第2章 生活安全の確保と犯罪捜査活動

3 相談業務の充実強化

(1)相談取扱いの現状

相談取扱件数の推移及び相談内容については、図表2-82及び図表2-83のとおりである。平成30年中の相談取扱件数は220万8,299件と、前年より約12万6,000件(6.1%)増加し、近年増加傾向にある。

 
図表2-82 相談取扱件数の推移(平成21~30年)
図表2-82 相談取扱件数の推移(平成21~30年)
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図表2-83 主な相談内容とその推移(平成26~30年)
図表2-83 主な相談内容とその推移(平成26~30年)
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(2)相談受理体制

警察では、国民から寄せられた相談に対し、迅速・確実に組織的な対応を行うことができるよう、警視庁及び道府県警察本部並びに各警察署の総・警務部門にそれぞれ相談の総合窓口を設置している。

総合窓口には、警察職員のほか、経験豊富な元警察職員等の警察安全相談員を配置し、体制の確保に努めている。

また、警視庁及び道府県警察本部の総合窓口に全国統一番号の警察相談専用電話(「#(シャープ)9110」番(注))を設置し、電話をかければ発信地を管轄する警察本部等の総合窓口に接続されるようにしているほか、都道府県警察のウェブサイト上でも相談を受け付けている。

注:携帯電話からも利用できる。なお、ダイヤル回線及び一部のIP電話では利用できないので、相談専用の一般加入電話番号を警察庁ウェブサイト等で広報している。

 
「#9110」番の広報活動
「#9110」番の広報活動

(3)相談内容に応じた適切な対応の推進

① 相談への組織的な対応

寄せられた相談に対しては、犯罪等の被害の発生の有無にかかわらず、相談内容に応じて、関係する部署が連携して対応し、指導、助言、他の専門機関の教示、相手方への警告、検挙等、相談者の不安等を解消するために必要な措置を講じている。

相談者等の生命又は身体に危害が及ぶおそれのあるものなど緊急の対応を要する相談事案を認知した場合には、直ちに幹部へ報告して対応するなど、迅速かつ組織的な対応を強化している。

② 相談に対応する職員への研修の実施

治安に関する多種多様な相談に適切に対応できる職員を育成するため、都道府県警察では、相談に対応する職員に対し、各部門の業務担当者による事案ごとの相談受理・対応要領の講義や様々な専門的知識を有する部外講師による講義等、実務に直結する研修を実施している。

 
相談対応要領研修
相談対応要領研修
③ 関係機関・団体等との連携の推進

警察以外の機関・団体等で取り扱うことが望ましい相談や警察以外の機関・団体等との緊密な連携が必要な相談への適切な対応を図るため、関係機関・団体等との連絡会議を開催して意見交換を行うなど、関係機関・団体等との連携強化に努めている。

 
関係機関・団体等との連絡会議
関係機関・団体等との連絡会議

CASE

平成30年2月、女性から「孫をかたる男から家に来るという電話がかかってきたが、本物の孫ではなかった」との相談を受理した。同女性から事情聴取を行ったところ、オレオレ詐欺の電話であることが判明し、同女性の協力を得てだまされた振り作戦を実施した。その結果、同女性の自宅付近をうろついている男(20)らを発見し、職務質問を実施したところ、本件の「受け子」であることが判明したため、同男ら2人を詐欺未遂罪で逮捕した(茨城)。

CASE

平成30年3月、女性から「高校生の娘が理容店で髪を切った際、胸の写真を撮られたと言っている」との相談を受理した。同女性の娘から事情聴取を行ったところ、理容店主の男(50)に着衣の中をデジタルカメラで盗撮された事案であることが判明し、同年4月、同男を児童買春・児童ポルノ禁止法違反(児童ポルノ盗撮製造)で逮捕した(福島)。

(4)認知症に係る行方不明者等への対策

平成30年中の認知症に係る行方不明者届の受理件数は1万6,927件であり、統計をとり始めた平成24年以降、増加を続けている。

警察では、地域における認知症高齢者等の見守りネットワークの活用や、関係機関・団体等と緊密に連携した行方不明者発見活動を推進しているほか、認知症サポーター養成講座等の部外有識者による講習会や捜索模擬訓練等を通じて、認知症の特性や認知症に係る行方不明者を発見した場合の対応要領等について、職員の理解を深める取組を行っている。

 
模擬捜索訓練の状況
模擬捜索訓練の状況
 
図表2-84 認知症に係る行方不明者届の受理件数の推移(平成26~30年)
図表2-84 認知症に係る行方不明者届の受理件数の推移(平成26~30年)
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