第4章 安全かつ快適な交通の確保

2 高齢運転者の交通事故防止対策の推進

(1)高齢運転者に対する教育等の現状

更新期間が満了する日における年齢が70歳以上の者は、運転免許証を更新する際、高齢者講習の受講が義務付けられている。また、更新期間が満了する日における年齢が75歳以上の者は、満了する日より前の6月以内に、認知機能検査を受けることが義務付けられており、同検査の結果に応じた高齢者講習を受講することとされている。

具体的には、認知機能検査により認知症のおそれがある(第1分類)と判定された者及び認知機能が低下しているおそれがある(第2分類)と判定された者に対しては、実車指導の状況をドライブレコーダー等により撮影した映像を活用した個人指導を含め、3時間の講習を行っている。

また、認知機能が低下しているおそれがない(第3分類)と判定された者及び75歳未満の者に対しては、個人指導を除いた2時間の講習を行っている。

警察では、認知機能検査及び高齢者講習の円滑な実施に向け、受検・受講枠の拡大や円滑な予約の促進、運用の効率化等の取組を推進している。

 
図表4-25 運転免許証の更新時における認知機能検査及び高齢者講習の流れ
図表4-25 運転免許証の更新時における認知機能検査及び高齢者講習の流れ
 
図表4-26 更新時の認知機能検査及び臨時認知機能検査の実施状況(令和2年)
図表4-26 更新時の認知機能検査及び臨時認知機能検査の実施状況(令和2年)
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図表4-27 高齢者講習及び臨時高齢者講習の実施状況(令和2年)
図表4-27 高齢者講習及び臨時高齢者講習の実施状況(令和2年)
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(2)運転免許証の自主返納(申請による運転免許の取消し)等

身体機能の低下等を理由に自動車の運転をやめる際には、申請により運転免許証を返納することができるが、その場合には、返納後5年以内に申請すれば、運転経歴証明書の交付を受けることができる。また、運転免許証の更新を受けずに失効した場合でも、失効後5年以内に申請すれば、運転経歴証明書の交付を受けることができる。

この運転経歴証明書は、金融機関の窓口等で犯罪収益移転防止法の本人確認書類として使用することができる。

警察では、自主返納及び運転経歴証明書制度の周知を図るとともに、運転免許証の返納後又は運転免許の失効後に運転経歴証明書の交付を受けた者への支援について、関係機関・団体等に働き掛けを行い、自動車の運転に不安を有する高齢者等が運転免許証を自主返納等しやすい環境の整備に向けた取組を進めている。(注)

注:一般社団法人全日本指定自動車教習所協会連合会のウェブサイトhttp://www.zensiren.or.jp/kourei/)において、運転免許証を自主返納した者等を対象とした各種支援施策について紹介している都道府県警察等のウェブページを集約し、高齢者等への情報提供に取り組んでいる。
QRコード 一般社団法人全日本指定自動車教習所協会連合会のウェブサイト

 
運転免許証の自主返納に関する広報ポスター
運転免許証の自主返納に関する広報ポスター
 
図表4-28 申請による運転免許の取消し件数及び運転経歴証明書の交付件数の推移(平成28年~令和2年)
図表4-28 申請による運転免許の取消し件数及び運転経歴証明書の交付件数の推移(平成28年~令和2年)
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(3)高齢運転者に係る安全運転相談の充実・強化

警察では、高齢運転者等に対して、加齢に伴う身体機能の低下を踏まえた安全運転の継続に必要な助言・指導や、自主返納制度及び自主返納者等に対する各種支援施策の教示を行っている。

また、相談窓口の名称を、これまでの「運転適性相談」から、より親しみやすい「安全運転相談」に改めるとともに、全国統一の専用相談ダイヤル「#8080(シャープハレバレ)」(注)を導入し、安全運転相談の認知度及び利便性の向上に努めている。

注:安全運転相談ダイヤルに電話すると、都道府県警察の安全運転相談窓口に直接つながるようになっている。

 
安全運転相談に関する広報ポスター
安全運転相談に関する広報ポスター


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