第3節 薬物銃器対策
1 薬物情勢
令和7年(2025年)中の薬物事犯の検挙人員は1万4,574人と、引き続き高い水準にあり、我が国の薬物情勢は依然として厳しい状況にある。特に20歳代以下の若年層による大麻事犯が相次いで検挙されたほか、大麻事犯の検挙人員が警察庁が保有する昭和33年(1958年)以降の統計で最多となった。薬物は、乱用者の精神や身体をむしばむばかりでなく、幻覚、妄想等により、乱用者が殺人、放火等の凶悪な事件や重大な交通事故等を引き起こすこともあるほか、薬物の密売が暴力団等の犯罪組織の資金源となることから、その乱用は社会の安全を脅かす重大な問題である。

(1)犯罪組織等の動向
① 暴力団による薬物事犯
令和7年中の薬物事犯の検挙人員(1万4,574人)のうち、暴力団構成員等が14.6%(2,124人)を占めている。また、密売関連事犯(注)の検挙人員(891人)のうち、暴力団構成員等が29.1%(259人)を占めているところ、これらを薬物事犯別でみると、覚醒剤の密売関連事犯の検挙人員(385人)のうち43.6%(168人)を、大麻の密売関連事犯の検挙人員(445人)のうち17.1%(76人)を、それぞれ暴力団構成員等が占めており、覚醒剤や大麻の密売に暴力団が深く関与していることがうかがわれる。
注:営利目的所持、営利目的譲渡し及び営利目的譲受け
② 来日外国人による薬物事犯
令和7年中の来日外国人による薬物事犯の検挙人員は1,142人と、前年より195人(20.6%)増加した。このうち、営利目的輸入事犯の検挙人員は278人であり、国籍・地域別でみると、ベトナムが34.9%(97人)を占めているほか、密売関連事犯の検挙人員は51人であり、国籍・地域別でみると、ベトナムが33.3%(17人)を占めている。
(2)薬物密輸入事犯の検挙状況
令和7年中の薬物密輸入事犯の検挙件数は464件と、前年より137件(41.9%)増加し、検挙人員は536人と、前年より141人(35.7%)増加した。
覚醒剤密輸入事犯の検挙状況の推移は、図表4-19のとおりである。令和7年中は、検挙件数・人員・押収量ともに前年より減少しているものの、押収量が年間1トンを超える状況が続いているなど、覚醒剤に対する根強い需要が存在しているものと考えられる。

CASE
建設作業員の男(23)は、令和7年5月及び6月、アメリカ合衆国から国際宅配便を利用し、粘土皿内に液状の大麻を隠匿するなどして密輸入した。同年11月に、同男を麻薬及び向精神薬取締法違反(営利目的輸入)で逮捕し、大麻約2キログラムを押収した(警視庁)。

押収された粘土皿及び大麻
(3)薬物事犯別の検挙状況
① 覚醒剤事犯
令和7年中、覚醒剤事犯の検挙人員は前年より増加し、全薬物事犯の検挙人員の43.9%を占めている。覚醒剤事犯の特徴としては、検挙人員に占める暴力団構成員等の割合が高いことのほか、30歳代以上の検挙人員が多いことや、他の薬物事犯と比べて再犯者の占める割合が高いことが挙げられる。
② 大麻事犯
令和7年中、大麻事犯の検挙人員は、全薬物事犯の検挙人員の46.9%を占め、前年に続いて高い水準にある。近年、面識のない者同士がSNSを通じて連絡を取り合いながら大麻の売買を行う例もみられる。大麻事犯の特徴としては、他の薬物事犯と比べて、検挙人員のうち初犯者や20歳代以下の若年層の占める割合が高いことが挙げられる。
③ コカイン事犯
令和7年中、コカイン事犯の検挙人員は、全薬物事犯の検挙人員の5.5%を占め、令和3年以降増加傾向にあり、押収量も令和3年と比べて約23倍に増加し、2年連続で200キログラムを超えている。また、検挙人員のうち20歳代以下の若年層の占める割合が高いことが挙げられるなど、コカインの乱用拡大が懸念される。
