3.様々なニーズに対応するための関係機関・団体の連携

3-2 関係機関・団体の連携の実際

(1)基本的な連携の流れ

《基本的な連携の流れ フロー図》

基本的な連携の流れ フロー図

(ア)関係機関・団体に関する説明

犯罪被害者等から相談を受けた機関・団体(組織A)は、相談内容に応じて、対応し得る機関・団体やその支援概要等について説明をします。

≪犯罪被害者等に対して最低限伝えるべき情報≫
  • 組織の概要(組織形態、業務内容)
  • 行っている支援の概要(犯罪被害者等に特化した支援か否かを含む)
  • 連絡先(名称、住所、電話番号)
  • 受付時間

(イ) 犯罪被害者等からの情報提供に対する同意等

犯罪被害者等が、実際に他の機関・団体(組織B)を利用することを決めたら、面接相談の場合には、組織Aから組織Bへの紹介(連絡)を希望するか否か確認します。その際には、事前に連絡をしておくことで、実際に犯罪被害者等が組織Bに相談に行った際に、よりスムーズな対応を受けられること、被害について一から話す負担を軽減できることといった利点を説明します。また、犯罪被害者等から入手した情報については、組織B以外には伝えないこと、組織には守秘義務があること、情報は支援目的以外には使用しないことを説明します。
犯罪被害者等が、事前連絡を希望したら、以下の項目のうち、組織Bに伝達して良い情報を確認し、伝達について同意を得ます。また、犯罪被害者等と組織Bとの連絡方法(例、犯罪被害者等から組織B(担当者名を伝えることが可能な場合は担当者)に電話をする)について確認し、犯罪被害者等が安心して、確実に組織Bと連絡がとれるよう、配慮することが重要です。

なお、以下の項目は、連携の際に伝達すると有効と考えられる犯罪被害者等の情報について、大まかに整理したものです。これはあくまで例示ですので、無理に聞き出す必要はありません。犯罪被害者等の意思を尊重してください。

≪最低限伝えるべき情報≫
  • 氏名、性別、被害当事者との関係
  • 電話番号
  • 犯罪等被害の概要
  • 希望する支援の内容
≪状況に応じて伝えるべき情報≫
  • 住所
  • 生年月日
  • 犯罪被害発生日
  • 被害の程度、障害の有無
  • 紹介元機関・団体で受けた支援の内容
  • これまで相談に行った機関・団体と受けた支援内容の履歴

(ウ)犯罪被害者等に関する情報の提供等

組織Bに連絡をし、犯罪被害者等への支援を行っていくために組織Bでの対応が必要であることを伝え理解を得た上で、犯罪被害者等の同意を得た情報を、組織Bに伝達します。(※伝達方法については、モデル案では規定しないが、参考として様式を「(資料編)2 関係機関・団体へ伝達すべき犯罪被害者等支援に関する情報に係る様式」に添付する。)
その際、組織Bにおいて、事前に犯罪被害者等に伝えておいてほしい追加情報があれば、組織Aに伝達を依頼します。

犯罪被害者等に対し、情報の伝達を行ったことを伝え、組織Bに関する追加情報があれば、それを伝えます。
また、組織Bにおいて、犯罪被害者等の状況を正確に把握するため、あらためて詳細な説明が求められる場合があることを説明します。さらに、組織Bにおいて、支援が受けられない可能性も考えられますので、組織Bでの支援について確約するような説明は避けてください。また、犯罪被害者等が組織Bに望んでいた支援と異なる時には、組織Aに再度相談できることを伝えます。

(エ)支援活動の実施

組織Bでは、組織Aからの情報を参考にし、犯罪被害者等に対応します。また、必要に応じて、対応結果について、組織Aにフィードバックをします。

(オ)より緊密な連携

問題が複雑な場合には、関係機関・団体の担当者が集まり、共に支援を行うことが重要です。たとえば、犯罪被害者等の状況に応じて、組織Aの支援者が犯罪被害者等と組織Bに直接出向き、対面で情報提供と役割分担あるいは引継ぎを行うことが考えられます。
また、中長期的にチームで対応していく場合には、定期的にカンファレンスを開くなどし、犯罪被害者等の状況や今後の見通し等について、個人情報の取扱に注意した上で情報を共有し、検討しておくことも有効です。特に、各機関・団体がいつまで支援を継続できるかはしばしば問題になります。「途切れない支援」を行うためには、短期及び中長期的な視点を組み込んだ支援計画を立てることが重要です。
関係機関・団体においては、犯罪被害者等のための支援であることを常に念頭におき、犯罪被害者等を中心とした支援体制になるように心掛ける必要があります。専門家・支援者が良かれと思って一方的に支援を進めることがないように留意してください。