第4章 安全かつ快適な交通の確保

警察活動の最前線

心に響く交通安全教育


奈良県警察本部交通部交通企画課安全教育係

威徳 理香子(いとく りかこ)

 
ナポくん・ナピちゃん

「みんな、げんき~?」

腹話術人形の「さくらちゃん」が挨拶すると、交通安全教室の受講者が一斉に私とさくらちゃんの方を見てくれます。そのときに、受講者の年齢層、表情や反応等を読み取り、今日の教室のストーリーを組み立て、受講者が知りたいことや、交通ルール等を分かりやすく伝えていきます。

教室を始めたばかりの頃は、余裕がなくて、受講者に上手く伝えることができず、途中で先輩に助けてもらったり、弱音を吐くこともありました。

しかし、腹話術と出会い、さくらちゃんと一緒に工夫を重ねてきたことにより、受講者の反応は徐々に変わり、今では、教室開始時に緊張した顔の子供達が、終了後には笑顔で「また来てね」と言ってくれたり、交通ルールを知らなかったお年寄りが、「あなたのおかげで事故に遭わずに長生きできそうやわ」とお礼を言ってくれたりするようになりました。これらの言葉は、私の交通安全教室を続ける原動力となっています。

拝命して35年、交通安全教室は5,000回を超えましたが、昔も今も、奈良県から不幸な交通事故が1件でもなくなってほしいという想いは変わりません。

今後も、受講者1人ひとりの心に残る交通安全教室となるよう、さらに努力するとともに、後に続く後輩にこの想いを繋いでいきたいと思います。

 
奈良県警察本部交通部交通企画課安全教育係 威徳 理香子

自分のため、大切な人のために


静岡県警察本部交通部運転免許課中部運転免許センター係

藤井 里枝(ふじい さとえ)

 
エスピーくん・シズカちゃん

運転免許技能試験官となり3年が経ち、日々学ぶことばかりの中で、私は、正確な法令履行と正確な運転操作の大切さ、技能試験官としての重責を実感しています。

私自身もそうであったように、試験はとても緊張します。緊張の中でも、受験者が実力を発揮できるよう、「話し方はソフトに、態度や採点は毅然と適正に」を心掛けています。

緊張する受験者の中には、車線変更が思うように出来ず、私がとっさに補助ブレーキを踏み込んで交通事故を回避したこともあります。技能試験も安全が最優先です。技能試験中は、採点、走行順路の教示、交通状況等の把握を同時に行わなくてはならないため“全集中”です。

毅然とした態度を心掛けている様子からなのか、時には、「鬼」とか「怖い」と言われていると耳にすることもありますが、合格後の受験者が「自分の運転を見直す良い機会になりました。」「前回のアドバイスを実践してみました。」等と目をキラキラさせて話しかけてくれる姿を見て、安全運転に対する思いが伝わったと嬉しく感じます。技能試験の合格は、安全ドライバーの証なのです。

自分のため、大切な人のための安全運転です。これからも車両を運転する責任や一つ一つの交通ルールを守る目的、交通ルールを遵守した運転の具体的な方法を受験者に伝えていきます。

 
静岡県警察本部交通部運転免許課中部運転免許センター係 藤井 里枝


前の項目に戻る     次の項目に進む