第2章 生活安全の確保と犯罪捜査活動

第5節 犯罪被害者等支援

1 第4次犯罪被害者等基本計画の推進

犯罪被害者等基本法において、政府は、犯罪等により害を被った者及びその家族又は遺族(以下「犯罪被害者等」という。)のための施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、犯罪被害者等のための施策に関する基本的な計画を定めなければならないこととされている。

これに基づき、平成17年(2005年)以降、3次にわたり「犯罪被害者等基本計画」が策定され、令和3年(2021年)3月には、令和3年度から7年度までの5年間を計画期間とする第4次犯罪被害者等基本計画が策定された。

犯罪被害者等基本計画の作成及び推進に関する事務を担う警察庁では、関係府省庁、地方公共団体の担当部局等の関係機関・団体に対し、犯罪被害者等のための施策の更なる充実を働き掛けつつ、その進捗状況を定期的に確認するとともに、年次報告(犯罪被害者白書)等を通じて公表するなど、同計画の確実な推進を図っている。

 
令和5年版犯罪被害者白書
令和5年版犯罪被害者白書

MEMO 国における司令塔機能の強化

令和5年6月、内閣総理大臣を長とする犯罪被害者等施策推進会議において、「犯罪被害者等施策の一層の推進について」が決定され、国における司令塔機能を強化して犯罪被害者等施策の一層の推進を図ることとされた。こうしたことなどを踏まえ、政府においては、令和5年9月に「犯罪被害者等のための施策の推進に関する業務の基本方針について」を閣議で決定し、令和5年10月以降、「国家公安委員会が犯罪被害者等施策の全体を俯瞰しつつ、施策の推進に関する企画及び立案並びに総合調整を行うことで施策を一元的に牽引し、関係府省庁の緊密な連携、協力の下、政府全体で犯罪被害者等施策の推進に関する業務に効果的かつ効率的に取り組むこと」とされた。

MEMO 犯罪被害者等施策の充実に向けた検討会の開催について

「犯罪被害者等施策の一層の推進について」において、犯罪被害給付制度の抜本的強化や地方における途切れない支援の提供体制の強化に関して検討を行うこととされたことを受け、警察庁において、関係府省庁の協力を得て、それぞれ有識者検討会を開催し、令和6年4月に各検討会の議論が取りまとめられた。

「犯罪被害給付制度の抜本的強化に関する有識者検討会」においては、犯罪被害給付制度を見直すことにより、犯罪被害者等給付金の支給最低額の引上げ及び遺族自身に生じる影響を踏まえた遺族給付金の支給額の増額を行うことや、犯罪被害者等の損害回復・経済的支援等については課題も残されており、引き続き政府全体で検討すべきことを内容とする取りまとめがなされた。

また、「地方における途切れない支援の提供体制の強化に関する有識者検討会」においては、都道府県におけるコーディネーターを配置した多機関ワンストップサービス及び一つの機関・団体内における機関内ワンストップサービスの双方を確立することなどを内容とする取りまとめがなされた。

警察庁においては、関係府省庁の協力を得つつ、必要な施策を実施していくこととしており、犯罪被害給付制度については、令和6年6月に、「犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律施行令の一部を改正する政令」が施行され、幼い子供を犯罪被害により亡くした両親が受給する金額が、一定の場合320万円から1,060万円に引き上げられるなど、給付水準が大幅に引き上げられた。



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