第1章 警察の組織と公安委員会制度

公安委員の声

他機関との連携・協力


鳥取県公安委員会委員長

松本 典子(まつもと のりこ)


委員就任  平成24年7月23日

委員長就任 平成29年7月22日


産官学の連携等、各界において様々な連携・協力が進められていますが、警察では、とりわけ特殊詐欺被害や高齢運転者による交通事故の増加等に対応するため、他機関に協力を要請し、連携や協定の締結を進めながら、実効性のある被害の未然防止に努めています。

鳥取県警察においても、多くの取組が精力的に進められており、特殊詐欺対策については、金融機関、宅配事業者、コンビニエンスストア業界等に働き掛け、被害を未然に防止するための協力を得たことによって、着実に成果を上げています。高齢運転者による交通事故防止対策については、県警の担当者やボランティアが高齢者宅を一軒一軒訪問して高齢者の靴等に反射材を貼り付けるといった地道な活動が続けられている一方、医師会の協力を得ながら、運転免許センターに看護師資格を持つ職員を配置して相談業務に当たってもらい、相談の内容によっては地域包括支援センターを紹介したり、業界団体の協力を得て、運転免許証を返納した後にはバスやタクシーを利用しやすくしたりするなど、様々な工夫を行っています。

また、県警内においては、女性警察職員が働きやすい環境づくりや働き方改革に関する諸施策が次々と実施されるなど、柔軟な改革からは遠いと思われがちな警察の印象とは異なり、社会の変化に対応するための取組がスピード感をもって行われています。

私は、鳥取県警察が、県民の安全安心を守るという重要な使命を果たすため、警察職員の事態対処能力の向上や警察活動の基盤の強化を図るという、文字どおりの強い警察を目指す一方で、関係する他機関の力もうまく取り込んだ施策が実行されていることに心強さを感じています。

人口減少とあいまって警察職員を志望する若者が減少する中、従前の手法だけでは今後の警察運営が難しくなることが予想されます。真に強い警察であるためには、警察組織自体の充実強化と併せて、こうした他機関との連携によって奏功する施策が、今後更に欠かせないものになると思われます。それは、何にも屈しない頑強さに、柔軟な発想や対応力が加わった、弾力のあるしなやかな強さをイメージさせるものです。今後も県民の安全安心を守るため、安定感のある警察力の維持・向上に向けた各界との協力体制の構築を望みます。

 
鳥取県公安委員会委員長 松本 典子(まつもと のりこ)

「One for all, all for one」、そして「Stay hungry, stay foolish」


千葉県公安委員会委員

小堀 陽史(こぼり はるぶみ)


委員就任 平成25年12月26日


「One for all, all for one」というラグビーの格言がある。一人は全員のために、全員は一人のためにという意味である。正に組織・団体としての行動規範にピッタリの名フレーズではないだろうか。

ラグビーの楕(だ)円形のボールは、弾んだらどこへ飛んで行くか分からない。そのボールを目掛けて一斉にメンバーが殺到し、ボールを奪い合う。ある者は自らを犠牲にし、ある者は必死に味方にパスをする。突進し倒れたらスクラムを組み、次の策を練り突き進み、そして敵陣を突破しトライ!

団結力、協調性、思考力、創造性、突破力、これら一連の流れは、組織としての業務を進める上で極めて大事な要素である。

仕事の成就は一人の力では何ともし難い。皆で助け合い、励まし合い、そして必死で解決点を探し、ゴールを目指す。これは、警察組織においても同様であることは言うまでもない。皆で情報を共有し、途中、何度でも壁にぶち当たり跳ね返されても、考え、知恵を振り絞り、解決という頂点を目指すということが。

私は、警察学校の入校式の祝辞の中で、このフレーズを使っている。寮生活の中で、学生には、友を語り、人生を語り、夢を語り、時には恋も語るなどして、団結力を養ってほしいと思うのである。

そして、「Stay hungry, stay foolish」である。

これは、米国のIT企業の創業者が、ある大学の講演で語った言葉である。講演の最後にこれを述べ、静かに壇上を降りたシーンがいまだに印象に残っている。

このフレーズを直訳すれば、「腹ぺこであれ、愚かであれ」となろうか。受け取る側としては、それぞれにその意味を考えさせられる言葉であるが、私は、こう理解している。「腹ぺこであれ=現状に満足するな」、「愚かであれ=常に緊張感を持って事に当たれ」と。

警察学校の卒業式では、いつも感動し、時には涙腺を刺激させられているが、その祝辞に当たっては、これからの警察を背負っていく卒業生に対し、現状に満足せず、常に緊張感を持って仕事に臨んでほしいという思いから、このフレーズを使用させていただいている。

 
千葉県公安委員会委員 小堀 陽史(こぼり はるぶみ)


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