第3章 組織犯罪対策

3 暴力団対策法の運用

指定暴力団員がその所属する暴力団の威力を示して暴力的要求行為(注)を行った場合等において、都道府県公安委員会は、暴力団対策法に基づき、中止命令等を発出することができる。中止命令等の発出件数の推移は、図表3-6のとおりである。

注:指定暴力団の暴力団員が指定暴力団の威力を示して行う不当な金品等の要求行為

 
図表3-6 暴力団対策法に基づく中止命令等の発出件数の推移(平成28年~令和2年)
図表3-6 暴力団対策法に基づく中止命令等の発出件数の推移(平成28年~令和2年)
Excel形式のファイルはこちら、CSV形式のファイルはこちら

CASE

住吉会傘下組織の会長の男(74)は、令和2年5月、知人に対し、「給付金10万入るだろ、入ったら5万よこせ」などと告げて、自己が所属する暴力団の威力を示して、金品等の贈与をみだりに要求した。同年7月、北海道公安委員会は、同男に対し、暴力団対策法に基づき、暴力的要求行為を継続してはならない旨の中止命令を発出した(北海道)。

MEMO 六代目山口組と神戸山口組の対立抗争と暴力団対策法の活用

六代目山口組と神戸山口組の間では、平成31年4月以降、拳銃使用の殺人事件等が相次いで発生するなど、対立抗争が激化し、地域社会に大きな不安を与えた。こうした状況を受け、令和元年12月、岐阜県、愛知県、三重県、京都府、大阪府及び兵庫県の公安委員会が、暴力団対策法に基づき、名古屋市、京都市、大阪市、神戸市等10市を特に警戒を要する区域(以下「警戒区域」という。)として、両団体を「特定抗争指定暴力団等」に指定することを決定し、令和2年1月、その効力が発生した。その後も、両団体の間で拳銃使用の殺人未遂事件が発生したことなどから、同年7月、10月、12月及び令和3年1月に警戒区域を追加するなど、対立抗争等の情勢に応じた措置を講じることにより、対立抗争に伴う市民への危害の防止に努めている。令和3年5月末現在、10府県19市町を警戒区域と定めている。

 
暴力団事務所に対する標章貼付の状況
暴力団事務所に対する標章貼付の状況

CASE

六代目山口組傘下組織の幹部の男(52)は、令和2年5月、岡山市内の神戸山口組傘下組織事務所の駐車場において、殺意をもって、神戸山口組傘下組織の幹部に対して拳銃を発射し、負傷させた。同年6月、同男を殺人未遂罪等で逮捕した。

こうした状況を受け、同年7月、関係県の公安委員会が、岡山市等4市を警戒区域として、両団体を「特定抗争指定暴力団等」に指定した(岡山、鳥取、島根、愛媛)。



前の項目に戻る     次の項目に進む