第12回「犯罪被害給付制度の拡充及び新たな補償制度の創設に関する検討会」
議事録

○ 椎橋座長 ただいまから第12回「犯罪被害給付制度の拡充及び新たな補償制度の創設に関する検討会」を開催いたします。
なお、本日、議事に入る前に、小西聖子先生が本検討会の構成員として追加指名を受けられたことについて御案内申し上げます。
それでは、先生、一言御挨拶をお願いいたします。
○ 小西構成員 検討会2のほうで何回か御報告申し上げました、小西でございます。
こちらでも非常に広範でなかなか難しいことをずっと議論していらっしゃるということですが、ぜひキャッチアップして参加していきたいと思います。
どうぞよろしくお願いします。
○ 椎橋座長 ありがとうございました。
それでは、本日の議事及び配付資料につきまして、事務局から説明をお願いしたいと思います。
○ 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 お手元の議事次第と配付資料について御説明させていただきます。
この議事次第のほうに資料番号を打っているのですけれども、本日、資料を使う順番は若干ずれますので御注意ください。
本日に至るまでの間に、今後の議論の進め方という形で御意見を伺ってまいりました。一番広範な御意見をいただいていたのが第10回、12月に開催した検討会のときに松村構成員から御提案いただきました、あすの会の要綱案となります。これが広範な御提案であるということから、本日までに松村構成員のほうには、今後の議論の実質化のために2点お願いしました。1つは、御提案のうち優先順位をつけるとしたらどうなるかということです。もう一つは、本検討会の性質として、平成20年度の犯給制度の改正を踏まえて議論していきたいということから、平成20年度改正を踏まえての問題点の御指摘を伺っていきたいということでお願いしました。本日、資料は特に御提出がないということでございましたが、後ほどご発表をお願いいたします。
また同様に、警察庁のほうにも平成20年度改正後の運用上の御意見があればということで発表をお願いしております。この点につきましては、特段資料はないということで伺っております。
さらに、以前開催されました「経済的支援に関する検討会」では、犯給制度で取りこぼされる被害者について「個別の事情に照らし、なんらかの救済の手を差し伸べないと基本法の趣旨が全うできないと思われる特別の理由がある者」に対しては、民間の浄財による基金において給付を御検討いただくという形での御提言をいただきました。これを受けまして救援基金のほうで給付をスタートしていただいております。この状況については、既に第7回検討会で黒澤構成員から詳細に御報告いただきましたが、今回、またその支給状況などに関して御質問がある場合の御参考までに、第7回議事録からの抜粋と、当日配付資料を配付させていただきました。当日配付資料の分は、個別事件の情報が含まれておりますので、本日もお帰りの際は机上に残していっていただきますようお願い申し上げます。「検討会終了後回収」という形で赤字の印刷をさせていただいております。また、御議論の中身としても、議事録の公表上は表現について変更をお願い申し上げることがございますので、この点、あらかじめ御了承ください。
次に、海外での犯罪被害者に対する経済的支援制度に関して、これはあすの会の要綱案にも含まれていた点ではございますが、本国会でもアルジェリア事件等を踏まえて質問がございまして、本検討会で前向きに検討していく方向での御答弁がございました。なので、議題とさせていただいている次第でございます。
この関係では、まず、過去の検討会等では犯給制度での改正という提言にはしないという形で終わっていたところでございます。ということを、第10回検討会、12月の検討会でも、簡単に触れさせていただいていました。
他方、本日は、先ほども申し上げましたように、この検討会の外で改めて前向きにという御議論もある中、警察庁におかれましても再度問題点を整理していだたくようお願いしておりましたので、その内容をお伺いしたいと思います。こちらのほうが資料2になります。
加えて、海外での犯罪という観点では今まで給付制度がなかったものですから、実情把握をしようにも、正直つてをたどることが難しい状況です。なので、経済的給付とは直接関係はない部分もあるのですが、海外での犯罪被害事件と接点を持っておられるという観点で、外務省の方に海外での邦人援護について具体的に御紹介いただくようお願いしました。こちらのほうが資料1となります。先に外務省のほうから御発表いただいた後、警察庁のほうにも御発言いただくという流れにしたいと思っております。
資料の説明につきましては以上です。
○ 椎橋座長 ありがとうございました。
今、事務局からの御説明にありましたように、議題は大きく2つに分かれます。最初のほうの議題から進めさせていただきたいと思います。
最初に、事務局からの御説明にありましたように、松村構成員、警察庁、黒澤構成員という形で進めたいと思いますので、まず松村構成員から論点整理という観点も含めて御発言いただければと思います。お願いいたします。
○ 松村構成員 前々回の検討会での宿題について、これから述べさせていただきます。
まず、一時金についての金額が問題になったと思うのですけれども、一時金についての根拠は、私どもの要綱にありますとおり、現行犯給法の単身者に支給される一時金の最高額1,210万円を下回ることは適切でない。なぜなら、事件直後に直接的にかかる費用として、葬儀代、生活費、子供の当座の教育費用、差し迫っているローンの支払い、取引先への当面の支払い費用、事件現場が自宅の場合のシェルター費用、将来売却時の減損分、さらには、やっと大学を出たばかりなのにそういうときの被害者の親への見舞金としての信条を考えますと、1,200万円ぐらいは必要であろうと考えております。
また、被害者の治療費として過去の事例を見ますと、400~500万円単位の立てかえを要求されることも考慮する必要があるのではないか。ただし、現物給付が十分行われたり、あるいは年金制度で事件前の平穏な生活への回帰ができる生活費が支給されるのであるならば、一時金の額は調整されるものではないかと考えております。
それから、年金についてですが、当会の会員である殺人未遂事件被害者のOさんですが、事件直後に465万4,900円の医療費が請求されました。その後も27回の移植手術をしまして、来月にはもう一回、右ひじの手術をしなくてはならない状態です。現在は障害者年金と生活保護で生活する状態となっています。
手術後、動けるようになってからパソコンでワードなどを勉強しまして、一応のレベルに達しまして、就職試験に臨みました。32社の会社を受験しましたけれども、採用されることはありませんでした。技術、知識というものはありますが、指、腕が動かなくなるので長時間作業はできない。また、皮膚が普通の状態でないので、空調が十分でないと作業に支障を来すなど、就職するには不利な条件の体になってしまいました。事件前は月に25~26万円の収入がありましたけれども、現在は生活保護費の3万1,000円と障害基礎年金の6万6,000円で生活しております。
このように、働きたく、生活保護を受けたくないのに、人間としての最低生活を送らざるを得ない犯罪被害者は存在しているのです。犯罪被害者等基本法第3条の「再び平穏な生活を営むことができるようになるまでの間、必要な支援等を途切れることなく受けることができるよう、講ぜられるものとする」に従い、年金を補償しなければならないと考えます。恐らく、これからも手術を何回か受けなければならないでしょうし、生活費は必要です。このような被害者は最低の生活で我慢しなければならないのでしょうか。生活保護を受けているから治療費は無料ですが、薬の容器代などは当然支払わなければならないのです。
突然の災厄、犯罪、事故等の場合には、使用者が労働者に支払うべき災害補償義務にかわる制度として労災制度がありますが、そこでは重障害者に対して年金制度が主要な補償形態とされています。その理由は、長期の経済的困難に陥った場合には経済的補償としての年金の支給を受けることで生活を維持・再建することが一時金の支給よりも合理的であるからであります。
また、事故などに限らず、重度の障害を負った国民には等しく障害年金が支給されております。これも継続的に経済的な面で生活をさせることこそ障害者が安心して生活ができるからだと思います。
年金の期間についても、この前、議論がされましたけれども、確かに支給の終期を設けることは必要ですが、基本法に基づく平穏な生活を取り戻すまで途切れることのない継続的支援をするという原則からすると、終期としては被害者等の経済的改善がなされ、支給の必要がなくなったときに終了するということであるべきだと思います。
年金に伴う事務量の増加ということも話に出てまいりました。犯罪被害者向けの年金処理を単独で行う必要性はなく、労災とか、あるいは遺族年金の処理機関は厚生労働省の管轄だと思いますけれども、そこに委嘱して行ってもらう方法も考えられます。対象となる犯罪被害者等の数自体を考えても、大した事務量になるとは考えられません。
次に、医療関係費の現物支給ですけれども、犯罪被害者の認定は大変だということがございました。しかし、自動車事故の交通事故傷害の例を参考に、犯罪の捜査機関に認定してもらうのが妥当だと思います。さきの検討委員会でも、犯罪被害者が事件のことを何度も話す苦痛から解放する方法として「犯罪被害者等カ-ド」が検討されたやに聞いておりますが、何ら実現していないことは残念です。今でも医療機関が入院患者に現金支払いを求めることがあり、医療費の請求は10日ごとに行われるようなので、犯罪被害者の認定は最長10日以内に認定されるべきであります。
我々の要綱案でも、補償する対象は重傷病以上の被害者ですので、比較的容易に認定することができると思います。捜査機関で認定された場合は、各警察署の署長名で書面などを出していただく形で病院に示すようにすれば、医療機関における犯罪被害者の認定はスムーズにできるように考えています。さらには公安委員会や自賠責の認定機関の活用も考えられるのではないでしょうか。
また、さらに過剰医療のリスクがあるということもお話しになりました。家族が、重傷を負った被害者が経済的に困窮し、また、現時点では困窮していなくても、将来的にかかる費用のこと、医療費などのことを考えて、やむなく必要な治療を諦めている実情があります。このような人たちは治療を受けること自体を控えているので、後で治療費分を支給するということだけでは救われません。この検討会で、殺人、殺人未遂、放火事件被害者の遺族、大崎氏が話されましたように、治療費の請求を考えて、完治する前にお子さんを退院させた事例が報告されております。そのため、被害者にとって医療関係費の現物支給ということが重要かつ必要です。
前回、過剰医療の危険性があるとの意見がありましたが、その危険性が実際にどの程度のものかということに疑問があります。過剰医療となる原因は、被害者自身にある場合と、医療機関側にある場合が考えられますが、被害者自身が過剰医療を受ける危険性がそんなに高いかというと、被害者が現金をもらえるというわけではなく、医療関係費が医療機関に直接支払われるというだけですので、インセンティブがそんなにありません。
先ほども述べましたように、現在、医療関係費の直接支給がなされないことで必要な治療すら受けられない被害者がいます。その事実と、過剰医療となる危険性の程度をはかりにかければ、被害者が必要な治療を受けられることこそ優先されるべきではないでしょうか。
以上、意見を述べさせていただきましたけれども、私がぜひ実現してほしいと考えるのは、第1に年金制度であります。この制度こそが基本法第3条の「再び平穏な生活を営むことができるようになるまでの間、必要な支援等を途切れることなく受けることができるよう、講ぜられるものとする」の核であると考えております。
第2には、現物給付制度の成立により、安心して迅速かつ完全な治療が受けられる補償環境としていただきたいと思います。
第3には、一時金の拡充を要望しておりますが、年金と現物給付がなされることが決まれば、その額は調整しなくてはならないと考えておりますが、事件直後の出費、見舞金的な額は最低でも必要だと思っております。
第4には、もしかしたら最も切実な問題ですけれども、過去の事件により、現在でも基本法第3条の、再び平穏な生活を営めていない犯罪被害者を救う必要もあると考えます。これから発生してしまうかもわからない未来の被害者よりも、その救済策は優先順序から言えば高いと思います。ここで改定がなされたら、ぜひ現在でも過去の事件により困っている被害者にも救いの手を差し伸べていただきたいのです。
第5には、一定の人間関係があることによって支給額の減額という宣言は撤廃していただきたいと思います。
第6としては、先ほどちょっと話がありましたけれども、アルジェリアの事件はテロ事件ですから、今、議論されている経済補償制度とは別に、オウム事件と同様、特別措置で対応していただくのが妥当だと考えますが、グアムの事件の被害者の場合は補償の対象とするような制度にしていただきたいと思います。
以上です。
○ 椎橋座長 ありがとうございました。
ただいまの松村構成員の御報告に対する御質問・御意見を承る前に、もし警察庁のほうから、平成20年度改正も踏まえての運用上の問題点がありましたら御報告をお願いしたいと思います。
○ 警察庁長官官房審議官 警察庁の官房審議官の鈴木でございます。よろしくお願いいたします。現行の犯罪被害給付制度に関する具体的な課題等につきまして、説明させていただきます。
私からは、遺族給付金の支給対象となる遺族の範囲に関して説明させていただきたいと思います。
現行の犯給制度においては、被害者と長期間、相互の交流が全くない、いわゆる音信不通状態にある遺族が第1順位遺族である場合でも、同人による遺族給付金の支給申請があったときは遺族給付金の支給要件に該当すれば支給の対象となっております。例えば配偶者やお子さんたちがおらずに、両親とも既に他界しておられる方が犯罪被害でお亡くなりになった場合、兄弟・姉妹の方が第1順位遺族となるわけでございますが、何十年も仮に音信がない場合でも給付金を受け取るということになるわけでございます。
以上のような事例に関しましては、給付裁定を行う都道府県公安委員会の委員の皆さんから、音信不通の遺族に対して遺族給付金を支払うことについて、犯罪被害給付制度が遺族の精神的・経済的打撃の緩和を図り、再び平穏な生活を営むことができるよう支援するという犯罪被害者支援法の趣旨にそぐわないのではないかといった意見が寄せられているところであります。
現状の運用では、生前、交流等がなかったような第1順位遺族の方であっても、警察では被害者の死亡に関してお伝えし、あるいは犯罪被害給付制度等に関する説明を行っており、御遺族から謝意を示される場合があるほか、御遺体の引き取りや葬儀の執り行いをされる場合もございます。給付金の支給については、どこで線を引くのか、非常に難しいところでありますが、今後検討すべき課題の一つであると考えております。
私からは以上でございます。
○ 椎橋座長 ありがとうございました。
それでは、まとめて質疑ということで、黒澤構成員のほうから何かございましょうか。
特にございませんか。
○ 黒澤構成員 私どものほうの支援金のことでございますか。
○ 椎橋座長 はい。
後でよろしければ、それでも結構です。
○ 黒澤構成員 どちらでも結構です。
○ 椎橋座長 先ほど事務局で御案内がありましたので、もしあればということなのですが、後でもよろしいでしょうか。
○ 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 そうですね。もし構成員の方から御意見が出て、救援基金の関係に及んだら御意見をいただくのでもいいかなとは思ったのですが、もし黒澤構成員のほうからも事前につけ足しのようなものがあるようでしたらお願いしたいかなと思います。
○ 黒澤構成員 今日、資料で配られております事例については第7回におきまして御説明を申し上げたとおりでございますけれども、あと1件、平成24年度でございますが、支給事例がございますので、御参考に事例を紹介させていただきます。
以下の事例を説明。
事例 犯罪被害者等
(罪名、年齢、被害状況等)
犯罪被害給付金(当時)
/現行基準試算 支援金
支援金
1 殺人、30代、死亡 0円(別途、訴訟継続中、申請していた場合は約200万円の遺族給付金相当)/約350万円 150万円

この案件について支給をいたしたわけでありますけれども、申請期限を過ぎていたため、実質的にも犯給金が支給できていなかったということで、公的給付はないという事案。それから、申請者の方は被害者の兄弟の方で、この被害者の子供さんを引き取り、養子縁組をして、学資等の負担、こういったことを考えまして、150万円を支給した。
こういう事例が1つございますので、つけ加えさせていただきます。
○ 椎橋座長 ありがとうございました。
それでは、3人の構成員の方々の御報告を受けまして、御質問・御意見がありましたらお伺いしたいと思います。どなたからでもどうぞ。
番構成員、どうぞ。
○ 番構成員 特に質問ではないのですけれども、私のほうも最近の被害者の方で犯給法の運用上、やはり問題があると思われる事例を日弁連の犯罪被害者支援委員会で集めました。2件聞きましたのが、どうしたものかと、非常に弁護士としては困ったなと思いますので、御報告させていただきます。
1件は家族間殺傷事案で,大学生だった子供が負傷して生き残ったケースですが,親族関係があるという、まさしく支給がされない要件に当てはまり,犯給を支給されないということなのですが、もともとお金が大変な家庭で、大学を通うのにも奨学金をもらっていた。ところが、4年生で被害者となって、大けがをしましたから、病院へ行っている間に留年になり、奨学金もとめられた。そして、その奨学金は返済しなければならないということになるのですが、アルバイトをしながらでも大学は何とか卒業したいということでやっているようです。相当な精神的被害もこうむったので、被害者参加したときには、参加弁護士との連絡だけは取れていましたが、今となっては誰との連絡も断っているような状況です。
こういうときはどうしたらいいのだろうか。やはり親族関係というものをもう少し実態に合わせて、例えば特例として給付される場合というものが規則でありますけれども、こういう規定をもう少し柔軟に考えなければ、結局、残された家族が救われないと思います。その残されたお子さんは裁判で心情の意見陳述をしたところ、裁判官、弁護人、刑務官も全て泣いてしまったと報告されましたが、相当な悲惨な状況で、それを単に親族関係ということで対象外とするのはどうなのか。DV事件などは特別に扱うということはされているようですが、それでも救われない場合があるので、家族内での事件が多いということから考えると、もう少し、ここは検討する余地があるのかなと思います。
それが1件です。
もう一つは、これは申請をトライしてみるという案件ですけれども、一般的に考えると非常に難しい。犯給法の場合は、遺族の場合、相続は民事の相続ではなくて配偶者が1番ということで順位が特別に決められていますね。DV案件なのですけれども、DVで殺した加害者とはまだ籍が入っていなくて、別の男性との籍が抜けていない。それもDV関係のようだったのですが、子供がいるのですが、子供も戸籍上の夫の子ではない。その前の人との子だということで、そうすると、犯給法を申請して認められたとしても、素直に考えると、第1順位は,被害者がもともと逃げて来た戸籍が残っている夫のほうに行く可能性がある。
そうすると、戸籍上の夫のところに支払われ、残された幼い実子がいるわけですけれども、その子のところに支払われないのであれば、それは申請したくない,そういう事例もあり得るということです。
だから、硬直化したというか、規定をそのまま適用して、狭く特例だけで判断すると非常に難しい案件が現在でもあるというのが感想です。支給対象とか相続、遺族の考え方とかというものをもう少し何かうまい考え方ができないものか。一般条項的なものを使って、早急にやらなければいけないのですが、事実に即した、事案に即した形で、遺族を救済する、被害者を救済する視点から、どこか判断するということをしていただかないと困った事案があるという御報告です。
私のほうとして見れば、松村さんが御発表になりましたものは全てそのとおりだと思っております。それが財政の観点、それから、制度の構築の難しさ等でどこまでかということはありますけれども、賛成しております。
以上です。
○ 椎橋座長 どうぞ。
○ 内閣府大臣官房審議官犯罪被害者等施策推進室長 進行上のこともありますので、1点だけ御確認をさせていただきたいと思います。
松村構成員から御発言をいただきましたけれども、先ほど御発言の中では、お願いしておりました平成20年度改正を踏まえての問題点に関して、できれば具体的なものはありますでしょうかということをお願いしておりましたが、そこについては御言及はいただけなかったかなと感じております。
他方、今、番構成員から、ある意味、それに類するような御指摘があったなと思っておりますが、それはそういう形でよろしいでしょうか。
○ 松村構成員 うちの会員は非常に古い会員が多いものですから、最近、平成20年になって、やっと話ができるようになった会員はおるのですが、具体的に申請までしてどうだこうだというのは、実際には余りないのです。そういうことで難しいということで、過去の被害者が今の犯給法を適用すればどうなのだろうという観点から一応お話しさせていただきました。
○ 椎橋座長 ありがとうございます。
それで松村構成員から、前にお願いしましたように、優先順位の問題についてもお伺いいただいて、今日御発表いただいたと思うのですけれども、その点について議論をさせていただければと思うのですが、最初の御発表のときには一時金から始まったのですけれども、優先順位という意味では年金ということを第1にされて、それから現物給付、一時金の拡充、過去の事件にも適用すべきだ。これは実際には非常に優先度が高いのだということもおっしゃられたと思うのですが、それから、一定の関係にある人同士の間の減額の規定は撤廃すべきだ、テロは特別措置で対応すべきだ、こういう御発表だったと思うのです。
この中で、一番最初に挙げられている年金制度の必要性ということなのですけれども、これについて少し整理させていただきますと、まず先ほど御報告いただきました例で、生活保護と障害基礎年金を受給されている方の例です。これについて、これが最低生活なので、基本法第3条に合致していないのだ。その例で言うとそうだという御趣旨ですね。
それから、労災や遺族年金などと違って、なぜ犯給制度は年金制度ではないのかということなのですけれども、そのあたりの説明がもう少ししていただけるとありがたいということが2点目です。
3点目として、他方でどのぐらい生活保護と障害基礎年金を上回らなければいけないのかという点について、できれば算定の根拠を明確にしていただけるとありがたいということです。この点は理念として、犯罪被害を理由としての生活保障という考え方について先に整理したほうがいいのかなとも思われます。生活保障をするということになった場合の基準の問題ではないかとも思われますので、そう思いました。
それから、年金の期間とか事務量についても言及していただきましたけれども、もし年金制度を導入すべきだということになった後で、どの範囲でどういう枠組みかということになったときに、順番として、その後に検討すべき事柄ではないかということです。
そういうことで、基本法第3条第3項の文字どおりに引用しますと、その部分は「犯罪被害者等のための施策は、犯罪被害者等が、被害を受けたときから再び平穏な生活を営むことができるようになるまでの間、必要な支援等を途切れることなく受けることができるよう、講ぜられるものとする」という中の文言ですね。再び平穏な生活を営むことができるようになるまでの間の必要な支援ということの解釈問題ではないかと思われます。
松村構成員も御理解いただいていると思いますけれども、確認の上で、労災や遺族年金と犯給制度との関係ですが、労災補償を受けられるのであれば、犯罪被害者であっても労災補償を受けておられるので、御趣旨としては、労災対象ではない犯罪被害者も労災のような年金制度はできないのか、こういうことになりましょうか。
○ 松村構成員 はい。さようです。
○ 椎橋座長 それから、犯給制度で給付を受けた人も遺族年金をもらえているはずでありますので、現状で犯罪被害者が受けられる経済的支援は犯給制度だけではないということだと理解しておりますが、警察庁、厚生労働省もそれでよろしいということになりましょうか。このあたり、確認をさせていただければと思います。
それでは、警察庁からお願いします。
○ 警察庁長官官房審議官 警察庁としては、犯給制度の趣旨からして、犯給制度というのは何らの公的救済も受けられない犯罪被害者の方等に対しての給付をする制度でございまして、労災とかその他の公的な給付がある場合にはそちらのほうに委ねていくべき制度だと考えております。
○ 椎橋座長 厚生労働省はいかがですか。
○ 厚生労働省社会保障担当参事官室室長補佐 厚生労働省でございます。
犯罪被害者の方が労災年金等の受給要件を満たされた場合には、当然、それぞれの年金の要件に該当される方について、それぞれの制度に基づいて払われるということであります。
その他、労災等の年金制度の受給要件に該当しない犯罪被害者に対する年金という話についてということでありますれば、それはあくまで犯罪被害者に対する支援をどうするかという観点から別途検討がされるべきものかとは思います。
○ 椎橋座長 ありがとうございました。
補足はございますか。
お願いいたします。
○ 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長 若干、補足をさせていただきます。
今ほど御説明申し上げましたように、犯給制度は何らの給付も認められない方に補充的に行うということと、やはり比較的早い段階で被害者の方の立ち直りを支援するということでつくられた制度でございます。それで、労災等の同一の事故を原因とする給付とは調整をいたしまして、労災のほうで支給されるということであれば、その限度においては支払われないということになっております。
また、遺族年金につきましては、むしろ長期にわたっては比較的早い段階の非常に困難な部分について犯給制度でお支払いをし、その後、長期的な各種の制度につないでいくという思想でできているものなのではないかと思っているところでございます。
○ 椎橋座長 ありがとうございました。
ただいま、松村構成員、黒澤構成員、それから、警察庁のほうから御報告いただいて、それに対する質問、さらに補足という形で話が進んでまいりましたけれども、ここで構成員の方々から御質問・御意見がありましたらお伺いしたいと思います。
どうぞ。
○ 中曽根構成員 今、比較的早い段階で救済ということで、犯給金ということでお話をいただいたのですが、私が聞いている中で,事件に遭った人の住所地と,地方に御両親がいるというケースで、約1年近くになりますが、まだ給付金が出ていない状態で、それは多分、裁判員裁判等があったりして、その結果を見てとか、それから、被害者の方と加害者の関係によって全額支給になるかとか、ならないかとかということで、多分いろいろなことでまだ支給が遅れているのではないかと思います。
そういう意味でいくと、御両親は被害者の方の住んでいたアパートまで行って、いろいろアパートのところで、いわゆるアパートを引き払うこととか、そういう作業ももちろんありましたし、御両親が行ったり来たり、御親戚の方も含めて被害者のおられた場所まで行く費用とか、そういうことも全部、被害者の御遺族がなさっているわけで、まず事件に遭わなければ、被害に突然遭うことによって必要のないお金が必ず出てくるわけです。ですので、普段から生活がなされているかもしれないけれども、被害に遭わなければ絶対に出ることのなかった費用が出てくるわけで、そういう意味では何とか早目に給付をしていただきたいというのがあります。
実際、なかなか給付が決定されるまでに時間がかかるのだろうなということはこちらのほうで支援していて感じることですので、よろしくお願いします。
○ 椎橋座長 いろいろな、その時々の事情によって、どういう支援が必要なのかということは変わってくると思うのですけれども、大きな理念の問題として、松村構成員が提示されました、基本法の理念を生かすためには年金制度が必要なのだ、これが一番合理的な制度なのだということをおっしゃりましたけれども、ここのあたりのところを、前にも議論はしておりますが、少し御意見をお聞かせいただければありがたいと思うのですが、いかがでしょうか。
岩村構成員には前にも御意見を伺っておりますが、このあたり、やはり一番基本的なところですので、もし御発言がございましたらお願いしたいと思います。
○ 岩村構成員 御指名なのですが、基本的には前に申し上げたことと余り変わったことを申し上げるような別の考えがあるということでは特にございません。
前にも申し上げたとおりですが、やはり長期給付というのは、どうしても事務管理の問題が難しいというのは避けて通れないだろうと思っています。もちろん、先ほど松村構成員がおっしゃったように、数の問題はあるでしょうけれども、ただ、年金で長期給付にすると徐々に累積していく。もちろん、他方でお亡くなりになる方もいらっしゃるので、そのプラスマイナスの問題ではあるのですが、基本的には年々、ある程度のところまでは累積していって数がふえていくことは避けて通れないだろうとは思います。
もう一つは、これも前にも申し上げましたけれども、当然、年金の水準をどうするかということと関係しますが、先ほど松村構成員がおっしゃった言葉をかりれば、平穏な生活に戻るまでの間という、その平穏な生活に戻るというインセンティブを弱める効果も場合によっては持ちかねないので、そこのところをどうするのかという問題もあるのかなと思います。
私自身は、もちろん犯罪被害者の方々が大変だということはよくわかるわけですけれども、他方で可能な限り、やはりそれを乗り越えていただいて、普通の社会の中で生活していただくように御支援するというのも大事なのではないかと思っているところなので、そうだとすると終身年金というのは、場合によってはそういう方向を弱める効果を持つというのはどうしても否定できないかなと思います。
公的年金の場合も、現在、厚生年金については、特に30歳未満の妻の場合については子がいない場合には有期年金という形になって、むしろなるべく早く自立して生活していただく方向に持っていこうという考え方にもなっているところですので、その辺のところをどう考えるのかなというのが一つ問題としてはあるかと思います。
もう一つは、これは経済的支援を議論しているところでありますけれども、これも前に申し上げたことなのですが、やはり適時適時のところで相談とか何かをきちんとできるような体制を整えるというのがもう一つ大事なのかなとは思っています。松村構成員が挙げられた中で、医療の現物給付の問題にしても、前に伺った実例も、適時に適切なアドバイスが与えられていればもうちょっと違ったのではないかという可能性もないわけではないので、その辺のところをどうするかということとの組み合わせでやはり考えるべきことかなとは思っております。
済みません、甚だ簡単でありますけれども。
○ 椎橋座長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
松村構成員、どうぞ。
○ 松村構成員 そうしますと、皆さんにも考えていただきたいのですけれども、なぜ犯罪被害者には年金がやれないのか、なぜやってはまずいのかということの御意見が、今の御意見ですと、事務量が大変だとか、その後の累積されてきて額的にも把握しにくいとかということで、本当に犯罪被害者が困っている状態を理解されているのか、疑問に思います。
だから、なぜ犯罪被害者について年金を支給するのはまずいのかという、もっと心情的にも含めた理由として納得できるものがあれば教えていただきたいと思います。
○ 椎橋座長 今の点については前にも議論があったところだと思いますけれども、事務局のほうで今までどういうふうに整理されておりますか。
それでは、どうぞ。
○ 内閣府大臣官房審議官犯罪被害者等施策推進室長 整理という話ではないですが、前にあった議論としては、1つは、年金の話については現行の一時金で支払っている金額を年金化することによる方法を言っておられるのか、それとも、そうではなくて金額的にこれらの枠を取り払った、先ほど終身年金というお話もあったような形でのことを言っておられるのかという議論がありまして、その際には、基本的には今の金額とはまた違う世界で考えてほしいというのが松村構成員のお話であったと思います。ですから、それは年金の支給方法論という技術的な問題を超えていて、要はどこまで補償されるべきかという議論だと思いますので、年金かどうかということにこだわりになるよりは、もともと出てきております犯給法の現行の思想である、社会の連帯からの給付という整理なのか、それを超えたものなのかというところについての理念の議論なのではないか。
今まではそういう形で何とか給付できるということで来たわけですが、それを乗り越えた、松村構成員の御意見では犯罪被害者等基本法第3条の解釈から当然なのだという御意見だったと思いますし、私は、とはいっても、それだけではちょっと説明はできないと思いますと御指摘させていただいたのですけれども、そのあたりについて、要は人がアクシデントに遭ったときに回復をされる場合に、大きく捉えてみますと、どこまで国に求めることができるのか、求めるべきなのか。あるいは国民として、どこまでそこに負担してもいいと考えるのかというような議論について、これまでの議論からしますと、第3条からは、犯罪被害者というのは大変な思いでいるのだから当然であるというものなのだというお話と、それに対して、いわばいろいろなアクシデントに遭った方のほかの制度とのバランスから見たら、そういう形にはならないのではないかという御議論があったように思いますし、現行の犯給法は少なくともそういう考え方ではないかというのがこれまでの議論だったのではないかと思います。
○ 椎橋座長 それでは、岩村構成員どうぞ。
○ 岩村構成員 今のお話にちょっと追加をすると、年金ということを考えたときに、結局、年金のいわばメカニズムをどう考えるかということと結びついた議論をしなくてはいけないのだと思うのです。これは御承知のように、普通の民事損害賠償でも問題になるわけで、一時金の賠償にするのか、定期金の賠償にするのかという話がありますけれども、結局、定期金賠償ということになれば、本来支払われる一時金を、ある一定の期間の範囲内で定期金払いにする形で行うということですから、ここで仮に年金ということを考えるとすると、もともとある、額のレベルの問題はちょっと横に置いておけば、今、例えば一時金という仕組みで払っているものを原資として年金化するという話なのか、そうではなくてという話なのか、そこのところが一つ大きなポイントだろうと思います。
とりわけ、先ほど申し上げましたように、終身年金ということになると、もちろん、制度全体としてどう財政バランスをとるかという話になりますが、やはり長期給付ということになりますので、その年金を、要するにトータル額を最終的には全部割り戻して、現在の価額の一時金に戻すということを考えて、財政的にどのくらいのことというか、逆に言うと、賠償なり給付金として一時金に換算すると一体どのくらい払われるのかということで実は議論をしないといけない問題という側面があるのかなと思っています。
もう一つは、労災保険にしても、現在の公的年金、基礎年金にしても、厚生年金にしても、基本的な枠組みとしては社会保険という枠組みによっています。ですので、保険料財源という中で、いわば長期的な財政安定をどう図るかということを考えつつ、実は制度設計がなされている。基礎年金は半分が税金なものですから、ややそこのところは少し違ってきますけれども、厚生年金について見ても、やはり保険料を原資としながら長期的な財政安定をどう図るかというところで年金の水準その他が決まっているという構造になっています。
ですので、私の目からすると、この犯罪被害者の方の支援のところで年金化するという議論は、今まで既存の制度の中で行われている年金の給付、特にこの比較対象として挙がってくる労災であるとか、社会保険の基礎年金あるいは厚生年金、遺族年金、障害年金といったものとかなり構造が違うという気がしています。多分、そういったものが全部結びついて、年金という形にするのが妥当なのかどうか。仮に年金とするという形にしたときに、それでは、その水準は一体どう設定するのか。その水準の設定の仕方というのは、結局、先ほど申し上げたように、仮にそれを一時金というふうに引き直したときに、それでは、一体どのくらいの額と想定して考えるのかというところを全体として考えて、年金化するならするという方向での制度設計となるでしょうし、逆にそれだとということで、賠償額といいますか、一時金の給付に引き直したときに余りにもアンバランスになるということであると、なかなか年金化というのは難しいのではないかという気がいたします。
いずれにしろ、前にも申し上げたように、一時金という形で支給しても、それを実質的には御本人の行動によって定期金的にもらうこともできないわけではないので、そういうチョイスを提供することは、御自身でやっていただくこともあるでしょうし、制度的に仕組むことも可能かもしれません。例えば労災の場合も前払い一時金という仕組みでもって、一定の限度内ですけれども、年金を一時金でもらうというやり方もあるので、ある意味ではその逆ということでもって、一時金を年金化してもらうという考え方もあるだろうとは思いますが、いずれにしても、その辺のところをどう考えるのかというのが一つ、この問題を考える上で検討しておくべき事項かなとは思います。
○ 椎橋座長 黒澤構成員、どうぞ。
○ 黒澤構成員 議論を進めるに当たって、やや抽象的になってしまうのかもしれませんが、年金だけの問題ではないのですけれども、結局は基本法の理念を実現するために、どのレベルまで被害者をカバーするのか、支援するのか、そこが一番大事なところだと思うのです。年金にして、とにかく十分、生活が従前の生活に戻るぐらいに年金をいただく。それは基本法の理念を実現するためにより充実した措置が講じられれば大変いいことだと思うのですけれども、結局はどのレベルまでカバーするのか。そしてまた、それは国民の支持を得られるのかどうか。そこが私はポイントだと思うのです。
この検討会は、まさに給付制度の拡充及び新たな補償制度の創設という検討会の名前になっているのですが、どうしても、今、犯給法が、目に見える法律がありますから、これは犯給法でできないのか、そういう議論になるのですけれども、その場合に警察行政でどこまで、何をやるのだろうか。あるいは犯給法というのはどういうものなのだろうか。基本法の理念を実現すべくレベルをここまでやろうといったときに、そこは警察行政をはみ出てしまう、あるいは犯給法をはみ出てしまうとするならば、それは新たな理念でもって、それがまた、財政の問題もありますけれども、国民の支持・納得を得られるのか。これは年金の問題にしろ、現物支給にしろ、一時金にしろ、要はより充実した施策が講じられればそれはとてもいいことで、また、そうしたいと私は個人的には思うのですが、結局どこまでやれるのか、国民の支持を得られるのか。
そこで、これこれの理念でこのレベル、とても基本法のレベルまではそれでは行けないなというレベル、いや、もっともっと高いレベルができる、国民の支持を受けられる、そこのレベルをいかなる理念でどこまでするか。それがまた逆に言うと、現実世界の中で優先順位をつけろという意味なのかなと私も勝手に解釈しているのですけれども、いずれにしても議論するときに年金かどうかということより、要するに給付全体をどのレベルにするか。それで、これは年金にしてほしいという人がおるのであれば、今、お話がありましたように、制度的にするのか、自分がそういうふうにするのか、それはともかくとして、それから、後で考えてもいいように思うのです。
今、私が申し上げているのは、結局やや抽象的な話になってしまうのですが、基本法の理念を実現するために犯罪被害者をどこまでカバーするのか。端的に言えば、松村先生がおっしゃっているのは、とにかく従前の生活のレベルまで引き戻してほしい。平穏な生活を取り戻してほしい。それを実現すべく、年金、現物給付、一時金、こういう話になってくるのだと思うのです。
ですから、検討会としてどのレベルまで見るべきなのか。しからば、こういうことをできるのか、できないのか。また、現行法の改正でできるのかどうか。そういう議論をしないとなかなかかみ合わないというか、警察庁の立場はこうだ、一方こちらはこういうふうにすべきだ、それだと収れんしないのではないかという気がするのです。
○ 椎橋座長 どうぞ。
○ 松村構成員 今、レベルということでお話がございましたけれども、これは私どもの要綱でも言っておりますとおり、事件前の収入を基本としますが、年間の平均的な収入がマックスになっていますから、その辺のことは国民の人から見ても、5,000万円の年収があった人が年間500万円ぐらいまでにしなさいということならば理解してもらえるのではないかなとは考えております。
○ 椎橋座長 どうぞ。
○ 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 1点確認なのですが、再び平穏な生活というふうに御提案いただいた要綱に関しても、ある程度、それなりに経済的な水準をお持ちの方が生活保護とかの関係に陥るのはやはり問題ではないかという御提案だったかと思います。
その場合、被害者の方にもいろいろな、もともとの経済状況というのがあって、それこそ,もともとの生活でも負債が多かったとか、もともと定期な収入が無い方であった。そういった方がお亡くなりになって、要はそういう方がお亡くなりになることで、申しわけありません、ちょっと冷たい言い方になりますが、御遺族が生計手段を得るという形になることになるのか。その辺りはどういうふうな、「再び」という元の基準のとり方になるのでしょうか。
○ 松村構成員 端的な例で話をすれば、ホームレスの人が亡くなったといった場合に、彼がほかの人の生活を維持しているということはありませんので、彼の場合には、亡くなった場合にはその処理というのですか、生活処理ができれば十分な額だろうと思いますけれども、別にあとの年金のことは余り考える必要はないだろうと思っています。
○ 椎橋座長 元の平穏な生活に戻る、そのレベルがどのぐらいかというのは大変難しい問題で、どういう状況をされていたのかによって、ある程度の違いはあるということは松村構成員もお認めになっておられますけれども、国民が納得できるようなレベルというのはどのぐらいかということが大事なのだということは黒澤構成員から御指摘いただきましたが、年金の関係で言うと、国民の納得できる、平穏な生活を取り戻せるというレベルはどのぐらいか。その額が今では不十分なので、国民の理解を得られるところまでは上げて、それを年金化するという考え方も一つあると思うのですけれども、松村構成員が今まで主張されてきたのはそれとは違うのですね。
ただ、年金といろいろな社会保険の考え方、コンセプトと違うので、そこら辺をどう結びつけるかということになると、その額を適正な額に上げて、それを年金化するというのも一つの考えではありますね。でも、そのあたりのところはそういうふうにはお考えになっていないのですか。
○ 松村構成員 それは個人個人でもって事件前の平穏なレベルというのもいろいろあると思うのですけれども、基本的には被害者になってしまったので、そのレベルに達していないといった場合に、その差額を年金として支給するというのがベースなのです。ですから、それが例えば年収が何千万円あった人では全然問題になりませんから、あくまでも国民の一般的なレベルまではということで、そちらのほうが高ければそうですけれども、平均よりも低い場合にはそのレベルとの差を埋めればいいという考え方ですから、そんなすごい額になるとは思えないのです。
○ 椎橋座長 被害者の方のヒアリングをしたときに、犯給法でいただいた金額は大変ありがたかった。ただ、生活設計をしていく上で年金的な支払いの仕方をしてくれたほうがもっと合理的に生活設計できたのかもしれないということをおっしゃっていた方がいたものですから、そういうことも一つ参考にはなるかなということで申し上げました。
室長、どうぞ。
○ 内閣府大臣官房審議官犯罪被害者等施策推進室長 先ほどの黒澤構成員からのお話との関連で、前もちょっと申し上げたかと思いますけれども、行政で実務を担当してきている立場として申し上げますと、やはり現在の犯給制度があって、それをどこまで拡充すべきかという議論がなされ、それは基本法ができて、第1次計画もあって、さらに拡充の検討会があり、当然、その中でどうあるべきかという議論がなされて、一定の拡充が図られて、さらに、なお不足だという御意見があって、現在、この検討会が行われているわけでございます。
したがいまして、さきの拡充後、それはそれで、そのときに合理的であったという考え方で制度がつくられておりますので、犯給制度を別のものに変えるのかどうかという議論はまた別の問題として、ただ、犯罪被害者に対して給付をする制度だという点において、その中身を、仕組みを変えるかどうかはともかく、そういうお金を出す制度として犯給制度なのだと思うのです。
いずれにしましても、そこを変えていくという観点からは、やはり改正後に起きてきた出来事の中で、具体的にこういう問題があるというのがないとなかなか、これまでの行政実務を考えますと、それを変えていくのは非常に難しいというのは前にお話をさせていただき、それで今回、できれば平成20年改正後の何か難しい事例、問題があると思われる事例を出していただけるとありがたいというお願いをしていましたが、あすの会の構成員の方々が必ずしも新しい方が多くないこともあって出てこなかったというお話でもございました。
そのあたりの中で、果たして給付の理念、今、犯給法で考えている考え方を超えた別の考え方を入れなければ、非常にこの犯罪被害者支援として不適切であるというところ、あるいはより高みを目指すためにも問題はあるのだということをどうやって説明ができるのだろうというところにつきましては、今、伺っていて、なかなか難しいなと思う次第でございます。
他方、今、番構成員や中曽根構成員から、これは今の年金の話とは別ですが、幾つか事例が出てきていますので、そうしたものについて、また別途、これは別の論点とのかかわりが出てくるのだろうと思いますが、そういう意味で、行政サイドとしてこういう事務に携わっておりますと、やはり何らかの一定の具体性のある課題がなかなか見えてこなくて、理念だけで本当に議論をするとどうしたものか。理念面での議論は私も発言させていただいておりますし、聞かせていただいておりますけれども、黒澤構成員からのお話とあわせて考えますと、そのあたりをどう考えていくのがいいかなと非常に悩んでいるところでございます。
○ 椎橋座長 ちょっとくどいようですけれども、厚生労働省の方にお伺いしたいのですが、先ほど岩村構成員から、社会保険と犯給法との関係というのは大分コンセプトが違うということでお話をいただきましたけれども、この労災や遺族年金と犯給制度の年金化との関係で、実務を担当しておられて、その上でこの犯給関係の年金化の難しさというのはどういうところにあるとお考えでしょうか。
○ 厚生労働省社会保障担当参事官室室長補佐 マクロのお話で申し上げるならば、先ほど岩村構成員がおっしゃられたとおり、年金というのは保険料を財源にして、その中で給付をしていく。もちろん、一定の税金は入るわけですけれども、その中で負担の水準と給付の水準のバランスをいかに長期的にとっていくかが大事だということについてはそのとおりであります。
一方で、ミクロのレベルで見た場合にでも、例えば労災保険であれば、危険性が高いような職種であれば、保険料率が高いとか、つまり、もともと労災保険というのは労働基準法に基づく、労働者が業務上でけがをした場合に負う使用者の賠償責任を社会保険化したものでございますので、より危険性の高い職場であれば、その分、保険料は高くなる。また、厚生年金であれば、お給料をたくさんもらわれている方はその分、保険料をたくさん払っていただく。労災保険の場合は事業主負担だけでございますけれども、保険料自体はそういう構造になっておりますので、今の社会保険と犯罪被害者の補償という理念から想定する支援策というものにはそういう意味での違いがあると考えます。
○ 椎橋座長 ありがとうございました。
そういう問題は前から指摘されておりますので、そのあたりのところを年金制度としてやるべきだという場合には、そこをクリアするような根拠をお出しいただけるとありがたいと思いますので、また、そういうものがございましたらお持ち帰りいただいて、再度御提案ということがあればと思いますので、そのあたりをもう一度整理していただけないでしょうか。
それから、きょうは特に先ほどからなかったので、平成20年改正後に、これはどうしても困ったのでどうにかしてほしいということがあれば、最優先の問題がありましたら、何かつけ足すことはございますでしょうか。
○ 松村構成員 1つだけよろしいですか。
先ほどからくどく申し上げているのですけれども、平成20年の改正だったらば、その平成20年のときに遡及までやっておいてくれればよかったのです。遡及してくれていないから今でも救われていない被害者がいっぱいいるということですから、平成20年の改正のときに遡及もしますということであればかなり改善されることになると思います。しかし、それが全然ありませんので今でも困っているというのが現実で、そこが出発点だと思います。
○ 椎橋座長 これは、遡及しなかった理由は何でしたか。
お願いします。
○ 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長 昭和55年の当初の制定の際から、遡及をするべきかどうかというのは常に論点になっておりましたが、昭和55年、平成13年、平成20年の改正と、いずれも遡及については行わないという整理になっております。
これはもちろん、財源的な面というのもあろうかと思いますけれども、通常、さまざまな制度を作る際に、基本的には法の制定後の事象、執行後の事象を対象とするというのが基本的な原則であるということと、あと、個別に考えましたときにも、例えばどこまで遡及するのかといったときに、それを決める決め方もなかなかないということでございますとか、そうすると、どこかが無理に決めますと、それの前後でやはりさまざまな事情が違ってくることがございます。
さらに、どの程度さかのぼるかということにもよろうかと思いますけれども、犯給の世界で申しますと、当初の事件にさかのぼっていろいろな認定をしていくことになりますが、そういった資料の問題でなかなか実務上解決しがたい問題もあるということなども議論されていたところでございます。
○ 松村構成員 ちょっと申し上げますが、今はこうだけれども、昔だったら低かったからそれでよこせということは言っていないわけです。現在でもたまたま救われていない人がいるといった人を何とか救ってもらえないのかということを言っているわけでして、別に過去だったらば3万円だったらけれども、今だったら10万円だということで、その差額の7万円をよこせということは言っていないわけです。昔は3万円もらった。それでもって一応やってきたけれども、今でも苦しいのだという人を救ってくださいというのが我々の趣旨なものですから、原則というのもそれはおかしくて、それが原則なら、それは改めていいのではないかと考えます。
○ 椎橋座長 それでは、この議論はこのあたりにさせていただきまして、あと、先ほど出た問題としては、現行の犯給法の中でも必ずしも理念どおりに運用されていない部分があるのではないか。警察庁から、長い間、音信不通の親族に対しても遺族給付金の支給対象になるとか、それから、番構成員からも事例が出されましたけれども、そういう問題についてもどう考えたらいいのかということも、限られた財源をいかに適正に使うかということの上ではそういう問題も解決しておく必要があると思いますので、その点。それから、先ほど来、出された年金化の問題にしましても、きょうは御議論をいろいろお出しいただきましたので、次回までに事務局のほうで本日の議論を整理した上で論点整理を図っていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
瀬川構成員、どうぞ。
○ 瀬川構成員 私のほうからは、特に今の議論を聞いていて、妙案があるわけではないのですけれども、松村構成員はずっと年金ということを主張されていて、私もそういう形でうまく導入できればいいと考えて聞いていたのですが、ただし、岩村構成員がおっしゃった先ほどの原理を突き崩せるだけの法律的な議論はないのではないかと私は考えています。
また、実際的なことで、先ほど既存の制度とリンクしないということをおっしゃったことは決定的で、その年金という言葉を使う限りは、岩村構成員のおっしゃったことをやはりクリアできるだけの論拠を持たないと、なかなか法律として構成できないのではないかと思います。それと、財源ということから考えると、そういうものに財源はつかないだろうと思うのです。かといって、二律背反的に対立を続けるよりは、もっと何か妥協的なポイントを見つけることができたらと思います。なお、指名して構成員にしゃべっていただくのはこういう場では余りよくないと私は考えています。岩村先生は気を悪くなさらないでおっしゃったと思うのですけれども、この点は申しわけなかったと考えています。ただ、幾つかヒントを岩村構成員はおっしゃったように思います。これは前のときにも先生がおっしゃったことなのですけれども、有期なのか、終身かということ。恐らく松村構成員は終身だというふうに、恐らく考えられているかもわかりませんけれども、私はそこには余りこだわらなくていいのではないかと考えています。つまり、実質的に被害者の支援が行われればいいわけですから、有期の年金ということもあり得ると思います。
もう一つ、確かに今の犯給法で言いますと、早期の苦痛の軽減、被害の軽減ということが前面で出ています。例えば大きな一時金が出ている例は確かにありますが、それをいわば引き伸ばして、いわゆる分散して定期的に支給することも考え得るわけですから、その点は財源という点では同じですから、その点も、一つのドクトリンにとらわれずに、もう少し有効なといいますか、お互い納得の制度づくりというのは考えられるのではないかと思います。
それから、確かに基本法に書いてあることが「再び平穏な生活を営むことができるようになるまでの間、必要な支援等を途切れることなく」とあって、「途切れることなく」というのは一生続くわけではないので、その後、自立できるところまで支援しましょうという制度ですので、確かに非常に気の毒なケースは我々も聞きましたので、この点は理解しているつもりですけれども、その場合でも、その方の自立を支援するのが本来の、現在のというか、フィロソフィーだと思います。
ですので、何もかも、いわゆる社会福祉のネットワークを全部広げなければいけないというふうには我々も考えていませんし、恐らく国民も考えていないと思います。あるいは現在の社会の中には、いろいろな被害者がいますが、被災者もいるわけです。そういう中でお金の使い方を考えているわけですから、先ほど幾つかの議論の中でも歩み寄るようなポイントはあったと思うので、余りお互いがこだわらないで接点を見つけることができるのではないかという気がしています。この点も構成員、事務局も含めてですけれども、考えていきたいと考えております。
以上です。
○ 椎橋座長 どうもありがとうございました。
どうぞ。
○ 岩村構成員 すぐ終えます。
私自身は、別に年金化してはいかぬとか、そういう議論をしているつもりは全然なくて、要するにこの年金の問題のポイントは何かといいますと、結局のところ、要するに一時金としてどれだけ払うかという、実はその水準の問題だということを皆さんに御理解いただければと思っています。
結局、一時金の水準をどれだけ払うかによって、有期にするか、終身にするかという問題はありますけれども、それによって実は年金の水準が決まってくる話ですので、そこのところをむしろお考えいただいたほうが議論としては生産的ではないかとは思います。
○ 椎橋座長 ありがとうございました。
どうぞ。
○ 松村構成員 私が言いたかったのは終身ではなく、有期でも十分だと思っています。それだけは誤解のないように申し伝えておきますので、済みませんが、よろしくお願いします。
○ 椎橋座長 わかりました。
いろいろ御議論いただきましたので、議論の整理をしていただきたいと思います。
それでは、もう一つ、今日は議論していただきたいことがございます。それは海外での犯罪被害者への経済的支援の問題でございます。海外での犯罪被害者につきましては、この前、アルジェリアとかグアムで事件がありまして、大きく報道されました。しかし、それ以外にも外国で犯罪に遭っている被害者の方はおられると思います。海外での犯罪被害者がどのような状況に置かれているのかということを、この会のメンバーとしても知る必要があると思いますので、最初に、外務省から御準備いただけているようでございますので、海外での邦人援護に関しまして、外務省から御発表いただければありがたいと存じます。よろしくお願いいたします。
○ 外務省領事局海外邦人安全課課長補佐 外務省海外邦人安全課の新保と申します。よろしくお願いいたします。
お手元に配られている資料、画面に出ている資料、どちらも同じものですので、これで説明させていただきます。
まず、最近、非常に注目を集めた事件が起こりました。1月にアルジェリアでのテロリストによる襲撃事件、2月にはグアムの通り魔事件、エジプトのルクソールで熱気球が墜落する事件が発生しています。私どもは、海外で日本人が犯罪の被害とか事件・事故に遭った場合とか、そういった場合に支援をしています。現地では当然、日本大使館もしくは日本総領事館が対応いたします。アルジェリアでは日本大使館でしたし、グアムではグアムにある日本総領事館が対応しました。
東京では、外務省の中の一部局であります領事局海外邦人安全課が対応をしており、私どもは実際に御家族とじかに連絡をすることがあります。ですので、そういう意味では私も含めて被害者対応の第一線にいる者ということで、その実態をこれから御説明したいと思います。
最初に御紹介したのは、今年になってからのものです。これから説明させていただくのは、実は統計が出ている2011年の分を説明させていただきますが、まだ統計を出していない2012年に何もなかったかというとそうでもなくて、例えば犯罪被害という意味では、2012年に中東で女性の日本人記者が殺害されたケース。これは銃撃したのが政府軍なのか、反政府軍がやったのか、よく分かっていません。それから、まだ記憶に新しいかと思いますが、東欧で女子大生が殺害されたケース。あと、南米で電波望遠鏡設立のために尽力されておられた国立天文台の教授が強盗に遭って殺害された事件。そういった事件も含まれております。
画面には2011年の統計表が出ていますが、これは年ごとに、1月から12月まで私どものほうで統計をとっています。これは海外で実際に起きた事件・事故を全部集計したものではなくて、私どもが扱った事件・事故でありますので、軽い犯罪については全部カバーし切れておりません。ただ、それでも、2011年だけで5,267件、5,703人の方が犯罪の被害に遭ったことを私どものほうで把握しています。ただ、このほとんどはすりとか置き引きとか、そういった軽犯罪の類のものです。
凶悪犯罪としては、殺人事件が14件、15人。あと、強盗とかですと比較的多く、300件ぐらい起こっていまして、その中で5人が亡くなられるといます。
あと、交通事故は統計表の左側にありますけれども、いわゆる危険運転に相当するようなものも入っています。
また統計表の右端、大きな項目で「III.その他」とありますが、この中には行方不明事件というのもありまして、これは後で説明させていただきます。
「2011年の日本人被害の事件・事故」で、ざっと申し上げますと、1月にアラブの春が起こって、エジプトだけではありません。チュニジアとか中東のいろいろなところで大変な混乱が起こった。それから、2月にニュージーランドで大地震が起こりまして、ここで日本人の留学生28人が亡くなった。あと、そんなに報道はされませんでしたが、北米で日本人が殺害された事件があります。これは後で説明させていただきます。
それから、ある観光地で日本人の留学生が転落した事件がありました。これは単に彼女自身の過失によるもので、足を滑らせて落ちたものでありますが、一時、犯罪ではないかということで地元警察が念のために捜査を行った経緯はあります。中国の上海の地下鉄で衝突事故があって、日本人が巻き込まれたケース。これも一種の交通事故です。高速鉄道事故というのがこの前の7月にありましたけれども、このときは全く日本人の方は乗っていませんでしたので、ここには集計していません。それから、東南アジアで日本人の観光客が殺害された事件があります。これについても後で説明をさせていただきます。
以下の各事例に基づき、説明。
事例 被害にあった地域 犯罪被害者等
(属性・被害状況等)
日本大使館
・日本総領事館の対応
1 東南アジア 留学生
重傷
家族への旅券緊急発給手配
日本への緊急移送手配支援
家族が現地警察当局を訪問、折衝する際の同行
被害者側から裁判所へ提出する必要がある書類の転達
刑事裁判結果の家族への伝達
2 北米 現地在住
死亡
遺体の引き取り及び荼毘(だび)の手配
(現地で火葬し、日本の家族へ送る)
遺児は,所在国の親族に引き取られる。遺児に,所在国の支援金が出る模様。
3 東南アジア 旅行者
死亡
日本への遺体搬送手配
事件現場を訪れた家族の空港送迎
現地同行日本語ガイドのあっせん
家族が現地警察当局を訪問する際の同行刑事裁判結果の家族への伝達
4 東南アジア 旅行者
死亡
家族が現地警察当局を訪問、折衝する際の同行
現地を訪れた家族の空港送迎
家族が現地警察当局を訪問する際の同行
日本への遺体搬送手配
5 北米 出張者
重傷
治療状況等について、入院した病院から聞き取り家族と会社へ伝達
犯人の捜査状況について、現地の警察へ照会
6 南米 現地在住
死亡
犯人の捜査状況について、現地の警察へ照会・家族への伝達
7 オセアニア 留学生
死亡
家族への旅券緊急発給手配
現地を訪れた家族の空港送迎
家族が現地警察当局及び遺体発見現場を訪問する際の同行
荼毘(だび)の手配及び遺骨証明書の発給
現地警察に押収された遺留品の家族返還時期の照会

これで一応、2011年の目ぼしい事件事故被害者に対する個別の支援内容について御説明しました。
次に。通常、どういうことを支援しているかということなのですけれども、日本大使館、総領事館の支援内容というのは、ざっと大きく分けてこういうものがあります。
事件、事故、緊急入院などへの対応。所持金や旅券の盗難、紛失、こういうものに対しても支援をする。自然災害とか騒乱・戦争、行方不明。あと、逮捕、拘禁。これは不法行為で捕まる方が結構いらっしゃいまして、例えば麻薬関係とか、そういったことで捕まる方がいらっしゃるためです。
また、困り事もろもろ一般の相談です。海外でも自分のことは自分で解決していただくことが原則なのでありますが、なかなかそういうわけにもいかないので、相談についてはとにかく受けましょうということでパンフレットをつくっていまして、これはパスポートを発行する各都道府県の旅券センターとかでも配布していますし、外務省のホームページでも見ることができます。
今、申し上げたのは一般的な支援内容なのですが、今度は凶悪犯罪の被害者御本人もしくは御家族への援護の典型例ということを申し上げます。
現地警察への連絡を行っても、どのような捜査をされているのかとか、細かいことを尋ねても教えてもくれないのですけれども、ただ、現地警察が被害者の御家族に説明できる内容ついては聞き取って提供します。
また、医療機関の情報提供では、けがをされたときにどこに行ったらいいかとか、そういったことです。また、同行とは、例えば性犯罪被害者の方で医療機関に行くにしろ配慮が必要となります。もちろん女性の同行が望ましいのですが、被害者本人が繰り返し被害内容を説明するような事態を回避するということです。
それから、特に自力で連絡、電話とかもできない場合もあるので、御家族への連絡。また、保険会社への連絡もあります。これは何か事件・事故があったときに補償する海外旅行保険の方です。先ほど医療費とかのお話が出ていましたが、本件の場合はもちろん、現地で日本の健康保険が使えるわけもないので、何かしらの支払い保証を求められる場合があります。高いところだと盲腸の手術ぐらいで100万円とか、そういったことになります。そんな現金とかクレジットカードの補償額を持っておられる旅行者はそうそういませんので、そういった場合には保険会社のほうで支払い保証をしてもらえばスムーズに医療が受けられる、そういうことであります。ただ、これは、まず保険会社に連絡しないとサービスを受けられませんので、私どものほうで代行することがあります。
日本の御家族の現地への緊急渡航について支援をします。最近は、海外旅行が一般的になってきたこともあって手配も楽にはなってまいりましたけれども、それでも普通の場合はかなり準備をされて出発されるものであるところ、それを1~2日で出なければいけないということで、早急に渡航していただくために支援することがあります。
御遺体の確認、搬送、荼毘(だび)の支援。アルジェリアの事件では御遺体の確認とか搬送をいたしました。荼毘(だび)については、ニュースでご覧になっていると思いますが、日本に帰ってこられてから荼毘(だび)に付されております。
それから、重傷者の帰国支援。これもいわゆる搬送です。お医者さんの協力がなければ帰れない方もいらっしゃるので、こういうことの支援をする。
あと、犯罪被害ですと裁判とかが避けて通れないわけですが、被害者なのに情報が余り入ってこない状態になることが往々としてありますので、弁護士とか通訳について情報を提供する。最近、日本語がわかる弁護士さんが大分増えてきましたので、私どもの業務として多少は楽になっていますけれども、犯罪がどこでどう起こるかというのはもちろん決まっていませんので、場合によっては通訳というか、どちらかというと弁護士さんと通訳とセットで紹介している例が多いです。
そのほか、困りごとについて解決方法を一緒に考えるということなのですが、犯罪被害者の御家族の中には、なぜ犯行に至ったのかを知りたいということで犯人との面会を望む方とかもいらっしゃいまして、そういったことも可能な範囲でバックアップをしております。
このパンフレットでは、逆に、私どものほうで支援ができないことについても触れてありまして、典型例をここに挙げております。
医療費とか移送費の負担、支払い保証、立て替え、こういったことについては私どものほうではできないということで、実際に困っている方がおられると私どもも非常に心苦しいところなのでありますが、それについては最初から御理解をお願いしております。
御遺体の搬送費用も支援できません。つかみで言いますと、御遺体の搬送は海外からですと100万円ぐらいは必ずかかります。遠いところですと200万円ぐらいかかるという形です。ちなみに、荼毘(だび)の費用ですと大体10万円から20万円ぐらいといったところでしょうか。
犯罪の捜査、犯人の逮捕、取り締まりは、大使館でできるわけもなく、現地の警察でやっていただくということなのですが、この辺を是非分かっていただくためにいろいろと御説明をするということです。
あと、加害者から賠償交渉を取り立てることもできない。私どもにはそういう権限がありません。現地の法律にもそのような権限を与えられていませんので、実際上はできない。現地の法制度に基づいて、裁判とかで賠償が決まることになります。
それから、裁判とかの通訳や翻訳、費用の負担についても残念ながら日本政府の支出項目にないものですから、これはできませんということで御了解をいただいています。
同じ意味で、弁護士の費用も負担できません。
それから、御家族の現地渡航費や、滞在費用の負担も私どもにはできません。
このため外務省では、海外旅行保険に入ってくださいということを外務省のホームページで申し上げております。
先ほど構成員の方から犯罪被害者が必要とする経費について言及がありましたけれども、いわゆる一時金も出ますし、医療費の負担もある程度はされるということで、私どもとしてはこれにできるだけ入って海外旅行にお出かけくださいということを呼びかけています。
ただ、近いところへの旅行の場合,保険に入っておられないことが多いようです。そのために後で非常に苦労したということを聞いております。
外務省としては、こういった犯罪だけではなくて自然災害とか、もっと多いのは単なる病気、脳出血、脳溢血、心臓発作、この類で倒れてもやはり1,000万円ぐらいかかってしまう例が多いものですから、保険にできるだけ入るようにということで申し上げております。
駆け足ですが、以上で終わりです。何か御質問がありましたら。
○ 椎橋座長 どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの御発表に関しまして御質問・御意見がございましたらお願いいたします。
どうぞ。
○ 松村構成員 「支援ができないことの典型例」ということで、御遺体の搬送費用とか荼毘(だび)費用ということが書いてありますけれども、この前のアルジェリア事件のときには政府専用機を使って帰ってきましたね。あれはどういうことになっているのですか。
○ 外務省領事局邦人テロ対策室課長補佐 お答えします。外務省邦人テロ対策室の馬田と申します。
1月に発生しましたアルジェリア事案に関しまして申し上げますと、御案内のとおり、本事件につきましては10人の方が亡くなられまして、7人の方が無事に発見されております。これらの方々の御遺体の帰国と生存被害者の方の帰国に関しまして、政府において今回の事案等について総理を中心に対応していく中で、生存された7人の方と先に見つかった9人の方の御遺体に関して、落ちついて静かな環境の中で帰国をしていただくために必要な方策というものを総合的に政府内で考えた結果としまして、本事件につきましては防衛省のほうで政府専用機を出すという形の決定をしていただきまして、9人の方の御遺体の帰国と生存被害者7人の方の帰国に使用いたしました。
○ 松村構成員 あと、費用は請求したのですか。
○ 外務省領事局邦人テロ対策室課長補佐 費用に関しては、請求はしておりません。
○ 松村構成員 ということは、特別な例だったと理解しておいてよろしいのですか。
○ 外務省領事局邦人テロ対策室課長補佐 そのように理解していただいて構わないと思います。
○ 外務省領事局海外邦人安全課課長補佐 今、申し上げたとおりなのですけれども、この事件では、最後にお一方の御遺体が別便で搬送されましたが、こちらのほうは保険でカバーしていただきました。要するに、日本政府で全てを負担したわけではありません
○ 椎橋座長 よろしいですか。
ほかにございますか。
無いようですので、海外での犯罪被害者の状況はいろいろな場合があるということを勉強させていただきましたけれども、今後もこの点については我々も勉強させていただきたいとは思っておりますが、海外で犯罪被害に遭った場合に、現在、日本にある犯給制度が拡大できないのかという御意見もあります。これについて、警察庁のほうとしてはどういう検討がなされているのか、お尋ねしたいと思います。よろしくお願いします。
○ 警察庁長官官房審議官 まず現状、海外において被害を受けた被害者に対する経済的支援の現状について申し上げたいと思います。
第10回の検討会の席でも若干説明させていただきましたが、現行の制度では、海外における日本人の犯罪被害については犯罪被害者等給付金の支給対象外となっております。この課題につきましては、平成18年から19年にかけて開催されました経済的支援に関する検討会においても議論が行われたところでございますが、その最終取りまとめにおいて「基本的には現行の犯罪被害給付制度の対象を維持すべきであり、過失犯ないし財産犯の被害者等や日本に住所を有する外国人以外の外国人をその対象とすることは困難である。ただし、過失犯ないし海外で身体犯被害を受けた日本国籍を有する被害者等に関しては、個別の事情に照らし、何らかの救済を行わないと基本法の趣旨を全うできないと思われる特別の理由がある場合、前記基金による対応を考慮すべきである」との結論が示されたと承知しております。
こうした御提言を踏まえ、平成20年12月から財団法人犯罪被害救援基金による犯罪被害者等に対する支援金支給事業が開始され、公的救済制度の対象とならない被害者等であって、個別の事情に照らし特別の救済が必要と認められる方に対しては支援金を支給することとされており、海外における犯罪被害についてもその対象となっていると承知しております。
近年、海外における日本人の方の活動はさらに多彩なものとなっておりまして、特に本年に入って、在アルジェリア邦人に対するテロ事件、グアム島における邦人死傷事案が相次いで発生したことから、国会において内閣総理大臣より、犯罪被害者の経済的支援については極めて重要な課題だと思っている。現在、第2次犯罪被害者等基本計画に基づいて、有識者等による検討会において、犯罪被害給付制度の拡充及び新たな補償制度の創設に関する検討を行っているところであり、今回の事案も踏まえ、法形式をどのようにしていくかということは検討課題ではあるが、前向きに検討していきたいと考えているとの答弁がなされているところであります。
次に、海外において被害を受けた被害者に対する経済的支援の基本的な考え方について、警察庁の意見を説明させていただきます。今、説明申し上げましたような現状を踏まえまして、犯罪被害給付制度を所管している当庁といたしましても、本検討会で御指摘をいただきつつ考えていくべき課題だと思っておりますが、仮に現行の犯罪被害給付制度をそのまま海外でもということで適用しようとした場合の課題について説明させていただきたいと思います。
資料2ということで「犯罪被害者等給付金裁定のための調査事項について」という資料を配らせていただいておりますのでご覧いただきたいと思いますが、構成員の皆様御承知のとおり、現行の犯罪被害給付制度は、裁定に当たりまして都道府県公安委員会が犯罪被害の事実、減額事由の有無等を適正に認定することが求められているほか、犯罪被害者支援法及びその政令において定められている、犯罪被害給付制度に優先して適用すべき他の公的救済制度による救済等の有無についても調査しているところであります。
仮に、海外において被害を受けた日本国籍を有する方を犯罪被害給付制度の対象とした場合、同様の方法で裁定を行うことになりますが、都道府県公安委員会は海外における足場がないことなどを踏まえますと、裁定に必要な資料を収集すること自体、非常に困難であるケースが多いものと見込まれ、被害者の方の救済が実現できない可能性が高くなる懸念があります。また、発生国によって資料収集の難易度が異なることから、裁定に当たって必要な認定資料を得られるかどうかが発生国によって左右されるおそれがあり、公平な救済とはならないおそれもあります。
こうした点を踏まえますと、海外での犯罪被害について実効のある救済ができるような方法・制度を本検討会において検討していく必要があるものと考えております。
以上でございます。
○ 椎橋座長 ありがとうございました。
ただいま警察庁のほうから現状と課題についてお話しいただきましたけれども、今の点について何か御質問・御意見はございますでしょうか。
政府の検討課題として、第2次基本計画検討委員会、そのもとにできている当委員会で検討してほしい、こういうことになっているわけですね。ですから、当委員会で検討することが求められているものでございます。
しかし、今、御報告がありましたように、その際、現状の法律におきましては、ともかく適正な認定をした上で裁定をすることが求められているわけでありますけれども、外国の場合には調査が十分できない場合がある。そうすると、公平な救済が困難になる場合がある。そこで実効性のある方法とはどういうふうにしたらできるのかが検討される必要があるということなのでありますけれども、この点について何か御意見あるいは御質問でも結構ですが、ございますでしょうか。
どうぞ。
○ 瀬川構成員 先ほどおっしゃった中に、基金による対応を考慮すべきという検討会の最終取りまとめがあって、それに応じて事業をスタートしているということがございましたけれども、先ほど触れられていた犯罪被害救援基金を意味していますね。
○ 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者支援室長 そうです。
○ 瀬川構成員 そういう具体的な事例といいますか、実際に適用された事例はありますか。
○ 椎橋座長 どうぞ、黒澤構成員お願いします。
○ 黒澤構成員 先ほど申し上げました資料の事例4が、そういう意味では海外の唯一の事例でございます。現に著しく困窮しているという、この要件が必要になりますので、今、外務省からお話がございましたように、案件はいろいろあるようでございますけれども、当基金においてはこの1例のみでございます。
それから、実効ある制度等を考えるに当たって、公安委員会では十分な資料を集めるなどということはとてもできないわけでございまして、政府を挙げてといいますか、特に在外公館と、国によって差異がないような、資料を迅速に収集できるような体制をつくることが大変大事ではないかと思います。
以上です。
○ 椎橋座長 ありがとうございました。
瀬川構成員、どうぞ。
○ 瀬川構成員 関連してですが、今、黒澤構成員のおっしゃった趣旨を少し解釈しますと、経済的に、著しく困窮しているという条件がなければ海外であっても、例えば典型的に言うと、犯罪被害事実自体は明らかな事件ですけれども、それでも今の基金の中では支給されないということでしょうか。
○ 椎橋座長 それでは、どうぞ。
○ 黒澤構成員 提言に基づきまして、基金において規定をつくりまして運用いたしておるところで、現に著しく困窮しているという要件が必要でございまして、したがって、海外で犯罪被害に遭ったからといって直ちに支援金が支給されるものではない運用になっております。
前に申し上げたことの繰り返しになりますが、当基金の主な事業は、全く公のお金が入っていない、国民の浄財で、犯罪被害者の子弟の方々が経済的理由によって学校へ行けない、そういった方々に対して奨学金を給与する、そういうものをつくろうではないかということで、法律ではカバーできないものですから、それで当基金ができておりまして、どうしても国民の浄財であること、基金の性格、主な事業があくまでもそういった奨学金の給与であること、そういったこともございまして、結局、予算、お金の問題になってしまうのですけれども、奨学金のレベルも実は低いといいますか、十分ではございません。そういった中で当基金においてカバーするというのは、そういった量的な面でも大変難しい問題がございます。
できるだけ被害者の方々の御要望に添えるべく頑張って、予算枠をできるだけとって対応はするということで考えております。また、制度が発足して、運用例がまだたくさん集まっていないものですから、まさに公平性、中立性、客観性という観点から今後どうあるべきか、その辺を模索中というのが現状でございます。
○ 椎橋座長 ほかにございませんか。
どうぞ。
○ 松村構成員 私、一番最初に申し上げましたけれども、あくまでテロ事件と一般の事件とは性質が違うのではないかということがありますので、やはり分別して対策を考える必要があるのではないかと考えております。
○ 椎橋座長 今のそのことの関係ですけれども、外務省のほうとしましては、この前の政府が飛行機を飛ばしたというのは、あれはテロというふうに判断したのかどうかはわかりませんが、その種の事案だということがあったのでしょうか。特別な措置として派遣したといいますか、搬送したということはありましたね。それはそういう関係がございますでしょうか。
○ 外務省領事局邦人テロ対策室課長補佐 お答えいたします。
御指摘いただいた点につきましては、まず前提としまして、テロであるから、外務省が要請し、防衛省において決定して政府専用機を飛ばしたかというと、必ずしもテロであるか、否かというのがメルクマールになっているわけではございません。今回の事案におきましては、7人の生存されている被害者の方の帰国、そして、その時点では9人の方の御遺体の早期の本邦帰国というものを考えた際に、いかにして速やかに落ちついた環境で帰ってきていただけるかという点を政府内で考えたときに、専用機という手段を使うことを決定したわけでございまして、必ずしもテロ事案であるから専用機を使ったかというと、そういった決定の経緯ではないと承知しております。
○ 椎橋座長 ありがとうございます。
どうぞ。
○ 松村構成員 ということは、つまり静かに帰してやりたいという思いさえ通れば専用機を出すということですね。
○ 外務省領事局邦人テロ対策室課長補佐 御指摘いただいた点につきまして、どのような事案において政府専用機を使用して帰国していただけるかという点は、非常にケースごとに判断が出てきますので、そこは一概に申し上げるのは非常に難しいということは御理解いただければと思っております。
他方で、過去の事案におきましても政府専用機が使われた事案というのはアルジェリア以外にもありますので、そこはまさに個別のケースごとに判断がなされるものではないかと考えております。
非常に曖昧なお答えで申しわけないです。
○ 椎橋座長 ありがとうございました。
緊急に邦人を保護する緊急性といいますか、必要性が高いとか、そういうのはやはりきっとあるのでしょうね。
さて、非常にこれは難しい問題で、今後もこの場でも御議論いただくことになると思いますけれども、本日はこのあたりで議論を終わりたいと思います。
本日の議論のまとめと、それから今後の予定について、事務局のほうからお願いしたいと思います。
○ 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 本日、御議論の中でいろいろな御意見をいただきました。
まず、最初の論点整理であるとか年金制度の関係ですけれども、例えば番先生から御指摘の件、特に2番目の例ですか、親族関係での、それは警察庁からいただいた運用面での御指摘にもかぶるのかもしれないのですが、給付対象者の範囲が適切なのかどうかという判断の材料をどういうふうに区切るかという問題点になるのかなと思います。
年金制度の関係につきましても、また議事録を確認しながら、どのような形で論点を、こんな感じで議論できるのではないでしょうかという形で整理させて、また、期間中に意見照会させていただきたいと思います。
外国の犯罪被害の経済的支援という観点から行きますと、本日、警察庁からいただいた御意見を前提といたしますと、犯給制度を拡大するといった場合の制約というのは事実確認の難しさにあると判断させていただいてもよろしいでしょうか。
○ 警察庁長官官房審議官 結構です。
○ 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 そういう意味では、本日、外務省にも御発表いただきました各事例の事実調査の詳細であるとか、救援基金の支給のときにどのような資料をお集めになっているのかといった事実調査の関係について、またフォローアップで次回までに調整させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
海外の犯罪被害ということで、本日、外務省から御指摘いただいた中で医療費という観点がございました。申しわけないのですが、厚生労働省に次回、海外で医療的な負担がかかった場合の医療保険との関係というものについて御指摘いただければと思っております。
○ 外務省領事局海外邦人安全課課長補佐 その点だけ、今、御説明させていただきます。
国民健康保険などの日本の健康保険制度では、海外でかかった医療費については日本に帰った後で請求ができます。ただし、日本の保険制度に従って換算されますので、完全に満額ではありません。それから、3割自己負担というのも当然あります。ただ、それなりの医療費が還付されます。先ほど申し上げた海外旅行保険の方は民間のものですので、こちらのほうは全額返ってきます。
以上です。
○ 内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 ありがとうございます。
そういったいろいろな、どういう形で次回はさせていただけるかというのは追って意見照会あるいは提示させていただきたいと思います。
次回、第13回につきましては、5月29日の水曜日午後4時からを予定しております。
○ 椎橋座長 どうもありがとうございました。
本日は警察庁、厚生労働省、外務省の方々も、本当に御説明ありがとうございました。
構成員の方々におかれましても、それから不手際もありまして、時間がオーバーしてしまいまして大変申しわけありませんでした。
これをもちまして、第12回「犯罪被害給付制度の拡充及び新たな補償制度の創設に関する検討会」を終わりたいと思います。
どうもありがとうございました。

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