警察活動の最前線
世紀の大警備を終えて
警視庁警備部警備第一課警備企画係
石井 智明(いしい ともあき)

私はオリンピック・パラリンピックの東京開催が決まった平成25年から大会警備の準備に携わり、競技会場における警備計画の策定、関係機関との調整等に従事しました。
何度も競技会場に足を運び、警備実施上のリスクを抽出するとともに、あらゆる事態を想定して対策を検討しながら、信頼できる仲間、上司と共に準備を進めていきました。
大会本番時は全国警察からの応援を得て、オールジャパン体制で警備を実施しました。全国各地から続々と到着する警察車両に頼もしさを感じつつ、「いよいよ始まる」と身の引き締まる思いがしました。
大会期間中は大きなトラブルもなく全競技が終了し、パラリンピック閉会式で聖火が静かに消え、各国から参加した選手・関係者が続々と日本を後にしていくのを見届け、世紀の大警備は幕を閉じました。長きに渡って準備してきたものが結実し、何物にも代えがたい達成感を感じた瞬間です。
困難な課題も数多くありましたが、大会組織委員会をはじめとする関係機関と緊密に連携するとともに、都民・国民の皆様からの理解と協力を頂くことにより、この大警備を完遂することができたと実感しています。
この歴史的警備に従事できた僥倖(ぎょうこう)に感謝しつつ、この経験を糧として、更に自己研鑽(さん)しながら職務に邁(まい)進していきたいと思います。

全国警察における犯罪死の見逃し防止に向けて
前 福岡県警察本部刑事部捜査第一課検視官室
(現 福岡県飯塚警察署地域管理官)
松島 茂(まつしま しげる)

警察官は、「人が亡くなっている」などの通報を受け、様々な現場に急行し、事件性の判断を行います。「検視官」は、この分野の専門家であり、発見された御遺体や現場等を詳しく調べ、犯罪によって亡くなったかどうかを見極める重要な仕事です。
本当は殺害された御遺体であるにもかかわらず、もし、検視官が「事件性なし」と誤った判断をすれば、殺人事件が闇に葬られることとなるため、検視官は常に強い緊張と激しいプレッシャーを感じながら、御遺体と向き合うこととなります。
その一方で、検視官は殺人事件等の凶悪事件において、捜査を陰ながら支えているというやりがいや使命感を強く感じることができる仕事でもあります。検視官は、犯罪死の見逃しを防ぐ「最後のとりで」であり、私は検視官という仕事に誇りを感じています。
私は、20年以上、検視業務に従事しており、令和3年春に警察庁から「広域技能指導官(検視指導)」の指定を受け、全国の検視官候補者等を対象に、御遺体や現場観察のポイント等を指導しています。
殺害された被害者等の無念を晴らし、御遺族の心の平穏に資するため、私は更なる自己研鑽(さん)に努め、全国の警察官等に検視の重要性や知識をしっかり伝え、全国警察における犯罪死の見逃し防止に貢献したいと思っています。

注:掲載されているキャラクターは、都道府県警察のマスコットキャラクターです。