第2章 生活安全の確保と犯罪捜査活動

5 警備業、古物営業及び質屋営業の状況

(1)警備業の状況

平成29年末現在、全国の警備業者数は9,548業者、警備員数は55万2,405人となっている。

警備業は、施設警備業務、雑踏警備業務、交通誘導警備業務、現金輸送警備業務、ボディガード等の種々の形態を有しており、特に各種センサー、非常通報装置等の警備業務用機械装置を使用して、住宅、事務所、店舗、駐車場等における盗難等の事故の発生を警戒し、防止する機械警備業務の需要が近年増加傾向にあるなど、国民に幅広く生活安全サービスを提供している。また、空港や原子力発電所等の重要施設での警備業務も行っているほか、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会において警備業者が実施することとなる施設警備業務等への期待が高まるなど、警備業に対する社会的な需要は増大している。

警察では、警備業が果たすこうした役割に鑑み、警備業法に基づき、警備業務の質の向上を図るとともに、警備業者に対する指導監督を行うなどして、警備業務の実施の適正を図っている。

(2)古物営業及び質屋営業の状況

古物商や質屋においては、その営業の中で古物や質物として盗品等を扱うおそれがあることから、古物営業法及び質屋営業法では、事業者に対し、これらの営業に係る業務について必要な規制等を定め、窃盗その他の犯罪の防止を図っている。平成29年中、古物商及び質屋から都道府県警察に対する不正品の疑いがある旨の申告件数は438件であり、これらの業界団体は、各種防犯活動への参加や啓発活動等を行っている。警察では、古物営業法又は質屋営業法に基づく品触れ(注)や指導監督等により、盗品等の流通防止と被害の迅速な回復に努めている。

注:警察本部長等が盗品等の発見のために必要があると認めたときに、古物商等に対して被害品の特徴等を通知し、その有無の確認及び届出を求めるもの

 
図表2-59 古物営業及び質屋営業許可件数の推移(平成20~29年)
図表2-59 古物営業及び質屋営業許可件数の推移(平成20~29年)
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MEMO 古物営業の実情等を踏まえた古物営業法の改正

複数の都道府県で営業を行う古物商の増加等、古物営業の実情に鑑み、警察庁では、平成29年10月から「古物営業の在り方に関する有識者会議」を開催し、現代の情勢に即した古物営業の在り方についての検討を行い、同年12月、都道府県ごとの許可制度や古物の受取に関する営業の制限についての見直し等を内容とする報告書が取りまとめられた。これを踏まえ、30年4月、第196回国会において、古物商が複数の都道府県に営業所を設ける場合の手続や古物を受け取ることができる場所の制限の緩和等を内容とする古物営業法の一部を改正する法律が成立した。



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