3 相談業務の充実強化
(1)相談取扱いの現状
相談取扱件数の推移については、図表2-88のとおりである。令和4年中の相談取扱件数は235万9,582件と、前年より7万6,757件(3.4%)増加した。

(2)相談受理体制
警察では、国民から寄せられた相談に対し、迅速・確実に組織的な対応を行うことができるよう、都道府県警察本部及び各警察署の総・警務部門に、それぞれ相談の総合窓口を設置している。総合窓口には、警察職員のほか、経験豊富な元警察職員等の警察安全相談員を配置し、体制の確保に努めている。また、都道府県警察本部の総合窓口に全国統一番号の警察相談専用電話(「#(シャープ)9110」番(注))を設置し、電話をかければ発信地を管轄する警察本部等の総合窓口に接続されるようにしているほか、都道府県警察のウェブサイト上でも相談を受け付けている。
注:携帯電話からも利用できる。なお、ダイヤル回線及び一部のIP電話では利用できないので、相談専用の一般加入電話番号を警察庁ウェブサイト等で広報している。
(3)相談内容に応じた適切な対応の推進
① 相談への組織的な対応
寄せられた相談に対しては、犯罪等の被害の発生の有無にかかわらず、相談内容に応じて、関係する部署が連携して対応し、指導、助言、他の専門機関の教示、相手方への警告、検挙等、相談者の不安等を解消するために必要な措置を講じている。
特に、相談者等の生命又は身体に危害が及ぶおそれのあるものなど緊急の対応を要する相談事案については、警察署長等の指揮の下、迅速かつ的確な対応を行っている。
② 相談に対応する職員への研修の実施
治安に関する多種多様な相談に適切に対応することができる職員を育成するため、都道府県警察では、相談に対応する職員に対し、各部門の業務担当者による事案ごとの相談受理・対応要領の講義や様々な専門的知識を有する部外講師による講義等、実務に直結する研修を実施している。
③ 関係機関・団体等との連携の推進
警察以外の機関・団体等で取り扱うことが望ましい相談や警察以外の機関・団体等との緊密な連携が必要な相談への適切な対応を図るため、関係機関・団体等との連絡会議を開催して意見交換を行うなど、関係機関・団体等との連携強化に努めている。
MEMO 「旧統一教会(注1)」問題等に対する適切な対応
令和4年8月、「旧統一教会」について社会的に指摘されている問題に関し、悪質商法等の不法行為の相談、被害者の救済を目的として、「旧統一教会」問題関係省庁連絡会議が設置された。同年9月には、相談集中強化期間が設けられ、合同電話相談窓口(注2)及び関係機関が設置する既存の相談窓口において、集中的に相談対応等が行われた。
警察では、合同電話相談窓口に寄せられた相談の内容を踏まえつつ、関係機関・団体との一層緊密な連携を図るなど、寄せられた相談に対し適切な対応を行っている。
注1:現在は世界平和統一家庭連合
注2:フリーダイヤルにより、内容を限定することなく幅広く相談を受け付けた上、相談者の話をよく聞き、どのような問題に直面しているかを見極め、その内容に応じて、問題解決に最も資すると思われる適切な既存の相談窓口や制度を案内することを目的に運営されたもの。警察庁等の関係機関から派遣された職員が、必要な知見を共有して業務に当たった。
なお、合同電話相談窓口の機能等は、令和4年11月、日本司法支援センター(法テラス)に設置された「霊感商法等対応ダイヤル」に継承された。