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経済的支援に関する検討会(第13回)議事録


(開催要領)
日時: 平成19年3月19日(月)15:00~17:45
場所: 合同庁舎4号館共用第4特別会議室
出席者:
座長國松 孝次(財)犯罪被害救済基金常務理事
座長代理瀬川 晃同志社大学法学部教授

飛鳥井 望(財)東京都医学研究機構東京都精神医学総合研究所参事研究員
岩村 正彦東京大学大学院法学政治学研究科教授
大久保 恵美子(社)被害者支援都民センター理事兼事務局長
佐々木 知子帝京大学教授、弁護士
白井 孝一弁護士
高橋 シズヱ地下鉄サリン事件被害者の会代表世話人
平井 紀夫元オムロン(株)特別顧問
荒木 二郎内閣府犯罪被害者等施策推進室長
巽 高英警察庁長官官房総括審議官
三浦 守法務省大臣官房審議官
代理出席振角 秀行金融庁総務企画局参事官
中野 雅之厚生労働省政策評価審議官
安井 正也経済産業省商務情報政策局消費経済政策課長
説明者芦塚 増美日本弁護士連合会犯罪被害者支援委員会事務局次長
井上 宏法務省大臣官房司法法制部司法法制課長

(議事次第)

1.開会

2.第16回検討会の日程調整

3.経済的支援制度のあるべき姿についての検討(8)

4.その他

5.閉会


(配布資料)

資料1 論点対応叩き台資料  [PDF形式:26KB]
資料2 警察庁資料  [PDF形式:11KB]
資料3 厚生労働省資料  [PDF形式:96KB]
資料4 外務省資料  [PDF形式:16KB]
資料5 支援のための連携に関する検討会における検討状況  [PDF形式:21KB]
資料6 併せて検討する事項関連資料

6-1 警察庁資料  [PDF形式:13KB]

6-2 法務省資料  [PDF形式:24KB]

6-3 厚生労働省資料  [PDF形式:11KB]

6-4 日本弁護士連合会資料

    (1)  [PDF形式:34KB]

    (2-1)  [PDF形式:231KB]

    (2-2)  [PDF形式:204KB]

    (3)  [PDF形式:197KB]

    (4)  [PDF形式:158KB]

    (5)  [PDF形式:32KB]



(議事内容)

○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 有識者委員おそろいですので、始めさせていただきます。司会を國松座長にお願いをいたします。

○國松座長 それでは、司会を務めさせていただきます。
 本日の議事について、事務局から説明をお願いいたします。

○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 議事次第をごらんいただきたいと思います。本日はまず第16回、5月になりますか、これの検討会の日程調整を行いました後、前回の検討会に引き続きまして座長私案として作成されたたたき台をもとに経済支援のあるべき姿のとりまとめに向けまして検討を順次行いたいと考えております。
 なお、本日は合わせて検討する事項、すなわち公費による弁護士選任、国による損害賠償費用の補償の是非、損害賠償債務の国による立替及び求償の是非、被害直後及び中期的な居住場所の確保につきましても検討を行いたいと考えております。日弁連の犯罪被害者支援委員会事務局次長で福岡県弁護士会所属の芦塚増美弁護士からもご説明をいただくこととしております。
 以上でございます。

○國松座長 それでは、ただいま事務局から説明があったような形で議事を進めてまいりたいと存じます。
 まず、5月の検討会の日程でございますが、4月には4月10日と4月25日に2つ日程を入れさせていただいております。それを踏まえまして、5月の検討会におきましては中間報告といいますかそういうものとしては最終的な合意まで到達をしたいと、そういうペースで進めてまいりたいと考えておるところでございますが、5月の大体中旬から下旬にかけまして14日以降のご日程を皆様からお伺いしてまいりたいと思います。

(日程調整)

○國松座長 それでは、5月16日水曜日でございますが、いつものとおり15時から、入れさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 ありがとうございました。
 それでは、議事に入りまして、経済的支援制度のあるべき姿についての検討に進みます。何点か資料があるようでありますので、事務局から説明をお願いします。

○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 まず、資料1ですけれども、これは毎回出しておりますたたき台でございます。
 資料2は、前回の検討会で構成員から質問がございました犯罪被害者等給付金の年齢別、男女別の支給実績に関する警察庁の資料でございます。
 それから、資料3は厚生労働省関係の資料ですけれども、これも前回の検討会でご質問がありました第三者行為による傷病の医療費の自己負担分の扱いに関する資料及び基本計画の進捗状況等に関する資料でございます。それから、さらに海外で邦人が犯罪等による被害に遭った場合の支援状況についても厚生労働省の方から資料が出ておりますので、後ほどご説明をお願いしたいと考えております。
 資料4でありますけれども、同じくこれは外務省の資料であります。海外で邦人が犯罪等による被害に遭った場合の支援状況等に関する資料でございます。これにつきまして若干説明といいますか解説をいたしますと。ちょっと資料4をお開きいただきたいんですけれども。この外務省の資料で、お金を出すというのは実は余りないんですけれども、外務省として海外において被害に遭った方について以下のような支援を行っているということです。
 まず1つ目は、被害者ご本人に対する支援ということで、そこにございますように家族への通報、被害の届出、弁護士や通訳のリストの提供、あるいは医療サービスが必要な場合の入院等に関する支援、あるいはパスポート盗難等の場合の渡航書の発給。それから、最後のところでチのところですけれども、滞在費とか食費が不足する場合には短期貸付金というのの貸付が可能であるというようなことが書いてございます。
 それから、2つ目で被害者本人ではなくてご家族に対する支援ということで、ご家族からの伝言や連絡の取り次ぎ、あるいはお金が必要な場合には送金の助言、さらに緊急に現地に行かなきゃならないというときに旅券の緊急発給等について支援を行う。それから、当然現地に到着されたご家族に対して支援を行っているということであります。
 それから、(3)ですけれども、亡くなった場合に検死や身元確認に関してのご家族との取次支援、それから死亡証明書の取得にかかる助言・支援。火葬や葬儀あるいは日本への搬送にかかる助言や支援を行っているということでございます。これら危険な地域に赴かないようにそういった危険情報あるいは犯罪についての傾向、対策について情報提供を行い、ホームページ等で「領事のできること」ということでわかりやすく案内をしているということでございました。
 以上が資料4の簡単なご説明でございます。ご参考にしていただければと思います。
 それから、資料5ですけれども、これは先月開催されました支援のための連携に関する検討会第8回で配布されました事務局資料のうち本検討会と関係がございますアドバイザー制度に関連する提言部分の抜粋でございます。内容につきましてはアドバイザーの議論のときに簡単にご紹介をしたいというふうに考えております。
 それから、資料6でございますが、併せて検討する事項ということで、警察、法務、厚労、日弁連からの資料でございまして、併せ検討する事項の検討の際にそれぞれご説明をいただければと考えております。
 以上でございます。

○國松座長 それでは、資料3でございますけれども、厚生労働省からご説明をいただきたいと思います。

○厚生労働省政策評価審議官 それでは、資料3をご説明申し上げます。
 前回、厚生労働省における犯罪被害者等基本計画の進捗状況についてお尋ねがございました2点について1枚目に記しております。
 まず、医療保険利用の利便性確保でございますが、この点につきましては昨年7月に開催されました会議におきまして犯罪被害者の方が医療機関の窓口におきまして保険診療の実施を拒まれる事例がございました場合には、本省への報告とともに、それから当該医療機関に対して適切な指導を行うように指示をしたということでございます。
 それから、その下の長期療養を必要とする方のための施策の検討及び実施でございますが、この点に関しましては昨年の6月に法改正がなされておりまして、長期療養を必要とする患者の方々が必要な医療サービスを受けられるようにするために急性期から回復期を経て自宅に戻るまで一貫した治療方針のもとに切れ目のない医療を受けられるということで、各都道府県における医療計画、これを19年度に見直すことにしております。具体的にはその医療計画におきまして各医療機関のそれぞれの適切な役割分担、それからその医療機関ごとの連携体制、これをこの都道府県ごとの医療計画で具体的に位置づけまして、住民の方々にその医療機関の役割や連携状況を明示すると、そのようにするわけでございます。
 それと同時に、それぞれの医療機関で例えば治療を受けられる際にはまず急性期から回復期を経て自宅に戻るまでの治療計画、これを地域連携のクリティカルパスとしてつくってもらいまして、これによって関係医療機関、それから患者の方々が情報を共有することによりまして切れ目のない医療を的確に受けれるようにすると、こういう方向で取り組んでおるわけでございます。
 それから、次のページでございますが、このほか厚生労働省におきましてはただちに取り組む事項、例えば児童虐待に対する夜間休日の対応等を取り組んでおるわけでございますが、前回出ましたのが1年以内に実施する項目でありましたので、ただいまご説明申し上げました2項目以外の1年以内の状況をここに記しておるわけでございます。
 詳細な説明は省きたいと思いますが、後ほどの本日の議論にもかかわることでありますので一点目だけ簡単に申し上げます。被害直後、それから中期的な居住場所の確保ということで児童相談所や婦人相談所の一時保護の現状について調査を実施しまして、その調査結果に基づきまして婦人相談所の、これは調査結果の関連でございますが、自立に向けて就職あるいはアパート等を借りる際に保証人がなくて困ることがあるということが浮き上がってまいりましたので、この身元保証人確保対策事業ということを19年度予算に盛り込んで対応しておるというところでございます。
 それから、次のページをお開きいただきまして、外国で犯罪被害に遭った場合の対応でございます。外国で犯罪被害に遭った場合のまず労災、仕事中や通勤中に災害に遭った場合のケースへの対応の問題でございます。原則的には労災保険というのはここに書いてございますように、本来国内にある事業所に適用されるわけでございまして、海外の事業所で就労する方は対象にならないわけでございますが、ここに書いてございますような海外派遣者の特別加入制度ということがありまして、特別にこういう制度が設けられております。
 その理由は、通常は海外研修はその当該赴任先の国の災害補償制度に適用されるというのが原則になるわけでございますが、ただその適用範囲あるいは給付内容が十分でないということもございましてこのような特別加入制度が設けられておるわけでございます。
 それで、手続でございますが、まずこの労災保険の適用になるためには派遣元の事業からがこういう特別加入の申請書を出していただきまして、まず特別加入ということで入っていただくということです。それから、その次の段に書いてございますことは、実際に仕事中あるいは通勤中に被災した場合は給付の申請は派遣元の事業主を通じまして提出していただく。その際には派遣先の事業主の証明書や新聞記事あるいは在外公館の証明書等を添付していただいて申請していただくということでございます。
 それから、その下の給付内容でございますが、これは基本的に国内と同様でございますが、給付の算定に関しては国内においての療養等を受けた場合の算定基準に基づいて行います。周知の方法はパンフレットその他を労働基準監督署等において配布すること等において対応しているということでございます。
 それから、その下の※のところに書いてございますように、海外出張の場合は国内の事業所に所属して、その国内の事業所から指揮命令を受けて仕事をするということでございますので、特別の手続をすることなくその者が現在所属している国内の事業所の労災保険により給付を受けることができるということでございます。
 続きまして、その下の健康保険、国民健康保険の海外療養費制度でございます。これは海外に一時的に出張、旅行している場合に治療等を受けた場合でございます。これはまず手続でございますが、帰国した後ご本人等が保険者の窓口に申請していただくということでございます。
 それから、その下の給付内容でございますが、海外において支払った医療費について自己負担分3割を控除したものを支給するということでございます。※にございますように、その給付の算定に際しては国内において同様のケースの場合に療養等を受けた場合の算定基準によって計算されるということでございます。
 周知方法は適宜ホームページ、パンフレットの配布等によって行っているということでございます。
 続きまして次のページをお開きいただきまして、第三者行為によるケースの場合の自己負担分の取扱いについてでございます。ここの内容に入ります前に、前回白井構成員の方からこの第三者行為届をする際に加害者の協力が必要かというお尋ねございました。それで、担当の方に確認いたしましたところ、第三者行為届の中に第三者、加害者になろうかと思いますが、その住所、氏名等書く欄がございます。ただ、これがわからない場合、不明ならばそのままそれで出していただければ構わないと、またわかったところで知らせていただければと、こういう取扱いをしておりますので、必ずしも加害者の協力がないと出せないとそういうものではないということでございます。
 それで、第三者行為による傷病の届出をするしないにかかわらず、こういう被保険者が医療機関で診療を受けた場合には自己負担分は払っていただくという制度でございます。それで、なお書きにございますように、被害者が第三者行為による被害者の届出を提出しました場合に、保険者はその傷病に対して行った給付の範囲において加害者に対する損害賠償請求権を代位取得するということでございます。
 それから、その下の、後の方の資料6との関連でまた出てくるかと思いますが、ここも合わせて一緒にご説明申し上げます。その求償のいわば実態といいますか求償の現状、問題点等合わせてご説明申し上げます。これは統計的にデータとしてわかるのは労災の状況があるわけでございますが、率直に言って求償には苦労しているというのが実情でございます。ただ、労災の場合はその第三者行為の大部分が交通事故、自動車事故でございますので、状況を申し上げますと、当該年度の債権立てをしたもの、すなわち前年度からの繰越等を含めまして約4割の求償は確保できているという実態がございます。ただ、交通事故以外についてはなかなか求償はうまくいっていないというのが現状でございます。
 我々としてはこういう債権管理等についてマニュアルをつくって対応するとともに、あと必要な場合には弁護士に依頼等することによってこの債権確保に努めているというのが現状でございます。
 以上でございます。

○國松座長 ありがとうございました。
 ただいまのご説明に関しましてご質問等ありましたらお願いいたします。
 どうぞ。

○白井構成員 白井ですが。ありがとうございました。今、第三者行為の届出についてちょっとご説明いただいたんですが。実はつい最近起きた傷害事件で今現在第三者行為の届出をしているケースがあるんですけれども。その書類の中に加害者本人の署名、捺印と、それから加害者の連帯保証人の署名、捺印をいただく誓約書というものを国民健康保険を管掌している市長宛てに出す文書があるんです。ですから、どうしてもそれは加害者側に判を押してもらわないといけないんですね。それで、そのケースの場合には絶対恐ろしいので加害者に被害者の住所を教えたくないというので、一応今おっしゃっていただいた加害者の住所、氏名を書く文書ででも被害者側の署名、捺印のものについては被害者側で作成できるのでいいんですけれども、加害者側で作成する文書についてはどうしても加害者と会わなきゃならないんですが。たまたま私選弁護士がついていてやれているのでいいんですが、もし私選弁護士がつかない被害者の方の場合はできないことになってしまうと。
 なので、それは何かうまい方法を考えていただかないとそういう届出ができなくなってしまうのではないかと思いますけれども。

○國松座長 厚生労働省、いかがですか。

○厚生労働省政策評価審議官 今お話があったことは我々としても個別のそれぞれ保険者ごとが運営しているものですから運営の詳細を全国的に把握しきれていない部分がありますので、もしおっしゃったような状況にあるんだとすればそれはなかなか困難を来す局面だと思いますので、個別のことを後で教えていただきまして、どういう解決策があるか我々としてもよく検討してみたいと思っております。

○國松座長 白井構成員、同じようなことはほかでもあることなんですか、それとも今の例だけなんですか。

○白井構成員 それは地方自治体に提出する文書なのでわからないんです。その病院の場合は非常に全国的にも名の通った大きな病院なんですが、その第三者行為の届出用紙がないんですね。それで、その事件の場合は交通事故の場合の用紙を使ってくださいという実情です。

○國松座長 厚生労働省、一度よく静岡のケースを調べていただいて、その上で対応、よろしゅうございましょうか。ほかに。よろしゅうございますか。
 それでは、前回の検討会に続きまして、資料1に沿って検討を進めてまいります。資料1の第4ページの(3)。経済的支援制度の管理・運営はどのように行うべきかという項目の検討に入ります。そのうちの(1)は経済的支援に関するアドバイザー制度についてであります。
 経済的支援に関してアドバイスを行う制度が必要ではないのかという項目に関しましてはこの●で示してありますように、被害者等のための経済的支援の内容及び被害者等が受けることのできる他の社会保障制度による各種給付の内容などについて、被害者の相談にのり、必要な教示を行うことのできるアドバイザー制度を設けることを、他の検討会と歩調を合わせて検討するという整理案をその段階では、作成しておるのでありますが、その後支援のための連携に関する検討会におきましていろいろ検討がなされておるようでございますので、まず事務局から先ほどご説明のあったとおり、この検討会についての資料がありますから、それのご説明をまずお願いしたいと思います。

○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 それでは、資料5をお開きいただきたいと存じます。連携に関する検討会の第8回、2月の会合におきまして、一応その前に各連携のネットワークをどうつくるかというのを議論をしまして、その上で民間団体で支援を行うものの育成あるいはカリキュラムの内容等々に加えまして、コーディネーターの育成についてはどうだということで議論いたしまして、一応事務局の提言案というのを示してございます。
 申しわけございません、2ページ目をちょっとお開きをいただきまして。まず、2ページ目の1のカリキュラム・モデル案の作成の後半の部分ですけれども、内閣府において有識者や各省庁の協力を得て支援に携わる者に求められる研修カリキュラムのモデル案をつくるということで、ここに初級、中級、上級、支援者のレベルをですね、それでコーディネーターと。アドボケーターだとかあるいはこの検討会ではアドバイザーと呼んでいますけれども、そういったちょっとそういう知識、能力、経験にすぐれたそういう人、上級のそのまた上といったそういうレベルで考えております。コーディネーターというレベル別にカリキュラムのモデル案をつくろうというふうに提言をいたしております。
 それから、2ページの下の方ですけれども、この実際に研修を行うカリキュラムを作成したりあるいはそういった資格の認定なんかをどこがやるのがいいのかということで、一応この支援のための連携に関する検討会では現在被害者支援ネットワークが早期援助団体あるいは早期援助団体を目指す団体によって構成される唯一の我が国のネットワークでありますことから、このネットワークに対してこの加盟の団体が統一的に用いることができるようなカリキュラムをつくって研修を実施して、それからそういう認定の証明書みたいなものをやってはいかがですかと。アメリカのノバなんかでも大体それは民間団体がやっているんですけれども、ということで提言をしております。
 2のところの一番最後のところですけれども、研修費用の補助などの財政的援助についてはもう1つの検討会であります民間団体への援助に関する検討会の検討結果に基づいた施策を実施していくということで。これも今実は検討中なんですけれども、研修費用につきましては現在も一部警察の方から助成がなされておりまして、これの拡充あるいはそのほかにどういった具体的な研修費用の補助手段があるかということについて、これはまだ具体的な提言は出ておりません。
 それから、1枚めくっていただきまして、4ページの4のコーディネーター等の育成というところであります。被害者のニーズが多種多様な分野に及んでいて、そういう刑事もありますし民事もありますし社会保障制度もあるしそういう医療だとかカウンセリングだとか福祉だとか大変広範な分野に及んでいて、そういうときに相談にのったり情報提供したり、あるいは適切な機関、団体へ橋渡しをする。当然この給付金の支給等についても、あるいは先ほどから出ております病院の問題にしても適切なアドバイスのできるそういったコーディネーター、アドバイザー的な役割が大変重要であるということをまず指摘をいたしまして。
 しかしながら、そういう今申し上げましたように、経験に基づいたある程度実践を経ないとなかなかそういうコーディネーターというのは簡単にはできないのではないか、時間を要するのではないかと。先ほど申し上げましたように、研修の中で初級、中級、上級、仮称ですけれども、その上にそういうコーディネーターの研修というものをきちんとやって、そういうまず育成を図っていこうと。そして、コーディネーターについても認定制度を実施してコーディネーターとしての能力を身につけることができるようにしていけばどうだろうかということを提言をなされているところでございますので、ご紹介をさせていただきます。
 以上でございます。

○國松座長 ありがとうございました。
 このアドバイザー制度というのはこの経済的支援の一環として必要ではないかということで提言が出ているわけでありますけれども、この支援のための連携に関する検討会の方がかなり検討が進んでおりまして、今説明があったようなコーディネーターの養成を含む仕組みというのは我々の方でも同じような仕組みをつくっていけばよろしいのではないのかなと私は思います。
 支援のための連携に関する検討会で検討されているコーディネーターの機能の中にこの経済的支援に関する分野のいろいろな知識、技能を持った我々が言うところのアドバイザーでございますね、そういうものがどれだけ念頭にあるかというのはちょっとそちらの検討会の方とも打ち合わせてみないとわかりませんけれども、いずれにいたしましても向こうで今お考えになっているようなカリキュラムを組んで研修を行っていく、それに従ってそういうコーディネーターといいますかアドバイザーといいますか、そういうものを養成していく、そういう仕組みをつくるべきだということにおいては全く意見は同じなんだろうと思います。今後我々の方の中間答申案を書く場合も、そちらの方と連携をとりながら書いていけばよろしいのではないかと思っております。
 この点について何かご意見ございましたらお願いいたします。
 私の方で一度向こうの座長とも打ち合わせてみようと思います。私は向こうの検討会のお考え方で大筋よろしいのではないかなと思っておるんでございますが。その点いかがでしょうか。何か当検討会として特に注文をつけておくとかそういうことがありましたらご発言いただきたいと思いますが。
 いろいろ書く段階でまたもう一度お諮りしたいと思います。
 よろしゅうございましょうか。どうぞ。

○大久保構成員 今、座長さんがおっしゃいましたように、被害者支援といいますのはある部分だけではなくてその犯罪被害に遭うことによって破壊されてしまった生活全体あるいは社会生活、職業生活、すべての面での支援を行うということが基本になるかと思いますので、支援のための連携に関する検討会の中でのコーディネーター役といいますのはまさにこの経済的検討会の中で言われておりますアドバイザー制度ですね、当然さまざまな経済的な支援、それの既存の制度をつくったりあるいはこれからできてくる新しい制度をつくって被害者の方の生活全般を支えるときにはまさにこのコーディネーターという考え方の中にこのアドバイザー制度も入るかと思いますので、それで結構だと思いますが。

○國松座長 私もそのつもりでやっていこうと。
 どうぞ。

○白井構成員 別に反対するわけではなくてこれでいいと思うんですけれども。参考までに。私どもが明日の会のヨーロッパ調査でフランスのINAVEMとイギリスのVSを訪問したときにやはり同じように支援組織で被害者補償の請求について支援をやっておられたんです。それで、フランスの場合は裁判所の補償委員会に補償を請求するものですから裁判所の中にINAVEMのコーナーがありまして、そこへ被害者が行くとそういう補償の請求の書類を作成するアドバイスを受けてそこの場で出せるようなそういう非常に被害者が利用勝手がいいようなそういうシステムがありまして。
 それで、イギリスの場合は不服申立機関が別にあります、補償を決める機関とは別に不服申立機関があるんですけれども、このVSの職員の方が不服申立手続についても実際に審査機関とやりとりしながらやっているんだそうです。そこまで突っ込んで支援をしていらっしゃるということをお聞きしました。
 ですから、できる限り被害者の方々が利用しやすい形でお考えいただければありがたいというふうに思います。

○國松座長 わかりました。こちらの支援の検討会の方でも研修カリキュラムとかそういうものについてはかなり詰めて議論していかなきゃならないという問題意識は十分持ってやっておられますので、私どもの方の経済的支援に関するいろいろな側面というものも組み入れてつくっていっていただくように我々の方からよく連携をとってやっていこうと思います。
 それでは、次に進みます。(2)の認定機関、不服申立機関というものについての考え方でございます。現在はこの認定機関、不服申立機関は公安委員会となっているわけでありますが、それとは別に独立の認定機関、不服申立機関を設置すべきかどうかという問題でございます。
 この点につきましては、現行の公安委員会と別に独立の機関を設置していくということが若干非現実的ではないかというのがこのペーパーの考え方であります。
 さらにさかのぼりまして、今度新しく給付水準が上がった給付金の給付事業というのもやっていくわけでありますが、そういうものにつきましても現在公安委員会、警察というラインでやっているその組織の中で処理をしていくのが現実的で、それ以外の新しい機関をつくってやっていくというのはちょっと、実際に実現するのは難しいのではないかというのが私の認識でございます。
 この点につきましてはどうぞ忌憚のないご意見をお願いをいたします。
 もちろん今の公安委員会とか警察のやっていることについて注文を付けることは当然あるべきでありましょうけれども、だからといって全く別の組織をつくってしまうという、その組織の中で処理をしていくというのはちょっと非現実的ではないかというのが私の認識であります。
 どうぞ。

○白井構成員 現在の不服申立があった場合の審査の方法、やり方はどんなふうにやっているんでしょうか。

○國松座長 警察庁、どうですか。

○警察庁長長官官房総括審議官 基本的には申請をしていただいて、それに基づいていろいろな書面を出していただく場合もあろうかと思いますけれども、いずれにしてもそもそも犯罪による被害であるのかどうか、それから一番いろいろと問題になるのは被害者の方に帰責性があるのかどうかといったようなことにつきまして、公安委員会においては、この法律にも定めてございますけれども、関係する公私の団体あるいは検察庁等に必要な照会を行っていろいろな資料を集めまして、その中でも多分警察から犯罪事件の捜査に関する書類といったようなものが中心になることが多いんじゃないかなというふうに思いますけれども、そういったものを出していただく。そして、それに基づいて審査をして支給、不支給等を決定するというような形になっているのが一般的な形でございます。

○白井構成員 審査をなさる方の方はどういう方がされているのか。

○警察庁長長官官房総括審議官 基本的には大体、警察本部の担当課の課員が今申し上げましたようないろいろなところに照会をしながら資料を集めた上で都道府県公安委員会が裁定をすると、こういう形になっております。

○白井構成員 今のは不服審査ですね。審査請求はどうですか

○警察庁長長官官房総括審議官 審査請求のあれですか、すみません。それは国家公安委員会が審査請求を受けるという形になっておりますので、国家公安委員会が裁決するわけですけれども、それに先立って専門委員を3人委嘱しておりますので、この人たちに専門的な点について調査審議をさせまして、その結果を踏まえまして結論を出すと、こういう形になっております。

○白井構成員 その専門委員の構成はどういう。

○警察庁長長官官房総括審議官 今の専門委員は3人いらっしゃいまして、1人は細井先生という方で東洋大学の社会学部長でございます。それからもう1人は三島健二郎先生という委員で、この方はもともと警察におられた方でございますし、犯罪捜査実務に精通しているということで選んでおります。それからもう1人は椎橋隆幸先生という方で中央大学の法科大学院法学部の教授ということで、このお三方にお願いしているということでございます。

○白井構成員 それで、不服申立をした場合に、申請者側の方で何か審査に当たりましていろいろ意見を言ったり文書を出したりそういう申請者側の意見を聞く機会というのは設けられているのでしょうか。

○警察庁長長官官房総括審議官 基本的には請求者の側からもいろいろな意見書を出していただいて、それに基づいて審査をするという形になっております。

○白井構成員 ありがとうございました。

○瀬川構成員 年間それはどれぐらい件数があるのかということと、平均どれくらい期間を要しているのかということを教えていただきたいと思います。

○警察庁長長官官房総括審議官 不服審査の方ですね。これ昭和56年から制度を運用しておりますが、昭和56年から平成17年までの間に22件の審査請求がございました。
 それで、あと期間でございますが、期間については今調べますのでちょっとお待ちください。

○瀬川構成員 印象としては非常に少ない感じがします。経済的なことについて実際には困っておられる方もいるはずですので、年間1件足らずというのは、これは警察庁としては手続に複雑な、あるいは煩瑣な点があるとか、そういう分析はされたことはありますか。

○警察庁長長官官房総括審議官 これ数としては確かに決して多い数とは言えないのかもしれませんけれども、ちなみに中身で見ると22件のうちの12件というのは被害者側の帰責性、何らかの責任があったかどうかという点で不支給にしたりあるいは3分の1支給にしたりといったようなことがございますけれども、それについての不服審査というものが今申し上げたような数でございますので、半数以上を占めているということでございます。
 手続については特段煩瑣なものを要求しておりませんので、これについては請求される方にとって著しく利便性を欠くとか煩瑣であるということはないのではないかというふうに思っております。
 若干追加で申し上げますと、手続的には行政不服審査法の手続にのっとってやっておりますので、書類等で不備等がある、足りないところがあるということでありましたら補正していただいて出していただくというような形で進めているというのが実情でございます。

○高橋構成員 不服があった場合にはこういう申立機関があるんだということはちゃんと知らされているんですか。

○警察庁長長官官房総括審議官 実際に相手方に対する、もともとの犯給金の支給の申請があって、それに対して裁定を都道府県公安委員会が行いますけれども、その際の裁定に不服がある場合は国家公安委員会に審査請求ができるということは書いてございます。その旨を説明するようにと指示をしております。

○平井構成員 基本的には座長のご意見が現実的だと思うんですが、ただ質問にもなるんですが。たしか以前この場に不服審査の内容がどうであったかということは統計をお出しいただいたと思うんですけれども、それを見ますといわゆる却下と自分から申請を取り下げたということのみで、不服審査を認められたケースがたしかなかったと思うんです。つまり、許認可といいますか、裁定されるところへ申請するわけですから、先ほどおっしゃったような客観性、専門の先生方の審査を経てということでございますから、そういう意味で客観性を持つようにはされていると思うんですけれども、その事実だけ、数字だけを見ますと不自然といいますか。たしかイギリスへ調査に行きましたときもそういう不服審査に関してはかなりの割合で認められている、不服審査の一部についても認められている。お出しいただいたあのデータから見る限り、たしか1件も認められていないということでありますので、より客観性を担保するという、そういう努力というんですか、あるいは第三者機関に委ねられるか何かそういうことが必要ではないかという気がしていたんですけれども。

○國松座長 今の問題は、警察庁、どうですか。

○警察庁長長官官房総括審議官 ちょっと私もイギリスの実情は余りよく承知していないのですけれども、基本的に最初の犯給金の支給をするかどうかの判断というのは都道府県公安委員会がやっております。それに対する審査請求というのは国家公安委員会に対して行われるということで、組織的には全く別のものという理解をしていただきたい。
 それから、国家公安委員会においては先ほど申し上げました専門委員という方々を置いて一応そういうそれぞれの専門の方、学識経験者、こういう方で調査審議をしていただくということをした上で国家公安委員会としての裁決をしていると、こういうことでございます。

○國松座長 これは仕組みの問題と運用の問題というのはちょっとあると思うんですね。確かに運用が少し狭すぎるのではないかといいますか、本当の意味でいろいろな意見を聞いて実体的な判断をするようにすべきではないのかというご議論はいろいろあるんだろうと思います。したがいまして、そういうことについては不服審査なり何なりにつきまして当検討会としていろいろ意見を言うことがあると思います。
 ただ、ここで私が言っておりますのはまさに組織のあり方の問題でありまして、都道府県の公安委員会から国家公安委員会へのぼっていく、国家公安委員会には審査専門委員というのが一応おりますという仕組みがあるわけですけれども、その仕組みでやるのはだめで、別につくった方がいいというのは1つの考え方としてあるかもしれませんが、しかしそれをどこにどういう形でつくってだれがサポートするんですかとか、データの提供はどうやっていくんですかということになりますと大変行政の組織としては厚いものができてしまうということもありますので、現行の仕組みの中でその仕組みを実体的な判断ができるようにしていくというのがよいのではないかというのが、私の考え方でありまして、ご提示をしているわけであります。

○警察庁長長官官房総括審議官 先ほど瀬川構成員からご質問のあった平均的な審査請求の期間ということでございますが、約5カ月ということでございます。

○國松座長 どうぞ。

○瀬川構成員 余り知らないところがありますので踏み込んでは発言できません。被害者の方からもし代表の方からいろいろご意見があれば別ですけれども。確かに座長のおっしゃるように新たな機関をつくるというのは私も事実上は難しいということはよくわかりますけれども、ただ件数から見まして、手続の公正さという観点から見ますとやはり何か問題があるのではないかと疑わしい。被害者から見て国家公安委員会にアピールするというのはしんどいことでありまして、その前の段階で都道府県の公安委員会で何か被害者の方から要請というかもう一回再審査してほしいという形での要請はできないのか。
 風通しという点で一考を要しないかということだけです。実態を私も余り私も知りませんので、むしろ支給が非常に公正にされているので年間これぐらいの1件ぐらいにすぎないという理解も可能かもしれませんので、その点余り踏み込んで申しませんけれども、手続的に公正さという点から一考の余地があるのではないかという気がいたします。

○國松座長 実はまさにそういう運用上の問題というのは1つありまして、そういうところに関し、つけるべきクレームをつけていくために、先ほど議論になりましたアドバイザー制度というものがあるのではないか。
 今の日本のいろいろな社会保障制度はなかなか複雑にできておりますので、どこにどういう形でもっていったらいいかわからない。仕組みが悪いのか運用が悪いのかもよくわからないというようなところもありますので、そこをある程度専門的な知識を持った方が親身にアドバイスしていけばかなり改善されるのではないかというのがあってこのアドバイザー制度というアイデアも出てくるわけでありますが。
 瀬川構成員がおっしゃったように、この不服審査とかそういうものにつきまして、今のところどうも余り警察の方の広報活動というのはちょっと足りないのかもしれません。被害者の方々の方も何をやっていいのかよくわからないところがありますが、アドバイザー制度を充実していく過程でそういう問題は解決していくのではないのかなとも思いますけれども。

○瀬川構成員 それで結構です。

○高橋構成員 不服があって、その対象ではないかということが決定したときに、きちんとどういう理由でということがその方にちゃんと説明されるのかどうか。またそれも一般的な、例えばインターネットなんかでも情報公開されるということが必要だと思いますし、またそのことをいろいろな支援者とかアドバイザーの方が見てこういう前例があるんだなということを学ぶことができたりすると思うんですね。
 それで、またその理由がまだ納得できないという人もいると思うんです。そういう場合にはどこに行ったらいいのか、それがまさに座長さんがおっしゃっているようなコーディネーターの方にということだと思いますけれども。
 そういう意味では本当にコーディネーターの方の中立的な立場の方がなっていただければ被害者も相談に行けるかなという感じはしますけれども。

○國松座長 そういうことだと思いますね。警察庁、何かありますか。

○警察庁長長官官房総括審議官 基本的にはもちろん理由についてはすべてご説明をした上で支給、不支給といったことについての結論をお伝えするという形になっております。
 ただ、今お話がございましたように、こういう不服があるときに審査請求をするということについてやはりもっともっと周知徹底もされなくてはいけないと私も思っておりまして、私どもも努力していかなくてはいけないというふうには感じております。

○白井構成員 機関、つまり不服審査の機関ということではないんですけれども、犯罪被害者保障のこの制度によれば、そういう加害者が逮捕されないような場合であっても保障は出されるわけですよね。そういうことになっているわけですよね。それで、例えば極端な話、被疑者死亡ということで事件が終わっちゃったような場合も保障がなされることになるんですが。そういうような場合にもし不服申立したときに、審査機関の方はいろいろな刑事記録をごらんになっているんだけれども、申し立てた方は全然記録を見られないわけですよね。そうすると、棄却の決定をもらってもそれに対して行政訴訟を起こすかあるいはさらに上へやる場合にも情報が公開されないまま被害者の方は不服申し立てなきゃならないという状態にありまして。その不服申立をする際の被害者側の権利といいますかそういったものなんかについてもやはり工夫していただかないと実質的にならないんじゃないかなという気がするわけなんです。
 だから、それ今突然私が言ったことなのでいきなりこんなところで突然言って申しわけないんですけれども、本当はそういう問題はあると思うんですけれども。

○警察庁長長官官房総括審議官 基本的には行政不服審査法の手続にのっとってやっているということでございますし、もちろんそういうことで必要な部分についてはご連絡もするという形でやっているということでございますが、なおいろいろと問題点があるというご指摘でありますので、また今後ちょっと検討していきたいというふうに思います。

○國松座長 今の白井構成員のご指摘の点は、要するに被害者に対する情報提供といいますかそういうことですね、大変重要なことでもありますので、当然この中間報告を書く場合に、今の点をご意見として盛り込むようにご発言いただいたらいかがでしょうか。

○警察庁長長官官房総括審議官 ではちょっとすみません。今の話で情報提供の部分でございますけれども、基本的に処分庁の方の処分理由というのがあるわけございますけれども、それはもちろんこの審査請求された方にもご連絡申し上げて、そしてそこからまたいろいろな反論も出していただくという形にしておりますので、そういう意味では情報提供というのは行われているというふうに考えております。
 なお、そういった制度でやっておりますけれども、さらに白井構成員の方で必要なところがあるということでございましたら、またそれは検討させていただきたいと思います。

○國松座長 実際運用がどうかというところも含めてちょっと実情を見ていただいて、情報提供にやや不足のところがあるのであればそこは直していく、言うべきところはまた検討会の1つの意見として申し上げていくということだろうと思います。
 どうぞ。

○瀬川構成員 重ねてくどいようなんですが。被害者に対してだけのみならず一般国民に対しても説明する義務があるように思いますし、ほかの被害者もどのような実情にあるかということを非常に知りたいところだと思いますので、透明化という点もぜひ図ってもらいたい。だから、例えば被害者白書というのが先般出ましたけれども、そういうところにもきちっとそういうことが記述されているというのが望ましいというふうに考えます。

○國松座長 一般広報ですな。わかりました。
 ほかに。よろしゅうございますか。
 それでは、次に進みたいと思います。(4)の経済的支援制度に関する法形式はどうあるべきかというこの問題でございますが、これはここに書いておりますけれども、要するに別の言葉で言えば犯給法の改正といいますかそういうその延長線上で考えるんですか、それとも全く新たな立法形式をとって別の法律をつくるんですかという問題でございます。
 これは大体今まででもういろいろ出尽くした感じはあるわけでありますが、全体を中間答申の形で出ましたものにつきましてその中身に応じていわば表紙がどうあるべきかということでありますので、これはまたそのときにいろいろと考えていきたいと。立法技術の細かなところは当該所管庁に任せなければしょうがない問題でありますが、ただ基本的な流れとして犯給法の延長線上でいくのかどうかということについては、答申案がまとまった段階でもう一度ご議論いただきたいということでございます。
 大体そういうことで、これはもう一回やらないといかんと思いますが、今の段階で何かご意見ございましたらお願いいたします。
 どうぞ。

○高橋構成員 犯罪被害者給付金というともう見舞金、一時金というイメージができ上がっているので余り好ましくないなというふうに、私は印象としてそういうふうに思っています。

○國松座長 ほかに何か。

○白井構成員 法形式かというかわからないんですけれども、平成13年に法改正が行われて14級まで広がっていきまして、それでその14級までの等級の基本となるものが恐らく自賠責保険の等級表かあるいは労災保険の等級表を使っているんじゃないかと思うんですけれども。実はそういう犯罪被害に本当に特化したといいますか実情に合った等級内容であるのかどうかという、そこの辺はぜひ見直す必要があるんじゃないかなというふうに。例えば強姦罪だとか強制わいせつとかそういう性被害の場合とか、あるいは必ずしも犯罪に至らないそういうDVの場合とか児童虐待の場合とかそういう被害も入ってきますので。そういう被害の実情に合った形での等級表、もう一度見直してみるという必要はあるんじゃないかなとは思いますけれども。

○國松座長 今のご意見はここでテイクノートするわけでありますが、おっしゃることは法形式の問題ではなく、中身の問題ですね。特に給付の内容の問題ですね。それはまたそのときに。今までそのご議論は余り出なかったけれども、等級表そのものを直すべきだというご意見。

○白井構成員 そうですね、被害の実情に沿ってもう一度検討を進めるべきじゃないかというふうに思いますが。

○國松座長 別途検討すればいいことですが。
 先ほどの犯給法という名前がどうもよくないというのは、警察庁、いかがですか。

○警察庁長長官官房総括審議官 ちょっとそういうイメージが先行してしまったということであれば、少しそこは考える余地もあるかもしれませんけれども、ちょっとそこはまた皆様方のご意見もよく伺いながらその旨考えたいと思います。

○國松座長 あれ名前一回変わったんですね、どこかで。

○警察庁長長官官房総括審議官 そうですね。13年。

○國松座長 やたらと長ったらしい。

○警察庁長長官官房総括審議官 名称だけでもきちっと保障法という形で。

○國松座長 保障法ということになるかどうかそれはわかりませんが、要するに給付水準その他も全く違ってまいりますので、その意味でもそういう内容が変わったということをきちっと示す表題といいますか、法律の名称というのは何かあってもいいのかもしれません。したがいまして、そこはまた後ほどご意見を出していただきたい。。
 それでは、次に進みます。5のテロ事件の被害者に対する特例的措置に関するものということでお示しをしてあるところございます。このたたき台の5ページ目でございます。これにつきましては、書いてございますように、何らかの特例措置が必要ではないのかと思うわけでありますが、対象となるテロ事件の定義づけというのは大変難しい、あらかじめ包括的に定めておくというのは非常に難しいわけでありまして、一般の犯罪被害者等とは別に特別の救済策をとることをきちっと法律に書いておくというのは、大変困難であろうと。
 ただ、ここのところは私の意見でございますけれども、国家、あるいは社会に対するテロ行為で無差別大量の死傷者を生じたような事件につきましては、直ちに事案に応じた適切な救済措置をとることが国の義務であるということを明確にする内容をこの検討会の提言の中に盛り込むべきではないのか。事件が発生したときに直ちに手を打つこと。これはイギリスでもアメリカでもそれぞれのお国柄を反映しながら特別の措置をとっているわけでありますから、日本だけが一般被害者と同じように措置をしておけばいいんだというだけでは済まないでしょう。特に現在の国際情勢を見ますと、日本におきましても不条理な無差別大量のテロ事件というのが起きる可能性というのは決して否定できないわけでありますので、そういう不条理な事件が発生したときに国の意思としてきちっとした救済措置をとるということはある意味では当然のことではないかという感じがしておるわけでございます。
 したがいまして、国に対してそういう場合には直ちに措置をとれという意思を検討会の1つの結論として訴えておきたいということでございます。
 若干不透明といいますかあいまいなところが残るんでありますが、このところはそういうぐらいでいかがかと思うわけでございます。
 何かこの点に関しましてのご意見がございましたらお願いいたします。どうぞ。

○高橋構成員 きょう皆さんにお配りさせていただいたピンク色の表紙の「私にとっての地下鉄サリン事件」という冊子がございます。そこに50ページですけれども、國松座長さんにも手記を書いていただきましてありがとうございました。これを実は17日に、地下鉄サリン事件から12年、遺族にとっては13回忌ということなんですけれども、会場にいらした方に配布させていただきました。執筆者よりも早くきょうお持ちしたんですけれども。
 この50ページから書いていただいた中にでも、51ページになりますかね、後ろから5行目ぐらいから、今本当に座長さんがおっしゃってくださったようなことが書かれてありまして。52ページの方にいきますと、やはりいつどこで私たちも国際的なテロに巻き込まれるかわからない、そういう時代になっているのでその被害者の救済が必要だということを座長さんにも言っていただいて、本当に力強いお言葉いただいたというふうに思っています。
 それできょう配布の資料で、すみません、私この17日の行事のことでバタバタしていまして事前に余り目を通してなくて申しわけないんですけれども。多分こういういろいろな大量に被害者が出た事件に対して国が保障するあるいは損害賠償金が十分でない部分に対して国が立て替えるというようなことに関して国民の同意が得られるのか、賛同が得られるのかというようなこともちょっとあって、国民全体にその負担が及ぶというふうに回答が何件かあったと思いますけれども。では、国民全体に負担が及ばないで一部のテロ被害者だけに負担を負わせていていいのかということが逆に私たちテロ事件の被害者の言い分としてはあります。
 それで、なかなかこの経済的支援の中には入れにくいということもあるということもありまして、今回17日の集会の中でもう1つきょうお配りした資料の中にホチキスどめで17日のときの皆さんに配布した資料なんですけれども、そこの一番後ろの中に「オウム被害者救済のための法律を!」ということで声明文を出してありまして。その最後の方に特措法の制定をお願いしますというようなことを書きました。
 その特措法はというのはというと、その後ろからページをめくっていただきますとその前のページにある「テロ犯罪被害者の支援と補償に関する法律(案)骨子」ということで、一応こちらオウム事件の被害者の関係、被害者の会とか弁護団が考えました法律案骨子ですけれども、一応ここにはテロの定義とか救済法とかいかに早く支援をしていただきたいかというようなことを書いてありますので、ぜひぜひこれをお読みいただきたい。
 そしてまたこの経済的支援ということの中に入らないということも、すみません、繰り返して申しわけありません、あるので、これはその都度の対応として今回オウム事件の被害者にこういうような特措法をということで。ぜひ初めてのことだと思いますけれども、実現させたいというふうに思っています。
 こういうことの積み重ねでいろいろないわゆる国ないし社会を敵視して行われたテロ事件、大量の被害者が出たそういうテロ事件に関しての支援の充実が図られていくのではないのかなというふうに思っております。

○國松座長 わかりました。1点私から申しますと、今お示しをいただいた冊子の中の後ろから3ページ目に、「テロ犯罪被害者の支援と補償に関する法律(案)骨子」と書いてございますが、私今ざっと見ただけですが、大体こういったようなことを少し詳しく書くことになるのではないか。どういう表現になるかわかりませんけれども、ここに書いてある基金をつくり、特別に支援をしていくということだろうと思います。こういったことをここの構成員の皆さん方のご意見でどの程度盛り込んでいくのかということだろうと思います。何とか成文化してみたいというふうに思います。
 ただ、非常に難しいのは、オウム特措法というところまで踏み込んでここで何か言えるのかどうかということについては、私自身もそこまで書くべきということを必ずしも言っているわけではない。もちろん高橋構成員はそういうご意見であると思いますが、これはもう構成員の皆さんのご意見だろうと思います。何かありますか。

○高橋構成員 非常に誤解されるといけないなと思うのは、ここでオウム被害の特措法ということを言っているわけではなくて、そういうことを踏まえてやはりこれは必要ではないかという、テロの犯罪の被害者。ですから、この論点に対応できるようなそういうものが必要になって、その前例としてやはりそれは地下鉄サリン事件の関係でこのオウムの特措法は私たちは頑張ってやっていきたいと思っています。そこまでは。

○國松座長 わかりました。私もテロに関する特別措置というのはやはりこの検討会できちっと書かなければならんなと思ったそのきっかけはやはり地下鉄サリン事件でございます。それがありますのでこういうものについてきちっと対応する、直ちに国が手を打つという仕組みをつくっておくべきだということはやはりこの検討会で明確に提言をしていくべきだと思っております。また文章化いたしますときにいろいろご意見を承りたいと思います。ほかにございませんでしょうか。どうぞ。

○飛鳥井構成員 テロによる無差別の大量に死傷者が出た場合の特措法ということは盛り込んでいただくのも大変結構だと思うんですけれども、細かいことまでは恐らくできないと思うんですが。少なくとももう一歩だけ踏み込んで、例えばどういったようなことが必要になるかというようなことぐらいまでは、例示といいますかね、恐らく早期の対応があり中長期の対応があり、それから傷病者への対応、遺族への対応、それから打撃を受けた地域の回復の問題、それぞれ身体であり精神であり経済的な問題といったようなことがあるかと思うんですね。それで、大体こんなことが1つの全体像として必要となるというようなことまでの例示は盛り込んでいただけると、より意義があるかなと思うんですね。
 海外ではワールドトレードセンターとか最近ではロンドンの爆破事件の例もございますので、海外ではどういったようなパッケージといいますか、項立てがなされたかということも参考にしながら、例示ぐらいで結構だと思うんですけれども、盛り込んでいただければと思います。

○國松座長 わかりました。ほかに何か。どうぞ。

○高橋構成員 そういう点では精神的なものに関しましては本当に地下鉄サリン事件の被害者に対しては飛鳥井先生にもお世話になっているわけで、どういうような状況があったかということを出していただけると助かると思います。

○國松座長 ここの文章を書くときにそういったご意見をどんどん出していただきたいと思います。
 私どもに課せられた課題につきましての検討は一読解的なものは終わったわけでございます。きょうはせっかく芦塚先生にもお見えになっていただいておりますので、6に書いてございます、併せて検討することとされているものの検討に入りたいと思います。順番は芦塚先生からの説明をいただく関係で、(2)の公費による弁護士選任、国による損害賠償費用の補償等の是非(2)から先にやってまいりたいと思います。
 まず、法務省から、法律扶助制度のある法テラスや新たに立法が予定されている制度、そういうものを所管するお立場からこの論点についてのご意見をいただきまして。その後続きまして冒頭にご紹介がございました日本弁護士連合会犯罪被害者支援委員会事務局次長の芦塚増美弁護士からご説明を承りたいと思いますが、まず法務省からお願いいたします。

○法務省大臣官房審議官 法務省の意見につきましては本日配布されております資料6-2、法務省資料というところで説明を記載したところでございます。特に今の議題の関係で言いますと、その法務省資料の中の質問2に対応する部分でございます。事前に提出させていただいておりますのでごらんいただいているかと思いますけれども。その回答というところに1として公費による弁護士選任、公的弁護人制度関係。それから、2として国による損害賠償費用の補償等の是非についてというところに記載したものでございます。
 内容はそこに記載したとおりでございまして、現状の日本司法支援センターにおける犯罪被害者支援についてそこに記載してあるような支援を行っているということでございますとか、それから財団法人法律扶助協会が行ってまいりました犯罪被害者に対する援助事業についてその後これをセンターとの関係でどのように取り扱っていくかということについて現在関係者間で協議が進められているということなどを記載しているところでございます。
 それから、公費による弁護士選任、公的弁護人制度ということにつきまして、全体としてどのように考えるべきかということにつきましてはそこの(3)のところに簡単に記載しているところでございますが。現在の制度の枠組みは基本は民事の話について民事法律扶助事業で行われているわけでありまして、それをさらに越えて公費による弁護士選任あるいはそれによって弁護人という形で一定の活動をしていただくことについてどういうことを考えるべきかということについては、そもそもどういう法律事務の提供をしていただくことが必要なのか、それを公費により負担するのが妥当なのか、その場合にどういう要件であるとか対象犯罪、さらには立替なのか給付なのかといったことについての検討が必要になるであろうということをごく簡単に記載したところでございます。
 この関連で、その次のページに参考の資料としておつけしてございますが、今般私どもの方でこの犯罪被害者支援の関連、特に公費による弁護士選任と関連するであろうということで新たな制度について法律案を作成して国会に提出したところでございますので、その関係の資料をその次のページにつけてございます。もう既にご承知の方も多いかと思いますけれども、犯罪被害者等が刑事裁判に参加する制度、それから損害賠償請求に関し刑事手続の成果を利用する制度、この2つの大きな柱とする法案でございます。参加の制度については、その参加を許された被害者の方から委託を受けた弁護士も同様に公判期日に出席をすることや、あるいは意見を述べたり証人さらには被告人に質問をする等の活動をその犯罪被害者の方々とともにその委託を受けた弁護士さんの方でやっていただくということをその制度の中身として盛り込んでいるところでございます。
 それから、損害賠償請求に関し刑事手続の成果を利用する制度につきましては、刑事の裁判所に対して損害賠償請求の申立をして有罪判決の言渡しの後に簡易迅速にその申立についての判断をする制度を盛り込んでいるわけですが、当然その場合もその被害者等の方の依頼を受けた代理人としての弁護士さんがその申立をする、あるいはその後の民事の関係の審理について代理人として活動をするということが予定されるものでございます。
 こういった新たな制度を前提として弁護士さんの業務が実際に拡大をするということを踏まえて、どの範囲のことについて公的費用でまかなうことが必要なのかあるいは相当なのかといったことをご議論していただく必要があるのではないかということでございます。

○國松座長 今のご発言に対しいろいろご質問ご意見もあろうと思いますが、芦塚弁護士のお話を先に承りたいと思います。よろしくお願いいたします。

○芦塚弁護士 日弁連犯罪被害者支援委員会事務局次長の芦塚と申します。よろしくお願いいたします。
 まず、お手元の資料をご説明いたします。まず1枚目、「犯罪被害者等に対する経済的支援拡充に関する意見書」、2006年、昨年11月22日、日本弁護士連合会、これは日弁連の理事会決議で採択された文書でありまして、公的な日弁連の文書であります。
 公費による弁護士選任の導入につきましては5ページ以下で書いております。
 大切なことは8ページにこれからの検討課題ということを提言しております。あるべき制度を構築するにあたっての検討事項、犯罪の被害に制限を設けるかという点につきまして、生命、身体、自由などの侵害する犯罪行為に限ると。資力による制限を設けるか否かについても、資力要件を設けるとしても被害者が法律専門家の援助を受けることが資力の多寡によって左右されるべきではないことを留意する必要がある。弁護士費用を援助する場合の認定機関及び具体的な手続として、総合法律支援法30条1項5号を改正し、日本司法支援センターを認定機関とする。給付手続においては国選弁護人に準じた形式とする。
 刑事対応の場合も民事賠償と区別すべきか否かにつきましても、民事損害賠償も含めた形での被害者支援制度を構築すべきである。被害者の実質的な被害回復という観点から刑事に関連する支援と民事上の損害賠償も切り離して考えることはできないということ。
 給付制度については給付に統一的であること。
 法律相談の無料化の推進ということにつきましては無料化を推進するということをうたっております。そして、公費による弁護士制度を導入するにあたっての費用ということで、2005年における財団法人法律扶助協会の犯罪被害者法律援助制度においての支給件数は115件、支給総額は約1,500万円であった。しかし、今後の支援活動を充実させるためには十分な公費を投入することを要望いたしております。
 まずこれが第1枚目になります。
 第2枚目といたしまして、「犯罪被害者支援者ニュース」というものがございます。これは全国2万3,000の弁護士に配布されております日弁連新聞に添付された資料でありまして、これは全国のすべての弁護士に配布された犯罪被害者ニュースというものであります。2枚目に二次被害を防ぐというために私が書いたものが添付されて、全国の弁護士に配布されております。
 弁護士はとかく刑法民法やあるいは刑訴法などの基本六法は習熟しておりますが、福祉についてはやや知識が欠けており、犯罪被害者がすべての生活再建を目指して法律相談に来たのになかなか十分な対応ができないという点は弁護士が反省すべきだということはここでうたっております。
 そしてまた、被害者のお気持ちとして、事件として立件してもらいたい、事件の内容や手続を知りたい、裁判所や検察庁に行くのが不安である、法廷で加害者に主張したい、弁償してもらいたい補償してもらいたい、こういった制度についてさまざまな点を検討していかなければならないということを述べております。
 3枚目の資料、「法律扶助だより」というものがあります。法律扶助だより93号というものがございまして、表紙がありまして1枚目に法律扶助協会の自主事業というのがあります。
 2枚目に表がございまして、犯罪被害者法律援助事業実績の推移、平成13年度38件、380万、これからも年々減ることなくすべて増加の一途をたどっております。平成17年度には115件、1,462万円ということの数字があがっております。
 ここで一番件数が多いのが下にありますとおり、66件の刑事和解を含む示談交渉、55件刑事記録閲覧・謄写というふうに、大体要望が集約されつつあるかなということがわかってくるかと思います。犯罪被害者法律援助に関してのデータは一番正確にはこのデータです。
 ただ、注意すべきは、例えば民事扶助で相手が交通事故の任意保険がついていて任意保険から十分に補償されるような場合、つまり相手に資力があるような場合は民事扶助という形で援助がなされておりまして、この統計にはあがってきておりませんし。また一般の私選で弁護士が受けるケースもありまして、それはこの統計にはあがってきておりません。いわゆる犯罪被害者法律援助事業ということに特化された数字ということになっております。
 次が法律扶助だより84号ということで、これについての表もございます。これは平成13年、14年、15年度についての統計でございます。これについては正直な問題点をここの文献で書いております。なかなかこの3年間で犯罪被害者法律援助により支援された件数は192件となった、13年度は初年度で制度自体の周知が行き渡らなかったこともあり38件にとどまったが、その後ふえていると。ただ、各地の弁護士会における支援体制の違いを反映してか、援助実績は支部により大きく異なっており、東京が92件と全体の半数を占めると、その他の問題点を書いております。やがて最初は少なかったんですけれども、全国の弁護士が認知するに従って、先ほどのとおり件数がふえていっております。
 そして、最後の資料は「犯罪被害者の権利の確立とその総合的支援を求める決議」ということで、平成15年10月17日に日弁連といたしまして犯罪被害者の権利の確立について決議いたしました。その中での第4項といたしまして殺人等の重大事件の犯罪被害者が捜査機関、裁判所、メディアに対する対応に関し弁護士の支援を受け、その費用については公的援助を受けることを可能にする制度を創設すること。つまり、公費による弁護士選任導入をここでうたっております。人権擁護大会というのは日弁連の中で一番大切な大会であり、そこでこの犯罪被害者についての支援をうたっているわけです。
 これが資料の説明でございます。かいつまんで説明いたしますれば、弁護士というのはとかく刑事弁護で登場するわけでして、加害者の味方であるというようなそういった見方もありますけれども、そうではなくてやはり地道な支援というのを伝統的に行ってきております。
 例えば交通事故の無料斡旋制度というのは昭和40年代には開設しておりまして、交通事故に限定しては被害者が無料で斡旋を受けられるという制度を構築しております。これは例えば交通事故なんかで任意保険基準だと非常に低いんですけれども、裁判所の基準で斡旋をしますと非常に高くなる、こういった制度を昭和40年代から斡旋しております。
 そういういろいろな作業をやっておりますけれども、やはり弁護士というのは相手から財産をとって、そしてそれを仕事として受ける形でやってきました。つまり、相手に資力があるかどうかが弁護士が介入すべきかどうかの基準であったわけです。しかし、そうではなくさまざまな被害者のご要望が、事件の内容を知りたいとかそういうことが問題となってきておりまして、さまざまな支援活動をやっております。
 特に一番重要なのは、弁護士でなければできない支援ということですね。つまりそれはどういうことかといいますと、最初の表に書いております、最初の日弁連の意見書の中に5ページ目に被害者のための支援活動ということで、被害届、告訴、そして示談、そして報道機関への対応というようなことを書いております。
 報道機関への対応というのは弁護士固有の権限でございまして、弁護士が例えばマスコミが集中する事件ですと弁護士が窓口になることにより被害者のご自宅にマスコミが行かなくて弁護士が対応するということで被害者の方が平穏に生活できるというような被害者の支援もできるかと思います。
 また、示談の対応ということで、刑事弁護人が加害者側についたときに、被害者側として弁護士が介入することによって適正な示談の金額等が策定されるということになっております。
 そしてまた告訴というようなことも非常に重要でありまして、法律要件、構成要件から告訴状を作成して被害者の支援を行っております。
 そしてまた平成12年に被害者保護関連の法律ができまして、新しい弁護士の支援というのができております。これは、一番重要なのは起訴後の段階におきまして起訴状、冒頭陳述書、論告、判決書の閲覧・謄写ということがございます。これは起訴後、確定前に閲覧・謄写を弁護士がサポートするということでやっております。またこれは弁護士以外でもできますけれども、弁護士が特につく必要があるのは家庭裁判所の事件ですね。家庭裁判所の事件というのは記録の扱いに非常に慎重でありまして、被害者が行ってもなかなかすっと出すことはない事例が多いんですけれども、弁護士がつくことによって家庭裁判所が弁護士限りということで記録の閲覧・謄写を認めてくれたケースもあります。非常に家庭裁判所の事件では閲覧・謄写、少年事件ですね、こういった場合は弁護士の活躍する領域が非常に多いということを言っておきます。
 また、意見陳述書の作成ということで、平成12年の改正で意見陳述の制度が認められましたけれども、これにつきまして弁護士が事前に陳述書の作成とかを援助しております。また、これに関係する制度といたしまして刑事和解、平成12年の法律で認められた刑事和解という制度がございまして、刑事裁判の記録に和解の内容を添付する形で和解が認められます。この刑事和解の制度は法律で当事者の出頭ということが要求されております。被害者の方が刑事裁判所に行けばこれは可能なんですけれども、被害者の方がなかなか刑事裁判所に行けないときは被害者側の弁護士が代理人として刑事裁判所に行くことにより和解調書の作成が可能となっております。特に刑事和解の制度については弁護士の果たす役割が非常に大きいかと思われます。
 また、不起訴の場合、特に検察審査会への申立ということで検察庁で一たん不起訴になったのを申立書を作成して支援する制度があります。これは平成12年の改正で遺族の申立も認められるように大きく重要な制度となっております。この申立書の作成を弁護士が関与いたしております。
 そしてまた裁判終了後に加害者情報の入手ということです。今は検察庁の通知制度で起訴したかしないかとかの項目は検察庁の捜査の段階で自動的に被害者の方にお知らせするようになっております。ところが、実際いつ出るか出ないかというのはもうかなり実際刑務所に収監されて出るまで数年かかりますから、その後出るまでの間長期間かかりますから、これも弁護士がついて出所情報を管理してやるという手続等もございます。
 そしてまた、刑事確定記録の閲覧ですね。刑事訴訟法では確定記録は閲覧とだけしか書いてございません。刑事訴訟法の条文で閲覧とだけあります。だから、被害者の方が検察庁に行って記録を見せてくださいといいますと写真で見てください、写真を撮影してくださいということを言われます。こうしますと例えば高性能のカメラでこういう文書を撮影してもゆがんでしか見えないということになります。ところが、弁護士がやる場合は検察庁内に弁護士会の謄写人がいますので、そこを経由して鮮明な形でのコピーがとれる形になっております。弁護士の果たす役割は非常に大きいかと思われます。その他安全のためのアドバイス等々しております。
 また、被害者給付金の申請ということで、生活保護申請なんかで弁護士が援助するような制度もございます。民間のソーシャルワークがなかなか行政との関係で独立性がないようなところは弁護士が関与していくという制度もございます。こういった点をやっております。
 では、この制度がどういうふうに伸びていっているかといいますと、法律扶助だよりの表をごらんになればわかると思いますが。一番重要なのが刑事和解を含む示談交渉ですね。やはり刑事弁護人ということで加害者側に弁護士がつくときは被害者側にも弁護士がついてもらいたい。そして、和解の内容等も十分に把握できるようにしてもらいたいというようなことがあります。そして、刑事記録の閲覧・謄写ですね、この件数も55件というふうに非常に重要になってきております。これが法律扶助に基づく制度でございます。
 そして、今現在は日本司法支援センターにおける精通弁護士ということで弁護士が被害者支援業務に当たっております。昨年11月21日現在に精通弁護士として登録しているのが1,138人であります。1,138人の弁護士が登録して被害者支援の業務を行っております。
 総合法律支援法の下で精通弁護士が被害者支援を行うという体制を整えておりますけれども、総合法律支援法の30条1項5号というのが情報を提供する、つまり法テラスは有料相談の弁護士を紹介するだけが法文上規定されております。これではやはり不十分ではないかということを考えておりまして、総合法律支援法を改正した形で十分な、法テラスの本来業務として被害者支援をやっていただきたいというのが日弁連の意見であります。
 総合法律支援法というのは平成16年6月に制定されておりまして、犯罪被害者基本法は平成16年12月ということで、6カ月前にできた法律でございますのでやはり犯罪被害者支援については十分でないところがありますので、総合法律支援法30条1項5号を改正して法テラスの本来業務としていただきたいということを日弁連として訴えております。
 そしてまた、この公的弁護人制度につきましては今月13日に閣議決定で被害者参加人ということで決まっております。また、この制度についてはさまざまな意見があって、慎重な言い回しをしなければならないかと思いますけれども、実際動きだしたらやはり損害賠償の請求に関し刑事裁判の手続、成果を利用する制度、いわゆる付帯私訴ですね、そして参加とこの両面が検討されております。いわゆる付帯私訴というのは刑事裁判と民事裁判が合体した手続ですので、やはり民事訴訟法の知識のある弁護士がサポートする必要があるということ。そしてまた、参加につきましては情状に関しての尋問等に限られますので情状とは何かというようなことを弁護士がサポートする必要があるのではないかというふうに思っております。
 またこういう点がさまざまな形で検討されております。
 以上でございます。

○國松座長 ありがとうございました。
 今、法務省及び日弁連の方からご説明がございました。いろいろご質問等あるいはご意見もあると思います、どうぞご自由にお願いいたします。どなたからでもどうぞ。

○白井構成員 白井ですが。今、日弁連の方の案ですと、そうすると公的弁護人というのはこの訴訟参加、付帯私訴の代理人となるという場合に限っているんでしょうか。

○芦塚弁護士 いや、そうではなくて、従来から法律扶助協会でやっている謄写とかの援助も含んでおります。これがむしろメインになるかと思います。

○白井構成員 そうすると、従来からやっている犯罪被害者支援の弁護、これも含めて新しく制度ができる、訴訟参加制度、被害者参加制度、それから付帯私訴制度の代理人あるいは弁護人というそれも全部含めて公的な弁護士選任制度と、こういうことでよろしいんですか。

○芦塚弁護士 はい、そうです。

○白井構成員 はい。
 その場合に、国の費用を出すということになりますと個々ばらばらに行われて、やっているところもあるけれどもやっていないところもあるというのではやはり国の方でなかなか公的費用としては難しいとは思うんですけれども。今、日弁連の場合にきちっと全国で法律でそういう制度をつくった場合に全国で弁護士会がそういうことを対応できるだけの体制が整っているのかどうかという点は。

○芦塚弁護士 全国の弁護士会が52ありまして、52の弁護士会から日弁連犯罪被害者支援委員が出ておりまして、52の弁護士会すべてから日弁連犯罪被害者支援委員が出ております。そしてまた、全国のすべての弁護士会に一般の窓口がございまして、犯罪被害者を含めた一般の相談も対応しております。そしてまた、犯罪被害者に特化した形の相談が28単位会ありまして、28の弁護士会では専門的な相談をやっております。
 また、先ほどの法律扶助だよりを見ていただければわかるとおり、減ることも、年々ふえておりますので、全国の弁護士会にこの犯罪被害者援助の活動が展開していくかと思われます。

○國松座長 どうぞ。

○白井構成員 先ほどのあれですと、法テラスの総合法律支援法を改正して、そして法テラスの事業としてその公的弁護制度というふうに提案されているんですけれども。具体的にはどういう形になるんでしょうか。

○芦塚弁護士 まず、今総合法律支援法の30条1項5号というのは犯罪被害者の援助に関する次の事項に関する情報、資料を収集して整理し、情報通信の技術に利用するその他の方法により一般の利用に供し、個別の依頼に応じて提供することととどまっているんですね。ところが、民事扶助の場合は国民を援助する事業を次のを行うと。援助という言葉民事扶助の場合には入っているんですけれども、5号の場合には援助という言葉がないというか、やはりそこが問題。直接法テラスと支援するというか、本来業務としていただきたいということですね。
 要するに今の日本財団からの援助でやっております法律援助事業というのも日本財団の予算がとまればもうとまってしまうというか立ち行かなくなるんですよね。そこはやはり国の制度としてやっていただきたいというのを願っております。総合法律支援法というのが平成16年6月の法律でありまして3年もたってないのに改正というのはちょっといささかせっかちな面があるかと思いますけれども、やはり時間の前後関係、総合法律支援法ができた後に犯罪被害者等基本法ができたという関係を考えれば、この点の調整を十分やっていただきたいというようなこと。つまり、総合法律支援法第30条1項5号というのは犯罪被害者等基本法ができていないときにできた法律でありますので、この辺をよく調整していただきたいというのを願っております。
 そして、本来業務といたしましてやはり日弁連の意見書にありますとおり、例えば民事扶助的な国選弁護人制度、刑事の国選弁護人制度と同様に直接に法テラスが業務を行えるということで、日本司法支援センターを認定機関とし、給付手続については国選弁護人に準じた形式とすると。つまり、国の予算として出る形になりますので、何も日本財団の予算が不足したからといって十分に援助が可能ということになっています。

○國松座長 ちょっと待ってください。今の日弁連の方のご発言でありましたような、総合法律支援法30条1項5号の改正ということにつきましては、法務省の方のご見解はどういうことになりますか。これは質問ですけれども。

○法務省大臣官房審議官 やはり基本的にどういう法的サービスを公的費用を負担して行ってもらうかという、中身の議論が先に必要ではないかというふうに思っております。先ほどの法律扶助だよりに記載されております平成13年度からのいろいろな実績、これはいわゆる自主事業として行われてきた支援のいろいろな中身であったりあるいはその推移ということだと思います。いずれにしても弁護士さんにやっていただく事務ということになりますので当然法律事務、法的サービスということになるはずであります。先ほどのお話の中にもありましたが、例えばマスコミ対応という問題がございます。被害者、遺族の方にとっては非常に重要な問題であることは間違いないわけでありますけれども、それがいわゆる法律事務、法的サービスとして位置づけられるのかどうかといった議論も恐らく必要になるのではないかというふうに思っております。
 それから、いろいろな事務の性質でありますけれども、いわゆる民事の関係、民事訴訟でありますとかあるいは示談交渉も含むのかもしれませんが、そういうものについては民事法律扶助ということで既に対応が総合法律支援法の中でもできているわけで、当然それは被害者の方も含まれているわけです。そういうものとそうでないものとを区別して議論する必要があるのではないかというふうに思っております。
 例えば新たな制度としていわゆる付帯私訴というものを提案をしているわけですけれども、付帯私訴に伴います民事の関係の審理について弁護士さんが法的サービスを援助するということについてはまさに民事的な問題ですので民事法律扶助の枠組みで考えるのになじむ話というふうに思います。いわゆる被害者参加の部分で弁護士さんが被害者の方の委託を受けていろいろな活動をするというのはまさに刑事の問題であり、これまでの民事法律扶助の枠組みを越える部分ですので、それについてまさに公的費用で負担をするのかどうかという実質の判断を議論していただく必要があるのではないかということでございます。

○國松座長 今の点は日弁連はどうお考えなんですか。民事と刑事の仕分けのところがあるんじゃないかということなんで。

○芦塚弁護士 やはり実際の例えば示談交渉ですと、例えば300万とか200万とかまとまってくる事件の依頼を受けて報酬が確保できるという形は民事扶助。つまり民事扶助では資力要件、相手方からいくらか確実にとれて弁護士が費用がペイできるのが民事扶助として今までやってきたわけです。実際の刑事裁判ですとこれがもうとてもそういう高額な示談金ではなくて10万とか15万の示談金で終わらせるような形のケースもあります。こういった場合に弁護士が介入しますと15万の示談金で弁護士費用が最低報酬基準では10万円、依頼者がとるのが5万円かと、こういった場合はもう全然介入できなくて、最初の入口の段階からこれはもう弁護士の仕事じゃないということでなかなか引き受け手がなかったわけです。そういった場合は給付制ということで弁護士の費用が確保できれば自動的に弁護士が介入しやすいというようなことも考えております。
 それとあとやはりマスコミ対応につきましても、これもやはり交渉の窓口になると。例えば記者クラブに幹事社とかに入っているところだったら平穏なんですけれども、それ以外のマスコミがいろいろな動きをした場合は民事保全とか民事裁判の対応をしなければいけないということで、あくまで民事訴訟の準備段階としてこのマスコミ対応は位置づけておりますので、十分に法律事務という性格はこなせるかと思います。

○國松座長 何かご発言ございますか。よろしいですか。
 では、白井構成員、どうぞ。

○白井構成員 法務省のおっしゃることもわかるんですけれども、現実問題としてこの被害者の方から相談を受けて支援につく場合に、ここからこっちは民事でここからこっちは刑事でというふうに、ここまでは刑事告訴はやりますけれどもその後はやれませんとかとそういうことはできないものですから。自主事業としての法律扶助を使って援助をする場合も現実の問題としては全部1セットひっくるめて最初から最後まで援助しますという形にならざるを得ないわけなんですよね。
 だから、確かに理屈上は法律事務がどうかということは厳密に分けることになるかもしれないんですけれども、例えばマスコミ対応でも、じゃあ生活妨害に対する妨害禁止の仮処分申請というのをやれば法律扶助の対象になって、そうじゃなくて単純にマスコミ対応とやれば対象とならないとかと、逐一そういうことをやってられないと思うんですよ。ただ、あえて法律上の理屈を考えればそういう生活妨害に対する妨害排除あるいは妨害予防という法律事務を取り扱うというふうに考えられなくもないわけですので。できる限り被害者の要望の実情に合った公的費用の援助というそういうことを考えていただく方がいいんじゃないかなと思うんですけれども。

○國松座長 わかりました。
 ほかに何か。私から法務省に1つ質問よろしゅうございますか。このお配りいただいてペーパーの2ページの真ん中あたりに、民事法律扶助の枠組みを越えてどのような場面で弁護士による法律事務の提供が求められているのか、いかなる形での援助が行われるべきか等について検討が行われる必要があるというご趣旨のペーパーですけれども、少なくとも私はこの辺のところについては実務も法律もよくわかりません。そもそも制度が非常に動いておりますのでちょっとわからないところがあるんですけれども。丸投げ的質問ですけれども、どんな場合が具体的に、当たるのかということについての何かお考えはございますか。

○法務省大臣官房審議官 こういう場合にこういうふうにした方がいいのではないかという具体的な案を私どもが持っているということではございません。
 制度が非常に動いている部分でありますし、これまで自主事業としてやられてきたことも、もちろんそれは非常に意義のあることだったんだろうというふうに思いますけれども、それを今後仮に公的費用、まさに国民の負担というんでしょうか、どういう形で財源を出すかということがもちろん別途問題ではありますけれども、国民の負担という形でサービスを提供するかどうかということになればそれはその場合の問題としてどの範囲の法的サービスをどういう要件で認めるかというのは当然議論をしなければならない話だろうとことであります。
 先ほど申し上げたように、法律事務なのかどうなのかというのを議論しなければならないのはあくまでもそれは弁護士さんというまさに法律専門家のサービスを公的費用で負担をするということであるならば、それは法律事務であるからこそそういう公費の負担ということになるんでしょうから、そこの理屈の整理が必要ではないかということがございます。民事、刑事の区別の問題も、実務的に難しい問題もあろうとは思いますが、やはり民事の問題というのは少なくともこれまで民事法律扶助という形で行われてきたし、相手方の加害者側のそういった法的サービスの問題はどうするのかという問題も他方にあるわけですので、民事と刑事の話をどう整理するかというのもやはり1つの問題であろうというふうに考えております。
 結局いずれにしても公費で負担するということになるわけですので、この検討会でこれまでいろいろと議論をされてきたいろいろな経済的支援のための給付ももちろんまさに公費でそういった被害者の方にいろいろな意味で支援するための施策でありますし、それとある意味では共通する問題であります。いずれにしてもどういう被害者に対してどういうサービスや支援をするのか、その中でこういう弁護士さんのどういうサービスについてどこの範囲で認めるのかというふうに議論がされるべきなのかなということです。

○國松座長 今度参加制度とか成果を利用する制度というのができてまいりますよね。これもある程度やってみないとわからないところあるのかもしれませんが、その中で今の刑事と民事の仕分けであるとか、それから法律サービスの内容というのもいろいろ決まってくるんだろうと思いますが、これらの点につきましては法務省あるいは日弁連の方からもいろいろなご意見承りながらそこをやっていかなければならないと思います。私自身はちょっとよくわからんところがあるものですから、その辺ひとついろいろと教えていただきたいと思います。
 1つ質問なんですが、先ほど日弁連の方からご説明のありました、法律援助事業の実績のところでマスコミ対応というのがあります。これは先ほどご発言があったように大変大切な話で、被害者にとってはここら辺をぜひいろいろやっていただきたいというニーズは大変強いのがあると。ただ、助けてもらう内容は法律行為なのか事実行為なのかというのは本当に難しい話で、弁護士さんがおやりになるんだからそれはある程度法律的な行為ということになるのかもしれませんが、そこの切り分けというのはどこまで厳密でないといけないのかという点はいかがなんでしょうね。ジャンル的にここに書いてありますけれども、法廷での支援とか示談とか閲覧・謄写とか、そういう項目ごとに弁護士さんに働いてもらうことは随分あるんだろうなと思いますけれども、これは法律行為で、これはいいけれどもこっちは違うというようなところを書くとするとどういう書き方になるんでしょうかね。この辺何か法務省の方何かご意見ございますか。

○法務省大臣官房司法法制部司法法制課長 すみません、総合法律支援法を所管しております担当課長でございますが。今のご質問はとても難しくてなかなか正確に答えがたいんですが。現在の総合法律支援法で書いてあるいわゆる自主事業の受託に関するところですね、30条2項の条文の書き方を見ますと、要するに法テラスの方で受けることができる業務というものは法律事務を契約弁護士に取り扱わせると、そこが主になっております。ただそれに付帯する業務を行うことはできる、つまり主たる法律事務の取扱いに付帯する程度では受けられるというそういう枠組みが既にありますので。整合性という観点からいけばそのあたりで説明するのは一番楽なのかなと。
 日本司法支援センターというのはどうしても司法に対するアクセスということを中心にしております。法的な支援を中心にしておりますので、事実行為だけの支援を表へ出されてしまいますと所掌事務じゃないんじゃないのかと言われがちでございますので、やはりどのような公的支援が必要かということをご検討いただくときにはこれは弁護士さんに支援してもらうことが不可欠であるとか最善であるとかそういう要素に留意すべきであろうと思います。それがなぜかというとこれは法律事務が中心にあるからだというような考え方からいかれるのがよいのかなと。
 ただ、先ほど白井構成員からありましたように、現実問題としてこのパッケージというか、全体としての支援というお話があることもこれまた事実でございます。しかしながら、現状を申し上げますとそのうち民事的な部分は民事法律扶助のところで何とか一生懸命カバーしておるというところでございまして、その限りで刑事的な観点で手薄ではないかということにつきましてはこれは検察庁の職員その他関係機関のものが公的な立場できちんと対応するということで何とかカバーすると、そのような枠組みが現状あると思います。
 答えになっておりませんけれども、現状は大体そんなような形です。

○國松座長 ありがとうございます。それで、もう1つ質問ですが。そうしますと、例えばマスコミ対応という問題についてですね。仮処分をかけていくというようなことがはっきりしないと法律サービスの場合でも、委託されてその場面場面によっては法律的なアクションもとり得る、とらなければならない場面があるという場合はひっくるめて弁護士の行うべき法律サービスの中に入ってくる、付帯業務の方に入ってくると、そういう考え方でよろしいんですか。

○芦塚弁護士 一連の法律事務の取扱いに関して、例えば先ほど記録の謄写というお話もございましたけれども、あの記録の謄写の申請自体はほとんど事実行為的なものでございましてだれがやってもきっと同じ結論になるべきことでございます。しかし、何のためにそれを求めるのかというと、それを見て損害賠償請求の当否の法的問題を検討するという観点から説明していただくとそんなものもプロセスの中に入ってくるなということはわかりやすいということにはなるわけでございます。
 ただ、マスコミ対応というのはそういう意味でいいますとややちょっと特別な問題があるのかなということで、ちょっと今即答いたしかねるところでございますけれども、すみません、今はちょっとその程度でございます。

○國松座長 ありがとうございます。
 余りこれを突っ込んでも仕方がありませんので。
 どうぞ。

○高橋構成員 マスコミ対応ということでは、実は私は弁護士さんにお願いして、事実と違うことを書かれたので弁護士さんにお願いしてちゃんと委任して訂正文を出してもらったということがあります。そういうことがもし法律扶助協会の方でやっていただけるんでしたらすごくありがたいことだと思いますし、特にやはり加害者なんかは平気でメディア等の問題を損害賠償訴訟を起こしたりしますけれども、被害者の場合というのはなかなかそういうことができないんですね。私はたまたま民事裁判を起こしていて担当の弁護士さんがいたのでその担当の弁護士さんに実はこういう報道被害もあったんだけれどもということで対応してもらえたんですけれども、なかなかそういうことが被害者が自分からメディアとのトラブルに対して言っていくということが、対応してもらうということがなかなかできないので、やはり法律扶助協会の方でそういう対応していただけるとすごくありがたいなというふうに思います。
 それは何回も何回も続くことじゃないと思うんですよ。私もそういうことを一回経験してからやり方がわかって、きょうも実はある新聞社とあるトラブルがあってもうやってきたんですけれども。やはりそういうことが一回学べるわけですよね、被害者としても。ですから、一回そういう支援をしていただくと、ああそうすればいいんだなということがわかるので。ですから、一度でもそういうことをしていただくと実際の間違えた文章を訂正することができるし、そのことによって被害回復できますし。あとはもう自分で何かやっていくということもできるのでぜびせひ被害回復のきっかけにもなりますし、それは法律的なことだというふうに私は思っています。

○國松座長 そうですね、私もよくわかりませんが、とにかくマスコミ対応というのは非常に大切な場面であるし、法律的にきちっと整理して弁護士の出番だろうなと。ただ、どの部分が公的な費用を出すような話になるのかというのはなかなか具体的なケースに即さないとわからないというのもあるのかもしれません。
 ここはどういうことになりますか、もう少し事務方ともよく相談をして、どういう形でこれをまとめるのかという点はよく検討してみたいと思います。今ここで何かご意見があったら承りますが。その方向性だけでも示すようなご意見を承るとありがたいんですけれどもね。

○高橋構成員 一番わかりやすいのはAさんの問題だと思うんですね。ああいうときに被害者はどうしていいかわからないわけですから、そういうときに対応していただけるということが大事だと思います。

○國松座長 どうぞ。

○大久保構成員 やはり公的弁護士さんが必要です。今まで出た問題もそうですが、新たに今度は参加制度になりますと被害者によっては刑事も民事もわかりませんし、聞かれたことにもどのように答えればいいかもわかりません。支援センターでいろいろな被害者の方と連絡をとっておりますと刑事に関しましてはそれは担当の検事さんに聞けばいいということであっても実は被害者の方にとりまして公的なところというのは敷居が高くて実際には連絡をとることさえもできない。そういう被害者の方が、参加制度ができてもそれが使えない、使えるような精神的な回復がなされていない、あるいはどう対処すればいいのかがわからないということで使えないということになりますと被害者のその後の回復にも影響してくるわけなんですね。
 とにかくある制度はきちっと使えるということが被害者の方に必要なことです。現在例えば証言ですとか意見陳述という制度がありますが、それを初めは皆さん躊躇します。それでもそれを実際に使った方に聞いてみますと、使って本当によかった。意見陳述ができたということが1つの自分の自信になって次の人生をもう一度考えていこうという気持ちになれたのでよかったということをほとんどの皆さんが、ほとんどじゃない全員の皆さんがそうおっしゃいますので。
 今回の公的弁護人ももちろん民事にもどれぐらいかかわるかということは細かい作業の上での問題があるのかもしれませんが、参加というあたりで全員の被害者の方が使えるようにその周りの環境を整えていただきたい。そのためにはやはり法律の専門家の弁護士さんがかかわりませんと、きちっとそれを使っていくということができないと思いますので、この制度につきましてはぜひ入れていっていただくという形での検討を進めていっていただきたいと思います。

○國松座長 何らかの形でこの公的弁護人制度というのを盛り込んでいくというのは。

○大久保構成員 それはぜひお願いしたいと思います。

○國松座長 その点については、コンセンサスがあるんだろうと思います、この検討会でもですね。ただ、どう書くのか。民事と刑事をどこで分けるんですかというような問題もありますしね。これはちょっと難しいんですが、今大久保構成員が言ったようなニーズはあるわけでありますから。
 それと、アドバイザーというのもその前にやはりあり得るんですかね。

○大久保構成員 当然早期援助団体が全都道府県にできまして、被害直後からの支援というものができてきますと被害者の方たちの不安を取り除いて一緒に支援を行うということはできますが、それでも法的な部分あるいは法的な情報提供といいますのはとても微妙な部分もありますので、そこはやはり弁護士さんの役割というものも大きいものがあると思います。そういう点で支援センターあるいはアドバイザーがいるからあるいはコーディネーターがいるからというだけで選任の弁護士さんがいらないということには全くなりませんので。それぞれの制度が十分にできた上でも役割分担ということは出てくるかと思います。

○國松座長 それと、検察官にもある程度援助してもらわないと、訴訟参加なんかの場合ですね。

○大久保構成員 それはもう基本的なもので。被害者の方は直接連絡をとるのは検事さんですけれども、それでも被害者の方によっては直接とるということがなかなかできないという、そういう場合すぐ身近なところで安心をして相談ができる弁護士さんがいれば、代理人として弁護士にお願いすることができるので、参加してよかったと思い、被害回復に大きく役立つと思います。

○國松座長 ほか、ご意見ございますか。どうぞ。

○白井構成員 法務省にもう一度ちょっと確かめたいんですが。今度訴訟被害者参加制度ができまして、付帯私訴もできるということになってくると、これかなり刑事裁判にかかわっていくわけなんですが。被告人側は国選弁護人が出てくるわけですけれども。当然被害者参加人あるいは付帯私訴原告にもそういう公費による弁護士ということは想定できるんですけれども。その辺のところは法務省の方はそういうものの必要性ということはどういうふうに考えておられるんでしょうか。

○法務省大臣官房審議官 今回の新たな制度のうち、先ほどもちょっと申し上げましたが、損害賠償請求に関して刑事の成果を利用する制度の方については基本的には民事裁判と同様の性質を持つものということで、民事法律扶助の枠組みで検討するのがなじむ話ではないかという感じがいたしております。
 他方、もちろん参加は刑事の手続そのものでありますので、そういうものとして検討する必要があるわけですが、今回の制度、今の議論の中にも出てまいりましたけれども、検察官が被害者が適切に参加できるように十分コミュニケーションをとる、あるいは被害者に対してサポート的な立場をとるということがある意味では前提となっているということからいたしますと、もちろん弁護士さんが被害者の方についていただくということにもちろん意味があるわけでありますが、制度の前提として検察官がコミュニケーションをとるあるいはサポートをするということを前提とするということをどう考えるかという問題があるんだろうと思います。

○國松座長 どうぞ。

○白井構成員 検察庁内部のことですので詳しくはわかりませんが、少なくとも私が経験したあれでは、検察官も忙しくて、しかも現在のように公判前整理手続から集中審理ということになりますとそれだけでも相当検察官の負担、集中的にやっているので、被害者の方が直接検察官のところへ出かけていってあれを質問してくれこれをやってくれということはなかなか言えるような状態ではなく。私たち弁護士が付き添って検察官のところにお邪魔していろいろお話を伺っても、あれやってくれこれやってくれと差し出がましいことを言えるような状況ではとてもないというふうに私は感じまして。
 ですから、確かに検察官の方ができる限り被害者のことも考えながら被害者参加も進めていくというその言葉自体はありがたいんですが、現実問題としてはなかなかそういうふうにいかないのではないかと。やはり被害者参加代理人というものがきちんと弁護士がついてやらなければなかなか進まないのではないかというふうに感じております。

○國松座長 この問題はもう一度議論しなければならない問題であろうと思います。
 ほかにないようであれば次に移りたいと思います。よろしゅうございましょうか。
 それでは、次は損害賠償債務の国による立替払及び求償の是非の検討の件でございます。これは犯罪被害給付制度あるいは健康保険制度あるいは労災の制度といった現行制度の中で加害者に対する求償権を行使する立場にあります警察庁、厚生労働省、そして求償訴訟において関係する法務省からご説明、ご意見をいただきたいと思います。
 警察庁からお願いします。

○警察庁長官官房総括審議官 この問題につきましては資料6-1でございますが、この求償の現状あるいは問題点等についてご説明したいと思います。求償の現状ですが、資料1に書いてございますけれども、これまで求償権を行使した例といたしましては、松本サリン事件、地下鉄サリン事件などの4事件の被害者や遺族に対して給付金を支給したことに関しまして、オウム真理教の破産管財人に対して債権の届出をした事例がございます。
 それからこのほかに、昭和63年に発生いたしました殺人事件の遺族に対して給付金を支給いたしましたけれども、これに関して求償権を行使して納入されたという事例があるということでございます。
 この求償権行使の実効性及び問題点ということでございますけれども、やはり債務者が特定できた事案でありましても賠償能力がないということで求償権を行使しても債権の取立が困難な場合が多いということであります。もともと犯給制度というのは加害者が無資力であって何らの賠償、補償も受けられないという方、そういう状況にかんがみてつくられた制度ということでもございます。
 それからまた、精神障害のために自己の行為の責任を弁識する能力を欠く状態にある間に他人に損害を与えたものにつきましては、一定の場合を除いて不法行為の損害賠償責任を負わないというふうにされておりますので、求償権行使の対象外となっている。
 それからまた、犯罪被害であることは明らかでも加害者が不明の場合など、債務者を特定することはできないということで、そういった場合もあるということが挙げられるのではないかというふうに思います。
 以上でございます。

○國松座長 厚生労働省からお願いします。

○厚生労働省政策評価審議官 資料6-3でございますが、これは冒頭ご説明しました資料の3枚目と同じものでございますので内容は省略いたします。現状も先ほどちょっと申し上げましたが、求償自体はなかなか苦労しておるというのが実情でございます。ただ、労災の場合に関して申し上げれば、大部分が先ほど申し上げましたように交通事故でございますので、その件に関しましてはある程度の回収ができております。当該年度に債権立てをしております、すなわち前年度からの繰越も含めまして約40%強が回収できていくという状況でございます。ただ、交通事故以外のケースではなかなか回収は困難な状況であるということが現状でございます。
 以上でございます。

○國松座長 法務省。

○法務省大臣官房審議官 法務省の場合は直接当事者といいますか所管する範囲で求償するという例は余り多くないわけでありますけれども、証人等の被害についての給付に関する法律というのがございまして、証人等に出ていただく方の被害の関係で給付をして求償するというものでありまして、事例は非常に少ないわけでありますけれども、ないわけではないということです。調べてみたところ、最近の事例でも実際に給付を行って求償のための債権管理を行っているということがございます。ただ、実際には加害者が受刑中であったりしてその求償を実際に実現するというのは難しいというのが実情のようでございます。これはほかの省庁と同様であろうと考えております。
 この損害賠償債務の立替求償の問題についても、先ほど見ていただきました資料6-2の今度はその質問1の方のところでございますけれども、こちらに記載したとおりでございます。求償権を国が取得してそれを行使するという関係に立つ場合は、その限りで国が債務を負担しているということでありまして、加害者の資力がないあるいは乏しいということになる場合には結局その負担を国民全体で負うということになるわけであります。この間、この検討会で議論をされてきた給付金の支給、名称はともかくとしてその給付金の支給のさらに延長線上にある問題としてまさにどういう範囲で公的な負担をするのかということで議論する話ではなかろうかというふうに感じているところでございます。

○國松座長 ありがとうございました。
 求償の現状というのは大変厳しいといいますか実効性については難しい問題があるということにつきましては三者三様のご発言があったと思いますが。この点につきまして、お願いいたします。
 どうぞ。

○高橋構成員 求償について非常に国の方もご苦労なさっているということが現在は被害者が個人で苦労しているわけです。ここのところを何とかしましょうということで基本法ができたわけで。特に警察庁さんからの最後のところで、犯罪被害であることが明らかでも加害者不明の場合なんていうのは本当にやられ損でいいのかと、こういうふうに被害者をさせておいていいのかという問題があると思うんですね。だから、そこら辺を何とかしていただきたいというのがありますね。
 それからあと、地下鉄サリン事件の場合で言えば、非常に努力に努力を重ねてここの12年まできました。そのことに関しては先ほどお配りした最後の声明文の中に入れているわけですけれども。被害者自身と管財人と弁護団が本当に国の議員立法で3つ法律をつくっていただいて、それでもなお現在34%、オウム破産事件に関しての34%しかないというようなことで、残りをどうするのかという問題があって。もう打つ手がないなと、お手上げ状態ということがあって。これは私たちある程度まとまっていて管財人、弁護団がついているからここまでできたのであって、もっと個々の被害者の人たちは恐らくゼロに近いんじゃないかな。
 加害者が服役していたらとれない、その先にもっとひどい事件で死刑になるような事件だったら加害者は死刑になっちゃうわけですからもっととれないわけで。そんなことで被害者が泣き寝入りしなきゃならないということはやはりこの法律ができたことによって、基本法ができたことによって避けられなければいけない事態だというふうに思っています。

○國松座長 ほかに、構成員からご発言がありましたらどうぞ。
 特にご発言ございませんでしょうか。この点につきましては、いろいろなご発言を踏まえてまとめていかなければならないと思います。
 ただいま高橋構成員からの話があって、その実情はよくわかりますけれども、損害賠償の請求につきましては1つの法律の仕組みというものがきちっとありますので、国がどこまで立替払をできるのかということはよく検討してみなければならない問題があるのかなとは思います。どういう形になりますかまたお諮りをいたしたいと思います。
 (3)の被害直後及び中期的な居住場所の確保というものの検討を行いたいと思います。
 この被害直後の居住場所の確保につきましては児童相談所、婦人相談所の一時保護等については厚生労働省が対応しているところでございます。また、警察庁が平成19年度の予算でこの項目に関する措置を行うと伺っております。厚生労働省と警察庁の構成員から、それらの状況についてご説明をいただきたいと思います。また、中期的な居住場所の確保につきましては基本計画検討会におきまして大久保構成員からいろいろご意見ご指摘が出ているところでございますので、そのご発言のご趣旨につきまして大久保構成員からここでまたご説明いただきたいと思います。
 まず最初に厚生労働省からお願いします。

○厚生労働省政策評価審議官 まず、児童相談所におきまして一時保護をし、その後個々の状況によりまして児童養護施設でありますとか乳児院あるいは里親、あるいは自宅へ戻ってもらうケースもありますが、そういう形で対応しておるところでございます。現状を申し上げますと、我々も一生懸命取り組んでおるわけでございますが、残念ながら非常に痛ましいケース等も起きたり、それからまた市町村によっては必ずしも十分な一時保護施設の整備状況が整っていないというようなところもございましたので、今年度の補正予算で緊急に手当をいたしましてそういう施設整備も含めまして緊急に対応できるところは今現在も一生懸命取り組んでいると、こういう状況でございます。
 それから、DV等の被害者等への婦人相談所の対応でございますが、これも婦人相談所を含む配偶者暴力相談支援センターにおきまして相談を受け、一時保護の必要な方については婦人相談所に併置されている一時保護施設へ、あるいは民間シェルター等への委託も含めまして一時保護を行っておるわけでございます。
 その後、一時保護の後の対応でございますが、中期的な居住の場ということにつながるわけでございますが、それぞれの方々の状況に応じまして単身の方は婦人保護施設あるいは母子の方は母子生活支援施設、あるいは個々人の状況によりまして自立ということで就職しあるいはアパートを借りてとさまざまなケースがあるわけでございます。
 それで、先ほども冒頭も少し申し上げましたが、そういう自立に向けてアパートを借りて就職するという方について調査の結果身元保証人が必要なケースがあるということで、それを援助するような予算を本年度盛り込んでこの対応も強化するようにということで努めていると、このような状況でございます。
 以上です。

○國松座長 警察庁。

○警察庁長官官房総括審議官 お手元の資料の6-1にもございますが、警察庁におきましては平成19年度の予算にこの被害直後及び中期的な被害直後の居住場所の確保ということで予算を盛り込んでいるところで、要求額は3,200万ということでございます。これは犯罪被害者等の中には自宅が事件現場になったということで物理的に住むことができないというような場合もあるでしょうし、あるいは再被害の危険があるというような場合もあるということでありますので、犯罪被害者等の被害直後の保護及び再被害の危険を回避するということで、一時的な避難場所を借り上げるための予算ということで要求をして盛り込まれているという状況でございます。
 以上です。

○國松座長 これの運用状況というのはまだわからないんですね。

○警察庁長官官房総括審議官 これは19年度予算要求でございますので、まだ予算成立しておりませんので。

○國松座長 わかりました。
 それでは、大久保構成員、基本計画検討会のときにご発言いただいていますので、特に中期的な居住場所の確保ということについての、どういうご趣旨であるのかご説明いただけますか。

○大久保構成員 わかりました。まず、例えば今の警察庁の構成員の方からお話ししてくださいましたようなことが主なる理由です。
 なぜ公的なところかといいますと、まず安心感、安全感というあたりでも被害者の方は一度被害に遭っておりますと、やはり公的で安全なところに入りたい。ただ、経済的なゆとりがありませんとそういうところは見つけることができませんので、やはり公的なところへ入るということが必要になるわけです。
 それと、なぜ中期的なものかといいますと、犯罪被害に遭った方たちが自分が本当に被害に遭ったんだということを茫然自失の状態からまた現実に引き戻される、そしてこれからの生活を考えなければいけないというときはかなり月日がたっている場合が多いわけなんですね。そのときに直後の住宅がありましてもまたすぐにそこから出なければいけないとなりますとそれからの生活の再建という意味ではなかなかもう一度再建をするということが難しいものですから、直後だけではなくてある程度生活の再建も果たすことができる、せめてそれは人によってさまざまで一概には言えませんけれども、その方の状況に応じて2年とか3年とかはせめて家賃の心配もなくそこで生活できる、あるいはそこで相談もできるというような場所が必要だと思いまして問題提起させていただきました。

○國松座長 警察庁、今、大久保構成員からあった2年、3年という、そこまでお考えになった予算措置なんですか。

○警察庁長官官房総括審議官 一応予算要求におきましては基本的には1年間というのを基本として考えて要求をしたところであります。

○國松座長 大久保構成員、1年ではちょっと難しい場合もあるというのは何か。

○大久保構成員 これは本当に被害者の方それぞれ違いますので、1年かからないで大丈夫な方もいれば、やはり2年、3年たっても精神状況も悪くて、元の生活に全く戻れないというような方もいらっしゃいますので、やはり個別ごとに対応するということも必要なのではないかと思います。

○國松座長 この点につきまして、ほかどなたかご発言ございましたらどうぞお願いいたします。
 どうぞ。

○平井構成員 私、京都の支援センターに関係しているものですので、先ほどの厚生労働省のお話のように児童とか女性のそういった一時的な住居についてはそれぞれ工夫されているんですが、男性といいますか、お父さんと子どもさん、そういったケースについてなかなか確保が難しいというような実情があるように聞いているんですが。
 要するに、そういったことも想定した住居確保をお考えなのかどうかということをお聞きしたいんですけれども。

○厚生労働省政策評価審議官 政策自体が歴史的な経緯もありまして、婦人の保護から片や始まり、もう1つは児童の保護から始まっておりますので、男性を直接的に保護するという発想がそもそも基本的には我々の今行っている政策の中ではないわけでございます。けれども、今お話がございましたように、親子の関係で恐らくお父さんとお子さんのケースのところで、少なくともそこで児童の方が何らかの形で非常に保護する必要があるということになれば児童相談所の方で対応は可能だと思うのですが、そこの男性の方がなかなか保護が必要だということになりますと、特にこのような形での施策はございませんが、一般的なもので言えば、例えば住むところがないような形であれば、いわゆるホームレス対策のような一般対策はあるわけでございます。けれども、なかなかおっしゃるようなケースに当てはまるような、なかなか恐らく今の施策の中ではぴったりするのがないのではないかと思います。

○國松座長 そういうことです。平井構成員、何か。

○平井構成員 ぜひそういう実情も十分考慮しながら進めていただきたいと思うんですけれども。

○厚生労働省政策評価審議官 はい、実情をよく我々も把握に努めまして、そういう男性の方でも手厚く保護しなければならない現状が実態として、我々は今のところはそのようなケースは余り聞いたことないのですが、もしそれが深刻な問題としてあるのなら今後の検討課題として考えなければならないと思っております。

○國松座長 大久保構成員、杉並区でしたかね、条例ができてやってますね。あれはここで少しカバーする話になるんですか。

○大久保構成員 かなりカバーできると思いますし、本来は身近な都道府県、市町村レベルでこういうような直後あるいは中期に住むところがあって生活の再建を果たせるような場所があるといいと思いますけれども、現実問題といたしましては多分今杉並区だけなのではないでしょうか。
 被害者支援条例というものができまして、直後から中期に、あるいは被害直後からの付添い支援ですとかさまざまな支援、あるいは貸付金制度などもありますので、国といたしましてももっと身近なところでもそういうような施策がどんどん広がっていくようにというあたりで内閣府の方も都道府県の皆さんを指導するというか、そういうあたりでも力を入れていただければと思います。

○國松座長 杉並の場合は男、女関係ないですね。

○大久保構成員 関係ありません。被害に遭った方という方が対象ですので。
 もう1つ追加させて言わせていただきますと、今まではどちらかといいますと女性がDV被害ということが圧倒的多数だったかと思いますが、最近は男性のDV被害という相談もありますので、その点も社会の変化を踏まえてまた新たに制度の方に取り入れていっていただければと思います。

○平井構成員 杉並区の例は高齢者に準備されている住居をケースによって犯罪被害者にも適用されるというように聞いているのですが。

○大久保構成員 確かにどういうところを確保するのかという話し合いの段階では既に区として確保しているようなところで、今おっしゃった高齢者住宅ということもありましたが、決してそれだけではありませんで、何ヶ所かあります。1つは、防火住宅を建てる間、入居できるアパートもあった。しかし、その法律がなくなりましたらそこはもう空き家になったままということも被害者支援条例をつくる段階でわかりまして、そういうところにも入れるというような幾つかの選択肢ができ上がっています。

○國松座長 これはいろいろ地方公共団体にもいろいろやっていただくというのも1つのやり方だと思いますけれども。
 この件について何かほかに。どうぞ。

○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 ちょっと大久保さんに確認ですけれども。ご存じのように国土交通省で公営住宅の優先入居という制度をガイドラインをつくって地方公共団体に流しておりまして、我々も今地方公共団体をどうやったらもっと被害者支援頑張ってもらえるかということでいろいろ新しい制度なんかも検討中なんですけれども。公営住宅ということになりますと全くただというわけにはまいりませんけれども、廉価で一応中長期的に住居が確保できるんですけれども、それでまだ足らないケースもあり得るということでしょうか。それともある程度はカバーできるということでよろしいんでしょうか。

○大久保構成員 地方公共団体レベルでしっかりとそういう制度ができ上がって専任の相談窓口もあって、そこへ被害者の方が行けばただ単に家がありますだけではなくて、さまざまなサービスも行ってもらえるようなそういう制度が整っているのであればかなり有効かと思いますが。そうなるまでにはかなりの年月がかかるのかと思いますので、それは関係する省庁で速やかに進めていっていただきたいことだと思います。
 そして、すみません、またもう1つ。例えば東京都の場合、いくら国土交通省の方から被害者の方は公的住宅に優先的にという話がいきましても、なかなかまだそういう制度ができるようには制度は動いてはおりません。図体がとても大きいのでそんな簡単には動けないということを最近も言われましたので。せめてある制度はすぐに使えるようにぜひ動いていただきたいと願っています。

○國松座長 警察庁が19年度からやろうとしていることがきちっと実行されていけば大体いい、あとは年数の問題だと、こういうことでいいんですか。それとも何か、警察庁でやることでない何か別のことがあるということですか。

○大久保構成員 それにつきましても多分この検討会で詰めていく必要が出てくると思いますが。ただ、直後に警察庁がこういうような住宅を準備をしているということは、直後に被害者に接するのは警察の皆さんですので、警察がこういうものを準備をしていますというだけで被害者の方はやはりとても安心感を持つことができると思いますし、よい対応を繰り返して受けるということはその後の被害回復にとってはとても大きなものがありますので、ものすごく意義が大きいものだと思います。
 ただ、いつまでもとなりますとそこは大変難しい問題も。1年で、それできちっとまた社会復帰していくことができる方にとりましてはこれがあれば大変役に立つと思います。それだけでまた足りない方にはまた地方公共団体等の力を借りるという連携の部分がとても大事になってくるように思います。

○國松座長 わかりました。今のご発言を踏まえてちょっと我々の案、提言というのをまとめていきたいと思います。
 ほかに何かございますでしょうか。
 よろしゅうございますか。大変はしょりはしょりで恐縮でございましたが、以上で私どもに与えられた課題につきましては一応ひとあたりのご発言といいますかご検討をいただいたということでございます。
 次回の検討会から中間とりまとめと申しますか提言と申しますか、そういうもののたたき台の検討に入ってまいりたいと思います。そのたたき台と申しますのは何か案が1つございませんと議論が進みませんので、ここは座長私案として次回検討会までに構成員の皆様にお示しをいたしたいと思います。なるべく5月までに最終的なとりまとめをいたしたいと思いますので、期間的には非常に詰めたご検討をいただくことになりますが、可能であれば次回検討会までに、座長私案をお示しいたしますので、事務局宛てにペーパーであるいは口頭でも結構だと思いますが、ご意見をいただいておくと、次回の検討が効率的に進むのではないかと思いますので、構成員の皆様方のご協力をひとつよろしくお願いいたします。
 以上、大体ご了解いただいて、よろしゅうございましょうか。なるべく早く座長私案を出し、構成員の皆様方のご意見をきちっとした形で承ってまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 事務局から連絡事項があればお願いいたします。

○内閣府犯罪被害者等支援推進室長 次回の検討会、4月10日の午後3時からでございます。場所につきましては後日ご連絡を申し上げます。
 ありがとうございました。

○國松座長 どうも長時間、今回また時間オーバーして恐縮でございます。
 これをもちまして第13回の経済的支援に関する検討会を終了いたします。
 どうもありがとうございました。


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