第2節 国民の期待と信頼に応える強い警察
1 国民の期待と信頼に応える強い警察
(1)国民の期待と信頼に応える強い警察の確立のための取組
① 積極的かつ合理的な組織運営
警察では、平成25年9月に「国民の期待と信頼に応える強い警察」の確立に向けた取組を強化するとの方針を示し、積極的かつ合理的な組織運営を推進することとしている。
具体的には、警察の業務が多様かつ広範となっている中で、警察が国民から負託された責務を全うするため、警察署の業務を中心に大胆な合理化・効率化を進めるとともに、大量採用・大量退職期が到来していることを踏まえた若手警察職員の早期戦力化、女性の新たな分野への登用等を含めた人的基盤の強化に取り組んでいる。
また、非違事案に対して厳正に対処するとともに、原因・背景の分析に基づく、非違事案につながりにくい業務の仕組みの構築に向けた指導を行うなど、非違事案対策の高度化にも取り組んでいる。

若手警察職員による小集団討議
事例
千葉県警察では、「若手警察官育成プログラム」を策定し、若手警察官の効果的な早期戦力化に取り組んでいる。
本取組では、若手警察官の育成を担当する警察官により、地域警察官に必要な知識及び技能の指導を重点的に行うほか、職務質問の同行指導や実体験を基にした実践的な訓練を実施するなど、事案対処能力の向上を図っている。

若手警察官に対する職務質問の指導
② 監察の実施と苦情をいかした業務改革の推進
ア 監察
警察では、その能率的な運営及び規律の保持に資するために、警察庁、管区警察局及び都道府県警察において、国家公安委員会が定める監察に関する規則に基づき、厳正な監察を実施している。
28年度中、警察庁及び管区警察局においては、都道府県警察等に対し、2,018回の監察を実施し、サイバー空間の脅威に対する部門間連携強化の推進状況について指導するなど業務改善を図った。

イ 苦情を活用した業務改革の推進
都道府県警察では、職員の職務執行に対する苦情に誠実に対応するとともに、個々の苦情やその傾向を踏まえた業務改善策を策定するなど、苦情を活用した組織的な業務改革を推進している。
事例
岡山県警察では、「運転免許停止処分の出頭通知書に、出頭日を変更できることが記載されていない」との苦情があったことから、同通知書に「やむを得ない理由により出頭できない場合は、事前にお問い合わせください。」という記述を追加し、出頭日を調整できる旨を通知するよう業務改善を行った。
(2)適正な予算執行の確保
警察では、適正な予算執行を確保するため、次のような取組を行っている。
① 警察が行う会計監査
国家公安委員会が定める会計の監査に関する規則に基づき、警察庁長官、警視総監、道府県警察本部長及び方面本部長は、監査手法に改善・工夫を加えながら、一層適正な会計経理を推進するため、会計監査を実施している。
平成28年度は、図表6-25のとおり、警察庁の会計監査実施計画を作成し、54部署を対象に会計書類の点検を行うとともに、捜査費の執行に直接携わった捜査員1,040人を含む2,418人に対して聞き取りを実施するなどした。


監査における職員からの聞き取り
② 会計業務の改善に係る取組
警察庁では、会計業務の改善に関する各種取組を全庁を挙げて推進するため、関係職員から構成される「警察庁会計業務改善委員会」及び外部有識者から構成される「警察庁会計業務検討会議」を開催して、行政事業レビュー、調達改善の取組等を通じ、会計業務の改善に努めている。
(3)情報公開制度
警察庁では、警察庁訓令・通達公表基準に基づいて、訓令及び施策を示す通達を原則として公表することとし、ウェブサイトに掲載している。また、窓口を設置し、行政機関の保有する情報の公開に関する法律に基づく開示請求を受け付けるとともに、警察白書や統計、報道発表資料等の文書を一般の閲覧に供している。
平成28年度中の国家公安委員会と警察庁に対する同法に基づく開示請求及びその開示決定等の件数は図表6-26のとおりである。

(4)個人情報保護
警察庁では、警察庁における個人情報の管理に関する訓令を制定し、個人情報の管理体制を定めるなどして保有する個人情報の適正な取扱いに努めている。また、窓口を設置し、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律に基づく開示請求を受け付けている。
平成28年度中の国家公安委員会と警察庁に対する同法に基づく開示請求及びその開示決定等の件数は、図表6-27のとおりである。
