3 様々な運転者へのきめ細かな対策
(1)運転者の危険性に応じた行政処分の実施
警察では、道路交通法違反を繰り返し犯す運転者や重大な交通事故を起こす運転者を道路交通の場から早期に排除することによって交通の安全を図るため、運転免許の行政処分を厳正かつ迅速に実施している。

(2)安全運転相談の充実等
警察では、自動車等の安全な運転に不安のある高齢運転者やその家族からのほか、身体の障害や一定の症状を呈する病気等のため自動車等の安全な運転に支障のある者等からの相談を受け付けるため、安全運転相談窓口を設けている。例えば、身体の障害について相談があった場合には、具体的な症状を聞き運転免許の条件付与に関する説明等を行うほか、必要に応じてシミュレーター等により運動機能を確認して運転免許の条件を付与するなどしている。
この窓口では、看護師の資格を有する警察官等の医療系専門職員(注)をはじめとする専門知識の豊富な職員を配置し、適切な相談場所を確保するなどして、相談者のプライバシー保護のために特段の配慮をしているほか、相談終了後も運転者等に連絡して継続的な対応を図ったり、患者団体や医師会等と密接に連携し、必要に応じて相談者に専門医を紹介したりするなど、安全運転相談の充実を図っている。
さらに、ポスターの掲示、ウェブサイトの活用等により、安全運転相談窓口の周知徹底に努めている。
注:令和4年4月現在、44都道府県で76人の医療系専門職員が配置されている。

安全運転相談の状況

(3)国際化への対応
警察では、日本語を解さない外国人が運転免許を取得するなどし、安全に自動車等を運転することができるよう、外国語による学科試験の実施、更新時講習等における外国語版講習用映像資料の活用等を推進している。
また、外国等の行政庁等の運転免許証を有する者については、一定の条件の下に運転免許試験の一部を免除できる制度があり、令和3年中の同制度による運転免許証の交付件数は4万3,333件であった。

(4)運転免許手続等の利便性の向上と国民負担の軽減
警察では、運転免許証の更新に係る利便性の向上と国民の負担の軽減のため、更新免許証の即日交付、日曜日の申請受付、警察署における更新窓口の設置等の施策を推進している。
令和3年中は、全国で1,070か所の運転免許証の更新窓口において、1,786万616件の更新免許証を交付しており、このうち即日交付は1,428万981件であった。
また、障害者の利便性向上のため、試験場施設のバリアフリー化等の施設の整備・改善、漢字に振り仮名を付けた学科試験の実施、身体障害者用に改造された持込車両を用いた技能試験の実施等を推進するとともに、指定自動車教習所等に対して、障害者の教習体制の充実等を指導している。
MEMO 第二種免許等の受験資格の見直し
第二種免許等の受験資格の特例に関する規定の整備等を内容とする「改正道路交通法」が、令和4年5月に施行された。
これにより、一定の教習を修了した者は、19歳以上であり、かつ、普通免許等を受けていた期間が通算して1年以上である場合には、受験資格の特例として、第二種免許等の運転免許試験を受けることができるなどとされた。
また、特例により免許を取得した者で、21歳に達するまでの間に違反行為をし、一定の基準に該当した者に対して、講習の受講を義務付けるなどとされた。
改正道路交通法の適切な施行をはじめ、警察では、関係機関・団体と連携しながら、バスやタクシー等の事業用自動車に係る交通事故防止対策を推進している。
(5)運転者の特性に応じた運転者標識
運転者は、自動車を運転するときに、一定の条件に該当する場合は、それぞれの条件に応じて、車両の前面及び後面に初心運転者標識、高齢運転者標識(注)又は聴覚障害者標識を表示することが義務付けられているほか、表示義務がない場合であっても、身体の状態が自動車の運転に影響を及ぼすおそれがあるときなどは、高齢運転者標識又は身体障害者標識を表示するよう努めなければならないこととされている。これらの標識は、他の車両の運転者に注意を喚起するとともに、標識を表示した自動車を保護することなどによって交通事故防止を図るものであり、これらの標識を表示した自動車に対する幅寄せや割込みは禁止されている。
注:高齢運転者標識は、平成23年に様式が変更されたが、更新前の標識(「もみじマーク」)についても、当分の間、表示することができる。
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初心運転者標識 | 高齢運転者標識 | 身体障害者標識 | 聴覚障害者標識 |