第2章 生活安全の確保と犯罪捜査活動

警察活動の最前線

一つでも多くの「想い」を返還するために


福岡県中央警察署会計課会計係(現 福岡県警察本部総務部会計課庶務係)

牧本 かずみ(まきもと かずみ) 主任

 
ふっけい君
ふっけい君

私が勤務している福岡県中央警察署は、アジアの玄関口である福岡市の中心部を管轄しています。近年、外国人観光客が急増している影響もあって、中央署の遺失届の受理件数は年間約1万7,000件、拾得物の受理件数は年間約11万4,000件で、それぞれ年々増加傾向にあり、遺失物業務は多忙を極める毎日です。

先日、地下鉄に置き忘れられていたパソコンが拾得物として届け出られ、遺失者である高齢の女性に警察署に取りに来ていただいたことがありました。その際、パソコンの返還手続をしながらお話を伺うと、そのパソコンは、パソコン教室に通うために人生で初めて購入されたもので、県外に住む御家族に設定や使い方を教えてもらった思い出等の様々な「想い」が詰まった大切なものであり、無くしたときに、知人から「もう見付からないよ」と言われて気落ちしていたとのことでした。手続を終えてパソコンを返還した際には、「パソコンが見付かって本当に嬉しい。ありがとうございました」と大変喜んでくださり、私も自分のことのように嬉しくなりました。

拾得物には、遺失者の「想い」が詰まっています。忙しい毎日で、時には笑顔を忘れてしまいそうになりますが、私は、こうした嬉しい出来事に出会うたび、遺失物業務のやりがいと達成感を感じることができます。

遺失物業務は、遺失者の大切な「想い」をお返ししているということを胸に、これからも笑顔で頑張ります。

 
福岡県中央警察署会計課会計係(現 福岡県警察本部総務部会計課庶務係) 牧本 かずみ(まきもと かずみ) 主任

最新の鑑定技術を駆使した犯罪捜査


茨城県警察本部刑事部科学捜査研究所法医研究室

佐藤 敬司(さとう たかし) 主任

 
ひばりくん
ひばりくん

私は、科学捜査研究所の法医研究室員として、主に犯罪の現場で採取された資料のDNA型鑑定を行っています。普段は研究所内にあるクリーンルームでの細かな作業が中心ですが、DNA型は、付着場所や採取場所によっては検出が難しいことがあることから、時には現場に出動し、捜査員に資料の採取方法について助言することもあります。

以前、警察署に赴き、未解決の殺人事件の捜査会議に出席したときのことです。当時は、犯人が全く分からない状況でしたが、捜査員の一人からDNA型鑑定について熱心に聞かれ、「絶対にこの凄惨な事件を解決したい」という強い思いが伝わってきました。私は、その思いに何としてでも応えようと、証拠品の着衣を70か所以上切り取り、最新の鑑定技術を駆使して粘り強く検査を続けた結果、ついに犯人のDNA型を検出するに至ったのです。その後、捜査員の「後は私たちが必ず犯人を見付け出すので任せてください」という言葉のとおり、地道な捜査の結果、犯人が逮捕され、捜査員から御遺族の感謝の言葉を聞き、長い間つらい思いをされてきた御遺族の役に立てたことに心の底から仕事のやりがいを感じることができました。

これからも捜査員等と連携し、被害者や御遺族のため、DNA型鑑定を通じて事件の解決に貢献していく所存です。

 
茨城県警察本部刑事部科学捜査研究所法医研究室 佐藤 敬司(さとう たかし) 主任

注:掲載されているキャラクターは、都道府県警察のマスコットキャラクターです。



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