第5章 安全かつ快適な交通の確保

3 様々な運転者へのきめ細かな対策

(1)運転者の危険性に応じた行政処分の実施

警察では、道路交通法違反を繰り返し犯す運転者や重大な交通事故を起こす運転者を道路交通の場から早期に排除することによって交通の安全を図るため、運転免許の行政処分を厳正かつ迅速に実施している。

 
図表5-28 運転免許の行政処分件数の推移(令和2年~令和6年)
図表5-28 運転免許の行政処分件数の推移(令和2年~令和6年)
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(2)安全運転相談の充実等

警察では、自動車等の安全な運転に不安のある高齢運転者やその家族のほか、身体の障害や一定の症状を呈する病気等のため自動車等の安全な運転に支障のある者等からの相談を受け付けるため、安全運転相談窓口を設けている。

この窓口では、看護師の資格を有する医療系専門職員(注)をはじめとする専門知識の豊富な職員を配置し、適切な相談場所を確保するなどして、相談者のプライバシー保護のための配慮をしているほか、相談後も運転者等に連絡したり、患者団体や医師会等と密接に連携し、必要に応じて相談者に専門医を紹介したりするなど、安全運転相談の充実を図っている。

注:令和7年4月現在、44都府県で78人の医療系専門職員が配置されている。

 
安全運転相談の状況
安全運転相談の状況
 
図表5-29 安全運転相談の受理件数の推移(令和2年~令和6年)
図表5-29 安全運転相談の受理件数の推移(令和2年~令和6年)
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(3)国際化への対応

警察では、日本語を解さない外国人が運転免許を取得するなどし、安全に自動車等を運転することができるよう、外国語による学科試験の実施、更新時講習等における外国語版講習用映像資料の活用等を推進している。

また、外国等の行政庁等の運転免許証を有する者については、自動車等の運転に必要な知識、技能等を有し、運転することに支障がないことを確認した上で、運転免許試験の一部を免除することができることとされている。

 
図表5-30 外国等の行政庁等の運転免許証を有する者に対する運転免許試験の一部免除の流れ
図表5-30 外国等の行政庁等の運転免許証を有する者に対する運転免許試験の一部免除の流れ

(4)運転免許手続等の利便性の向上と国民負担の軽減

警察では、運転免許証等の更新に係る利便性の向上と国民の負担の軽減のため、更新免許証の即日交付、日曜日の申請受付、警察署における更新窓口の設置等の施策を推進している。

令和6年中は、全国で1,053か所の運転免許証の更新窓口において、1,807万5,882件の更新免許証を交付しており、このうち即日交付は1,432万9,789件であった。

また、障害者の利便性向上のため、試験場施設のバリアフリー化等の施設の整備・改善、漢字に振り仮名を付した学科試験の実施、身体障害者用に改造された持込車両を用いた技能試験の実施等を推進するとともに、指定自動車教習所等に対して、障害者の教習体制の充実等の働き掛けを行っている。

MEMO マイナ免許証の導入

令和7年3月24日、道路交通法の一部を改正する法律が施行され、マイナンバーカードへの免許情報の記録が可能となった。これにより、本人の希望に応じ、免許情報が記録されたマイナンバーカード(マイナ免許証)のみを保有することも、マイナ免許証と運転免許証の両方を保有することも可能となったほか、これまでのとおり、引き続き、運転免許証のみを保有することもできる。

また、マイナ免許証の券面には免許情報の記載はないが、マイナ免許証を保有する者やレンタカー事業者等は、警察庁が開発したマイナ免許証読み取りアプリを使用することで、マイナ免許証に記録された免許情報を確認することができる。

さらに、マイナ免許証を保有する者は、更新時講習をオンラインで受講(講習区分が優良運転者又は一般運転者に限る。)することができ、さらにマイナ免許証のみを保有する者は、マイナンバーカードの公的個人認証機能の活用による住所変更等ワンストップサービスや本籍のオンライン変更を受けることができる。

なお、自動車等を運転するときは、運転免許証又はマイナ免許証のいずれかを携帯することが必要である。

 
マイナンバーカードと運転免許証の一体化(イメージ)
マイナンバーカードと運転免許証の一体化(イメージ)
 
QRコード マイナ免許証読み取りアプリ専用サイト
マイナ免許証読み取りアプリ専用サイト(https://myna-menkyo-app.npa.go.jp

(5)運転者の特性に応じた運転者標識

自動車の運転者は、免許を受けていた期間や年齢等に応じ、運転時に車両の前面及び後面に初心運転者標識、高齢運転者標識(注)、身体障害者標識又は聴覚障害者標識を表示することとされている。これらの標識は、他の車両の運転者に注意を喚起するとともに、標識を表示した自動車を保護することなどによって交通事故防止を図るものであり、これらの標識を表示した自動車に対する幅寄せや割込みは禁止されている。

注:高齢運転者標識は、平成23年に様式が変更されたが、更新前の標識(「もみじマーク」)についても、当分の間、表示することができる。

 
運転者の特性に応じた運転者標識


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