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経済的支援に関する検討会(第3回)議事録


(開催要領)
日時: 平成18年6月21日(水)15時00分~17時02分
場所: 中央合同庁舎第4号館共用第4特別会議室
出席者:
座長國松 孝次(財)犯罪被害救済基金理事長代行・常務理事
座長代理瀬川 晃同志社大学法学部教授

岩村 正彦東京大学大学院法学政治学研究科教授
大久保 恵美子(社)被害者支援都民センター理事兼事務局長
白井 孝一弁護士
高橋 シズヱ地下鉄サリン事件被害者の会代表世話人
平井 紀夫オムロン(株)特別顧問
荒木 二郎内閣府犯罪被害者等施策推進室長
中江 公人金融庁総務企画局総括審議官
三浦 守法務省大臣官房審議官
代理出席廣田 耕一警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者対策室長
村木 厚子厚生労働省政策評価審議官
谷 みどり経済産業省商務情報政策局消費経済部長



説明者池上 直樹厚生労働省保健局保険課課長補佐
橋本 泰宏厚生労働省年金局企画官
巽 慎一厚生労働省老健局保険課課長補佐
松嶋 賢厚生労働省障害保健福祉部企画課長

(議事次第)

1.開会

2.関連する我が国の社会保障・福祉制度
  • 医療保険制度
  • 公的年金制度
  • 介護・障害者福祉

3.自由討議

4.その他
  • 海外調査

5.閉会


(配布資料)

  資料1  警察庁資料 [PDF形式:22KB]
  資料2  国土交通省資料 [PDF形式:19KB]
  資料3  厚生労働省資料
 ・医療保険制度   [1] [PDF形式:454KB]   [2] [PDF形式:395KB]   [3] [PDF形式:476KB]   [4] [PDF形式:240KB]
 ・公的年金制度   [1] [PDF形式:125KB]
 ・介護保険制度   [1] [PDF形式:184KB]
 ・障害者福祉制度 [1] [PDF形式:459KB]   [2] [PDF形式:484KB]   [3] [PDF形式:190KB]
  資料4  構成員資料 [PDF形式:13KB]



(議事内容)

○事務局(内閣府犯罪被害者等施策推進室長) 皆さん、こんにちは。お忙しいところお集まりいただきましてありがとうございます。ただいまから第3回の経済的支援に関する検討会を開催いたします。
 本日は飛鳥井構成員、佐々木構成員は都合によりご欠席でございます。また、金融庁の者が少し遅れております。
 それでは、司会進行を国松座長にお願いいたします。

○國松座長 それでは、司会を務めさせていただきます。
 本日の議事についてでありますが、事務局からご説明をお願いいたします。

○事務局 資料の一番上にあります議事次第をごらんいただきたいと思います。
 本日は被害者施策と関連する我が国の社会保障・福祉制度ということで、医療保険制度、公的年金制度、介護・障害者福祉制度につきまして、厚生労働省から説明をしていただきたいと考えております。その後、自由討議を行いまして、最後に事務局の方から海外調査の予定につきましてご説明申し上げたいと考えております。
 議事に先立ちまして、検討会の進め方に関して、資料の一番最後のページでございますが、4人の構成員の方から意見書をいただいておりますので、この場でご議論いただければというふうに考えておりますが。

○國松座長 それでは、4人の構成員の方から出ました意見書、これにつきましては既にお手元に行っていると思いますので、この意見書につきまして、ご議論をいただきたいと思いますが、まずこの意見書に関する事務局の対応について、事務局からご説明をお願いします。

○事務局 4人の方から貴重な意見書をいただきましてありがとうございました。
 いただきました要望事項につきまして、とりあえず事務局として考えを申し上げてご議論を賜ればというふうに考えております。
 まず、資料送付の時期でありますけれども、これまでも構成員の方が検討会に先立って資料に目を通すことができますように、説明をしていただく省庁に対しまして、1週間前ということで資料の提出を求めて、資料がそろい次第、送付をさせていただいたところであります。今回はこの意見書が来る前に、関係省庁に対して6月15日までに資料提出をお願いをしたところでございます。今後は一月前というのは、ちょっと早過ぎるという感もありますので、約1週間前ということで依頼をしまして、そのかわり今回もそうだったんですが、どうしてもおくれがちになりますので、そういうことがないように、期間厳守を求めまして、またその前に届いた資料につきましては、届いた順番で構成員の方に配付するということでいかがかというふうに考えております。
 また、2回目、3回目、今日もですし、次の会、あるいはその次の会ぐらいまで、そういう関係の制度等のヒアリングみたいなセッションが続くわけでありますけれども、この制度説明の時間につきましては、基本計画におきまして社会保障・福祉制度全体の中での犯罪被害者等に対する経済的支援制度のあるべき姿、財源を検討するというふうにされておりまして、既存の経済的支援、あるいは社会保障・福祉制度全体に対する十分な理解が必要であるというふうに考えておりまして、ちょっと10分ではやや短いのかなと。20分から30分の間で、できるだけこの検討会の趣旨、目的は既に周知のとおりでありますので、それに沿った的確な説明が行われるように、依頼をしてまいりたいというふうに考えております。
 それから、最後に検討会の時間でありますけれども、一応2時間ということで設定をさせていただいておりますけれども、無制限というわけにはまいりませんが、別に2時間で終わりということでもございませんので、こういった制度の説明に続いて、いろいろなご質問なり、問題点等についてのご議論を自由にやっていただきまして、ご発言をいただければ時間が延びるということもあり得べしというふうに考えております。事務局としては、一応ご意見を伺いまして、そのような対応をしてまいりたいと考えておりますけれども、これは検討会で検討いただくべきことであると考えますので、ご意見があればお願いをいたしたいというふうに思います。

○國松座長 それでは、今の事務局案につきまして、お四方を含めご意見のある方はどうぞご発言をお願いいたします。

○白井構成員 白井ですけれども、詳しくご説明いただくということは、それは大変にありがたいことなので、私どもも全面的にいろいろな制度について詳しくわかっているわけではないんですけれども、それだけに時間を費やしてしまいますと、肝心の論点整理というところに至らないうちに時間がたってしまうと。そして、一番重要な新しい制度をどういうふうにつくっていったらいいのだろうかということを検討する時間がそれだけ圧迫されてしまいますと、何もならないんじゃないかということを考えまして、実はここでいただいた資料、あるいは説明していただいた資料をもとにして、被害者の方々ともいろいろ打ち合わせをしたり、現実にその点についてどういうふうにするのが一番いいのかということを持ち帰っては検討しということをやっているわけなんですね。
 それで、その上でできれば次の会のときまでに皆様にもご参考になるような意見みたいなものを出させていただいて、そしてまたそれについていろいろ深めていただくということをしていただく方がいいのではないかと思っているわけなんです。
 それで、既に昨年1年間やった検討会の中で、いろいろな被害者の方の要望の中、あるいはヒアリングの中で、どんなふうに経済的に困っているのかというような実態もかなり出ておりますし、またそれについてのご要望もいろいろ出ておりますので、各省庁の方々はお忙しいところ大変申しわけないんですが、全体的な制度といいますと、犯罪被害者とは関係のない部分のところも大分たくさんございますので、できればそうした被害者の方の実態に合わせたような、焦点を合わせたようなところを中心にご説明いただいて、できれば私どもの議論のしやすいような形にしていただきたいと、そういうことが要望として、1週間前というと、実のところ、それをみんなで検討するということがなかなか難しいものですから、実はこの意見書で7月26日までには大分間があるので、ご用意いただく場合にも少し間をあけて資料をご用意いただけたらというふうに思ったわけなんです。
 6月21日に対して6月14日というのは、これは仕方がないことだったと思うんですが、今後そういうことで、もし我々の方のそういう意見の文書などにつきましても、事前に提出させていただいて、検討していただけるようにということになりますと、ちょっと1週間だときついかなというふうには思っているんですけれども。

○岩村構成員 実は制度の理解というのは非常に難しいもので、今日出ている例えば医療保険、公的年金、それから介護・障害者福祉というのも、制度自体としては非常に大きな制度であり、かつまた確かに今、白井委員がおっしゃったことも理解できるんですが、他方でどうしてもある程度の全体的なイメージを持った上で議論をしないと、制度のある局面だけをとらえた形での議論ということになって、必ずしも適切な形に議論が進行しないという懸念というのを私は研究者なので、どうしてもそういう観点から考えてしまいます。そういう意味で、一制度1時間とか、そういうのは言外としても、20分程度のご説明をいただくというのは、ある程度私としてはやむを得ないのかなというふうに思っております。
 あらかじめそういう準備の時間をお持ちになりたいというのも、これもある程度それはそれのとおりだというふうに思いますが、正直申しまして、1カ月前にもらってもちょっと困るかなという部分も私的にはございます。1週間というのは確かに厳しいとは思いますが、どこかその辺の妥当なところで、ある程度もちろん準備をする側の都合もありますので、妥当なところで提出期限というものを事務局サイドでお考えいただければよろしいのではないかというふうに思います。
 それから、時間なんですが、申しわけないんですが、後ろの時間はせめて決めておいていただかないと、ちょっとスケジュールを立てようがないということになってしまいますので、延びる部分ということであるのであれば、あらかじめ時間を多目に予定しておいていただくというような形にしておいていただかないと、その後どのくらい延びるかわからないということでは、ちょっと申しわけないんですが、私としては非常に困るということがございますので、ご検討いただければと思います。

○高橋構成員 一応、前回の内閣府からの資料で、今後のスケジュールについてというところで、2回目、3回目に論点整理等と書いてありました。前回のお話を伺った後に、論点整理がなされたのかというと、なされなかったと私は思いました。これがその後のヒアリングまで、こういうペースでいくと論点はどこで出てくるのかと思いました。できれば資料を提供していただいたところで、犯罪被害者がここにどのように入り込めるのかという、あるいはどういうところが問題で入り込めないのかとか、要するに利用できるのか、できないのか、そこまでもし資料で出していただけるとしたら、それが論点整理の部分に入るのではないかと思っているんですけれども、そこら辺がヒアリングだけで終わってしまっているので、かなりこのスケジュールだとずれ込んでいってしまっているのではないかと感じています。

○平井構成員 私も意見を述べさせていただいた1人でございますが、前回の討議、そして今回の資料を拝見して、限られた時間で有効に討議をしていくという観点からいたしますと、犯罪被害者の関係のそれぞれの制度との関係といいますか、特に関係が深いところはどういう点なのか、犯罪被害者の経済的支援を検討するときにどういう点を留意するべきなのかといったような観点で、それぞれの制度について、それぞれのご専門の立場から特にお話しいただければ、より理解がしやすいのではないかというように思います。もう一つは論点整理ということでございますが、少し調べてみますと、1994年に21世紀の福祉ビジョンが出されておりますし、1995年に社会福祉の基礎構造改革が出され、そういう意味では現時点の福祉制度の全体的な改革の進め方というものが、基本的に出されているんだと理解しております。 また、2000年に社会福祉法という法の改正で、より具体的に、特に社会福祉サービスの基本的なあり方というものが出されている中でのそれぞれの制度の改定ということになるかと思うんです。そういう観点から考えますと、先ず社会福祉制度の全体の状況をご説明いただいて、その趣旨からこういう制度があって、それがこの犯罪被害者の経済的支援と関係するんだという理解が私は一番望ましいのではないかと考えます。こうした理解の上に立って、それでは犯罪被害者の経済的支援の方向はどうなのか、全体的な日本の福祉の進め方の中で検討していくことが必要だと思いますので、そういった点が私としてはご説明いただきたいなという思いで、実は意見書の前段のところで私の意見を入れさせていただきました。
 なお、時間の点につきましては、いろいろな現実を考えますと、この討議の時間、あるいは資料をいただく時期につきましては、事務局からお話しいただいた内容で私としては十分理解できる範囲と考えております。

○大久保構成員 前回もお話しさせていただいたんですけれども、各省庁からのヒアリングの中では現状報告だけではなくて、犯罪被害者等基本法を踏まえて、あるいはその基本計画に沿って考えた場合、被害者の要望に沿うような形での制度はどういうことが最大限考えられ得るのかというあたりもあわせてご説明をお願いしたいということも前回も申し上げましたし、また今もそのように思っております。
 それと、時間につきましては、それぞれ決められた時間の中でこの時間をつくっているかと思いますので、かといいましても、前回の基本計画のときも、場合によりましては時間が長引くということもありましたので、それが適宜適切な形での時間をとっていただければと思っております。

○瀬川構成員 4人の構成員の方々が意見書で言われていることはもっともだと思っております。ただ、一つだけご留意をいただきたいのは、前の検討会ですでに議論された方と今回はじめて入った方との間に理解に差があることです。私は、今回から入りましたので、比較的いろいろなこと、一般的なことを含めて知りませんので、余り性急に進められてもついていけないところがあります。これまでの議論を聞いていますと、お互いにあまり対立はないように思いますし、事務局の説明のとおりで私はいいんじゃないかと思います。先ほど岩村構成員がおっしゃいましたように、ジェネラルな部分も大事だし、また被害者にフォーカスした部分も重要です。それを10分でというのは恐らく無理じゃないかと思いますので、20分程度というのが妥当な範囲じゃないかというふうに思われます。
 それから、白井構成員が言われた1カ月前というのは、省庁としてはすごくしんどいのではないでしょうか。この点はもう少し事務局と白井構成員、あるいは4人の方々で決められて、どの程度まで可能なのかということを常識の範囲でされたらいいんじゃないかという気がいたします。
 そういうことで、この点についてあまり対立していても意味がないように思いますので、先ほどの事務局の説明は一応穏当な点は出しているように思いますので、この辺で次の議論に移ったらどうかというふうに思います。
 先ほど高橋構成員から言われたように論点が残ってしまって、あやふやに終わるのはよくないと思いますので、その点は文書なり、口頭なりで事務局を通して、各省庁に質問を出すとか、何か意見を表明するという形でされて、その後また次の会議のときに、冒頭議論するとかという形で進められたらいいんじゃないか。つまりやりっぱなしというのはよくないと思いますので、その点で詰めるところは詰めて次の段階は入るというふうに一応共通の認識にしたらどうかというふうに思います。

○國松座長 どうもありがとうございました。
 今後の審議のあり方に関することでありますので、私からも意見を申し述べさせていただきますけれども、1つは論点整理ということがありました。一つ一つ論点を整理しながら議論しなければいけないというのは当然のことであろうと思います。
 ただ、これは関係省庁に論点を整理してくれというのはおかしな話でありまして、論点整理というのは我々がしなければならないことでありますから、その都度、その都度、我々が論点を詰めていくということであって、関係省庁にお願いするのは、それぞれの制度説明をしていただくにしましても、一般的な説明だけに終始するのでなくて、被害者との関連づけといいますか、被害者対策、被害者支援との関連づけをつけながら、ご説明いただければ論点がおのずから明確になってくると、こういうことであろうと思います。関係省庁には事務局を通じて、そのような配慮を持って、今までもそうやってやっていただいておると思いますが、もっと明確にそういう意識づけをもってご説明をいただくという形にしていっていただいて、論点整理につきましては、あいまいなまま時間が徒過するということは、これは全くないように座長としても心得てまいりたいと思いますが、先ほどの瀬川構成員からも話がありましたけれども、私も今回から入ったばかりでありますので、一回一回議論を詰めようといたしますと、全体としてよくわからないということにもなりかねませんので、とにかく7月あたりまでヒアリングが入っておりますので、いろいろな話は一応聞きながら、ただ聞きっぱなしでなくて一つずつ論点を整理するというか、各人がそれぞれ論点を整理していくべきだと思います。
 被害者関係の団体の方はそれぞれお持ち帰りになって、ご討議をなさるというのは大いに結構なことでありますので、その討議を通じて論点整理をして、次回までにまた皆さんに出していただくということでやっていけば、論点の詰まらないまま時間が徒過するということはないと思います。そういうことのないように、座長としては心がけてまいりたいと思います。とにかく一応全体のヒアリングまでは話をまず聞いてみたい。
 ただ、漫然とした説明は困るし、漫然と聞いているのもよくないということであろうと思います。先ほど瀬川構成員からもお話が出ましたけれども、この問題はお互いに余り対立点があるような、そういう問題ではないと思います。一応の話を聞いた段階で、8月ぐらいからは本格的な議論を始めないといけません。そのころまでには全体像は大体わかりますから、私の方で座長として大体全体をひと当たりお伺いしたところ、こういう点が論点になるのではないかということは、その前に白井構成員とか、そういう方からいろいろなご意見も承るでしょうから、それらを踏まえて、こちらから一つの進め方として論点を整理をして、そこから精力的に議論をしていくということでやっていきたいと思います。何せ時間は限られておりますから、漫然と説明を聞く、漫然と説明をしていただくというのではだめだということはわかりますが、そこはそういう配慮の問題であろうというように思います。
 それから、資料提出期限の問題で1カ月というお話がありましたけれども、白井先生は余りお役人をおやりになったことがないので、そういう話が出るのかもしれませんが、1カ月前に資料を整理するというのはなかなか大変で、その後の変化というものもあると思います。特に医療とか介護とかという問題は、今、制度がガラガラ変わっているときでありますので、いろいろと話をお伺いしながら、なるべく早く、1週間といって1週間まで出さないというのでなくて、できているものはもっと前に出していただくということはお願いするにしても、遅くとも1週間前には全部そろえてもらうということを事務局として合意を得ながらやっていっていただければいいのではないかというように思います。
 それから、終了時間は確かにお困りになる方もおられると思いますので、これは事務局の方でもその時々のテーマによっては、延びそうか、延びそうでないかというのはある程度わかると思いますので、時間の設定は確かに早目にやって、終わりの時間が余り大幅に崩れるようなことがないように、いつも2時間というのでなくて、場合により3時間を予定しておくとかというような形でやりながら、少し含みを持たせながらやっていくということにした方がいいのではないかと思います。ただ、余り議論がある程度白熱した場合には若干おくれることだけは、これは仕方がないんじゃないかと思いますので、そこは臨機応変やっていくべきではないかと思います。
 基本的には、さまざまなご意見がありましたが、おおむね事務局意見に沿った形にはなるかもしれませんが、漫然とした議論をしないといいますか、説明を聞かないということにお互い留意しながら議事を進めていけば、それでよろしいのではないかと思いますが、いかがでございますか、何か引き続きご意見がある方はお願いいたします。
 よろしゅうございましょうか、大体そういうことで今後やってまいりたいと思います。
 それでは、本日の議題である関連する我が国の社会保障・福祉制度という問題について、各省庁の説明に移りたいと思います。
 まず、医療保険制度についてでありますが、厚生労働省の保険課の課長補佐の池上さんからご説明をお願いいたします。

○説明者(医療保険制度/池上厚生労働省保健局保険課長補佐) よろしくお願いいたします。
 今、ご議論ございましたように、限られている時間……。失礼いたしました。
 ただいまお話がございましたように、社会保障制度、医療保険制度もそうでございますけれども、全体について触れざるを得ないと思います。どういった思想で成り立っているのか、費用はどのように賄われているのか、そういったことも触れながら、ただ漫然と説明するということではなく、なるべく犯罪被害者の方に関係の深い給付の内容がどうなっているかとか、そういったことを重点を置いてご説明をしたいと思います。
 それから、最後の方で資料をつけてございますけれども、幾つか具体的に論点をお出しいただいている点があろうかと思います。それについての私どもの考え方を最後の方でご説明させていただければと思います。よろしくお願いいたします。
 資料をごらんいただきますと、まず1ページのところで医療保険制度の沿革ということでご紹介してあります。大きく健康保険制度、それから国民健康保険制度、老人保健制度と3つに分かれているわけですけれども、それぞれ例えば健康保険制度でありますと、昭和2年から実施されているというようなものです。一部負担金について、中心に経緯を説明してございますけれども、被用者保険については順次医療費の増大に伴いまして、また患者のコスト意識を喚起するという観点から、一定のご負担をいただくように制度を見直してきているところでございます。
 続きまして、2ページ目をごらんいただけますでしょうか。
 こちらはそれぞれ国民の皆様がどういった制度に加入しているかということを説明する資料でございますけれども、ご承知のように我が国は皆保険制度をとっております。一部の例外、生活保護を受けているような方を除きまして、基本的にはすべての方がどこかの医療保険に属して、いつでも必要な医療を受けることができる制度というふうになっているところでございます。制度として大きく2つに分かれますけれども、お勤めの方とそれの被扶養者の方が加入する被用者保険の仕組み、それからそれ以外の方々が加入する地域保険である国民健康保険という二本立ての仕組みでございます。加入の割合をごらんいただきますと、政府が勧奨しております健康保険、これが約4分の1、それから健保組合と呼んでおりますけれども、組合勧奨の健康保険が同じく4分の1くらい、そのほか公務員の加入する制度等もございますが、あと多いのは、その市町村が運営する国民健康保険で、これが約40%というふうになってございます。
 3ページ目に医療保険制度がどういう仕組みで成り立っているのかというのがちょっと図示してございます。ご承知の部分もあるかと思いますけれども、簡単にご説明させていただきます。
 左上の方に患者さんの絵がかいてありますけれども、こちらの方は定期的に保険料を保険者の方にお納めいただくと。社会保険制度は保険料で支えられている仕組みでありますので、保険料を支払うということが給付を受ける条件になっております。そういった方が傷病で医療を受ける必要が生じた場合に、これは医療機関の方に行きまして医療を受けるわけですけれども、その際自己負担は現役世代ですと原則3割、それから高齢者の方ですと現在原則1割というふうになっております。残りの費用の負担はどうなるかということですけれども、病院の側から保険者の側に残りの費用の請求を行うということになっております。費用の請求はあらかじめ定められた価格表みたいなものに基づいて請求を行って、保険者はその内容が適正なものであるか、審査をした上で支払うということになっております。
 この制度ですけれども、疾病とかけがを負った場合、そういった場合のリスクを国民全体で広く分散するために、あらかじめ保険料を納めて、必要なときに給付を受けるという仕組みで成り立っております。この場合の疾病ですとか、あるいはけがを負った理由については、制度としては特段区別を設けておりません。病気になった、あるいはけがを負ったという事実のみに着目して、そこのリスクを国民全体で分散していくという仕組みになっているところであります。
 次のページをごらんいただきますと、どういった給付があるかということが書いてあるわけですけれども、一番大きいのは、一番上に書いてあります療養の給付、医療サービスの給付ということであります。これは以前は被用者保険である健康保険とそれ以外の国民健康保険で給付率がばらけていたりということもあったんですけれども、平成14年以降、7割給付ということでまとまっております。ただ、3歳未満についてはそれが8割給付、70歳以上については9割給付という若干の例外の取り扱いがございます。
 それから、一つ飛ばしまして「高額療養費」というふうに書いてある欄がございますけれども、これは基本的には3割なり1割の定率負担をお願いしているわけでありますけれども、そういった負担では非常に医療費が高額になってしまうというような場合につきましては、保険制度の方から一定の金額以上については、高額療養費という形でさらに給付を行うということになっておりまして、医療にかかる費用が家計に過重な負担とならないような配慮を設けているところであります。ちょっと具体的には細かくなりますので、省略いたしますけれども、例えば長期に入院して4カ月以上入っているような場合につきましては、4カ月目以降はさらに低い限度額を設ける等の配慮をしているところでございます。
 それから、下半分が現金給付ということでいろいろ書いてありますけれども、これは医療サービスの提供以外の部分について、必要な給付を行っているところであります。下から2つ目のところに傷病手当金ということで書いてありますけれども、これは例えば犯罪被害による場合も当然含みますけれども、傷病によって働くことができなくなったような場合には、医療保険の方から今ですと平均賃金の6割相当、これは19年4月から3分の2相当に引き上げられますけれども、最長で1年6カ月、医療保険制度の方から補てんを行う仕組みとなってございます。
 こういった給付を行う財源がどうなっているかということですけれども、次のページをちょっとごらんいただけますでしょうか。
 医療費の動向ということで書いてあります。ご承知のように、我が国は高齢化が進んでおりまして、それに従いまして国民医療費の伸びというのも改革努力を行わないと、どんどん、どんどん伸びていってしまうという状況にあります。近年、いろいろな改革を続けておりまして、国民医療費の伸びは比較的穏やかになっているところではありますけれども、それでもやはり国民所得に占める医療費の割合というのは、安定的にふえているという状況であります。これらの費用はどのように賄われているかと申しますと、基本的には先ほど来申し上げているように、保険制度に加入する加入者の縦枠の保険料、それと財政力の弱い保険者については国費であるとか、あるいは市町村から公費で補てんを行うということをしているところであります。
 それから、ちょっと最近の動きのご紹介をさせていただきますと、6ページのところをごらんいただけますでしょうか。
 先週の水曜日に、おかげさまで改正法案が国会で成立いたしましたけれども、長期的に持続可能な仕組みとしていくために、医療保険制度の改革を今国会において議論していただいたところでございます。柱としては、3つほど左側に太字で書いてありますけれども、安心・信頼の医療の確保と予防の重視、これは患者さんに必要な情報をなるべく医療機関側が提供していくようにしよう。あるいは在宅医療を充実していく。地域における医師の偏在をどのように対応していくかといったような話、それから生活習慣病対策をしっかり進めていこうということに取り組んでいるところであります。
 それから、2番目の柱といたしましては、医療費適正化の総合的な推進ということで書いてありますけれども、これは2つありますけれども、中長期的には国民の健康づくりをサポートする。それから、過剰と思われるような病院のベッド数の削減を進めていくといった取り組みを進めまして、中長期的に医療費を適正化していくということを考えています。
 それから、なかなか厳しい財政状況でございますので、給付の重点化を図るという観点から、公的保険給付の内容ですとか範囲の見直し、これは短期的な対策ということだと思いますけれども、そういったことに取り組んでいるところであります。
 それから、3つ目といたしましては、直接国民の皆様とのかかわりは若干薄くなりますけれども、保険者について安定的な運営を行えるよう、さまざまな見直しを行っているところであります。対応する法律改正につきましては、右側の方で書いてありますので、ごらんいただければと思います。
 7ページの方は、先ほどご紹介した医療費適正化にどのように取り組んでいくかということが書いてあります。
 これまで国が中心となりまして、医療費適正化ということに取り組んでいたんですけれども、今回は都道府県にも参画していただいて、それぞれができる役割を果たしていこうというふうに考えているところであります。
 8ページをごらんいただきますと、先ほど短期的対策ということでちょっとご紹介申し上げましたけれども、それの具体的なメニューについて書いてあるところであります。
 9ページ以降は、犯罪被害に遭われた方々について、どういったことが考えられるかということで考え方の整理をいたしております。
 まず、患者の一部負担金についてでございますけれども、医療保険制度、これは国民全体で病気とか障害に対するリスクの分散を図っていくという仕組みになっています。そういう制度の成り立ちを考えた上で、病気をして医療を受けた場合には、医療を受けた方とそうでない方との負担のバランスを図る。それから、患者のコスト意識を喚起するという観点から、一部負担金の支払いを求めているところでございます。一方、特別な事情があって病気になったり、あるいはけがを負ったりというケースも多々あるわけでございますけれども、犯罪被害者に対する場合につきましては、現在その法律に基づきまして、一部負担金相当額が支給されているものというふうに承知しております。
 ちょっと参考で書いておりますけれども、結核とか感染症とか、特別な公衆衛生的な立場から治療を行う必要のある疾病、あるいは原爆の被爆者の方ですとか障害者とか、国として特に保護を要する方々に対しましては、特別な法律を立法いたしまして、これは保険料ということではなくて、公費負担によって患者の一部負担金の減免が図られているところでございます。
 ちょっとご紹介いたしますと、10ページをごらんいただきますと、これもことし新たに立法措置されたアスベストによる健康被害、これが救済制度の仕組みでありますけれども、仕組みといたしましては、まず医療保険の方で必要な給付を行った上で、なお残る一部負担金の負担をこういった特別の制度で穴埋めするという措置を講じております。
 ちなみに、この必要な費用は絵のすぐ上の2行のところに書いてありますけれども、国からの交付金、地方自治体からの拠出金、あるいは事業者からの拠出金という形で賄われているところであります。
 次をおめくりいただきますと、これは一般的に難病と言われるような原因が不明であって、治療の仕方も確立していないというものでありますけれども、これについても同じく補助金という形で一部負担金の負担を減免する措置が講じられているところであります。
 ちょっとくどいようですけれども、12ページをごらんいただきますと、こちらは障害者の方の医療ですけれども、同じく公費で一部負担金を減免する措置が講じられているところであります。
 ほかに類似するかもしれない例といたしましては、医薬品の副作用被害というものもありますけれども、そういったものについても同じく医療保険の方からは通常のルールにのっとって給付が行われて、その上でなお残る一部負担金について、公的に補い合う仕組みができているところでございます。
 それから、13ページをごらんいただきますと、医療保険利用の利便性確保についてということで資料を出しております。こちらの会議、あるいは前身の会議でご指摘があったと思いますけれども、犯罪被害に遭われた方が医療機関で普通に保険診療を受けることがなかなかできない、できにくいというようなお話をいただいていたところであります。これについては、当然に医療保険が適用されるべきものでございますので、下の方に書いてございますけれども、医療機関への指導を徹底するように、医療機関を監督する立場にあります社会保険事務局を集めた会議で、そのようなことのないように周知を図ってまいりたいと考えております。
 医療保険制度については、以上でございます。

○國松座長 どうもありがとうございました。
 ただいまの説明につきまして、質問等がございましたらお願いをいたします。

○白井構成員 白井ですが、社会保険での健康保険と国民健康保険と大きく分けてありますよね。それで、健康保険を使って治療を受ける場合に、加害者側に払ってほしいということを何度も病院の方に申し上げたんだけれども、それはまず病院に払うのはあなただからということで、何年間にもわたってその病院からの請求を受けてしまって、大変苦労したという、そういうケースがありまして、私どもは余り詳しくないんですけれども、第三者障害という、何かそういう届け出をすれば、自己負担分も含めて、全部加害者側の方から払ってもらって、被害者は一銭も払わなくてもいいというような、そういうことはできるんでしょうか。

○池上厚生労働省保健局保険課長補佐 現在の制度をご説明申し上げますと、基本的には一部負担金の支払い義務というのは、実際に医療を受けた方にそこは生じてしまいます。それとあわせて、健保組合とか、保険者の方も病院側に残りの費用を払うという状況になっているわけであります。こういったところは、別に原因者がいて、そういう傷病を負ったという事情がある場合に、保険者はまず一たん医療機関側に費用を支払った上で、第三者求償ということで、原因者の方にその費用を請求していくということになります。被害者の方も、同じように一たんお支払いいただいた上で、原因者の方に請求していただくと。ちょっとこれは仕組み上、そういうふうに手続をとっていただくしかないのかなというふうに考えております。

○白井構成員 そうすると、第三者行為による疾病届けというんですか、そういうものを仮に出したとしても、一たんは請求されたら払わなきゃならないということですか。

○池上厚生労働省保健局保険課長補佐 はい、医療機関側がこれも一応運営をしていく立場にございますので、医療機関側はまずは実際に医療サービスを受けられた患者さんに費用をお支払いいただくというのはやむを得ないのではないかなと思いますけれども。

○白井構成員 それから、先ほど現金給付という項目の中に傷病手当金というものの支給があれで書かれていて、市町村については任意給付なので、市町村についてはそういう制度が設けられているところがないということになりますと、健康保険の方はそういう制度の利用ができると、それは第三者行為による届け出をする、しないにかかわらずできるわけですよね。

○説明者(医療保険制度) はい。

○白井構成員 国民健康保険の方はそれはないと。

○説明者(医療保険制度) 国民健康保険の方は自営業の方ですとか、あるいは年金受給者の方とか、いろいろな特性を持った方が加入している関係上、必ずしも皆さん勤労収入みたいな安定的な収入があるとは限らない。その事業収入で、ある年は黒字になることもあれば、ある年は赤字になることもあると。そういった中で、傷病を負った場合に所得補償をどのくらい行うかというのは、これは非常に合意形成が難しいんだと思います。市町村が任意で仕組みを設けることはできるようにはなっていますけれども、ちょっとそういうバラエティに富んだ方々が加入しているという背景があって、広がっていないのかなと思っています。

○國松座長 よろしいですか。
 今、白井構成員から出た保険請求、被害者だけやるというのもちょっと負担が重いというような場合について、どうするかという問題はまさに論点の一つだろうと思います。我々は現行法の解釈をやるだけではなくて、どういう仕組みをつくるかということも議論していくわけですから、今の点は今後何らかの段階で、一定の条件をつけて、加害者に直接請求するような形ができないものかというのは、また議論の対象になってくると思います。今日はとりあえずそういう論点があるなというぐらいのところで、よろしいんじゃないかと思いますけれども、ほかに何かございますか。
 よろしいようでしたら、どうもありがとうございました。
 引き続きまして、公的年金制度について、厚生労働省の橋本年金局企画官にご説明をお願いいたします。

○説明者(公的年金制度/橋本厚生労働省年金局企画官) どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、お手元の公的年金制度についてという資料に沿いまして、なるべく簡潔にご説明させていただきたいと思います。
 1ページ目をおめくりいただきますと、年金制度の意義ということで書かれてございますが、公的年金制度は私的な年金制度とは違いまして、いわゆる世代間扶養というふうに呼ばれております。ないしは社会的な仕送りというふうな言い方をすることもございます。最初の2行がございますが、老後の生活を世代が順送りで支え合うということと、それから若いうちに障害を負われたとき、あるいはお亡くなりになった場合でも、本人や遺族の生活を支えると、そういうふうな機能を果たすものでございます。
 それから、その下2行飛ばしまして、社会保険方式をとる我が国の公的年金制度は、すべての国民の方々に保険料を負担していただいて、それを財源として老齢、障害、死亡という稼得能力の喪失、そういう保険事項というものに対しまして、障害、死亡等に至った個々の事情によって区別することなく、過去に保険料を拠出されたその実績に応じた給付を行うと、こういうふうな仕組みでございます。こういうふうなものを私どもは社会保険方式というふうに呼んでございますけれども、それぞれの方が保険料をご負担をいただきまして、その保険料の納付実績のもとに応じた給付をさせていただくというふうなことでございます。こういうふうな世代間扶養の仕組みによりまして、賃金ないし物価の動向に応じまして、年金の額をスライドさせていきまして、いわゆる物価スライドとか賃金スライドということで、実質的な年金の生活への貢献といいますか、生活を支えることのできる年金の額というものを維持していくというふうなことでございます。
 それで、制度体系でございますけれども、全国民が国民年金というふうな制度に入りまして、全国民に共通の基礎年金というふうなものを支給すると、これが土台をなす、我々はよく1階というふうに呼んでおります。この1階の上にサラリーマンでありますと、あるいは民間サラリーマン、あるいは公務員でありますと、その上に2階というふうに呼んでおります厚生年金とか共済年金というふうなものが乗っかるというふうな仕組みになってございます。
 2ページ目のところをごらんいただきたいと思います。
 絵がございますけれども、年金制度の体系ということで、下の方に色がついておりますところがいわゆる基礎年金の部分でございます。ここの部分につきましては、自営業の方であれ、民間サラリーマンの方であれ、公務員の方であれ、共通のものということでございます。その中で、特にサラリーマンになっておられる方の場合には、その上に厚生年金なり共済年金というものが乗ると。それから、この厚生年金なり共済年金に入られている被保険者の方々の奥さんが多うございますけれども、扶養されている配偶者、そういうふうな方々の場合には、第3号被保険者と呼びまして、一番左のところに書いてございますけれども、約1,000万人の方が基礎年金だけを充足という形で措置がなされております。これの上に企業年金、あるいは任意加入であります国民年金基金、そういったものが上乗せされているという状況でございます。
 3ページ目の方をおめくりいただきまして、年金制度をお金の流れで概観したものでございますけれども、何十兆円というふうなお金の給付でございますので、にわかにちょっとなかなか感覚がつかみにくいものかと思います。左の上のところに、国民年金の制度加入者ということで、約7,000万人の方がお入りになっていると。それから、受給権をお持ちの方が約3,000万人いらっしゃるということで、約1億2,000万人の国民がいるわけでございますが、約7,000万人の現役、支える側の人間が約3,000万人の受給権者を支えていると、こういうふうな状況だというふうにご理解いただければと思います。
 それから、大体の年金額の目安でございますが、真ん中やや下あたりに、基礎年金(40年加入)で月額約6万6,000円と書いてございます。厚生年金で夫婦2人分の標準的な年金額というふうに書かれてございますが、要は厚生年金に40年間お入りになった方で、ご本人と奥さんの2人分の基礎年金、つまり2人分の基礎年金とご本人の分の厚生年金、これを足したものが大体月額23万円ぐらいというのは、今の男子サラリーマンの平均的な報酬額に応じた計算式で出てくる額というふうなことでございます。
 それから、4ページの方にまいりまして、若干歴史的な沿革を書いてございます。
 簡単にしておきたいと思いますが、要は戦前の時代から制度としては始まりまして、昭和30年代に国民年金ができたことによりまして、国民全員が公的年金制度をカバーすると。私どもはよく国民皆年金というふうに呼んでおりますが、そういうふうな制度になったわけでございます。その後、経済成長に対応した給付改善というものを行い、それ以降また低成長時代に入りましてから、いかにして制度間を公平にしていくか、あるいは持続可能な制度にしていくかというふうな種々の改革を重ねてきてございます。
 一番下に平成16年のところでいろいろ書いてございますが、最も直近に行った制度改正でございまして、この中で保険料の段階的な引き上げ、あるいは給付水準の適正、それと基礎年金の国庫負担の割合の引き上げ、それから積立金の活用、そういった種々の対策を講じまして、より持続可能性を高めたというふうなところでございます。
 それで、5ページ以降が個々の年金を少し簡単に説明したものでございます。5ページ、6ページは老齢年金の関係でございまして、老齢年金につきまして、基本的には最低限、25年間の期間保険料をお納めいただくということが基本的な支給要件でございます。そして、基礎年金につきましては65歳から支給、それからその上に乗ります報酬比例の老齢厚生年金の方につきましては、現在は徐々に支給開始年齢を引き上げている最中でございまして、ゆくゆくは基礎年金と同じ65歳から支給というふうな格好になってまいります。具体的に支給開始年齢を引き上げていくスケジュールは6ページに資料としてつけてございますので、後ほどごらんいただければと思います。
 それから、7ページでございますが、公的年金は物価スライドということで、物価に応じて上下をする仕組みになっております。18年の年金額につきましては、前年の消費者物価指数に応じてスライドさせるということでございますので、17年の平均の消費者物価指数が0.3%マイナスになったことを受けまして、ことしの4月分からの年金額を0.3%引き下げてございます。
 それから、8ページからは今度障害年金でございまして、この辺から少し犯罪被害者の方々の生活とかかわりが深くなってくるかと思います。
 まず、障害基礎年金でございますけれども、被保険者としての期間、あるいは60歳を過ぎた後、65歳という基礎年金を受け取るようになるまでの期間、その間に初診日がある、そういう傷病によりまして、何らかの障害を負ったと。そして、初診日から1年6カ月たった日、ないしは1年6カ月はたっていないけれども、治ったということで症状後退が見られたというふうな日でございますけれども、これを障害認定日というふうに呼んでいまして、その時点で1級ないし2級という障害の状態にある場合に要件に該当するということで支給の対象になるわけでございます。
 この障害の状態とあわせまして、注にございますけれども、保険料の納付要件というふうなものがございます。つまり国民としての保険料の納付義務を怠っていなかったかどうかということが問われるわけでございまして、1つは初診日の属する月の前々月までの保険料を納付しなければならない期間の3分の2以上を納めているかどうか。逆に言うと、3分の1以上の期間の未納がないかどうかということが一つの条件になっております。
 それから、もう一つの特例措置といたしまして、全体としては3分の1を超える未納期間があるとしても、直近の1年間だけを見てみまして、初診日の属する月の前々月までの1年間で未納がないと、滞納がないというふうなことであれば支給をいたしますというふうな格好になってございます。
 それから、通常の障害基礎年金はこういった条件で支給しているわけなのでございますが、幼くして障害を負われると。つまり20歳という国民年金に入られる以前の若いときから障害になるというふうなケースもございます。こういう場合にも、障害基礎年金の支給対象としておりまして、それからこの場合にはまだ一度も保険料を納めないうちに、初めから障害者という形で国民年金の制度に加入してこられるというふうな格好になってまいりますので、一定の所得制限を設ける形になってございます。ここにございますが、所得が360.4万円を超える場合には2分の1を支給停止、それから462.1万円を超える場合には全額支給停止というふうな形で、2段階での支給停止を行っております。
 それから、額につきましては先に2級の方を申し上げますが、老齢基礎年金の満額と同じ額の年額79万2,100円、これに子供加算がつきますが、これが2級の場合の額でございます。1級の場合にはこれに1.25倍を掛けるというふうな額になっておりまして、1級の場合には約99万円の年度額になってございます。
 それから、1ページおめくりいただきまして、9ページでございますが、こちらは障害厚生年金でございます。
 障害厚生年金は基本的にいわゆる1階部分が障害基礎年金が出ている方に対しまして、上乗せの2階建ての部分として出されるものでございますが、この下の等級の例というところで書いてありますように、3級というのが障害厚生年金の方にございまして、基礎年金の方には3級というのはございませんので、3級に該当する方の場合には厚生年金だけの単独支給というふうな格好になってまいります。障害等級につきましては、いろいろ細かくご説明させていただきますと、物すごい時間がかかってしまいますので、代表的なものだけ書かせていただいておりますが、例えば1級というのはどんなイメージかといいますと、両手がないとか両足がない、それから両眼の矯正視力の和が0.04以下とか、そういうふうな格好で、それぞれの機能に応じて書かれてございます。それから、2級でいきますと片手がない、あるいは片足がない。それから、両眼の矯正視力の私が0.05以上0.08以下とか、こんなふうな格好になってございます。
 それから、今度は10ページと11ページが遺族年金の関係でございます。
 こちらの方は被保険者の方がお亡くなりになったというふうな場合に、後に残された遺族の生活を支えるというふうな目的で支給されるものでございます。遺族基礎年金のところの支給要件の(1)と(2)というところが本来ならば老齢年金をいずれはもらうというつもりで年金制度に入っていた方が老齢年金を受け取る前に亡くなってしまったというふうな場合のケースでございます。それから、(3)、(4)というふうに書いてあるものというのは、既に老齢年金という形で受給を始めている方が先にお亡くなりになって、後に年老いた夫婦のうちの片方が残されるというふうなパターンのときに、遺族基礎年金という形で支給が継続されると、そういうふうな形で見ていただければいいと思います。
 それから、先ほど障害年金のところで、3分の1の期間を超える未納がないということ、あるいは直近1年間で未納がないというふうなことが要件になるというふうに申し上げましたが、遺族年金の場合にも同じ要件がかかってまいります。
 それから、支給対象者でございますけれども、死亡した者に生計を維持されていた遺族ということで、子のある妻、あるいは子供ということで、お父さん、お母さんと一緒に生活している間は子供の方の受給権の方は支給停止といった形がとられます。
 それから、年金額でございますけれども、79万2,100円ということで、老齢年金の満額と同じ額が基本になっております。
 それから、遺族厚生年金がこの11ページの方でございますが、支給要件といたしましては、いずれ老齢年金を受け取るつもりで入っていた方がお亡くなりになったような(1)、(2)のようなケース、それから既に障害年金、あるいは老齢年金を受給されていて、その方に扶養されていた方が後に残されるケースというふうな格好にそれぞれ分かれてございます。
 それから、支給対象者でございますが、子のある妻、あるいは子、それから子のない妻、孫、それから夫、父母、祖父母ということで、若干基礎年金に比べますと厚生年金の方が範囲としては広うございますけれども、子のある妻ないし子というふうな、基礎年金と同じ受給権者に受給権が発生する場合には、以降の順位の者には受給権は発生しませんので、そこの仕組みは基本的に遺族基礎年金とそれほど大きく変わるわけではございません。
 それから、選択方法というところで3番に書いてございますが、これは現在どうしても男性と女性との間で現役時代の給料のもらっている額に現実の問題として相当差がございますので、それに応じて報酬比例の年金であります遺族厚生年金には、大きな男女差がございます。
 これをどうするかということで、現在の遺族厚生年金というのは、亡くなったもともとのご本人の方の老齢年金の4分の3の額が遺族厚生年金というふうに設定されておりまして、それを受給するか、あるいは残されたご自身の老齢厚生年金の方を受給するか、あるいは遺族厚生年金の3分の2の額と自分の厚生年金の2分の1の額を足した額を受給するか、この3つの中から選ぶというふうな仕組みに今なっております。
 実は来年の4月からこの仕組みがまた変わりまして、今度はみずからの老齢厚生年金というものを満額を受給するということを前提にいたしまして、現行制度の給付水準よりも、自分の厚生年金が低くなってしまっている場合には、その差額を遺族年金としてお支払いするというふうな仕組みに変わることになってございます。
 それから、12ページは現在どのくらいの額が実際に支給されているかということを示したものでございます。
 それから、13ページが他制度との併給調整の関係でございまして、労災の支給額、それから雇用保険の方の失業給付、こういったものとの併給調整がございます。
 それから、一番下に注でございますが、犯罪被害者等給付金支給法に基づきます給付金につきましては、併給の調整対象外としておりますので、それぞれ満額の支給対象になります。
 最後のページでございますが、最初に公的年金制度の考え方をご説明しましたように、すべての国民の方々に対して保険料のご負担をいただきまして、それを財源として老齢、障害、死亡という稼得能力の喪失ないし減退ということに対して、まさに個々の事情に区別することなく、納付実績に応じた給付を行うというふうな仕組みでございますので、犯罪被害に遭われて、そこで障害を負われたり、あるいは亡くなったりというふうな場合に対しましては、先ほど3分の1を超える未納がないとか、あるいは過去直近1年間に未納がないとか、こういうふうな障害年金、あるいは遺族年金のそういう支給要件をクリアする場合には、こういった障害年金なり遺族年金の制度がございまして、給付金の方と相まって生活を支えていると、こういうふうな状況でございます。
 以上でございます。

○國松座長 ありがとうございました。
 この公的年金給付のことにつきまして、ご質問等があればお願いしたいと思いますが、これはまた後ほどといいますか、かなり議論になる部分だと思いますけれども、どうぞ白井構成員、何かありますか。

○白井構成員 毎回で申しわけないんですけれども、まず障害基礎年金の方なんですが、20歳以上60歳未満の方が犯罪によって障害を負った場合は、国民年金の基礎年金の方はこの対象にはならない。

○説明者(公的年金制度) これは国民年金の被保険者期間中というふうに書いてございますが、まさに国民年金の被保険者期間というのは20歳以上60歳未満というのが被保険者期間でございますので、この期間中の障害を負われた方については、当然基礎年金の支給対象になってまいります。あえて「または」でその後書いてございますのは、老齢基礎年金が65歳から支給なわけですけれども、老齢基礎年金を受給し始めるまでの間、つまり国民年金の被保険者の期間は終わったけれども、まだ老齢基礎年金の受給を始めてない期間、この期間が60歳以上65歳未満の期間でございますので、その部分をあえて別に書いてあるというふうなことでございます。ですから、ご質問いただきましたように、20歳から60歳までの期間につきましては、当然老齢基礎年金の保障の対象でございます。

○白井構成員 障害基礎年金の。

○説明者(公的年金制度) はい、そうです。

○白井構成員 1と2だと1は被保険者期間中または被保険者の資格を失った後65歳、被保険者期間中というのに入るということですか。

○説明者(公的年金制度) はい、そうでございます。

○白井構成員 わかりました。
 それで、厚生年金じゃない方の人は1級と2級で、厚生年金に入っている人は3級も。

○説明者(公的年金制度) 3級の方がより軽い障害なわけでございますけれども、それも対象になっていると。

○白井構成員 それと、死亡した場合の実は浜松についせんだってテレビでもやりましたけれども、ブラジル人にレストランを経営していたご主人を殺されちゃって、犯人がブラジルに帰っちゃったという、その方の相談がありまして、そういうような場合は自営業ですから国民健康保険ですよね。国民年金ということだと思うんですけれども、そういうような場合はお子さんが成人しているんですけれども、これは遺族年金というのはどうなるんですか。

○説明者(公的年金制度) 第1号被保険者の場合には、そういう自営業者の方の場合には子のある妻というものに該当しない場合のことをおっしゃっているんだと思いますので、寡婦年金というふうな第1号被保険者特有の仕組みというのがございまして、第1号被保険者としての期間が25年ある方が老齢基礎年金を受給せずにお亡くなりになったと。婚姻期間が10年以上ある配偶者の方であります場合に、60歳から64歳までの間支給すると。65歳からはご自身の老齢基礎年金があるわけでございますけれども、そういった仕組みが第1号被保険者に限ったものとして、ちょっとこの資料の中にはございませんが、別途ございます。

○白井構成員 それはまた別にそういうのがあるということですか。

○説明者(公的年金制度) はい、寡婦年金というのがございます。

○平井構成員 ちょっと1点だけ、13ページの犯罪被害者の給付金と国民年金法に基づく給付の調整はされないということの考え方でございますけれども、これはいわゆる犯罪被害者の給付金が社会保険として位置づけてないからということでいいんですか。

○説明者(公的年金制度) 先ほど申し上げた老齢、障害、遺族の公的年金給付というのがまさに一般制度といたしまして、老後、あるいは障害を負ったときの生活の基本的な部分に対応する仕組みというふうになっておりますので、ある意味先ほど来申し上げているように、どういう事情でそういうふうな状況になったかというところを問わない仕組みになっているわけでございます。
 それから、もともとこの年金というものと犯罪被害者に対する給付金というものの支給目的、趣旨、目的というふうなところが同じではないというふうなところで、併給調整の対象外ということかと思います。それに対しまして、労災給付ですとか失業給付というところは、全く同じ目的でやっているわけではございませんけれども、ただある状態が生じるに至った原因といいますか、そういったところに着目しましたときに、いろいろと共通するところも出てくるというところで、これを調整しない場合には、いろいろな別の不合理も出てくるというふうなことで、あえて調整をさせていただいているということでございます。

○平井構成員 確認ですが、したがって社会保険事業といいますか、社会保険として位置づけられるものと、いわゆる福祉サービスといいますか、そういう考え方で位置づけられる仕組みと、それぞれ違うところに位置づけられているものについては、お互いの調整が基本的になされないと考えていいんですか。別にこの件だけではなくて、全体的にそういう考え方で社会福祉の考え方が整理されているという考えでいいんですか。

○説明者(公的年金制度) 保険料というものを財源とする社会保険の仕組みをとるか、あるいは公費財源という形での仕組みをとるか、そこのところというのはまた別途のいろいろなもの、要素も含めて制度設計がされている部分でございますので、保険と福祉は調整の対象外ということで、そこまで思い切った形で言い切れるかというと、ちょっとそこのところはまたいろいろな要素を考えなければいけない要素があるのかなというふうには思います。

○岩村構成員 今ご説明があったとおりなんですが、ちょっと補足しますと、社会保険かそうでないかできれいに分かれているわけではございませんで、各制度ごとの趣旨、目的によって、年金なら年金の給付にさらに上乗せする形で支給するのか、それとも調整の対象にするのかということが決まっているというふうに申し上げる方がよろしいのかなというように思います。有名な例では、児童扶養手当が公的年金の調整対象になりますが、児童扶養手当については、あれは社会保険ではございませんで、公費で義務的にやっているという例ですけれども、調整の対象になっているということもございますので、一概に社会保険かそうでないかということで決まるということではないというふうに考えられると思います。
 それと、ちょっと私の方からお伺いしたい点がございまして、2点ほどなんですが、第1点は基礎年金については、例えば障害年金にしても遺族年金にしても、障害の20歳前は除いて、一定の保険料納付の要件、あるいは納付者の要件というのが受給に必要であるということになっております。これは犯罪被害者の場合には限られないので、年金制度ですからそういうふうになっちゃっているんですが、免除を受けないまま保険料が未納になっていて、障害に陥ったり、あるいはご本人が死亡した場合、遺族の方に対する年金の支給というのはどういうふうになるのか、何かそういった場合について、年金制度ではなくて、何かその外で何かやるという例があるのかということをひとつお伺いしたいということです。
 それから、もう一つはこれも犯罪被害者に限られない、特に遺族基礎年金固有の問題、制度設計そのものの問題なんですが、10ページの資料で支給対象者として、子のある妻ということになっておりまして、妻については子があることが要件になっていると。しかし、逆に言うと子のある夫というのは支給対象にならないんですね。例えば、何らかの事情で障害年金などをもらっていないけれども、働けない事情がある夫がいて、妻がその夫を扶養していたという例で子供がいるというときに、妻が例えば死んでしまったというときには夫には年金は支給されないという理解でよろしいでしょうか、その2つでございます。

○説明者(公的年金制度) それでは、1点目でございますけれども、いわゆる保険料納付要件というところに引っかかる形で、障害年金の受給、あるいは遺族年金の受給ができないケースということが実際にございます。
 それで、そういった方々の中で、いわゆる過去に国民年金制度というものが20歳から60歳までの方に対して全員が強制加入という格好でなくて、一部の方に対しては任意加入というふうな仕組みをとっていた時代がございました。例えば、学生の方々につきましては、つい比較的最近まで任意加入とされておりましたし、それから昭和60年まではいわゆる専業主婦の方については任意加入という格好になっていました。
 実はそういった方々はもちろんご自身は加入していなかったわけですので、保険料を納めていなかったわけなんですが、ただ加入そのものが任意であったがゆえに入らずにいて、そして保険料を納めなかったということで、そういった期間中にけがをしたり、あるいは亡くなったりということが生じたときに、障害年金、あるいは遺族年金とも支給されないと。特に障害年金が問題になったわけですけれども、この障害年金の無年金の問題が議論になりまして、そういった国民年金制度というものが20歳から60歳まで全員強制加入になるという現在の姿が完成する以前の問題として、そういう発展過程の中で任意加入していなかった方々については、特例的に保険料を財源とするものではなくて、全額公費で特別障害給付金というものを支給するということが一昨年議員立法がなされまして、これに基づきます給付というものが昨年から始まってございます。したがいまして、いわゆる先生がおっしゃったような通常の保険料納付を怠っていたと、本来受けられるのに免除の手続をせずにいたとか、あるいはいわゆる十分所得があるにもかかわらず納めずにいたというふうな、そういう未納の方々ではなくて、かつての任意加入時代の学生、あるいは専業主婦の方については、別途の公費負担によります手当というふうな制度がございます。それが1点目でございます。
 それから、2点目の方の子のある夫の方の問題でございますけれども、ここの問題につきましては、障害基礎年金の方だけでなくて障害厚生年金の方につきましても、死亡当時、55歳以上だったということが夫については要件とされているわけでございまして、ここら辺は男女で取り扱いが違うという問題は、ほかのいろいろな年金制度をめぐる男女のいろいろな問題とめぐって指摘もあるところではございます。現状、こういうふうになっているというところでございまして、いろいろご指摘があるということは事実でございます。

○白井構成員 ありがとうございました。

○國松座長 ほかよろしゅうございましょうか。
 ありがとうございました。それでは、続きまして、介護障害者福祉制度につきまして、厚生労働省の巽介護保険課課長補佐と松嶋障害保健福祉部企画課長にご説明をお願いいたします。

○説明者(介護福祉/巽厚生労働省老健局介護保険課長補佐) それでは、介護保険の説明をしたいと思います。
 ちょっとページを打っておりませんで申しわけございません。
 まず、介護保険制度についてということでございます。1ページ目でございます。
 介護保健法成立後の主な動きということで、介護保健法は1997年、平成9年にできまして、まだ施行されてから6年しかたっていない制度でございます。その間に平成17年、2005年に介護保健法の見直しをされているところでございまして、今第3期目の介護保険事業計画、大体介護保険につきましては、中期財政運営といいまして、3年間に一度介護保険料の見直し、あるいはサービス等の支援計画の見直しということをやることになっております。
 次の2ページ目の介護保険導入の経緯につきましては、皆さんご存じのとおり、要介護高齢者の増加、あるいは介護期間の長期化ということで、老老、家族扶養の問題、そういった問題がございまして、介護給付が必要になったということで、これも医療保険、年金保険と同じように、社会全体が支え合う仕組みということで、社会保険方式の介護保険を創設したところでございます。
 3ページ目のところでございますけれども、これは介護保険制度の概要ということでございます。介護保険の財源につきましては、税金が半分、保険料が半分という構成になっておりまして、医療保険と違うところにつきましては、後期高齢者の医療制度と同じで1割の利用者負担になっておるわけですが、介護保険につきましても1割の利用者負担、残り9割が介護給付がなされているということでございます。財源の税金、公費の部分につきましては国が25%、都道府県、市町村それぞれ12.5%という構造になっています。
 保険料につきましては、現在第1号被保険者といいまして、これは65歳以上の人が第1号被保険者、40歳から64歳までの方を第2号被保険者と言いまして、それぞれこれは人の頭割りでその保険料を賦課されております。65歳以上が2,617万人、40歳から64歳までが4,285万人と、その対比で19%、31%というような保険料を賦課しているところでございます。現在、これらの年金天引き等も含めまして、第1号の被保険者の保険料につきましては4,090円という形になっております。
 4ページ目でございますが、サービス利用の手続きということで、医療保険と違うところは、医療保険につきましては、保険者証1枚で病院等行けば医療給付を受けられるということですが、介護保険につきましては、まず被保険者であっても要介護認定という認定の申請をして、その審査を受けて要介護度を判別してもらって、ここで書いてありますように要介護5から要介護1まで、あるいは要支援1、2というような形で、これらのものにつきまして施設サービスなり在宅サービスを受けると、そういう仕組みになっております。
 それと、この要介護5、要介護1、あるいは要支援1、要支援2ということでございますけれども、医療保険につきましては給付は天井でございますけれども、介護保険につきましては、それぞれの要介護度に応じまして支給限度額というのがございまして、サービスにつきましてもその支給限度額の範囲内で介護給付を受けるということでございます。したがいまして、医療保険につきましては、市町村の要介護認定等、その支給限度額があるということで、医療保険と違いがございます。
 先ほどちょっと忘れましたが、保険者につきましては市町村が保険者となっているところでございます。
 5ページ目でございますけれども、被保険者数は当然高齢化に伴いましてふえております。要保護者数につきましても飛躍的に伸びておりまして、2000年から2005年の間に204万人、94%の増加になっているということでございます。居宅サービス、施設サービスにつきましても、それぞれかなりのサービス利用者数がふえているという状況でございます。
 次の財政の現状でございますけれども、これにつきましても2000年から2倍以上の伸びで伸びております。2006年度には予算ベースですけれども、7.1兆円、保険料につきましても第1期、第2期、第3期とございますけれども、第1期、2,911円であったものが第2期で3,293円、3期、18年度からは4,090円、これは全国市町村の加重平均の数字でございます。要支援、要介護者につきましても、同様に伸びているという実態が次の資料としてございます。
 それで、介護保険の給付なんですけれども、ちょっとページを付さずに申しわけございません。後ろから2枚目の介護サービスの種類というところを見ていただければいいんですが、大きく分けて居宅サービスと施設サービスに分かれます。ここの黄色い部分につきましては居宅サービスを、この居宅サービスの中でも訪問サービスと通所サービス、それとこれはショートステイと言われるものですけれども、短期入所サービス、あるいは福祉用具貸与とか、あるいは福祉用具の販売、そういったものがございます。施設サービスは介護老人福祉施設、これが特別養護老人ホームに当たるものでございます。あるいは介護老人保健施設、これは在宅復帰を念頭に置いた施設でございます。それと、もう少し病院に近い介護療養型医療施設というものに分かれます。
 それと、今回の介護保険は先ほど平成17年に見直しをしたと言いましたけれども、その中で居宅サービス以外に軽い人たちに対するサービスというのが新たにできておりまして、介護予防サービスというものができております。それにつきましては、黄緑色の部分の累計がございます。
 それと、今回介護保険につきましては、これまでの指定権は都道府県にあったわけなんですが、市町村に指定権を移すということで、地域密着型サービスというのも新たに創設されております。それがその左の赤い部分と青い部分の地域密着型サービス、あるいは地域密着型介護予防サービスという部分でございます。
 一番最後の保険給付額につきましては、それぞれ総枠で5兆5,221億円、これは給付費ベースでして、先ほどの費用の伸びをあらわしたものにつきましては、あれは費用でございまして、利用者負担につきましては、この介護給付費には含まれておりません。
 それと、介護給付につきましては若干医療系も入っております。例えば、この中で訪問看護とか、あるいは訪問リハビリテーション、あるいは通所リハビリテーション等につきましては、若干医療色のある介護給付でございます。ほかにも先ほど言いました介護老人保健施設、これは在宅復帰を念頭に置いたリハビリテーションを中心にした施設でございますが、そういったもの、あるいは介護療養型医療施設、従来医療保険に入っていたものが介護保険の方に一部来ているところでございます。
 それと、犯罪被害者につきましては、基本的に医療保険と同じような、例えば第三者求償の話とか、そういった部分については介護保険もほとんど同じような規定がございます。
 それと、介護保険も公費の給付と同じような保険優先と公費優先というものがございます。例えば、先ほど医療保険でもありましたけれども、原爆被爆者に対する法律に伴って出されている給付につきましては、基本的に介護保険が優先されるわけですが、残りを全額公費で見ているものとか、あるいは石綿の健康被害救済法につきましても、介護保険優先が先に9割給付をなされて、残り1割につきまして全額公費でなされていると、そういうようなものでございまして、医療保険と似通った保険優先の制度がございます。
 ほかに公費優先の給付もございまして、それにつきましても例えば労働災害、あるいは公務災害の補償、あるいは国家補償的な給付、これは戦傷病者等特別援護法とか原爆、そういったものの位置づけでございますけれども、そういったところにつきましては保険優先ではなくて公費優先になされて、その範囲内で介護保険の給付は行わないという規定になってございます。
 以上でございます。

○説明者(障害者福祉/松嶋厚生労働省障害保健福祉部企画課長) それでは、障害福祉施策についてご説明させていただきます。同じように、大変申しわけございません、障害者自立支援法についてということで、ページは打っていないので、大変失礼いたします。
 この資料、全部説明しておりますと時間がございませんので、まず全国に障害者と言われる数はどのぐらいいるのかということでございますけれども、私どもの方、障害者というのは、5年に一遍の実態調査をしております。したがって今現在ですと、13年の数字で言いますと、障害者数、日本全国で655万9千人ということで、人口の約5%。うち、在宅サービスを受けているのが、在宅でおられる障害者の方々が589万5千人ということで、約90%。うち、社会福祉施設なんかに施設入所しておられる方が66万4千人ということで、約10%という割合になっております。これが日本全国の障害者の数ということで、今回の障害者自立支援法ですと、身体、知的、精神、こういうふうに3つに分かれておった障害のサービスを一元的に支給決定等を行いましょうということになったわけでございます。
 そこで、今介護の方が説明したように、介護保険は保険制度です。私どもの方、障害者施策はすべて一般会計でやっております。基本は国が2分の1、地方自治体4分の1、それからあとサービスの自己負担が1割負担、それから食事は自己負担ということに制度はなっております。
 施設の種類とかいうのについては、よく言われる重症心身障害児施設ということで、非常に程度の重い障害児(者)については、福祉と医療とのダブルセッティングになっておるということになっております。それ以外の施設は、一般的に言うと、医療の部分は外来で受けてください、あとは施設の入所サービスについては一般会計ですべてやります、こういうふうになっております。
 施設にも、今言ったような重度の障害者、それから、重度ではないけれども何らかの手当てが必要ということで24時間介護する施設、それから一定の訓練をして社会に帰す、もしくは就業に結びつける訓練をする施設、それから、もともと福祉工場といわれるような障害者が、労働法規の適用を受けて働く福祉工場という尺もございます。それから、よく言われる老人と同じように障害者でもホームヘルパーの在宅サービス事業というのもございます。これも私どもの方、年齢によりますけれども、65歳以上の場合については保険優先。保険優先というのは、介護保険優先でございます。それ以外の年齢の人については、障害の一般会計で在宅のヘルパー、それから施設サービスを行うというふうになっております。
 ただ、障害者だからといってすべてサービスが受けられるかというと、介護保険と同じように手間のかかりぐあいという判定をしてくださいということで、判定を受けた者について障害者福祉サービスを実施しましょうという構図になっております。
 ではさりとて、先ほど来年金局の方からご説明ありましたように、サービスでもどのような所得というか、利用料を取ってなるのかというと、先ほど、障害年金2級の人というのは、月額約6万6,000円もらっております。それで1割負担出せと言われても、例えば障害者の施設ですと、24時間お預かりする施設ですと30万かかるとか、45万かかるとかいう施設もございます。そうすると1割負担といっても、6万6,000円の中から利用料の1割負担、それから食事は自己負担ですねと、こう言われても出し切れないと。そこは施設を経営する方々については、そこのサービスの低下をしないために一定の手持ち、現金2万5,000円の、趣味趣向その他に必要な部分がありますので、そこは持っていていただいて、あと1割負担、あと残りの食事負担については出せないという部分については、公費を施設に埋めてあげる。結局、要するに月額約6万6,000円の障害年金2級の場合には、2万5,000円の手持ち現金を残しますと4万1,000円しか取り切れない。結局、それ以上のサービスの部分については、私どもの方が補足給付もしくは個別減免ということで利用料の個別減免をするという取り扱いをしております。
 また、障害年金1級といって、重い障害者の場合でも月々8万3,000円ですと、1割負担取り切れないといった場合については、それぞれの受けるサービスによって違いますけれども、施設の入所の場合については、それぞれ個別減免を受けたり、それから食事負担の補足給付を行うとかいうことも行っております。
 それからもう一つは、犯罪被害者云々とかいうことかかわりなく、要するにサービスは平等に行いましょうということで、じゃあ所得のない人はこの障害者サービスは受けられないのかという、今先ほど年金局が言われたように、障害年金も保険料の未加入をしている場合には、障害年金も受けられません。そうすると無年金者です。その場合にはどうするのかというと、そこの部分は結局私どもの方、所得にというか、色はございません。したがって、利用者が幾ら所得ございますかと福祉事務所で見させていただいて、預貯金も年金も何もないといったら、結局そこは生活保護に準ずるということで、利用料も全部ゼロと。そこの部分はすべて公費で賄う、このような形をとっております。
 それでは、在宅サービスを受ける方々についてはどうかというと、同じ屋根の下で鍋釜をともにしている親と子の関係、もしくは成人に達しても障害者の場合は鍋釜を一緒にしているといった場合については、そのご家族の所得が何ぼございますかねということによって、利用料負担を取りましょうと。ただし、利用料負担といっても全額取るわけにはまいりません。最高取っても、一般世帯の場合には3万7,200円という形で上限を設定しております。
 あと、低所得者の場合についてはさらに2万4,600円、1万5,000円、最後は生活保護に準ずる者であればゼロというところまで持っていっております。
 それから、よく言われることは、障害に何らかの交通事故、もしくは犯罪によって障害者になったといった場合について、車いすとか、バリアフリーの住宅改修というのはどのようになっておるんですかというご質問も受けます。車いすについては、私ども、補装具といって支給されております。それから住宅改修については、老人と同じように今現在1回につき20万という形で、手すりをつけたり、段差をなくすという費用が出るような形をとっております。
 以上でございます。

○國松座長 ありがとうございました。。
 配布資料とは別のご説明でありましたので、ちょっとわかりにくいところがあったかもしれませんが、障害者自立支援法の基本的な考え方みたいなのはよくわかったような気がいたします。今、ご両方のご説明についてのご質問等ありましたら、どうぞお願いいたします。

○岩村構成員 ありがとうございました。
 二、三ちょっとお聞きしたいんですが、1点は、例えば45歳の方が犯罪被害に遭われた結果として、障害を負って介護が必要な状態になったというときには、これは障害者の自立支援の方になるのか、介護保険になるのかというのが一つでございまして、それからその方が65歳になったときには、それは障害者自立支援になるのか、介護保険になるのかということについて、ちょっとお伺いをしておきたいというのがまず第1点でございます。
 それから第2点は、例えば65歳以上の方について、年金から源泉徴収している方については余り問題ないんですが、年金の額が低くて介護保険の保険料を源泉徴収していなくて、市町村の方で徴収をしているというときに、保険料の未納があったというような場合については、介護保険の給付というのは、例えばそういう方が犯罪被害に遭われた場合に、介護保険の給付は出るのか出ないのか。出ないとすると、その方はどういうことになってしまうのかということについてちょっとご説明をいただければというふうに思います。

○説明者(介護福祉) 先ほど、第1号被保険者につきましては65歳以上の者、第2号被保険者につきましては40歳から64歳までの者ということでございました。給付につきましては、第2号被保険者、40歳から64歳までの人につきましては、この介護状態につきまして特定疾病といいまして、加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病であって政令で定めるものという限定がございます。これは、当時介護保険ができるときに、そもそも被保険者を若年障害者まで引き下げるかという議論があったわけなんですが、結局その負担の問題がございまして、最終的には40歳以上から保険料を取るという形になりまして、そういったことで、本来高齢者に発生する疾病が65歳未満で発生する場合について限定しようと、そういうような話がございました。ですから、その特定疾病というのは、例えばパーキンソン病とか、あるいはALS、筋萎縮性のああいうような難病とか、そういったものが政令で指定されているわけなんですけれども、犯罪被害者の場合については特定疾病に当たりませんので、そういう意味で、64歳までの給付はなされない。65歳になった段階で介護給付はなされるということになってまいります。
 それと、障害者自立支援法の先ほどの給付につきましては、また障害者独自の給付がございますので、それは逆に先ほど障害の企画課長がおっしゃったとおり、介護保険以上に負担については低所得者対策という意味で利用者負担が配慮されておりますので、介護保険でサービスを受ける者については介護保険優先で、だめな場合については障害者自立支援法で給付がなされると、そういう仕組みになっております。
 それと、年金の天引きの話でございますが、これは特別徴収といいまして、基本的に年金で18万円以上の人につきまして年金で天引きするという形でなっております。基本的に18万未満の方につきましては普通徴収といいまして、これは一般の納付書で保険料を徴収するという形になっております。当然介護保険につきましても、保険料を払っていない者につきましては、保険給付の、例えば1割の部分について利用者負担を3割にするとか、そういうような制裁措置等がございます。そこの部分につきましては、先ほどの医療保険と同じように、特に何かなされているかという部分につきましては、介護保険の中ではそういう手当てはございません。

○國松座長 ほかに何かございましたらどうぞ。

○白井構成員 障害者自立支援法のことでお聞きしたいんですけれども、これは従来ある身体障害者の制度、それから知的障害者の制度、それから精神障害者の制度を何か一本化したというようなふうに聞いているんですけれども、例えば犯罪によって身体的な重度の障害を負ったという方、それから、PTSDのように心的外傷で社会生活に適応できなくなってしまったというような方とか、あるいはその両方かぶさっている方とかというふうにいろいろあるんですけれども、そういう方々についてはこの自立支援法で適用になるということでいいわけですか。

○説明者(障害者福祉) 非常に今の問題でも、すべてなりますというのか、障害認定区分ということで、老人は手間のかかりぐあいということで79項目の判定基準をしております。障害は障害で、さらに障害特有な判定があるでしょうと。例えば目がご不自由な障害者とか、心の病を負っている方々だとか、とっさに行動障害を起こす方だとかいう、要するに障害特有な部分というのがあるでしょう。それは27項目を足しております。したがって106項目の判定を受けた方であれば、今言った身体、知的、精神障害者としてサービス、どちらかのサービスが受けられると思います。

○白井構成員 今言ったような、例えばそういう強姦事件などで、外的な障害は何もないけれども、心に傷を負ってしまってというような、そういうことのような方の場合も。

○説明者(障害者福祉) 多分そこは、私非常に医学的な部分になるし、難しいのは、精神の方のサービスかなと。精神でもよく言われる重い判定が出た精神障害者というのは、もともと医療の精神科の病院の方に入っておられるということで、今のような心の病を負った方でも、そこまではいかないで、要するに福祉のサービスで十分、要するに見守りとかという形で入れるということであれば、そこは福祉の方の精神障害者のサービスになるんではないかなと、こう思っております。
 ただ、精神の場合でも重い精神を負った方は、どちらかというと病院の方の治療が必要ではないかなと、このように思っております。

○國松座長 私は、この障害者自立支援法というのは大変興味深く、今お話を承ったところでありますので、このような一つの考え方で犯罪被害者についても何か考えられるのかなということは、一つの論点とする必要はあるのかなと思いますが、向こうは向こうの制度の一般的な原則がありますので、PTSDなんかものってくる場合とのってこない場合があるんでしょうけれども、それをどう犯罪被害者に対する支援という形で調整をしていくのかというのは、まさに私どもの議論にこれからなってくるんじゃないかと思います。今日は余り深く入るわけにいかないと思いますが。大変今日は興味深いお話を承りました。

○白井構成員 もう一点だけ。これは利用計画というものもつくるわけですよね。それで、その場合に利用者の負担というのがいろいろな程度によって違ってくるとは思うんですけれども、利用者の負担というのは、どういうことでどれくらいのものがかかってくるものなんでしょうかね。

○説明者(介護福祉) その利用計画というのは、障害の話ですか、介護の。両方とも市町村の計画がございまして……

○白井構成員 介護の保険の方は先ほど適用ないということだったんで、障害自立支援法でやる場合ですけれども。

○説明者(障害者福祉) それは、まず障害者の自立支援の利用計画というか、市町村が計画を立ててくださいよといって、今現在新しい新制度になりましたので、市町村に計画を立ててもらっております。その計画というのは施設のサービスと、それから在宅のヘルパーだとかグループホームだとか在宅サービスの計画だとか、これを要するに今までの、身体なら身体、知的なら知的のサービスがあるわけですよ。実施主体は介護保険と同じように市町村がやっていますので、それを第1期計画ということで20年度末まで、第2期が23年度末までということで、まず第1期の計画をつくってください、こういうふうなお願いをしております。それはゼロから発進ではなくて、今までのサービスしていたのがあるわけですよ。急に莫大にふえるなんていうことはあり得ないわけですね。したがって、今後各市町村、自治体としたならば、どのようなサービスをどのぐらい伸ばしていきますか、その希望をとってくださいということで、今年度中に全市町村からとろうと。
 ただ、私どもの方、障害者のサービスというのは、このような言い方をしたら大変失礼な言い方ですけれども、介護保険とか年金とか医療保険というのは、医療保険は別ですけれども、保険制度というのは一定の割り切りをせざるを得ない。だけど福祉でやっているやつというのは一定の割り切りというわけにいかないということで、でき得るかぎり私どもの方のサービスで拾っていかないと、介護保険の場合も65歳以上は介護優先よと、こう言っていますけれども、今言ったような形で介護保険料も納めていないといった場合については、介護サービスを受けられないんですね。その場合にはどこで拾うかといったら、結局障害者の方のサービスで提供せざるを得ないのかなと、このように思っております。

○岩村構成員 よろしいでしょうか。

○國松座長 どうぞ。

○岩村構成員 多分、今の白井構成員のご質問について、今課長からご説明あったとおりなんですが、非常にわかりやすく言えば、個別の障害者の方について、これは介護保険の場合も同じですけれども、それぞれの方の障害の特性に応じて、例えばホームヘルパーを週に何日使うかとかというような形で利用計画を立てる、ケアプランなり自立支援の個別の計画を立てるわけで、それぞれのサービスについて単価が決まっていますから、そのサービスの利用計画を立てることによって、その人について、例えば一月あたりどのくらいの費用がかかるかというのは、単価を積み上げることで出るんですね。それに対して、今度は定率負担で1割というのが原則で入って、あとそれぞれの所得の状態に応じてそれを軽減していくという、そういう仕組みになっているというふうに理解していただければよろしいかなと思います。
 それと、先ほど座長がおっしゃった点について言えば、精神的障害の場合は、やはり難しいのは医療保険の世界で考えるのか、福祉の世界で考えるのかという、その仕分けということも多分議論の余地がございまして、それは当然のことながら個別の状況によると思うんですが、どちらで引き取るのかということも検討しなければいけない論点であるかというようには思います。
 それと最後にすみません、介護保険についてちょっと白井構成員がおっしゃったんですが、65歳以上は犯罪被害者の方についても介護保険優先になりますので、介護保険優先で、その後、負担できない部分については障害者の福祉の方で行うと、そういう構造になっております。
 1点だけちょっとお伺いしておきたいのは、介護保険でやる場合で、例えば重度の要介護状態の場合ですと、自己負担分が一月当たり結構高額になるというケースもあり得るんですが、そういった場合について、何か介護保険なり、あるいはそれと関係して障害福祉の方で手当てがなされているのかということについて、ちょっと補足的にお伺いできればと思います。

○説明者(介護福祉) 先ほど医療保険でも高額療養費という仕組みがあると言いました。つまり月である一定の上限になれば、それ以上は自己負担、利用者負担をさせないという仕組みでございますけれども、介護保険につきましても同様に高額介護サービス費というのがございます。それにつきましても、1割負担の部分につきまして所得に応じて段階的に上限を設定されているところでございます。大体年収80万円以下、生活保護者も含めてですけれども、その場合は月当たり1万5,000円でございます。80万円から、これは民税非課税世帯になりますけれども、この場合につきましては大体2万5,000円、1割負担の部分についてはそういう高額介護サービスというのは別途ございます。
 それともう一つは、今回医療保険でも同じですけれども、施設に入った場合、あるいは病院に入った場合につきまして、食費、介護の場合については居住費も入っておるわけですが、その部分につきまして給付の対象外になっております。ただ、低所得者につきましては、給付の対象外にはなっておりますが、補足給付というような形で別途介護保険から給付がなされております。そのことによりまして低所得者の配慮をしているところでございます。

○國松座長 ほかに何かございますか。どうもありがとうございました。
 以上で本日の議題に関する説明は終わりました。
 時間も一応押しておりますが、自由討論に移りたいと思います。今までの点につきまして、あるいはその他ご意見のある方は、ご自由にご発言をいただきたいと思います。
 今までもうかなり議論も出ておりますので、本日のところは、何か特にご発言があればあれでございますが、かなり今日はある意味では論点整理という面ではかなり出てきたんじゃないかと思いますが、何か特にご発言あるようでございましたら、どうぞお願いをいたします。よろしゅうございましょうか。
 それでは、本日のご審議ということにつきましては、大体以上でございます。
 なお、何か資料提供等の要望があれば、また事務局の方に言っていただいたらと思います。
 最後に事務局から海外調査についての説明があるようでありますので、お願いをいたします。

○事務局 海外調査の予定についてご説明を申し上げます。
 次回6月30日に3検討会の合同で外国における犯罪被害者等に対する支援制度、支援体制についてヒアリングを行うこととしておりますけれども、その上で、現地に赴いて調査が必要であるというふうに考えておりまして、9月上旬に海外調査を行う予定であります。予算も一応取ってはあるんですけれども、そういう執行の関係がございまして、訪問国あるいは調査期間等について、現在調整中でございます。第5回の検討会、次の合同検討会の次の7月の検討会におきまして、調査事項等についてまた構成員の皆さんのご意見も伺わせていただければというふうに考えております。
 以上でございます。

○國松座長 構成員の意見が聞かれるのは第5回ですか。

○事務局 第5回、7月を予定しております。

○國松座長 わかりました。そのようにまた構成員の方もお含みおきをいただきたいと思います。
 その他、事務局から連絡事項があればお願いをいたします。

○事務局 次回の検討会は6月30日金曜日、午後3時から3時間の予定で6時までということで予定をいたしております。会場はこの隣の向こうの第2特別会議室ということになりますので、よろしくお願いを申し上げます。
 ありがとうございました。

○國松座長 ほかに何か特にご発言がございますればお願いいたします。
 ないようでございますので、これをもちまして第3回経済的支援に関する検討会を終了いたします。どうもありがとうございました。


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