第3節 安全かつ快適な交通の確保に向けた警察の取組
1 交通事故分析の高度化・精緻化に向けた取組
(1)警察庁における取組
これまで、総合的な交通安全対策の実施により、交通事故情勢は、大幅に改善されたところであるが、近年、高齢者人口の増加等を背景として、死者数の減少幅が縮小する傾向にある。このため、発生地域、場所、形態等を詳細な情報に基づき分析し、よりきめ細かな対策を効果的かつ効率的に実施していく必要がある。
警察庁では、道路形状に交通規制、交通指導取締り等の対策や交通事故発生状況等を重ね合わせて表示させることで、これまで明らかでなかったこれらの相関を解明し、より効果的な交通安全対策の企画・立案並びに対策の効率的な実施及び効果の客観的な評価に資することを目的として、GIS(地理情報システム)を活用した交通事故分析手法の確立に向けた調査を平成26年度及び27年度に実施した。
同調査において、各都道府県警察の交通事故分析システムの構築に資するシステム要件を策定した上で、モデルシステムを用いた実証実験を行った結果、交通指導取締り、交通安全教育等の対策を重点的に実施すべき場所を効率的に絞り込むことや、対策の実施前後における交通事故発生状況を比較して対策ごとの効果検証を行うことが可能となるなど、GISの有用性が明らかになったところであり、引き続き交通事故分析の高度化・精緻化に向けた取組を推進していくこととしている。

(2)都道府県警察における取組
都道府県警察では、限られた予算と人員で効果的かつ効率的な交通安全対策を推進するため、警察庁の調査結果も踏まえ、GISを活用するなどして、地域の実情に応じた交通事故分析を行っている。
また、GISを活用した交通事故分析の結果等について、都道府県警察のウェブサイトを始めとする各種媒体を通じて分かりやすく発信するなどして、地域住民が交通事故の発生状況を認識し、交通事故防止に関する意識を自ら高めることができるよう、広報啓発活動を推進している。