企画分析会議構成員コラム 3

科学警察研究所 藤田悟郎

 本年も、被害者ご本人やご家族・ご遺族被害者の状況の改善のための支援策に必要な、様々な実証データを、被害の類型別に得ることができた。3年計画の2年目である本年度の調査においては、昨年度と比較して、多くの点で新しい情報が得られているが、特筆すべきことは、次の3点である。

 第一に、本年度のWeb調査では、事件や事故の被害にあわれた、被害者ご本人やご家族・ご遺族だけではなく、事件や事故にあっていない、一般対象者に対する調査を同時に行った。対照群を設けたことにより、とりわけ、健康上の問題や精神的な悩みの様子、及び、これらの問題や悩みの解決策について、詳しい情報が得られ、被害者の方の置かれた状況について、より確かな資料が得られた。第二に、本年度のWeb調査と、昨年度のWeb調査の結果を比較することにより、基本計画による支援策の推進と、被害者の方の置かれた状況との関係についての分析を試みることができた。第三に、パネル調査において、追跡調査の方法により、同じ被害者本人やご家族・ご遺族被害者の方について、1年間の変化の様子を知ることができた。事件や事故からの回復には、長い時間を要すると考えられているが、わずか1年の間においても、被害者の方の置かれた状況は、変化するものであることがわかった。

 第二と第三の点については、2年間の比較より、3年間の比較のほうが、より多くの情報が得られるはずなので、来年の調査に期待がかかる。

 

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