2 道路交通環境の整備による歩行者等の安全通行の確保
(1)歩行空間の整備
警察では、平成23年以降、市街地等の生活道路における歩行者等の安全な通行を確保するため、道路管理者と連携して、ゾーン30(注1)の整備を推進しており、令和4年度末までに全国で4,288か所を整備した。
令和3年8月からは、最高速度30キロメートル毎時の区域規制とハンプ(注2)等の物理的デバイスとの適切な組合せにより交通安全の向上を図ろうとする区域を「ゾーン30プラス」として設定し、生活道路における人優先の安全・安心な通行空間の整備の更なる推進を図ることとしており、令和4年度末までに全国で66か所を整備した。
注1:区域内における速度を規制し、通過交通の抑制・排除を図るもの。
注2:車両の低速走行等を促すための道路に設ける盛り上がり(凸部)

例えば、ハンプと横断歩道を組み合わせた物理的デバイスである「スムーズ横断歩道」を設置することにより、車両の運転者に減速と横断歩行者優先の遵守を促すなどの効果が期待される。

スムーズ横断歩道(福岡県北九州市)

(2)バリアフリー対応型信号機等の整備の推進
警察では、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律に基づき、高齢者、障害者等が道路を安全に横断することができるよう、音響により信号表示の状況を知らせる音響信号機、信号表示面に青時間までの待ち時間及び青時間の残り時間を表示する経過時間表示機能付き歩行者用灯器、歩行者等と車両が通行する時間を分離して交通事故を防止する歩車分離式信号等のバリアフリー対応型信号機を整備している。
また、自動車の前照灯の光を反射しやすい素材を用いるなどして見やすく分かりやすい道路標識・道路標示を整備するとともに、横断歩道上における視覚障害者の安全性及び利便性を向上させるエスコートゾーンを整備している。

(3)自転車通行空間の整備
警察では、歩行者、自転車及び自動車のいずれもが安全かつ適切に通行することができるよう、道路管理者と連携して、自転車専用の通行空間(普通自転車専用通行帯及び自転車道)を整備するとともに、普通自転車等の歩道通行を可能とする交通規制の実施場所の見直し(注)等を通じて自転車と歩行者の安全確保を図っている。
また、自転車通行の安全性を向上させるため、普通自転車専用通行帯や、自転車と自動車を混在通行とする道路において、周辺の交通実態等を踏まえ、必要に応じて、駐車規制を実施している。
注:道路交通法では、自転車や特定小型原動機付自転車は車道通行が原則とされている。普通自転車や特例特定小型原動機付自転車については、道路標識等により歩道通行を可能とする交通規制を実施することができるが、歩道の有効幅員、交通実態、沿道状況等を総合的に勘案し、現に行われている当該交通規制の見直しを実施している。
