第5章 安全かつ快適な交通の確保

警察活動の最前線

「高齢者講習、待たなくてよくなりましたね」


奈良県警察本部交通部運転免許課高齢運転者等支援室講習第二係

泉谷 弘史

 
ナポくん・ナピちゃん

私が、現係へ配属となったのは、「運転技能検査」が開始される1年前でした。同検査が導入されると、高齢者講習等の待ち期間が長くなることが予想されました。

当県では、指定自動車教習所の数が全国で最も少なく、高齢者講習等の待ち期間が長くなりやすかったことから、運転技能検査の開始に向け、何らかの対策を講じる必要がありました。

そこで、運転技能検査については、公安委員会が直接実施する方針を早期に固めました。ハード面の対策としては、高齢者講習指導員の増員や講習車両の増車により実施体制の構築を図ったほか、ソフト面の対策としては、自動車教習所等の認定講習制度への早期の移行をサポートするとともに、1日当たりの講習回数、実車指導と座学指導のシフトの見直しや、運転技能検査、認知機能検査及び高齢者講習を同日に受検・受講することができる「技能パック」の予約枠を新設するなど、高齢者の利便性の向上や負担の軽減を図ることで、高齢者講習等の待ち期間を大幅に縮減させることができました。受講者からも、「高齢者講習、待たなくてよくなりましたね」とお声掛けいただく機会が増えました。

今後も、受講される高齢運転者の負担や不安を取り除き、安全に運転をしてもらうための支援を継続していきたいと思います。

 
奈良県警察本部交通部運転免許課高齢運転者等支援室講習第二係 泉谷 弘史

「ゼロ」から「ゼロ」への挑戦! ~交通特殊事件捜査の先に見えるもの~


前 大阪府警察本部交通部交通捜査課捜査第五係(現 大阪府淀川警察署地域課地域第1係)

平山 飛鳥

 
フーくん・ケイちゃん

交通特殊事件とは、車社会に潜在する交通関係保険金詐欺や車庫飛ばし、運転免許証の不正取得、不正車検等の犯罪のことを言います。最近において私が携わった交通特殊事件は、民間車検場を舞台として、事業主や自動車検査員らが共謀し、保安基準に適合しない自動車について適正な検査等を行わず、いわゆる「手抜き」でおびただしい数の車検を通し、3億円を超える利益を得ていたという不正車検事件でした。私は、この事件の捜査で、主に映像資料の精査を担当し、捜査対象となる自動車を抽出して、事件着手の切り口となる手抜き車検自動車の割出しに貢献することができました。この不正車検事件は、事業主による利益追求が目的であり、保安基準に適合しない自動車を公道上に放つという危険で悪質な犯行でした。捜査を通じ、交通特殊事件捜査には、その犯罪の先に起こり得る交通事故を抑止するという目的があり、「ゼロ」から事件を掘り起こして検挙することで、交通死亡事故「ゼロ」を目指すものだと学び、これこそが交通捜査員としてのやりがいであると感じました。私自身、交通捜査員の立場で交通死亡事故「ゼロ」を目標に掲げ、交通特殊事件捜査のスペシャリストとなれるよう頑張っていきたいと思います。

 
前 大阪府警察本部交通部交通捜査課捜査第五係(現 大阪府淀川警察署地域課地域第1係) 平山 飛鳥


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