資料でございます。
それでは、早速内容の方に触れさせていただきます。
まず、1ページでこれまでの沿革をご紹介をしております。原子爆弾被爆者の方々へのまず医療の法律が昭和32年に制定されております。白丸のところにございますように、法律に基づく給付としては、健康診断を実施をすると。それから、後ほど少し詳細に述べますが、医療を給付をするというのが主な内容でございます。その後、昭和34年に法律の名称といたしましては、被爆者に対する特別措置に関する法律でございますが、内容は被爆者の方々への個人給付、現金給付でございます。各種手当を支給するという法律が制定されております。
その後、平成6年、この年は戦後50年の節目を迎えるということで、与党におかれましても戦後50年問題に関するプロジェクトチームというのが設けられまして、原爆被爆者のテーマ以外にもさまざまな戦後50年という節目を迎えるに当たっての検討が行われた年でございますが、その一つの検討の結論として、原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律というものが制定されております。白丸のところにございますように、従来の2法、先ほどご紹介しました昭和32年の医療の法律と昭和43年の手当の支給法、これらを事実上統合して、形の上では新法を制定をしたということになっております。したがいまして、一番下の行にありますように、この平成6年法の給付の内容は従来2法を引き継いだものになっておると、こういうことでございます。
2ページでございます。
今、ご紹介申し上げました平成6年法、これは現行法でございますが、法律に前文がついてございます。ここにこの法律の趣旨というものがあらわされておりますので、ご報告申し上げますが、特にこの2ページ、下の方にアンダーラインを引いてございます。「国の責任において」、述語がちょっと飛んでおりまして、2行下の「被爆者に対する保健、医療及び福祉にわたる総合的な援護対策を講じ」、国の責任において被爆者に対する保健、医療及び福祉にわたる総合的な援護対策を講じることを目的としてこの法律が制定されたという内容が書いてございます。
今はしょりましたけれども、なぜ被爆者の方々へのこういう総合的な援護対策を講じるかという着眼点が「国の責任おいて」のすぐ後のフレーズでございますけれども、「原子爆弾の投下の結果として生じた放射能に起因する健康被害が他の戦争被害とは異なる特殊の被害であることにかんがみ」と、若干補足をいたしますと、放射能に起因する健康被害といいますのが被爆をした時点からかなりの年月を経た後に健康被害という形であらわれてくると、こういう特徴がございますので、そういう特殊の被害であることに着目をして、保健、医療及び福祉にわたる総合的な援護対策を講じると、こういう考え方がここに明記をされておるわけでございます。
それで、この現行法の概要でございます。
まず、3ページでございますけれども、法律上各都道府県知事がこの方は一定の要件に該当するという事実を確認した後に、被爆者健康手帳というものを交付することになってございます。今、知事がと申し上げましたけれども、被爆地であります広島市と長崎市にお住まいの方々については、知事にかわって広島市長、長崎市長が事務を行うという仕組みでございますが、いずれにしましても知事または市長が一定の要件に該当する方に手帳を交付をすると。法律上はこの手帳の交付をお受けになった方が被爆者ということで定義をされておりまして、この後申し述べますいろいろな対策の対象になると、こういう仕組みでございます。
今、一定の事実が確認された方と申し上げましたが、その一定の事実がこの3ページの点線の中でございます。(1)が直爆と言ったりしておりますけれども、まさに昭和20年8月6日、または9日、原爆が投下されたときに当時の広島市、あるいは長崎市という一定の地域にいらっしゃった方、それから(2)が入市、市に入るという字を書きまして「にゅうし」と読んだりしておりますが、原爆投下時にはおられなかったんですが、その後例えば肉親を探しに爆心地に入られた方々など、いろいろなご事情で原爆投下後2週間以内に爆心地またはその近隣の地域に入られた方、これが(2)でございます。
それから、(3)「原爆が投下された際、又は、その後に、身体に放射能の影響を受けるような事情の下にあった方」ということで、いろいろなご事情が考えられるわけですが、被爆者の方々の救護のためにいろいろな関係者、医療関係者などが入られたといったようなことが代表例でございますけれども、そういう方々、それから最後(4)がそれぞれ(1)から(3)に該当する方々の胎児でいらっしゃった方、お母さんのお腹にその時点でいらっしゃったという方々、これが(4)でございます。
こういう(1)から(4)のいずれかに該当するということを知事、あるいは広島市、長崎市の市長の方で該当した方に手帳を交付をしまして、4ページでありますけれども、法律に基づきます各種の施策を実施をすると、こういう仕組みでございます。
4ページが施策の概要でございます。
先ほど昭和32年の法律で健康診断ということを少し触れましたが、現行法でもまず最初に出てくるのは健康診断でございます。先ほど触れましたように、原爆、放射能に被爆なさった方、健康被害というものがいつあらわれてくるかわからないという意味で、健康管理をしていただけるようにという趣旨でありますが、年2回、各都道府県の方で被爆者の方々への健康診断を実施をしております。ご希望があればもう2回まで実施をするという仕組みにしてございます。
それから、(2)が医療の給付、これには(1)認定疾病医療、(2)一般疾病医療と法律上2種類ございますが、違いは(1)の方が括弧の中に「原爆症認定疾病について」と書いておりますが、これはある被爆者の方がいらっしゃって、例えば今がんを煩っておられるといたしますと、その方のがんが原爆投下による放射能に起因する、原爆投下による放射能が原因でそのがんになられたということが診断がついた方の場合に、それは原爆症と呼んでおるわけでございますが、そういう原爆との因果関係が認められる病気について医療給付をするというのが(1)でございます。これは全額国費で、10分の10国費で公費負担医療の(1)として実施をしてございます。
それから、(2)の方は括弧書きの中に認定疾病以外、原爆症以外ということで書いてございます。これはある被爆者の方がいらっしゃって、幾つか病気を抱えておられる場合で、そのご病気が原爆放射能が原因だと認められなくても、被爆者の方がかかっておられる病気の治療費については無料にすると、こういうことでございまして、日本は国民皆保険でございますから、普通は医療保険の方で7割給付というものがございます。
したがいまして、被爆者の方が自己負担をなさるのは普通3割でございますから、そういう代表例で申し上げますと、窓口で3割分、患者さんは医療機関に払って帰ってくるわけですが、その3割の部分を国費で肩がわりをする。これが(2)でございます。したがいまして、結論から言いますと、被爆者の方々は原則医療は無料でございます。ごく例外的な遺伝性の精神疾患とか、20年8月の原爆とはおよそ関係があり得ないというものは別なのでございますが、それ以外ほとんどすべての疾患は医療費の負担は被爆者の方々についてはございません。
それから、(3)でございます。これはまた詳細に次のページで出てまいりますが、手当の支給ということで(1)をごらんいただきますと、一定の要件を満たす方々に幾つかの種類の手当てをお出ししております。代表例を書いてございますが、健康管理手当というものが実は受給者が一番多いわけでございます。月額3万3,800円、被爆者の方々は大体26万人から27万人いらっしゃいますので、この健康管理手当を受けていらっしゃる方は被爆者のうち約86%、9割近い方々がこの手当を現に受けていらっしゃいます。
それから、(2)に書いてございますのが葬祭料でございます。
それから、(4)福祉事業ということで、被爆者の方々も高齢化していらっしゃいますので、ご自宅なりで自立した生活をお送りになるのが難しい場合に、入所していただけるホームということで、広島、長崎の地に原爆養護ホームを6カ所つくっております。
それから、(5)でございますが、追悼平和祈念館というようなものの運営をしておると、これが施策の概要でございます。
先ほど手当が次のページに詳細にと申し上げましたので、最後に5ページを申し上げたいと思います。
上から4段目がさっき代表例、86%の被爆者の方々が受けていらっしゃると申し上げました健康管理手当であります。支給要件、真ん中の欄でございますが、循環器の機能障害、運動器の機能障害等々、非常に幅広い障害を掲げております。11種類挙げてございますが、大体考えられるものすべて挙げておりまして、そういう障害のどれかを伴うご病気にかかっていらっしゃる被爆者の方には月々3万3,800円をお支払いするということであります。その結果として9割近い方が現在これを受けておられるということであります。
それから、先ほど原爆症ということで認定疾病医療、その被爆者の方のご病気が原爆放射能に原因があると明らかに認められる場合には、全額国費の医療をしておると申し上げましたが、そういう方々には一番上なのでありますが、医療特別手当ということで、一番高額な手当でございますが、月額13万7,430円の手当をお出しをすると、これは支給要件を念のために繰り返しますと、原子爆弾の放射線が原因で病気やけがの状態にありますよということを厚生労働大臣が認定をする仕組みがございまして、その認定をお受けになった方でまだ治っていない方でございます。
それから、特別手当、上から2つ目はこのご病気が治った方、原因が原爆にあるということを認定を受けたんだけれども、幸いその病気が治った方にお出しするのが特別手当、それから原爆に起因する病気の中で、一つ小頭症というのがございますが、小頭症を患っていらっしゃる方にお出しするのが3つ目の手当です。
それから、一つ飛ばしまして保健手当、これは支給要件の欄に2キロ以内という文字をごらんいただけると思いますが、比較的近距離で被爆なさった方にお出しをする手当であります。基本額は1万6,950円でございますが、身障手帳の3級程度以上の障害にある方などについては、高い額の保健手当という2段構成でございます。
それから、介護手当、これは支給要件の欄にございますが、お金を払って身の回りの世話をする方を雇って介護を受けた場合にお出しをする手当でございます。
それから、家族介護手当はお金を出さないで、普通はご家族に頼む場合には費用を出しませんので、身の回りの世話を受けている方の場合にお出しをする手当、それから葬祭料は被爆者がお亡くなりになったときの葬祭料ということでございます。
他の制度との併給関係につきましては、今日ご説明申し上げたことからもご想像いただけると思いますが、これら各種手当、特別の要因に基づくものでございますので、特に他制度との併給の調整などはいたしておりません。
以上、ご説明でございました。
○國松座長 どうもありがとうございました。
ご質問があればお願いをいたします。
どうぞ、佐々木構成員。
○佐々木構成員 国が医療の給付をして、それから都道府県は医療特別手当、特別手当を出すということで、医療は現物支給ということで、その上に現金が支給されるというふうに伺うわけですね。
それで、特別手当なんですけれども、現在はその病気やけがが治っているのになおかつ手当が払われるという、その理由というか、その根拠づけのようなものはどういうところにあるんでしょうか。
○厚生労働省健康局総務課長 医療特別手当が原爆に原因があると認定された病気が治った方なのに手当をお支払いする趣旨ということでございますが、これは一旦治ったという方であっても、再発というのが懸念をされないわけではないと、ここが微妙なんですけれども、そういう不安があるということから、健康管理に留意をなさるであろうと、健康管理に留意なさる上では、いろいろ費用といいますか、出費も伴うであろうと、こんな考え方からお出しをしておるわけでございます。
○國松座長 どうぞ。
○飛鳥井構成員 その下の質問ですけれども、健康管理手当で直接放射能が原因と認定されないものについても手当、その他補償されているということで、これについてはどのようにお考えですか。
○厚生労働省健康局総務課長 これも実は特別手当と似ておるわけでありますが、原子爆弾が投下されたときに一定の状態にあった方ということで、被爆者手帳をお受けの方については、日ごろから日常生活の上で十分健康上の注意を払っていただく必要があるだろうと、そういう健康上の配慮を日常生活の配慮を払う上で必要な出費に充てていただけるようにと、こういう趣旨での健康管理手当の支給となっております。
○國松座長 どうぞ。
○大久保構成員 こちらの方で延べ件数でさまざまな手当が乗せられているということは、1人で幾つも併給することが可能だということだと思いますが、一番併給をしている方ですと幾つぐらいの手当を受けていらっしゃるのでしょうか。また、それはその必要があれば幾つでも併給が可能ということでしょうか。
○厚生労働省健康局総務課長 5ページをごらんになっていただきますと、先ほどは他制度との併給は特に調整していないと申し上げたわけですが、この5ページの中ではどうなっておるかということを申し上げたいと思います。
保健手当までは原則いずれか一つであります。ですから、医療特別手当ももらいつつ健康管理手当をもらうということは、これはありません。上から5つ目までをもらっていらっしゃる方が介護手当の要件を満たせば、例えば健康管理手当をもらっている方がお金を出して身の回りの世話をする方を雇って出費があったという場合には、健康管理手当以外に介護手当が支給されるということであります。ですから、上から5つ目までと介護手当または家族介護手当の組み合わせがあり得ると。葬祭料はお亡くなりになった方ですので、また別格と、こういう構図でございます。
それから、一言補足をさせていただきます。
先ほど上から5つ目までは原則併給がないと、どれか一つだと申し上げた原則の意味なのでありますけれども、原子爆弾小頭症手当だけは医療特別手当との併給ができるというのが法律の規定になってございます。
補足でございました。
○國松座長 どのあれがですか、小頭症、わかりました。
○厚生労働省健康局総務課長 今申し上げましたのは、一番上と3つ目の併給は例外的にございます。
○國松座長 ほかに何かございますか。 どうぞ。
○平井構成員 外国人の取り扱いと日本人で外国に住居を移された方はどういう取り扱いになっていますか。
○厚生労働省健康局総務課長 まず、国籍が日本国籍でいらっしゃらない方についてのお尋ねがございました。
この被爆者援護法自体は国籍要件がございませんので、日本国籍の方であれ、外国籍の方であれ、同じように適用されます。したがいまして、8月6日に広島におられて、その事実が確認できたよという方であれば、例えば韓国籍の方でもこの法律のいろいろな援護施策の対象になると、こういうことでございます。
それから、2点目のお尋ねが日本国籍の方がお住まいを外国に移されると、こういう場合のお尋ねだと思います。
お答えは大きく2つに分かれるわけでありますけれども、まず1つ目は手当、現金給付でございます。これは実は平成15年の2月までは出国なさることによって、手当受給権は失権すると、権利を失うという取り扱いをしておりましたが、15年3月以降それを改めまして、国内で受給権が発生した方が出国したからといって失権することはないと、引き続き要件を満たしていらっしゃる限りは支給を続けるという扱いにしてございます。
○國松座長 よろしゅうございますか。
どうもありがとうございました。
それでは、続きまして医療品副作用被害救済制度につきまして、厚生労働省医薬食品局総務課の森医薬品副作用被害対策室長にご説明をお尋ねいたします。
○厚生労働省医薬品副作用被害対策室長 失礼します。医薬品副作用対策室の森でございます。座って説明させていただきます。
横長の資料でございます。
めくっていただきまして、医薬品副作用被害救済制度の概要でございます。
ライフサイクルの中でさまざまなリスクがあるわけでございますが、本制度につきましてはいわゆる薬害というものに注目した制度でございまして、まず医薬品でございますけれども、これは医薬品は当然治療等に使うものでございますが、諸刃の刃でございまして、そもそも人体に対する異物でございますので、アナフィラキシー性ショックで亡くなってしまう。もしくは一般の医薬品でございますが、SJSという形で失明してしまう場合もあるということでございまして、有効性と副作用は不可分の関係にあるということでございます。他方、生命や健康を救うはずの医薬品により健康を害したということは、これは被害者の方に関しましては非常に悲痛なことでございます。
ということでございまして、医薬品の使用に伴い生ずる副作用被害につきまして、民事責任と切り離しまして、医薬品の製造販売業者の社会的責任、まさに生命にかかわる物質を扱うという、そういう社会的責任に基づく共同事業として迅速かつ簡便な救済給付を行うものとしまして成り立っている制度でございます。
そして、この制度でございますが、後ほども申し上げますが、給付費はすべて医薬品製造販売業者からの拠出金になっております。今後発生するかもしれない副作用被害を救済するための拠出金により給付を行っていく一種の保険システムのような形になっております。めくっていただきまして、この制度ができました沿革、経緯について申し上げたいと思います。
2ページでございますが、これは我が国におきましてサリドマイド、スモンという悲惨な医薬品の副作用被害がございました。このような医薬品の副作用による重大な健康被害の発生を教訓としまして、まさに共同事業を国が認可する認可法人という形で医薬品副作用被害救済基金ができまして、特殊法人改革によりまして、今は独立行政法人で実施しておりますけれども、そのような制度が昭和55年5月1日以降に成立したところでございます。
ちなみに、この制度をつくるときには西ドイツとかスウェーデンとかの制度を参照いたしましたが、現在でもこの制度につきましては世界でもかなりユニークな制度だと考えております。
さらには、平成16年4月1日より、これは生物由来製品、具体的に言いますと輸血用血液製剤等でございますが、このようなものを介した感染等につきましても、別途生物由来の製品に係るところの被害救済制度をつくったところでございます。
その下の方に給付の種類がございます。3つ四角がございますが、医療の関係、障害の関係、死亡の関係ということでございまして、医療のところでございますが、入院相当の治療に要するところの医療費もしくはその医療を受けている間の医療手当、障害の場合につきましては、障害が残っている場合の障害年金、障害児養育年金、死亡のときには遺族年金、遺族一時金等でございまして、7ページの方にまた詳細は資料がございますけれども、7種類の給付を行っておるところでございます。
めくりまして、3ページの方で救済対象についてまとめてございます。
これは一種の保険制度でございますので、昭和55年5月1日以降に適正な目的で適正に使用されたにもかかわらず発生した副作用被害を対象とするものでございまして、(1)から(5)までが主な支給要件でございます。
まず、これは民事責任の追及が困難な場合を前提ということでございまして、明らかにこれは民事上の損害賠償の責任を有する者がいらっしゃる場合には、これは対象外だということでございます。
その次には適正に使用された、例えば添付文書の使用上の注意の記載にもかかわらず、複数の薬を飲み合わせしてしまったりとか、全く違うような目的または用法で使った場合におきましては、これはこの制度の対象とはならない。
また、副作用被害に対する救済制度ということでございまして、感染等被害につきましては、先ほど申し上げた生物由来製品感染等被害救済制度におきまして、これは救済対象とされたのでございますけれども、医薬品の薬理作用によって生ずる有害反応である副作用が本制度では対象であると。
さらに、社会的な責任に基づく制度でございますので、入院相当の治療が必要な被害等重い副作用につきまして対象としております。
また、我が国は医薬品の副作用被害につきましては、かなり広い範囲で救済対象としているわけでございますが、受忍が適当であると考えられる副作用、例えばがんの場合等に用います抗がん剤につきましては、一般的に言いますと骨髄抑制等、ひどい副作用があらかじめ前提とされていますので、こういう受忍を求めることが適当であると考えられる副作用につきましては、これは対象外としております。
4ページでございますが、財源でございます。
これは給付に要する費用は当初申し上げましたとおり、医薬品の製造販売業者からの拠出金でございます。まさに生命関連物質を取り扱う医薬品メーカーの共同事業ということでございまして、これは医薬品を出荷していただく方につきましては、一定割合という形で一般拠出金を拠出していただく。ただ、実際に副作用被害の原因になった医薬品に関しましては、特に給付現価の4分の1を徴収しまして、ある意味メーカー間の均衡を保っておるということでございます。 国は何をやっているかといいますと、事務費の2分の1を補助しております。逆に言いますと、事務費の2分の1はメーカーからの拠出金を財源として実施しております。
他の給付との併給関係でございますが、原則として他の制度との給付の併給調整は行っていません。つまり公的年金で障害2級で受給されている場合、これは障害認定基準は同じなんですけれども、いわゆる薬害によるところの障害認定ということで障害年金が出ましたら、全くそのまま医薬品副作用被害救済制度からも年金が給付されるという形になっております。
5ページ目が支給実績でございます。
この制度につきましては、るる新聞もしくは政府広報、雑誌等で広報しておりまして、その広報の成果ということもございまして、近年請求件数、支給件数等上がっておりまして、平成17年度の実績でございますけれども、支給件数ベースで836件、支給額で言いますと15億円程度の事業となっております。だんだんと支給額は増加してきておるということでございます。
この制度は先程申しましたように、メーカーからの拠出金で成り立っているということでございまして、では厚生労働省は何をやっているかといいますと、次の6ページでございますが、医薬品副作用被害救済制度の仕組みというところでございます。
まず、この被害を受けた方につきましては、独立行政法人医薬品医療機器総合機構に給付申請いただくのですが、この機構で医学的、薬学的事項の判定は行いません。むしろ厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴きまして、いわば我が国の医学、薬学の最高権威としての立場から、中立的な立場で医学的・薬学的知見につきまして、判定結果を機構に通知します。それに基づきまして、支給決定を行いまして給付をするという形になりまして、厚生労働大臣はこの判定業務につきまして、一種公正性を確保する立場ということで関与しております。
7ページは、医薬品副作用被害救済制度の給付一覧でございます。
医療費につきましては、健康保険等による給付額を除いた自己負担額、医療手当につきましては、医療費以外にも費用がかかるということでございまして、通院と入院の場合、若干違うという点もありますが、3万5,800円程度、障害年金につきましても、これは国民年金等と同じ障害認定基準で1級と2級について各々給付を行っているということでございます。
駆け足でございましたが、私どもの制度の概略は以上でございます。
○國松座長 どうもありがとうございました。
ご質問がありましたらお願いをいたします。
どうぞ。
○飛鳥井構成員 これの不服申し立ての制度はどんなふうになっているんですか。
○厚生労働省医薬品副作用被害対策室長 不服申し立ての制度でございますけれども、この制度につきましては、独立行政法人医薬品医療機器総合機構法の中で不服の申し立てができるような制度は書いてございます。
先ほど申しましたように、そもそもこの判定に関しましては、一度厚生労働大臣は医学的・薬学的知見の観点から判定を行い、その判定結果に基づいて機構が支給決定するのですが、それに関しましてまた機構の決定に不服がございましたら、再度厚生労働大臣の方に不服申し立てができるような形になっております。
○國松座長 どうぞ。
○大久保構成員 請求がなくても支給するという案件につきましては、どういうような場合にそうなるのでしょうか。
○厚生労働省医薬品副作用被害対策室長 申請主義でございますので、請求に基づいて支給を行っております。
○大久保構成員 平成17年が請求が760件ですけれども、836件の方に出していらっしゃるんですが、何か特別な理由があるとそういうことがあるのでしょうかということです。
○厚生労働省医薬品副作用被害対策室長 申しわけございません。説明が足りのうございました。
これは、平成17年度に760件請求を受け付けたものでございます。今、標準処理期間については8カ月としているところでございますが、若干ずれがございまして、支給件数につきましては前年度のものも急いで処理しておるということでございまして、平成18年度の支給件数が836件となっているのでございまして、制度自体につきましては申請主義でございます。
○國松座長 ほかにございますか。
それでは、この程度にいたしたいと思います。どうもありがとうございました。
続きまして、警察官の職務に協力・援助した者の災害給付につきまして、警察庁長官官房、鎌田給与厚生課長にご説明をお願いいたします。
○警察庁長官官房給与厚生課長 警察庁の給与厚生課長の鎌田でございます。よろしくお願いします。
それでは、資料の3でございますが、最初に3枚の簡単なペーパーがついております。これは本日の説明の概要でございます。その後に、参考資料として多少分厚い資料がついております。ちょっと横長と縦長が混在しておりまして、恐縮でございますけれども、この参考資料の方を主としてご覧をいただきたいと、こういうふうに思います。
それでは、この警察官の職務に協力援助した者の災害給付の制度と、こういうことでございますが、この制度の概略を申しますと、警察官が現場で何かをやってほしいというふうに協力を要請して、それに応えてて動いてもらった人が被災した。あるいはみずからの判断で例えば人命救助等を行おうとして被災したと、こういう方に対する給付を国または都道府県が行うと、こういう制度でございます。
最初のページをお開きいただきたいと思います。
まず、沿革からでございますけれども、この制度は非常に古くから類似したものがございまして、明治15年に太政官達がありまして、そこから始まっております。ただ、これが戦後に失効いたしまして、戦後しばらくの間はカバーする法律等がなかったということでございますけれども、警察内部でも検討が行われ、また世論も盛り上がりまして、これは議員立法の形で昭和27年に制度化をされております。最初は現場で警察官から協力を要請されて、それに応えたときだけをカバーしていたと、こういう形でございます。
その後、この右側の方に丸い同心円がありますけれども、今申し上げたのが(1)ですが、その後(2)にいきまして、実際に現行犯逮捕を1人でやろうとして被災したというような事案を受けまして、昭和34年にそういったケースもカバーするように改正をされました。さらに、その直後に単独で人命救助をしようとして亡くなった、こういうケースがございまして、地元からの強い要望もありまして、そういう人命救助についても対象になったと、こういうことでございます。要するに、いろいろな事例の積み重ねの中で国民からのいろいろな声を受けて、これはすべて議員立法でここまで拡大したということでございます。
その後は(4)のところに書いてありますけれども、この制度は基本的に国家公務員の災害補償の制度を基盤につくられておりますので、そちらの公務災害の制度が拡大されるたびに、この協力援助者の制度も拡大をしてきたと、こういう概略でございます。
次に進みたいと思います。
それでは、どういう方がこの制度の適用を受けるかということでございます。先ほども申しましたように、大きく3つの類型に分かれます。
まず、最初は警察官からの協力要請があった場合ということで、この協力要請というのは例えば一般的に防犯活動をお願いしますということで、地域の防犯活動をしていて被災するというような場合は含まない。あくまで具体的な要請があった場合と、こういうことでございます。
それから、2番目の類型としては、現行犯人の逮捕または被害者の救助ということで、非常に明らかなような形態の現行犯の逮捕をしようとして被災した場合と、これは警察官がいない場合の話でございます。そういう場合に適用になります。これは例えばスーパーの店員の方が万引きをつかまえるとか、そういった業務として行われる場合には適用になりません。そういった場合には、通常は労災の方が適用になるということであろうかと思います。
それから、3番目の大きな類型は人命救助であります。これは非常に切迫しているような場面での人命救助ということですが、これについても業務で救助を行う、あるいは消防法などで救助義務が課される場合がありますけれども、そういう場合については適用になりません。それぞれの法律でまた補償が行われると、こういうことになろうかと思います。
それから、下の方にちょっと書いてありますが、非常に細かい字で恐縮でございますけれども、例えば現行犯をつかまえようという場合に、被害者本人、あるいは現行犯人、あるいはその家族等が逮捕すると、あるいは被害者を救助するということをやっても、これは対象にはなりません。
それから、人命救助の場合に救助される人の近い親族、直系血族等々、配偶者等々、こういった方が救助をする場合には適用になりません。
それから、もちろんいろいろと責めを負うべき立場にある人も適用にならないと、こういうようなことでございます。
次にお進みいただきたいと思います。
次のページはこの制度の概要をお示ししております。
上の段でございますけれども、左側に該当要件、今述べました該当要件が書いてありまして、こういう場合に適用になるわけですが、実際に運用するのはこれは都道府県であります。都道府県が支給を行い、その事務は都道府県警察の本部で行っているという状況にあります。国が支給するのも、これは理屈としてはあり得るわけですけれども、現実にはこれはほぼ起こり得ないと。これは基本的には都道府県警察の方で運用されていると。こういうことでございます。
そして、給付の内容については右側に書いてあるとおりですが、これは基本的には国家公務員災害補償法と同じような中身になっているということでございます。
下の欄、ちょっとこれは細かい内容で恐縮ですけれども、基本的に国家公務員災害補償法と同じような内容なんですが、この制度自体が警察官に成り代わって同じようなことをしたという前提に立っておりますので、例えば給付の基礎になる額を決めるような際には、例えば最低額、最高額、それから扶養加算額などは、これは警察官の給与に大体準じた形で決められていると、こういった点が若干特殊な点であろうかと思います。
次に進みたいと思います。次のページは、今申し上げたことと関連があるんですけれども、この制度が大体どんなふうになっているかということなんですが、真ん中のところが国家公務員災害補償法でありまして、これを受けて右側のこの法律ができていくということなんですけれども、さらにこの国家公務員災害補償法は大もとが労災保険法でありまして、これは第2回のこの検討会でもご説明があったとおりであります。それと国家公務員災害補償法は基本的にほぼ同じにつくられております。支給水準も同じであります。それがこの協力援助法に持ち込まれているわけですけれども、ただ大きく違う点は、第2回の検討会のときにもお話がありましたけれども、労災については保険給付と福祉事業の部分に分かれているわけですが、その福祉事業の部分は、この協力援助者に対する給付には適用がありません。要するに保険給付、あるいは公務災害でいう補償の部分、これが適用になっていると、こういうことでございます。
制度の趣旨について、それぞれちょっと簡単には付記しておりますけれども、例えば国家公務員災害補償法であれば、災害に対する迅速かつ公正な補償というふうにちょっと書いておりますが、これは使用者としての立場に基づく法的な義務、補償の部分は法的な義務だというふうに説明されております。これについては、無過失責任であるという説明が行われているようであります。
それに対して、この協力援助法の方については、使用者とか被用者という立場がありません。しかし、警察官と同じような働きをしたという前提に立っておりますので、警察官が被災した場合とほぼ同じような給付が行われると、こういう形になっております。
定型的な給付で損失を補てんというふうに説明しておりますが、この説明の仕方は、国家公務員災害補償法ともほぼ同じ説明でございます。ただ、福祉事業の適用がないというふうに申し上げましたけれども、ただそれでは給付がやはり足らないという考え方はありまして、いろいろな形でプラスアルファの支給が行われる仕組みがございます。これは都道府県の方でいろいろと制度化しているものもあれば、警察の関係する財団法人等で事業化しているものもあると、こういうことでございます。
具体的内容については、次以降でまたご説明いたします。
それから、次のページから2枚は、給付の内容でございますが、これは労災のところと全く同じでありますので、極めて簡単な説明にとどめさせていただきたいと思います。療養給付については、これは医療費の現物給付または現金での給付、それから傷病給付につきましては、これは非常に障害が重い場合に、症状が固定する前においても年金の形で支払います。次の障害給付については症状が固定した後、年金あるいは一時金で支払われると、こういうものでございます。次の介護給付につきましては、傷病給付あるいは障害給付が行われるような場合に、実際に介護が行われているようなケースで支給が行われます。次のページの遺族給付につきましては、これは遺族の状況、例えば年齢ですとか生計維持関係等々によって年金になったり一時金になったりと、両方のケースがございます。葬祭給付については、亡くなった場合に数十万円が支給されます。最後の休業給付につきましては、これは特に必要な場合に仕事ができなくなったような場合に給付が行われると、こういうものでございます。
次のページにいきまして、それでは実際にどのぐらいの額が支払われるかと、こういうことでございます。ちょっと煩雑な表で大変恐縮ですけれども、このケースでは、子どもが2人と奥さんがいると、こういう4人家族であった場合のケースで算定しております。上側が死亡した場合、下側が8級の障害が残った場合ということでございます。上側の死亡について、左側がこの協力援助者の制度でございますけれども、トータルしまして年金が286万円余、それから一時金が76万円余ということでございます。これに対しまして、公務災害の場合が右側でございますが、基本になる部分は同じなんですが、福祉事業が加わってまいりますので、年金は343万円余、一時金は2,236万円余と、こういうことになります。ただ、先ほど申しましたように、若干それ以外の制度で協力援助者の場合は上積みをしておりますが、それを少し書き込んでおりますけれども、確実に払われますのは、警察協会という団体からの弔慰金の100万円でありまして、それ以外については、これはない場合もあります。ただし、この死亡見舞金というのは、これは都道府県ごとに制度化されておりまして、制度があるのが15県にとどまっておりますが、ただし非常に高いところもあって、例えば東京都では3,000万円の支給が行われます。こういう非常に高い支給が行われた場合には、公務災害の場合に遜色のない内容になると、こういうことになろうかと思います。
下側は障害の場合でございますけれども、協力援助者の場合には一時金として645万円余、公務災害の場合には1,100万円余と、こういうことになります。ただ、これについても、例えば東京都を始め手厚い見舞金が行われるところでは、上乗せの給付がありますので、公務災害に遜色のない給付が行われるケースもあると、こういうことでございます。
それから、次のページ以降は説明は省略したいと思いますが、今簡単にご説明しました上乗せの給付につきまして、それぞれ簡単な説明資料をつけております。最初が特別報償金ということですが、これは事件捜査に協力した場合だけですので、実際には適用ケースは多くないと思います。
それから、次のページが、これは先ほど申しました県ごとの見舞金の制度で、実際には3,000万円出るところもあれば、100万円程度というところもありますし、多くの県ではこの制度がないということでございます。
それから、次のページは警察育英会という団体からの給付でありまして、これは学校に通っている子どもさんがいる場合の、遺族がいる場合の給付でございます。ここに書いてある程度の給付が行われるということでございます。
それから、その次のページ、警察協会という団体から一時金が支給になりますが、ちょっと大変恐縮なんですが、これ資料の間違いがございまして、真ん中のあたりの4(1)の弔慰金の贈呈基準というところで数字が書いてございますが、これは全部けたが1つ違っております。ゼロが1個足りません。30万から120万、例えばそういう形になってまいります。大変申しわけありません。
それから、次に進みまして、ほかの給付との調整の関係でございますけれども、これについては同一の事由で給付が行われた場合には調整されると、こういう仕組みになっております。実際によく起こり得るパターンとしては、学校の管理下で発生した場合の日本スポーツ振興センター法に基づく給付などがこれに該当しようかと思います。
それから、一番下の方にちょっと細かく書いておりますけれども、公的な年金ですね。厚生年金、あるいは国民年金等との関係ですが、これは併給されます。実は公務災害につきましては、併給はされますが若干調整を受けるわけですけれども、この協力援助者に関しては完全に併給をされます。それから、このペーパーにはちょっと載せておりませんが、損害賠償との間では、これは調整が行われます。ただし、公務災害等と同じですが、災害から3年以内の給付に限って調整が行われると、こういう形になります。
次に進みまして、給付認定の状況でありますけれども、最初の棒グラフにつきましては、これは亡くなった場合の統計でございます。毎年10件、あるいは年によってはかなり多い件数が発生しているときもございます。最近はちょっと少なめになっております。大半は人命救助でございます。
それから、その次のページは、これは傷病の場合も含めた数字での統計でございますけれども、右下あたりをご覧いただきたいと思うんですが、平成17年でいきますと、死亡が合計で5人、それから傷病が49人、この程度の数字になっております。
それから、次にまいりまして、次は遺族給付年金でありますが、これの受給者の推移でございますけれども、平成18年度で申しますと、179人の方が年金を受け取っておられまして、総額で4億円弱と、このぐらいの額になっております。
それから、その次が、これは給付の基礎額の最低・最高というふうに書いておりますが、この範囲内で基礎額が決まって、その何倍という形で算定していくんですが、この基礎額というのは、最初に申しましたように、警察官の給与と連動しております。このグラフを見ておわかりのように、かなり法律の制定当時から見れば、大幅にこの制度は拡充をしてきていると、こういう形で増えてきているということでございます。なお、最近ちょっと減っている状況にございますけれども、これは公務員の給与が下がっていることと連動しているということでございます。
一番最後の資料も、今ご説明したものと基本的に同じでございます。
私からのご説明は以上でございます。
○國松座長 どうもありがとうございました。
ご質問があればお願いいたします。
○岩村構成員 1点だけ。基本的に労災、そして国家公務員災害補償の並びで来ているという話でご説明いただいたんですが、1点だけちょっと確認ですけれども、協力援助法の方はとにかく福祉事業関係はないということで理解しましたが、ちょっと途中の表でやや気になったのは、労災保険と国家公務員の災害補償は完全には横並びではなくて、特別援護金というのが途中でどこかで入っていましたけれども、災害給付とそれから災害補償との比較の表が途中でありましたけれども、そこで遺族特別援護金とか障害特別援護金というのが国家公務員の災害補償にありますが、これは労災にはないんですよね。福祉事業の方で、遺族特別支給金というのは労災にあるんですが、遺族特別援護金というのは国家公務員災害補償制度のところで出ていますけれども、これは労災にはない、国家公務員独特のものだと思います。
○警察庁長官官房給与厚生課長 そうですか。
○岩村構成員 はい。だから完全に横並びではないと思います。
○警察庁長官官房給与厚生課長 細かいところは多少違っている部分は、これはございます。
○國松座長 ほかにございましたらお願いいたします。よろしゅうございますか。
それでは、どうもありがとうございました。
本日予定しておりましたヒアリングは以上でございます。
なお、ここで証人等の被害についての検討につきましては法務省に資料を提出いただいております。皆様既にごらんになっていると思いますが、法務省から補足説明する事項があればお願いいたします。
○法務省大臣官房審議官 いや、特にございません。
○國松座長 皆様の方から、何か法務省に対するご質問等はございますか。お手元に資料は行っていると思います。資料4ですね。
よろしゅうございますか。
それでは、これをもちまして、これまで第4回にわたりまして既存の制度や諸外国の制度につきましてヒアリングを行ってまいりましたが、これで一当たり終わったわけでございます。今後、どういう形でこれから討論を進めていくかということにつきまして、座長として私から1つ提案があるわけでございますが、今後は今までのヒアリングの結果と犯罪被害者の方々の実情、あるいはご要望を踏まえまして、具体的な検討を行っていくことになるわけでございます。その場合、検討をできるだけ迅速に、かつ論点を掘り下げた形で充実して行うということが重要となってまいります。
そこで、これは有識者構成員の皆様にお願いなのでありますが、有識者構成員の各位は、これまでのヒアリングを通じまして、あるいは被害者の実情等も既に触れておられるわけでありますから、現行制度の問題点というものにつきましては、ある程度といいますか、相当程度把握をしておられるわけであります。どのような点について検討すべきかということにつきましては、それぞれのお立場で整理がある程度ついているんだろうと思います。
そこで、有識者構成員各位にはそれぞれのお立場で論点として整理したところを次回の検討の前に、事前に事務局の方に提示をしていただきまして、その上で、それらをもとに検討を進めていったらいかがかと考えます。論点整理はもちろん、何人かの有識者構成員が共同で行っても結構だろうと思います。また、犯罪被害者団体や支援団体といろいろと意見を交換してご相談をした上で提出をしていただいても結構だろうと思います。有識者構成員各位から提示していただいた論点を事務局で取りまとめまして、次回検討会の前に全構成員に配布して、その上で、次回検討会からは直ちに具体的な討論に入ってまいりたいというように考えております。そうした今後の進行につきまして、構成員の皆様からご意見があればお聞かせいただきたいと思います。
○白井構成員 これから論点に入っていただけるということなんですが、やはり一番最初に申し上げましたけれども、制度だけ聞きましたけれども、実際にどういうふうになっているのかというのはなかなかわかりにくいことなんですね。例えば……
○國松座長 どうなっているって、何がですか。
○白井構成員 被害者の方の現実。例えば、生活保護の問題につきましても、熊谷で起きた事件では、お孫さんの両親が殺されて、おじいちゃん、おばあちゃんがそのお孫さんを育てなければならないとなったときに、生活保護を受けながらしなければいけないということで、生活保護を申請したと。ところが、その後1年以上経ってから、犯罪被害者給付金の支給が決定されたと。そうしたら、途端に、今まで払った生活保護費を全部、所得を得たんだから全部返せということをそのおじいちゃんが請求されてしまうと。それで、今後はその保護を打ち切ると。そういう問題が起きまして、それは新聞社が取り上げたために、日弁連の方でそれを取り上げるかどうか検討いたしましたが、それを市の方で察知して、払ったものを返せということは、じゃやめますというようなことが起きた。
それから検討会の中で岡村先生がご紹介した、頭からガソリンをかぶせられて、現在まで30回近い皮膚移植の手術をしておられる九州の岡本さんなどの例は、皮膚移植をしているものですから、夏になると汗が出ないわけですね。それで、1日に3回も4回もシャワーを浴びなければ生活できないような状態なのに、生活保護を受けている人はクーラーをつけちゃいけないと。また、病院に通ったりするのに自動車に乗っちゃいけないということで、さんざん苦労して、弁護士まで入ってようやく、じゃ特別にクーラーだけは何とかしましょうということになった。これ、もし本人1人だけだったらそのまま苦しんでいなきゃならないと。そういうことが起きた。
また、静岡でも、この検討会が始まってから私のところに相談に来た方は、國松座長のお膝元でもあるんですが、浜松の方で、ブラジル人にご主人を殺されてしまったと。それで犯人はブラジルに帰ってしまったと。しかし、レストランを経営していたために、そのレストランがもう閉鎖のやむなきに至っているんですが、そこに住んでいなきゃならないわけですね。そうすると、不動産を持っているわけです。それで、事件はデッドロックに乗り上げたまま犯人も逮捕されないという状態のまま、犯給法も出ない。すぐには出ない。それで、浜松市役所の方に生活保護を申請したら、あなたは不動産を持っているじゃないかと。生活保護も出してもらえないということで、どうしたらいいですかというところで、この検討会が始まってから私のところに相談に見えられたというような、そういうような実情がありました。
また、この間テレビで放映されたのは、栃木県の方で、隣近所の方が猟銃を許可されて持っていて、その猟銃で奥さんが撃たれてしまって、脊髄から頭にかけて100発の散弾がまだ入っていると。それで、ご主人は働きながら奥さんの看病をしているんだけれども、介護保険を受けようとしても受けられなかったと。しかも、お医者さんはもう必ず、ご主人、散弾が入っているのでいつ何時どんなことが起きるかわからないような状態にあるので、いつもご主人が飛んでこられるような状態にいて介護していてくださいというので、今まで勤めていた会社を、自宅の近くに別のところに移らなきゃならない。そうすると、収入がまるっきりダウンしてしまうというような、そういう方もいて、自分がもし病気なんかになったときに妻はどうなるのかと。
ですから、本当に安心して暮らせるようにするためには、一時金でポッと出してもらうのもいいけれども、やはりきちっとした月々支払ってもらえるような、そういう補償制度にしてもらいたいというような、そういう現実の生々しい話をいつも聞いているわけなんです。
それで、座長には本当に楯突くようなことを言って申しわけないんですけれども、そういうのを聞いていると、やはりぜひ1度この検討会でも、先生方に実情を聞いてもらいたいと。やはり1人でも2人でもいいですので、1度そういう苦しい実情にある方のヒアリングをぜひともしていただけないだろうかと。論点の整理をする場合に、確かに制度的にいろいろなことを考えなきゃいけないので、理論上整理していくということは確かに大切なことだとは思うんですが、やはりそうした現実の困っている、本当に困っている人ですね。被害者だからだれでも手厚くということでは、それは財源の限度もありますので、無理な話だと思うんです。だけれども、本当に困っている人には、その困っている人が何とかもとの平穏な生活を取り戻せるような状態にするにはどうしたらいいかということをやはり考えてもらいたいと。そのためには、やはり論点を考えながらも、そういう実情をぜひ聞いてもらいたいということなんです。
○國松座長 私からお答えするのが適当かどうかわかりませんが、まさに今白井構成員がおっしゃったような実情を踏まえながら、ここでこれから議論することになるんじゃないでしょうか。我々がこれからやる仕事というのは、あくまでやはり制度設計です。どのような制度を設計したら被害者の方々の経済的支援の万全が期し得るかと。そういう意味では、ここでの議論というのはあくまで制度設計の問題だろうと思います。
ただ、その制度設計をしていく上で、やっぱり現場の話というか、被害者の実情を踏まえてやっていかなければならないのは当然でありますから、そういう被害者の声を我々の議論に反映していくというのは当然のことでありますし、私もそのように心がけて進行していかなければならない。それはわかります。
ただ、私が恐らく白井さんと、ちょっと物事の順序がちょっと違うと思いますが、我々の方としては……我々というか、私のこれからの、実際にこれからの議論を仕切っていかなければならない立場からしますと、まずいろいろ論点を実際出していただいて、制度設計上どういう問題点があるということをまず出して、それについて、現場の実情はどうなっているんだと。それは生の声を聞いてもいいし、あるいは白井構成員を通じて、今まさにおっしゃったようなことを我々知らないわけですから、それは言っていただく。白井構成員では意を尽くさないところは、実際に来ていただくということもあるでしょう。ですから、そういうようにして、とにかく1回ここでどういうことを議論したらいいのかという、それはあくまで議論の仕方というのは、制度設計をするために、経済的支援するについてのよりよい制度をどうやってつくるかということを議論していく、その論点が出たところについて、それについて被害者の声を聞くということであろうと思います。
したがって、被害者の声をたくさんヒアリングで聞くというのは、白井構成員とはちょっと違いますが、それは我々の使命ではない。あくまで我々は制度設計であります。ただ、制度設計が被害者の実情あるいはご要望と全然沿わないようなものになっては、これはいけない。ですから、それはどんどん被害者の実情というのは、ここでおっしゃっていただく。それは白井構成員が言っていただいてもいいし、ほかの皆さんが言っていただいてもいい。どうしても、やっぱり直接聞いてくれという話になって、この構成員の方々のご了解が得られれば、それからその被害者の方に来ていただけるのであれば、ここでご説明を聞くというか、声をお聞かせいただくということもあっていいでしょう。ただ、やはり我々としては、あくまで制度設計をどうしていくかという議論がまず先行して、論点が絞られたところで被害者の声を聞くと。非常にピンポイントで聞いていきませんと、広く聞いてまいりましてもなかなか難しい。
今ご説明があった中でも、まさに制度設計上の問題点というのもありますし、実は運用だけの問題もあるわけです。先ほど一番最初に言った、何か併給はだめだから、支払ったものを返せといったような話は、それは恐らく担当者がわかっていないだけの話でありまして、ですからそれは制度の問題ではないんだろうと思います。だから、それはまた逆に言うと、そういう現場の運用者が変な運用をしないようにするための制度をどうしたらいいのか。いろいろなコーディネーターのようなものをつくるとか、そういう制度をつくれば、そういう現場で妙なことができなくなるということもあろうと思いますので、そういう運用のまずさというのも直接お話しいただいても構わないと思いますが、ただここはあくまで制度設計のお話が先行するのではないか。私からあまり言うのもおかしいのかもしれませんが、私としてはこれからの議論はなるべく迅速にそういった点に絞りながら議論を進めてまいりたいというように考えているところでございます。
ほかの皆様のご意見を承りたいと思います。
○大久保構成員 今ほど、構成員が論点を整理して提示するようにというお話がありましたが、まさにそのようにする必要があるかとは思いますけれども、今まで受けました省庁のお話、学者の皆様のお話を総合しますと、あまりにも膨大なものになるわけですね。ですから、よりよい構成員が論点をきちんと整理して出せるようになるときには、内閣府として今までの資料をある程度まとめて、何か事前に提示をしていただけますと、なおこちらとしても提案をしやすいという状況になるかと思いますが、その点お願いすることはできますでしょうか。
○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 今までのいろいろな基本計画をつくるときに、被害者の方から1,066の要望をお聞きして、その上で今厚くするという方向で基本計画ができて、それでこの検討会が開かれているわけですから、先ほど白井先生からもありましたけれども、そういう被害者の要望、問題点、我々としてちょっとまだ抽象的かもしれませんけれども、そういったものと現状の制度なり何なりというものを、それをお示しすることは可能だと思いますけれども、事務局としては、あくまでこれは検討会ですから、やっぱり有識者の構成員の方々にぜひ、それを参考に配ることはやぶさかではございませんので、次の検討会までにできればそういう論点整理を各々やっていただければという思いでおります。
○大久保構成員 今回、この検討会で話し合われたものと、この出された資料ですね、説明を受けた分。その点についての、ある程度の論点整理を客観的データとして、何か一覧表でわかるような形で何か出していただければと思うんです。
○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 まさに今言われたように、ちょっと我々も、あまり詳細なものは今の時点ではできないんですけれども、現状の制度はこうなっているというようなことについては、ある程度まとめてお示しはできるというふうには考えております。
○國松座長 どうぞ。
○白井構成員 私の方で、この検討会が始まるときに、一応論点整理の形で出したものがあるんですけれども。これですよね。
○國松座長 私も拝見いたしました。
○白井構成員 それで、これは実は前の検討会のときの第2回検討会で、岡村構成員が犯罪被害者補償制度として提出した、こういうことで新しい補償制度をつくってほしいという、それに基づいたもので論点整理をしておりまして、そうした我々が考える補償制度は、実はこれまで4回にわたる検討会の中で、各省庁の方々がいろいろな日本の保険制度から社会保障制度からいろいろな説明をいただいたんですけれども、ある程度日本のそうしたベースになるような制度とか、そういうものも検討した上で、被害者の方々が現実に日常使っている保険とか、そういうものも踏まえた上で、なお足りないものとしてこういうことをやっております。
ですから、ある程度現状を踏まえた上での論点整理をしているもので、また先生方、いろいろそれぞれのお立場から論点整理をしてくださるとは思うんですけれども、できればこれ、この場で、メールで事前にやり取りさせていただいて、前の検討会もそうだったんですが、内閣府の方からいただいて、それに対して意見を述べて、また内閣府の方でそれに対してコメントを加えていただいて、その上で検討会を持ってここで議論すると。ここで議論したら、それでこの場である程度室長さんなり座長さんなりがまとめていただいて、じゃ大体この場はこういうことでいきましょうということをこの場でできる限り全員の同意で決めていただくというような形が一番いいのではないかと。
そういうことで、論点整理に基づくここでの議論を実質的な議論としてぜひともやっていただきたいということなんです。
それと、ついでと言っちゃ申しわけないんですけれども、ちょっと今日お配りした資料をご紹介させていただきたいんですが、簡単にやります。
今日、このヨーロッパ調査報告書というものを配布させていただきましたので、これにイギリスとドイツのことが詳しく載っております。イギリスにつきましては、この前奥村先生が報告してくださった、奥村先生の研究成果と先生のご教授をいただきまして調査したものでございます。それから、ドイツにつきましては、この中にお配りしましたが、法務総合研究というのを法務省の方から資料をいただきまして、その法務総合研究がかなりベースになっておりまして、さらにそれに常磐大学のキルヒホッフ先生、ドイツ人の先生なんですけれども、その先生のご教授なんかもいただきまして、実際には現場で教えていただいた、向こうの調査で教えていただいたことが、非常に詳しく掲げてございますので、ぜひこれをまたご参考にしていただきたいというふうに思います。
○國松座長 わかりました。今、白井構成員からお話のありましたとおり、これから具体的に検討していって、この検討会をやる前に、ある程度お互いのメール、これメールができる人と、私みたいにちょっと苦手なのもいますので、その辺のところがありますが、事前にある程度こなしておいて、この会の議論で詰めていって、できれば、これはなかなか難しいかもしれません。できればここでの皆さんの総意という形で、この論点については大体こういう見解であるというのがこの検討会でできれば大変ありがたいと思いますし、ぜひ私もそういう形で1つ1つ具体的に成果を得ながら議論をしていったらこれは一番いいだろうなと。なかなか難しいかもしれないけれども、そういう方向で議事を進めてまいりたいと思いますので、ご協力をひとつよろしくお願いしたいと思います。
ほかに何か。今後の議論の進め方につきまして、私から提示をいたしましたことでご意見等がございましたらお願いいたします。
それでは、大体今申しましたような方法で今後進めていきたいと思います。ただその具体的な過程でちょっと軌道修正した方がいい、こういう方法の方がいいんじゃないかということがありましたら、その都度ご遠慮なく言っていただければ、それを斟酌して議論を進めてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
そういうことで、ちょっと事前にいろいろと論点の整理を各人でやっていただくということ、今大久保構成員から出た点はちょっと留保いたしますけれども、そういうことでありますけれども、事務局としてはいつごろまでに構成員から出してもらえばいいのか。
○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 私どもで、先ほどから大久保構成員の話がありましたように、実はこれは白井構成員の意見書なども踏まえて、ある程度そういう被害者のニーズみたいなことと、現状の制度はこうなっているというような資料をできるだけ早くお配りしますので、できれば、8月25日が次回ですので、その1週間ぐらい前ということで、17日ぐらいまでにそれを踏まえて、また各構成員の方から論点整理をしていただいて、それをまた踏まえてこっちの方でもう1回改訂版つくりますので、先ほど白井構成員が言われたように、実はここが問題だとかそういう話もあろうかと思いますので、その辺も整理して、改めて改訂版を次回のこの検討会に提出させていただくということでお願いしたい。
まことにお盆も挟んで恐縮ですけれども、8月17日までに私どものところにお出しいただければというふうに考えております。
○國松座長 いかがでございますか。それでよろしゅうございましょうか。それぞれ論点としてお考えのところをまとめていただいて、白井構成員から出ているわけでありますけれども、それを事務局の方でまとめてもらうということにしたいと思います。
なお、その出してもらう場合には、若干様式のあれはございますか。
○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 事務局の方で、ごく簡単な様式ですけれども、論点と、それに対する問題点といいますか、あるいはもしご意見があればご意見をというような形の簡単な様式をお示しさせていただきますので、それに合わせてご提出いただければというふうに思っております。
○國松座長 これですね。後で、様式と申しますか、大体こういうパターンで出してくれというようなものを、事務局案があるようでございますので、それにしたがって、8月17日までにそれぞれの論点をお示しいただきまして、それをまとめて、次回は直ちに議論に入ってまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、次に、先ほど来もう既にだいぶご議論があったところでありますが、海外調査に関する討議に移ります。この点について、事務局からまずご説明をお願いいたします。
○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 資料8をごらんいただきたいと存じます。海外調査における主な聴取項目についてということで、6月30日の合同ヒアリングのときに質問も幾つか出ました。そういうご議論を踏まえまして、海外調査の聴取項目等について、既にメール等でお示しをしまして、それについて白井構成員と警察庁の方からご意見が出てまいりましたので、それを加味した形でこの資料8の一番最初のところに追加をしてお示しをさせていただいております。
聴取項目は、最初の方のところは、特にヒアリングでもう既に分かっていることもありますので、確認ということで、下線を引いた部分が特に各共通、あるいは各国で聴取する予定の事項というふうになっております。なお、既にメール等でもお知らせしておりますけれども、一部構成員の方から時期と人選について再考ありたいというようなお話もあったんですけれども、どうしてもやっぱりこの秋の議論が本格化する前に海外ヒアリングとあわせて海外状況の調査を行う必要があると考えておりまして、まことに申しわけございませんけれども、アメリカにつきましては冨田座長、それからイギリス、フランス、ドイツ、ヨーロッパにつきましては、本検討会の平井構成員と、それから支援のための連携に関する検討会の奥村構成員お願いいたしているところでございます。先ほど来ご議論がございますように、ぜひ充実した調査にしたいというふうに考えておりますので、ご意見を賜りたいと思いますし、またここであまり議論が尽くせないようであれば、また追加のご意見等もあれば承りまして、次回の8月25日の検討会にご報告させていただければというふうに、事務局としては考えております。
○國松座長 どうもありがとうございました。
今、事務局からのご説明がありましたが、聴取事項あるいは訪問先等について、具体的なご意見があれば承ります。
○白井構成員 資料7で、私はドイツの補償制度についての補足説明を出させていただきまして、連邦援護法と先ほどの法務省の資料もつけさせていただきましたが、実は安部先生の説明の中にも、ドイツの犯罪被害者補償に関する年金の制度についてはあまり詳しい説明がなされていなくて、一番肝心な、私どもは所得調整年金というふうに訳してしまったんですけれども、実はこれ年金という性格のものとちょっと違いまして、そこに2ページに記載しましたように、実際には損害補てんという、法務省の方では職業損害補てんというふうに訳しておりまして、ドイツ語そのものも年金という言葉は入っていない、いわば国家補償に基づく補償金の支払いを年払いで生涯型で行っているという制度で、先ほど我が国の制度の中で、公害健康被害だったか、医薬品、損害賠償型の、岩村先生から言いますと、周辺型の制度の中に年金、年払いで支給すると。慰謝料、逸失利益も含めたものを年金型で支給するという制度が日本にもあるんですけれども、それに近いような、要するに国家補償の支払いを年金型で年払い型で支給していくという、そういう制度で、それが所得調整年金というふうにやっています。
そういう制度がございまして、先ほどの私が冒頭紹介しました方も、そういう生涯型の年金を得ているということなんですね。もしこのドイツの調査をしていただく場合に、ぜひとも実情を詳しく調べていただきたいと。あくまでほかの保険の上積みという形にもなっていると思いますので、そういうどこまでどういうふうにやられているのかということを、そのための調査先なんですけれども、私どもの方で調査したときに、非常に制度のことにつきましても、実際の支給のことにつきましても、詳しく説明していただいたところがございまして、これはそれをやっている援護庁なんですけれども、デュッセルドルフの援護庁、それからノルトライン・ヴェストファーレン州の健康・社会・女性・家族省というところ、これが非常に詳しく説明してもらえるところで、もしそういうところに調査をしていただけるのであれば説明していただけるんじゃないかと。そのとき、法務省の向こうの大使館の1等書記官の方にも大変そういうコーディネートでお世話になったんですけれども、非常に役に立ちました。それから、ケルン援護庁とケルン警察、それとケルン大学でのケルンモデルという連携もありますので、できればそのあたりをぜひともお調べいただきたいというふうに思います。
○國松座長 今の点。
○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 今ご指摘いただいたご意見を踏まえて、この改訂版の資料にも、我々年金給付局にしか念頭になかったんですけれども、言われたような女性、福祉部局ですね。そういう関連の部局にも行くことにしております。
ただ、州の具体的な名前とか、あるいは今ケルンとおっしゃいましたけれども、ケルンも大変いいモデルだと私も思いますけれども、ちょっと日程的な都合とか、ちょっと遠かったりするものですから、どこかの州のということで、もちろん1つの候補としては考えておりますけれども、そういうことでご理解願えればと。ご指摘の趣旨はよくわかりましたので、それを踏まえて、平井構成員の方にもぜひお願いしながら、あと奥村さん、それから事務局もまいりますので、そんなことでよろしくお願いしたいと思います。
○國松座長 大久保委員。
○大久保構成員 よりよい制度設計に向けて、みんなで力を合わせてやっていくときには、1つお願いがありまして、やはり内閣府からの連絡体制ですね。例えば今回のこの海外研修につきましても、どなたが行くことになったとかいうあたりも、ほかの会から聞くというような形になりますので、全員共通認識を持つべきものは、やはりその都度連絡をしていただけると、その後風通しもよく、基本法でうたわれている透明性の確保もできるのではないかと思いますので、またよろしくお願いいたします。
○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 大変申しわけございませんでした。そのとおりでございますので、漏れがないようにしたいというふうに思っています。ありがとうございました。
○國松座長 ほかに何か。
○法務省大臣官房審議官 調査項目の関係で1点だけちょっと、細かい話でございますが、また若干時期が遅くなって申しわけないのでございますが、1点だけちょっと追加をさせていただければというお願いでございます。
いただいたこの内閣府資料の調査項目の1ページ目を見ますと、各国共通ということで、○が2つ、上の方と下の方にございまして、一応被害者に対してのみ適用される支援制度と、それから被害者にも適用される社会保障・福祉制度ということで、2つ掲げてあるわけですが、この2つの○の両方に共通する1つの論点として、民事の損害賠償請求との関係について、もし調べていただければというふうに思います。具体的には、こういう支援、どちらでも共通なのかもしれませんが、こういう支援が実施された場合に、その原因者というんでしょうか、犯罪者に対する求償の有無がどうかとか、あるいは相互の調整がどうなっているかとか、そういった民事の損害賠償請求権との関係について、もし調べられるようでしたらお願いできればという点でございます。
○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 了解いたしました。
○國松座長 どうぞ。
○瀬川構成員 改訂版のところで、各国共通のところで財源というふうになっているんですけれども、この点はアメリカなんかで、特に具体的に調べていただきたいんです。例えばさっきの話にもありましたように、罰金刑を財源にする場合とか、あるいは有罪判決を受けた者からお金を徴収するとかという制度があるんですけれども、この制度がどの程度広がりがあって、どの程度制度として成り立ち、どれぐらいの財源としての意味合いを持っているのか、この点、もっと具体的に知りたい。そういう制度があるとかということはわかっているんですけれども、制度として立ち上げがうまくいっているのかということを具体的に調べていただきたいと思います。
それから、イギリスについても、この間奥村構成員が報告されましたように、同様の制度が動きつつあるように思いますので、状況をぜひ教えていただきたい。
○國松座長 先生、この有罪判決を得ている者から徴収した、これはアメリカだけですか。
○瀬川構成員 アメリカは少し前からやっていると思います。イギリスは、この間奥村会員が、刑罰賦課金ということで言われたかと思うんですが。
○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 了解しました。
○國松座長 どうぞ。
○白井構成員 この改訂版で、私の方の意見を入れていただいているんですが、ちょっと3ページの、やはり現物支給しているものと、それからお金で払っているものとあるんですけれども、それぞれ保険の収入から支給されているのか、それとも一般財源から支給されているのか、その給付内容によっても若干違うようなので、国家補償的な部分につきましては一般財源から支給されているはずですので、財源を調査する場合にもそれを区別して、できれば調査していただきたい。
○國松座長 この3ページの。
○白井構成員 はい。3ページの文章のとおりで結構なんですが、そういう趣旨でございます。
○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 わかりました。
○白井構成員 ついでにいいですか、イギリスの。
イギリスにつきまして追加していただいたのは、死亡の場合の5,500ポンドの場合の問題で、奥村先生への質問は、確かに寡婦のことを質問したんですけれども、ご調査いただく場合には、寡婦と限らずに、定額の5,500ポンドなり1万1,000ポンドと合わせて、これは標準額の支給ということのようなんですが、それと合わせて逸失利益の所得補償も、死亡の場合にも支給されるという仕組みになっているんですね。奥村先生の資料によればそうなっているんです。ですから、そのあたりをぜひ具体的な事例で、それもぜひお調べいただくのと、同時に、1億円近い高額な所得補償で、イギリスの場合のタリフスキームとあわせて、逸失利益の補償で50万ポンドまで補償された例があるというふうに奥村先生も言っていらっしゃったので、それの具体的な、我々が行っても教えてもらえないんですけれども、政府が行けば教えてもらえるんじゃないか。どういう例でどういうふうにやられているのかを調べていただきたいと思います。
○國松座長 今の点、よろしいですか。
○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 ご趣旨よくわかりましたので、政府で少なくともトライしてまいりたい。よろしくお願いします。
○國松座長 どうぞ。
○大久保構成員 それと同時に、個別の被害者にかける制度のほかに、例えばその国、地方公共団体、公的なところですね。公的なところでどれくらいの税金といいますか、そういうものをかけているのかというあたりもあわせて聞いてきていただければ、日本でこれからそれぞれの立場での被害者支援のときに、そういう公的なお金をどれくらいかけていけばいいのか、かけるべきなのかというあたりも、多少はいい材料になるのではないかと思うんです。
○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 被害者、要するに経済的支援としてどれくらい税金が使われているかということでよろしいでしょうか。
○大久保構成員 そうです。公共なところで。
○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 わかりました。
○國松座長 どうぞ。
○高橋構成員 これ政府から視察に行くとなると、各国では、やっぱりこんなふうによくやっていますというふうなことが出されるような気がするんですね。実際に私たちが聞きたいのは、日本でやる場合に、こういうふうにしたいけれどもどういうところに問題があるのか。今まで各国のヒアリングを行ってきましたけれども、やっぱりいろいろな変遷をたどってきている。まだ問題点があるというところもあるので、その問題点についてが一番知りたいところだと思うんですね。それは制度としてということと、あと実際にその制度の恩恵を受ける被害者にとってどういう問題点があるかという、その両方を調べてきていただきたいと思います。
○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 既に1ページにも現行制度の問題点ということで書かせていただいておりますけれども、今言われたように、それはもちろん被害者にとっての問題点ということでありましょうから、その辺を十分に踏まえた上での調査にしたいというふうに思っております。
○國松座長 ほか、よろしゅうございますか。
○平井構成員 1点だけ。犯罪被害者の経済的支援を検討する会ですので、調査の対象として、先ほど損害賠償のお話が出ましたけれども、住居の問題であるとか福祉サービスの問題であるとか、そういったことは全く対象としてはお考えになっていないと思うんですよ。給付金だけが対象になっていて。ただし、この検討会では給付金だけでなく、住居や福祉サービスなど全体が討議の対象になっているものですから、ちょっと疑問に思ったんです。
○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 今我々が念頭にありましたのは、おっしゃったように、やっぱり現実に今の犯罪被害給付金みたいなことだけを念頭に置いておりましたので、しかしおっしゃるように住居とか、そういうものも関連してくると思いますので、その辺についても調べられる限り調べることが必要かというふうに考えております。
○國松座長 それは、調査先は同じでいいんですか。全然別のところへ行くの。国によって違う。
○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 それはそこに聞いてみるしかないですね。
○國松座長 それも踏まえてやっていかなきゃいけないでしょうね。
○瀬川構成員 ちょっと論点が膨大になりすぎているというか、広がりすぎていて、本当に日程上できるのかなという感想を持たざるを得ないですね。
また、平井構成員のおっしゃったことと関連させますと、今回の調査も犯罪被害者についてフォーカスするんですけれども、他方で社会保障制度の中で犯罪被害者がどう扱われるか見ておかないと、単純な金銭の比較だけで、ここは貧しい、ここは豊かだとか、そういう評価は望ましくない。何か論点が非常に膨大になりすぎではと思う一方で、この日程で十分なのかどうかということと、それから被害者に焦点を当てるとしても、社会保障制度との関係で見ないと、本当は真の問題点というのは出てこないんじゃないかという感想を持ちました。
以上です。
○國松座長 今の点は、何か……
○瀬川構成員 ご留意いただければそれで結構です。
○國松座長 どうぞ。
○白井構成員 具体的には、例えばドイツはどこへどんな日程で行かれるんでしょうか。まだ決まっていないんですか。
○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 ええ、まだ決まっておりませんけれども、ここに書いてありますように、最低、実は経済的支援だけではございませんで、ほかの支援連携、あるいは民間団体との絡みもありますので、瀬川先生おっしゃるように大変膨大です。ですから、もう既にヒアリングでわかっているようなこととか確認のことは、これはまたいろいろな文書等で資料をいただくような形にして、本当に今先生方から出ているような、そういうことに絞ってやらないと、とても時間が足りないと思いますので、そういう意味でも今日のご指摘ありがたいというふうに思っております。
ですから、援護庁はこの経済支援の1のところでは出てこないんですけれども、援護庁は当然行くようになっておりまして、この参考資料で掲げておりますけれども、支援連携の方の3ページに、いずれかの州の援護庁にもぜひ行きたいということで考えております。
○白井構成員 ちょっと口幅ったいんですけれども、実際に援護庁にうちの高橋弁護士と何人かの弁護士が行ってやっていますので、またご参考に、ぜひいろいろ参考にしていただきたいと思います。
○國松座長 ほかにどうでしょうか。
○平井構成員 もう1点だけ、よろしいですか。
私も瀬川先生と全く同じ考えです。当然のことながら、膨大な調査でございますので、これは文書ベースといいますか、あるいはもう既に現在時点でもわかっているという内容も当然入っているわけでございますので、やはり何故そのような仕組みが作られたのか、あるいはどうしてそういう考えに至っているのかということを基本的には調査すべきではないかと考えています。その上で、いろいろここで出ております詳細についてもあわせて調査するという考えでやるべきではないかと思います。
○白井構成員 私たちがやったときも、できる限り日本の被害者の方の典型的な例を相手の向こうの国の方に直接お話をいたしまして、こういうケースが日本にあるんですけれども、お国ではこのような場合にどういう形で補償されていきますかというような形で、なるべく日本の幾つかの典型的な例を持ち出して、そしてそれにバンと直接回答してもらえるように私どもはやりましたけれども。
○國松座長 よろしゅうございましょうか。
調査項目や訪問先が今膨大な話になってきておりますし、全体的な日程の制約や先方の都合というものがありますので、とにかく最大限、これまでのご意見を踏まえて、所要の調整をしていただいた上で、事務局で確定して行っていただくようにお願いしたいと思います。
どうもありがとうございました。
それでは、続きまして今後の検討スケジュールの確認、及び第7回検討会の日程調整を行いたいと思いますので、今後のスケジュールにつきまして事務局からご説明をお願いいたします。
○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 資料2でございます。内閣府資料、今後の検討スケジュールということで、既にメールでごらんをいただいているものと同じものでございます。先ほどご了解をいただきましたように、論点整理を次回議論していただきまして、できれば迅速に検討に入らせていただきたいというふうに考えております。
これが一番本体の、経済的支援のあるべき姿という、一番肝のところですので、それについて第9回の検討会まで一応ご検討いただきまして、その結果を取りまとめまして、10回と11回の検討会で、一応その経済的支援のあるべき姿、大体こうじゃないかということで取りまとめをまずお願いできればと考えております。
その後、法務省さんの方でいろいろ損害賠償に関して刑事手続の成果を利用する制度、あるいは公的弁護人をつけるかどうかというようなことについて検討いただいておりますので、そういった状況も踏まえまして、公費による弁護士選任や、あるいは国による損害賠償費用の補償等の是非につきまして検討していただいて、その経済的支援のあるべき姿と、今申し上げた検討を合わせまして、できれば来年の春ごろには中間報告の取りまとめをお願いできればというのがこの検討スケジュールの案でございます。よろしくご議論をお願いします。
○國松座長 やってみないとわからないところがあります。今のような大体のスケジュールということで、中身はそれに続けていろいろかと。よろしゅうございましょうか。大体の今後の進め方というのは。
○高橋構成員 海外視察はいつからいつ行かれるんですか。その間は検討会ないんですよね。ちょっとスケジュールを教えていただければ。
○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 一応、9月の上旬ということで、まだ何日から何日というのは今検討中です。ですから、少なくとも15日ぐらいまではないと。とにかく、9月上旬に行きたいというふうに考えております。すみません、何日から何日まではちょっとまだお示しできないんですけれども。
○國松座長 第7回の私どもの検討会の日取りにもそれは関係してくるんですけれども、後でそれはまた渡します。
ほかに何かございますか。
○白井構成員 すみません、この日程でいきますと、8月25日に論点整理をやって、それで具体的にそれぞれの項目について議論するということになりますと、次の9月、10月からということになるんですが、8回が9月、10月で、11月はもう損害賠償による立て替えの問題とか、後遺障害に対する福祉サービスのあり方ということで、この経済的支援のあるべき姿ということについての議論が、そうすると2回しかないわけですね。論点整理を1回やって、例えば一番大問題である財源の問題とか、それから保障制度全体の仕組みの問題と給付内容等について、給付内容というのはお金のかかる話だものですから、かなり議論するときも時間がかかると思うんですね。そうすると、海外調査のお話も簡単にパッとやって、これは聞きっぱなしというわけにもいかないと思うんですね。そうすると、もう少しこの回数でこれでできるのかなという。
○國松座長 それはとにかくやってみないとわからないところがありますので、とにかく十分なご議論をいただくということでやっていって、例えばここに書いてありますように、第9回目で損害賠償の問題ができなければ後に繰り延べるしかないんじゃないでしょうか。一応スケジュールとしてはこういう立て方でやっていきましょうというだけでありますから、第9回で経済的支援のあるべき姿についての検討というのが全然まだ進んでいないとか重大問題が残っているのであれば、我々はそれが一番メインですから、損害賠償とか後遺症というのは後に延びてくるのであります。これはあくまで1つの予定でありますが、それはもうその都度、この経済的支援制度のあるべき姿についての十分なご検討をいただくと、こういうことだろうと思います。ただ、それを大体割り振ったらこんなものと言っているところでありますから、議論が詰まらなければ、それはもう後ろ延ばしにせざるを得ないですよね。あまりご心配になることはないと思います。
○白井構成員 私が思うには、とてもこの11月までにこういう形の予定ではちょっと無理ではないかと。いっそのこと、今のうちから損害賠償と後遺症の問題は経済的支援制度を取りまとめた後に持っていったらどうでしょうか。
○國松座長 それは、その段階で判断したらいかがでしょうか。とにかく我々は経済的支援制度のあるべき姿について十分検討すると。していくということでいかがですか。つまり、それをどこに入れるかといったって、それは議論してみないとわからないところが随分あるんじゃないでしょうかね。ですから、それは私も座長として十分な議論が行われるように、打ち切って損害賠償に行くというようなことはいたしませんということでよろしいんじゃないでしょうか。それはご信頼いただかないと。
○白井構成員 信頼しないわけではない。
じゃ、少なくとも次回の論点の討議のところで、もう少し時間がかかりそうだという見通しであればまた組みかえるとか、そういう柔軟性を持った形というふうに理解させていただけないでしょうか。
○國松座長 当たり前です。そのとおりです。論点整理というのは、もうここではあらかじめやっちゃっているということですよ。もう席に着いたときには論点は整理されていると私は思っております。
ほかに何か。
それでは、第7回検討会の日程調整を行いたいと思います。これは9月に行われるのが第7回になりますが、若干の皆様方から、日程を都合のいい日、悪い日と出していただいているんですが、これ皆さん全員が合う日というのはもうほとんどないということになっておりまして、大変困るわけでありますが、今わりとたくさんの皆さんがよろしいのが、これでまいりますと、27日ですかね。今日はもう佐々木先生と岩村先生はおられませんが、後でご日程を承ることにして……佐々木構成員からはもう既にいただいておりますので、あと岩村先生のあれはいただいておりませんが、ほかの皆さんで最大多数の……
○瀬川構成員 これは全員書かれたかどうか。私は聞かれていないんですか。
○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 すみません、ちょっとこれは、欠席される方は出してくださいというふうにお願いして、ところが大久保先生なんか出していただきましたよね。都合のいい、悪いは、実は、ここの場で決めるという座長の最初の仕切りだったものですから、これはあくまで欠席される方だけに求めたわけで、全員には求めておりませんので、大変失礼いたしました。
○國松座長 これで、ペケばかりついておりまして、なかなか難しいなと思うんですが、今申しましたように、わりとご都合がよろしいというのが、後半になると27日、25日、午後であればわりと多くの方がよさそうな気がいたします。ご出席の皆さんで、日取りを申しますが、27日というのはいかがですか。ご都合の悪い方。27日だめですか。
そうすると……
○高橋構成員 すみません、私出したので……
○國松座長 だめなんですね。
○高橋構成員 27日は、すみません。
○國松座長 そうすると、25日の午後はどうですか。
○瀬川構成員 だめですね。
○高橋構成員 私も25日だめです。
○國松座長 そうしますと、20日はいかがでしょうかね。高橋構成員はだめですか。
○高橋構成員 すみません、ごめんなさい。
○國松座長 本当にないですね。あまり早いと……
○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 ちょっと対応できない。できれば20日以降で。
○國松座長 20日以降だと、なるべくいいのが、そうですね、25か27か。26でもいいんですけれども。26日でご都合の悪い方はおられますか。午後になりますね。26日はいかがでしょうか。よろしゅうございますか。私もよろしいんですけれども。
じゃ、26日でということで調整させていただきましょうか。
○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 じゃ、3時からということで、一応。
○國松座長 3時からでいかがですか。
それでは、若干強引ではありますが、これはもうなるべく多くの方ということで、全員というのはちょっと無理だと思います。9月26日の、これは火曜日になりますが、15時から、場所はここでやるということで、一応第7回は予定をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
大体本日の議題は以上でございます。
これをもちまして、第5回経済的支援に関する検討会を終了いたします。どうもありがとうございました。