2 極左暴力集団の動向と対策
(1)極左暴力集団の動向
暴力革命による共産主義社会の実現を目指す極左暴力集団は、依然として「テロ、ゲリラ」の実行部隊である非公然組織を擁するとともに、組織の維持・拡大をもくろみ、暴力性・党派性を隠して大衆運動や労働運動に取り組んでいる。
令和6年中、極左暴力集団は、イスラエルとハマス等のパレスチナ武装勢力との武力衝突を捉え、「ガザ大虐殺やめろ」などと主張し、抗議行動を行った。また、反戦・反基地運動や反原発運動に取り組み、これらを通じて同調者や支持者の獲得を図った。
革マル派(注1)は、令和6年中、同派創始者である黒田寛一前議長の著作集全40巻のうち第18巻から第20巻までを刊行し、同書等を活用した学習を機関紙で呼び掛けるなど、黒田前議長が提唱した理論の継承に引き続き取り組んだ。また、同派が相当浸透しているとみられる全日本鉄道労働組合総連合会(JR総連)及び東日本旅客鉄道労働組合(JR東労組)は、令和6年6月の定期大会において、引き続き、同派設立時の副議長であった松嵜明元JR東労組会長が提唱した労働運動理論に基づき組合活動を進めていく方針を決定した。
中核派(注2)は、同年2月、第9回全国大会を開催した。同大会では、「帝国主義の侵略と戦争の攻撃は、労働者階級への最大の階級的攻撃であり階級戦争である。反戦闘争を軸とする階級的労働運動は今こそその力を全面的に発揮し、爆発的な発展をかちとらなければならない」と提起するとともに、清水丈夫議長が「桁違いの巨大な反戦闘争をつくりだそう」、「大衆の中に入っていって、もっと大きな大反戦闘争を、内乱と言えるような内容をもってつくりだしたい」と発言するなど、引き続き、反戦闘争を中心に各種闘争に取り組んでいくことを確認した。
革労協主流派(注3)は、成田闘争を重点に取り組んだ。一方、革労協反主流派(注4)は、反戦・反基地闘争を重点に取り組んだ。
注1:正式名称を日本革命的共産主義者同盟革命的マルクス主義派という。
注2:正式名称を革命的共産主義者同盟全国委員会という。
注3:正式名称を革命的労働者協会(社会党社青同解放派)という。
注4:正式名称を革命的労働者協会(解放派)という。

イスラエル国大使館に対する抗議行動(時事通信)
(2)極左暴力集団対策の推進
警察では、極左暴力集団による「テロ、ゲリラ」を未然に防止するための諸対策を推進しており、その過程で明らかになった違法行為は、厳正に取り締まっている。
CASE
中核派(党中央)活動家の男(37)らは、令和5年平和記念式典に際し、共謀して広島市職員に体当たりするなどの暴行を加えた。令和6年2月、同男ら5人を暴力行為等処罰法違反で逮捕した(広島、警視庁、京都、大阪)。