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犯罪被害者等施策
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犯罪被害者等施策推進会議(第6回)議事要旨

日時:平成19年11月6日(火)
午前7時50分~8時05分
場所:総理大臣官邸3階南会議室

会長町村 信孝内閣官房長官
委員大久保 恵美子社団法人被害者支援都民センター理事兼事務局長
小西 聖子武蔵野大学人間関係学部教授
山田 勝利弁護士
岸田 文雄内閣府特命担当大臣
泉 信也国家公安委員会委員長
増田 寛也総務大臣
鳩山 邦夫法務大臣
冬柴 鐵三国土交通大臣
委員代理西川 京子厚生労働副大臣

※ なお、委員に限らず全ての出席者の発言について、便宜上、「委員」と表記した。


1. 開会

2. 会長あいさつ

3. 3つの「検討会」の最終取りまとめ(案)について

4. 自由討議

5. 閉会


<配布資料>

資料 13つの検討会の最終取りまとめ(案)の概要 [PDF形式:243KB]
資料 2「経済的支援に関する検討会」、「支援のための連携に関する検討会」及び「民間団体への援助に関する検討会」の各最終取りまとめに基づく施策の実施について(平成19年11月6日犯罪被害者等施策推進会議決定(案)) [PDF形式:12KB]
別添1 [PDF形式:47KB]
別添2 [PDF形式:325KB]
別添3 [PDF形式:50KB]



○冒頭、会長(内閣官房長官)より、あいさつがあった。 
 昨年4月から、約1年半の間に、犯罪被害者等基本計画に基づき、3つの検討会で精力的な御審議をいただき、今般、各検討会で最終とりまとめ(案)が出そろった。最終とりまとめ(案)においては、犯罪被害者等給付金の最高額を自賠責並みの金額に近づける等の抜本的な拡充、刑事裁判への参加制度導入に伴う公費による弁護士選任制度の早期導入、関係機関・団体の連携ネットワークの充実・強化や民間団体における支援者の研修・資格認定のための方策、民間団体への財政的な援助の充実が打ち出されているところである。
 犯罪被害者等の権利・利益の保護が図られる社会の実現のためには、最終とりまとめ(案)に盛り込まれた施策を、政府を挙げて強力かつ効果的に推進していくことが重要であり、関係閣僚におかれては最終とりまとめ(案)を踏まえた一層の取組みをお願い申し上げる。

○内閣府特命担当大臣から、議事の進行について概略次のとおり説明があった。推進会議の下に置かれている、経済的支援に関する検討会、支援のための連携に関する検討会、民間団体への援助に関する検討会の最終とりまとめ(案)について報告を受け、推進会議として決定を行うこととしている。

○報告者から、3つの検討会の最終とりまとめ(案)についての報告、推進会議決定(案)についての概略以下のとおり説明があった。
 資料1を御覧いただきたい。各検討会の最終取りまとめ(案)の概要を記載している。
 「1 経済的支援に関する検討会」については、被害者等に対する給付を抜本的に拡充するということで検討を行った。
 給付金の最高額は、現在、御遺族の場合であれば約1,500万円が最高額であるが、これを自賠責の限度額、すなわち、3,000万円に近づけるなど、抜本的な拡充を図るものである。
 その際、現在、若くて重度障害となったような場合には、収入が低いためにどうしても給付額が低いわけであるが、若い人はそれだけ長期間苦しむことになることから、その点に配慮すること。また、扶養の負担の多い御遺族に対しても同様に配慮を行うこと等を求めている。
 また、犯罪によってけがをされて入院し、職場を休むことを余儀なくされた場合、休業給付を行うことを検討すること、どうしても公的給付はできないのだが、それでは犯罪被害者基本法の精神にもとるというような場合には、民間の浄財による基金により例外的に救済を行うことも盛り込んでいる。
 3つ目の○だが、深刻な精神的被害を受けた被害者等に対するケアについて、高度医療を受けやすくするための診療報酬の改定などの配慮を特に行うこととしている。
 また、重大テロ事件が発生した場合には、アメリカの9.11事件等にならい、事後に迅速かつ事案の内容に即した救済措置を取ることを求めている。
 更に、刑事裁判に被害者の方が参加する法案がさきの通常国会で成立した。来年秋から施行予定であるが、被害者の方が刑事裁判に参加する場合の弁護人の費用を公費で賄うこととし、できるだけ早期の制度導入を行うことを求めている。
 「2 支援のための連携に関する検討会」についてである。
 警察や検察のみならず、福祉・医療機関、保健所など、また、民間の支援団体等が緊密に連携して、被害者に対し途切れのない支援を行うことが重要である。このネットワークをつくるために、被害者と接する場合の留意事項やお互いの連絡先等を網羅した「ハンドブック」的なものを各機関に備付けをすること、また、民間の支援団体の支援員の方に対し、きちんと研修を行って質の向上を図るとともに、例えば初級、中級、上級といった資格の認定を行うこととし、これをNPO法人である全国被害者支援ネットワークに行わせてはいかがかというものである。
 「3 民間団体への援助に関する検討会」についてである。
 被害者の状況は千差万別であり、また、時とともに変化する。これらの被害者の状況に応じたフレキシブルな援助が必要であり、民間支援団体の果たす役割は重要である。
 その民間団体の事業が適切に行うことができるように、被害者に対する相談、公判への付添いなどの事業費について援助を行うとともに、現在、警察において行われている、いわゆる犯罪被害者等早期援助団体に対する援助の拡充を図るとともに、警察以外の都道府県、市町村を通じた援助を行うこととし、既に来年度の概算要求において、国によるモデル事業、あるいは地方財政措置ということで地方交付税の要求等を行っているところである。
 また、民間団体が企業に支援を求めた場合、まだまだ被害者支援について全く知らない企業もたくさんある。国民に対する広報啓発活動をより一層強化することが必要であり、今月末に行われる犯罪被害者週間等を通じ国民運動的な展開を図ることを予定している。
 以上が、3つの検討会の最終とりまとめ(案)の概要である。
 次に資料2であるが、この検討会の報告を受け、それぞれの検討会の結論に沿った施策を、政府を挙げて強力かつ効果的に推進していくことについて、本推進会議として決定をいただく案である。

○犯罪被害者等施策担当大臣から、3つの検討会の最終とりまとめに関して、資料2の「犯罪被害者等施策推進会議決定(案)」のとおり決定することについて意義の有無を求めたところ、各委員から「異議なし」との声が上がり、検討会の結論に沿った施策を、政府を挙げて強力かつ効果的に推進していくことが決定された。

○自由討議
 有識者委員から概略以下のとおり発言があった。

○委員 議員の皆様の政治的リーダーシップと、関係省庁の皆様の御尽力により今日を迎えたことを大変うれしく思う。
 被害者支援の現場にいると、警察庁や法務省を始めとする関係機関はもとより、自治体においても犯罪被害者等基本法の精神を生かした被害者支援が浸透してきているということを感じている。今後は更に、この最終とりまとめが真に被害者の回復に役立つように、適切に運用されるよう、お力をいただければと思う。
 そこでお願いがある。公費による弁護士選任制度については、被害者の意思や意向を尊重し、裁判所が選任する形での制度にしていただけるよう是非お願いしたい。それは被害者が被害から回復して、もう一度、社会復帰するときには、国が被害者を守ってくれているという実感を被害者自身が持てるということがとても大事だからである。また、費用についても資力要件を緩やかにして、償還もないような制度にしていただきたいと、重ねてお願いする。
 被害者は、9割以上が心身の不調を訴えており、その上、転居を余儀なくされたり、仕事を失ったり、休職せざるを得なくなったり、また、経済的にも困っているからである。民間団体もまだまだ財政不足、人材不足に悩んでいる。この議員立法でできた犯罪被害者等基本法が更に日本の社会にしっかりと根付いていくように、今後ともお力添えをお願いしたいと思う。

○委員 私は精神科医で、犯罪被害者の心理支援とか、あるいはPTSDの治療を専門にしている。今回、3つの検討会でとりまとめられた施策は、犯給法の拡充とか、司法への被害者参加とか、非常に抜本的で包括的なものとなっており、関係者の皆様に、まず感謝を申し上げたいと思う。
 普段、現場で被害者の方に会っている立場から一言お願いしたいことがあるが、今、決まったことの実施というのがこれからの課題なわけである。例えば自治体で窓口をつくり、切れ目なく支援する。窓口をつくることは1日でできるが、それが実際に動いて、切れ目がなく支援するということはとても大変なことである。現在のところでは、自治体によって非常に差がある。動き出している自治体もあれば、まだ名前だけというようなところもあると私は認識している。そういうことを全国どこでも同じようにできるようにしていかなくてはいけない。
 それから、私の専門から申すと、例えば重度ストレス反応の治療ができる者を増やすとか、あるいは全体を包括的に見るコーディネーターを増やすということが案の中にあるが、このようなことをやっていくには、どんなに短くても、やはり2、3年はかかると思う。成果が得られるのに多少時間がかかるということで、目を離さずに、是非、実施状況を監視して評価していっていただきたいと思う。

○委員 どんなことでも、日の当たらないところに日を当てることができるかどうかというのは、やはり国家の力だろうと思う。我が国は相当の力が列強の中でもありながら、この犯罪被害者については日が当てられていなかった。それが今回、法律ができて、このような検討機関ができて、今日の成果を見たのは大変喜ばしいことだと心から思っている。
 殺人事件だけを見ても、毎年1,300人前後が亡くなっている。これをゼロにするということは現実の問題としてあり得ないことで、こういった被害が出るということは、明日は我が身、我が身内、我が友人が被害者になるということである。今日被害に遭わなかったのは、自分に代わってそういう被害を受けた人がいるのだろうというようにつくづくと思わざるを得ないわけであり、そのように考えると、この被害者に対する援助というのは、施しというのではなくて、被害者側としての現代社会における権利として、やはり認められる精神が必要だろうと思っている。
 そのような意味においても、今回出た最終とりまとめ(案)でも、財政的援助の充実が図られることが望ましいとか、あるいは所要の財政上の措置を講ずべきであるとかという、やむを得ないのだろうが、そういう表現になっているところが多々見受けられる。そうすると、言いっぱなし、唱えられっぱなしだけで終わってしまうところがある。国から地方公共団体への指導とか、それが難しくても、協力関係ということもうたわれているが、それこそお題目ではなくて、現実にこれがなされなくてはならないだろうと心から思う。
 パンフレットの作成とか、シェルターとか、そういったことは細かなことであっても、重要なことがいっぱい詰まっているわけなので、是非、お力をいただきたい。本日決定された資料2の議決(案)でも、3項目すべてにわたって「政府をあげて強力かつ効果的に」という言葉で結ばれているので、是非、これを忘れることなく、今後、充実したものとしていっていただきたい。

○内閣府特命担当大臣から閉会が告げられた。
 本日、3つの検討会の最終とりまとめが報告され、推進会議決定がなされた。最終とりまとめの各種施策については、犯罪被害者等の方々からも大きな期待が寄せられている。犯罪被害者等の権利利益の保護が図られる社会の実現のためには、最終とりまとめに盛り込まれた施策を、政府を挙げて積極的に実施していくことが重要である。閣僚各位におかれましては、引き続き各種施策を強力かつ効果的に実施していただきたく、お願い申し上げる。
 それでは、第6回「犯罪被害者等施策推進会議」を終了する。



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