第9章 警察活動のささえ

1 組織

 社会の変化に即応し、時代の要請に適合した効率的な警察活動を推進するため、昭和51年度に行われた主な組織改正としては、次のものが挙げられる。
 戦後3番目のピークを迎えるに至った少年非行の増加に対処し、次代を担う少年の健全育成という見地から、長期的、総合的観点に立ったきめ細かな対策を推進するため、警察庁刑事局保安部に少年課が設置された。また、警察庁警備局警備課に、地震、台風等による自然災害や都市の高層化、過密化等に伴う大規模な災害から、国民の生命、身体、財産を保護するために、総合的、抜本的見地から災害警備その他災害対策を専門的に担当する災害対策官が新設された。
 次に、都道府県警察においては、埼玉及び千葉の両県における警察業務の量的、質的変化に対処して警察の運営、管理体制を強化するため、埼玉県警察本部に警ら部、千葉県警察本部に総務部が新設された。このほか、防犯、警ら活動を強化し、市民生活の安全と平穏を確保するため、茨城、栃木、群馬、長野、岐阜、三重及び沖縄の7県の警察本部に防犯部が新設された。

2 警察職員

(1) 定員
 昭和51年4月現在、我が国の警察に勤務する職員は、合計約23万4,700人である。このうち、国の機関に勤務する者は約7,700人で、警察官は約1,100人、皇宮護衛官約900人、その他一般職員約5,700人(うち、約4,100人は通 信関係の職員)である。 都道府県警察に勤務する者は約22万7,000人で、警察官は約19万7,000人、交通巡視員約4,000人、その他一般職員約2万6,000人である。
 51年度には、2,000人の地方警察官を増員したが、50年3月から51年3月までの間に、全国の人口が約120万人増えたため、警察官1人当たりの負担人口は、全国平均で約568人と、前年と同じであった。これを欧米諸国と比較すると、図9-1のとおりで、我が国は、これらの諸国に比べ著しく負担が重い状況にある。加えて、社会構造の変化等により、警察事象は、ますます多様化、複雑化しつつある。これに対処するため、都道府県警察においては、行政の効率化、定員の再配置等を積極的に推進しているが、都市への人口集中が更に進み、大都市におけるドーナッツ化現象や新興住宅地の誕生による人口増加が著しく、治安上種々の問題を生じているので、このための対策を重要な課題として取り組む必要がある。ちなみに、新興住宅地の誕生の状況を、埼玉県所沢市の所沢ニュータウンで見ると、写真のとおりである。

図9-1 警察官1人当たりの負担人口(1976年)





(2) 婦人警察職員
 昭和51年4月現在、都道府県警察には、婦人警察官約3,700人、婦人交通巡視員約3,000人、婦人補導員約700人が勤務しており、主として交通整理、駐車違反の取締り、少年補導、地理案内等の業務に従事している。また、事務職員として約9,500人が勤務している。
 51年10月、従来都道府県ごとにまちまちであった婦人警察官の制服を統一し、婦人服の流行を取り入れるとともに、機能的なものとした。同時に、交通巡視員の制服を6年ぶりに改め、婦人警察官の制服と同じデザインのものとし、色により区別することとした。
 婦人警察官については、深夜勤務に関する制限があるため、夜間における少年補導、婦人被疑者の取扱い等に支障があり、このための対策を早急にとる必要が生じている。

(3) 採用
 昭和51年度に、全国の警察官採用試験に応募した者は約4万8,000人で、合格した者は約1万人(うち、大卒約4,900人)となっており、競争率は、約5倍であった。
 警察官は、犯罪捜査、即時強制、武器使用等の権限を与えられ、しかも、個々の警察官が自らの判断と責任においてこれらの職務の執行に当たることも多く、特に、最近は、職務内容の高度化、専門化、職務執行の困難化が進んでいるので、大学卒業者の採用を増やすなど優秀な人材の確保に努めてい る。

3 警察職員の勤務

(1) 勤務制度
 警察官の勤務は、一般の公務員にみられない特殊な勤務形態をもつものが多い。派出所勤務の場合は、24時間警戒態勢を確保するため、3日に1度は深夜の勤務がある。また、警察署に勤務する警察官の多くは、6日に1度の割合で当直勤務という深夜勤務を行っている。このように夜間の勤務が多いほか、突発事件、事故等のため、不規則な勤務となりがちであり、また、勤務に際してしばしば危険を伴うことなどから、職員の勤務制度、勤務条件の改善や勤務環境の整備を図ることが当面の課題となっている。
(2) 殉職、受領及び協力援助者の殉難
 犯人の逮捕等警察の職務の執行に当たっては、相手側の激しい攻撃を受けながらも、生命の危険を顧みず、身をていして職務を遂行しなくてはならない場合もあり、そのため不幸にしてその職に殉じ、あるいは受傷する者も少なくない。昭和51年に職に殉じ、公務死亡の認定を受けた者は36人、受傷した者は7,163人に達しているが、このような不幸な事例が1件でも減るように教育訓練、装備の充実等受傷事故防止のための対策を講じている。
 また、現行犯人の逮捕、人命救助等警察官の職務に協力援助して災害を受ける民間人も少なくなく、51年には、死者は17人、負傷者は40人に達している。これらの人に対しては、公務災害補償とほぼ同様の給付を行っている。

4 警察教養

 警察の仕事は、国民の自由と権利に直接重大な関係をもつ場合が多く、警察職員がその責務を完全に遂行するためには、執行務についての専門的な知 識、技能や優れた体力はもちろん、円満な良識と豊かな人間性が必要とされる。このような意味から、警察職員に対する教育訓練は、極めて重要な意義をもつものであり、新しく採用した警察官等に対する新任教養や専門分野に応じた専科教養、幹部昇任者に対する幹部教養等を各級警察学校で実施しているほか、職場での教養、青年警察官に対する合宿研修、海外研修、各種術科教養等を行っている。ちなみに、昭和51年4月現在の柔道の有段者は約12万4,000人、剣道の有段者は約11万2,000人である。

5 予算

 警察予算は、警察庁予算(国の予算)と都道府県警察予算とから成り立っている。警察庁予算は、警察庁が所掌する事務を処理するために必要な人件費その他の経費と、都道府県警察に要する経費のうち、直接国庫が支弁する経費と都道府県警察費に対する補助金を併せて計上している。これに対して、都道府県警察予算は、都道府県警察の運営に必要な人件費、施設費等を計上しており、この経費の一部については国が補助することになっている。
 昭和51年度の警察庁予算は、「社会の複雑化に対応する警察体制の確立」と「犯罪や事故に対決し、国民とともにある警察活動の推進」を柱として、地方警察官2,000人の増員をはじめ、第二次交通安全施設等整備事業5箇年計画の策定及び前年度に引き続く全国的情報管理システムの整備等の施策を盛り込み、前年度の908億3,000万円に比べ、11.4%増の1,011億7,800万円となっており、その内容は図9-2のとおりである。

図9-2 警察庁の予算(昭和51年度)

 また、都道府県警察予算は、警察庁予算と地方財政計画を受けて各種経費を計上しており、その総額は、前年度の1兆488億7,500万円に比べ、12.1%増の1兆1,756億4,200万円となっている。これは、都道府県予算総額の7.2%を占めており、主要経費別では、教育費、土木費、農林水産費に次いで第4位である。都道府県警察予算の内容は図9-3のとおりである。

図9-3 都道府県警察の予算(昭和51年度)

6 装備

(1) 車両
 警察用車両は、捜査、防犯、警ら、交通、警備等各部門における警察活動

図9-4 主要車種の車両台数の推移

を機動化し、その迅速、的確な運営を推進していく上で不可欠であり、警察事象の量的な増大あるいは質的な変化に対応して逐次計画的な拡充強化を図っている。その整備状況は、図9-4のとおりである。
 警察用車両の車種は使用目的により多種にわたっているが、その主要なものは、捜査用車、パトカー、交通パトカー、白バイ、輸送車等である。そのほか、捜査本部用車、検問車、移動交番車、交通事故処理車、投光車、爆発物処理車等の特殊用途車両も保有している。
 昭和51年度は、老朽車両の更新を行うとともに、ミニパトカー、輸送車、捜査用車、火薬類取締用車等を中心に増強整備を行った。その結果、同年度末における警察用車両の保有台数は、1万8,751台となっており、その構成は、図9-5のとおりである。

図9-5 警察用車両の車種別構成(昭和51年度末現在)

(2) 舟艇と航空機
 警察用舟艇は、水上警察活動における機動力として、港湾、離島、河川、湖沼等に配備し、水上のパトロール、水難者の捜索、救助、麻薬犯罪や密貿易あるいは公害事犯の取締り等に運用されている。
 これらの舟艇には、8メートル級の小型艇から20メートル級のものまであり、その整備に当たっては、使用水域

図9-6 警察用舟艇の配備状況(昭和51年度末現在)

や用途を考慮し、老朽船の減耗更新の際に、高速化を図るなど性能を高めることに努めている。
 昭和51年度末における警察用舟艇数は、186隻であり、その配備状況は、図9-6のとおりである。
 また、警察用航空機(ヘリコプター)は、35年度から整備を進めてきているが、51年度においては、兵庫県警察に小型のヘリコプター1機を新規に配備するとともに、35年度に購入された警視庁の小型ヘリコプターについて減耗更新を行った。
 この結果、警察用ヘリコプターは全国で21機となり、主要都道府県警察に12の航空基地が置かれている。これらはいずれも災害発生時の状況は握と救助活動、山岳遭難者等の捜索と救助、道路交通情報の収集と交通指導取締り、逃走犯人の捜索検挙あるいは公害取締り等広範囲の活動に多角的に運用されている。
 なお、最近における領海拡大等の新たな情勢の展開もあり、舟艇及び航空機の体制及び運用について再検討を行うことが当面の課題となっている。

7 通信

 警察通信は、指揮命令の伝達や各種の照会、手配、報告等の情報連絡手段として、いわば警察活動上の神経系統の役割を果たしている。警察の保有する通信施設や通信機器には、警察電話、ファクシミリ、警察無線等日常の警察活動用に常設されているもののほか、重要、突発事案の発生に備えた応急 出動用の通信機器がある。
 社会活動の広域化、スピード化、情報化の著しい進展の中にあって、複雑多様化している警察活動をより効率的に遂行するため、通信施設の近代化、量的な拡充整備や迅速かつ総合的な通信運用体制の確立が緊急な課題となっている。
(1) 警察電話とファクシミリ
 警察電話は、多量の情報を迅速に伝達させる必要から、電話交換機の自動化と電話回線網の増強整備を進めるとともに、車両からの連絡に使用する移動警察電話の整備等を進めている。
 電話交換機については、警察本部等の老朽化した旧型自動交換機の取替えと、警察署に設置している手動交換機の自動交換機への取替えを重点的に実施している。昭和51年度には、警視庁、茨城県及び鹿児島県警察本部と全国85警察署の交換機の整備を行った。
 電話回線網については、地震その他の災害等による重要通信の途絶を防止するため、重要な幹線通信系について別ルートによる自営の無線多重電話回線の新設を推進している。51年度はその手始めとして、東京、名古屋間における従来の太平洋側ルートに加え、北陸回りの新ルートによる無線多重電話回線を開設した。
 移動警察電話は、警察本部等と車両間においてダイヤル接続できる電話で、51年度には、すでに整備されている警視庁、大阪府警察に続き、神奈川、埼玉及び千葉県警察に新設した。
 ファクシミリは、文書、指紋、写真等の画像の伝送を行う通信方式で、警察業務に広く活用されている。各都道府県内の各警察機関をそれぞれ結んで構成する電送通信系については、機器が老朽化してきたので、新しく開発した高速処理機能を有する新機種への更新を進めている。51年度には、大阪府警察の更新を完了し、その運用を開始した。
(2) 警察無線
 無線通信の分野では、第一線警察活動用通信系の整備、無線通話不能地域 の解消、高速道路通信系の整備、車載用無線機の整備等を重点的に進めている。
 第一線警察活動用通信系は、警察署と署外で活動中の警察官との間あるいは活動中の警察官相互間の連絡のため使用される無線通信系で、各警察署ごとに独立した通信系で構成することとしている。昭和51年度には、10都道府県の53警察署について整備を行った。
 無線通話不能地域の存在は警察活動に大きな支障を及ぼすことから、警察では無線中継所の設置その他の対応策を講じてきた。51年度には、無線中継所28箇所、大都市の高層ビル街用の無線中継施設4箇所、大規模な地下街用の無線中継施設2箇所の新設を行った。
 高速道路通信系については、パトカーと高速道路管理室や沿道の各都道府県警察との通信を確保するため、都府県の境界を越えて使用できる専用の無線通信系を設置することとし、高速道路の供用開始に合わせて逐次整備を図っている。51年度には、北陸自動車道と九州縦貫自動車道について高速道路通信系を開設した。
 現在警察が保有している車両の約40%に車載用無線機をとう載している。当面は第一線で活動する車両に対するとう載率の向上を図ることとし、51年度には、212台の車載用無線機を整備した。
 その他、広域的に移動する犯人等の早期発見、検挙のため、51年度には、常時警戒態勢をとっている常設検問所のうち24箇所に、新たに固定用無線機を整備した。
(3) 重要、突発事案と通信対策
 警察はいつ、どこで、どのような事案が発生しても、直ちにこれに対処しなければならないが、このため通信部門でもこれに即応した人的、物的な体制の整備が図られなければならない。重要、突発事案の発生時における通信体制としては、現在通信職員による機動通信隊を臨時に編成し、応急出動用の機器等を駆使して、応急の通信施設の開設や通信機器の保守等に当たっている。このような現場出動は年々増加しており、また、その際通信の迅速な 確保が肝要であり、更に、これらの通信施設の開設や保守等にますます高度の技術と熟練を要するようになっているところから、警察では、機動通信体制の早急な確立が必要になっている。
 機器の面では、応急出動用の通信機器を逐年整備しているが、昭和51年度には、災害時等に備え、警察署と同等の通信機能を発揮できる非常用通信車

(多重無線電話装置、電子交換機、非常用電源装置等を装備)1台を新たに整備したほか、応急用無線電話機13台、ヘリコプター用カラーテレビ装置1式その他の増強を行った。

8 警察活動科学化のための研究

(1) 科学警察研究所
 科学警察研究所では、科学捜査、非行少年、防犯、交通安全等に関する研究、実験やその研究を応用した鑑定、検査を行っている。
 昭和51年度の研究件数についてみると、前年度からの継続研究52件、新規研究36件の合わせて88件となっており、その主なものは表9-1のとおりである。

表9-1 科学警察研究所の主要な研究課題(昭和51年度)

〔研究例1〕 覚せい剤施用者の尿中排せつに関する研究
 覚せい剤施用(注射又は内服)者を判定する一方法として、対象者の尿の中から覚せい剤やその代謝物(体内で変化を受けてできる化合物)が施用後何日目まで尿中に検出されるかということについて、実験動物に覚せい剤を投与して検討してみた。その結果、1回投与の場合は投与後3、4日目までであり、2週間連日投与の場合は最終投与後8日目ま でと長くなることが明らかになった。
〔研究例2〕 自己診断方式安全運転意識態度検査法の研究
 個々の運転者の特質に合った安全指導が交通事故防止に極めて有効なことは、素質的要因検出をねらいとした「運転適性検査」(科学警察研究所編)の実績から立証されている。
 そこで、個別的安全指導を一層有効なものとするため、安全に運転しようとする意識や態度の検出手法の開発研究を進めて、「自己顕示性」、「自己中心性」等5要素を素因とする自己診断方式型安全運転態度検査法を完成した。
 更に、前記の2検査法を統合した総合的運転適性検査法を研究中である。
 昭和51年に開催された国際会議や外国の学会で発表した研究としては、「日本における犯罪予測研究の概観」(5月、ICPO主催、犯罪の予測方法と調査研究に関するシンポジウム、フランス)、「生物界におけるABH血液型物質」(6月、第5回国際免疫学会、アメリカ)等があり、国内においては、「塩素酸塩系爆薬の爆発時における不爆残留性について」等の論文を発表した。
 次に、鑑定、検査についてみると、科学警察研究所では、主として都道府県警察や地方の鑑識センター(札幌、大阪、福岡)から、また一部には検察庁、裁判所等から嘱託、依頼を受けて高度の技術を要する鑑定、検査を行っており、51年に行った鑑定、検査は1,026件であった。
 このほか、科学警察研究所では、都道府県警察の鑑識科学の向上、発展を目的とした鑑識科学研究発表会を毎年開催しており、51年には法医、化学、文書、火災の4部会を開催した。参加した鑑識技術職員は約4,000人、発表された研究は115件であった。
 なお、科学警察研究所では、都道府県警察の鑑識技術職員が検査業務の遂行に必要な鑑識科学関係検査法の体系化のため、検査法集の逐年刊行を行っており、51年には「身体組織検査法」を刊行した。
(2) 警察通信学校研究部
 警察通信学校研究部では、第一線の警察活動をより効率化するための通信機器の開発、改良や新技術の応用についての基礎研究等を行っている。
 昭和51年度においては、有線通信部門で、警察署の電話交換に用いる小容量の電子交換機の回路方式とプログラム、ファクシミリのシステムと機器、各種画像伝送機器のカラー化等を、また無線通信部門では、移動無線回線による画像伝送やデータ伝送方式、携帯無線機の小型化とアンテナ等を、それぞれ調査研究した。
(3) 都道府県警察における研究
 警視庁及び道府県警察(方面)本部には、犯罪鑑識の事務を担当する鑑識課のほか、法医、理化学関係の鑑定、検査を専門的に行う別の機関として、科学捜査研究所(室)等が置かれている。これらの機関は、犯罪現場等から

表9-2 都道府県警察における主要な研究事例(昭和51年)

採取される資料の鑑定、検査、実験等を行って、犯人を割り出しあるいは犯罪を科学的に証明するなど科学捜査の中核的業務を行っている。
 一方、科学技術の進歩、発展に伴い、警察事象はますます複雑、多様化 し、新しい分野の技術を必要とする鑑定、検査の増加、指紋等現場資料採取の困難化の傾向は一層強まりつつある。これに対応するため、日常の業務を通じ、より高度な鑑定、検査及び採証の技術や手法並びに資器材等の実践的な研究、開発を積極的に推進している。
 昭和51年の都道府県警察における主要な研究事例を挙げると表9-2のとおりである。
(4) その他の研究
 通信指令業務の繁忙化に伴い、通信指令室の機能の改善、高度化が急務となっているが、このため警察庁では、科学技術の導入による指令業務の機能向上や照会センター、交通管制センターの持つ機能と通信指令室の機能を有機的に結合し、更に、有、無線の指令系統を網ら的に結合した総合的通信指令システムを開発するための調査研究を行っている。
 最近の道路交通情勢に対処するため、交通信号機は年々整備されつつあるが、増大した交通信号機施設を維持してゆくには、その信頼性の向上を図ることが重要な課題となっている。昭和51年度は、LSI(大規模集積回路)を使用した交通信号制御機を実用化したほか、ポリカーボネート製(合成樹脂の一種)の信号燈器の実用化に必要な調査研究を行っている。
 更に、沖縄県の交通方法の変更を実施する場合の交通混乱と危険を排除するため、現に設置されている交通信号機、道路標識及び道路表示の切換え方法を定めるとともに、それらの切換え方法の実施に関連する必要な基礎資料を得るための実地調査を行った。


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