第5章 安全かつ快適な交通の確保

4 高速道路における交通警察活動

(1)高速道路ネットワークと交通事故の状況

令和5年末現在、高速道路は215路線であり、その総延長距離は1万3,000キロメートルを超えている。令和5年中の高速道路における死者数は138人と、前年より14人(9.2%)減少した。

 
図表5-39 高速道路における交通事故発生件数・死者数の推移(平成26年~令和5年)
図表5-39 高速道路における交通事故発生件数・死者数の推移(平成26年~令和5年)
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(2)高速道路における交通の安全と円滑の確保

① 道路管理者と連携した交通安全対策

警察では、交通事故の発生状況を詳細に分析し、死亡事故等の発生地点や交通事故の多発地点等における現場点検を道路管理者と共同して実施し、必要な対策を検討するとともに、パトロール等を強化している。特に、逆走が原因となる交通事故や、中央帯がなく往復の方向別に分離されていない区間における対向車線へのはみ出しによる交通事故が後を絶たないことから、道路管理者と連携し、誤進入防止のための道路交通環境の改善や、対向車線へのはみ出しを防止するためのワイヤロープの設置等を推進している。

② 安全利用のための広報啓発及び交通安全教育

警察では、高速道路の安全利用のため、関係機関・団体等と連携して、高速道路を通行する際の注意点や逆走・誤進入の危険性等に関する広報啓発活動を行うとともに、車両故障や交通事故等により運転が困難となった場合の措置等に関する参加・体験・実践型の交通安全教育を行っている。

③ 交通事故抑止に資する交通指導取締り

警察では、妨害運転や著しい速度超過、飲酒運転、車間距離不保持、通行帯違反等の悪質性・危険性の高い違反に重点を置いた取締りを推進している。また、全ての座席でのシートベルトの着用及びチャイルドシートの使用の徹底を図るため、関係機関・団体等と連携した普及啓発活動を推進するとともに、令和5年中はシートベルト装着義務違反について11万1,033件の取締りを行った。

④ 高速自動車国道における大型貨物自動車等の法定速度の引上げ

令和5年6月、「我が国の物流の革新に関する関係閣僚会議」において取りまとめられた「物流革新に向けた政策パッケージ」で「高速自動車国道上の大型貨物自動車の最高速度について、交通事故の発生状況のほか、車両の安全に係る新技術の普及状況などを確認した上で、引き上げる方向で調整する」とされたことを踏まえ、警察庁において、「高速道路における車種別の最高速度の在り方に関する有識者検討会」が開催された。同年12月に取りまとめられた同検討会による提言を踏まえ、令和6年3月、道路交通法施行令の一部を改正する政令が公布され、同年4月から施行された。この改正により、高速自動車国道における大型貨物自動車等の法定速度が80キロメートル毎時から90キロメートル毎時に引き上げられた。



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