第7章 警察活動の支え

警察活動の最前線

海外勤務で培ったコミュニケーションの姿勢


前 東南アジア所在の日本国大使館書記官(現 京都府警察本部総務部総務課)

渡辺 康行

 
ポリスまろん・ポリスみやこ

私は3年間、東南アジアに所在する日本国大使館の書記官として勤務しました。現地では、相手国のカウンターパートとの関係構築が必須であり、表敬訪問を行うことが数多くありました。その際、年齢等の差があっても旧知の仲のような歓待を受けたのですが、裏を返せば、顔を付き合わせた親しい関係がない場合は業務が難航しかねず、国民性を理解した関係構築が業務遂行を左右することを実感しました。

特に注意を払っていたのは領事業務における邦人援護です。領事業務には、在留邦人の旅券や各種証明、在外選挙等に必要な手続といったもののほか、邦人を援護する業務があります。様々な理由で保護された邦人の帰国支援等を行うのですが、ケースバイケースで、常に臨機応変な対応が求められました。一方で、逮捕状が出ている複数の邦人を相手国当局が日本へ退去させる手続にも協力するなど、前例のない状況にも直面しましたが、相手国当局と緊密に連携しつつ任務を遂行することができました。

振り返ると、業務全般を支えていたのは、相手国の流儀を尊重したコミュニケーションの積み重ねによる人間関係でした。困難に直面した際、カウンターパートの笑顔と助言に何度も助けられました。

現在は京都府警察と府議会議員との連絡・調整を行う業務に携わっていますが、海外勤務で培った人間関係に対する姿勢をいかし、府民の要望に応えていきます。

 
前 東南アジア所在の日本国大使館書記官(現 京都府警察本部総務部総務課) 渡辺 康行

期待と覚悟


山梨県警察学校教務担当教務係

四條 亜美

 
ふじ君

私は、自分が教官になると決まったとき、現場の第一線から離れる寂しさと同時に、自分が県警の将来を担う警察官たちの第一歩の案内役になれることにワクワクした気持ちを感じました。

警察学校での訓練や授業は全て、その先にある現場において、県民を守り、犯罪に対峙するためのものです。厳しい現場が想定される中での訓練は、つらくないわけがありません。しかし、学生たちは自ら考え、必死に努力し、乗り越えて成長します。

教官が学生に教えることは、知識や技術だけではありません。

ここを卒業するまでには、県民や家族から期待されているのは何かを理解し、それに応える覚悟を決めた警察官に育てたい。

そして、第一線でこの仕事のやりがいを存分に味わってほしい。

自分が一生懸命教えた学生たちが、期待と覚悟を背負った警察官に成長し、第一線へ配属される姿を見ると、心の底からうれしい反面、彼らの背中を押す教官という仕事の重要性に身が引き締まる思いを抱きます。

「指導するからには、自らが学生の手本」。私自身も、教官としての覚悟を決めて、最大限のことを教えたいと思います。

 
山梨県警察学校教務担当教務係 四條 亜美


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