特集:変容する捜査環境と警察の取組 

2 仮装身分捜査

仮装身分捜査とは、捜査員が仮装の身分を使用して捜査対象者と接触するなどして、情報・証拠の収集を行う捜査手法をいう。欧米各国等においては、いずれの国でも導入されている。

日本において仮装身分捜査が導入された場合に有効と考えられる点として、暴力団のように秘密保持が徹底され、又は活動を潜在化させているような犯罪組織の実態解明や、組織外部の人間では把握・獲得が困難な組織の核心に迫る犯罪情報や物的証拠の入手に資すること、暴力団員等の捜査対象者が捜査員やその家族に危害を加える危険を回避できること等が挙げられる。

事例

2003年(平成15年)12月に発生した殺人事件について、容疑者の男は浮上したものの、遺体の発見に至らず約10年が経過していた。この事件の解明のため、捜査員が仮装身分を使用してこの男に接近した結果、遺体の隠し場所を聞き出すことに成功した。2011年(23年)8月、この男を検挙した(オーストラリア)。


 第4節 諸外国の捜査手法等

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